説明

コンバイン

【課題】簡易な構造で排藁ガイド棒が伸縮可能なコンバインを提供することを目的とする。
【解決手段】脱穀部5の後部に排藁搬送装置36を備え、排藁搬送装置36の排藁チェーン34の下側に、排藁ガイド棒37が伸縮可能に構成され、排藁を切断と非切断とに切換可能とされるコンバイン100において、排藁ガイド棒37に連結され、排藁ガイド棒37を伸縮可能とする第一ワイヤ42と、操作レバー43に連結され、第一ワイヤ42を移動させる第二ワイヤ44と、を備え、第一ワイヤ42と第二ワイヤ44とは、二連プーリ45(第一、第二プーリ46、47)の二つの溝にそれぞれ巻回されて、連動可能とされるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀部の後部に排藁搬送装置を備え、該排藁搬送装置の排藁チェーンの下側に、排藁ガイド棒が伸縮可能に構成され、排藁を切断と非切断とに切換可能とされるコンバインの技術に関し、より詳細には、排藁ガイド棒を伸縮可能に構成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脱穀部の後部に排藁搬送装置を備え、該排藁搬送装置の排藁チェーンの下側に、排藁ガイド棒が伸縮可能に構成され、排藁を切断と非切断とに切換可能とされるコンバインの技術は公知となっている。
例えば、特許文献1には、突起付きのチェーンと、このチェーンの下側に沿って対向配置され、且つ、伸縮自在なガイドレールとを備えて、茎稈を前記チェーンとガイドレールとの間で挟持しながら搬送する茎稈搬送装置であって、前記ガイドレールの伸張操作用及び収縮操作用のワイヤをプーリーに巻回すると共に、操作レバーの操作ストロークを機械的に増幅して前記プーリーを回動操作する増幅連係機構を設けて、操作レバーによりガイドレールを伸縮操作自在に連係してある茎稈搬送装置が開示されている。
【特許文献1】実開平2−17047号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に開示されている茎稈搬送装置は、操作レバーの操作ストロークを増幅してガイドレールに伝達できるようになって、操作レバーの操作ストロークが小さくても支障なくガイドレールを伸縮操作できるようになり操作性の向上を図ることができるものであるが、操作レバーの操作ストロークを機械的に増幅して前記プーリを回動操作する増幅連係機構を設けるため、構造が複雑となる。
【0004】
本発明は以上の状況に鑑み、簡易な構造で排藁ガイド棒が伸縮可能なコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上のとおりであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
すなわち、請求項1においては、
脱穀部の後部に排藁搬送装置を備え、
該排藁搬送装置の排藁チェーンの下側に、排藁ガイド棒が伸縮可能に構成され、
排藁を切断と非切断とに切換可能とされるコンバインにおいて、
前記排藁ガイド棒に連結され、該排藁ガイド棒を伸縮可能とする第一ワイヤと、
操作レバーに連結され、該第一ワイヤを移動させる第二ワイヤと、を備え、
該第一ワイヤと第二ワイヤとは、二連プーリの二つの溝にそれぞれ巻回されて、連動可能とされる、ものである。
【0007】
請求項2においては、
前記排藁ガイド棒は、ガイド棒ケースに摺動可能に内挿され、該ガイド棒ケース内に回転自在に支持される複数のローラと、ガイド棒ケースとによって挟持される、ものである。
【0008】
請求項3においては、
前記二連プーリは、前記排藁ガイド棒を排藁の切断位置及び非切断位置に位置決めする位置決め手段を備える、ものである。
【0009】
請求項4においては、
前記第二ワイヤは、バネを介して前記操作レバーに連結される、ものである。
【0010】
請求項5においては、
前記二連プーリは、前記脱穀部の後面に配設される、ものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
請求項1においては、
二本のワイヤと二連プーリとによる簡易な構成で、操作レバーの操作により排藁ガイド棒が伸縮されるため、排藁の落下位置や排藁カッタ、結束機、集束機等の作業状況に応じて、排藁ガイド棒の長さを設定できる。
【0013】
請求項2においては、
排藁ガイド棒が複数のローラとガイド棒ケースとによって挟持されることにより、排藁ガイド棒の先端が下がり難いため、排藁チェーンと排藁ガイド棒との排藁の挟扼力が向上される。これにより、例えば、排藁が十分に挟扼されずに途中で落下したり、結束機との受け継ぎが悪くなったりすることがない。
また、ローラの回転により、排藁ガイド棒が滑らかに摺動されて、伸縮される。
【0014】
請求項3においては、
操作レバー側のストローク誤差の影響を受けることなく、排藁ガイド棒を排藁の切断位置及び非切断位置に確実かつ容易に位置決めできる。
【0015】
請求項4においては、
ワイヤのストローク誤差を吸収でき、排藁ガイド棒を排藁の切断位置及び非切断位置に確実かつ容易に位置決めできる。
【0016】
請求項5においては、
二連プーリが塵埃の影響が少ない脱穀部の後面に配設されるため、塵埃による第一、第二のワイヤの動きの低下が発生し難い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係るコンバインを示した側面図、図2は同じく平面図、図3は同じく背面図、図4は排藁ガイド棒と二連プーリ、操作レバーの関係を示した図、図5は排藁ガイド棒と二連プーリの関係を示した図、図6は図5におけるA―A’断面図、図7は操作レバーを示した平面図である。
【0018】
先ず、本発明の一実施例に係るコンバイン100の全体構成について、図1から図4を用いて説明する。説明する。
なお、以下の説明では、走行機体1の進行方向に向かって左側を単に「左側」とし、同じく進行方向に向かって右側を単に「右側」とする。また、本実施例では、二条刈りのコンバインについて説明するが、三条刈り以上のコンバインであってもよい。
【0019】
図1から図3に示すように、コンバイン100は、左右一対の走行クローラ2によって走行機体1が支持されており、この走行機体1の前部には、穀稈を刈り取りながら取り込む刈取部3が昇降調節可能に装着されている。走行機体1の左側には、刈り取られた穀稈を脱穀、選別する脱穀部5が配設され、走行機体1の右側には、脱穀後の穀粒を貯留する穀粒タンク7が、脱穀部5と横並びに配設されている。走行機体1の後部には、排出オーガ8が旋回可能に設けられており、穀粒タンク7の内部の穀粒が、排出オーガ8の籾投げ口9からトラックの荷台またはコンテナ等に排出されるように構成されている。そして、穀粒タンク7の前方には、運転部10が配設されている。
【0020】
運転部10には、オペレータが搭乗するステップ11と、このステップ11上のハンドルコラム12に設けられた略U形の操縦ハンドル13と、この操縦ハンドル13の後方に設けられた運転座席14と、この運転座席14の左側方のサイドコラム15に設けられた主変速レバー16と副変速レバー17と刈取クラッチレバー18と刈取変速レバー19とが配設されている。そして、運転座席14の下方には、コンバイン100自体の走行や後述するフィードチェーン6を駆動するための動力源となるエンジン20が配設されている。
【0021】
また、刈取部3下部の刈取フレーム21の下方には、圃場の未刈り穀稈の株元を切断する刈刃装置(図示省略)が配設されている。刈取部3前部の刈取フレーム21の前方には、圃場の未刈り穀稈を引き起こす2条分の引起装置23が配設されている。引起装置23とフィードチェーン6の前端部(送り始端側)との間には、刈刃装置22によって刈り取られた穀稈をフィードチェーン6へと搬送する穀稈搬送装置24が配設されている。引起装置23下部の刈取フレーム21の前端には、圃場の未刈り穀稈を分草する分草体25が突設されている。
【0022】
このような構成として、コンバイン100は、エンジン20にて走行クローラ2を駆動して圃場内を移動しながら、刈取部3を駆動して圃場の未刈り穀稈を連続的に刈り取ることができる。
【0023】
また、脱穀部5は、穀稈脱穀用の扱胴26と、扱胴26の下方に落下する脱粒物を選別する揺動選別装置27及び唐箕ファン28と、扱胴26の後部から取り出される脱穀排出物を再処理する処理胴29と、揺動選別装置27後部で藁屑や塵埃等を排出する排塵ファン30とを備えている。そして、脱穀部5は、刈取部3から穀稈搬送装置24によって搬送された穀稈の株元側が、フィードチェーン6に受け継がれて後方へと挟持搬送されて、穀稈の穂先側が扱胴26内に搬入されて扱胴26にて脱穀され、揺動選別装置27による揺動選別と、唐箕ファン28による風選別とが行われ、一番物と二番物と藁屑等に分別されるように構成されている。
【0024】
そして、脱穀部5の後部には、排藁搬送装置36を備え、この排藁搬送装置36の排藁チェーン34(無端チェーン)の下側に、排藁ガイド棒37が伸縮可能に構成され、排藁を「切断」と「非切断」とに切換可能とされている。
図4に示すように、排藁チェーン34は、駆動スプロケット31とローラ(従動スプロケット)33とテンションスプロケットに巻回され、フィードチェーン6の後端側(送り終端側)に配設されている。駆動スプロケット31は、駆動スプロケット軸32上の一端(後端)に固設されている。駆動スプロケット軸32は、他端(右端)からベベルギア(図示省略)等を介して、エンジン20からの動力が伝達されている扱胴26の扱胴軸(図示省略)と動力伝達可能とされている。
そして、フィードチェーン6の後端側から排藁チェーン34に受け継がれた排藁(穀粒が脱粒された稈)は、排藁ガイド棒37が伸長されて、排藁排出口51から長い状態のまま走行機体1の後方に排出されるか、または、排藁ガイド棒37が縮小されて、脱穀部5の後方に配設された排藁カッタ35にて適宜長さに短く切断された後、排藁排出口51から走行機体1の後方下方に排出されるように構成されている。
【0025】
次に、排藁ガイド棒37を伸縮可能とする構成について、図4から図7を用いて説明する。
図4から図6に示すように、排藁ガイド棒37は、断面形状が略円形に形成された棒状部材であって(図6参照)、排藁チェーン34の下側に対向して配設されているガイド棒ケース38に長手方向(搬送方向)に摺動可能に内挿され、軸心が排藁チェーン34の巻回方向と略平行となるように配設されている。
【0026】
ガイド棒ケース38は、排藁ガイド棒37を摺動可能に内挿する部材であって、長手方向の長さが排藁ガイド棒37の軸長と略同一長さに形成され(図4参照)、搬送上流側の下部に配設されている。ガイド棒ケース38は、断面形状が略逆U字状に形成され(図6参照)、このU字状の内面に沿って排藁ガイド棒37が摺動可能に内挿されている。そして、ガイド棒ケース38は、短手(幅)方向の長さが排藁チェーン34を構成する両側のプレート34a・34aの間隔よりも短く形成されて、排藁チェーン34の下側のプレート34a・34a間に配設されている。
そして、ガイド棒ケース38内の後部(図4及び図5において紙面右側)には、第一、第二ローラ40、41が、それぞれ第一、第二ローラ軸40a、41aを介して回転自在に支持されている。
【0027】
第一、第二ローラ40、41は、ガイド棒ケース38内の後部に長手方向に所定の間隔で配設されている(図4及び図5参照)。前記排藁ガイド棒37は、ガイド棒ケース38に内挿されて、この二つの第一、第二ローラ40、41とガイド棒ケース38の内面によって挟持されるように支持されている(図6参照)。
【0028】
そして、脱穀部5の後面(後面右側)には、図4及び図5に示すように、同一回動軸上に固設される大径の第一プーリ46と、小径の第二プーリ47とを備える二連プーリ45が配設されている(図3参照)。
具体的には、図3に示すように、二連プーリ45は、脱穀部5の後板(本機後面)とカッタカバー52との間であって、四番樋51の下方に回転軸が前後方向となるように配設され、脱穀部5の後板(本機後面)と平行となるようにコンパクトに配設されている。すなわち、二連プーリ45は、前方、後方、上方がそれぞれ脱穀部5の後板(本機後面)とカッタカバー52と四番樋51とに囲まれた空間に配設されている。
二連プーリ45は、第一プーリ46の表面(後面)に、第二プーリ47が同軸上に配設されている。第一、第二プーリ46、47の溝には、それぞれ第一、第二ワイヤ42、44が巻回されている。
そして、第一、第二ワイヤ42、44は、二連プーリ45を介して連動可能に構成されている。
【0029】
図4及び図5に示すように、第一ワイヤ42は、第一プーリ46に巻回されて一度交差され、一端が第一ローラ40(第一ローラ軸40a)に巻回されて、排藁ガイド棒37の後端に固定され、他端が第一ローラ40(第一ローラ軸40a)に巻回されて、排藁ガイド棒37の前端に固定されている。
第二ワイヤ44は、第二プーリ47に巻回され、一度交差されて両端が操作レバー43に連結されている。
【0030】
図1から図3に示すように、排藁を「切断」と「非切断」とに切り換えるための操作レバー43は、運転座席14の左後方(穀粒タンク7の左前方)に配設されており、ステップ11に乗った状態で操作レバー43を回動操作して、所定の回動位置(図4及び図7に示す後述する「伸長位置P1」、「縮長位置P2」)で保持できるように構成されている。
図4に示すように、操作レバー43は、下部に設けられているレバー回動軸43aを回動軸として、前後方向に回動可能に構成されている。そして、操作レバー43の下端には、前記第二ワイヤ44の一端がバネ44aを介して連結され、操作レバー43の中途部であって、レバー回動軸43aを中心として操作レバー43の下端と略同一半径軌跡上に、第二ワイヤ44の他端がバネ44bを介して連結されている。また、操作レバー43は、前記排藁カッタ35の上方を覆うカバーを開閉回動するためのワイヤ(図示省略)と連結されている。
そして、図7に示すように、操作レバー43は、前後方向に回動されると、操作レバー基部49のガイド溝48に沿って案内されるように構成されている。
【0031】
図4及び図7に示すように、ガイド溝48は、操作レバー基部49に前後方向に開口されており、前後端部には、それぞれ操作レバー43が係止される係止部48a、48bが形成されている。
すなわち、操作レバー43は、後方向に回動されると、ガイド溝48に沿って案内されて、ガイド溝48後端の係止部48aに係止される。一方、操作レバー43は、前方向に回動されると、ガイド溝48に沿って案内されて、ガイド溝48前端の係止部48bに係止される。
ここで、前記操作レバー43が係止部48aに係止された状態を「縮長位置P1」、操作レバー43が係止部48bに係止された状態を「伸長位置P2」とする。
【0032】
このような構成により、排藁ガイド棒37は、排藁の「非切断」と「切断」とに応じて、次のようにして「伸長位置P2」と「縮長位置P1」とに切り換えられる。
【0033】
先ず、排藁を切断せずに排出させる場合は、操作レバー43を前方向に回動(図4において時計回り)させて、係止部48bに係止させ、「伸長位置P2」(図4及び図7に示す二点鎖線)とする。
操作レバー43が「伸長位置P2」とされると、図4及び図5に示すように、操作レバー43の中途部にバネ44bを介して連結されている第二ワイヤ44の他端が引っ張られ(図5において紙面右方向)、操作レバー43の下端にバネ44aを介して連結されている第二ワイヤ44の一端が引っ張られ(図5において紙面左方向)、第二ワイヤ44が巻回されている二連プーリ45の第二プーリ47、及び第一プーリ46が回動(図5において反時計回り)される。
すなわち、操作レバー43の時計回りの回動方向が、交差する第二ワイヤ44を介して、反時計回りに変換されて、二連プーリ45が回動される。
【0034】
そして、第一プーリ46が回動(図5において反時計回り)されると、第一プーリ46及び第一ローラ40(第一ローラ軸40a)に巻回されている第一ワイヤ42が移動される。
すなわち、第一プーリ46が回動(図5において反時計回り)されることにより、排藁ガイド棒37の後端に固定されている第一ワイヤ42が引っ張られる(図5に示す黒矢印)。
第一ワイヤ42が引っ張られると、排藁ガイド棒37が第一、第二ローラ40、41上を摺動されて、ガイド棒ケース38から送り出されて(図5において紙面右方向)、ガイド棒ケース38から排藁チェーン34の後端側(送り終端側)まで突出された状態「伸長位置P2」(図4及び図5に示す二点鎖線)とされる。
【0035】
次に、排藁を切断して排出させる場合は、操作レバー43を後方向に回動(図4において反時計回り)させて、操作レバー43を係止部48aに係止させ、「縮長位置P1」(図4及び図7に示す実線)とする。
操作レバー43が「縮長位置P1」とされると、上記と反対の動作により、排藁ガイド棒37の前端に固定されている第一ワイヤ42が引っ張られて、突出された状態の排藁ガイド棒37が引き戻されて、ガイド棒ケース38に内挿された状態「縮長位置P1」(図4及び図5に示す実線)とされる。
【0036】
このように、操作レバー43を操作するストロークは、係止部48a、48bの間の短い距離であるが、半径の異なる二連プーリを第二ワイヤ44により回動することで、第一ワイヤ42の引き距離を長くして、ギヤ等の減速手段を設けることなく、簡単な構成で排藁ガイド棒37を所定長さ伸縮させることができる。
【0037】
ここで、二連プーリ45は、排藁ガイド棒37を排藁の切断位置である「縮長位置P1」及び非切断位置である「伸長位置P2」に位置決めする位置決め手段を備えている。
具体的には、図5に示すように、前記二連プーリ45の第一プーリ46の裏面(前面)には、ボルトやピン等で構成した第一、第二ストッパ46a、46bが突設されているとともに、脱穀部5の後面(二連プーリ45の取付板)には、この第一、第二ストッパ46a、46bが当接するストッパ片46cが、この第一、第二ストッパ46a、46bと同一半径軌跡上に突設されている。
第一、第二ストッパボルト46a、46bは、第一プーリ46の裏面(前面)に前記二連プーリ45の回動軸を中心として略同一半径軌跡上に設けられており、排藁ガイド棒37が「縮長位置P1」の状態においては、第一ストッパボルト46aがストッパ片46cの上面に当接し、排藁ガイド棒37が「伸長位置P2」の状態においては、第二ストッパボルト46bがストッパ片46cの下面に当接するように配設されている。
すなわち、排藁ガイド棒37が「伸長位置P2」とされる場合、前述のように、二連プーリ45が図5において反時計回りに回動されるが、この場合、第二ストッパボルト46bがストッパ片46cの下面に当接すると、排藁ガイド棒37が「伸長位置P2」に位置決めされるように構成されている。一方、排藁ガイド棒37が「縮長位置P1」とされる場合、二連プーリ45が図5において時計回りに回動されて、第一ストッパボルト46aがストッパ片46cの上面に当接すると、排藁ガイド棒37が「縮長位置P1」に位置決めされるように構成されている。
このような構成により、排藁ガイド棒37を「縮長位置P1」及び「伸長位置P2」に確実かつ容易に位置決めできる。
【0038】
また、前述のように、前記第二ワイヤ44は、バネ44a、44bを介して操作レバー43に連結されるバネ付きワイヤとされ(図4参照)、緩やかな引張力が作用しているため第二ワイヤ44が弛むことがない。このため、ワイヤの弛みにより二連プーリ45が所定の位置(上記第一、第二ストッパボルト46a、46bがストッパ片46cに当接される位置)まで回動されないといったことがなく、操作レバー43を回動操作することにより、第二ワイヤ44を介して確実に二連プーリ45を上記所定の位置まで確実に回動させ、排藁ガイド棒37を「縮長位置P1」及び「伸長位置P2」に確実かつ容易に位置決めできる。
【0039】
なお、本実施例においては、操作レバー基部49のガイド溝48の係止部48a、48bは二箇所であるが、係止部の個数及び形状等は限定するものではない。
また、操作レバー基部49のガイド溝48は、前後方向に配置されるものであるが、左右方向、上下方向等であってもよい。
また、操作レバー43は、手動ではなく、モータ等を用いて回動する構成であってもよい。
【0040】
以上のように、コンバイン100は、脱穀部5の後部に排藁搬送装置36を備え、排藁搬送装置36の排藁チェーン34の下側に、排藁ガイド棒37が伸縮可能に構成され、排藁を切断と非切断とに切換可能とされるコンバイン100において、排藁ガイド棒37に連結され、排藁ガイド棒37を伸縮可能とする第一ワイヤ42と、操作レバー43に連結され、第一ワイヤ42を移動させる第二ワイヤ44と、を備え、第一ワイヤ42と第二ワイヤ44とは、二連プーリ45(第一、第二プーリ46、47)の二つの溝にそれぞれ巻回されて、連動可能とされるものである。
このような構成により、二本の第一、第二ワイヤ42、44と二連プーリ45とによる簡易な構成で、操作レバー43の操作により排藁ガイド棒37が伸縮されるため、排藁の落下位置や排藁カッタ、結束機、集束機等の作業状況に応じて、排藁ガイド棒37の長さを設定できる。
【0041】
そして、排藁ガイド棒37は、ガイド棒ケース38に摺動可能に内挿され、ガイド棒ケース38内に回転自在に支持される第一、第二ローラ40、41と、ガイド棒ケース38とによって挟持されるものである。
このような構成により、排藁ガイド棒37が第一、第二ローラ40、41とガイド棒ケース38とによって挟持されることにより、排藁ガイド棒37の先端が下がり難いため、排藁チェーン34と排藁ガイド棒37との排藁の挟扼力が向上される。これにより、例えば、排藁が十分に挟扼されずに途中で落下したり、結束機との受け継ぎが悪くなったりすることがない。また、第一、第二ローラ40、41の回転により、排藁ガイド棒37が滑らかに摺動されて、伸縮される。
【0042】
また、二連プーリ45は、排藁ガイド棒37を排藁の切断位置(「縮長位置P2」)及び非切断位置(「伸長位置P1」)に位置決めする位置決め手段を備えるものであるため、操作レバー43側のストローク誤差の影響を受けることなく、排藁ガイド棒37を排藁の切断位置及び非切断位置に確実かつ容易に位置決めできる。
【0043】
そして、第二ワイヤ44は、バネ44a、44bを介して操作レバー43に連結されるものであるため、第二ワイヤ44のストローク誤差を吸収でき、排藁ガイド棒37を排藁の切断位置(「縮長位置P2」)及び非切断位置(「伸長位置P1」)に確実かつ容易に位置決めできる。
【0044】
また、二連プーリ45は、塵埃の影響が少ない脱穀部5の後面に配設されるため、塵埃による第一、第二ワイヤ42、44の動きの低下が発生し難い。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施例に係るコンバインを示した側面図。
【図2】同じく平面図。
【図3】同じく背面図。
【図4】排藁ガイド棒と二連プーリ、操作レバーの関係を示した図。
【図5】排藁ガイド棒と二連プーリの関係を示した図。
【図6】図5におけるA―A’断面図。
【図7】操作レバーを示した平面図。
【符号の説明】
【0046】
5 脱穀部
34 排藁チェーン
36 排藁搬送装置
37 排藁ガイド棒
42 第一ワイヤ
43 操作レバー
44 第二ワイヤ
45 二連プーリ
46 第一プーリ
47 第二プーリ
100 コンバイン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀部の後部に排藁搬送装置を備え、
該排藁搬送装置の排藁チェーンの下側に、排藁ガイド棒が伸縮可能に構成され、
排藁を切断と非切断とに切換可能とされるコンバインにおいて、
前記排藁ガイド棒に連結され、該排藁ガイド棒を伸縮可能とする第一ワイヤと、
操作レバーに連結され、該第一ワイヤを移動させる第二ワイヤと、を備え、
該第一ワイヤと第二ワイヤとは、二連プーリの二つの溝にそれぞれ巻回されて、連動可能とされる、
ことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記排藁ガイド棒は、ガイド棒ケースに摺動可能に内挿され、該ガイド棒ケース内に回転自在に支持される複数のローラと、ガイド棒ケースとによって挟持される、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記二連プーリは、前記排藁ガイド棒を排藁の切断位置及び非切断位置に位置決めする位置決め手段を備える、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記第二ワイヤは、バネを介して前記操作レバーに連結される、
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記二連プーリは、前記脱穀部の後面に配設される、
ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のコンバイン。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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