コンバイン
【課題】縦伝動筒と横伝動筒との連結部の取付け強度が高いコンバインを提供する。
【解決手段】縦伝動筒12の前端にはホルダ部12aが設けられていると共に、このホルダ部12aの側部には左右の横伝動筒21L,21Rがボルトによって取付けられている。前処理部5の中央部に位置する縦伝動筒12及び横伝動筒21の連結部55の前方には、中央左右の掻込搬送装置が位置しており、この掻込搬送装置の支持フレーム56の取付け部57は、プレート部材57aがこのホルダ部12aを跨いで左右の横伝動筒21L,21Rにボルトによって連結されている。このプレート部材57aが補強となって連結部55の取付け強度が向上する。
【解決手段】縦伝動筒12の前端にはホルダ部12aが設けられていると共に、このホルダ部12aの側部には左右の横伝動筒21L,21Rがボルトによって取付けられている。前処理部5の中央部に位置する縦伝動筒12及び横伝動筒21の連結部55の前方には、中央左右の掻込搬送装置が位置しており、この掻込搬送装置の支持フレーム56の取付け部57は、プレート部材57aがこのホルダ部12aを跨いで左右の横伝動筒21L,21Rにボルトによって連結されている。このプレート部材57aが補強となって連結部55の取付け強度が向上する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、多条列の穀稈を刈取りつつ脱穀するコンバインに係り、詳しくは、例えば8条刈りの大型コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前処理部を支持する縦伝動筒の前端にホルダ部を設け、このホルダ部に前処理部の略々全幅に亘って延設された左右の横伝動筒をボルトによって取付けたコンバインが案出されている(特許文献1参照)。また、8条分の穀稈を刈取り、脱穀する大型の8条刈りコンバインも案出されている(特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2007−252235号公報
【特許文献2】実開昭55−81534号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した縦伝動筒と横伝動筒との連結部は、横伝動筒のフランジ部が複数のボルトによって縦伝動筒のホルダ部に強固に取付けられているが、この連結部には前処理部の荷重が全て掛かるため、その取付け強度は高いほど望ましい。特に、例えば特許文献2記載の8条刈りのコンバインのような大型のコンバインになると前処理部全体が大きくなり、それに伴って横伝動筒も長くなり、連結部に掛かる荷重が増えるため、連結部の取付け強度の更なる向上が望まれていた。
【0005】
そこで本願発明は、掻込搬送装置を支持する支持フレームの取付け部を、縦伝動筒のホルダ部を跨ぐように構成し、このホルダ部を挟んで左右に横伝動筒に連結したことによって、上記課題を解決したコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、機体前方に昇降自在に設けられた前処理部(5)を支持すると共に該前処理部(5)に動力を伝達する縦伝動筒(12)と、前記縦伝動筒(12)の前端に設けられたホルダ部(12a)に取付けられ、前記前処理部(5)の機体幅方向に延設された左右の横伝動筒(21L,21R)と、該横伝動筒(21L,21R)から機体前方に突出し、機体幅方向に所定間隔を有して設けられた複数の支持フレーム(56)と、これらの各支持フレーム(56)に取付けられ、穀稈の株元側を掻き込んで後送する掻込搬送装置(17)とを備えたコンバイン(1)において、
前記縦伝動筒(12)と前記横伝動筒(21L,21R)との連結部(55)近傍の前記支持フレーム(56)の取付け部(57)を、前記縦伝動筒(12)のホルダ部(12a)を跨ぐように構成し、該縦伝動筒(12)のホルダ部(12a)を挟んで前記左右の横伝動筒(21L,21R)に連結した、
ことを特徴とするコンバイン(1)にある。
【0007】
請求項2に係る発明は、前記縦伝動筒(12)のホルダ部(12a)を挟んで前記左右の横伝動筒(21L,21R)に連結された前記支持フレーム(56)は、前記前処理部(5)の機体幅方向中央部に位置すると共に、該支持フレーム(56)に前記掻込搬送装置(17a)が後送した穀稈の株元側を搬送する株元搬送装置(45,46)の搬送ガイドを設けた、請求項1記載のコンバイン(1)にある。
【0008】
なお、括弧内の符号等は、図面と対照するためのものであるが、これにより特許請求の範囲に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によると、掻込搬送装置の支持フレームの取付け部を、縦伝動筒のホルダ部を跨いで左右の横伝動筒に連結したことによって、この支持フレームが縦伝動筒と横伝動筒との連結部の補強となって、その取付け強度を向上させることができる。また、連結部の補強として掻込搬送装置の支持フレームを使用したため、新たに補強のための部材を設ける必要がなく、部品点数を少なくできると共に、コンパクトな構成とすることができる。
【0010】
請求項2に係る発明によると、掻込搬送装置の支持フレームに株元搬送装置の搬送ガイドを取付けたことによって、穀稈の搬送がスムーズになる。また、連結部を補強する支持フレームは、前処理部の中央で掻込搬送装置を支持しているため、連結部と機体前後方向に略々一直線状に位置しており、支持フレームの形状によって掻込搬送装置の位置合わせの必要がなく、連結部から前方に突出したシンプルな構成とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に図面に沿って、本願発明の実施の形態に係るコンバイン1について説明をする。なお、説明中の方向は作業者が機体に着座した状態を基準として考えるものとする。また、伝動筒(例えば縦伝動筒12、横伝動筒21、引起し伝動筒25、中間伝動筒27など)は伝動軸(12b,21b,27a)を内装しており、伝動筒により動力伝達が行われるとは、これら伝動筒に内装された伝動軸によって動力が伝達されることを意味する。
【0012】
図1乃至図3に示すように、コンバイン1は8条刈りのコンバインであり、左右一対のクローラ走行装置2,2に支持された機体3を有している。機体3の前方には作業者が運転操作するキャビン6が設けられていると共に前処理部5が昇降自在に取付けられており、この前処理部5の後方には、穀稈を脱穀する脱穀部7及び排藁を処理する後処理部9が設けられている。また、脱穀された穀粒は、脱穀部7の側方かつ、キャビン6の後方に設けられたグレンタンク10に一時的に貯留され、排出オーガ11によって機外へと排出されるように構成されている。
【0013】
図4乃至図8に示すように、上記前処理部5は、エンジン(不図示)からの動力を前処理部5に伝達する縦伝動筒12によって昇降自在に支持されており、前処理部5の前部に複数設けられたデバイダ13と、デバイダ13の後方で分草された穀稈を引起す引起装置15と、穀稈を刈取るレシプロ式の刈刃16aを有する刈取装置16と、引起された穀稈の株元側を掻き込む掻込搬送装置17と、刈取装置16によって刈取られた穀稈を搬送して脱穀部7のフィードチェーン19に受け渡す穀稈搬送装置20とから構成されている。
【0014】
上記縦伝動筒12の前端部は、前処理部5の下端部の略々全幅に亘って延設された左右の横伝動筒21L,21Rと連結しており、該横伝動筒21L,21Rによって刈取装置16に動力が伝達されている。また、図6に示すように、横伝動筒21には、その前方で機体幅方向に延設された横フレーム22がブラケット(不図示)及び左右のサイドフレーム24L,24Rを介して取付けられており、この横伝動筒21及び横フレーム22からなる横フレーム部21,22と、横フレーム22から機体前方に向って突設し、その先端にデバイダ13が取付けられるデバイダフレーム23・・・及び前処理部5の刈幅の両端に位置する左右のサイドフレーム24L,24Rからなる9本の縦フレーム部23,24L,24Rによって前処理部5の前処理フレーム28が構成されている。また、左右のサイドフレーム24L,24Rの先端にもデバイダ13,13は取付けられ、これらのデバイダ13,13はナローガイド14,14によってその分草位置を調節可能に構成されている。
【0015】
上述した9本のデバイダ13・・・のうち左端から数えて4番目、右端から数えて6番目の機体中央側のデバイダ13aはコンバイン1の刈取り基準位置となっており、デバイダ13はこの刈取り基準位置にあるデバイダ13aが左右の穀稈の中央にある際に、他のデバイダ13が尺植えでも尺一寸植えでも穀稈の株を割らないように配設されている。特に、刈取り基準位置から離れるため穀稈の株を割りやすい左右端から数えて2番目のデバイダ13b,13bのデバイダフレーム23b,23bは、株を割らないように機体外側に屈曲して形成されている。
【0016】
また、刈取り基準位置のデバイダ13aのデバイダフレーム23aには、機体の方向自動制御用の方向センサ18が設けられており、この方向センサ18はデバイダフレーム23aから左右に延びたセンサバー18L,18Rを有し、左右のセンサバー18L,18Rと穀稈とが接触することによって、穀稈とデバイダ13aとの位置関係を検出している。
【0017】
この方向センサ18からの検出信号は、コンバイン1の機体進行方向を制御する方向自動制御手段(不図示)によって検出され、機体3は、左右のセンサバー18L,18Rと穀稈が接触していない場合は直進、左右どちらか一方のセンサバー18L,18Rが穀稈と接触している場合は左右のサイドクラッチ(不図示)を断接して、接触しているセンサバー18L,18Rとは逆方向に進むように方向自動制御手段によって進行方向を制御される。また、左右のセンサバー18L,18Rが共に穀稈に接触している場合には、コンバイン1の機体3は右方向に進むように進行方向を制御される。
【0018】
なお、刈取り基準位置は、左端から数えて6番目、右端から数えて4番目のデバイダ13cにしてもよく、方向センサ18もこのデバイダ13cを支持するデバイダフレーム23cに取付けても良い。また、これら刈取り基準位置のデバイダ13a,13cを支持するデバイダフレーム23a,23c両方に方向センサ18を取付け、一方を通常の方向制御用とし、他方を中割制御用として使用しても良い。
【0019】
一方、図5及び図8に示すように、前処理部5の上部には各引起装置15に動力を伝達する引起し伝動筒25が機体幅方向に延設されており、中間伝動筒27を介して横伝動筒21から動力が伝達されている。中間伝動筒27は上記横伝動筒21の左端から機体上方に向けて立設されており、その引起し伝動筒25との連結部には圃場の穀稈の状況に応じて引起装置15の引起し速度を変速する引起し変速装置26が設けられている。
【0020】
次に、掻込搬送装置17について説明をする。掻込搬送装置17は、引起装置15によって引起された穀稈の株元を掻き込む掻込ベルト31と、掻込ベルト31によって掻き込まれた穀稈を集束するスターホイール32とから構成されており、これら掻込ベルト31及びスターホイール32は、それぞれ刈取り条数に対応した数(本実施形態においては8つ)だけ設けられている。
【0021】
上記スターホイール32は、樹脂からなる略々星型の部材であり、一対のスターホイール間を噛合させて穀稈の搬送路を形成している。図8に示すように、スターホイール32a,32b,32c,32d,32e,32f,32g,32hは、4組のスターホイール対33A,33B,33C,33Dを形成しており、このうち機体左右外側の2組のスターホイール対33A,33Dは、機体内側の2組のスターホイール対33B,33Cに対して平面視で上下に重複して配置されている。
【0022】
また、上記機体内側の2組のスターホイール対33B,33Cは、穀稈の搬送路ではない機体中央部の隣接する2つのスターホイール32d,32eも噛合させており、これら機体内側の2組のスターホイール対間Tにおいて動力伝達する構成となっている。
【0023】
更に、これらスターホイール32a,32b,32c,32d,32e,32f,32g,32hと、掻込ベルト31とは同軸上に設けられ、同期して回転するように構成されており、詳しくは後述する駆動側のスターホイール32a,32d,32e,32hの取付軸95,62,61,93に動力が伝達されて駆動している。
【0024】
次に、穀稈搬送装置20について説明をする。穀稈搬送装置20は、刈取装置16によって刈取られた穀稈の穂先側を搬送する穂先搬送装置20aと、株元側を搬送する株元搬送装置20bとからなり、該穂先搬送装置20aは、図9に示すように機体搬送方向右端から中央部まで機体幅方向に長く延設されると共に、該中央部で機体後方側に変向し、穀稈の穂先側を縦方向に脱穀部7まで搬送する右主穂先搬送装置36と、機体搬送方向左端から中央部まで延設され、穀稈の合流搬送部Iである前処理部5の中央部において、搬送してきた穀稈の穂先側を右主穂先搬送装置36に受け渡す左主穂先搬送装置35と、これら左右の主穂先搬送装置35,36間に位置し、前処理中央部で刈取られた穀稈の穂先側を後方に搬送して、左右の穂先搬送装置にそれぞれ受け渡す左右の副穂先搬送装置37,39と、前処理部5の左右端部において刈取られた穀稈の穂先上段を搬送する左右の上段穂先搬送装置40,41とから構成されている。
【0025】
また、株元搬送装置20bは、図10に示すように上記穂先搬送装置20aの下方に位置し、機体進行方向右端から中央部まで延設された右主株元搬送装置43と、機体進行方向左端から合流搬送部Iである前処理部の中央部まで延設された左主株元搬送装置42と、これら左右の主株元搬送装置42,43の間に配置され、前処理中央部において刈取られた穀稈を後送する左右の副株元搬送装置45,46と、合流搬送部Iで合流した穀稈の株元側を搬送し、穀稈の扱ぎ深さを調節する扱深搬送装置49と、扱深搬送装置49から搬送されてきた穀稈の株元側をフィードチェーン19へと受け渡す補助株元搬送装置47などから構成されている。なお、これら穂先搬送装置20a及び株元搬送装置20bは、複数のスプロケット間にタイン(爪付きチェーン)もしくはチェーンを巻装して構成されており、穀稈の穂先側の搬送はタイン、株元側の搬送はチェーンでおこなわれる。
【0026】
次に、前処理部5の取付け構造について説明をする。図7、図11及び図12に示すように、縦伝動筒12の前端には鋳物によって形成されたホルダ部12aが設けられており、このホルダ部12aの側部には、左右の横伝動筒21L,21Rがフランジ部21aを複数のボルト53によって固定されることで取付けられている。これら縦伝動筒12と左右の横伝動筒21L,21Rとの連結部55は、前処理部5の機体幅方向中央部に位置しており、その前方には中央左右の掻込搬送装置17a,17a及びデバイダ13dが配設されている(図5参照)。
【0027】
掻込搬送装置17は、横フレーム部21,22である左右の横伝動筒21L,21Rから機体前方に突設された支持フレームによって取付けられていると共に、上述した中央左右の掻込搬送装置17a,17aの支持フレーム56は、横長に形成された断面L字状のプレート部材57a及びその中央から上方に立設した円柱部材57bからなる取付部57と、該円柱部材57bの上端から機体前方に突出する縦部材59a及びこの縦部材59aの中途部から直交する方向に延設された横部材59bからなるフレーム部59とによって構成されており、横部材59bの左右端に設けられたボス部60,60には中央左右の掻込搬送装置17a,17aの取付軸61,62がそれぞれ嵌挿されて、掻込ベルト31,31、スターホイール32d,32e及び左右の副株元搬送装置45,46が取付けられている。
【0028】
また、この支持フレーム56の取付部57のプレート部材57aは、縦伝動筒12と横伝動筒21の連結部55を跨ぐように機体幅方向に長く形成されており、この連結部55を挟んで左右の横伝動筒21L,21Rにボルト63,63によって取付けられている。更に、支持フレーム56は、縦部材59aの前端部もデバイダフレーム23dに設けられたブラケット65にボルト66によって固定されていると共に、横部材59bの左右端には掻込搬送装置17a,17aの他に、左右の副株元搬送装置45,46の従動スプロケット45c,46c及びこれら中央左右の掻込搬送装置17a,17aが後送した穀稈の株元側を案内する左右の副株元搬送装置45,46の搬送ガイド67,67が機体後方側に向って取付けられている。上記副株元搬送装置45,46は、従動スプロケット45c,45b,46c,46b及び支持フレーム46の後方に位置する駆動スプロケット45d,46dに搬送チェーン45a,46aが巻着することによって構成されている。
【0029】
なお、支持フレーム56の取付部57のプレート部材57aはボルト63,63ではなく、溶接などの他の連結手段によって左右の横伝動筒21L,21Rに取付けられてもよく、また、当然に横伝動筒21L,21Rだけでなく縦伝動筒12のホルダ部12aにも連結されてよい。
【0030】
次に前処理部5の動力伝達について説明をする。図13に示すように、エンジンからの動力が入力される搬送HST69の出力軸70に設けられたプーリ70aと、縦伝動筒12の前処理入力プーリ71との間にはべルト72が巻着しており、前処理部5へとエンジンからの動力が伝達されている。この縦伝動筒12の縦伝動軸12bからの動力は、横伝動筒21の横伝動軸21bに伝達されると共に、中間伝動筒27の中間伝動軸27aを介して引起し伝動筒25の引起し伝動軸25aへと伝達される。また、縦伝動筒12の中途部からは、複数の副伝動軸が分岐しており、これらの副伝動軸に設けられた複数の駆動スプロケット73,75,76,77,45d,46d,81,82によって、上述した右主穂先搬送装置36、補助株元搬送装置47、右主株元搬送装置43、扱深搬送装置49、左副株元搬送装置45、左副穂先搬送装置37、右副株元搬送装置46及び右副穂先搬送装置39を駆動させている。
【0031】
更に、横伝動筒21の両端に設けられた刈刃駆動部16b,16bによって、刈取装置16の刈刃16aが駆動していると共に、中間伝動筒27の中間伝動軸27aから分岐した副伝動軸83には駆動スプロケット85,86,87が設けられており、左主株元搬送装置42、左主穂先搬送装置35及び左上段穂先搬送装置40に動力を伝達している。また、中間伝動筒27に設けられた引起し変速装置26の変速駆動軸26b(中間伝動筒27の中間伝動軸27aの上端部)と変速従動軸26aとの間には複数の変速ギヤが設けられ、これらの噛合によって変速された動力が引起し伝動筒25の引起し伝動軸25aに伝達される。
【0032】
上記引起し伝動筒25からは、機体前方に向けて複数の穂先伝動筒89が突設しており、該穂先伝動筒89の穂先伝動軸89aの先端には駆動スプロケット90が設けられていると共に、これら駆動スプロケット90によって引起装置15に動力が伝達されている。
【0033】
上述した左主株元搬送装置42及び右主株元搬送装置43の従動スプロケット91,92は、それぞれ機体左右端に設けられたスターホイール32h,32aの取付軸93,95に固設されており、この取付軸93,95に動力を伝達して駆動側のスターホイール32h,32aを回転させている。また、左右の副株元搬送装置45,46の従動スプロケット45b,46bのうち、右副株元搬送装置46の従動スプロケット46bは、機体中央のスターホイール32dの取付軸62に固設されており、駆動側のスターホイール32dを回転させると共に、左副株元搬送装置45の従動スプロケット45bは、機体中央のスターホイール32eの取付軸61に遊嵌されている。
【0034】
そのため、4組のスターホイール対33A,33B,33C,33Dのうち、機体外側のスターホイール対33A,33Dは、駆動側のスターホイール32a,32hによって従動側のスターホイール32b,32g及び掻込ベルト31を駆動させていると共に、機体内側のスターホイール対33B,33Cは駆動側のスターホイール32dによって、従動側のスターホイール32c及び掻込ベルト31を駆動させ、またスターホイール32d,32eの噛合によって従動側のスターホイール32f及び掻込ベルト31も駆動させている。
【0035】
なお、7条刈りコンバインとして構成する際には、機体内側のスターホイール対33B,33Cのうち、32c,32fのスターホイールのどちらか一方が抜けた構成となり、32d,32eのスターホイールのうち、どちらか一方はガイドとの間に穀稈の搬送路を形成することとなる。
【0036】
次に、本実施形態に係るコンバイン1の作用について説明する。作業者はコンバイン1に乗込むと、刈取り基準位置である左端から数えて4番目のデバイダ13aが左右の穀稈の中央に位置するように機体3を操舵し、収穫作業を開始する。収穫作業が始まると、コンバイン1の前処理部5は、デバイダ13によって分草された穀稈を掻込搬送装置17によって後送し穀稈搬送装置20に受け渡すと共に、この穀稈搬送装置20によって穀稈を脱穀部7に搬送する。
【0037】
上記コンバイン1は8条刈りのコンバインであるため、前処理部5が幅方向に長く構成されており、その重量を支持する縦伝動筒12と左右の横伝動筒21L,21Rとの連結部55には、大きな荷重が掛かっていると共に、左右幅が長くなるため刈取りの際に穀稈から受ける左右の横伝動筒21L,21Rのモーメントも大きくなり、連結部55に掛かる荷重が更に大きくなっている。
【0038】
しかし、中央左右の掻込搬送装置17a,17aの支持フレーム56の取付け部57が連結部55を挟んで左右の横伝動筒21L,21Rに連結されており、この取付け部57が連結部55の補強となっているため、作業者は連結部55の強度不足による不快な横伝動筒のガタなどを感じずに安心して収穫作業を進めていく。
【0039】
上記のようにコンバイン1を構成したことによって、前処理部5の中央左右の掻込搬送装置17a,17aの支持フレーム56の取付け部57が縦伝動筒12のホルダ部12aを跨いで左右の横伝動筒21L,21Rに連結され、この支持フレーム56を縦伝動筒12と横伝動筒21の連結部55の補強とすることができる。それにより、連結部55の取付け強度が高まると共に、新たに補強のための部材を設ける必要がなく、部品点数を少なくでき、また、コンパクトな構成とすることができる。
【0040】
更に、8条刈りのコンバイン1では、中央左右の掻込搬送装置17a,17a支持フレーム56が、連結部55の前方に位置するため、連結部55と機体前後方向に略々一直線状となり、支持フレーム56の形状によって掻込搬送装置17a,17aを位置合わせする必要がなく、連結部55から前方に突出したシンプルな構成とすることができる。
【0041】
また、支持フレーム56に左右の副株元搬送装置45,46の搬送ガイド67,67を取付けたことによって、その構成がよりシンプルになると共に、穀稈をよりスムーズに搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本願発明の実施形態に係るコンバインの側面図。
【図2】本願発明の実施形態に係るコンバインの正面図。
【図3】本願発明の実施形態に係るコンバインの平面図。
【図4】本願発明の実施形態に係る前処理部の側面図。
【図5】本願発明の実施形態に係る前処理部の正面図。
【図6】本願発明の実施形態に係る前処理部の伝動平面図。
【図7】本願発明の実施形態に係る前処理部の伝動正面図。
【図8】本願発明の実施形態に係る前処理部の伝動正面図。
【図9】本願発明の実施形態に係る前処理部の穂先搬送装置を示す伝動平面図。
【図10】本願発明の実施形態に係る前処理部の株元搬送装置を示す伝動平面図。
【図11】本願発明の実施形態に係る中央左右の株元搬送装置を示す分解斜視図。
【図12】本願発明の実施形態に係る中央左右の株元搬送装置を示す斜視図。
【図13】本願発明の実施形態に係るコンバインの伝動展開図。
【符号の説明】
【0043】
1 コンバイン
5 前処理部
12 縦伝動筒
12a 縦伝動筒のホルダ部
17 掻込搬送装置
17a 中央左右の掻込搬送装置
21L,21R 左右の横伝動筒
45,46 左右の副株元搬送装置(株元搬送装置)
56 掻込搬送装置の支持フレーム
【技術分野】
【0001】
本願発明は、多条列の穀稈を刈取りつつ脱穀するコンバインに係り、詳しくは、例えば8条刈りの大型コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前処理部を支持する縦伝動筒の前端にホルダ部を設け、このホルダ部に前処理部の略々全幅に亘って延設された左右の横伝動筒をボルトによって取付けたコンバインが案出されている(特許文献1参照)。また、8条分の穀稈を刈取り、脱穀する大型の8条刈りコンバインも案出されている(特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2007−252235号公報
【特許文献2】実開昭55−81534号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した縦伝動筒と横伝動筒との連結部は、横伝動筒のフランジ部が複数のボルトによって縦伝動筒のホルダ部に強固に取付けられているが、この連結部には前処理部の荷重が全て掛かるため、その取付け強度は高いほど望ましい。特に、例えば特許文献2記載の8条刈りのコンバインのような大型のコンバインになると前処理部全体が大きくなり、それに伴って横伝動筒も長くなり、連結部に掛かる荷重が増えるため、連結部の取付け強度の更なる向上が望まれていた。
【0005】
そこで本願発明は、掻込搬送装置を支持する支持フレームの取付け部を、縦伝動筒のホルダ部を跨ぐように構成し、このホルダ部を挟んで左右に横伝動筒に連結したことによって、上記課題を解決したコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、機体前方に昇降自在に設けられた前処理部(5)を支持すると共に該前処理部(5)に動力を伝達する縦伝動筒(12)と、前記縦伝動筒(12)の前端に設けられたホルダ部(12a)に取付けられ、前記前処理部(5)の機体幅方向に延設された左右の横伝動筒(21L,21R)と、該横伝動筒(21L,21R)から機体前方に突出し、機体幅方向に所定間隔を有して設けられた複数の支持フレーム(56)と、これらの各支持フレーム(56)に取付けられ、穀稈の株元側を掻き込んで後送する掻込搬送装置(17)とを備えたコンバイン(1)において、
前記縦伝動筒(12)と前記横伝動筒(21L,21R)との連結部(55)近傍の前記支持フレーム(56)の取付け部(57)を、前記縦伝動筒(12)のホルダ部(12a)を跨ぐように構成し、該縦伝動筒(12)のホルダ部(12a)を挟んで前記左右の横伝動筒(21L,21R)に連結した、
ことを特徴とするコンバイン(1)にある。
【0007】
請求項2に係る発明は、前記縦伝動筒(12)のホルダ部(12a)を挟んで前記左右の横伝動筒(21L,21R)に連結された前記支持フレーム(56)は、前記前処理部(5)の機体幅方向中央部に位置すると共に、該支持フレーム(56)に前記掻込搬送装置(17a)が後送した穀稈の株元側を搬送する株元搬送装置(45,46)の搬送ガイドを設けた、請求項1記載のコンバイン(1)にある。
【0008】
なお、括弧内の符号等は、図面と対照するためのものであるが、これにより特許請求の範囲に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によると、掻込搬送装置の支持フレームの取付け部を、縦伝動筒のホルダ部を跨いで左右の横伝動筒に連結したことによって、この支持フレームが縦伝動筒と横伝動筒との連結部の補強となって、その取付け強度を向上させることができる。また、連結部の補強として掻込搬送装置の支持フレームを使用したため、新たに補強のための部材を設ける必要がなく、部品点数を少なくできると共に、コンパクトな構成とすることができる。
【0010】
請求項2に係る発明によると、掻込搬送装置の支持フレームに株元搬送装置の搬送ガイドを取付けたことによって、穀稈の搬送がスムーズになる。また、連結部を補強する支持フレームは、前処理部の中央で掻込搬送装置を支持しているため、連結部と機体前後方向に略々一直線状に位置しており、支持フレームの形状によって掻込搬送装置の位置合わせの必要がなく、連結部から前方に突出したシンプルな構成とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に図面に沿って、本願発明の実施の形態に係るコンバイン1について説明をする。なお、説明中の方向は作業者が機体に着座した状態を基準として考えるものとする。また、伝動筒(例えば縦伝動筒12、横伝動筒21、引起し伝動筒25、中間伝動筒27など)は伝動軸(12b,21b,27a)を内装しており、伝動筒により動力伝達が行われるとは、これら伝動筒に内装された伝動軸によって動力が伝達されることを意味する。
【0012】
図1乃至図3に示すように、コンバイン1は8条刈りのコンバインであり、左右一対のクローラ走行装置2,2に支持された機体3を有している。機体3の前方には作業者が運転操作するキャビン6が設けられていると共に前処理部5が昇降自在に取付けられており、この前処理部5の後方には、穀稈を脱穀する脱穀部7及び排藁を処理する後処理部9が設けられている。また、脱穀された穀粒は、脱穀部7の側方かつ、キャビン6の後方に設けられたグレンタンク10に一時的に貯留され、排出オーガ11によって機外へと排出されるように構成されている。
【0013】
図4乃至図8に示すように、上記前処理部5は、エンジン(不図示)からの動力を前処理部5に伝達する縦伝動筒12によって昇降自在に支持されており、前処理部5の前部に複数設けられたデバイダ13と、デバイダ13の後方で分草された穀稈を引起す引起装置15と、穀稈を刈取るレシプロ式の刈刃16aを有する刈取装置16と、引起された穀稈の株元側を掻き込む掻込搬送装置17と、刈取装置16によって刈取られた穀稈を搬送して脱穀部7のフィードチェーン19に受け渡す穀稈搬送装置20とから構成されている。
【0014】
上記縦伝動筒12の前端部は、前処理部5の下端部の略々全幅に亘って延設された左右の横伝動筒21L,21Rと連結しており、該横伝動筒21L,21Rによって刈取装置16に動力が伝達されている。また、図6に示すように、横伝動筒21には、その前方で機体幅方向に延設された横フレーム22がブラケット(不図示)及び左右のサイドフレーム24L,24Rを介して取付けられており、この横伝動筒21及び横フレーム22からなる横フレーム部21,22と、横フレーム22から機体前方に向って突設し、その先端にデバイダ13が取付けられるデバイダフレーム23・・・及び前処理部5の刈幅の両端に位置する左右のサイドフレーム24L,24Rからなる9本の縦フレーム部23,24L,24Rによって前処理部5の前処理フレーム28が構成されている。また、左右のサイドフレーム24L,24Rの先端にもデバイダ13,13は取付けられ、これらのデバイダ13,13はナローガイド14,14によってその分草位置を調節可能に構成されている。
【0015】
上述した9本のデバイダ13・・・のうち左端から数えて4番目、右端から数えて6番目の機体中央側のデバイダ13aはコンバイン1の刈取り基準位置となっており、デバイダ13はこの刈取り基準位置にあるデバイダ13aが左右の穀稈の中央にある際に、他のデバイダ13が尺植えでも尺一寸植えでも穀稈の株を割らないように配設されている。特に、刈取り基準位置から離れるため穀稈の株を割りやすい左右端から数えて2番目のデバイダ13b,13bのデバイダフレーム23b,23bは、株を割らないように機体外側に屈曲して形成されている。
【0016】
また、刈取り基準位置のデバイダ13aのデバイダフレーム23aには、機体の方向自動制御用の方向センサ18が設けられており、この方向センサ18はデバイダフレーム23aから左右に延びたセンサバー18L,18Rを有し、左右のセンサバー18L,18Rと穀稈とが接触することによって、穀稈とデバイダ13aとの位置関係を検出している。
【0017】
この方向センサ18からの検出信号は、コンバイン1の機体進行方向を制御する方向自動制御手段(不図示)によって検出され、機体3は、左右のセンサバー18L,18Rと穀稈が接触していない場合は直進、左右どちらか一方のセンサバー18L,18Rが穀稈と接触している場合は左右のサイドクラッチ(不図示)を断接して、接触しているセンサバー18L,18Rとは逆方向に進むように方向自動制御手段によって進行方向を制御される。また、左右のセンサバー18L,18Rが共に穀稈に接触している場合には、コンバイン1の機体3は右方向に進むように進行方向を制御される。
【0018】
なお、刈取り基準位置は、左端から数えて6番目、右端から数えて4番目のデバイダ13cにしてもよく、方向センサ18もこのデバイダ13cを支持するデバイダフレーム23cに取付けても良い。また、これら刈取り基準位置のデバイダ13a,13cを支持するデバイダフレーム23a,23c両方に方向センサ18を取付け、一方を通常の方向制御用とし、他方を中割制御用として使用しても良い。
【0019】
一方、図5及び図8に示すように、前処理部5の上部には各引起装置15に動力を伝達する引起し伝動筒25が機体幅方向に延設されており、中間伝動筒27を介して横伝動筒21から動力が伝達されている。中間伝動筒27は上記横伝動筒21の左端から機体上方に向けて立設されており、その引起し伝動筒25との連結部には圃場の穀稈の状況に応じて引起装置15の引起し速度を変速する引起し変速装置26が設けられている。
【0020】
次に、掻込搬送装置17について説明をする。掻込搬送装置17は、引起装置15によって引起された穀稈の株元を掻き込む掻込ベルト31と、掻込ベルト31によって掻き込まれた穀稈を集束するスターホイール32とから構成されており、これら掻込ベルト31及びスターホイール32は、それぞれ刈取り条数に対応した数(本実施形態においては8つ)だけ設けられている。
【0021】
上記スターホイール32は、樹脂からなる略々星型の部材であり、一対のスターホイール間を噛合させて穀稈の搬送路を形成している。図8に示すように、スターホイール32a,32b,32c,32d,32e,32f,32g,32hは、4組のスターホイール対33A,33B,33C,33Dを形成しており、このうち機体左右外側の2組のスターホイール対33A,33Dは、機体内側の2組のスターホイール対33B,33Cに対して平面視で上下に重複して配置されている。
【0022】
また、上記機体内側の2組のスターホイール対33B,33Cは、穀稈の搬送路ではない機体中央部の隣接する2つのスターホイール32d,32eも噛合させており、これら機体内側の2組のスターホイール対間Tにおいて動力伝達する構成となっている。
【0023】
更に、これらスターホイール32a,32b,32c,32d,32e,32f,32g,32hと、掻込ベルト31とは同軸上に設けられ、同期して回転するように構成されており、詳しくは後述する駆動側のスターホイール32a,32d,32e,32hの取付軸95,62,61,93に動力が伝達されて駆動している。
【0024】
次に、穀稈搬送装置20について説明をする。穀稈搬送装置20は、刈取装置16によって刈取られた穀稈の穂先側を搬送する穂先搬送装置20aと、株元側を搬送する株元搬送装置20bとからなり、該穂先搬送装置20aは、図9に示すように機体搬送方向右端から中央部まで機体幅方向に長く延設されると共に、該中央部で機体後方側に変向し、穀稈の穂先側を縦方向に脱穀部7まで搬送する右主穂先搬送装置36と、機体搬送方向左端から中央部まで延設され、穀稈の合流搬送部Iである前処理部5の中央部において、搬送してきた穀稈の穂先側を右主穂先搬送装置36に受け渡す左主穂先搬送装置35と、これら左右の主穂先搬送装置35,36間に位置し、前処理中央部で刈取られた穀稈の穂先側を後方に搬送して、左右の穂先搬送装置にそれぞれ受け渡す左右の副穂先搬送装置37,39と、前処理部5の左右端部において刈取られた穀稈の穂先上段を搬送する左右の上段穂先搬送装置40,41とから構成されている。
【0025】
また、株元搬送装置20bは、図10に示すように上記穂先搬送装置20aの下方に位置し、機体進行方向右端から中央部まで延設された右主株元搬送装置43と、機体進行方向左端から合流搬送部Iである前処理部の中央部まで延設された左主株元搬送装置42と、これら左右の主株元搬送装置42,43の間に配置され、前処理中央部において刈取られた穀稈を後送する左右の副株元搬送装置45,46と、合流搬送部Iで合流した穀稈の株元側を搬送し、穀稈の扱ぎ深さを調節する扱深搬送装置49と、扱深搬送装置49から搬送されてきた穀稈の株元側をフィードチェーン19へと受け渡す補助株元搬送装置47などから構成されている。なお、これら穂先搬送装置20a及び株元搬送装置20bは、複数のスプロケット間にタイン(爪付きチェーン)もしくはチェーンを巻装して構成されており、穀稈の穂先側の搬送はタイン、株元側の搬送はチェーンでおこなわれる。
【0026】
次に、前処理部5の取付け構造について説明をする。図7、図11及び図12に示すように、縦伝動筒12の前端には鋳物によって形成されたホルダ部12aが設けられており、このホルダ部12aの側部には、左右の横伝動筒21L,21Rがフランジ部21aを複数のボルト53によって固定されることで取付けられている。これら縦伝動筒12と左右の横伝動筒21L,21Rとの連結部55は、前処理部5の機体幅方向中央部に位置しており、その前方には中央左右の掻込搬送装置17a,17a及びデバイダ13dが配設されている(図5参照)。
【0027】
掻込搬送装置17は、横フレーム部21,22である左右の横伝動筒21L,21Rから機体前方に突設された支持フレームによって取付けられていると共に、上述した中央左右の掻込搬送装置17a,17aの支持フレーム56は、横長に形成された断面L字状のプレート部材57a及びその中央から上方に立設した円柱部材57bからなる取付部57と、該円柱部材57bの上端から機体前方に突出する縦部材59a及びこの縦部材59aの中途部から直交する方向に延設された横部材59bからなるフレーム部59とによって構成されており、横部材59bの左右端に設けられたボス部60,60には中央左右の掻込搬送装置17a,17aの取付軸61,62がそれぞれ嵌挿されて、掻込ベルト31,31、スターホイール32d,32e及び左右の副株元搬送装置45,46が取付けられている。
【0028】
また、この支持フレーム56の取付部57のプレート部材57aは、縦伝動筒12と横伝動筒21の連結部55を跨ぐように機体幅方向に長く形成されており、この連結部55を挟んで左右の横伝動筒21L,21Rにボルト63,63によって取付けられている。更に、支持フレーム56は、縦部材59aの前端部もデバイダフレーム23dに設けられたブラケット65にボルト66によって固定されていると共に、横部材59bの左右端には掻込搬送装置17a,17aの他に、左右の副株元搬送装置45,46の従動スプロケット45c,46c及びこれら中央左右の掻込搬送装置17a,17aが後送した穀稈の株元側を案内する左右の副株元搬送装置45,46の搬送ガイド67,67が機体後方側に向って取付けられている。上記副株元搬送装置45,46は、従動スプロケット45c,45b,46c,46b及び支持フレーム46の後方に位置する駆動スプロケット45d,46dに搬送チェーン45a,46aが巻着することによって構成されている。
【0029】
なお、支持フレーム56の取付部57のプレート部材57aはボルト63,63ではなく、溶接などの他の連結手段によって左右の横伝動筒21L,21Rに取付けられてもよく、また、当然に横伝動筒21L,21Rだけでなく縦伝動筒12のホルダ部12aにも連結されてよい。
【0030】
次に前処理部5の動力伝達について説明をする。図13に示すように、エンジンからの動力が入力される搬送HST69の出力軸70に設けられたプーリ70aと、縦伝動筒12の前処理入力プーリ71との間にはべルト72が巻着しており、前処理部5へとエンジンからの動力が伝達されている。この縦伝動筒12の縦伝動軸12bからの動力は、横伝動筒21の横伝動軸21bに伝達されると共に、中間伝動筒27の中間伝動軸27aを介して引起し伝動筒25の引起し伝動軸25aへと伝達される。また、縦伝動筒12の中途部からは、複数の副伝動軸が分岐しており、これらの副伝動軸に設けられた複数の駆動スプロケット73,75,76,77,45d,46d,81,82によって、上述した右主穂先搬送装置36、補助株元搬送装置47、右主株元搬送装置43、扱深搬送装置49、左副株元搬送装置45、左副穂先搬送装置37、右副株元搬送装置46及び右副穂先搬送装置39を駆動させている。
【0031】
更に、横伝動筒21の両端に設けられた刈刃駆動部16b,16bによって、刈取装置16の刈刃16aが駆動していると共に、中間伝動筒27の中間伝動軸27aから分岐した副伝動軸83には駆動スプロケット85,86,87が設けられており、左主株元搬送装置42、左主穂先搬送装置35及び左上段穂先搬送装置40に動力を伝達している。また、中間伝動筒27に設けられた引起し変速装置26の変速駆動軸26b(中間伝動筒27の中間伝動軸27aの上端部)と変速従動軸26aとの間には複数の変速ギヤが設けられ、これらの噛合によって変速された動力が引起し伝動筒25の引起し伝動軸25aに伝達される。
【0032】
上記引起し伝動筒25からは、機体前方に向けて複数の穂先伝動筒89が突設しており、該穂先伝動筒89の穂先伝動軸89aの先端には駆動スプロケット90が設けられていると共に、これら駆動スプロケット90によって引起装置15に動力が伝達されている。
【0033】
上述した左主株元搬送装置42及び右主株元搬送装置43の従動スプロケット91,92は、それぞれ機体左右端に設けられたスターホイール32h,32aの取付軸93,95に固設されており、この取付軸93,95に動力を伝達して駆動側のスターホイール32h,32aを回転させている。また、左右の副株元搬送装置45,46の従動スプロケット45b,46bのうち、右副株元搬送装置46の従動スプロケット46bは、機体中央のスターホイール32dの取付軸62に固設されており、駆動側のスターホイール32dを回転させると共に、左副株元搬送装置45の従動スプロケット45bは、機体中央のスターホイール32eの取付軸61に遊嵌されている。
【0034】
そのため、4組のスターホイール対33A,33B,33C,33Dのうち、機体外側のスターホイール対33A,33Dは、駆動側のスターホイール32a,32hによって従動側のスターホイール32b,32g及び掻込ベルト31を駆動させていると共に、機体内側のスターホイール対33B,33Cは駆動側のスターホイール32dによって、従動側のスターホイール32c及び掻込ベルト31を駆動させ、またスターホイール32d,32eの噛合によって従動側のスターホイール32f及び掻込ベルト31も駆動させている。
【0035】
なお、7条刈りコンバインとして構成する際には、機体内側のスターホイール対33B,33Cのうち、32c,32fのスターホイールのどちらか一方が抜けた構成となり、32d,32eのスターホイールのうち、どちらか一方はガイドとの間に穀稈の搬送路を形成することとなる。
【0036】
次に、本実施形態に係るコンバイン1の作用について説明する。作業者はコンバイン1に乗込むと、刈取り基準位置である左端から数えて4番目のデバイダ13aが左右の穀稈の中央に位置するように機体3を操舵し、収穫作業を開始する。収穫作業が始まると、コンバイン1の前処理部5は、デバイダ13によって分草された穀稈を掻込搬送装置17によって後送し穀稈搬送装置20に受け渡すと共に、この穀稈搬送装置20によって穀稈を脱穀部7に搬送する。
【0037】
上記コンバイン1は8条刈りのコンバインであるため、前処理部5が幅方向に長く構成されており、その重量を支持する縦伝動筒12と左右の横伝動筒21L,21Rとの連結部55には、大きな荷重が掛かっていると共に、左右幅が長くなるため刈取りの際に穀稈から受ける左右の横伝動筒21L,21Rのモーメントも大きくなり、連結部55に掛かる荷重が更に大きくなっている。
【0038】
しかし、中央左右の掻込搬送装置17a,17aの支持フレーム56の取付け部57が連結部55を挟んで左右の横伝動筒21L,21Rに連結されており、この取付け部57が連結部55の補強となっているため、作業者は連結部55の強度不足による不快な横伝動筒のガタなどを感じずに安心して収穫作業を進めていく。
【0039】
上記のようにコンバイン1を構成したことによって、前処理部5の中央左右の掻込搬送装置17a,17aの支持フレーム56の取付け部57が縦伝動筒12のホルダ部12aを跨いで左右の横伝動筒21L,21Rに連結され、この支持フレーム56を縦伝動筒12と横伝動筒21の連結部55の補強とすることができる。それにより、連結部55の取付け強度が高まると共に、新たに補強のための部材を設ける必要がなく、部品点数を少なくでき、また、コンパクトな構成とすることができる。
【0040】
更に、8条刈りのコンバイン1では、中央左右の掻込搬送装置17a,17a支持フレーム56が、連結部55の前方に位置するため、連結部55と機体前後方向に略々一直線状となり、支持フレーム56の形状によって掻込搬送装置17a,17aを位置合わせする必要がなく、連結部55から前方に突出したシンプルな構成とすることができる。
【0041】
また、支持フレーム56に左右の副株元搬送装置45,46の搬送ガイド67,67を取付けたことによって、その構成がよりシンプルになると共に、穀稈をよりスムーズに搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本願発明の実施形態に係るコンバインの側面図。
【図2】本願発明の実施形態に係るコンバインの正面図。
【図3】本願発明の実施形態に係るコンバインの平面図。
【図4】本願発明の実施形態に係る前処理部の側面図。
【図5】本願発明の実施形態に係る前処理部の正面図。
【図6】本願発明の実施形態に係る前処理部の伝動平面図。
【図7】本願発明の実施形態に係る前処理部の伝動正面図。
【図8】本願発明の実施形態に係る前処理部の伝動正面図。
【図9】本願発明の実施形態に係る前処理部の穂先搬送装置を示す伝動平面図。
【図10】本願発明の実施形態に係る前処理部の株元搬送装置を示す伝動平面図。
【図11】本願発明の実施形態に係る中央左右の株元搬送装置を示す分解斜視図。
【図12】本願発明の実施形態に係る中央左右の株元搬送装置を示す斜視図。
【図13】本願発明の実施形態に係るコンバインの伝動展開図。
【符号の説明】
【0043】
1 コンバイン
5 前処理部
12 縦伝動筒
12a 縦伝動筒のホルダ部
17 掻込搬送装置
17a 中央左右の掻込搬送装置
21L,21R 左右の横伝動筒
45,46 左右の副株元搬送装置(株元搬送装置)
56 掻込搬送装置の支持フレーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体前方に昇降自在に設けられた前処理部を支持すると共に該前処理部に動力を伝達する縦伝動筒と、前記縦伝動筒の前端に設けられたホルダ部に取付けられ、前記前処理部の機体幅方向に延設された左右の横伝動筒と、該横伝動筒から機体前方に突出し、機体幅方向に所定間隔を有して設けられた複数の支持フレームと、これらの各支持フレームに取付けられ、穀稈の株元側を掻き込んで後送する掻込搬送装置とを備えたコンバインにおいて、
前記縦伝動筒と前記横伝動筒との連結部近傍の前記支持フレームの取付け部を、前記縦伝動筒のホルダ部を跨ぐように構成し、該縦伝動筒のホルダ部を挟んで前記左右の横伝動筒に連結した、
ことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記縦伝動筒のホルダ部を挟んで前記左右の横伝動筒に連結された前記支持フレームは、前記前処理部の機体幅方向中央部に位置すると共に、該支持フレームに前記掻込搬送装置が後送した穀稈の株元側を搬送する株元搬送装置の搬送ガイドを設けた、
請求項1記載のコンバイン。
【請求項1】
機体前方に昇降自在に設けられた前処理部を支持すると共に該前処理部に動力を伝達する縦伝動筒と、前記縦伝動筒の前端に設けられたホルダ部に取付けられ、前記前処理部の機体幅方向に延設された左右の横伝動筒と、該横伝動筒から機体前方に突出し、機体幅方向に所定間隔を有して設けられた複数の支持フレームと、これらの各支持フレームに取付けられ、穀稈の株元側を掻き込んで後送する掻込搬送装置とを備えたコンバインにおいて、
前記縦伝動筒と前記横伝動筒との連結部近傍の前記支持フレームの取付け部を、前記縦伝動筒のホルダ部を跨ぐように構成し、該縦伝動筒のホルダ部を挟んで前記左右の横伝動筒に連結した、
ことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記縦伝動筒のホルダ部を挟んで前記左右の横伝動筒に連結された前記支持フレームは、前記前処理部の機体幅方向中央部に位置すると共に、該支持フレームに前記掻込搬送装置が後送した穀稈の株元側を搬送する株元搬送装置の搬送ガイドを設けた、
請求項1記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−57412(P2010−57412A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−226230(P2008−226230)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
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