コンバイン
【課題】排ワラの搬送が一旦中断したのに排ワラの搬送を再開したときに、排ワラの稈長が前回のものに比べて短いものであっても良好に結束を行うことが可能となるコンバインを提供する。
【解決手段】排ワラ排出位置を搬送方向に沿って変更操作自在な排出位置変更操作手段と、集束される排ワラの株端の機体横幅方向での位置を検出する株端位置検出手段S1の検出情報に基づいて、排ワラの株端位置と結束位置との間の間隔が目標間隔になるように排出位置変更操作手段を制御する排出位置変更処理を実行する制御手段とを備えて構成され、排ワラ存在状態から排ワラ非存在状態に切り換わると、排ワラ搬送装置20の排ワラ排出位置がその変更調整可能範囲のうちの機体前方側寄りに設定された待機用設定位置になるように排出位置変更操作手段を操作する。
【解決手段】排ワラ排出位置を搬送方向に沿って変更操作自在な排出位置変更操作手段と、集束される排ワラの株端の機体横幅方向での位置を検出する株端位置検出手段S1の検出情報に基づいて、排ワラの株端位置と結束位置との間の間隔が目標間隔になるように排出位置変更操作手段を制御する排出位置変更処理を実行する制御手段とを備えて構成され、排ワラ存在状態から排ワラ非存在状態に切り換わると、排ワラ搬送装置20の排ワラ排出位置がその変更調整可能範囲のうちの機体前方側寄りに設定された待機用設定位置になるように排出位置変更操作手段を操作する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀装置から搬出される稈長方向が機体横幅方向に向かう横倒れ姿勢の排ワラを機体後方側に向けて且つ搬送するほど穂先側に移動させるように搬送する排ワラ搬送装置と、前記排ワラ搬送装置から排出される排ワラを集束部にて集束して結束する排ワラ結束装置と、前記排ワラ搬送装置における排ワラ排出位置を搬送方向に沿って変更操作自在な排出位置変更操作手段と、前記集束部にて集束される排ワラの株端の機体横幅方向での位置を検出する株端位置検出手段と、前記株端位置検出手段の検出情報に基づいて、前記集束部にて集束される排ワラの株端位置と前記結束装置による結束位置との間の機体横幅方向に沿う間隔が設定された目標間隔になるように前記排出位置変更操作手段を制御する排出位置変更処理を実行する制御手段とを備えて構成されているコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
上記コンバインは、前記排ワラ搬送装置における排ワラ排出位置を搬送方向に沿って適切な位置に変更調整することにより、搬送されてくる排ワラの稈長の違いにかかわらず、排ワラ結束装置による結束位置が排ワラの株端位置から目標間隔離れた箇所にて適正に結束することができるようにしたものであるが、このようなコンバインにおいて、従来では、前記制御手段は、前記株端位置検出手段の検出情報に基づいて排ワラ搬送装置により搬送されてくる排ワラの稈長を検出して、その検出された稈長に応じて集束部にて集束される排ワラの株端位置から結束位置までの間隔が手動操作式の間隔設定手段により設定された目標間隔になるように前記排出位置変更操作手段を制御する構成となっていた(例えば、特許文献1参照。)。そして、排ワラ搬送装置により排ワラが搬送されなくなると、それまで調整していた排ワラ排出位置をそのまま維持するようになっていた。
【0003】
【特許文献1】特開2000−166361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンバインでは、圃場での刈取作業を行っているときに、前回の作業行程で刈取作業が行われている間は長めの稈長の排ワラが搬送されており、その作業行程での刈取作業が終了したのちに枕地を走行して離れた箇所で別の作業行程での刈取作業を行うような場合に、稈長が短い植立茎稈が刈取られて排ワラとして搬送されてくることがある。つまり、同じ圃場内であっても植立穀稈の生育の仕方に差があり、植立茎稈の稈長が大きく異なる場合があるからである。
【0005】
そして、上記従来構成のコンバインにて刈取作業しているときに、上記したような状況が現出すると、前回の作業行程での刈取作業が終了したときは長めの稈長の排ワラが搬送されていたから、その稈長に応じて集束部にて集束される排ワラの株端位置と結束位置との間の間隔が目標間隔になるように前記排出位置変更操作手段が操作される結果、前記排ワラ搬送装置の搬送終端位置がその変更調整可能範囲のうちの機体後方側に寄った位置に調整されることになる。
【0006】
その後は、次回の作業行程での刈取作業が開始されるまでの間は排ワラの搬送が行われないので排ワラの稈長が検出されないものとなり、前記排ワラ搬送装置の搬送終端位置がそのまま維持されることになる。このような状態で次回の作業行程での刈取作業が開始されて稈長が短い排ワラが搬送されてくると、前記排ワラ搬送装置の搬送終端位置がその変更調整可能範囲のうちの機体後方側に寄った位置に調整されたままの状態となっているから、搬送されてくる短稈の排ワラが排ワラ搬送装置にて機体後方側に寄った位置まで搬送されてから排ワラ結束装置に供給されることになる。
【0007】
その結果、排ワラ結束装置に対して排ワラが穂先側に寄り過ぎてしまい、株端位置が結束位置に近付き過ぎて排ワラ結束装置により結束が良好に行えなくなったり、又は、株端位置が結束位置よりも穂先側に位置して結束が行えず未結束のまま機外に放出されてしまう等のおそれがある。
【0008】
尚、次回の作業行程での刈取作業が開始されて稈長が長い排ワラが搬送されてくる場合には、稈長が短い排ワラが搬送されてくる場合のように、株端位置が結束位置に近付き過ぎたり、株端位置が結束位置よりも穂先側に位置するといった不都合はなく、結束が良好に行えなくなるおそれは少ない。
【0009】
本発明の目的は、排ワラの搬送が一旦中断したのに排ワラの搬送を再開したときに、排ワラの稈長が前回のものに比べて短いものであっても良好に結束を行うことが可能となるコンバインを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るコンバインは、脱穀装置から搬出される稈長方向が機体横幅方向に向かう横倒れ姿勢の排ワラを機体後方側に向けて且つ搬送するほど穂先側に移動させるように搬送する排ワラ搬送装置と、前記排ワラ搬送装置から排出される排ワラを集束部にて集束して結束する排ワラ結束装置と、前記排ワラ搬送装置における排ワラ排出位置を搬送方向に沿って変更操作自在な排出位置変更操作手段と、前記集束部にて集束される排ワラの株端の機体横幅方向での位置を検出する株端位置検出手段と、前記株端位置検出手段の検出情報に基づいて、前記集束部にて集束される排ワラの株端位置と前記排ワラ結束装置による結束位置との間の機体横幅方向に沿う間隔が設定された目標間隔になるように前記排出位置変更操作手段を制御する排出位置変更処理を実行する制御手段とを備えて構成されているものであって、その第1特徴構成は、
結束対象とする排ワラが存在するか否かを検出する排ワラ存否検出手段が備えられ、
前記制御手段が、前記排ワラ存否検出手段にて排ワラ存在状態が検出される状態から排ワラ非存在状態が検出される状態に切り換わると、前記排ワラ搬送装置の排ワラ排出位置がその変更調整可能範囲のうちの機体前方側寄りに設定された待機用設定位置になるように前記排出位置変更操作手段を操作する待機状態設定処理を実行するように構成されている点にある。
【0011】
前記排ワラ存否検出手段にて排ワラ存在状態が検出される状態から排ワラ非存在状態が検出される状態に切り換わると、つまり、前回の作業行程での刈取作業が終了したのちに次の作業行程まで移動走行するような場合等において結束対象とする排ワラが存在している状態から結束対象とする排ワラが存在しない状態に切り換わると、前記制御手段が前記待機状態設定処理を実行することにより、前記排ワラ搬送装置の排ワラ排出位置がその変更調整可能範囲のうちの機体前方側寄りに設定された待機用設定位置になるように排出位置変更操作手段が操作されることになる。
【0012】
その結果、前回の作業行程で刈取作業が行われている間は長めの稈長の排ワラが搬送されており、前記排ワラ搬送装置の搬送終端位置がその変更調整可能範囲のうちの機体後方側に寄った位置に調整されているような場合であっても、次回の作業行程での刈取作業が開始されるときには、排ワラ排出位置がその変更調整可能範囲のうちの機体前方側寄りに設定された待機用設定位置になっているから、次回の作業行程での刈取作業が開始されて稈長が短い排ワラが搬送されてきても、株端位置が結束位置に近付き過ぎたり株端位置が結束位置よりも穂先側に位置するといった不利がなく良好に結束を行うことが可能となる。
【0013】
従って、第1特徴構成によれば、排ワラの搬送が一旦中断したのに排ワラの搬送を再開したときに、排ワラの稈長が前回のものに比べて短いものであっても良好に結束を行うことが可能となるコンバインを提供できるに至った。
【0014】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成に加えて、前記制御手段が、前記排ワラ存否検出手段にて前記排ワラ存在状態が検出される状態から前記排ワラ非存在状態が検出される状態に切り換わると、その排ワラ非存在状態が設定時間継続したのちに前記待機状態設定処理を実行するように構成されている点にある。
【0015】
すなわち、前記制御手段は、前記排ワラ存在状態が検出される状態から前記排ワラ非存在状態が検出される状態に切り換わっても、その排ワラ非存在状態が設定時間継続したのちに前記待機状態設定処理を実行するようにしたので、ある作業行程での刈取作業が終了したのちに別の作業行程に移動しているときにだけ前記待機状態設定処理を実行することになり、例えば、1つの作業行程内で刈取作業が行われている途中で1部分だけ植立穀稈が存在しない欠株になっており、一時的に短時間だけ排ワラが存在しない状態になることあっても、前記待機状態設定処理を実行することがないので、長稈の排ワラが引き続き搬送されてくるような状況で誤って排ワラ排出位置がその変更調整可能範囲のうちの機体前方側寄りに変更することがなく、良好な結束状態を維持できるものとなる。
【0016】
従って、第2特徴構成によれば、排ワラの稈長が大きく変化するおそれがないような場合に無用に排ワラ排出位置を変更することがなく、一層良好に結束を行うことが可能となるコンバインを提供できるに至った。
【0017】
本発明の第3特徴構成は、第1特徴構成又は第2特徴構成に加えて、前記制御手段が、前記排ワラ存否検出手段にて前記排ワラ存在状態が検出される状態から前記排ワラ非存在状態が検出される状態に切り換わったときに前記排ワラ搬送装置の排ワラ排出位置が前記変更調整可能範囲の中央位置よりも機体前方側寄りの位置にあるときは、前記待機状態設定処理を実行しないように構成されている点にある。
【0018】
すなわち、前記制御手段は、前記排ワラ存在状態が検出される状態から前記排ワラ非存在状態が検出される状態に切り換わったときに、前記排ワラ搬送装置の排ワラ排出位置が前記変更調整可能範囲の中央位置よりも機体前方側寄りの位置にあるときは、前記待機状態設定処理を実行しないので排出位置変更操作手段を作動させることがない。
【0019】
このように排ワラ搬送装置の排ワラ排出位置が前記変更調整可能範囲の中央位置よりも機体前方側寄りの位置にあるときは、排ワラ排出位置を変更させずにそのままの状態で短稈の排ワラが搬送されることがあっても、株端位置が結束位置に近付き過ぎたり株端位置が結束位置よりも穂先側に位置するといった不利が生じることはなく、良好に結束を行うことができるのである。
つまり、排ワラの搬送が一旦中断したのに排ワラの搬送を再開したときに短稈の排ワラが搬送されることがあっても良好に結束を行うことが可能であるから、このような場合には無用に排ワラ排出位置を変更しないようにしている。
【0020】
従って、第3特徴構成によれば、良好に結束を行うことが可能でありながら、排出位置変更操作手段の無駄な作動を回避することが可能なコンバインを提供できるに至った。
【0021】
本発明の第4特徴構成は、第1特徴構成〜第3特徴構成のいずれかに加えて、前記集束部にて集束される排ワラの株端を機体横幅方向に往復作動する叩き体で叩き揃える株揃え装置と、その株揃え装置の機体横幅方向での位置を変更する株揃え位置変更操作手段と、前記株揃え装置の機体横幅方向での位置を検出する株揃え位置検出手段と、前記集束部にて集束される排ワラの株端位置に対する前記株揃え装置の機体横幅方向での相対位置を検出する相対位置検出手段とが備えられ、
前記制御手段が、
前記相対位置検出手段の検出情報に基づいて前記株揃え装置の機体横幅方向での相対位置が叩き揃え用の適正位置になるように前記株揃え位置変更操作手段を制御する株揃え位置変更処理、及び、
前記株端位置検出手段としての前記株揃え位置検出手段の検出情報に基づいて、前記排出位置変更処理を実行するように構成されている点にある。
【0022】
すなわち、前記制御手段は、前記相対位置検出手段の検出情報に基づいて前記集束部にて集束される排ワラの株端位置に対する前記株揃え装置の機体横幅方向での相対位置が叩き揃え用の適正位置になるように前記株揃え位置変更操作手段を制御する株揃え位置変更処理を実行し、且つ、前記株端位置検出手段としての前記株揃え位置検出手段の検出情報に基づいて前記排出位置変更処理を実行する。
【0023】
つまり、前記株揃え位置変更処理を実行することによって前記株揃え装置の機体横幅方向での相対位置が集束部にて集束される排ワラの株端を叩き揃えるのに適した叩き揃え用の適正位置になると、その株揃え装置の機体横幅方向での位置が集束部にて集束される排ワラの株端位置に対応するものとなる。そこで、株揃え位置検出手段にて検出される株揃え装置の機体横幅方向での位置は前記集束部にて集束される排ワラの株端位置に対応するものであるから、その位置と前記結束装置による結束位置との間の機体横幅方向に沿う間隔が設定された目標間隔になるように前記排出位置変更操作手段を制御することになる。
【0024】
従って、第4特徴構成によれば、株揃え装置の構成を有効利用して集束部にて集束される排ワラの株端位置を精度よく検出することが可能であり、排ワラの株端位置と結束位置との間の機体横幅方向に沿う間隔を目標間隔に精度よく調整することが可能なコンバインを提供できるに至った。
【0025】
本発明の第5特徴構成は、第4特徴構成に加えて、前記制御手段が、前記株揃え位置変更処理として、
前記排ワラ存否検出手段にて前記排ワラ存在状態が検出される状態から前記排ワラ非存在状態が検出される状態に切り換わると、前記株揃え装置の機体横幅方向での位置がその変更調整可能範囲のうちの最も株端側に寄った位置になるように前記株揃え位置変更操作手段を制御するように構成されている点にある。
【0026】
すなわち、結束対象とする排ワラが存在している状態から結束対象とする排ワラが存在しない状態に切り換わると、株揃え装置の機体横幅方向での位置がその変更調整可能範囲のうちの最も株端側に寄った位置になるように位置が調整されることになる。このように位置調整することで、排ワラの搬送が一旦中断したのに排ワラの搬送を再開したときに長稈の排ワラが搬送されることがあっても、株揃え装置と結束装置との間が広くなり、排ワラが詰まりを起こすおそれが少なく、結束を良好に行えるものとなる。
【0027】
尚、排ワラの搬送を再開したときに短稈の排ワラが搬送される場合には、一時的に排ワラの株端に株揃え装置が作用しない状態となるが、前記株揃え位置変更処理を実行することにより少しの時間遅れの後に叩き揃え用の適正位置に調整されることになる。
【0028】
従って、第5特徴構成によれば、排ワラの搬送を再開したときに長稈の排ワラが搬送されることがあって搬送詰まりの発生のおそれが少なく結束を良好に行うことが可能となるコンバインを提供できるに至った。
【0029】
本発明の第6特徴構成は、第4特徴構成又は第5特徴構成のいずれかに加えて、前記排ワラ結束装置にて結束されたワラ束を株端側が下側に位置し且つ穂先側が上側に位置する縦姿勢で落下させて圃場に起立させるワラ束立体放出装置を使用するワラ束立体放出状態と、前記ワラ束立体放出装置を使用しないで前記排ワラ結束装置にて結束されたワラ束を横倒れ状態のまま放出する標準結束状態とに切り換え自在に構成され、
前記ワラ束立体放出状態であるか前記標準結束状態であるかを検出する結束作業状態検出手段が備えられ、
前記制御手段が、前記株揃え位置変更処理として、
前記結束作業状態検出手段にて前記ワラ束立体放出状態であることが検出されると、前記排ワラの株端位置と前記結束位置との間の機体横幅方向に沿う間隔が前記目標間隔になるときの前記株揃え装置の機体横幅方向での目標株揃え位置を基準として、その目標株揃え位置から設定許容範囲内において前記株揃え装置の機体横幅方向での位置を規制する形態で前記株揃え位置変更手段を制御するように構成され、且つ、
前記結束作業状態検出手段にて前記標準結束状態であることが検出されると、前記株揃え装置の機体横幅方向での位置が前記変更調整可能範囲の全範囲にわたって変更することを許容する形態で前記株揃え位置変更手段を制御するように構成されている点にある。
【0030】
すなわち、前記結束作業状態検出手段により前記ワラ束立体放出状態であるか前記標準結束状態であるかが検出される。そして、前記ワラ束立体放出状態であることが検出されると、前記制御手段は、前記株揃え位置変更処理として、前記排ワラの株端位置と前記結束位置との間の機体横幅方向に沿う間隔が前記目標間隔になるときの前記株揃え装置の機体横幅方向での目標株揃え位置を基準として、その目標株揃え位置から設定許容範囲内において前記株揃え装置の機体横幅方向での位置を規制する形態で前記株揃え位置変更手段を制御するのである。
【0031】
前記ワラ束立体放出状態であるときは、ワラ束立体放出装置を使用して排ワラ結束装置にて結束されたワラ束を株端側が下側に位置し且つ穂先側が上側に位置する縦姿勢で落下させて圃場に起立させる処理を実行することになる。このようにワラ束立体放出状態であるときは、前記排ワラの株端位置と前記結束位置との間の機体横幅方向に沿う間隔が目標間隔から大きく離れると、株端側が充分に裾広がり状態にならずにワラ束を圃場で起立させることができないおそれがある。
【0032】
又、排ワラ搬送装置により搬送される排ワラの稈長が変動すると、その排ワラの稈長の変動に応じて株揃え位置変更手段を操作して排ワラ排出位置を変更させることになるが、刈取作業に伴って結束装置に搬送されてくる排ワラの稈長が大きく変動するおそれがあるような作業条件である場合、このような排ワラの稈長の変動に応じて株揃え装置の位置が変更調整可能範囲の全範囲にわたって大きく変動すると、前記排ワラの株端位置と前記結束位置との間の機体横幅方向に沿う間隔が前記目標間隔から大きく外れてワラ束を圃場で起立させることができない状態になることがある。
【0033】
そこで、前記ワラ束立体放出状態であるときは、前記目標株揃え位置から設定許容範囲内において株揃え装置の機体横幅方向での位置を規制する形態で株揃え位置変更手段を制御する構成とすることで、排ワラの株端位置と結束位置との間の機体横幅方向に沿う間隔が前記目標間隔から大きく離れることがないように範囲内に規制することにより、例えば、排ワラの稈長が大きく変動するおそれがあるような作業条件であっても、ワラ束を圃場で起立させることができなくなる割合を極力少なくすることが可能となるのである。
【0034】
一方、前記結束作業状態検出手段にて前記標準結束状態であることが検出される場合には、上記したような不都合は生じないので、前記株揃え装置の機体横幅方向での位置が前記変更調整可能範囲の全範囲にわたって変更することを許容する形態で前記株揃え位置変更手段を制御するのである。このようにして排ワラを適正な位置で結束することができる。
【0035】
従って、第6特徴構成によれば、前記標準結束状態であるときは排ワラを適正な位置で結束することができ、前記ワラ束立体放出状態であるときは、ワラ束を圃場で起立させることができる割合を極力多くすることが可能となるコンバインを提供できるに至った。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明に係るコンバインの実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、コンバインは、左右一対のクローラ走行装置1を備えた走行機体2の前部に複数条刈り仕様の刈取部3が昇降自在に連結され、且つ、走行機体2に運転部4、脱穀装置5、および、アンローダ付きの穀粒回収タンク6、等が搭載されてコンバイン本機Aが構成されている。
【0037】
前記刈取部3には、刈取り部フレーム7が前下がり傾斜姿勢で備えられており、この刈取り部フレーム7の後端基部が、走行機体2の前端部に立設された支持台8に横向きの支点Pを中心として上下揺動可能に連結支持されるとともに、油圧シリンダ9で上下に駆動揺動されるようになっている。
【0038】
刈取り部フレーム7には、植立穀稈を所定の刈取り姿勢に引起す複数台の引起し装置10、引起した植立穀稈を切断するバリカン型の刈取り装置11、刈取り穀稈を刈幅内の中間部位に搬送して合流する合流用搬送装置12、および、合流された穀稈を脱穀装置5の横外側に備えられたフィードチェーン13の始端部にまで搬送する供給搬送装置14、等が備えられている。
【0039】
前記供給搬送装置14は、穂先係止搬送機構15と、株元挟持搬送機構16と、フィードチェーン13の前方に配備された中継搬送機構17とで構成されており、合流用搬送装置12で合流搬送された立姿勢の穀稈は、供給搬送装置14で後方上方に搬送されながら横倒れ姿勢に変更されてフィードチェーン13の始端部に受け渡されるようになっている。
【0040】
前記株元挟持搬送機構16は、前部支点を中心に上下揺動して搬送終端位置を変更することで、フィードチェーン13への穀稈受け渡し位置を稈長方向に変更して脱穀装置5への穀稈挿入長さを変更調節する機能、いわゆる扱き深さ調節機能が備えられており、搬送される穀稈の長さが図示されない稈長検出手段で検出され、その検出情報に基づいて株元挟持搬送機構16が自動的に位置変更され、刈取り穀稈の稈長変化にかかわらず脱穀装置5への穀稈挿入長さを設定された長さに安定維持する自動扱き深さ制御が実行されるようになっている。
【0041】
図2,図3に示すように、脱穀装置5の後部側に、脱穀装置から搬出される稈長方向が機体横幅方向に向かう横倒れ姿勢の排ワラを機体後方側に向けて且つ搬送するほど穂先側に移動させるように搬送する排ワラ搬送装置20が設けられている。この排ワラ搬送装置20は、縦回し巻回された搬送チェーン21の下側経路に対向して挟持レール22を配備したアッパーチェーン型の株元側搬送機構20Aと、その穂先側に平行に配備された穂先側係止搬送機構20Bとで構成されており、後述のように、株元側搬送機構20Aの挟持レール22を搬送方向に沿って伸縮することで搬送終端位置を搬送方向に変更調節することができるよう構成されている。
【0042】
脱穀装置5の後端に円盤型の排ワラカッタCが連結されるとともに、この排ワラカッタCの後方に排ワラ結束装置Bが配備され、排ワラ結束装置Bの株元側に、搬入されてくる排ワラの株端を左右に揺動する叩き体としての叩き板61によって叩き揃える株揃え装置Dが配備されている。さらに、排ワラ結束装置Bの後方には、放出されてきたワラ束Rを受け止めて斜め後方に挟持搬送した後、株端を下向きにした姿勢で落下させて圃場に起立させるワラ束立体放出装置Eが配備されている。
【0043】
図4に示すように、排ワラカッタCの上部には、後支点aを中心に上下揺動可能に流路切換え板30が配備されており、この流路切換え板30を下げて排ワラカッタCの上部入口を閉塞することで、排ワラ搬送装置20によって搬送されてきた横倒れ姿勢の排ワラを排ワラ結束装置Bに供給し、流路切換え板30を上げて排ワラカッタCの上部入口を開放することで、搬送されてきた排ワラを細断して下方に放出することができるようになっている。
【0044】
図4に示すように、前記排ワラ結束装置Bは、前記集束空間Kの下側に、搬送されてきた排ワラを集束空間Kに向けて送り込むクランク式の掻き込みパッカー32、結束紐供給用のニードル33、集束空間Kに集められた排ワラの集束圧を機械的に感知する感知ドア34等が装備され、集束空間Kの上側には、搬送されてきた排ワラを掻き込みパッカー32の作用域に送り込むクランク式の補助パッカー35、集束空間Kの上壁を構成する紐案内板36、ノッタ・ビル方式に構成された周知の結節機構37、クランク式の放出機構38が装備されている。前記補助パッカー35および掻き込みパッカー32は常時駆動されるとともに、下部のニードル33と上部の結節機構37、および、放出機構38は集束圧感知に基づいて間欠的に同調駆動されるようになっている。
【0045】
排ワラ結束装置Bの基本的な結束作動を以下に説明する。搬送されてきた排ワラは、先ず補助パッカー35によって後方に送り込まれ、引き続き掻き込みパッカー32の掻き込み作用を受けて集束空間Kに送り込まれる。感知ドア34に作用する集束圧が設定値未満の間は、ケース内装の1回転クラッチ(図示せず)が切られており、ニードル33は集束空間Kの下方に退避した待機位置で停止している。また、このニードル33に同調連動されている結節機構37および放出機構38も待機状態で停止している。
【0046】
集束空間Kに所定量の排ワラが集束されると、掻き込みパッカー32の掻き込み作動に伴って発生した設定値以上の集束圧を受けて感知ドア34が後退変位し、これによって1回転クラッチが起動可能状態になる。そして、次回の掻き込みパッカー32の掻き込み作動(最終回の掻き込み作動)に同調して所定のタイミングで1回転クラッチが入り作動してニードル33が駆動されるとともに結節機構37への駆動力伝達が開始される。
【0047】
掻き込みパッカー32が最終回の掻き込み作動を行うと、排ワラ搬送通路を横断する掻き込みパッカー32で排ワラを前後に押し分けた空間を通ってニードル33が排ワラ搬入経路を下から上に横断移動し、結節機構37の下方に配備されている紐案内板36を通過し、結節機構37の紐ホルダー37bに先端部が保持されている結束紐を集束空間Kの排ワラに前方から巻き付けながら結節機構37に供給する。そして、このニードル33による紐供給作動に同調して結節機構37が作動し、結節ビル37aによる紐の結節、紐ホルダ37bによる供給紐の切断および切断端の保持、等の結節作動が順次行われる。
【0048】
その後、結節機構37と同調作動する放出機構38の放出アーム39がワラ束Rを後方に押し出し移動させ、これに伴って結束紐が結節ビル37aから抜き出されて結び目が形成され、引き続く放出アーム39の後方移動によってワラ束Rが集束空間Kから後方に放出されてゆく。なお、この時点では感知ドア34は下方に後退して集束空間Kの後部出口を開放している。
【0049】
結節機構37で結節作動が完了して結束紐の新しい切断端が紐ホルダー37bにくわえ込み保持されるとニードル33は後退移動し、ニードル33が集束空間Kの下方の待機位置に戻った時点で1回転クラッチが自動的に切られ、ニードル33の駆動、結節機構37の駆動、および、放出機構38の駆動が停止されるとともに、感知ドア34が集束空間Kの後端を閉じる元の感知位置に上昇復帰し、これで1回の結束作動が完了し、後続の排ワラが引き続き集束されてゆく。
【0050】
前記ニードル33には待機位置に向けて復帰回動させる戻しバネ40が装着されており、待機位置に戻って駆動が解除されたニードル33がその復帰作動の反動で上方に回動することが抑制されている。
【0051】
説明を加えると、図5及び図7に示すように、最初に排ワラを掻き込み搬送する補助パッカー35は、ニードル33が位置する結束位置に対して排ワラ株元側に適当距離だけ離れた位置に配備されており、横向きに支架されて常時回転駆動されるクランク軸41、このクランク軸41の両端に連結された左右一対のクランクアーム42、装置固定部に支点bを中心にして前後揺動可能に装着された揺動アーム43、および、クランクアーム42の遊端と揺動アーム43の遊端とに亘って枢支連結された板材製のパッカーアーム44とから構成されている。クランクアーム42の回転に伴うクランク作動によってパッカーアーム44の先端が前後に長い回動軌跡をもって循環回動することで、排ワラを掻き込みパッカー32の作用域に向けて搬送するようになっている。
【0052】
前記クランク軸41には、クランクアーム径よりも大径に構成された円形ドラム状の回転体45が取り付けられ、クランク構造部にワラ屑などが巻き付くことが阻止されている。回転体45がクランク軸41と一体に回転することで、回転体45の外周面が排ワラを後方に送込む機能を発揮する。
【0053】
左右のパッカーアーム44の間には、リミットスイッチからなる排ワラ存否センサS4が回転体の外径内に隠されて配備されている。この排ワラ存否センサS4は、排ワラ搬入経路に突入して前後に揺動偏位する感知レバー47によって操作されるようになっており、感知レバー47が搬送排ワラに押されて後方に揺動することでオン状態に切り換わって排ワラの存在が感知され、排ワラの存在が感知されている間は、後述するように、搬入されてくる排ワラの株端位置検出に基づいて前記株揃え装置Dが自動的に排ワラ稈長に対応した最適な叩き位置となるように揃え位置変更用電動モータ(以下、揃え位置変更モータという)M1によって位置調節され、また、感知レバー47の前方復帰することによってオフ状態になり排ワラ搬入が途絶えたことが感知されると、株揃え装置Dは最株端側の待機位置に移動するようになっている。
【0054】
前記集束空間Kの下側に、供給されてきた排ワラを下方から受け止めるように丸棒材からなる排ワラ支持部材50がニードル33の移動軌跡の横側に近接して配備固定されている。この排ワラ支持部材50は集束空間Kの後部出口から前部入口を越えて前方にまで延出されるとともに、排ワラ支持部材50の集束空間始端部に相当する部位で、かつ、ニードル33の通過軌跡の直後に位置させて落込み段差部50aが屈曲形成されている。
【0055】
この構成によると、排ワラ結束装置Bの入口部に供給されてきた排ワラは下方から排ワラ支持部材50で受け止め支持され、その後、掻き込みパッカー32の掻き込み作用を受けて集束空間Kに押し込み供給されることになるが、集束空間Kは、排ワラ支持部材50の落込み段差部50aよって上下幅が大きくなっているので、掻き込みパッカー32で集束空間Kに押し込み供給された排ワラは落込み段差部50aにおいて落ち込むことになり、それより前方(集束空間の入口方向)への逆流が落込み段差部50aによって阻止される。
【0056】
排ワラ支持部材50より排ワラ株元側には平板からなる搬送デッキ51が配備されるとともに、この搬送デッキ51の排ワラ受け止め高さが、排ワラ支持部材50の落込み段差部50aの底面よりも更に低い位置に設定されており、落込み段差部50aを越えて集束空間Kに送込まれた排ワラの株元側が低い搬送デッキ51で下方から受け止め支持される。このように、穂先側に比べて嵩高い株元側が搬送デッキ51で低く受け止められることで、大量の排ワラを崩れ動くことなく安定して集束することができるようになっている。
【0057】
集束空間Kの上方には、湾曲板バネ材からなる分離バネ52と支持バネ53がそれぞれ後ろ向き片持ち状に配備されている。支持バネ53は搬送デッキ51に対向して配備されて、集束中の排ワラを集束空間Kの後部において受け止めるものであり、集束作動中は排ワラが集束空間Kから後方に逃げるのを阻止するとともに、ワラ束放出時には上方に撓んで逃げることができる。また、分離バネ52は支持バネ53よりも株端側に配備されており、集束空間Kに掻き込み供給される排ワラの通過を上方への弾性変形によって許容するが、ワラ束Rが放出される際に、結束されていない後続の排ワラがワラ束Rに引きずられて出て行くのをバネ先端で掻き取り阻止する。
【0058】
パッカーアーム32a,32bの中間部が、常時回転するパッカー駆動軸54に固着したクランクアーム55の遊端部に枢支連結されるとともに、装置固定部に支点c回りに揺動可能に装着した揺動アーム56の遊端部とパッカーアーム32a,32bの下端部とが枢支連結され、クランクアーム55の連続回転によってパッカーアーム32a,32bの先端が所定の軌跡Pa,Pbをもって循環回動して、前記補助パッカー35で送込まれてきた排ワラを集束空間Kに向けて送り込むよう構成されている。
【0059】
前記ニードル33は、ドア軸57を中心にして回動可能に装着されるとともに、ニードル駆動軸58に設けられた駆動アーム59とニードル33とが連動リンク60で連動連結されており、ケース内装の1回転クラッチが入り状態になることでニードル駆動軸58が起動され、駆動アーム59が1回転する内の前半の回転によってニードル33は待機位置から上方に揺動して集束空間Kを越え紐供給作動を行い、駆動アーム59の後半の回転によってニードル33が下方に揺動して元の待機位置にまで復帰作動する。
【0060】
次に、前記株揃え装置Dについて説明する。
図10に示すように、株揃え装置Dは、集束空間Kの株元側に縦向き姿勢で配備した前後および上下に幅広の叩き板61を、その前端の縦向き支点dを中心にして左右揺動させるよう構成したものであり、叩き板61を脱着可能に連結した丸パイプ製の支持アーム62の前端が前記縦向き支点dに枢支連結されるとともに、支持アーム62の前後中間部が、六角駆動軸63によって縦軸心e周りに回転駆動されるクランクアーム64に連動連結されている。六角駆動軸63は、排ワラ結束装置Bにおける株元側のサイドフレーム65に横架支承されて排ワラカッターCから動力を受けており、この六角駆動軸63の右端と補助パッカー35を駆動するクランク軸41とがチェーン66を介して連動されている。
【0061】
前記六角駆動軸63には駆動ケース67が左右スライド可能に外嵌装着されており、六角駆動軸63にベベルギヤ連動されて駆動ケース67の下方に突出された縦向きクランク軸68の下端に前記クランクアーム64が連結されている。前記叩き板61を連結支持した支持アーム62には前後長孔69aを備えた連動部材69が連結され、クランクアーム64の遊端ローラ70が前後長孔69aに係合され、クランクアーム64の回動に伴って支持アーム62が一定の角度で左右に揺動されるようになっている。
【0062】
前記駆動ケース67にはブラケット71が連結されており、このブラケット71から前向き片持ち状に延出された支持フレーム72の前部に、前記支持アーム62の前端が前記縦向き支点d周りに揺動可能に枢支連結されている。
【0063】
前記ブラケット71の上部に装着された一対の遊転ローラ73,74が、排ワラ結束装置Bの前端上部に横架固定された角パイプ製の結束フレーム75の下面および背面に転動可能に接触案内されており、株揃え装置D全体が一定の姿勢を維持した状態で六角駆動軸63に沿って左右に移動可能に支持されている。
【0064】
前記結束フレーム75の株元側端部(左端)に連結された前記サイドフレーム65に、前記揃え位置変更モータM1によって正逆駆動されるネジ軸76が横架装備され、このネジ軸76が、前記ブラケット71に連結された雌ネジ部材77に挿通されており、ネジ軸76の正逆回動によって株揃え装置D全体が排ワラ稈長方向(左右方向)にねじ送り移動されるようになっている。
【0065】
株揃え装置Dにおける前記支持フレーム72の前部には株揃え装置Dに対する排ワラの株端位置の相対位置を検出するための相対位置検出センサS1が装着されている。この相対位置検出センサS1は、所定の小間隔をもって前後揺動可能に配備された一対の接触子78の揺動をそれぞれリミットスイッチ79で検知するよう構成されており、後述するように、横倒れ姿勢で供給されてきた排ワラの株端が両接触子78の間に位置するように、リミットスイッチ79の作動状態に基づいて前記揃え位置変更モータM1が駆動制御されるようになっている。
【0066】
図8に示すように、排ワラ搬送装置20における株元搬送機構20Aの挟持レール22は、固定配備された前後の支持ブラケット80に上下スライド可能、かつ、バネ81によって上方付勢された前後一対の支持ロッド82,83の上端部にそれぞれ枢支連結されており、搬送チェーン21と挟持レール22との間に供給された排ワラを弾性挟持して斜め後方に搬送するよう構成されている。
【0067】
挟持レール22は、丸棒材からなる前部レール22aと、板材を屈曲して中空に構成したレール本体22bとからなり、そのレール本体22bに丸棒材からなる可動レール22cが伸縮自在に挿入支持されている。排ワラ搬送装置20は、排ワラを横向き姿勢で挟持して斜め後方に向けて搬送するので、終端位置を搬送方向上手側(前方)に移動させると、排ワラは株元側に寄せられて排ワラ結束装置Bに供給され、逆に、挟持搬送の終端位置を搬送方向下手側(後方)に移動させると、排ワラは穂先側に寄せられて排ワラ結束装置Bに供給されることになり、可動レール22cを伸縮して搬送終端位置を前後に変更することで、排ワラ結束装置Bに対して排ワラを稈長方向に位置調節して供給することができるのである。なお、可動レール22cの前端には、レール本体22bの内部に沿って前後に転動移動可能な案内ローラ22dが装着されており、可動レール22cが円滑にスライド伸縮されるようになっている。
【0068】
そして、前記排ワラ搬送装置20における排ワラ排出位置を搬送方向に沿って変更操作自在な構成となっている。すなわち、図10に示すように、前記支持ロッド83の先端部に固定された支持ブラケット86における底部の前後にはレリーズワイヤからなる2本の操作ワイヤ88,89のアウタ端が連結されるとともに、支持ブラケット86の内部には前記連結軸87を支軸として案内プーリ90が軸支されており、操作ワイヤ88,89の各アウタ端から導出されたインナワイヤ88a,89aが案内プーリ90に互いに逆向きに巻回されてそれぞれが前方および後方に延出され、各インナワイヤ88a,89aの延出端が前記可動レール22cの前端部と後端部にそれぞれ連結されている。
【0069】
図8に示すように、両操作ワイヤ88,89は、コンバイン本機Aの適所に固定配備されたワイヤ操作ケース91に向けて延出され、そのアウタ端部がワイヤ操作ケース91に連結支持されている。ワイヤ操作ケース91には、回転支軸92を介して回動可能に操作プーリ93が装着されており、各操作ワイヤ88,89のアウタ端部からケース内に導出されたインナワイヤ88a,89aが操作プーリ93に互いに逆向きに巻回されて連結されている。ワイヤ操作ケース91の外側には、正逆転作動する排出位置変更操作手段としての減速機付きの排出位置変更用電動モータ(以下、排出位置変更モータという)M2が装備され、その出力によって駆動される出力ピニオンギヤ95と、操作プーリ93の回転支軸92に備えられた入力ピニオンギヤ96とが、中間支軸97を介してワイヤ操作ケース91内に配備された扇形ギヤ98にそれぞれ咬合されており、排出位置変更モータM2が作動して操作プーリ93が正逆回動されることで、両操作ワイヤ88,89が背反的に押し引き操作され、これによって可動レール22cが伸縮作動するようになっている。
【0070】
図8に示すように、操作プーリ93が図中で反時計方向に回動されると、一方の操作ワイヤ89が引き操作されるのに対して、他方の操作ワイヤ88が同量だけ弛められ、これによって可動レール22cが短縮操作される。図9に示すように、逆に、操作プーリ93が図中で時計方向に回動されると、他方の操作ワイヤ88が引き操作されるのに対して、一方の操作ワイヤ89が同量だけ弛められ、これによって可動レール22cが伸長操作されるのである。つまり、前記排出位置変更モータM2を回動操作することで可動レール22cを伸縮作動させて排ワラ搬送装置20による搬送終端位置を変更することができるように構成されている。
【0071】
そして、前記排出位置変更モータM2により回動操作される前記扇形ギヤ98の回動量を検出するポテンショメータからなる排出位置検出センサS3が設けられ、可動レール22cの伸縮位置言い換えると、排ワラの排出位置に応じた大きさの出力が排出位置検出センサS3から得られるようになっている。
【0072】
図5および図6に示すように、前記揃え位置検出センサS2は、前記結束フレーム75にブラケット101を介して装着した回転式のポテンショメータ102で構成されている。このポテンショメータ102の操作アーム103と、前記ブラケット101にポテンショメータ軸心と略同心の前後向き支点f周りに揺動可能に装着された検出アーム104とがピン係合によって連動連結されるとともに、検出アーム104の下方延出端部に形成した上下長孔105に、前記駆動ケース67から突設した操作ピン106が係合されている。従って、駆動ケース67の左右移動位置に応じて操作アーム103が回動されることで、株揃え装置Dの位置に応じた大きさの出力が揃え位置検出センサS2から得られるようになっている。
【0073】
又、運転部4には、前記集束空間Kにて集束される排ワラの株端位置と排ワラ結束装置Bによる結束位置との間での機体横幅方向に沿う間隔についての目標間隔を手動操作にて設定するための目標間隔設定手段としてのポテンショメータからなる結束位置調節器100(図11参照)が設けられている。
【0074】
次に、前記ワラ束立体放出装置Eの構造について説明する。
図2及び図3に示すように、前記ワラ束立体放出装置Eは、排ワラ結束装置Bから取り出された動力で常時駆動される搬送チェーン111、その搬送面に対して接近離反変位可能に対向配備された挟持レール112、および、搬送終端部を囲むように配備された放出ガイド113とから構成されており、排ワラ結束装置Bから後方に排出されたワラ束Rを、その株元を下向きにして斜め後方に吊り下げ挟持搬送するとともに、挟持レール112に備えた複数(この例では4個)の抵抗突起114によって搬送中のワラ束Rに偏った搬送抵抗を与えることでワラ束Rを自転させ、その自転に伴う遠心力によって株元が拡がらせたワラ束Sを放出ガイドで案内しながら地上に放出することで、ワラ束Rを圃場に裾拡がりの起立姿勢で放置しておくことができるよう構成されており、刈り跡に放出したワラ束Rをそのまま地干しすることができる。なお、前記挟持レール112は、一対の支持ロッド115およびバネ116を介して支持され、ワラ束Rのボリュームに対応して弾性変位可能となっている。ワラ束Rを自転させて確実な裾拡がりを実現するために、前記抵抗突起114を搬送経路中間から搬送方向に長い範囲に亘って配備されている。
【0075】
そして、このコンバインは、前記ワラ束立体放出装置Eを使用するワラ束立体放出状態と、前記ワラ束立体放出装置Eを使用しないで前記排ワラ結束装置Bにて結束されたワラ束を横倒れ状態のまま放出する標準結束状態とに切り換え自在に構成され、前記ワラ束立体放出状態であるか前記標準結束状態であるかを検出する結束作業状態検出手段としての作業形態入力部117(図11参照)が設けられている。この作業形態入力部117は、例えば2位置切り換え式スイッチを各作業形態に対応する操作位置に手動で操作することでいずれかの作業形態情報が入力されるようになっている。
【0076】
前記標準結束状態では、上記したワラ束立体放出装置E全体を取り外しておくか、あるいは、挟持レール112を挟持作用しないように搬送チェーン111から大きく離間させた状態に切り換えておくこと等により、ワラ束を横倒れ状態のまま放出することになる。
【0077】
次に、上記したような株揃え装置Dの位置を調整する株揃え位置変更処理、及び、排ワラ搬送装置20の排ワラ排出位置を調整する排出位置変更処理を実行するための制御構成について説明する。
図11に示すように、制御手段としてのマイクロコンピュータを備えた制御装置Hが設けられ、この制御装置Hに、前記相対位置検出センサS1、前記揃え位置検出センサS2、前記排出位置検出センサS3、前記排ワラ存否センサS4、前記作業形態入力部117、結束位置調節器100が夫々接続されており、これらの入力情報に基づいて、前記揃え位置変更モータM1及び排出位置変更モータM2の作動を制御するように構成されている。
【0078】
そして、前記制御装置Hは、相対位置検出センサS1の検出情報に基づいて株揃え装置Dの機体横幅方向での相対位置が叩き揃え用の適正位置になるように株揃え位置変更モータM1を操作する株揃え位置変更処理、及び、揃え位置検出センサS2の検出情報に基づいて、集束空間Kにて集束される排ワラの株端位置と排ワラ結束装置Bによる結束位置との間の機体横幅方向に沿う間隔が設定された目標間隔になるように排出位置変更モータM2を制御する排出位置変更処理を実行するように構成されている。
【0079】
又、前記制御装置Hが、排ワラ存否センサS4にて排ワラ存在状態が検出される状態から排ワラ非存在状態が検出される状態に切り換わると、排ワラ搬送装置20の排ワラ排出位置がその変更調整可能範囲のうちの機体前方側寄りに設定された待機用設定位置になるように排出位置変更モータM2を制御する待機状態設定処理を実行するように構成されている。
【0080】
さらに、制御装置Hは、前記株揃え位置変更処理として、作業形態入力部117にてワラ束立体放出状態であることが検出されると、排ワラの株端位置と排ワラ結束位置Bとの間の機体横幅方向に沿う間隔が前記目標間隔になるときの株揃え装置Dの機体横幅方向での目標株揃え位置を基準として、その目標株揃え位置から設定許容範囲内において株揃え装置Dの機体横幅方向での位置を規制する形態で揃え位置変更モータM1を制御するように構成され、且つ、作業形態入力部117にて前記標準結束状態であることが検出されると、株揃え装置Dの機体横幅方向での位置が前記変更調整可能範囲の全範囲にわたって変更することを許容する形態で揃え位置変更モータM1を制御するように構成されている。
【0081】
以下、制御装置Hの制御動作について図12〜図14のフローチャートに基づいて説明する。
図12に示すように、排ワラ存否センサS4がオンすると、前記作業形態入力部117の情報に基づいて作業形態が前記ワラ束立体放出状態であるか前記標準結束状態であるかを判別し(ステップ1,2)、ワラ束立体放出状態であるときは、そのワラ束立体放出状態に対応した立体放出用処理(ステップ3)を実行し、前記標準結束状態であるときは、標準結束状態に対応した標準用処理(ステップ4)を実行する。
【0082】
そして、この立体放出用処理では、設定許容範囲内において株揃え装置Dの機体横幅方向での位置を規制する形態で揃え位置変更モータM1を制御することになる。
前記設定許容範囲について説明を加えると、排ワラの株端位置と排ワラ結束位置Bとの間の機体横幅方向に沿う間隔が、結束位置調節器100にて設定されている目標間隔になるときの株揃え装置Dの機体横幅方向での目標株揃え位置を中心として、株元側に設定距離(30cm)及び穂先側に設定距離(30cm)の許容範囲(合計60cm)が設定される。但し、この設定許容範囲の具体的な数値はコンバインの機種型式に応じて適宜変更することになる。
【0083】
次に、前記立体放出用処理について説明する。
図13に示すように、この立体放出用処理では、株揃え装置Dが集束空間Kにて集束される排ワラの株端位置に対して相対位置が適正な状態になっているか否かを判別する(ステップ11)。具体的には、相対位置センサS1のうちの穂先側(右側)の接触子78だけが排ワラに押圧されて後方に揺動され穂先側のリミットスイッチ79だけがオン操作され、株元側のリミットスイッチ79がオフしている状態では、排ワラの株端が両接触子78の間に位置しており、この状態が株揃え装置Dが株端に対して好適な相対位置すなわち叩き揃え用の適正位置にあると判別する。又、両方の接触子78が排ワラに押圧されて後方に揺動され両方のリミットスイッチ79がオン操作されている状態や両方の接触子78が排ワラに押されることなく前方復帰位置にあり両方のリミットスイッチ79がオフである状態では、叩き揃え用の適正位置ではないと判別する。
【0084】
そして、株揃え装置Dが株端に対して叩き揃え用の適正位置でなく、両方の接触子78が排ワラに押圧されて後方に揺動され両方のリミットスイッチ79がオン操作されている状態、つまり、株揃え装置Dが適正位置に対して穂先側にずれており、且つ、株揃え装置Dの位置が前記設定許容範囲の株元側の許容限度に至っていなければ、株揃え装置Dを株元側へ位置変更させるように揃え位置変更モータM1を作動させる(ステップ12,13,14)。
【0085】
又、株揃え装置Dが適正位置に対して穂先側にずれていても、株揃え装置Dの位置が前記設定許容範囲の株元側の許容限度に達している場合には、排ワラ搬送装置20の排ワラ排出位置を機体前方側へ設定量(例えば数cm)変更するように排出位置変更モータM2を作動させる(ステップ13,15)。尚、この排ワラ排出位置の変更操作は、株揃え装置Dが適正位置に入るまで繰り返し行われることになる。
【0086】
株揃え装置Dが適正位置に対して株元側にずれており、且つ、株揃え装置Dの位置が前記設定許容範囲の穂先側の許容限度に至っていなければ、株揃え装置Dを穂先側へ位置変更させるように揃え位置変更モータM1を作動させる(ステップ16,17)。又、株揃え装置Dが適正位置に対して株元側にずれていても、株揃え装置Dの位置が前記設定許容範囲の穂先側の許容限度に達している場合には、排ワラ搬送装置20の排ワラ排出位置を機体後方側へ設定量(例えば数cm)変更するように排出位置変更モータM2を作動させる(ステップ18)。この排ワラ排出位置の変更操作は、株揃え装置Dが適正位置に入るまで繰り返し行われることになる。
【0087】
ステップ11にて株揃え装置Dが叩き揃え用の適正位置にあると判別する場合には、揃え位置検出センサS2の検出情報に基づいて株揃え装置Dの位置(排ワラの株端位置)から結束位置(具体的にはニードルの機体横幅方向での位置)までの間隔Lxを算出する(ステップ19)。
【0088】
そして、算出した間隔Lxと結束位置調節器100にて設定される制御用目標間隔Lsとが略等しくなるように、具体的には、算出した間隔Lxが制御用目標間隔Lsに対して所定の不感帯を有する設定範囲に入るように、排出位置変更モータM2の作動を制御する。つまり、算出した間隔Lxと制御用目標間隔Lsとが略等しければ排出位置変更モータM2を作動させることはないが、算出した間隔Lxが制御用目標間隔Lsよりも短い場合には、株揃え装置Dの位置が穂先側に寄り過ぎており排ワラを株元側に移動させて排ワラ結束装置Bに供給する必要があるから、排ワラ搬送装置20の排ワラ排出位置を機体前方側へ設定量(例えば数cm)変更するように排出位置変更モータM2を作動させる(ステップ20,21,22)。
【0089】
又、算出した間隔Lxが制御用目標間隔Lsよりも長い場合には、株揃え装置Dの位置が株元側に寄り過ぎており排ワラを穂先側に移動させて排ワラ結束装置Bに供給する必要があるから、排ワラ搬送装置20の排ワラ排出位置を機体後方側へ設定量(例えば数cm)変更するように排出位置変更モータM2を作動させる(ステップ21,23)。
【0090】
このように排ワラ搬送装置20の排ワラ排出位置を機体前方側あるいは機体後方側へ設定量変更させるように排出位置変更モータM2を作動させることにより、株揃え装置Dの機体横幅方向での相対位置が叩き揃え用の適正位置から外れると、株揃え装置Dの機体横幅方向での相対位置が叩き揃え用の適正位置になるように調整される(ステップ11〜17)。そして、このような処理を繰り返し実行することで、算出した間隔Lxと制御用目標間隔Lsとが等しくなり、且つ、株揃え装置Dの機体横幅方向での相対位置が叩き揃え用の適正位置になる適正な結束状態となる。又、排ワラ排出位置の変更操作を行うときは、設定量変更させたのち株揃え装置Dの機体横幅方向での相対位置が叩き揃え用の適正位置にあるか否かを判別するようにして、適正位置でなければそのような処理を繰り返すようにしたから、株揃え装置Dの機体横幅方向での相対位置が株端位置に対して叩き揃え用の適正位置から大きく位置ずれすることがなく、適正な叩き揃え作用を維持し易いものとなる。
【0091】
上述したように、この立体放出用処理では、目標株揃え位置から設定許容範囲内において株揃え装置Dの機体横幅方向での位置を規制する形態で、叩き揃え用の適正位置になるように揃え位置変更モータM1を制御することになる。
【0092】
次に標準用処理について説明する。
図14に示すように、この標準用処理では、株揃え位置の変更範囲を規制することなく株揃え装置Dの位置変更可能な調整範囲の全範囲である全調整範囲を対象として、叩き揃え用の適正位置になるように揃え位置変更モータM1の作動を制御することになる。
【0093】
すなわち、株揃え装置Dが適正位置に対して穂先側にずれており、且つ、株揃え装置Dの位置が全調整範囲の株元側の端部に至っていなければ、株揃え装置Dを株元側へ位置変更させるように揃え位置変更モータM1を作動させる(ステップ24〜27)。株揃え装置Dが適正位置に対して穂先側にずれていても、株揃え装置Dの位置が前記全調整範囲の株元側の端部に達していれば、それ以上株元側へ位置変更することができないから、排ワラ搬送装置20の排ワラ排出位置を機体前方側へ設定量(例えば数cm)変更するように排出位置変更モータM2を作動させる(ステップ28)。この排ワラ排出位置の変更操作は、株揃え装置Dが適正位置に入るまで繰り返し行われることになる。
【0094】
株揃え装置Dが適正位置に対して株元側にずれており、且つ、株揃え装置Dの位置が全調整範囲の穂先側の端部に至っていなければ、株揃え装置Dを穂先側へ位置変更させるように揃え位置変更モータM1を作動させる(ステップ25,29,30)。又、株揃え装置Dが適正位置に対して株元側にずれていても、株揃え装置Dの位置が全調整範囲の穂先側の端部に達している場合には、それ以上位置変更することができないから、排ワラ搬送装置20の排ワラ排出位置を機体後方側へ設定量(例えば数cm)変更するように排出位置変更モータM2を作動させる(ステップ31)。この排ワラ排出位置の変更操作は、株揃え装置Dが適正位置に入るまで繰り返し行われることになる。
【0095】
株揃え装置Dが叩き揃え用の適正位置にあれば、株揃え装置Dの位置から結束位置までの間隔Lxを算出し(ステップ32)、前記立体放出用処理の場合と同様に、算出した間隔Lxが制御用目標間隔Lsと略同じになるように排出位置変更モータM2を作動させる(ステップ33〜36)。
【0096】
このように標準用処理では、株揃え位置の変更範囲を規制することなく株揃え装置Dの位置変更可能な調整範囲の全範囲である全調整範囲を対象として、叩き揃え用の適正位置になるように揃え位置変更モータM1の作動を制御することになる。
【0097】
そして、排ワラ存否センサS4がオン状態からオフ状態に変化してから設定時間(2秒間)経過すると(ステップ5)、そのとき排出位置検出センサS3で検出される伸縮位置、すなわち排ワラ搬送装置20の排ワラ排出位置が、変更調整可能範囲の中央位置よりも機体後方側にあるときは、変更調整可能範囲の中央位置よりも機体前方側寄りの適宜位置に設定された待機用設定位置になるように排出位置変更モータM2を作動させて排ワラ排出位置を移動させる(ステップ6,7,8)。又、株揃え装置Dの機体横幅方向での位置がその変更調整可能範囲のうちの最も株元側に寄った位置になるように揃え位置変更モータM1を作動させる(ステップ9,10)。そして、その後は、排ワラが搬送されて排ワラ存否センサS4がオン状態になるまで待機することになる。
従って、この実施形態では、ステップ7,8の処理が待機状態設定処理に対応し、ステップ11〜18の処理及びステップ24〜31の処理が前記株揃え位置変更処理に対応し、ステップ19〜23の処理及びステップ32〜36の処理が前記排出位置変更処理に対応する。
【0098】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
(1)上記実施形態では、前記排ワラ存在状態が検出される状態から前記排ワラ非存在状態が検出される状態に切り換わり、その排ワラ非存在状態が設定時間継続したのちに前記待機状態設定処理を実行する構成としたが、前記排ワラ存在状態が検出される状態から前記排ワラ非存在状態が検出される状態に切り換わると直ちに前記待機状態設定処理を実行する構成としてもよい。
【0099】
(2)上記実施形態では、前記排ワラ搬送装置の排ワラ排出位置が前記変更調整可能範囲の中央位置よりも機体前方側寄りの位置にあるときは、前記待機状態設定処理を実行しないようにしたが、排ワラ排出位置が機体前方側寄りの位置であっても待機用設定位置よりも機体後方側であれば、前記待機状態設定処理を実行するようにしてもよい。
【0100】
(3)上記実施形態では、前記株揃え装置の機体横幅方向での位置を排ワラの株端位置として検出するようにしたが、集束部で集束される排ワラの株端位置を直接検出して株端位置を検出する構成としてもよい。
【0101】
(4)上記実施形態では、相対位置検出センサS1は、相対位置として、左右の接触子78の間に位置している状態、両接触子78より穂先側に片寄っている状態、および、両接触子78より株元側に片寄っている状態の3状態として検出する構成としているが、株端位置をポテンショメータなどで連続的に検出する構成としてもよい。
【0102】
(5)前記結束位置調節器としては、ポテンショメータによって前記目標長さを無段階に設定する形態に代えて、複数のスイッチを選択操作して前記目標長さを複数段に設定する構成であってもよい。
【0103】
(6)上記実施形態では、前記ワラ束立体放出状態であれば株揃え装置の位置変更可能範囲を設定許容範囲内に規制するようにしたが、このような規制を行わない構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】後部の側面図
【図3】後部の平面図
【図4】排ワラカッタと排ワラ結束装置を示す側面図
【図5】排ワラ結束装置および株揃え装置を示す背面図
【図6】株揃え装置の側面図
【図7】排ワラ結束装置の側面図
【図8】排ワラ搬送装置の搬送終端位置調節構造を示す図
【図9】排ワラ搬送装置の搬送終端位置調節構造を示す図
【図10】搬送終端位置調節構造の要部を示す側面図
【図11】制御ブロック図
【図12】制御動作のフローチャート
【図13】制御動作のフローチャート
【図14】制御動作のフローチャート
【符号の説明】
【0105】
5 脱穀装置
20 排ワラ搬送装置
61 叩き体
117 結束作業状態検出手段
B 排ワラ結束装置
D 株揃え装置
E ワラ束立体放出装置
H 制御手段
K 集束部
M1 株揃え位置変更操作手段
M2 排出位置変更操作手段
S1 相対位置検出手段
S2 株揃え位置検出手段
S4 排ワラ存否検出手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱穀装置から搬出される稈長方向が機体横幅方向に向かう横倒れ姿勢の排ワラを機体後方側に向けて且つ搬送するほど穂先側に移動させるように搬送する排ワラ搬送装置と、前記排ワラ搬送装置から排出される排ワラを集束部にて集束して結束する排ワラ結束装置と、前記排ワラ搬送装置における排ワラ排出位置を搬送方向に沿って変更操作自在な排出位置変更操作手段と、前記集束部にて集束される排ワラの株端の機体横幅方向での位置を検出する株端位置検出手段と、前記株端位置検出手段の検出情報に基づいて、前記集束部にて集束される排ワラの株端位置と前記結束装置による結束位置との間の機体横幅方向に沿う間隔が設定された目標間隔になるように前記排出位置変更操作手段を制御する排出位置変更処理を実行する制御手段とを備えて構成されているコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
上記コンバインは、前記排ワラ搬送装置における排ワラ排出位置を搬送方向に沿って適切な位置に変更調整することにより、搬送されてくる排ワラの稈長の違いにかかわらず、排ワラ結束装置による結束位置が排ワラの株端位置から目標間隔離れた箇所にて適正に結束することができるようにしたものであるが、このようなコンバインにおいて、従来では、前記制御手段は、前記株端位置検出手段の検出情報に基づいて排ワラ搬送装置により搬送されてくる排ワラの稈長を検出して、その検出された稈長に応じて集束部にて集束される排ワラの株端位置から結束位置までの間隔が手動操作式の間隔設定手段により設定された目標間隔になるように前記排出位置変更操作手段を制御する構成となっていた(例えば、特許文献1参照。)。そして、排ワラ搬送装置により排ワラが搬送されなくなると、それまで調整していた排ワラ排出位置をそのまま維持するようになっていた。
【0003】
【特許文献1】特開2000−166361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンバインでは、圃場での刈取作業を行っているときに、前回の作業行程で刈取作業が行われている間は長めの稈長の排ワラが搬送されており、その作業行程での刈取作業が終了したのちに枕地を走行して離れた箇所で別の作業行程での刈取作業を行うような場合に、稈長が短い植立茎稈が刈取られて排ワラとして搬送されてくることがある。つまり、同じ圃場内であっても植立穀稈の生育の仕方に差があり、植立茎稈の稈長が大きく異なる場合があるからである。
【0005】
そして、上記従来構成のコンバインにて刈取作業しているときに、上記したような状況が現出すると、前回の作業行程での刈取作業が終了したときは長めの稈長の排ワラが搬送されていたから、その稈長に応じて集束部にて集束される排ワラの株端位置と結束位置との間の間隔が目標間隔になるように前記排出位置変更操作手段が操作される結果、前記排ワラ搬送装置の搬送終端位置がその変更調整可能範囲のうちの機体後方側に寄った位置に調整されることになる。
【0006】
その後は、次回の作業行程での刈取作業が開始されるまでの間は排ワラの搬送が行われないので排ワラの稈長が検出されないものとなり、前記排ワラ搬送装置の搬送終端位置がそのまま維持されることになる。このような状態で次回の作業行程での刈取作業が開始されて稈長が短い排ワラが搬送されてくると、前記排ワラ搬送装置の搬送終端位置がその変更調整可能範囲のうちの機体後方側に寄った位置に調整されたままの状態となっているから、搬送されてくる短稈の排ワラが排ワラ搬送装置にて機体後方側に寄った位置まで搬送されてから排ワラ結束装置に供給されることになる。
【0007】
その結果、排ワラ結束装置に対して排ワラが穂先側に寄り過ぎてしまい、株端位置が結束位置に近付き過ぎて排ワラ結束装置により結束が良好に行えなくなったり、又は、株端位置が結束位置よりも穂先側に位置して結束が行えず未結束のまま機外に放出されてしまう等のおそれがある。
【0008】
尚、次回の作業行程での刈取作業が開始されて稈長が長い排ワラが搬送されてくる場合には、稈長が短い排ワラが搬送されてくる場合のように、株端位置が結束位置に近付き過ぎたり、株端位置が結束位置よりも穂先側に位置するといった不都合はなく、結束が良好に行えなくなるおそれは少ない。
【0009】
本発明の目的は、排ワラの搬送が一旦中断したのに排ワラの搬送を再開したときに、排ワラの稈長が前回のものに比べて短いものであっても良好に結束を行うことが可能となるコンバインを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るコンバインは、脱穀装置から搬出される稈長方向が機体横幅方向に向かう横倒れ姿勢の排ワラを機体後方側に向けて且つ搬送するほど穂先側に移動させるように搬送する排ワラ搬送装置と、前記排ワラ搬送装置から排出される排ワラを集束部にて集束して結束する排ワラ結束装置と、前記排ワラ搬送装置における排ワラ排出位置を搬送方向に沿って変更操作自在な排出位置変更操作手段と、前記集束部にて集束される排ワラの株端の機体横幅方向での位置を検出する株端位置検出手段と、前記株端位置検出手段の検出情報に基づいて、前記集束部にて集束される排ワラの株端位置と前記排ワラ結束装置による結束位置との間の機体横幅方向に沿う間隔が設定された目標間隔になるように前記排出位置変更操作手段を制御する排出位置変更処理を実行する制御手段とを備えて構成されているものであって、その第1特徴構成は、
結束対象とする排ワラが存在するか否かを検出する排ワラ存否検出手段が備えられ、
前記制御手段が、前記排ワラ存否検出手段にて排ワラ存在状態が検出される状態から排ワラ非存在状態が検出される状態に切り換わると、前記排ワラ搬送装置の排ワラ排出位置がその変更調整可能範囲のうちの機体前方側寄りに設定された待機用設定位置になるように前記排出位置変更操作手段を操作する待機状態設定処理を実行するように構成されている点にある。
【0011】
前記排ワラ存否検出手段にて排ワラ存在状態が検出される状態から排ワラ非存在状態が検出される状態に切り換わると、つまり、前回の作業行程での刈取作業が終了したのちに次の作業行程まで移動走行するような場合等において結束対象とする排ワラが存在している状態から結束対象とする排ワラが存在しない状態に切り換わると、前記制御手段が前記待機状態設定処理を実行することにより、前記排ワラ搬送装置の排ワラ排出位置がその変更調整可能範囲のうちの機体前方側寄りに設定された待機用設定位置になるように排出位置変更操作手段が操作されることになる。
【0012】
その結果、前回の作業行程で刈取作業が行われている間は長めの稈長の排ワラが搬送されており、前記排ワラ搬送装置の搬送終端位置がその変更調整可能範囲のうちの機体後方側に寄った位置に調整されているような場合であっても、次回の作業行程での刈取作業が開始されるときには、排ワラ排出位置がその変更調整可能範囲のうちの機体前方側寄りに設定された待機用設定位置になっているから、次回の作業行程での刈取作業が開始されて稈長が短い排ワラが搬送されてきても、株端位置が結束位置に近付き過ぎたり株端位置が結束位置よりも穂先側に位置するといった不利がなく良好に結束を行うことが可能となる。
【0013】
従って、第1特徴構成によれば、排ワラの搬送が一旦中断したのに排ワラの搬送を再開したときに、排ワラの稈長が前回のものに比べて短いものであっても良好に結束を行うことが可能となるコンバインを提供できるに至った。
【0014】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成に加えて、前記制御手段が、前記排ワラ存否検出手段にて前記排ワラ存在状態が検出される状態から前記排ワラ非存在状態が検出される状態に切り換わると、その排ワラ非存在状態が設定時間継続したのちに前記待機状態設定処理を実行するように構成されている点にある。
【0015】
すなわち、前記制御手段は、前記排ワラ存在状態が検出される状態から前記排ワラ非存在状態が検出される状態に切り換わっても、その排ワラ非存在状態が設定時間継続したのちに前記待機状態設定処理を実行するようにしたので、ある作業行程での刈取作業が終了したのちに別の作業行程に移動しているときにだけ前記待機状態設定処理を実行することになり、例えば、1つの作業行程内で刈取作業が行われている途中で1部分だけ植立穀稈が存在しない欠株になっており、一時的に短時間だけ排ワラが存在しない状態になることあっても、前記待機状態設定処理を実行することがないので、長稈の排ワラが引き続き搬送されてくるような状況で誤って排ワラ排出位置がその変更調整可能範囲のうちの機体前方側寄りに変更することがなく、良好な結束状態を維持できるものとなる。
【0016】
従って、第2特徴構成によれば、排ワラの稈長が大きく変化するおそれがないような場合に無用に排ワラ排出位置を変更することがなく、一層良好に結束を行うことが可能となるコンバインを提供できるに至った。
【0017】
本発明の第3特徴構成は、第1特徴構成又は第2特徴構成に加えて、前記制御手段が、前記排ワラ存否検出手段にて前記排ワラ存在状態が検出される状態から前記排ワラ非存在状態が検出される状態に切り換わったときに前記排ワラ搬送装置の排ワラ排出位置が前記変更調整可能範囲の中央位置よりも機体前方側寄りの位置にあるときは、前記待機状態設定処理を実行しないように構成されている点にある。
【0018】
すなわち、前記制御手段は、前記排ワラ存在状態が検出される状態から前記排ワラ非存在状態が検出される状態に切り換わったときに、前記排ワラ搬送装置の排ワラ排出位置が前記変更調整可能範囲の中央位置よりも機体前方側寄りの位置にあるときは、前記待機状態設定処理を実行しないので排出位置変更操作手段を作動させることがない。
【0019】
このように排ワラ搬送装置の排ワラ排出位置が前記変更調整可能範囲の中央位置よりも機体前方側寄りの位置にあるときは、排ワラ排出位置を変更させずにそのままの状態で短稈の排ワラが搬送されることがあっても、株端位置が結束位置に近付き過ぎたり株端位置が結束位置よりも穂先側に位置するといった不利が生じることはなく、良好に結束を行うことができるのである。
つまり、排ワラの搬送が一旦中断したのに排ワラの搬送を再開したときに短稈の排ワラが搬送されることがあっても良好に結束を行うことが可能であるから、このような場合には無用に排ワラ排出位置を変更しないようにしている。
【0020】
従って、第3特徴構成によれば、良好に結束を行うことが可能でありながら、排出位置変更操作手段の無駄な作動を回避することが可能なコンバインを提供できるに至った。
【0021】
本発明の第4特徴構成は、第1特徴構成〜第3特徴構成のいずれかに加えて、前記集束部にて集束される排ワラの株端を機体横幅方向に往復作動する叩き体で叩き揃える株揃え装置と、その株揃え装置の機体横幅方向での位置を変更する株揃え位置変更操作手段と、前記株揃え装置の機体横幅方向での位置を検出する株揃え位置検出手段と、前記集束部にて集束される排ワラの株端位置に対する前記株揃え装置の機体横幅方向での相対位置を検出する相対位置検出手段とが備えられ、
前記制御手段が、
前記相対位置検出手段の検出情報に基づいて前記株揃え装置の機体横幅方向での相対位置が叩き揃え用の適正位置になるように前記株揃え位置変更操作手段を制御する株揃え位置変更処理、及び、
前記株端位置検出手段としての前記株揃え位置検出手段の検出情報に基づいて、前記排出位置変更処理を実行するように構成されている点にある。
【0022】
すなわち、前記制御手段は、前記相対位置検出手段の検出情報に基づいて前記集束部にて集束される排ワラの株端位置に対する前記株揃え装置の機体横幅方向での相対位置が叩き揃え用の適正位置になるように前記株揃え位置変更操作手段を制御する株揃え位置変更処理を実行し、且つ、前記株端位置検出手段としての前記株揃え位置検出手段の検出情報に基づいて前記排出位置変更処理を実行する。
【0023】
つまり、前記株揃え位置変更処理を実行することによって前記株揃え装置の機体横幅方向での相対位置が集束部にて集束される排ワラの株端を叩き揃えるのに適した叩き揃え用の適正位置になると、その株揃え装置の機体横幅方向での位置が集束部にて集束される排ワラの株端位置に対応するものとなる。そこで、株揃え位置検出手段にて検出される株揃え装置の機体横幅方向での位置は前記集束部にて集束される排ワラの株端位置に対応するものであるから、その位置と前記結束装置による結束位置との間の機体横幅方向に沿う間隔が設定された目標間隔になるように前記排出位置変更操作手段を制御することになる。
【0024】
従って、第4特徴構成によれば、株揃え装置の構成を有効利用して集束部にて集束される排ワラの株端位置を精度よく検出することが可能であり、排ワラの株端位置と結束位置との間の機体横幅方向に沿う間隔を目標間隔に精度よく調整することが可能なコンバインを提供できるに至った。
【0025】
本発明の第5特徴構成は、第4特徴構成に加えて、前記制御手段が、前記株揃え位置変更処理として、
前記排ワラ存否検出手段にて前記排ワラ存在状態が検出される状態から前記排ワラ非存在状態が検出される状態に切り換わると、前記株揃え装置の機体横幅方向での位置がその変更調整可能範囲のうちの最も株端側に寄った位置になるように前記株揃え位置変更操作手段を制御するように構成されている点にある。
【0026】
すなわち、結束対象とする排ワラが存在している状態から結束対象とする排ワラが存在しない状態に切り換わると、株揃え装置の機体横幅方向での位置がその変更調整可能範囲のうちの最も株端側に寄った位置になるように位置が調整されることになる。このように位置調整することで、排ワラの搬送が一旦中断したのに排ワラの搬送を再開したときに長稈の排ワラが搬送されることがあっても、株揃え装置と結束装置との間が広くなり、排ワラが詰まりを起こすおそれが少なく、結束を良好に行えるものとなる。
【0027】
尚、排ワラの搬送を再開したときに短稈の排ワラが搬送される場合には、一時的に排ワラの株端に株揃え装置が作用しない状態となるが、前記株揃え位置変更処理を実行することにより少しの時間遅れの後に叩き揃え用の適正位置に調整されることになる。
【0028】
従って、第5特徴構成によれば、排ワラの搬送を再開したときに長稈の排ワラが搬送されることがあって搬送詰まりの発生のおそれが少なく結束を良好に行うことが可能となるコンバインを提供できるに至った。
【0029】
本発明の第6特徴構成は、第4特徴構成又は第5特徴構成のいずれかに加えて、前記排ワラ結束装置にて結束されたワラ束を株端側が下側に位置し且つ穂先側が上側に位置する縦姿勢で落下させて圃場に起立させるワラ束立体放出装置を使用するワラ束立体放出状態と、前記ワラ束立体放出装置を使用しないで前記排ワラ結束装置にて結束されたワラ束を横倒れ状態のまま放出する標準結束状態とに切り換え自在に構成され、
前記ワラ束立体放出状態であるか前記標準結束状態であるかを検出する結束作業状態検出手段が備えられ、
前記制御手段が、前記株揃え位置変更処理として、
前記結束作業状態検出手段にて前記ワラ束立体放出状態であることが検出されると、前記排ワラの株端位置と前記結束位置との間の機体横幅方向に沿う間隔が前記目標間隔になるときの前記株揃え装置の機体横幅方向での目標株揃え位置を基準として、その目標株揃え位置から設定許容範囲内において前記株揃え装置の機体横幅方向での位置を規制する形態で前記株揃え位置変更手段を制御するように構成され、且つ、
前記結束作業状態検出手段にて前記標準結束状態であることが検出されると、前記株揃え装置の機体横幅方向での位置が前記変更調整可能範囲の全範囲にわたって変更することを許容する形態で前記株揃え位置変更手段を制御するように構成されている点にある。
【0030】
すなわち、前記結束作業状態検出手段により前記ワラ束立体放出状態であるか前記標準結束状態であるかが検出される。そして、前記ワラ束立体放出状態であることが検出されると、前記制御手段は、前記株揃え位置変更処理として、前記排ワラの株端位置と前記結束位置との間の機体横幅方向に沿う間隔が前記目標間隔になるときの前記株揃え装置の機体横幅方向での目標株揃え位置を基準として、その目標株揃え位置から設定許容範囲内において前記株揃え装置の機体横幅方向での位置を規制する形態で前記株揃え位置変更手段を制御するのである。
【0031】
前記ワラ束立体放出状態であるときは、ワラ束立体放出装置を使用して排ワラ結束装置にて結束されたワラ束を株端側が下側に位置し且つ穂先側が上側に位置する縦姿勢で落下させて圃場に起立させる処理を実行することになる。このようにワラ束立体放出状態であるときは、前記排ワラの株端位置と前記結束位置との間の機体横幅方向に沿う間隔が目標間隔から大きく離れると、株端側が充分に裾広がり状態にならずにワラ束を圃場で起立させることができないおそれがある。
【0032】
又、排ワラ搬送装置により搬送される排ワラの稈長が変動すると、その排ワラの稈長の変動に応じて株揃え位置変更手段を操作して排ワラ排出位置を変更させることになるが、刈取作業に伴って結束装置に搬送されてくる排ワラの稈長が大きく変動するおそれがあるような作業条件である場合、このような排ワラの稈長の変動に応じて株揃え装置の位置が変更調整可能範囲の全範囲にわたって大きく変動すると、前記排ワラの株端位置と前記結束位置との間の機体横幅方向に沿う間隔が前記目標間隔から大きく外れてワラ束を圃場で起立させることができない状態になることがある。
【0033】
そこで、前記ワラ束立体放出状態であるときは、前記目標株揃え位置から設定許容範囲内において株揃え装置の機体横幅方向での位置を規制する形態で株揃え位置変更手段を制御する構成とすることで、排ワラの株端位置と結束位置との間の機体横幅方向に沿う間隔が前記目標間隔から大きく離れることがないように範囲内に規制することにより、例えば、排ワラの稈長が大きく変動するおそれがあるような作業条件であっても、ワラ束を圃場で起立させることができなくなる割合を極力少なくすることが可能となるのである。
【0034】
一方、前記結束作業状態検出手段にて前記標準結束状態であることが検出される場合には、上記したような不都合は生じないので、前記株揃え装置の機体横幅方向での位置が前記変更調整可能範囲の全範囲にわたって変更することを許容する形態で前記株揃え位置変更手段を制御するのである。このようにして排ワラを適正な位置で結束することができる。
【0035】
従って、第6特徴構成によれば、前記標準結束状態であるときは排ワラを適正な位置で結束することができ、前記ワラ束立体放出状態であるときは、ワラ束を圃場で起立させることができる割合を極力多くすることが可能となるコンバインを提供できるに至った。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明に係るコンバインの実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、コンバインは、左右一対のクローラ走行装置1を備えた走行機体2の前部に複数条刈り仕様の刈取部3が昇降自在に連結され、且つ、走行機体2に運転部4、脱穀装置5、および、アンローダ付きの穀粒回収タンク6、等が搭載されてコンバイン本機Aが構成されている。
【0037】
前記刈取部3には、刈取り部フレーム7が前下がり傾斜姿勢で備えられており、この刈取り部フレーム7の後端基部が、走行機体2の前端部に立設された支持台8に横向きの支点Pを中心として上下揺動可能に連結支持されるとともに、油圧シリンダ9で上下に駆動揺動されるようになっている。
【0038】
刈取り部フレーム7には、植立穀稈を所定の刈取り姿勢に引起す複数台の引起し装置10、引起した植立穀稈を切断するバリカン型の刈取り装置11、刈取り穀稈を刈幅内の中間部位に搬送して合流する合流用搬送装置12、および、合流された穀稈を脱穀装置5の横外側に備えられたフィードチェーン13の始端部にまで搬送する供給搬送装置14、等が備えられている。
【0039】
前記供給搬送装置14は、穂先係止搬送機構15と、株元挟持搬送機構16と、フィードチェーン13の前方に配備された中継搬送機構17とで構成されており、合流用搬送装置12で合流搬送された立姿勢の穀稈は、供給搬送装置14で後方上方に搬送されながら横倒れ姿勢に変更されてフィードチェーン13の始端部に受け渡されるようになっている。
【0040】
前記株元挟持搬送機構16は、前部支点を中心に上下揺動して搬送終端位置を変更することで、フィードチェーン13への穀稈受け渡し位置を稈長方向に変更して脱穀装置5への穀稈挿入長さを変更調節する機能、いわゆる扱き深さ調節機能が備えられており、搬送される穀稈の長さが図示されない稈長検出手段で検出され、その検出情報に基づいて株元挟持搬送機構16が自動的に位置変更され、刈取り穀稈の稈長変化にかかわらず脱穀装置5への穀稈挿入長さを設定された長さに安定維持する自動扱き深さ制御が実行されるようになっている。
【0041】
図2,図3に示すように、脱穀装置5の後部側に、脱穀装置から搬出される稈長方向が機体横幅方向に向かう横倒れ姿勢の排ワラを機体後方側に向けて且つ搬送するほど穂先側に移動させるように搬送する排ワラ搬送装置20が設けられている。この排ワラ搬送装置20は、縦回し巻回された搬送チェーン21の下側経路に対向して挟持レール22を配備したアッパーチェーン型の株元側搬送機構20Aと、その穂先側に平行に配備された穂先側係止搬送機構20Bとで構成されており、後述のように、株元側搬送機構20Aの挟持レール22を搬送方向に沿って伸縮することで搬送終端位置を搬送方向に変更調節することができるよう構成されている。
【0042】
脱穀装置5の後端に円盤型の排ワラカッタCが連結されるとともに、この排ワラカッタCの後方に排ワラ結束装置Bが配備され、排ワラ結束装置Bの株元側に、搬入されてくる排ワラの株端を左右に揺動する叩き体としての叩き板61によって叩き揃える株揃え装置Dが配備されている。さらに、排ワラ結束装置Bの後方には、放出されてきたワラ束Rを受け止めて斜め後方に挟持搬送した後、株端を下向きにした姿勢で落下させて圃場に起立させるワラ束立体放出装置Eが配備されている。
【0043】
図4に示すように、排ワラカッタCの上部には、後支点aを中心に上下揺動可能に流路切換え板30が配備されており、この流路切換え板30を下げて排ワラカッタCの上部入口を閉塞することで、排ワラ搬送装置20によって搬送されてきた横倒れ姿勢の排ワラを排ワラ結束装置Bに供給し、流路切換え板30を上げて排ワラカッタCの上部入口を開放することで、搬送されてきた排ワラを細断して下方に放出することができるようになっている。
【0044】
図4に示すように、前記排ワラ結束装置Bは、前記集束空間Kの下側に、搬送されてきた排ワラを集束空間Kに向けて送り込むクランク式の掻き込みパッカー32、結束紐供給用のニードル33、集束空間Kに集められた排ワラの集束圧を機械的に感知する感知ドア34等が装備され、集束空間Kの上側には、搬送されてきた排ワラを掻き込みパッカー32の作用域に送り込むクランク式の補助パッカー35、集束空間Kの上壁を構成する紐案内板36、ノッタ・ビル方式に構成された周知の結節機構37、クランク式の放出機構38が装備されている。前記補助パッカー35および掻き込みパッカー32は常時駆動されるとともに、下部のニードル33と上部の結節機構37、および、放出機構38は集束圧感知に基づいて間欠的に同調駆動されるようになっている。
【0045】
排ワラ結束装置Bの基本的な結束作動を以下に説明する。搬送されてきた排ワラは、先ず補助パッカー35によって後方に送り込まれ、引き続き掻き込みパッカー32の掻き込み作用を受けて集束空間Kに送り込まれる。感知ドア34に作用する集束圧が設定値未満の間は、ケース内装の1回転クラッチ(図示せず)が切られており、ニードル33は集束空間Kの下方に退避した待機位置で停止している。また、このニードル33に同調連動されている結節機構37および放出機構38も待機状態で停止している。
【0046】
集束空間Kに所定量の排ワラが集束されると、掻き込みパッカー32の掻き込み作動に伴って発生した設定値以上の集束圧を受けて感知ドア34が後退変位し、これによって1回転クラッチが起動可能状態になる。そして、次回の掻き込みパッカー32の掻き込み作動(最終回の掻き込み作動)に同調して所定のタイミングで1回転クラッチが入り作動してニードル33が駆動されるとともに結節機構37への駆動力伝達が開始される。
【0047】
掻き込みパッカー32が最終回の掻き込み作動を行うと、排ワラ搬送通路を横断する掻き込みパッカー32で排ワラを前後に押し分けた空間を通ってニードル33が排ワラ搬入経路を下から上に横断移動し、結節機構37の下方に配備されている紐案内板36を通過し、結節機構37の紐ホルダー37bに先端部が保持されている結束紐を集束空間Kの排ワラに前方から巻き付けながら結節機構37に供給する。そして、このニードル33による紐供給作動に同調して結節機構37が作動し、結節ビル37aによる紐の結節、紐ホルダ37bによる供給紐の切断および切断端の保持、等の結節作動が順次行われる。
【0048】
その後、結節機構37と同調作動する放出機構38の放出アーム39がワラ束Rを後方に押し出し移動させ、これに伴って結束紐が結節ビル37aから抜き出されて結び目が形成され、引き続く放出アーム39の後方移動によってワラ束Rが集束空間Kから後方に放出されてゆく。なお、この時点では感知ドア34は下方に後退して集束空間Kの後部出口を開放している。
【0049】
結節機構37で結節作動が完了して結束紐の新しい切断端が紐ホルダー37bにくわえ込み保持されるとニードル33は後退移動し、ニードル33が集束空間Kの下方の待機位置に戻った時点で1回転クラッチが自動的に切られ、ニードル33の駆動、結節機構37の駆動、および、放出機構38の駆動が停止されるとともに、感知ドア34が集束空間Kの後端を閉じる元の感知位置に上昇復帰し、これで1回の結束作動が完了し、後続の排ワラが引き続き集束されてゆく。
【0050】
前記ニードル33には待機位置に向けて復帰回動させる戻しバネ40が装着されており、待機位置に戻って駆動が解除されたニードル33がその復帰作動の反動で上方に回動することが抑制されている。
【0051】
説明を加えると、図5及び図7に示すように、最初に排ワラを掻き込み搬送する補助パッカー35は、ニードル33が位置する結束位置に対して排ワラ株元側に適当距離だけ離れた位置に配備されており、横向きに支架されて常時回転駆動されるクランク軸41、このクランク軸41の両端に連結された左右一対のクランクアーム42、装置固定部に支点bを中心にして前後揺動可能に装着された揺動アーム43、および、クランクアーム42の遊端と揺動アーム43の遊端とに亘って枢支連結された板材製のパッカーアーム44とから構成されている。クランクアーム42の回転に伴うクランク作動によってパッカーアーム44の先端が前後に長い回動軌跡をもって循環回動することで、排ワラを掻き込みパッカー32の作用域に向けて搬送するようになっている。
【0052】
前記クランク軸41には、クランクアーム径よりも大径に構成された円形ドラム状の回転体45が取り付けられ、クランク構造部にワラ屑などが巻き付くことが阻止されている。回転体45がクランク軸41と一体に回転することで、回転体45の外周面が排ワラを後方に送込む機能を発揮する。
【0053】
左右のパッカーアーム44の間には、リミットスイッチからなる排ワラ存否センサS4が回転体の外径内に隠されて配備されている。この排ワラ存否センサS4は、排ワラ搬入経路に突入して前後に揺動偏位する感知レバー47によって操作されるようになっており、感知レバー47が搬送排ワラに押されて後方に揺動することでオン状態に切り換わって排ワラの存在が感知され、排ワラの存在が感知されている間は、後述するように、搬入されてくる排ワラの株端位置検出に基づいて前記株揃え装置Dが自動的に排ワラ稈長に対応した最適な叩き位置となるように揃え位置変更用電動モータ(以下、揃え位置変更モータという)M1によって位置調節され、また、感知レバー47の前方復帰することによってオフ状態になり排ワラ搬入が途絶えたことが感知されると、株揃え装置Dは最株端側の待機位置に移動するようになっている。
【0054】
前記集束空間Kの下側に、供給されてきた排ワラを下方から受け止めるように丸棒材からなる排ワラ支持部材50がニードル33の移動軌跡の横側に近接して配備固定されている。この排ワラ支持部材50は集束空間Kの後部出口から前部入口を越えて前方にまで延出されるとともに、排ワラ支持部材50の集束空間始端部に相当する部位で、かつ、ニードル33の通過軌跡の直後に位置させて落込み段差部50aが屈曲形成されている。
【0055】
この構成によると、排ワラ結束装置Bの入口部に供給されてきた排ワラは下方から排ワラ支持部材50で受け止め支持され、その後、掻き込みパッカー32の掻き込み作用を受けて集束空間Kに押し込み供給されることになるが、集束空間Kは、排ワラ支持部材50の落込み段差部50aよって上下幅が大きくなっているので、掻き込みパッカー32で集束空間Kに押し込み供給された排ワラは落込み段差部50aにおいて落ち込むことになり、それより前方(集束空間の入口方向)への逆流が落込み段差部50aによって阻止される。
【0056】
排ワラ支持部材50より排ワラ株元側には平板からなる搬送デッキ51が配備されるとともに、この搬送デッキ51の排ワラ受け止め高さが、排ワラ支持部材50の落込み段差部50aの底面よりも更に低い位置に設定されており、落込み段差部50aを越えて集束空間Kに送込まれた排ワラの株元側が低い搬送デッキ51で下方から受け止め支持される。このように、穂先側に比べて嵩高い株元側が搬送デッキ51で低く受け止められることで、大量の排ワラを崩れ動くことなく安定して集束することができるようになっている。
【0057】
集束空間Kの上方には、湾曲板バネ材からなる分離バネ52と支持バネ53がそれぞれ後ろ向き片持ち状に配備されている。支持バネ53は搬送デッキ51に対向して配備されて、集束中の排ワラを集束空間Kの後部において受け止めるものであり、集束作動中は排ワラが集束空間Kから後方に逃げるのを阻止するとともに、ワラ束放出時には上方に撓んで逃げることができる。また、分離バネ52は支持バネ53よりも株端側に配備されており、集束空間Kに掻き込み供給される排ワラの通過を上方への弾性変形によって許容するが、ワラ束Rが放出される際に、結束されていない後続の排ワラがワラ束Rに引きずられて出て行くのをバネ先端で掻き取り阻止する。
【0058】
パッカーアーム32a,32bの中間部が、常時回転するパッカー駆動軸54に固着したクランクアーム55の遊端部に枢支連結されるとともに、装置固定部に支点c回りに揺動可能に装着した揺動アーム56の遊端部とパッカーアーム32a,32bの下端部とが枢支連結され、クランクアーム55の連続回転によってパッカーアーム32a,32bの先端が所定の軌跡Pa,Pbをもって循環回動して、前記補助パッカー35で送込まれてきた排ワラを集束空間Kに向けて送り込むよう構成されている。
【0059】
前記ニードル33は、ドア軸57を中心にして回動可能に装着されるとともに、ニードル駆動軸58に設けられた駆動アーム59とニードル33とが連動リンク60で連動連結されており、ケース内装の1回転クラッチが入り状態になることでニードル駆動軸58が起動され、駆動アーム59が1回転する内の前半の回転によってニードル33は待機位置から上方に揺動して集束空間Kを越え紐供給作動を行い、駆動アーム59の後半の回転によってニードル33が下方に揺動して元の待機位置にまで復帰作動する。
【0060】
次に、前記株揃え装置Dについて説明する。
図10に示すように、株揃え装置Dは、集束空間Kの株元側に縦向き姿勢で配備した前後および上下に幅広の叩き板61を、その前端の縦向き支点dを中心にして左右揺動させるよう構成したものであり、叩き板61を脱着可能に連結した丸パイプ製の支持アーム62の前端が前記縦向き支点dに枢支連結されるとともに、支持アーム62の前後中間部が、六角駆動軸63によって縦軸心e周りに回転駆動されるクランクアーム64に連動連結されている。六角駆動軸63は、排ワラ結束装置Bにおける株元側のサイドフレーム65に横架支承されて排ワラカッターCから動力を受けており、この六角駆動軸63の右端と補助パッカー35を駆動するクランク軸41とがチェーン66を介して連動されている。
【0061】
前記六角駆動軸63には駆動ケース67が左右スライド可能に外嵌装着されており、六角駆動軸63にベベルギヤ連動されて駆動ケース67の下方に突出された縦向きクランク軸68の下端に前記クランクアーム64が連結されている。前記叩き板61を連結支持した支持アーム62には前後長孔69aを備えた連動部材69が連結され、クランクアーム64の遊端ローラ70が前後長孔69aに係合され、クランクアーム64の回動に伴って支持アーム62が一定の角度で左右に揺動されるようになっている。
【0062】
前記駆動ケース67にはブラケット71が連結されており、このブラケット71から前向き片持ち状に延出された支持フレーム72の前部に、前記支持アーム62の前端が前記縦向き支点d周りに揺動可能に枢支連結されている。
【0063】
前記ブラケット71の上部に装着された一対の遊転ローラ73,74が、排ワラ結束装置Bの前端上部に横架固定された角パイプ製の結束フレーム75の下面および背面に転動可能に接触案内されており、株揃え装置D全体が一定の姿勢を維持した状態で六角駆動軸63に沿って左右に移動可能に支持されている。
【0064】
前記結束フレーム75の株元側端部(左端)に連結された前記サイドフレーム65に、前記揃え位置変更モータM1によって正逆駆動されるネジ軸76が横架装備され、このネジ軸76が、前記ブラケット71に連結された雌ネジ部材77に挿通されており、ネジ軸76の正逆回動によって株揃え装置D全体が排ワラ稈長方向(左右方向)にねじ送り移動されるようになっている。
【0065】
株揃え装置Dにおける前記支持フレーム72の前部には株揃え装置Dに対する排ワラの株端位置の相対位置を検出するための相対位置検出センサS1が装着されている。この相対位置検出センサS1は、所定の小間隔をもって前後揺動可能に配備された一対の接触子78の揺動をそれぞれリミットスイッチ79で検知するよう構成されており、後述するように、横倒れ姿勢で供給されてきた排ワラの株端が両接触子78の間に位置するように、リミットスイッチ79の作動状態に基づいて前記揃え位置変更モータM1が駆動制御されるようになっている。
【0066】
図8に示すように、排ワラ搬送装置20における株元搬送機構20Aの挟持レール22は、固定配備された前後の支持ブラケット80に上下スライド可能、かつ、バネ81によって上方付勢された前後一対の支持ロッド82,83の上端部にそれぞれ枢支連結されており、搬送チェーン21と挟持レール22との間に供給された排ワラを弾性挟持して斜め後方に搬送するよう構成されている。
【0067】
挟持レール22は、丸棒材からなる前部レール22aと、板材を屈曲して中空に構成したレール本体22bとからなり、そのレール本体22bに丸棒材からなる可動レール22cが伸縮自在に挿入支持されている。排ワラ搬送装置20は、排ワラを横向き姿勢で挟持して斜め後方に向けて搬送するので、終端位置を搬送方向上手側(前方)に移動させると、排ワラは株元側に寄せられて排ワラ結束装置Bに供給され、逆に、挟持搬送の終端位置を搬送方向下手側(後方)に移動させると、排ワラは穂先側に寄せられて排ワラ結束装置Bに供給されることになり、可動レール22cを伸縮して搬送終端位置を前後に変更することで、排ワラ結束装置Bに対して排ワラを稈長方向に位置調節して供給することができるのである。なお、可動レール22cの前端には、レール本体22bの内部に沿って前後に転動移動可能な案内ローラ22dが装着されており、可動レール22cが円滑にスライド伸縮されるようになっている。
【0068】
そして、前記排ワラ搬送装置20における排ワラ排出位置を搬送方向に沿って変更操作自在な構成となっている。すなわち、図10に示すように、前記支持ロッド83の先端部に固定された支持ブラケット86における底部の前後にはレリーズワイヤからなる2本の操作ワイヤ88,89のアウタ端が連結されるとともに、支持ブラケット86の内部には前記連結軸87を支軸として案内プーリ90が軸支されており、操作ワイヤ88,89の各アウタ端から導出されたインナワイヤ88a,89aが案内プーリ90に互いに逆向きに巻回されてそれぞれが前方および後方に延出され、各インナワイヤ88a,89aの延出端が前記可動レール22cの前端部と後端部にそれぞれ連結されている。
【0069】
図8に示すように、両操作ワイヤ88,89は、コンバイン本機Aの適所に固定配備されたワイヤ操作ケース91に向けて延出され、そのアウタ端部がワイヤ操作ケース91に連結支持されている。ワイヤ操作ケース91には、回転支軸92を介して回動可能に操作プーリ93が装着されており、各操作ワイヤ88,89のアウタ端部からケース内に導出されたインナワイヤ88a,89aが操作プーリ93に互いに逆向きに巻回されて連結されている。ワイヤ操作ケース91の外側には、正逆転作動する排出位置変更操作手段としての減速機付きの排出位置変更用電動モータ(以下、排出位置変更モータという)M2が装備され、その出力によって駆動される出力ピニオンギヤ95と、操作プーリ93の回転支軸92に備えられた入力ピニオンギヤ96とが、中間支軸97を介してワイヤ操作ケース91内に配備された扇形ギヤ98にそれぞれ咬合されており、排出位置変更モータM2が作動して操作プーリ93が正逆回動されることで、両操作ワイヤ88,89が背反的に押し引き操作され、これによって可動レール22cが伸縮作動するようになっている。
【0070】
図8に示すように、操作プーリ93が図中で反時計方向に回動されると、一方の操作ワイヤ89が引き操作されるのに対して、他方の操作ワイヤ88が同量だけ弛められ、これによって可動レール22cが短縮操作される。図9に示すように、逆に、操作プーリ93が図中で時計方向に回動されると、他方の操作ワイヤ88が引き操作されるのに対して、一方の操作ワイヤ89が同量だけ弛められ、これによって可動レール22cが伸長操作されるのである。つまり、前記排出位置変更モータM2を回動操作することで可動レール22cを伸縮作動させて排ワラ搬送装置20による搬送終端位置を変更することができるように構成されている。
【0071】
そして、前記排出位置変更モータM2により回動操作される前記扇形ギヤ98の回動量を検出するポテンショメータからなる排出位置検出センサS3が設けられ、可動レール22cの伸縮位置言い換えると、排ワラの排出位置に応じた大きさの出力が排出位置検出センサS3から得られるようになっている。
【0072】
図5および図6に示すように、前記揃え位置検出センサS2は、前記結束フレーム75にブラケット101を介して装着した回転式のポテンショメータ102で構成されている。このポテンショメータ102の操作アーム103と、前記ブラケット101にポテンショメータ軸心と略同心の前後向き支点f周りに揺動可能に装着された検出アーム104とがピン係合によって連動連結されるとともに、検出アーム104の下方延出端部に形成した上下長孔105に、前記駆動ケース67から突設した操作ピン106が係合されている。従って、駆動ケース67の左右移動位置に応じて操作アーム103が回動されることで、株揃え装置Dの位置に応じた大きさの出力が揃え位置検出センサS2から得られるようになっている。
【0073】
又、運転部4には、前記集束空間Kにて集束される排ワラの株端位置と排ワラ結束装置Bによる結束位置との間での機体横幅方向に沿う間隔についての目標間隔を手動操作にて設定するための目標間隔設定手段としてのポテンショメータからなる結束位置調節器100(図11参照)が設けられている。
【0074】
次に、前記ワラ束立体放出装置Eの構造について説明する。
図2及び図3に示すように、前記ワラ束立体放出装置Eは、排ワラ結束装置Bから取り出された動力で常時駆動される搬送チェーン111、その搬送面に対して接近離反変位可能に対向配備された挟持レール112、および、搬送終端部を囲むように配備された放出ガイド113とから構成されており、排ワラ結束装置Bから後方に排出されたワラ束Rを、その株元を下向きにして斜め後方に吊り下げ挟持搬送するとともに、挟持レール112に備えた複数(この例では4個)の抵抗突起114によって搬送中のワラ束Rに偏った搬送抵抗を与えることでワラ束Rを自転させ、その自転に伴う遠心力によって株元が拡がらせたワラ束Sを放出ガイドで案内しながら地上に放出することで、ワラ束Rを圃場に裾拡がりの起立姿勢で放置しておくことができるよう構成されており、刈り跡に放出したワラ束Rをそのまま地干しすることができる。なお、前記挟持レール112は、一対の支持ロッド115およびバネ116を介して支持され、ワラ束Rのボリュームに対応して弾性変位可能となっている。ワラ束Rを自転させて確実な裾拡がりを実現するために、前記抵抗突起114を搬送経路中間から搬送方向に長い範囲に亘って配備されている。
【0075】
そして、このコンバインは、前記ワラ束立体放出装置Eを使用するワラ束立体放出状態と、前記ワラ束立体放出装置Eを使用しないで前記排ワラ結束装置Bにて結束されたワラ束を横倒れ状態のまま放出する標準結束状態とに切り換え自在に構成され、前記ワラ束立体放出状態であるか前記標準結束状態であるかを検出する結束作業状態検出手段としての作業形態入力部117(図11参照)が設けられている。この作業形態入力部117は、例えば2位置切り換え式スイッチを各作業形態に対応する操作位置に手動で操作することでいずれかの作業形態情報が入力されるようになっている。
【0076】
前記標準結束状態では、上記したワラ束立体放出装置E全体を取り外しておくか、あるいは、挟持レール112を挟持作用しないように搬送チェーン111から大きく離間させた状態に切り換えておくこと等により、ワラ束を横倒れ状態のまま放出することになる。
【0077】
次に、上記したような株揃え装置Dの位置を調整する株揃え位置変更処理、及び、排ワラ搬送装置20の排ワラ排出位置を調整する排出位置変更処理を実行するための制御構成について説明する。
図11に示すように、制御手段としてのマイクロコンピュータを備えた制御装置Hが設けられ、この制御装置Hに、前記相対位置検出センサS1、前記揃え位置検出センサS2、前記排出位置検出センサS3、前記排ワラ存否センサS4、前記作業形態入力部117、結束位置調節器100が夫々接続されており、これらの入力情報に基づいて、前記揃え位置変更モータM1及び排出位置変更モータM2の作動を制御するように構成されている。
【0078】
そして、前記制御装置Hは、相対位置検出センサS1の検出情報に基づいて株揃え装置Dの機体横幅方向での相対位置が叩き揃え用の適正位置になるように株揃え位置変更モータM1を操作する株揃え位置変更処理、及び、揃え位置検出センサS2の検出情報に基づいて、集束空間Kにて集束される排ワラの株端位置と排ワラ結束装置Bによる結束位置との間の機体横幅方向に沿う間隔が設定された目標間隔になるように排出位置変更モータM2を制御する排出位置変更処理を実行するように構成されている。
【0079】
又、前記制御装置Hが、排ワラ存否センサS4にて排ワラ存在状態が検出される状態から排ワラ非存在状態が検出される状態に切り換わると、排ワラ搬送装置20の排ワラ排出位置がその変更調整可能範囲のうちの機体前方側寄りに設定された待機用設定位置になるように排出位置変更モータM2を制御する待機状態設定処理を実行するように構成されている。
【0080】
さらに、制御装置Hは、前記株揃え位置変更処理として、作業形態入力部117にてワラ束立体放出状態であることが検出されると、排ワラの株端位置と排ワラ結束位置Bとの間の機体横幅方向に沿う間隔が前記目標間隔になるときの株揃え装置Dの機体横幅方向での目標株揃え位置を基準として、その目標株揃え位置から設定許容範囲内において株揃え装置Dの機体横幅方向での位置を規制する形態で揃え位置変更モータM1を制御するように構成され、且つ、作業形態入力部117にて前記標準結束状態であることが検出されると、株揃え装置Dの機体横幅方向での位置が前記変更調整可能範囲の全範囲にわたって変更することを許容する形態で揃え位置変更モータM1を制御するように構成されている。
【0081】
以下、制御装置Hの制御動作について図12〜図14のフローチャートに基づいて説明する。
図12に示すように、排ワラ存否センサS4がオンすると、前記作業形態入力部117の情報に基づいて作業形態が前記ワラ束立体放出状態であるか前記標準結束状態であるかを判別し(ステップ1,2)、ワラ束立体放出状態であるときは、そのワラ束立体放出状態に対応した立体放出用処理(ステップ3)を実行し、前記標準結束状態であるときは、標準結束状態に対応した標準用処理(ステップ4)を実行する。
【0082】
そして、この立体放出用処理では、設定許容範囲内において株揃え装置Dの機体横幅方向での位置を規制する形態で揃え位置変更モータM1を制御することになる。
前記設定許容範囲について説明を加えると、排ワラの株端位置と排ワラ結束位置Bとの間の機体横幅方向に沿う間隔が、結束位置調節器100にて設定されている目標間隔になるときの株揃え装置Dの機体横幅方向での目標株揃え位置を中心として、株元側に設定距離(30cm)及び穂先側に設定距離(30cm)の許容範囲(合計60cm)が設定される。但し、この設定許容範囲の具体的な数値はコンバインの機種型式に応じて適宜変更することになる。
【0083】
次に、前記立体放出用処理について説明する。
図13に示すように、この立体放出用処理では、株揃え装置Dが集束空間Kにて集束される排ワラの株端位置に対して相対位置が適正な状態になっているか否かを判別する(ステップ11)。具体的には、相対位置センサS1のうちの穂先側(右側)の接触子78だけが排ワラに押圧されて後方に揺動され穂先側のリミットスイッチ79だけがオン操作され、株元側のリミットスイッチ79がオフしている状態では、排ワラの株端が両接触子78の間に位置しており、この状態が株揃え装置Dが株端に対して好適な相対位置すなわち叩き揃え用の適正位置にあると判別する。又、両方の接触子78が排ワラに押圧されて後方に揺動され両方のリミットスイッチ79がオン操作されている状態や両方の接触子78が排ワラに押されることなく前方復帰位置にあり両方のリミットスイッチ79がオフである状態では、叩き揃え用の適正位置ではないと判別する。
【0084】
そして、株揃え装置Dが株端に対して叩き揃え用の適正位置でなく、両方の接触子78が排ワラに押圧されて後方に揺動され両方のリミットスイッチ79がオン操作されている状態、つまり、株揃え装置Dが適正位置に対して穂先側にずれており、且つ、株揃え装置Dの位置が前記設定許容範囲の株元側の許容限度に至っていなければ、株揃え装置Dを株元側へ位置変更させるように揃え位置変更モータM1を作動させる(ステップ12,13,14)。
【0085】
又、株揃え装置Dが適正位置に対して穂先側にずれていても、株揃え装置Dの位置が前記設定許容範囲の株元側の許容限度に達している場合には、排ワラ搬送装置20の排ワラ排出位置を機体前方側へ設定量(例えば数cm)変更するように排出位置変更モータM2を作動させる(ステップ13,15)。尚、この排ワラ排出位置の変更操作は、株揃え装置Dが適正位置に入るまで繰り返し行われることになる。
【0086】
株揃え装置Dが適正位置に対して株元側にずれており、且つ、株揃え装置Dの位置が前記設定許容範囲の穂先側の許容限度に至っていなければ、株揃え装置Dを穂先側へ位置変更させるように揃え位置変更モータM1を作動させる(ステップ16,17)。又、株揃え装置Dが適正位置に対して株元側にずれていても、株揃え装置Dの位置が前記設定許容範囲の穂先側の許容限度に達している場合には、排ワラ搬送装置20の排ワラ排出位置を機体後方側へ設定量(例えば数cm)変更するように排出位置変更モータM2を作動させる(ステップ18)。この排ワラ排出位置の変更操作は、株揃え装置Dが適正位置に入るまで繰り返し行われることになる。
【0087】
ステップ11にて株揃え装置Dが叩き揃え用の適正位置にあると判別する場合には、揃え位置検出センサS2の検出情報に基づいて株揃え装置Dの位置(排ワラの株端位置)から結束位置(具体的にはニードルの機体横幅方向での位置)までの間隔Lxを算出する(ステップ19)。
【0088】
そして、算出した間隔Lxと結束位置調節器100にて設定される制御用目標間隔Lsとが略等しくなるように、具体的には、算出した間隔Lxが制御用目標間隔Lsに対して所定の不感帯を有する設定範囲に入るように、排出位置変更モータM2の作動を制御する。つまり、算出した間隔Lxと制御用目標間隔Lsとが略等しければ排出位置変更モータM2を作動させることはないが、算出した間隔Lxが制御用目標間隔Lsよりも短い場合には、株揃え装置Dの位置が穂先側に寄り過ぎており排ワラを株元側に移動させて排ワラ結束装置Bに供給する必要があるから、排ワラ搬送装置20の排ワラ排出位置を機体前方側へ設定量(例えば数cm)変更するように排出位置変更モータM2を作動させる(ステップ20,21,22)。
【0089】
又、算出した間隔Lxが制御用目標間隔Lsよりも長い場合には、株揃え装置Dの位置が株元側に寄り過ぎており排ワラを穂先側に移動させて排ワラ結束装置Bに供給する必要があるから、排ワラ搬送装置20の排ワラ排出位置を機体後方側へ設定量(例えば数cm)変更するように排出位置変更モータM2を作動させる(ステップ21,23)。
【0090】
このように排ワラ搬送装置20の排ワラ排出位置を機体前方側あるいは機体後方側へ設定量変更させるように排出位置変更モータM2を作動させることにより、株揃え装置Dの機体横幅方向での相対位置が叩き揃え用の適正位置から外れると、株揃え装置Dの機体横幅方向での相対位置が叩き揃え用の適正位置になるように調整される(ステップ11〜17)。そして、このような処理を繰り返し実行することで、算出した間隔Lxと制御用目標間隔Lsとが等しくなり、且つ、株揃え装置Dの機体横幅方向での相対位置が叩き揃え用の適正位置になる適正な結束状態となる。又、排ワラ排出位置の変更操作を行うときは、設定量変更させたのち株揃え装置Dの機体横幅方向での相対位置が叩き揃え用の適正位置にあるか否かを判別するようにして、適正位置でなければそのような処理を繰り返すようにしたから、株揃え装置Dの機体横幅方向での相対位置が株端位置に対して叩き揃え用の適正位置から大きく位置ずれすることがなく、適正な叩き揃え作用を維持し易いものとなる。
【0091】
上述したように、この立体放出用処理では、目標株揃え位置から設定許容範囲内において株揃え装置Dの機体横幅方向での位置を規制する形態で、叩き揃え用の適正位置になるように揃え位置変更モータM1を制御することになる。
【0092】
次に標準用処理について説明する。
図14に示すように、この標準用処理では、株揃え位置の変更範囲を規制することなく株揃え装置Dの位置変更可能な調整範囲の全範囲である全調整範囲を対象として、叩き揃え用の適正位置になるように揃え位置変更モータM1の作動を制御することになる。
【0093】
すなわち、株揃え装置Dが適正位置に対して穂先側にずれており、且つ、株揃え装置Dの位置が全調整範囲の株元側の端部に至っていなければ、株揃え装置Dを株元側へ位置変更させるように揃え位置変更モータM1を作動させる(ステップ24〜27)。株揃え装置Dが適正位置に対して穂先側にずれていても、株揃え装置Dの位置が前記全調整範囲の株元側の端部に達していれば、それ以上株元側へ位置変更することができないから、排ワラ搬送装置20の排ワラ排出位置を機体前方側へ設定量(例えば数cm)変更するように排出位置変更モータM2を作動させる(ステップ28)。この排ワラ排出位置の変更操作は、株揃え装置Dが適正位置に入るまで繰り返し行われることになる。
【0094】
株揃え装置Dが適正位置に対して株元側にずれており、且つ、株揃え装置Dの位置が全調整範囲の穂先側の端部に至っていなければ、株揃え装置Dを穂先側へ位置変更させるように揃え位置変更モータM1を作動させる(ステップ25,29,30)。又、株揃え装置Dが適正位置に対して株元側にずれていても、株揃え装置Dの位置が全調整範囲の穂先側の端部に達している場合には、それ以上位置変更することができないから、排ワラ搬送装置20の排ワラ排出位置を機体後方側へ設定量(例えば数cm)変更するように排出位置変更モータM2を作動させる(ステップ31)。この排ワラ排出位置の変更操作は、株揃え装置Dが適正位置に入るまで繰り返し行われることになる。
【0095】
株揃え装置Dが叩き揃え用の適正位置にあれば、株揃え装置Dの位置から結束位置までの間隔Lxを算出し(ステップ32)、前記立体放出用処理の場合と同様に、算出した間隔Lxが制御用目標間隔Lsと略同じになるように排出位置変更モータM2を作動させる(ステップ33〜36)。
【0096】
このように標準用処理では、株揃え位置の変更範囲を規制することなく株揃え装置Dの位置変更可能な調整範囲の全範囲である全調整範囲を対象として、叩き揃え用の適正位置になるように揃え位置変更モータM1の作動を制御することになる。
【0097】
そして、排ワラ存否センサS4がオン状態からオフ状態に変化してから設定時間(2秒間)経過すると(ステップ5)、そのとき排出位置検出センサS3で検出される伸縮位置、すなわち排ワラ搬送装置20の排ワラ排出位置が、変更調整可能範囲の中央位置よりも機体後方側にあるときは、変更調整可能範囲の中央位置よりも機体前方側寄りの適宜位置に設定された待機用設定位置になるように排出位置変更モータM2を作動させて排ワラ排出位置を移動させる(ステップ6,7,8)。又、株揃え装置Dの機体横幅方向での位置がその変更調整可能範囲のうちの最も株元側に寄った位置になるように揃え位置変更モータM1を作動させる(ステップ9,10)。そして、その後は、排ワラが搬送されて排ワラ存否センサS4がオン状態になるまで待機することになる。
従って、この実施形態では、ステップ7,8の処理が待機状態設定処理に対応し、ステップ11〜18の処理及びステップ24〜31の処理が前記株揃え位置変更処理に対応し、ステップ19〜23の処理及びステップ32〜36の処理が前記排出位置変更処理に対応する。
【0098】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
(1)上記実施形態では、前記排ワラ存在状態が検出される状態から前記排ワラ非存在状態が検出される状態に切り換わり、その排ワラ非存在状態が設定時間継続したのちに前記待機状態設定処理を実行する構成としたが、前記排ワラ存在状態が検出される状態から前記排ワラ非存在状態が検出される状態に切り換わると直ちに前記待機状態設定処理を実行する構成としてもよい。
【0099】
(2)上記実施形態では、前記排ワラ搬送装置の排ワラ排出位置が前記変更調整可能範囲の中央位置よりも機体前方側寄りの位置にあるときは、前記待機状態設定処理を実行しないようにしたが、排ワラ排出位置が機体前方側寄りの位置であっても待機用設定位置よりも機体後方側であれば、前記待機状態設定処理を実行するようにしてもよい。
【0100】
(3)上記実施形態では、前記株揃え装置の機体横幅方向での位置を排ワラの株端位置として検出するようにしたが、集束部で集束される排ワラの株端位置を直接検出して株端位置を検出する構成としてもよい。
【0101】
(4)上記実施形態では、相対位置検出センサS1は、相対位置として、左右の接触子78の間に位置している状態、両接触子78より穂先側に片寄っている状態、および、両接触子78より株元側に片寄っている状態の3状態として検出する構成としているが、株端位置をポテンショメータなどで連続的に検出する構成としてもよい。
【0102】
(5)前記結束位置調節器としては、ポテンショメータによって前記目標長さを無段階に設定する形態に代えて、複数のスイッチを選択操作して前記目標長さを複数段に設定する構成であってもよい。
【0103】
(6)上記実施形態では、前記ワラ束立体放出状態であれば株揃え装置の位置変更可能範囲を設定許容範囲内に規制するようにしたが、このような規制を行わない構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】後部の側面図
【図3】後部の平面図
【図4】排ワラカッタと排ワラ結束装置を示す側面図
【図5】排ワラ結束装置および株揃え装置を示す背面図
【図6】株揃え装置の側面図
【図7】排ワラ結束装置の側面図
【図8】排ワラ搬送装置の搬送終端位置調節構造を示す図
【図9】排ワラ搬送装置の搬送終端位置調節構造を示す図
【図10】搬送終端位置調節構造の要部を示す側面図
【図11】制御ブロック図
【図12】制御動作のフローチャート
【図13】制御動作のフローチャート
【図14】制御動作のフローチャート
【符号の説明】
【0105】
5 脱穀装置
20 排ワラ搬送装置
61 叩き体
117 結束作業状態検出手段
B 排ワラ結束装置
D 株揃え装置
E ワラ束立体放出装置
H 制御手段
K 集束部
M1 株揃え位置変更操作手段
M2 排出位置変更操作手段
S1 相対位置検出手段
S2 株揃え位置検出手段
S4 排ワラ存否検出手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀装置から搬出される稈長方向が機体横幅方向に向かう横倒れ姿勢の排ワラを機体後方側に向けて且つ搬送するほど穂先側に移動させるように搬送する排ワラ搬送装置と、
前記排ワラ搬送装置から排出される排ワラを集束部にて集束して結束する排ワラ結束装置と、
前記排ワラ搬送装置における排ワラ排出位置を搬送方向に沿って変更操作自在な排出位置変更操作手段と、
前記集束部にて集束される排ワラの株端の機体横幅方向での位置を検出する株端位置検出手段と、
前記株端位置検出手段の検出情報に基づいて、前記集束部にて集束される排ワラの株端位置と前記排ワラ結束装置による結束位置との間の機体横幅方向に沿う間隔が設定された目標間隔になるように前記排出位置変更操作手段を制御する排出位置変更処理を実行する制御手段とを備えて構成されているコンバインであって、
結束対象とする排ワラが存在するか否かを検出する排ワラ存否検出手段が備えられ、
前記制御手段が、前記排ワラ存否検出手段にて排ワラ存在状態が検出される状態から排ワラ非存在状態が検出される状態に切り換わると、前記排ワラ搬送装置の排ワラ排出位置がその変更調整可能範囲のうちの機体前方側寄りに設定された待機用設定位置になるように前記排出位置変更操作手段を操作する待機状態設定処理を実行するように構成されているコンバイン。
【請求項2】
前記制御手段が、前記排ワラ存否検出手段にて前記排ワラ存在状態が検出される状態から前記排ワラ非存在状態が検出される状態に切り換わると、その排ワラ非存在状態が設定時間継続したのちに前記待機状態設定処理を実行するように構成されている請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記制御手段が、前記排ワラ存否検出手段にて前記排ワラ存在状態が検出される状態から前記排ワラ非存在状態が検出される状態に切り換わったときに前記排ワラ搬送装置の排ワラ排出位置が前記変更調整可能範囲の中央位置よりも機体前方側寄りの位置にあるときは、前記待機状態設定処理を実行しないように構成されている請求項1又は2記載のコンバイン。
【請求項4】
前記集束部にて集束される排ワラの株端を機体横幅方向に往復作動する叩き体で叩き揃える株揃え装置と、その株揃え装置の機体横幅方向での位置を変更する株揃え位置変更操作手段と、前記株揃え装置の機体横幅方向での位置を検出する株揃え位置検出手段と、前記集束部にて集束される排ワラの株端位置に対する前記株揃え装置の機体横幅方向での相対位置を検出する相対位置検出手段とが備えられ、
前記制御手段が、
前記相対位置検出手段の検出情報に基づいて前記株揃え装置の機体横幅方向での相対位置が叩き揃え用の適正位置になるように前記株揃え位置変更操作手段を制御する株揃え位置変更処理、及び、
前記株端位置検出手段としての前記株揃え位置検出手段の検出情報に基づいて、前記排出位置変更処理を実行するように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記制御手段が、前記株揃え位置変更処理として、
前記排ワラ存否検出手段にて前記排ワラ存在状態が検出される状態から前記排ワラ非存在状態が検出される状態に切り換わると、前記株揃え装置の機体横幅方向での位置がその変更調整可能範囲のうちの最も株端側に寄った位置になるように前記株揃え位置変更操作手段を制御するように構成されている請求項4記載のコンバイン。
【請求項6】
前記排ワラ結束装置にて結束されたワラ束を株端側が下側に位置し且つ穂先側が上側に位置する縦姿勢で落下させて圃場に起立させるワラ束立体放出装置を使用するワラ束立体放出状態と、前記ワラ束立体放出装置を使用しないで前記排ワラ結束装置にて結束されたワラ束を横倒れ状態のまま放出する標準結束状態とに切り換え自在に構成され、
前記ワラ束立体放出状態であるか前記標準結束状態であるかを検出する結束作業状態検出手段が備えられ、
前記制御手段が、前記株揃え位置変更処理として、
前記結束作業状態検出手段にて前記ワラ束立体放出状態であることが検出されると、前記排ワラの株端位置と前記結束位置との間の機体横幅方向に沿う間隔が前記目標間隔になるときの前記株揃え装置の機体横幅方向での目標株揃え位置を基準として、その目標株揃え位置から設定許容範囲内において前記株揃え装置の機体横幅方向での位置を規制する形態で前記株揃え位置変更手段を制御するように構成され、且つ、
前記結束作業状態検出手段にて前記標準結束状態であることが検出されると、前記株揃え装置の機体横幅方向での位置が前記変更調整可能範囲の全範囲にわたって変更することを許容する形態で前記株揃え位置変更手段を制御するように構成されている請求項4又は5記載のコンバイン。
【請求項1】
脱穀装置から搬出される稈長方向が機体横幅方向に向かう横倒れ姿勢の排ワラを機体後方側に向けて且つ搬送するほど穂先側に移動させるように搬送する排ワラ搬送装置と、
前記排ワラ搬送装置から排出される排ワラを集束部にて集束して結束する排ワラ結束装置と、
前記排ワラ搬送装置における排ワラ排出位置を搬送方向に沿って変更操作自在な排出位置変更操作手段と、
前記集束部にて集束される排ワラの株端の機体横幅方向での位置を検出する株端位置検出手段と、
前記株端位置検出手段の検出情報に基づいて、前記集束部にて集束される排ワラの株端位置と前記排ワラ結束装置による結束位置との間の機体横幅方向に沿う間隔が設定された目標間隔になるように前記排出位置変更操作手段を制御する排出位置変更処理を実行する制御手段とを備えて構成されているコンバインであって、
結束対象とする排ワラが存在するか否かを検出する排ワラ存否検出手段が備えられ、
前記制御手段が、前記排ワラ存否検出手段にて排ワラ存在状態が検出される状態から排ワラ非存在状態が検出される状態に切り換わると、前記排ワラ搬送装置の排ワラ排出位置がその変更調整可能範囲のうちの機体前方側寄りに設定された待機用設定位置になるように前記排出位置変更操作手段を操作する待機状態設定処理を実行するように構成されているコンバイン。
【請求項2】
前記制御手段が、前記排ワラ存否検出手段にて前記排ワラ存在状態が検出される状態から前記排ワラ非存在状態が検出される状態に切り換わると、その排ワラ非存在状態が設定時間継続したのちに前記待機状態設定処理を実行するように構成されている請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記制御手段が、前記排ワラ存否検出手段にて前記排ワラ存在状態が検出される状態から前記排ワラ非存在状態が検出される状態に切り換わったときに前記排ワラ搬送装置の排ワラ排出位置が前記変更調整可能範囲の中央位置よりも機体前方側寄りの位置にあるときは、前記待機状態設定処理を実行しないように構成されている請求項1又は2記載のコンバイン。
【請求項4】
前記集束部にて集束される排ワラの株端を機体横幅方向に往復作動する叩き体で叩き揃える株揃え装置と、その株揃え装置の機体横幅方向での位置を変更する株揃え位置変更操作手段と、前記株揃え装置の機体横幅方向での位置を検出する株揃え位置検出手段と、前記集束部にて集束される排ワラの株端位置に対する前記株揃え装置の機体横幅方向での相対位置を検出する相対位置検出手段とが備えられ、
前記制御手段が、
前記相対位置検出手段の検出情報に基づいて前記株揃え装置の機体横幅方向での相対位置が叩き揃え用の適正位置になるように前記株揃え位置変更操作手段を制御する株揃え位置変更処理、及び、
前記株端位置検出手段としての前記株揃え位置検出手段の検出情報に基づいて、前記排出位置変更処理を実行するように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記制御手段が、前記株揃え位置変更処理として、
前記排ワラ存否検出手段にて前記排ワラ存在状態が検出される状態から前記排ワラ非存在状態が検出される状態に切り換わると、前記株揃え装置の機体横幅方向での位置がその変更調整可能範囲のうちの最も株端側に寄った位置になるように前記株揃え位置変更操作手段を制御するように構成されている請求項4記載のコンバイン。
【請求項6】
前記排ワラ結束装置にて結束されたワラ束を株端側が下側に位置し且つ穂先側が上側に位置する縦姿勢で落下させて圃場に起立させるワラ束立体放出装置を使用するワラ束立体放出状態と、前記ワラ束立体放出装置を使用しないで前記排ワラ結束装置にて結束されたワラ束を横倒れ状態のまま放出する標準結束状態とに切り換え自在に構成され、
前記ワラ束立体放出状態であるか前記標準結束状態であるかを検出する結束作業状態検出手段が備えられ、
前記制御手段が、前記株揃え位置変更処理として、
前記結束作業状態検出手段にて前記ワラ束立体放出状態であることが検出されると、前記排ワラの株端位置と前記結束位置との間の機体横幅方向に沿う間隔が前記目標間隔になるときの前記株揃え装置の機体横幅方向での目標株揃え位置を基準として、その目標株揃え位置から設定許容範囲内において前記株揃え装置の機体横幅方向での位置を規制する形態で前記株揃え位置変更手段を制御するように構成され、且つ、
前記結束作業状態検出手段にて前記標準結束状態であることが検出されると、前記株揃え装置の機体横幅方向での位置が前記変更調整可能範囲の全範囲にわたって変更することを許容する形態で前記株揃え位置変更手段を制御するように構成されている請求項4又は5記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−57454(P2010−57454A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−228711(P2008−228711)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]