説明

コンバイン

【課題】エンジンにくわえて電動モータを設けることにより、各部が動力不足になることを防止するとともに、コストを低く抑えることが可能なハイブリット式のコンバインを提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、走行機体2を走行させる走行部1L,1Rと、穀稈の刈取を行う刈取部3及び刈取った穀稈の脱穀処理を行う脱穀部13を有する作業装置37と、各部を駆動させるエンジン38とを備えたコンバインにおいて、前記作業装置37の少なくとも一部を駆動する電動モータ39,41と、該電動モータ39,41に電力を供給する蓄電装置68と、エンジン38からの動力によって蓄電装置68側への供給電力を発電する発電装置63とを設け、発電装置63の発電を停止してエンジン38負荷を低減させる発電停止状態と、発電装置63によって上記供給電力を発電する発電状態とを切替える手動操作具86,87を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エンジン及び電動モータによって各部を駆動するハイブリット式のコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
走行機体を走行させる走行部と、穀稈の刈取を行う刈取部及び刈取った穀稈の脱穀処理を行う脱穀部を有する作業装置と、各部を駆動させるエンジンとを備えた特許文献1に示すコンバインが公知になっている。
【特許文献1】特開2007−117042号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記文献のコンバインは、走行部及び作業装置等の各部の略全てがエンジンによって駆動されるため、倒伏した刈取作業等、高負荷時にはその負荷がそのままエンジン負荷になってエンジンの回転数が低下し、これによって各部の一部に動作不良が発生する場合がある。このような動力不足による動作不良は、高出力のエンジンを選定することにより防止することが可能であるが、この場合には製造コストを低く抑えることが困難になる。
本発明は、エンジンにくわえて電動モータを設けることにより、各部が動力不足になることを防止するとともに、コストを低く抑えることが可能なハイブリット式のコンバインを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため本発明のコンバインは、第1に、走行機体2を走行させる走行部1L,1Rと、穀稈の刈取を行う刈取部3及び刈取った穀稈の脱穀処理を行う脱穀部13を有する作業装置37と、各部を駆動させるエンジン38とを備えたコンバインにおいて、前記作業装置37の少なくとも一部を駆動する電動モータ39,41と、該電動モータ39,41に電力を供給する蓄電装置68と、エンジン38からの動力によって蓄電装置68側への供給電力を発電する発電装置63とを設け、発電装置63の発電を停止してエンジン38負荷を低減させる発電停止状態と、発電装置63によって上記供給電力を発電する発電状態とを切替える手動操作具86,87を備えたことを特徴としている。
【0005】
第2に、前記手動操作具が、圃場で倒伏した穀稈を刈取るために作業装置37の少なくとも一部の駆動スピードを上昇させる倒伏制御の入切操作を行う操作具87からなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
以上のように構成される本発明のコンバインによれば、エンジン高負荷時には発電装置による発電を手段操作具によって停止してエンジン負荷を低減させることにより、各部の動作不良を防止できる他、電動モータを設けることにより、高負荷時に備えて高出力のエンジンを選定する必要が無くなるため、コストを低く抑えることが可能になるという効果がある。
【0007】
また、倒伏制御の入切操作と、発電停止状態と発電状態の切替操作とを連動させることにより、上記入切操作と切替操作を各別に行う場合と比べて、操作回数が減少し、作業効率が向上するという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下図示する例に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1及び2は、本発明を適用したコンバインの側面図及び平面図であり、図3は、本コンバインの動力伝動系統図である。コンバインは、左右のクローラ式の走行部1L,1Rに支持された走行機体2と、走行機体2前端部に昇降駆動可能に支持されて圃場の穀稈の刈取作業を行う前処理部(刈取部)3を備えている。
【0009】
上記前処理部3の刈取られて穀稈は、前処理部3に設けられた搬送装置4によって、走行機体の前端部における進行方向左(左)側まで搬送され、フィードチェーン6に渡される。フィードチェーン6は、穀稈の株元側を挟持した状態で、走行機体2の左部に設置された脱穀装置7に沿って、穀稈を後方搬送する。脱穀装置7に沿って後方搬送される穀稈は、その搬送過程で扱降ろされることにより脱穀処理されて排藁となり、排藁チェーン8に渡される。
【0010】
排藁チェーン8は、排藁を走行機体2後部に配置された排藁処理部である後処理部9まで後方搬送する。後処理部9まで搬送された排藁は、そのまま又は後処理部9のカッタ部11(図3参照)で切断処理された後にカッタ部11下方の拡散ラセン12によって拡散搬送され、走行機体2後端部から機外に排出される。
【0011】
一方、脱穀装置7は、前述の扱降し処理を行う脱穀部13と、脱穀部13下方に配置されて脱穀部13で扱降ろされた扱降物の選別処理を行う選別部14とを有している。脱穀部13は、扱室内で扱胴16及び処理胴(第2扱胴)17によって扱降し処理を行い、選別部14の選別室内にその扱降物を落下させる。選別部14は、落下してきた扱降物を、揺動選別体18によって揺動選別した後、唐箕ファン19、排塵ファン21及び副送風ファン22によって起風される後方斜め上方の選別風によって風選する。
【0012】
上記選別風によって、扱降物は、選別室内の後部上側まで飛ばされて機外に排出される藁屑等と、選別風の影響を殆ど受けずに選別室の前後方向中央付近に落下する一番物と、選別風の影響を若干受けて選別室のやや後方寄りの箇所に落下する二番物と、に選別される。一番物は籾として一番ラセン23及び揚穀ラセン24を介して走行機体2右側の後半部に設けられたグレンタンク26内まで搬送されて収容される一方で、二番物は二番ラセン27及び還元ラセン28を介して再度選別室内に還元されて風選される。
【0013】
グレンタンク26内に収容された穀粒は、走行機体2の後端部右側に水平回動可能且つ上下揺動可能に支持されたオーガ29の先端部から機外に排出される。具体的には、オーガが、主に、走行機体2から上方に軸回りに回動駆動可能に突出する縦筒31と、縦筒31上端部に基端部が上下揺動駆動可能に支持されて基端部から先端部に向かって直線状に延設された排出筒32とにより構成されている。そして、グレンタンク26の底側の籾を縦筒31に水平搬送する横ラセン33と、縦筒31下端部の籾を排出筒32基端側まで搬送する縦ラセン34と、排出筒32基端部の籾を排出筒32の先端側まで搬送して排出筒32の先端部から機外に排出する排出ラセン36とにより、グレンタンク26内に収容された籾が機外に排出される。
【0014】
そして、本コンバインは、前述した前処理部3、脱穀装置7、後処理部9及びオーガ26等により作業装置37を構成しており、この作業装置37及び前述の走行部1L,1Rは、エンジン38及び複数の電動モータ39,41の動力によって駆動される。
【0015】
次に、図3に基づき、本コンバインの動力伝動構造について説明する。
エンジン38で発生させた回転動力は出力軸S1に伝動される。出力軸S1には、出力軸S1と一体回転する第1プーリ42、第2プーリ43、第3プーリ44及び第4プーリ46が一体的に固定されている。
【0016】
上記第1プーリ42の動力は横ラセン33に伝動され、横ラセン33の動力は縦ラセン34に伝動され、縦ラセン34の動力は排出ラセン36に伝動される。
【0017】
上記第2プーリ43の動力は、油圧式無段階変速装置であるHST47及びトランスミッション48を介して、左側の走行部20Lと、右側の走行部20Rとに同一ピード又は異なるスピードで、伝動される。
【0018】
上記第3プーリ44の動力は、伝動プーリ49と、該伝動プーリ49及び第3プーリ44とに掛け回される伝動ベルト51を介して伝動プーリ49と一体回転する伝動軸S2に伝動される。伝動ベルト51には、伝動ベルト51のテンションを調整するテンションプーリからなる作業機クラッチ52が設けられ、該作業機クラッチ52の入切作動により出力軸S1から伝動軸S2への動力伝動の断続を行う。
【0019】
伝動軸S2の動力は、該伝動軸S2と一体回転する伝動プーリ53及び伝動プーリ54に伝動される。なお、駆動軸S2は、唐箕ファン19の回転軸も兼ねている。
【0020】
伝動プーリ53の回転動力によって、扱胴16及び処理胴17と、排藁チェーン8とが駆動される。具体的には、伝動プーリ53の動力が伝動ベルト56及びベベルギヤ57等を介して伝動軸S3に伝動される。この伝動軸S3の動力によって扱胴16と処理胴17を回転駆動させる。くわえて、扱胴16の動力は伝動ベルト58等を介して排藁チェーン8に伝動される。
【0021】
伝動プーリ54の回転動力によって、選別部14を構成する揺動選別体18、排塵ファン21、副送風ファン22、一番ラセン23、揚穀ラセン24、二番ラセン27及び還元ラセン27が駆動される。具体的には、上記伝動プーリ54と、2つの伝動軸S4,S5にそれぞれ取付固定される伝動プーリ59,61とに掛け回される伝動ベルト62によって、伝動プーリ54の動力が上記2つの伝動軸S4,S5に伝動される。そして、伝動軸S4の動力によって揺動選別体18、副送風ファン22、一番ラセン23、揚穀ラセン24、二番ラセン27及び還元ラセン28が駆動されるとともに、伝動軸S5の動力によって排塵ファン21が駆動される。
【0022】
上記第4プーリ46の動力は、電力を発電する発電機(発電装置)63に動力を入力する入力軸S6と、入力軸S6と一体回転する入力プーリ64と、第4プーリ46及び入力プーリ64に掛け回される入力ベルト66とを介して、発電機63に入力される。
【0023】
上記発電機63は、ハイブリットコントローラ67を介して、電力を蓄えるキャパシタ又はバッテリ等からなり前述した2つの電動モータ39,41に電力を供給可能な蓄電装置68と、該2つの電動モータ39,41と、に電気的に接続されている。
【0024】
すなわち、発電機63はエンジン38からの動力によって電力を発電し、この発電された電力はハイブリットコントローラ67を介して電動モータ39,41及び蓄電装置68に供給される他、蓄電装置68で蓄えられた電力はハイブリットコントローラ67を介して電動モータ39,41に供給される。
【0025】
上記2つの電動モータ39,41の一方は、上記カッタ部11及び拡散ラセン12を駆動する排藁処理モータ39により、他方が上記フィードチェーン4及び前処理部5を駆動する刈取搬送モータ41になる。
【0026】
刈取搬送モータ41は内部で発生された動力が伝動される出力軸S7を有し、出力軸S7の動力がギヤケース(変速装置)71に伝動される。上記ギヤケース71は、フィードチェーン6を駆動させる伝動軸S8と、前処理部3側に動力を伝動する伝動軸S9と、に異なる変速比で、出力軸S7の動力を伝動するように構成されている。
【0027】
上記伝動軸S9の動力は、この伝動軸S9と一体回転する伝動プーリ72と、前処理部3を駆動させる駆動軸S10と、駆動軸S10と一体回転する駆動プーリ73と、伝動プーリ72及び駆動プーリ73に掛け回される駆動ベルト74とによって、前処理部3に伝動され、前処理部3における穀稈の刈取作業を行うための各種機器及び前述の搬送装置4等を駆動する。くわえて、駆動ベルト74には、駆動ベルト74のテンションを調整する入切作動により伝動軸S9から駆動軸S10への動力伝動を断続するテンションプーリ等からなる刈取クラッチ76が設けられている。
【0028】
以上のように、2つの伝動モータ39,41の動力によって、作業装置37の各種機器の内、前処理部3、フィードチェーン6及び後処理部9が駆動され、その他の走行部1L,1Rや脱穀部13や選別部14等はエンジン38の動力によって駆動される。
【0029】
上記動力伝動構造の本コンバインは、発電機63の発電を停止させる停止手段を備えている。この停止手段は、前述の入力ベルト66のテンションを調整する入切作動によってエンジン38から発電機63への動力伝動を断続するテンションプーリ等のクラッチ(図示しない)によって構成しているが、ハイブリットコントローラ67からの電気信号によって発電機63の発電を停止することにより上記停止手段を構成してもよい。
【0030】
この停止手段によって、発電機63の発電が停止される発電停止状態と、発電機63によって電力が発電される発電状態との切替を行うことが可能になる。ちなみに、発電停止状態時には入力軸S8が空転状態になる。
【0031】
発電停止状態時には、蓄電装置68からの供給電力によって2つの電動モータ39,41が駆動されるため、発電機63に伝動していた動力が不要になり、エンジン38の負荷が低減される。
【0032】
一方、発電状態時には、発電機63で発電した電力が蓄電装置68を介して間接的に2つの電動モータ39,41に供給される間接供給モードと、発電機63で発電した電力が直接的に2つの電動モータ39,41に供給される直接供給モードとのモード切替を、本コンバインに搭載されて上記ハイブリットコントローラ67等により構成される制御装置77(図6参照)によって自動的に行う。制御装置77は、蓄電装置68に蓄えた電力残量が少なくなると上記間接供給モードに切替えて蓄電装置68の充電作業を行う一方で、蓄電装置68に十分な電力が蓄えられている場合には上記直接供給モードに切替えて蓄電装置68への充電作業を行わないように構成されている。
【0033】
ちなみに、オペレータが操作可能な任意の箇所に配置される自動・手動切替スイッチ(切替操作具)75(図6参照)によって、エンジン38高負荷時等には停止手段を作用させて自動的に発電停止状態に切替えるとともにエンジン38通常負荷時又は低負荷時等には停止手段を非作用状態として自動的に発電状態に切替える自動モードと、発電停止状態と発電状態の切替をオペレータが手動で行う手動モードと、のモード切替が行えなるように本コンバインは構成されている。
【0034】
次に、図1,2,4及び5に基づいて本コンバインの操縦部について説明する。
本コンバインは、走行機体2の右側の前半部に、オペレータが乗り込む操縦部78が設置されている。操縦部78にはオペレータが着座する座席79と、座席79前方のマルチステアリングレバー(昇降レバー,操向レバー)81と、座席79の左斜め前方に配置された変速レバー82とを備えている。
【0035】
マルチステアリングレバー81は、前後揺動させることにより前処理部3を昇降操作する一方で、左右揺動させることにより本コンバインの操向操作を行う。具体的には、マルチステアリングレバー81を左右方向に揺動させると、トランスミッション32を介して、揺動方向側の走行部1L,1Rの駆動スピードに対して揺動方向と反対側の走行部1L,1Rの駆動スピードが速くなり、揺動方向に本コンバインが旋回する。ちなみに、マルチステアリングレバー81における中立位置からの左右揺動角が大きくなる程、左右の走行部1L,1Rの速度差が大きくなり、本コンバインが急旋回する。
【0036】
図4は、変速レバーの要部斜視図である。変速レバー82は、本体83と、本体83を前後揺動自在に操縦部79側に支持する支持杆84とを備え、本体83の上端部には左右方向の筒状のグリップ(把持部)83aが成形されている。座席79に着座したオペレータは、グリップ83aを把持して本コンバインが停止する中立位置から変速レバー82を前方揺動させることにより、HST47を介して、本コンバインの前進(進行方向)側への増速操作を行う一方で、上記中立位置から変速レバー82を後方揺動させることにより、HST47を介して、本コンバインの後進側への増速操作を行う。ちなみに、変速レバー82における中立位置からの前後揺動角が大きくなる程、本コンバインの走行速度が上昇する。
【0037】
また、変速レバー82の本体83左側部にはモータアシストボタン(手動操作具)86が設けられ、背面側には倒伏スイッチ(操作具,手動操作具)87が設けられている。
【0038】
モータアシストボタン86は、前述した手動モード時のオペレータの押操作によって、前述の停止手段を介した状態切替を行う手動式の切替操作具であり、1回の押操作毎に、発電停止状態から発電状態又は発電状態から発電停止状態に状態が切替えられる。
【0039】
倒伏スイッチ87は、倒伏制御の入切操作を行う手動式の押しボタンである。本コンバインは、前進走行時、図5に示すように、走行速度の上昇に連動して前処理部3及びフィードチェーン6等の駆動スピードを上昇させ、コンバインの走行速度に対して穀稈の搬送速度を比例させる連動制御を行っているが、倒伏制御に移行すると、コンバインの走行速度と穀稈の搬送速度との比例関係を維持させたまま、走行速度の上昇に対する穀稈の搬送速度の上昇率を増加させる。そして、倒伏スイッチ87を1回押操作する度に、連動制御から倒伏制御又は倒伏制御から連動制御への切替が行われ、倒伏制御が入切される。
【0040】
本コンバインは、連動制御によって、走行速度の上昇に応じて処理する穀稈の量が増加することに対応する他、倒伏制御によって、穀稈が圃場で倒伏したり濡れたりしてより高い搬送速度や刈取速度が求められる場合に対応している。
【0041】
また、前述の手動モード時に、倒伏スイッチ87によって連動制御から倒伏制御への切替を行うと、上記停止手段を介して、発電状態から発電停止状態への切替が行われる一方で、前述の手動モード時に、倒伏スイッチ87によって倒伏制御から連動制御への切替を行うと、上記停止手段を介して、発電停止状態から発電状態への切替が行われるように制御装置77を構成している。
【0042】
さらに、前述のようにして、連動制御から倒伏制御への切替に伴って発電状態から発電停止状態への切替を行うにあたり、連動制御から倒伏制御への切替後、所定時間経過後に、発電状態から発電停止状態への切替を行うように制御装置77を構成している。上記所定時間は、前処理部3で穀稈が刈取られてからその刈取穀稈が脱穀部13に達するまでの時間に一致又は対応させている。このため、脱穀部13に濡れた穀稈等が達しておらず、エンジン38の負荷がそれ程高くなっていない場合における発電停止状態への移行を抑制し、蓄電装置68に蓄えられたエネルギーが不要に消費されるのを防止している。
【0043】
上記2つの手動操作具86,87によって、発電状態と発電停止状態とをオペレータの意図するように選択的に切替えることが可能になる。例えば、オペレータが目視により圃場の穀稈の状態を確認しながら、その状態に応じて発電状態と発電停止状態との切替を行うこともできる。
【0044】
次に、制御装置77の構成について説明する。
図6は、制御装置のブロック図である。本コンバインに搭載された上記制御装置77は、主に、該メインマイコン(制御部)88と双方向通信可能に電気的に接続された前述のハイブリットコントローラ67とにより構成されている。
【0045】
メインマイコン88の入力側には、前述した自動・手動切替スイッチ75、モータアシストボタン86及び倒伏スイッチ87の他、前述の刈取クラッチ76の入切操作を行う刈取クラッチ操作手段である刈取スイッチ89と、前述の作業機クラッチ52の入切操作を行う作業機クラッチ操作手段である作業機スイッチ91と、前述の刈取クラッチ76の入切状態を検出する刈取クラッチ状態検出手段92と、前述の作業機クラッチ52の入切状態を検出する作業機クラッチ状態検出手段93と、トランスミッション48側に設けられてトランスミッション48内の伝動軸の回転速度を検出することにより本コンバインの走行速度を検出する車速検出手段である回転センサ94と、伝動軸S8の回転速度を検出することにより搬送装置4及びフィードチェーン6による穀稈搬送速度を検出する搬送速度検出手段である回転センサ96と、エンジン38のクランク軸等の回転数を検出することによりエンジン負荷を検出するエンジン負荷検出手段である回転センサ97と、前処理部3又はフィードチェーン6による穀稈搬送を検出する搬送穀稈検出手段である穀稈センサ98と、マルチステアリングレバー81の中立位置からの左右揺動角を検出することにより本コンバインの旋回検出を行う旋回検出手段である操向レバーポテンショ99と、変速レバー82の中立位置からの前後揺動角を検出する主変速レバーポテンショ101と、前処理部3の対地高さを検出する刈取高さ検出手段である超音波センサ等の刈高センサ102とが接続されている。なお、エンジン38の出力軸S1のトルクを検出するトルクセンサによりエンジン負荷検出手段97を構成してもよい。
【0046】
一方、メインマイコン88の出力側には、オペレータの刈取スイッチ89の入切操作に基づき刈取クラッチ76を入切作動させる刈取クラッチモータ103と、オペレータの作業機スイッチ91の入切操作に基づき作業機クラッチ52を入切作動させる作業機クラッチモータ104とが接続されている。ちなみに、制御装置77は、刈取スイッチ89や作業機スイッチ91の入操作を検出すると、対応する刈取クラッチモータ102や脱穀クラッチモータ104を介して対応する刈取クラッチ76や作業機クラッチ52の入作動を開始させ、その後、対応する刈取クラッチ状態検出手段92や作業機クラッチ状態検出手段93によって入状態が検出されると、対応する刈取クラッチモータ103や脱穀クラッチモータ104の駆動を停止させる。くわえて、切操作された場合も同様の処理を行う。
【0047】
上記ハイブリットコントローラ67は、インバータ106を介して、上記2つの電動モータ39,41と電気的に接続されており、発電機63又は蓄電装置68からの直流電流は、交流電流に変換されて上記2つの電動モータ39,41に供給される。
【0048】
本コンバインは、上記車速検出手段94又は主変速レバーポテンショ101によってコンバインの停止状態からの発進を検出する発進検出手段を構成する他、刈取クラッチ状態検出手段92、刈高センサ102、穀稈センサ98及び主変速レバーポテンショ101によって、刈取作業検出手段を構成している。
【0049】
この刈取作業検出手段は、具体的には、刈取クラッチ状態検出手段92により前処理部3の駆動を検出し、刈高センサ102により前処理部3の対地高さが所定高さ(本コンバインでは300mm)以下であることを検出し、穀稈センサ98により穀稈が搬送されていることを検出し、主変速レバーポテンショ101により本コンバインの前進走行を検出し、これらが全て検出されるか否かにより本コンバインが刈取作業中であるか否かの検出を行う。なお、本コンバインでは、刈取クラッチ状態検出手段92、刈高センサ102、穀稈センサ98及び主変速レバーポテンショ101の4つを用いて刈取作業検出手段を構成しているが、これらの内の一部を用いて刈取作業検出手段を構成してもよいし、これ以外のセンサ等を用いて刈取作業検出手段を構成してもよい。
【0050】
そして、本コンバインは、エンジン負荷検出手段97、発進検出手段、旋回検出手段99及び刈取作業検出手段からの検出情報に基づいて、制御装置77及び停止手段を介して、自動モード時、自動的に、発電状態から発電停止状態又は発電停止状態から発電状態への切替を行う。
【0051】
具体的には、自動モード時、エンジン負荷検出手段97によりエンジン38の回転数が所定回転数以下に低下してエンジン38の負荷が高いことが検出されると、停止手段によって発電状態から発電停止状態への切替を行う一方で、エンジン負荷検出手段97によりエンジン38の回転数が上記所定回転数以上に上昇してエンジン38の負荷が低くなったことが検出されると、停止手段によって発電停止状態から発電状態への切替を行う。
【0052】
また、自動モード時、旋回検出手段99によってコンバインの旋回が検出された場合には、常に、停止手段によって発電状態から発電停止状態への切替を行ってもよいし、刈取作業検出手段によってコンバインの刈取作業中が検出されている最中に旋回検出手段99によってコンバインの旋回が検出された場合にのみ、停止手段によって発電状態から発電停止状態への切替を行ってもよい。くわえて、刈取作業検出手段によって刈取作業の終了を検出し、該刈取作業終了後所定時間経過前に、旋回検出手段99によってコンバインの旋回が検出されると、それを刈取作業終了直後の旋回と判断して、発電状態から発電停止状態への切替を行ってもよい。
【0053】
上記以外でも、自動モード時における発進検出手段によって発進が検出された場合等、自動モード時で本コンバインへの負荷が高くなること予想される場合には、発電状態から発電停止状態への切替を行い、エンジン38の負荷を低減させる。一方、自動モード時で本コンバインへの負荷が低くなった場合には、発電停止状態から発電状態への切替を行い、上記蓄電装置68に電力を蓄えて、次の高負荷時に備える。
【0054】
なお、本コンバインは、エンジン負荷検出手段97、発進検出手段、旋回検出手段99及び刈取作業検出手段の全てを備え、これらの検出結果に基づいて自動モード時における発電状態と発電停止状態との切替制御を行っているが、上記検出手段の一部を省略して、上記切替制御を行ってもよい。この場合には、省略した検出手段を構成するセンサ等が不要になり、製造コストを低く抑えることが可能になる。
【0055】
例えば、エンジン負荷検出手段97のみによって上記切替制御を行ってもよし、エンジン負荷検出手段97を省略して発進検出手段、旋回検出手段99及び刈取作業検出手段のみによって上記切替制御を行ってもよい。ちなみに、発進検出手段、旋回検出手段99及び刈取作業検出手段のみによって上記切替制御を行う場合には、機体発進時又は旋回時のみに発電を停止するため、エンジン38の負荷が高い状態が継続した場合でも、発電停止状態が継続しないため、バッテリ切を起す事態が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明を適用したコンバインの側面図である。
【図2】本発明を適用したコンバインの平面図である。
【図3】本コンバインの動力伝動系統図である。
【図4】変速レバーの要部斜視図である。
【図5】本コンバインで行う前処理部の駆動スピード制御の構成を示すグラフである。
【図6】制御装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0057】
1L,1R 走行部
2 走行機体
3 前処理部(刈取部)
13 脱穀部
37 作業装置
38 エンジン
39 排藁処理モータ(電動モータ)
41 刈取搬送モータ(電動モータ)
63 発電機(発電装置)
68 蓄電装置
86 倒伏スイッチ(手動操作具,操作具)
87 モータアシストボタン(手動操作具)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体(2)を走行させる走行部(1L),(1R)と、穀稈の刈取を行う刈取部(3)及び刈取った穀稈の脱穀処理を行う脱穀部(13)を有する作業装置(37)と、各部を駆動させるエンジン(38)とを備えたコンバインにおいて、前記作業装置(37)の少なくとも一部を駆動する電動モータ(39),(41)と、該電動モータ(39),(41)に電力を供給する蓄電装置(68)と、エンジン(38)からの動力によって蓄電装置(68)側への供給電力を発電する発電装置(63)とを設け、発電装置(63)の発電を停止してエンジン(38)負荷を低減させる発電停止状態と、発電装置(63)によって上記供給電力を発電する発電状態とを切替える手動操作具(86),(87)を備えたコンバイン。
【請求項2】
前記手動操作具が、圃場で倒伏した穀稈を刈取るために作業装置(37)の少なくとも一部の駆動スピードを上昇させる倒伏制御の入切操作を行う操作具(87)からなる請求項1のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−104288(P2010−104288A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−279554(P2008−279554)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】