コンバイン
【課題】籾袋の引き出し作業への支障を招くことなく大容量の燃料タンクを搭載可能とし、長時間の連続作業を行うことができるものとする。
【解決手段】ホッパー(7)の下方に穀粒排出口(7a)から穀粒が充填される籾袋を支持する支持台(8)を設け、支持台(8)の外側部に機体右外側方へ開いた状態と機体内側方へ閉じた状態とに切換可能な補助支持台(8a)を設け、支持台(8)の後端部に原動機用の燃料を貯留する燃料タンク(9)を設け、該燃料タンク(9)の右端部を支持台(8)の外側端部まで延長し、燃料タンク(9)の前側で穀粒排出口(7a)の後側となる位置に燃料タンク(9)の下部前面を覆う前面カバー(11)を設け、前面カバー(11)の右外側部を左内側部よりも機体後方に配置し、前面カバー(11)の前側面に形成される籾袋引き出し用の案内面を機体右外側方へ開いた状態の補助支持台(8a)の後端部へ向く方向に設ける。
【解決手段】ホッパー(7)の下方に穀粒排出口(7a)から穀粒が充填される籾袋を支持する支持台(8)を設け、支持台(8)の外側部に機体右外側方へ開いた状態と機体内側方へ閉じた状態とに切換可能な補助支持台(8a)を設け、支持台(8)の後端部に原動機用の燃料を貯留する燃料タンク(9)を設け、該燃料タンク(9)の右端部を支持台(8)の外側端部まで延長し、燃料タンク(9)の前側で穀粒排出口(7a)の後側となる位置に燃料タンク(9)の下部前面を覆う前面カバー(11)を設け、前面カバー(11)の右外側部を左内側部よりも機体後方に配置し、前面カバー(11)の前側面に形成される籾袋引き出し用の案内面を機体右外側方へ開いた状態の補助支持台(8a)の後端部へ向く方向に設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀した穀粒を袋詰めするためのホッパーを備えたコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
脱穀した穀粒を袋詰めするための穀粒排出口を備えたホッパーを機体後部の片側に配置したコンバインは、特許文献1に示されるように、ホッパーの後方位置に燃料タンクを配置することにより、機体の前後および左右の重量配分のアンバランスを改善して安定した走行を可能とするものである。
【特許文献1】特開2005−341853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、コンバインによる刈取走行においては、ホッパーで袋詰めした籾袋を支持台上で機体後部に移動させて圃場に降ろす作業を要する。その際に、機体後部に位置する燃料タンクが邪魔になることから、燃料タンクを小さく構成せざるを得ない。
【0004】
本発明の解決しようとする問題点は、支持台上における籾袋の移動作業に支障を招くことなく、必要な燃料タンク容量を確保することができるホッパー型のコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するために、次の技術的手段を講じる。
即ち、左右のクローラ(2,2)を備えた機体の前部に穀稈を刈り取る刈取部(4)を設け、刈取部(4)の後側に刈り取った穀稈を脱穀する脱穀部(5)を設け、脱穀部(5)の側方に脱穀した穀粒を籾袋に袋詰めする穀粒排出口(7a)を備えたホッパー(7)を設け、ホッパー(7)の下方に穀粒排出口(7a)から穀粒が充填される籾袋を支持する支持台(8)を設け、支持台(8)の外側部に機体右外側方へ開いた状態と機体内側方へ閉じた状態とに切換可能な補助支持台(8a)を設け、支持台(8)の後端部に原動機用の燃料を貯留する燃料タンク(9)を設け、該燃料タンク(9)の右端部を支持台(8)の外側端部まで延長して設け、燃料タンク(9)の前側で穀粒排出口(7a)の後側となる位置に燃料タンク(9)の下部前面を覆う前面カバー(11)を設け、前面カバー(11)の右外側部を左内側部よりも機体後方に配置し、前面カバー(11)の前側面に形成される籾袋引き出し用の案内面を機体右外側方へ開いた状態の補助支持台(8a)の後端部へ向く方向に設けたことを特徴とするコンバインとする。
【0006】
上記支持台(8)上でホッパー(7)から穀粒が充填された籾袋は、作業者によってホッパー(7)の穀粒排出口(7a)の直下位置から引き出される際に、前面カバー(11)の案内面によって案内されて機体右外側方へ開いた状態の補助支持台(8a)の後端まで支障なく移動する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、支持台(8)上の籾袋は、作業者によって機体右外側方へ開いた状態の補助支持台(8a)の後端まで引き出される際に、前面カバー(11)の案内面によって燃料タンク(9)の下部前面に当たることなく案内され、支障なく引き出すことができる。また、支持台(8)の後端部で燃料タンク(9)を支持台(8)の外側端部まで張り出しても、籾袋の引き出し作業への支障を招くことなく大容量の燃料タンクを搭載でき、長時間の連続作業を行うことができ、作業能率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
本発明の前提となるコンバインは、機体側面図および平面図をそれぞれ図1、図2に示すように、左右のクローラ2,2によって走行可能に支持した機体に操縦部3および原動機3aを備える。そして、機体の前部に配置されて圃場から穀稈を刈取る刈取部4と、この刈取部4から受けた刈取り穀稈を脱穀する脱穀部5と、その排藁を切断して後方の機外へ排出するカッター6と、脱穀部5の側方で脱穀した穀粒を袋詰めする穀粒排出口7a,7a,7aを備えたホッパー7と、その下方で袋詰めされた籾袋Bを受ける支持台8等を備えて構成される。前記穀粒排出口7a,7a,7aには、これらを開閉操作するシャッターが設けられる。
【0009】
支持台8の外側部には、ホッパー7による袋詰めの作業スペースとしての補助支持台8aおよびその上方で作業者を保護する背もたれ8bを機体右外側方へ開いた状態と機体内側方へ閉じた状態とに切換可能に備え、また、支持台8の後端部に原動機燃料を貯留する燃料タンク9を備える。即ち、前記補助支持台8aは、支持台8の外側部に配置し、機体フレーム60の機体外側端部の前後二箇所に設けたステー8c,8cと補助支持台8aの機体内側端部の前後二箇所に設けたステーとを、機体前後方向の軸芯Qまわりに上下回動自在に連結する。
【0010】
機体後部の要部拡大側面図およびその平面図をそれぞれ図3、図4、図5に示す。機体フレーム60全体は、平面視で矩形に枠組みされた構成である。図5に示すように、ホッパー7設置側の機体後部には、機体フレーム60を構成する外側部の第一前後フレーム60aと、この第一前後フレーム60aと平行に機体内側へ間隔をおいて設けた第二前後フレーム60bと、この第二前後フレーム60bと平行に機体内側へ間隔をおいて設けた脱穀部5搭載用の第三前後フレーム60cとを設ける。第一前後フレーム60aの後端部と第二前後フレーム60bの後端部と第三前後フレーム60cの後端部とを最後部の第一左右フレーム60dで連結する。この第一左右フレーム60dの前側で、第一前後フレーム60aの後部と第二前後フレーム60bの後部とを第二左右フレーム60eで連結する。この第二左右フレーム60eの前側で、第一前後フレーム60aの中間部と第二前後フレーム60bの中間部と第三前後フレーム60cの中間部とを第三左右フレーム60fで連結する。この第三左右フレーム60fの前方で、第一前後フレーム60aの前部と第二前後フレーム60bの前部とを第四左右フレーム60gで連結する。
【0011】
そして、鉄板製の支持台8を機体フレーム60上に載せ、この支持台8の前端部を、前記第四左右フレーム60gの上に載せてボルト61aで締結して固定する。また、この支持台8の機体内側端部を前記第二前後フレーム60bの上に載せて、後述する前面カバー11の前側下縁部と、仕切板11aの下縁部とを上側から重ね、ボルト61bで共締めして固定する。
【0012】
支持台8の後端部には、カッター6の前部下側に入り込ませて機体フレーム60の後部に設けた燃料タンク9を配置し、この燃料タンク9を第二前後フレーム60b上と、前記第一左右フレーム60dと第二左右フレーム60eとの間を連結する前後方向のフレーム60h上とにわたって載せ、左右のゴムバンド62の弾性力で締め付けて固定する。燃料タンク9の注入口9aは、カッター6を支持するカッター支持フレーム6aよりも機体内側の位置から機体外側の位置へ向けて延出する。
【0013】
この燃料タンク9の前面の下半部の前側で、且つ最後部の穀粒排出口7aの後側となる位置には、少なくとも上記ホッパー7の穀粒排出口7aの機体奥側端部の直下の支持台8上の位置からその外側方の位置に及ぶ範囲Wに設置して燃料タンク9を保護する前面カバー11を設ける。この前面カバー11は、薄い鉄板を平面視でクランク形状に屈折させて形成し、下縁部を直角に屈折させて取付面11cを形成する。この前面カバー11の前部の取付面11cを支持台8の機体内側縁部に沿わせて載せ、上述のように、ボルト61bで第二前後フレーム60b側のステーに共締めして固定する。また、前記前面カバー11の中間部を、フレーム60hの前部上と第二左右フレーム60eの機体内側端部とに載せ、この前面カバー11の中間部の取付面11cをボルト61cで支持台8と共締めして固定する。また、前面カバー11の後部をフレーム60h上に載せ、この前面カバー11の後部の取付面11cをボルト61dで支持台8と共締めして固定する。
【0014】
上記の構成によって、この前面カバー11の中間部には外側部が内側部よりも機体後方へ後退した案内面を形成する。その案内面の延長線Sの方向は、袋詰めした籾袋Bの引き出し作業に適合するように、例えば、開放状態の補助支持台8aの後端部、すなわち、補助支持台8aの後部外側のコーナー部より後ろ側の範囲Rに向けて設定する。
【0015】
また、支持台8の機体奥側には、脱穀部5と接近した位置に上記の仕切板11aが取付けられ、燃料タンク9の外側部には、前記前面カバー11の後部を形成する側面カバー12が配置される。この側面カバー12の後端部は、燃料タンク9の注入時にこぼれた燃料を流下案内する案内部13を、注入口9aの下方位置で機体外側に向けて開くように屈曲させて形成する。これら前面カバー11と側面カバー12は、一体の板部材とすることによって簡易に構成することができる。
【0016】
また、仕切板11aによって、脱穀部5の唐箕吸引口5aの下部と、脱穀部5からホッパー7へ穀粒を搬送する一番揚穀筒5bの掃除口5cよりも下側の部分と、枝梗粒を脱穀部5の処理室に還元する二番揚穀筒5dの下部とが覆われる。
【0017】
上述のように機体後部を構成したコンバインでは、支持台8上でホッパー7から穀粒を袋に充填した籾袋Bを、作業者によりホッパー7の穀粒排出口7aの直下位置から機体後部に引き出される際に、前面カバー11の前側面に形成された案内面によって燃料タンク9の外側端まで案内され、機体後端まで支障なく移動することができる。したがって、燃料タンク9が支持台8の後端部に張り出していても、籾袋Bの後送作業への支障を招くことなく、燃料タンク9の大容量化と、それに伴う機体の重量バランスの改善が可能となる。
【0018】
しかして、図6〜図8に示すように、燃料タンク9の右端部を支持台8の外側端部近傍まで延長する。燃料タンク9の右端部は、機体内側方へ閉じた状態の補助支持台8aに接近するが、接触することのないように、両者を配置する。これによって、燃料タンク9の容量が大きく拡大する。尚、前面カバー11の右端部も外側方へ延長して、燃料タンク9の前面をその右端部まで覆う。
【0019】
また、このように構成した燃料タンク9の延長部分を囲うように、保護部材70を設ける。該保護部材70は、スチールパイプを枠組みして構成し、燃料タンク9の前側と上側と後側との3面を囲うように配置する。
【0020】
これによって、燃料タンク9の延長部分に、歩み板などの重量物を載せても、燃料タンク9が変形しない。
また、穀粒を満杯に充填した籾袋を圃場に降ろせない場合には、この籾袋を支持台8上に載せておくことになるが、支持台8の後端部に燃料タンク9の延長部分が配置されるために、この籾袋が後方へ滑り落ちることを防止できる。
【0021】
また、図示は省略するが、前記保護部材70の上面に座席を設け、補助作業者が着座できる構成とすれば便利である。即ち、収穫作業が終了して別の圃場に移動する場合に、補助作業者がこの保護部材70上面の座席に着座し、楽に移動することができる。また、この座席を、背面視においてホッパー7よりも機体右側に配置することによって、このホッパー7が邪魔になることなく、補助作業者が袋取り作業の合間に容易に着座することができる。
【0022】
また、図9〜図13に示すように、燃料タンク9を伸縮式のものに構成してもよい。
即ち、燃料タンク9を樹脂材で成形し、長手方向(機体左右方向)の中間部に蛇腹状部分71を形成して、樹脂材の弾性変形によって燃料タンク9全体の長さ(機体左右方向の幅)を伸縮させられるように構成する。
【0023】
これによって、収穫作業前には、燃料タンク9を伸長させて容量を拡大し、多量の燃料を給油しておく。これによって、長時間の連続作業が可能となる。また、圃場間を移動する場合には、燃料タンク9を短縮し、支持台8上のスペースを広くして歩み板などの資材を積むことができる。
【0024】
また、この燃料タンク9の右端部側面には、取っ手72を設け、この取っ手72の操作によって燃料タンク9を伸縮させることができる。
また、図12に示すように、燃料タンク9の左側部分の幅をX1とし、燃料タンク9の右側部分の幅をX2とし、蛇腹状部分71の幅をX3とすると、X1+X2+X3が燃料タンク9の容量拡大時の幅であるが、燃料タンク9を短縮した場合には、この燃料タンク9の幅がX1+X2になるように構成する。 これによって、幅X3が燃料タンク9の容量拡大分となり、この幅X3を大きくするほど、燃料タンク9の容量が拡大する。
【0025】
このように、燃料タンク9の容量を拡大するために、燃料タンク9の左側部分を機体側に固定し、右側部分は固定しない。これによって、機体外側から取っ手72を把持して、燃料タンク9を伸縮操作することができる。
【0026】
また、上記X1とX2の関係を、X1>X2とすると、X2内の容量が少ないために動かし易く、燃料タンク9の伸縮を容易に行うことができる。
また、図13に示すように、幅X1を備え、機体側に固定した燃料タンク9の左側部分に、フロート式の燃料ゲージ73を設ける。これによって、燃料タンク9を伸縮させても、燃料の残量を安定して検出できる。
【0027】
また、幅X2を備え、取っ手72の操作によって移動する燃料タンク9の右側部分に、注入口9aを設ける。
これによって、取っ手72を機体外側方へ引っ張って燃料タンク9を伸長させると、注入口9aが機体外側寄りの位置に出てくるため、この注油口9aからの給油を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】コンバインの側面図である。
【図2】コンバインの平面図である。
【図3】機体後部の要部拡大側面図である。
【図4】図3の機体後部の平面図である。
【図5】ホッパーやカッターを省略して示す機体後部の平面図である。
【図6】コンバインの側面図である。
【図7】コンバインの平面図である。
【図8】コンバインの背面図である。
【図9】コンバインの側面図である。
【図10】コンバインの平面図である。
【図11】コンバインの背面図である。
【図12】燃料タンクの斜視図である。
【図13】燃料タンクの説明図である。
【符号の説明】
【0029】
2 クローラ
4 刈取部
5 脱穀部
7 ホッパー
7a 穀粒排出口
8 支持台
8a 補助支持台
9 燃料タンク
11 前面カバー
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀した穀粒を袋詰めするためのホッパーを備えたコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
脱穀した穀粒を袋詰めするための穀粒排出口を備えたホッパーを機体後部の片側に配置したコンバインは、特許文献1に示されるように、ホッパーの後方位置に燃料タンクを配置することにより、機体の前後および左右の重量配分のアンバランスを改善して安定した走行を可能とするものである。
【特許文献1】特開2005−341853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、コンバインによる刈取走行においては、ホッパーで袋詰めした籾袋を支持台上で機体後部に移動させて圃場に降ろす作業を要する。その際に、機体後部に位置する燃料タンクが邪魔になることから、燃料タンクを小さく構成せざるを得ない。
【0004】
本発明の解決しようとする問題点は、支持台上における籾袋の移動作業に支障を招くことなく、必要な燃料タンク容量を確保することができるホッパー型のコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するために、次の技術的手段を講じる。
即ち、左右のクローラ(2,2)を備えた機体の前部に穀稈を刈り取る刈取部(4)を設け、刈取部(4)の後側に刈り取った穀稈を脱穀する脱穀部(5)を設け、脱穀部(5)の側方に脱穀した穀粒を籾袋に袋詰めする穀粒排出口(7a)を備えたホッパー(7)を設け、ホッパー(7)の下方に穀粒排出口(7a)から穀粒が充填される籾袋を支持する支持台(8)を設け、支持台(8)の外側部に機体右外側方へ開いた状態と機体内側方へ閉じた状態とに切換可能な補助支持台(8a)を設け、支持台(8)の後端部に原動機用の燃料を貯留する燃料タンク(9)を設け、該燃料タンク(9)の右端部を支持台(8)の外側端部まで延長して設け、燃料タンク(9)の前側で穀粒排出口(7a)の後側となる位置に燃料タンク(9)の下部前面を覆う前面カバー(11)を設け、前面カバー(11)の右外側部を左内側部よりも機体後方に配置し、前面カバー(11)の前側面に形成される籾袋引き出し用の案内面を機体右外側方へ開いた状態の補助支持台(8a)の後端部へ向く方向に設けたことを特徴とするコンバインとする。
【0006】
上記支持台(8)上でホッパー(7)から穀粒が充填された籾袋は、作業者によってホッパー(7)の穀粒排出口(7a)の直下位置から引き出される際に、前面カバー(11)の案内面によって案内されて機体右外側方へ開いた状態の補助支持台(8a)の後端まで支障なく移動する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、支持台(8)上の籾袋は、作業者によって機体右外側方へ開いた状態の補助支持台(8a)の後端まで引き出される際に、前面カバー(11)の案内面によって燃料タンク(9)の下部前面に当たることなく案内され、支障なく引き出すことができる。また、支持台(8)の後端部で燃料タンク(9)を支持台(8)の外側端部まで張り出しても、籾袋の引き出し作業への支障を招くことなく大容量の燃料タンクを搭載でき、長時間の連続作業を行うことができ、作業能率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
本発明の前提となるコンバインは、機体側面図および平面図をそれぞれ図1、図2に示すように、左右のクローラ2,2によって走行可能に支持した機体に操縦部3および原動機3aを備える。そして、機体の前部に配置されて圃場から穀稈を刈取る刈取部4と、この刈取部4から受けた刈取り穀稈を脱穀する脱穀部5と、その排藁を切断して後方の機外へ排出するカッター6と、脱穀部5の側方で脱穀した穀粒を袋詰めする穀粒排出口7a,7a,7aを備えたホッパー7と、その下方で袋詰めされた籾袋Bを受ける支持台8等を備えて構成される。前記穀粒排出口7a,7a,7aには、これらを開閉操作するシャッターが設けられる。
【0009】
支持台8の外側部には、ホッパー7による袋詰めの作業スペースとしての補助支持台8aおよびその上方で作業者を保護する背もたれ8bを機体右外側方へ開いた状態と機体内側方へ閉じた状態とに切換可能に備え、また、支持台8の後端部に原動機燃料を貯留する燃料タンク9を備える。即ち、前記補助支持台8aは、支持台8の外側部に配置し、機体フレーム60の機体外側端部の前後二箇所に設けたステー8c,8cと補助支持台8aの機体内側端部の前後二箇所に設けたステーとを、機体前後方向の軸芯Qまわりに上下回動自在に連結する。
【0010】
機体後部の要部拡大側面図およびその平面図をそれぞれ図3、図4、図5に示す。機体フレーム60全体は、平面視で矩形に枠組みされた構成である。図5に示すように、ホッパー7設置側の機体後部には、機体フレーム60を構成する外側部の第一前後フレーム60aと、この第一前後フレーム60aと平行に機体内側へ間隔をおいて設けた第二前後フレーム60bと、この第二前後フレーム60bと平行に機体内側へ間隔をおいて設けた脱穀部5搭載用の第三前後フレーム60cとを設ける。第一前後フレーム60aの後端部と第二前後フレーム60bの後端部と第三前後フレーム60cの後端部とを最後部の第一左右フレーム60dで連結する。この第一左右フレーム60dの前側で、第一前後フレーム60aの後部と第二前後フレーム60bの後部とを第二左右フレーム60eで連結する。この第二左右フレーム60eの前側で、第一前後フレーム60aの中間部と第二前後フレーム60bの中間部と第三前後フレーム60cの中間部とを第三左右フレーム60fで連結する。この第三左右フレーム60fの前方で、第一前後フレーム60aの前部と第二前後フレーム60bの前部とを第四左右フレーム60gで連結する。
【0011】
そして、鉄板製の支持台8を機体フレーム60上に載せ、この支持台8の前端部を、前記第四左右フレーム60gの上に載せてボルト61aで締結して固定する。また、この支持台8の機体内側端部を前記第二前後フレーム60bの上に載せて、後述する前面カバー11の前側下縁部と、仕切板11aの下縁部とを上側から重ね、ボルト61bで共締めして固定する。
【0012】
支持台8の後端部には、カッター6の前部下側に入り込ませて機体フレーム60の後部に設けた燃料タンク9を配置し、この燃料タンク9を第二前後フレーム60b上と、前記第一左右フレーム60dと第二左右フレーム60eとの間を連結する前後方向のフレーム60h上とにわたって載せ、左右のゴムバンド62の弾性力で締め付けて固定する。燃料タンク9の注入口9aは、カッター6を支持するカッター支持フレーム6aよりも機体内側の位置から機体外側の位置へ向けて延出する。
【0013】
この燃料タンク9の前面の下半部の前側で、且つ最後部の穀粒排出口7aの後側となる位置には、少なくとも上記ホッパー7の穀粒排出口7aの機体奥側端部の直下の支持台8上の位置からその外側方の位置に及ぶ範囲Wに設置して燃料タンク9を保護する前面カバー11を設ける。この前面カバー11は、薄い鉄板を平面視でクランク形状に屈折させて形成し、下縁部を直角に屈折させて取付面11cを形成する。この前面カバー11の前部の取付面11cを支持台8の機体内側縁部に沿わせて載せ、上述のように、ボルト61bで第二前後フレーム60b側のステーに共締めして固定する。また、前記前面カバー11の中間部を、フレーム60hの前部上と第二左右フレーム60eの機体内側端部とに載せ、この前面カバー11の中間部の取付面11cをボルト61cで支持台8と共締めして固定する。また、前面カバー11の後部をフレーム60h上に載せ、この前面カバー11の後部の取付面11cをボルト61dで支持台8と共締めして固定する。
【0014】
上記の構成によって、この前面カバー11の中間部には外側部が内側部よりも機体後方へ後退した案内面を形成する。その案内面の延長線Sの方向は、袋詰めした籾袋Bの引き出し作業に適合するように、例えば、開放状態の補助支持台8aの後端部、すなわち、補助支持台8aの後部外側のコーナー部より後ろ側の範囲Rに向けて設定する。
【0015】
また、支持台8の機体奥側には、脱穀部5と接近した位置に上記の仕切板11aが取付けられ、燃料タンク9の外側部には、前記前面カバー11の後部を形成する側面カバー12が配置される。この側面カバー12の後端部は、燃料タンク9の注入時にこぼれた燃料を流下案内する案内部13を、注入口9aの下方位置で機体外側に向けて開くように屈曲させて形成する。これら前面カバー11と側面カバー12は、一体の板部材とすることによって簡易に構成することができる。
【0016】
また、仕切板11aによって、脱穀部5の唐箕吸引口5aの下部と、脱穀部5からホッパー7へ穀粒を搬送する一番揚穀筒5bの掃除口5cよりも下側の部分と、枝梗粒を脱穀部5の処理室に還元する二番揚穀筒5dの下部とが覆われる。
【0017】
上述のように機体後部を構成したコンバインでは、支持台8上でホッパー7から穀粒を袋に充填した籾袋Bを、作業者によりホッパー7の穀粒排出口7aの直下位置から機体後部に引き出される際に、前面カバー11の前側面に形成された案内面によって燃料タンク9の外側端まで案内され、機体後端まで支障なく移動することができる。したがって、燃料タンク9が支持台8の後端部に張り出していても、籾袋Bの後送作業への支障を招くことなく、燃料タンク9の大容量化と、それに伴う機体の重量バランスの改善が可能となる。
【0018】
しかして、図6〜図8に示すように、燃料タンク9の右端部を支持台8の外側端部近傍まで延長する。燃料タンク9の右端部は、機体内側方へ閉じた状態の補助支持台8aに接近するが、接触することのないように、両者を配置する。これによって、燃料タンク9の容量が大きく拡大する。尚、前面カバー11の右端部も外側方へ延長して、燃料タンク9の前面をその右端部まで覆う。
【0019】
また、このように構成した燃料タンク9の延長部分を囲うように、保護部材70を設ける。該保護部材70は、スチールパイプを枠組みして構成し、燃料タンク9の前側と上側と後側との3面を囲うように配置する。
【0020】
これによって、燃料タンク9の延長部分に、歩み板などの重量物を載せても、燃料タンク9が変形しない。
また、穀粒を満杯に充填した籾袋を圃場に降ろせない場合には、この籾袋を支持台8上に載せておくことになるが、支持台8の後端部に燃料タンク9の延長部分が配置されるために、この籾袋が後方へ滑り落ちることを防止できる。
【0021】
また、図示は省略するが、前記保護部材70の上面に座席を設け、補助作業者が着座できる構成とすれば便利である。即ち、収穫作業が終了して別の圃場に移動する場合に、補助作業者がこの保護部材70上面の座席に着座し、楽に移動することができる。また、この座席を、背面視においてホッパー7よりも機体右側に配置することによって、このホッパー7が邪魔になることなく、補助作業者が袋取り作業の合間に容易に着座することができる。
【0022】
また、図9〜図13に示すように、燃料タンク9を伸縮式のものに構成してもよい。
即ち、燃料タンク9を樹脂材で成形し、長手方向(機体左右方向)の中間部に蛇腹状部分71を形成して、樹脂材の弾性変形によって燃料タンク9全体の長さ(機体左右方向の幅)を伸縮させられるように構成する。
【0023】
これによって、収穫作業前には、燃料タンク9を伸長させて容量を拡大し、多量の燃料を給油しておく。これによって、長時間の連続作業が可能となる。また、圃場間を移動する場合には、燃料タンク9を短縮し、支持台8上のスペースを広くして歩み板などの資材を積むことができる。
【0024】
また、この燃料タンク9の右端部側面には、取っ手72を設け、この取っ手72の操作によって燃料タンク9を伸縮させることができる。
また、図12に示すように、燃料タンク9の左側部分の幅をX1とし、燃料タンク9の右側部分の幅をX2とし、蛇腹状部分71の幅をX3とすると、X1+X2+X3が燃料タンク9の容量拡大時の幅であるが、燃料タンク9を短縮した場合には、この燃料タンク9の幅がX1+X2になるように構成する。 これによって、幅X3が燃料タンク9の容量拡大分となり、この幅X3を大きくするほど、燃料タンク9の容量が拡大する。
【0025】
このように、燃料タンク9の容量を拡大するために、燃料タンク9の左側部分を機体側に固定し、右側部分は固定しない。これによって、機体外側から取っ手72を把持して、燃料タンク9を伸縮操作することができる。
【0026】
また、上記X1とX2の関係を、X1>X2とすると、X2内の容量が少ないために動かし易く、燃料タンク9の伸縮を容易に行うことができる。
また、図13に示すように、幅X1を備え、機体側に固定した燃料タンク9の左側部分に、フロート式の燃料ゲージ73を設ける。これによって、燃料タンク9を伸縮させても、燃料の残量を安定して検出できる。
【0027】
また、幅X2を備え、取っ手72の操作によって移動する燃料タンク9の右側部分に、注入口9aを設ける。
これによって、取っ手72を機体外側方へ引っ張って燃料タンク9を伸長させると、注入口9aが機体外側寄りの位置に出てくるため、この注油口9aからの給油を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】コンバインの側面図である。
【図2】コンバインの平面図である。
【図3】機体後部の要部拡大側面図である。
【図4】図3の機体後部の平面図である。
【図5】ホッパーやカッターを省略して示す機体後部の平面図である。
【図6】コンバインの側面図である。
【図7】コンバインの平面図である。
【図8】コンバインの背面図である。
【図9】コンバインの側面図である。
【図10】コンバインの平面図である。
【図11】コンバインの背面図である。
【図12】燃料タンクの斜視図である。
【図13】燃料タンクの説明図である。
【符号の説明】
【0029】
2 クローラ
4 刈取部
5 脱穀部
7 ホッパー
7a 穀粒排出口
8 支持台
8a 補助支持台
9 燃料タンク
11 前面カバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右のクローラ(2,2)を備えた機体の前部に穀稈を刈り取る刈取部(4)を設け、
刈取部(4)の後側に刈り取った穀稈を脱穀する脱穀部(5)を設け、
脱穀部(5)の側方に脱穀した穀粒を籾袋に袋詰めする穀粒排出口(7a)を備えたホッパー(7)を設け、
ホッパー(7)の下方に穀粒排出口(7a)から穀粒が充填される籾袋を支持する支持台(8)を設け、
支持台(8)の外側部に機体右外側方へ開いた状態と機体内側方へ閉じた状態とに切換可能な補助支持台(8a)を設け、
支持台(8)の後端部に原動機用の燃料を貯留する燃料タンク(9)を設け、
該燃料タンク(9)の右端部を支持台(8)の外側端部まで延長して設け、
燃料タンク(9)の前側で穀粒排出口(7a)の後側となる位置に燃料タンク(9)の下部前面を覆う前面カバー(11)を設け、
前面カバー(11)の右外側部を左内側部よりも機体後方に配置し、
前面カバー(11)の前側面に形成される籾袋引き出し用の案内面を機体右外側方へ開いた状態の補助支持台(8a)の後端部へ向く方向に設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項1】
左右のクローラ(2,2)を備えた機体の前部に穀稈を刈り取る刈取部(4)を設け、
刈取部(4)の後側に刈り取った穀稈を脱穀する脱穀部(5)を設け、
脱穀部(5)の側方に脱穀した穀粒を籾袋に袋詰めする穀粒排出口(7a)を備えたホッパー(7)を設け、
ホッパー(7)の下方に穀粒排出口(7a)から穀粒が充填される籾袋を支持する支持台(8)を設け、
支持台(8)の外側部に機体右外側方へ開いた状態と機体内側方へ閉じた状態とに切換可能な補助支持台(8a)を設け、
支持台(8)の後端部に原動機用の燃料を貯留する燃料タンク(9)を設け、
該燃料タンク(9)の右端部を支持台(8)の外側端部まで延長して設け、
燃料タンク(9)の前側で穀粒排出口(7a)の後側となる位置に燃料タンク(9)の下部前面を覆う前面カバー(11)を設け、
前面カバー(11)の右外側部を左内側部よりも機体後方に配置し、
前面カバー(11)の前側面に形成される籾袋引き出し用の案内面を機体右外側方へ開いた状態の補助支持台(8a)の後端部へ向く方向に設けたことを特徴とするコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−51262(P2010−51262A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−220969(P2008−220969)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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