コンバイン
【課題】コンバイン作業において、作業負荷の重、軽の状態を検出しながら、電動モータの駆動制御を行うことは、構成が煩雑であり、安定した伝動制御を維持し難いものである。
【解決手段】エンジン1の駆動によって作業走行するコンバインにおいて、収穫籾の排出を行う排穀オーガ2を電動モータ3によって駆動可能に設けた排穀駆動装置の構成とする。コンバイン作業はエンジン1の駆動によって走行装置を伝動すると共に、刈取装置や、脱穀装置等を伝動して行う。そして、このグレンタンクに収穫された籾を機外へ取出すときは、該エンジン1による走行伝動や、刈取、脱穀伝動等を停止した状態にして、モータ3を電動することによって排穀オーガ2を駆動する。
【解決手段】エンジン1の駆動によって作業走行するコンバインにおいて、収穫籾の排出を行う排穀オーガ2を電動モータ3によって駆動可能に設けた排穀駆動装置の構成とする。コンバイン作業はエンジン1の駆動によって走行装置を伝動すると共に、刈取装置や、脱穀装置等を伝動して行う。そして、このグレンタンクに収穫された籾を機外へ取出すときは、該エンジン1による走行伝動や、刈取、脱穀伝動等を停止した状態にして、モータ3を電動することによって排穀オーガ2を駆動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圃場内の植立穀稈を刈り取って脱穀選別する農業機械であるコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
走行車輪をエンジンにより駆動し、耕耘爪軸を電動モータによって駆動する伝動形態の技術(例えば、特許文献1参照)や、エンジンの余裕出力を利用して発電機を伝動してバッテリーを蓄電し、重負荷の作業時にはこのバッテリーにより電動モータを駆動して、エンジンによる駆動力をアシストする技術(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【特許文献1】特開2001−161104号公報(第2頁、図1)。
【特許文献2】特開2005−16389号公報(第3頁、図1)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コンバイン作業において、作業負荷の重、軽の状態を検出しながら、電動モータの駆動制御を行うことは、制御構成が煩雑であり、安定した伝動制御を維持し難いものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、エンジン1の駆動によって作業走行するコンバインにおいて、グレンタンク13に一時貯留している収穫籾の排出を行う排穀オーガ2を電動モータ3によって駆動可能に構成すると共に該電動モータ3を駆動するための蓄電池20を設け、コンバインの任意の動力系に設けた発電機21とコンバインの任意の位置に設けた太陽電池22のいずれか一方又は両方から前記蓄電池20に電力を供給して充電するように構成したことを特徴とするコンバインとしたものである。
【0005】
コンバイン作業はエンジン1の駆動によって走行装置を伝動すると共に、刈取装置や、脱穀装置等を駆動して行う。そして、グレンタンク13に収穫された籾を機外へ取り出すときは、エンジン1による走行伝動や、刈取、脱穀伝動等を停止した状態にして、蓄電池20からの電力供給を受けて電動モータ3を駆動することによって排穀オーガ2を駆動する。そして、排穀オーガ2の駆動によってグレンタンク13内の収穫籾が機外へ搬送排出される。
【0006】
蓄電池20の充電は、コンバインの任意の動力系に設けた発電機21とコンバインの任意の位置に設けた太陽電池22のいずれか一方又は両方から充電される。
請求項2に記載の発明は、前記電動モータ3による排穀オーガ2駆動時に、自動的にエンジン1を停止可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載のコンバインとしたものである。
【0007】
コンバインによる刈取作業等を停止した状態での排穀作業においては、電動モータ3の電動で排穀オーガ2が駆動されて、グレンタンク13内の収穫籾が排出される。このとき電動モータ3の駆動と共に、自動的にエンジン1の駆動が停止される。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明は、燃料消費を著しく低減することができ、環境に優しい作業を行うことができる。又、電動モータ3によって駆動される排穀オーガ2の排穀負荷は、比較的小さく負荷変動が少ないものであるから、電動モータ3による排穀駆動作用を安定して、円滑に行わせることができる。また、排穀作業時には、騒音も低減する。
【0009】
請求項2に記載の発明は、排穀作業時には、電動モータ3により排穀オーガ2を駆動することによって排穀すると共に、同時にコンバイン作業のエンジン1の駆動が自動的に停止される。このために、エンジン1を的確に停止して燃料消費の無駄を少なくすることができ、操作性を容易化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図例に基づいて、コンバイン車体4は、左右一対のクローラ5を配置し、この左右のクローラ5の駆動により走行することができる。車体4の前側には、刈刃装置18や、穀稈引起装置6、集送装置7等からなる多条刈形態の刈取装置8を設け、この後側に、該集送装置7から受継いだ穀稈をフィードチエン9で後方へ搬送しながら脱穀する脱穀装置10、及びこの脱穀済排稈を後方へ排出しながら切断処理する排稈カッター等の排稈処理装置11を設けている。又、該集送装置7の右手側部には運転席や、操縦装置等を覆うキャビン12を設ける。このコンバインを駆動するエンジン1は、このキャビン12内の運転席の下方部に搭載している。このキャビン12及びエンジン1の後側で、前記脱穀装置10の右手側にグレンタンク13を搭載して、脱穀装置10の揚穀機14から取り出される脱穀選別後の籾を収容する。前記エンジン1によって、クローラ5と、刈取装置8、脱穀装置10、及び排稈カッター11等を駆動するように連動構成している。
【0011】
又、前記グレンタンク13は、底部に収容籾を後方へ搬送する底部オーガ19と、この底部オーガ19の後端に搬出される籾を受けて揚穀する縦オーガ15、及びこの縦オーガ15の上端から受け継いだ籾を水平方向へ搬送する横オーガ16等からなる排穀オーガ2を構成している。この横オーガ16は縦オーガ15の周りに旋回可能に設けられ、先端部には排穀口17を形成する。これら各底部オーガ19、縦オーガ15、横オーガ16等の内部のオーガ(螺旋)部は電動モータ3によって連動駆動する構成としている。又、縦オーガ15部周りの横オーガ16の旋回や、この横オーガ16の伸縮等を、同電動モータ3によって連動駆動するように構成している。
【0012】
又、このような排穀オーガ2の連動を、エンジン1により駆動する連動構成の形態から、電動モータ3による連動構成に切替て伝動可能に構成することもできる。
ここにおいて、この発明に係る排穀駆動装置は、エンジン1の駆動によって作業走行するコンバインにおいて、収穫籾の排出を行う排穀オーガ2を電動モータ3によって駆動可能に設ける。コンバイン作業はエンジン1の駆動によって走行装置を伝動すると共に、刈取装置や、脱穀装置等を伝動して行う。そして、グレンタンク13に収穫された籾を機外へ取出すときは、該エンジン1による走行伝動や、刈取、脱穀伝動等を停止した状態にして、モータ3を電動することによって排穀オーガ2を駆動する。この排穀オーガ2の駆動によってグレンタンク13内の収穫籾が機外へ搬送排出することができる。
【0013】
又、前記電動モータ3による排穀オーガ2駆動時において、自動的にエンジン1を停止可能に構成している。コンバインによる刈取作業等を停止した状態での排穀作業においては、電動モータ3が駆動されて排穀オーガ2が駆動されて、グレンタンク13内の収穫籾が排出される。このとき、電動モータ3の電動と共に、自動的にエンジン1の駆動が停止されて、刈取走行や、脱穀作用等が停止される。
【0014】
この電動モータ3を電動するための蓄電池20は、前記脱穀装置10の扱胴内に設ける一体回転の発電機21の発電力を受けて蓄電される。この形態では、脱穀装置10の扱胴の脱穀負荷を検出するように構成して、この脱穀負荷が比較的小さいときに発電可能に構成することができる。又、発電機21はコンバインの任意の位置であって動力を取り出しできる部分であればどこでもよい。
【0015】
又、蓄電池20は、コンバインのキャビン12ルーフの上面等に、太陽電池22を配置して、この太陽電池22の発電力を受けて蓄電可能に構成しているが、太陽電池22についても、太陽光を受けられる部分であればどこでもよい。
【0016】
前記蓄電池(バッテリ)20を、エンジン1により発電機21を駆動することによって、インバータ23を解して充電するように構成したものである。このとき通常のコンバイン作業時Aは、インバータ23から蓄電池20を充電するが、前記籾排出用のモータ3は伝動しないで停止状態にするものである。又、この籾排出時Bは、エンジン1の停止によって、発電機21は発電しない状態にあるが、蓄電池20からインバータ23を介してモータ3を電動して、籾排出するようにしている。この籾排出作業後は自動的にエンジン1を始動させるように構成している。
【0017】
次に、主として図6に基づいて、前記脱穀装置10の扱胴24に発電機21を設けて充電すると共に、電動モータ25を設けて扱胴24駆動をアシストする形態において、脱穀負荷の軽い場合Cは、エンジン1によって扱胴24を駆動すると共に、発電機21を駆動するが、濡れ扱ぎ時のように脱穀負荷が重い場合Dは、該発電機21の駆動を停止して、蓄電池20によってモータ25を電動して扱胴24の駆動を補助する。軽負荷のときは扱胴24の回転で発電機21を充電状態にし、重負荷のときはモータ25で扱胴24の駆動を補助して脱穀性能を低下させないように維持するものである。
【0018】
次に、主として図7に基づいて、前記脱穀装置10の比較的軽負荷で、一定した回転状態の唐箕27を、電動モータ26で駆動するように構成して、前記扱胴24に設ける発電機21によって充電される蓄電池20を介して、このモータ26を電動して唐箕27を駆動するものである。
【0019】
次に、主として図8に基づいて、前記のようなハイブリッド用の電動モータ3、又は25、26をエンジン軸28上のモータ軸29に設け、このエンジン軸28上のプーリ30にはコンバイン動力伝動用出力ベルトを掛け渡すと共に、フライホイルウェイト31を取り付ける。このエンジン軸28とモータ軸29との間にはクラッチ32を設けており、動力を入り切りするように構成している。ラジエータファン33は、エンジン1のプーリ30等とは反対側の位置に設けている。このクラッチ32を設けることによって、電動モータ3、又は25、26等を使用しないときの付回りによる抵抗を抑制して軽快な伝動を維持することができる。
【0020】
又、このようなハイブリッド用のモータ3、25、又は26の駆動を、前記グレンタンク13内部の揚穀機14による籾投入力によって駆動するように構成することができる。又、前記排稈カッター11に代えて装着の排稈ドロッパーの排稈落下力によって駆動するように構成することもできる。
【0021】
次に、主として図9に基づいて、コンバインのミッションケースに設けるHST(油圧無断変速装置)34の入力軸35から電動モータ3等にわたってベルト35を掛けわたして、通常作業時Aは、このベルト35、モータ3、及びインバータ23を介して発電機21を駆動し、蓄電池20を充電するように構成している。そして、大きい作業負荷のかかる走行旋回時Bは、操作レバー等の操作によって旋回状態を検出して、エンジン1の回転を一定に維持するように電動モータ3によってアシストするものである。
【0022】
アシスト量グラフGによって、蓄電池20の充電状態に応じて、刈取作業時においてもモータ3によるアシストを行う。又、この刈取時は、蓄電池20の充電状態によりアシスト量(駆動力、乃至回転数)を変化させて、充電とアシストとのバランスを図る。電動モータ3によりアシストすることによって、瞬間的な負荷の増大に対して、十分なトルクを得ることができ、回転低下を防止することができる。
【0023】
このような形態において、蓄電池20の充電においてエンジン1の出力を用いて、エンジン1出力に余裕のある路上走行時や、籾排出時等に、充電期間を設定して集中的に行うことによって、作業負荷の小さい路上走行や籾排出時においても、排気ガス温度を触媒活性温度に近づけることができる。
【0024】
又、図10の形態は、全域において電動モータ3をHST34の出力軸側に連動連結したもので、瞬間的な大トルクであっても、ベルトのスリップによる伝動ロスをなくしてアシスト可能な構成とする。負荷のかかる旋回時は、操作レバーの動き等により旋回を検出して、エンジン1回転を一定に保つようにモータ3アシストする。又、充電状態に応じて、刈取時にもモータ3によるアシストを行う。
【0025】
次に、主として図11に基づいて、前記エンジン1によってトラクタ38等のHST34を駆動すると共に、蓄電池20によって伝動する電動モータ3でこのHST34をアシストするように構成した形態において、このエンジン1をアクセルペダル36と、アクセルレバー37とで操作可能に設け、アクセルレバー37の最大操作時に、アクセルペダル36を踏むとモータ3で駆動するように構成し、これ以外のときは蓄電池20を充電するように構成している。
【0026】
一時的な過負荷によるエンジン1回転が低下する場合、アクセルペダル36の操作により、作業領域まで回転が復帰するようにモータ3を補助駆動するものである。この電動モータ3の駆動は、消費電力等の観点から、回転低下が発生する場合の一時的な動力源とするものである。前記アクセルペダル36はステップフロア40に配置し、アクセルレバー37はステアリングハンドル41の横側に配置し、前記HST34を変速操作するHSTレバー39を運転席42の横側に配置している。
【0027】
43は前輪、44は後輪である。エンジン1の出力グラフにおいて、Lは、通常時のエンジン出力設定曲線、L1は、発明にかかるエンジン出力と、アクセルペダル36によるモータ3の出力とを加えた場合の出力曲線を示す。
【0028】
又、このモータ3のアシストは、回転の低下を検出するセンサー等によって低加速度や、低下量等を検出判断して、自動的に適切なモータ3アシストを行うように構成することもできる。
【0029】
次に、主として図13に基づいて、前記のようなハイブリッド形態のロータリ耕耘装置等の作業機において、作業状態を検出するセンサーを設け、作業機の負荷動作を事前に予測する。この予測に基づいて前記ハイブリッドモータの始動制御を開始するものである。例えば、車体に対して耕耘装置を昇降する昇降レバーの操作位置、メインクラッチの入り、切り状態等を検出するセンサーを設け、この検出に基づいてハイブリッドモータの始動制御を開始する。突然過大な負荷がかかる作業機の駆動開始時に即座にモーターアシストを行うことができ、トルクショックや、エンジンの回転低下を防止することができる。
【0030】
又、図14のように、作業機のエンジンブースト圧力や、吸気温度、エンジン温度を検出し、これによりエンジンの燃料噴射量を制限する。この噴射量が制限された分、モータアシスト力で補助する。このモータアシストは、作業の特定条件、例えば、作業開始直後において行う。突然過大な負荷がかかる作業機の駆動開始時や、寒冷時等においては、最大燃料噴射量を制限しないと、黒煙を排出する(スモークリミット)ことになるが、このスモーク排出を制限した上で、出力不足を回避することができ、モータアシスト制御の内容を作業機の状態と連動させることによって、予期しないモータの駆動を回避する。
【0031】
次に、主として図15に基づいて、田植機の苗植機にハイブリッドモータ3を設けたもので、走行部51をエンジン1で駆動し、植付部50をモータ3で駆動する形態としたものである。植付部50をモータ3駆動することによって特別なギヤボックスを無くして苗植付間隔を変更可能に構成することができ、重量の低減や、レイアウトの自由度を高めることができる。又、対地車速を検出する車速センサーを設けて、この車速センサー52の検出によってインバータ23、又は走行部51の駆動伝動を制御することによって、車輪のスリップ率が変化しても、一定間隔の苗植付を維持することができる。
【0032】
次に、主として図16に基づいて、エンジン1は発電機21を駆動することとし、走行部51及び植付部50をモータ3で駆動する構成とする。これによりエンジン1を一定回転で運転することにより振動、騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】コンバインのブロック図。
【図2】その排穀オーガ部のブロック図。
【図3】コンバインの側面図。
【図4】その平面図。
【図5】バッテリの充電形態を示すブロック図。
【図6】モータで扱胴を補助駆動する形態のブロック図。
【図7】モータで脱穀装置の唐箕部を補助駆動する形態のブロック図。
【図8】そのモータの連動形態を示すブロック図。
【図9】モータによるアシスト例を示すブロック図と、その制御グラフ。
【図10】その一部別例を示すブロック図と、その制御グラフ。
【図11】一部別例を示すHST駆動部のブロック図。
【図12】そのトラクタ部の平面図。
【図13】そのモータの始動制御を示すフローチャート。
【図14】そのモータのアシスト駆動を示すフローチャート。
【図15】田植機の苗植機のモータアシスト例を示すブロック図。
【図16】田植機の苗植機のモータアシスト例を示すブロック図。
【符号の説明】
【0034】
1 エンジン
2 排穀オーガ
3 電動 モータ
13 グレンタンク
20 蓄電池
21 発電機
22 太陽電池
【技術分野】
【0001】
この発明は、圃場内の植立穀稈を刈り取って脱穀選別する農業機械であるコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
走行車輪をエンジンにより駆動し、耕耘爪軸を電動モータによって駆動する伝動形態の技術(例えば、特許文献1参照)や、エンジンの余裕出力を利用して発電機を伝動してバッテリーを蓄電し、重負荷の作業時にはこのバッテリーにより電動モータを駆動して、エンジンによる駆動力をアシストする技術(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【特許文献1】特開2001−161104号公報(第2頁、図1)。
【特許文献2】特開2005−16389号公報(第3頁、図1)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コンバイン作業において、作業負荷の重、軽の状態を検出しながら、電動モータの駆動制御を行うことは、制御構成が煩雑であり、安定した伝動制御を維持し難いものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、エンジン1の駆動によって作業走行するコンバインにおいて、グレンタンク13に一時貯留している収穫籾の排出を行う排穀オーガ2を電動モータ3によって駆動可能に構成すると共に該電動モータ3を駆動するための蓄電池20を設け、コンバインの任意の動力系に設けた発電機21とコンバインの任意の位置に設けた太陽電池22のいずれか一方又は両方から前記蓄電池20に電力を供給して充電するように構成したことを特徴とするコンバインとしたものである。
【0005】
コンバイン作業はエンジン1の駆動によって走行装置を伝動すると共に、刈取装置や、脱穀装置等を駆動して行う。そして、グレンタンク13に収穫された籾を機外へ取り出すときは、エンジン1による走行伝動や、刈取、脱穀伝動等を停止した状態にして、蓄電池20からの電力供給を受けて電動モータ3を駆動することによって排穀オーガ2を駆動する。そして、排穀オーガ2の駆動によってグレンタンク13内の収穫籾が機外へ搬送排出される。
【0006】
蓄電池20の充電は、コンバインの任意の動力系に設けた発電機21とコンバインの任意の位置に設けた太陽電池22のいずれか一方又は両方から充電される。
請求項2に記載の発明は、前記電動モータ3による排穀オーガ2駆動時に、自動的にエンジン1を停止可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載のコンバインとしたものである。
【0007】
コンバインによる刈取作業等を停止した状態での排穀作業においては、電動モータ3の電動で排穀オーガ2が駆動されて、グレンタンク13内の収穫籾が排出される。このとき電動モータ3の駆動と共に、自動的にエンジン1の駆動が停止される。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明は、燃料消費を著しく低減することができ、環境に優しい作業を行うことができる。又、電動モータ3によって駆動される排穀オーガ2の排穀負荷は、比較的小さく負荷変動が少ないものであるから、電動モータ3による排穀駆動作用を安定して、円滑に行わせることができる。また、排穀作業時には、騒音も低減する。
【0009】
請求項2に記載の発明は、排穀作業時には、電動モータ3により排穀オーガ2を駆動することによって排穀すると共に、同時にコンバイン作業のエンジン1の駆動が自動的に停止される。このために、エンジン1を的確に停止して燃料消費の無駄を少なくすることができ、操作性を容易化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図例に基づいて、コンバイン車体4は、左右一対のクローラ5を配置し、この左右のクローラ5の駆動により走行することができる。車体4の前側には、刈刃装置18や、穀稈引起装置6、集送装置7等からなる多条刈形態の刈取装置8を設け、この後側に、該集送装置7から受継いだ穀稈をフィードチエン9で後方へ搬送しながら脱穀する脱穀装置10、及びこの脱穀済排稈を後方へ排出しながら切断処理する排稈カッター等の排稈処理装置11を設けている。又、該集送装置7の右手側部には運転席や、操縦装置等を覆うキャビン12を設ける。このコンバインを駆動するエンジン1は、このキャビン12内の運転席の下方部に搭載している。このキャビン12及びエンジン1の後側で、前記脱穀装置10の右手側にグレンタンク13を搭載して、脱穀装置10の揚穀機14から取り出される脱穀選別後の籾を収容する。前記エンジン1によって、クローラ5と、刈取装置8、脱穀装置10、及び排稈カッター11等を駆動するように連動構成している。
【0011】
又、前記グレンタンク13は、底部に収容籾を後方へ搬送する底部オーガ19と、この底部オーガ19の後端に搬出される籾を受けて揚穀する縦オーガ15、及びこの縦オーガ15の上端から受け継いだ籾を水平方向へ搬送する横オーガ16等からなる排穀オーガ2を構成している。この横オーガ16は縦オーガ15の周りに旋回可能に設けられ、先端部には排穀口17を形成する。これら各底部オーガ19、縦オーガ15、横オーガ16等の内部のオーガ(螺旋)部は電動モータ3によって連動駆動する構成としている。又、縦オーガ15部周りの横オーガ16の旋回や、この横オーガ16の伸縮等を、同電動モータ3によって連動駆動するように構成している。
【0012】
又、このような排穀オーガ2の連動を、エンジン1により駆動する連動構成の形態から、電動モータ3による連動構成に切替て伝動可能に構成することもできる。
ここにおいて、この発明に係る排穀駆動装置は、エンジン1の駆動によって作業走行するコンバインにおいて、収穫籾の排出を行う排穀オーガ2を電動モータ3によって駆動可能に設ける。コンバイン作業はエンジン1の駆動によって走行装置を伝動すると共に、刈取装置や、脱穀装置等を伝動して行う。そして、グレンタンク13に収穫された籾を機外へ取出すときは、該エンジン1による走行伝動や、刈取、脱穀伝動等を停止した状態にして、モータ3を電動することによって排穀オーガ2を駆動する。この排穀オーガ2の駆動によってグレンタンク13内の収穫籾が機外へ搬送排出することができる。
【0013】
又、前記電動モータ3による排穀オーガ2駆動時において、自動的にエンジン1を停止可能に構成している。コンバインによる刈取作業等を停止した状態での排穀作業においては、電動モータ3が駆動されて排穀オーガ2が駆動されて、グレンタンク13内の収穫籾が排出される。このとき、電動モータ3の電動と共に、自動的にエンジン1の駆動が停止されて、刈取走行や、脱穀作用等が停止される。
【0014】
この電動モータ3を電動するための蓄電池20は、前記脱穀装置10の扱胴内に設ける一体回転の発電機21の発電力を受けて蓄電される。この形態では、脱穀装置10の扱胴の脱穀負荷を検出するように構成して、この脱穀負荷が比較的小さいときに発電可能に構成することができる。又、発電機21はコンバインの任意の位置であって動力を取り出しできる部分であればどこでもよい。
【0015】
又、蓄電池20は、コンバインのキャビン12ルーフの上面等に、太陽電池22を配置して、この太陽電池22の発電力を受けて蓄電可能に構成しているが、太陽電池22についても、太陽光を受けられる部分であればどこでもよい。
【0016】
前記蓄電池(バッテリ)20を、エンジン1により発電機21を駆動することによって、インバータ23を解して充電するように構成したものである。このとき通常のコンバイン作業時Aは、インバータ23から蓄電池20を充電するが、前記籾排出用のモータ3は伝動しないで停止状態にするものである。又、この籾排出時Bは、エンジン1の停止によって、発電機21は発電しない状態にあるが、蓄電池20からインバータ23を介してモータ3を電動して、籾排出するようにしている。この籾排出作業後は自動的にエンジン1を始動させるように構成している。
【0017】
次に、主として図6に基づいて、前記脱穀装置10の扱胴24に発電機21を設けて充電すると共に、電動モータ25を設けて扱胴24駆動をアシストする形態において、脱穀負荷の軽い場合Cは、エンジン1によって扱胴24を駆動すると共に、発電機21を駆動するが、濡れ扱ぎ時のように脱穀負荷が重い場合Dは、該発電機21の駆動を停止して、蓄電池20によってモータ25を電動して扱胴24の駆動を補助する。軽負荷のときは扱胴24の回転で発電機21を充電状態にし、重負荷のときはモータ25で扱胴24の駆動を補助して脱穀性能を低下させないように維持するものである。
【0018】
次に、主として図7に基づいて、前記脱穀装置10の比較的軽負荷で、一定した回転状態の唐箕27を、電動モータ26で駆動するように構成して、前記扱胴24に設ける発電機21によって充電される蓄電池20を介して、このモータ26を電動して唐箕27を駆動するものである。
【0019】
次に、主として図8に基づいて、前記のようなハイブリッド用の電動モータ3、又は25、26をエンジン軸28上のモータ軸29に設け、このエンジン軸28上のプーリ30にはコンバイン動力伝動用出力ベルトを掛け渡すと共に、フライホイルウェイト31を取り付ける。このエンジン軸28とモータ軸29との間にはクラッチ32を設けており、動力を入り切りするように構成している。ラジエータファン33は、エンジン1のプーリ30等とは反対側の位置に設けている。このクラッチ32を設けることによって、電動モータ3、又は25、26等を使用しないときの付回りによる抵抗を抑制して軽快な伝動を維持することができる。
【0020】
又、このようなハイブリッド用のモータ3、25、又は26の駆動を、前記グレンタンク13内部の揚穀機14による籾投入力によって駆動するように構成することができる。又、前記排稈カッター11に代えて装着の排稈ドロッパーの排稈落下力によって駆動するように構成することもできる。
【0021】
次に、主として図9に基づいて、コンバインのミッションケースに設けるHST(油圧無断変速装置)34の入力軸35から電動モータ3等にわたってベルト35を掛けわたして、通常作業時Aは、このベルト35、モータ3、及びインバータ23を介して発電機21を駆動し、蓄電池20を充電するように構成している。そして、大きい作業負荷のかかる走行旋回時Bは、操作レバー等の操作によって旋回状態を検出して、エンジン1の回転を一定に維持するように電動モータ3によってアシストするものである。
【0022】
アシスト量グラフGによって、蓄電池20の充電状態に応じて、刈取作業時においてもモータ3によるアシストを行う。又、この刈取時は、蓄電池20の充電状態によりアシスト量(駆動力、乃至回転数)を変化させて、充電とアシストとのバランスを図る。電動モータ3によりアシストすることによって、瞬間的な負荷の増大に対して、十分なトルクを得ることができ、回転低下を防止することができる。
【0023】
このような形態において、蓄電池20の充電においてエンジン1の出力を用いて、エンジン1出力に余裕のある路上走行時や、籾排出時等に、充電期間を設定して集中的に行うことによって、作業負荷の小さい路上走行や籾排出時においても、排気ガス温度を触媒活性温度に近づけることができる。
【0024】
又、図10の形態は、全域において電動モータ3をHST34の出力軸側に連動連結したもので、瞬間的な大トルクであっても、ベルトのスリップによる伝動ロスをなくしてアシスト可能な構成とする。負荷のかかる旋回時は、操作レバーの動き等により旋回を検出して、エンジン1回転を一定に保つようにモータ3アシストする。又、充電状態に応じて、刈取時にもモータ3によるアシストを行う。
【0025】
次に、主として図11に基づいて、前記エンジン1によってトラクタ38等のHST34を駆動すると共に、蓄電池20によって伝動する電動モータ3でこのHST34をアシストするように構成した形態において、このエンジン1をアクセルペダル36と、アクセルレバー37とで操作可能に設け、アクセルレバー37の最大操作時に、アクセルペダル36を踏むとモータ3で駆動するように構成し、これ以外のときは蓄電池20を充電するように構成している。
【0026】
一時的な過負荷によるエンジン1回転が低下する場合、アクセルペダル36の操作により、作業領域まで回転が復帰するようにモータ3を補助駆動するものである。この電動モータ3の駆動は、消費電力等の観点から、回転低下が発生する場合の一時的な動力源とするものである。前記アクセルペダル36はステップフロア40に配置し、アクセルレバー37はステアリングハンドル41の横側に配置し、前記HST34を変速操作するHSTレバー39を運転席42の横側に配置している。
【0027】
43は前輪、44は後輪である。エンジン1の出力グラフにおいて、Lは、通常時のエンジン出力設定曲線、L1は、発明にかかるエンジン出力と、アクセルペダル36によるモータ3の出力とを加えた場合の出力曲線を示す。
【0028】
又、このモータ3のアシストは、回転の低下を検出するセンサー等によって低加速度や、低下量等を検出判断して、自動的に適切なモータ3アシストを行うように構成することもできる。
【0029】
次に、主として図13に基づいて、前記のようなハイブリッド形態のロータリ耕耘装置等の作業機において、作業状態を検出するセンサーを設け、作業機の負荷動作を事前に予測する。この予測に基づいて前記ハイブリッドモータの始動制御を開始するものである。例えば、車体に対して耕耘装置を昇降する昇降レバーの操作位置、メインクラッチの入り、切り状態等を検出するセンサーを設け、この検出に基づいてハイブリッドモータの始動制御を開始する。突然過大な負荷がかかる作業機の駆動開始時に即座にモーターアシストを行うことができ、トルクショックや、エンジンの回転低下を防止することができる。
【0030】
又、図14のように、作業機のエンジンブースト圧力や、吸気温度、エンジン温度を検出し、これによりエンジンの燃料噴射量を制限する。この噴射量が制限された分、モータアシスト力で補助する。このモータアシストは、作業の特定条件、例えば、作業開始直後において行う。突然過大な負荷がかかる作業機の駆動開始時や、寒冷時等においては、最大燃料噴射量を制限しないと、黒煙を排出する(スモークリミット)ことになるが、このスモーク排出を制限した上で、出力不足を回避することができ、モータアシスト制御の内容を作業機の状態と連動させることによって、予期しないモータの駆動を回避する。
【0031】
次に、主として図15に基づいて、田植機の苗植機にハイブリッドモータ3を設けたもので、走行部51をエンジン1で駆動し、植付部50をモータ3で駆動する形態としたものである。植付部50をモータ3駆動することによって特別なギヤボックスを無くして苗植付間隔を変更可能に構成することができ、重量の低減や、レイアウトの自由度を高めることができる。又、対地車速を検出する車速センサーを設けて、この車速センサー52の検出によってインバータ23、又は走行部51の駆動伝動を制御することによって、車輪のスリップ率が変化しても、一定間隔の苗植付を維持することができる。
【0032】
次に、主として図16に基づいて、エンジン1は発電機21を駆動することとし、走行部51及び植付部50をモータ3で駆動する構成とする。これによりエンジン1を一定回転で運転することにより振動、騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】コンバインのブロック図。
【図2】その排穀オーガ部のブロック図。
【図3】コンバインの側面図。
【図4】その平面図。
【図5】バッテリの充電形態を示すブロック図。
【図6】モータで扱胴を補助駆動する形態のブロック図。
【図7】モータで脱穀装置の唐箕部を補助駆動する形態のブロック図。
【図8】そのモータの連動形態を示すブロック図。
【図9】モータによるアシスト例を示すブロック図と、その制御グラフ。
【図10】その一部別例を示すブロック図と、その制御グラフ。
【図11】一部別例を示すHST駆動部のブロック図。
【図12】そのトラクタ部の平面図。
【図13】そのモータの始動制御を示すフローチャート。
【図14】そのモータのアシスト駆動を示すフローチャート。
【図15】田植機の苗植機のモータアシスト例を示すブロック図。
【図16】田植機の苗植機のモータアシスト例を示すブロック図。
【符号の説明】
【0034】
1 エンジン
2 排穀オーガ
3 電動 モータ
13 グレンタンク
20 蓄電池
21 発電機
22 太陽電池
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(1)の駆動によって作業走行するコンバインにおいて、グレンタンク(13)に一時貯留している収穫籾の排出を行う排穀オーガ(2)を電動モータ(3)によって駆動可能に構成すると共に該電動モータ(3)を駆動するための蓄電池(20)を設け、コンバインの任意の動力系に設けた発電機(21)とコンバインの任意の位置に設けた太陽電池(22)のいずれか一方又は両方から前記蓄電池(20)に電力を供給して充電するように構成したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記電動モータ(3)による排穀オーガ(2)駆動時に、自動的にエンジン(1)を停止可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項1】
エンジン(1)の駆動によって作業走行するコンバインにおいて、グレンタンク(13)に一時貯留している収穫籾の排出を行う排穀オーガ(2)を電動モータ(3)によって駆動可能に構成すると共に該電動モータ(3)を駆動するための蓄電池(20)を設け、コンバインの任意の動力系に設けた発電機(21)とコンバインの任意の位置に設けた太陽電池(22)のいずれか一方又は両方から前記蓄電池(20)に電力を供給して充電するように構成したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記電動モータ(3)による排穀オーガ(2)駆動時に、自動的にエンジン(1)を停止可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−206467(P2008−206467A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−47449(P2007−47449)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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