コンバイン
【課題】刈取装置で刈り取った長稈が前部搬送装置からフィードチェンにスムーズに受け継がれるものとして収穫作業を円滑に継続出来るようにする。
【解決手段】機体の前部に設けた刈取装置(4)で植立穀稈の株元を刈り取り、この刈り取った穀稈を株元搬送装置(10)と穂先搬送装置(11)からなる前部搬送装置(12)で搬送して脱穀装置(3)のフィードチェン(13)に引き継いで脱穀するコンバインにおいて、前部搬送装置(12)とフィードチェン(13)の側部に排稈の株元側を支持する株元案内具(18)を設ける。また、株元案内具(18)を、フィードチェン(13)の先端部の側部に臨む部位で機体から大きく側方へ張り出し、フィードチェン(13)の終端部の側部に臨む部位で機体に近づけて配置する。
【解決手段】機体の前部に設けた刈取装置(4)で植立穀稈の株元を刈り取り、この刈り取った穀稈を株元搬送装置(10)と穂先搬送装置(11)からなる前部搬送装置(12)で搬送して脱穀装置(3)のフィードチェン(13)に引き継いで脱穀するコンバインにおいて、前部搬送装置(12)とフィードチェン(13)の側部に排稈の株元側を支持する株元案内具(18)を設ける。また、株元案内具(18)を、フィードチェン(13)の先端部の側部に臨む部位で機体から大きく側方へ張り出し、フィードチェン(13)の終端部の側部に臨む部位で機体に近づけて配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に植生する稲や麦などの穀稈を刈り取って脱穀するコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインは、機体の前部に設ける刈取装置で株元を刈り取り、この穀稈を前部搬送装置で搬送して脱穀装置のフィードチェンに引き継ぎ、このフィードチェンで搬送しながら穂先を扱胴で脱穀し、脱穀済の排稈をカッターで截断したり束に結束したりして圃場へ放出する。
【0003】
この脱穀装置で脱穀する穀稈は、穂先位置が扱胴の適正位置を通過するようにフィードチェンで挟持しているが、穀稈が長いと株元がフィードチェから外側方へ垂れ下がって搬送姿勢が乱れて脱穀の途中で詰まりを生じる。その為に、フィードチェンの株元側下部に排稈の株元側を受けて移送し易くする株元案内受け具を設ける技術が、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−163918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来技術に記載の株元案内受け具は、棒状の案内杆をフィードチェンの株元側の側方下部に設けたものであるが、コンバインは、前部搬送装置で株元を持上げながらフィードチェンに受け渡すので、この際に穀稈の株元側がが垂れ下がっていると前記株元案内受け具の上に株元側が載らず、かえって株元案内受け具の下側に入って搬送の支障になることが有る。
【0006】
よって、本発明では、コンバインの刈取装置で刈り取った特に長い穀稈が前部搬送装置からフィードチェンにスムーズに受け継がれて収穫作業を継続出来るようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、機体の前部に設けた刈取装置(4)で植立穀稈の株元を刈り取り、この刈り取った穀稈を株元搬送装置(10)と穂先搬送装置(11)からなる前部搬送装置(12)で搬送して脱穀装置(3)のフィードチェン(13)に引き継いで脱穀するコンバインにおいて、前記前部搬送装置(12)とフィードチェン(13)の側部に排稈の株元側を支持する株元案内具(18)を設けてなるコンバインとした。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記株元案内具(18)を、フィードチェン(13)の先端部の側部に臨む部位で機体から大きく側方へ張り出し、フィードチェン(13)の終端部の側部に臨む部位で機体に近づけて配置したことを特徴とする請求項1に記載のコンバインとした。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記株元案内具(18)を前ガイド杆(18b)と後ガイド杆(18c)に分割し、該前ガイド杆(18b)と後ガイド杆(18c)を連結部(18a)で屈曲可能に連結し、前ガイド杆(18b)と後ガイド杆(18c)を屈曲させて機体に沿わせて収納できる構成としたことを特徴とする請求項2に記載のコンバインとした。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記前ガイド杆(18b)の先端を、前記株元搬送装置(10)の下方で且つ刈刃(9)で刈り取った穀稈の株元が合流する位置において刈取装置(4)を支持する刈取メインフレーム(14)に固定の前取付具(20a)に取り付け、前ガイド杆(18b)の中間部を脱穀装置(3)の脱穀フレームから側方へ張り出した中間支持具(20b)で支持し、前ガイド杆(18b)の後端部を、脱穀装置(3)の後側に備えるカッター(17)のカッターフレームから張り出す後取付具(20c)に取り付けたことを特徴とする請求項3に記載のコンバインとした。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記前ガイド杆(18b)を、前取付具(20a)に取り付けた先端部から中間支持具(20b)との取付部に向けて側方へ張り出し、さらに後端に向けて緩やかに機体内方に向かわせることで、平面視において中間部を最も側方へ張り出し、側面視において株元搬送装置(10)とフィードチェン(13)に沿わせて、先端から後端へ向かって登り傾斜させて、株元搬送装置(10)とフィードチェン(13)によって搬送される穀稈の株元の移動軌跡に沿わせたことを特徴とする請求項4に記載のコンバインとした。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、前部搬送装置(12)からフィードチェン(13)へ引き継がれて搬送される長稈を、その株元側がフィードチェン(13)から外側方へ垂れ下がらないように株元案内具(18)で支持することで、脱穀作業を円滑に行なうことができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、上記請求項1に記載の発明の効果に加え、株元案内具(18)によって未刈り側の植立穀稈が機体に引っ掛かりにくくなり、刈取作業を円滑に行なうことができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、上記請求項2に記載の発明の効果に加え、側方に張り出す株元案内具(18)を機体に沿わせた収納位置にして納屋等の格納場所へ容易に格納することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、上記請求項3に記載の発明の効果に加え、株元案内具(18)の支持剛性が高まることで穀稈の株元側の支持が安定し、脱穀作業を円滑に行なうことができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、上記請求項4に記載の発明の効果に加え、穀稈の株元端部が走行クローラに引っ掛かったり圃場に接触したりしにくくなり、刈取脱穀作業を安定して継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】コンバインの全体左側面図である。
【図2】コンバインの全体平面図である。
【図3】株元案内具の前ガイド杆1と後ガイド杆の連結部の第一実施例である。
【図4】株元案内具の前ガイド杆1と後ガイド杆の連結部の第二実施例である。
【図5】株元案内具の前ガイド杆1と後ガイド杆の連結部の第三実施例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例を参照しながら説明する。
このコンバインは走行車体1に左右一対の走行クローラ2,2を備え、後部に搭載した脱穀装置3の前方部に刈取装置4を設置し、刈取装置4の後横側部には運転席5や操作ボックス6等の運転操作部を備え、更に、その運転操作部の後方には脱穀した穀粒を一時的に貯留するグレンタンク21を装備している。
【0019】
刈取装置4は、圃場に植立する穀稈を条毎に分草する分草体7,7…と、分草後の穀稈を引き起す3条の穀稈引起し装置8,8,8と、引起し後の穀稈の株元近くを切断して穀稈を刈り取る刈刃9で構成し、この刈取装置4を経て穀稈の株元側を挟持搬送する株元搬送装置10と穂先側を挟持搬送する穂先搬送装置11からなる前部搬送装置12で後方へ搬送し、その穀稈を脱穀装置3のフィードチェン13に引き継いで受け渡して脱穀する。
【0020】
刈刃9はバリカン型のものであり、刈取装置4を支持する刈取メインフレーム14の下端部から前方に突出する先端部フレーム19に配設され、穀稈引起し装置8で倒れた穀稈が引き起こし作用を受け、株元側が掻込装置による掻き込み作用を受けている状態の植立穀稈の株元近くを切断するように構成されている。
【0021】
左側の分草体7には後方ほど側方へ張り出すナローガイド15を設けて、未刈穀稈を走行クローラ2が踏まないように側方へ押し退けるようにしている。
刈取装置4は、刈取メインフレーム14により走行車体1に対し刈取昇降シリンダで上下に昇降可能に装備されているものである。
【0022】
フィードチェン13は、挟持杆16との間に穀稈を挟持して後方へ送り穂先側を脱穀装置3の扱胴で脱穀し、脱穀後の排稈を排稈搬送装置(図示省略)でカッター17に送り込み、短く切断して圃場へ放出する。
【0023】
フィードチェン13の外側には、このフィードチェン13から側方へ張り出す株元案内具18を設けて、長い穀稈の株元側を受けてガイドしてフィードチェン13による搬送がスムーズに行われるようにしている。
【0024】
この株元案内具18は前ガイド杆18bと後ガイド杆18cを連結部18aで屈曲可能に連結した杆状体で、先端を株元搬送装置10下方でかつ刈刃9が刈り取った穀稈の株元が合流する位置で刈取メインフレーム14に固定の前取付具20aに取り付け、中間を脱穀フレームから張り出す中間支持具20bで支持し、後端部をカッターフレームから張り出す後取付具20cに取り付け、前取付具20aに取り付けた先端から中間支持具20bとの取付部に向けて側方へ張り出し、さらに後端に向けて緩やかに機体内方に向かっていて、平面視で中間部が最も側方へ張り出し、側面視で株元搬送装置10とフィードチェン13に沿わせて、先端から後端へ向かって登り傾斜させて、株元搬送装置10とフィードチェン13が移送する穀稈株元の移動軌跡に沿わせて、株元端部が走行クローラ2に引っ掛かったり圃場に接触したりしないようにしている。なお、中間支持具20bは、脱穀装置3の脱穀入口3aより前に設け、後取付具20cはフィードチェン13の後端よりも後に設けている。なお、株元案内具18は、帯鉄で構成する板状体であっても良い。
【0025】
株元案内具18の中間支持具20bに向かう途中のフィードチェン13前端側方位置で、連結部18aは屈曲可能にし、中間支持具20bと後取付具20cを上下方向に折り曲げ可能にして、脱穀を行わない場合に、株元案内具18を機体に沿わせて収納可能にしている。
【0026】
なお、連結部18aは図3の如く、弾力性の有る丸棒23と鋼管24で伸縮及び回動可能にしたり、図4の如くコイルスプリング25で構成したり、図5の如く蛇腹連結材26で構成したりして、伸縮及び回動可能にする。
【0027】
収穫作業は、機体を走行させて分草体7を植立する穀稈の株元に分け入らせて穀稈引起し装置8で倒れた穀稈を引き起こしながら刈刃9で株元を刈り、株元搬送装置10と穂先搬送装置11で穀稈を横倒しにしながらフィードチェン13に受け渡す。フィードチェン13と挟持杆16で挟持されて脱穀装置3に挿入された穀稈の穂先が脱穀・選別されてグレンタンク21に穀粒が貯留され、グレンタンク21が満杯になるとオーガ22で運送タンクへ移される。
【0028】
機体左側の分草体7で掻き分けられる未刈穀稈はナローガイド15で側方へ押しやられて走行クローラ2で踏み付けないようにされる。
また、刈取穀稈が長くて株元搬送装置10とフィードチェン13から株元端が長く突出する場合には、株元案内具18を側方へ引き出して株元を受けてガイドするようにすることで、穀稈の後方への移送をスムーズに行うことができる。
【符号の説明】
【0029】
3 脱穀装置
4 刈取装置
9 刈刃
10 株元搬送装置
11 穂先搬送装置
12 前部搬送装置
13 フィードチェン
14 刈取メインフレーム
17 カッター
18 株元案内具
18a 連結部
18b 前ガイド杆
18c 後ガイド杆
20a 前取付具
20b 中間支持具
20c 後取付具
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に植生する稲や麦などの穀稈を刈り取って脱穀するコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインは、機体の前部に設ける刈取装置で株元を刈り取り、この穀稈を前部搬送装置で搬送して脱穀装置のフィードチェンに引き継ぎ、このフィードチェンで搬送しながら穂先を扱胴で脱穀し、脱穀済の排稈をカッターで截断したり束に結束したりして圃場へ放出する。
【0003】
この脱穀装置で脱穀する穀稈は、穂先位置が扱胴の適正位置を通過するようにフィードチェンで挟持しているが、穀稈が長いと株元がフィードチェから外側方へ垂れ下がって搬送姿勢が乱れて脱穀の途中で詰まりを生じる。その為に、フィードチェンの株元側下部に排稈の株元側を受けて移送し易くする株元案内受け具を設ける技術が、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−163918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来技術に記載の株元案内受け具は、棒状の案内杆をフィードチェンの株元側の側方下部に設けたものであるが、コンバインは、前部搬送装置で株元を持上げながらフィードチェンに受け渡すので、この際に穀稈の株元側がが垂れ下がっていると前記株元案内受け具の上に株元側が載らず、かえって株元案内受け具の下側に入って搬送の支障になることが有る。
【0006】
よって、本発明では、コンバインの刈取装置で刈り取った特に長い穀稈が前部搬送装置からフィードチェンにスムーズに受け継がれて収穫作業を継続出来るようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、機体の前部に設けた刈取装置(4)で植立穀稈の株元を刈り取り、この刈り取った穀稈を株元搬送装置(10)と穂先搬送装置(11)からなる前部搬送装置(12)で搬送して脱穀装置(3)のフィードチェン(13)に引き継いで脱穀するコンバインにおいて、前記前部搬送装置(12)とフィードチェン(13)の側部に排稈の株元側を支持する株元案内具(18)を設けてなるコンバインとした。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記株元案内具(18)を、フィードチェン(13)の先端部の側部に臨む部位で機体から大きく側方へ張り出し、フィードチェン(13)の終端部の側部に臨む部位で機体に近づけて配置したことを特徴とする請求項1に記載のコンバインとした。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記株元案内具(18)を前ガイド杆(18b)と後ガイド杆(18c)に分割し、該前ガイド杆(18b)と後ガイド杆(18c)を連結部(18a)で屈曲可能に連結し、前ガイド杆(18b)と後ガイド杆(18c)を屈曲させて機体に沿わせて収納できる構成としたことを特徴とする請求項2に記載のコンバインとした。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記前ガイド杆(18b)の先端を、前記株元搬送装置(10)の下方で且つ刈刃(9)で刈り取った穀稈の株元が合流する位置において刈取装置(4)を支持する刈取メインフレーム(14)に固定の前取付具(20a)に取り付け、前ガイド杆(18b)の中間部を脱穀装置(3)の脱穀フレームから側方へ張り出した中間支持具(20b)で支持し、前ガイド杆(18b)の後端部を、脱穀装置(3)の後側に備えるカッター(17)のカッターフレームから張り出す後取付具(20c)に取り付けたことを特徴とする請求項3に記載のコンバインとした。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記前ガイド杆(18b)を、前取付具(20a)に取り付けた先端部から中間支持具(20b)との取付部に向けて側方へ張り出し、さらに後端に向けて緩やかに機体内方に向かわせることで、平面視において中間部を最も側方へ張り出し、側面視において株元搬送装置(10)とフィードチェン(13)に沿わせて、先端から後端へ向かって登り傾斜させて、株元搬送装置(10)とフィードチェン(13)によって搬送される穀稈の株元の移動軌跡に沿わせたことを特徴とする請求項4に記載のコンバインとした。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、前部搬送装置(12)からフィードチェン(13)へ引き継がれて搬送される長稈を、その株元側がフィードチェン(13)から外側方へ垂れ下がらないように株元案内具(18)で支持することで、脱穀作業を円滑に行なうことができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、上記請求項1に記載の発明の効果に加え、株元案内具(18)によって未刈り側の植立穀稈が機体に引っ掛かりにくくなり、刈取作業を円滑に行なうことができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、上記請求項2に記載の発明の効果に加え、側方に張り出す株元案内具(18)を機体に沿わせた収納位置にして納屋等の格納場所へ容易に格納することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、上記請求項3に記載の発明の効果に加え、株元案内具(18)の支持剛性が高まることで穀稈の株元側の支持が安定し、脱穀作業を円滑に行なうことができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、上記請求項4に記載の発明の効果に加え、穀稈の株元端部が走行クローラに引っ掛かったり圃場に接触したりしにくくなり、刈取脱穀作業を安定して継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】コンバインの全体左側面図である。
【図2】コンバインの全体平面図である。
【図3】株元案内具の前ガイド杆1と後ガイド杆の連結部の第一実施例である。
【図4】株元案内具の前ガイド杆1と後ガイド杆の連結部の第二実施例である。
【図5】株元案内具の前ガイド杆1と後ガイド杆の連結部の第三実施例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例を参照しながら説明する。
このコンバインは走行車体1に左右一対の走行クローラ2,2を備え、後部に搭載した脱穀装置3の前方部に刈取装置4を設置し、刈取装置4の後横側部には運転席5や操作ボックス6等の運転操作部を備え、更に、その運転操作部の後方には脱穀した穀粒を一時的に貯留するグレンタンク21を装備している。
【0019】
刈取装置4は、圃場に植立する穀稈を条毎に分草する分草体7,7…と、分草後の穀稈を引き起す3条の穀稈引起し装置8,8,8と、引起し後の穀稈の株元近くを切断して穀稈を刈り取る刈刃9で構成し、この刈取装置4を経て穀稈の株元側を挟持搬送する株元搬送装置10と穂先側を挟持搬送する穂先搬送装置11からなる前部搬送装置12で後方へ搬送し、その穀稈を脱穀装置3のフィードチェン13に引き継いで受け渡して脱穀する。
【0020】
刈刃9はバリカン型のものであり、刈取装置4を支持する刈取メインフレーム14の下端部から前方に突出する先端部フレーム19に配設され、穀稈引起し装置8で倒れた穀稈が引き起こし作用を受け、株元側が掻込装置による掻き込み作用を受けている状態の植立穀稈の株元近くを切断するように構成されている。
【0021】
左側の分草体7には後方ほど側方へ張り出すナローガイド15を設けて、未刈穀稈を走行クローラ2が踏まないように側方へ押し退けるようにしている。
刈取装置4は、刈取メインフレーム14により走行車体1に対し刈取昇降シリンダで上下に昇降可能に装備されているものである。
【0022】
フィードチェン13は、挟持杆16との間に穀稈を挟持して後方へ送り穂先側を脱穀装置3の扱胴で脱穀し、脱穀後の排稈を排稈搬送装置(図示省略)でカッター17に送り込み、短く切断して圃場へ放出する。
【0023】
フィードチェン13の外側には、このフィードチェン13から側方へ張り出す株元案内具18を設けて、長い穀稈の株元側を受けてガイドしてフィードチェン13による搬送がスムーズに行われるようにしている。
【0024】
この株元案内具18は前ガイド杆18bと後ガイド杆18cを連結部18aで屈曲可能に連結した杆状体で、先端を株元搬送装置10下方でかつ刈刃9が刈り取った穀稈の株元が合流する位置で刈取メインフレーム14に固定の前取付具20aに取り付け、中間を脱穀フレームから張り出す中間支持具20bで支持し、後端部をカッターフレームから張り出す後取付具20cに取り付け、前取付具20aに取り付けた先端から中間支持具20bとの取付部に向けて側方へ張り出し、さらに後端に向けて緩やかに機体内方に向かっていて、平面視で中間部が最も側方へ張り出し、側面視で株元搬送装置10とフィードチェン13に沿わせて、先端から後端へ向かって登り傾斜させて、株元搬送装置10とフィードチェン13が移送する穀稈株元の移動軌跡に沿わせて、株元端部が走行クローラ2に引っ掛かったり圃場に接触したりしないようにしている。なお、中間支持具20bは、脱穀装置3の脱穀入口3aより前に設け、後取付具20cはフィードチェン13の後端よりも後に設けている。なお、株元案内具18は、帯鉄で構成する板状体であっても良い。
【0025】
株元案内具18の中間支持具20bに向かう途中のフィードチェン13前端側方位置で、連結部18aは屈曲可能にし、中間支持具20bと後取付具20cを上下方向に折り曲げ可能にして、脱穀を行わない場合に、株元案内具18を機体に沿わせて収納可能にしている。
【0026】
なお、連結部18aは図3の如く、弾力性の有る丸棒23と鋼管24で伸縮及び回動可能にしたり、図4の如くコイルスプリング25で構成したり、図5の如く蛇腹連結材26で構成したりして、伸縮及び回動可能にする。
【0027】
収穫作業は、機体を走行させて分草体7を植立する穀稈の株元に分け入らせて穀稈引起し装置8で倒れた穀稈を引き起こしながら刈刃9で株元を刈り、株元搬送装置10と穂先搬送装置11で穀稈を横倒しにしながらフィードチェン13に受け渡す。フィードチェン13と挟持杆16で挟持されて脱穀装置3に挿入された穀稈の穂先が脱穀・選別されてグレンタンク21に穀粒が貯留され、グレンタンク21が満杯になるとオーガ22で運送タンクへ移される。
【0028】
機体左側の分草体7で掻き分けられる未刈穀稈はナローガイド15で側方へ押しやられて走行クローラ2で踏み付けないようにされる。
また、刈取穀稈が長くて株元搬送装置10とフィードチェン13から株元端が長く突出する場合には、株元案内具18を側方へ引き出して株元を受けてガイドするようにすることで、穀稈の後方への移送をスムーズに行うことができる。
【符号の説明】
【0029】
3 脱穀装置
4 刈取装置
9 刈刃
10 株元搬送装置
11 穂先搬送装置
12 前部搬送装置
13 フィードチェン
14 刈取メインフレーム
17 カッター
18 株元案内具
18a 連結部
18b 前ガイド杆
18c 後ガイド杆
20a 前取付具
20b 中間支持具
20c 後取付具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の前部に設けた刈取装置(4)で植立穀稈の株元を刈り取り、この刈り取った穀稈を株元搬送装置(10)と穂先搬送装置(11)からなる前部搬送装置(12)で搬送して脱穀装置(3)のフィードチェン(13)に引き継いで脱穀するコンバインにおいて、前記前部搬送装置(12)とフィードチェン(13)の側部に排稈の株元側を支持する株元案内具(18)を設けてなるコンバイン。
【請求項2】
前記株元案内具(18)を、フィードチェン(13)の先端部の側部に臨む部位で機体から大きく側方へ張り出し、フィードチェン(13)の終端部の側部に臨む部位で機体に近づけて配置したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記株元案内具(18)を前ガイド杆(18b)と後ガイド杆(18c)に分割し、該前ガイド杆(18b)と後ガイド杆(18c)を連結部(18a)で屈曲可能に連結し、前ガイド杆(18b)と後ガイド杆(18c)を屈曲させて機体に沿わせて収納できる構成としたことを特徴とする請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記前ガイド杆(18b)の先端を、前記株元搬送装置(10)の下方で且つ刈刃(9)で刈り取った穀稈の株元が合流する位置において刈取装置(4)を支持する刈取メインフレーム(14)に固定の前取付具(20a)に取り付け、前ガイド杆(18b)の中間部を脱穀装置(3)の脱穀フレームから側方へ張り出した中間支持具(20b)で支持し、前ガイド杆(18b)の後端部を、脱穀装置(3)の後側に備えるカッター(17)のカッターフレームから張り出す後取付具(20c)に取り付けたことを特徴とする請求項3に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記前ガイド杆(18b)を、前取付具(20a)に取り付けた先端部から中間支持具(20b)との取付部に向けて側方へ張り出し、さらに後端に向けて緩やかに機体内方に向かわせることで、平面視において中間部を最も側方へ張り出し、側面視において株元搬送装置(10)とフィードチェン(13)に沿わせて、先端から後端へ向かって登り傾斜させて、株元搬送装置(10)とフィードチェン(13)によって搬送される穀稈の株元の移動軌跡に沿わせたことを特徴とする請求項4に記載のコンバイン。
【請求項1】
機体の前部に設けた刈取装置(4)で植立穀稈の株元を刈り取り、この刈り取った穀稈を株元搬送装置(10)と穂先搬送装置(11)からなる前部搬送装置(12)で搬送して脱穀装置(3)のフィードチェン(13)に引き継いで脱穀するコンバインにおいて、前記前部搬送装置(12)とフィードチェン(13)の側部に排稈の株元側を支持する株元案内具(18)を設けてなるコンバイン。
【請求項2】
前記株元案内具(18)を、フィードチェン(13)の先端部の側部に臨む部位で機体から大きく側方へ張り出し、フィードチェン(13)の終端部の側部に臨む部位で機体に近づけて配置したことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記株元案内具(18)を前ガイド杆(18b)と後ガイド杆(18c)に分割し、該前ガイド杆(18b)と後ガイド杆(18c)を連結部(18a)で屈曲可能に連結し、前ガイド杆(18b)と後ガイド杆(18c)を屈曲させて機体に沿わせて収納できる構成としたことを特徴とする請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記前ガイド杆(18b)の先端を、前記株元搬送装置(10)の下方で且つ刈刃(9)で刈り取った穀稈の株元が合流する位置において刈取装置(4)を支持する刈取メインフレーム(14)に固定の前取付具(20a)に取り付け、前ガイド杆(18b)の中間部を脱穀装置(3)の脱穀フレームから側方へ張り出した中間支持具(20b)で支持し、前ガイド杆(18b)の後端部を、脱穀装置(3)の後側に備えるカッター(17)のカッターフレームから張り出す後取付具(20c)に取り付けたことを特徴とする請求項3に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記前ガイド杆(18b)を、前取付具(20a)に取り付けた先端部から中間支持具(20b)との取付部に向けて側方へ張り出し、さらに後端に向けて緩やかに機体内方に向かわせることで、平面視において中間部を最も側方へ張り出し、側面視において株元搬送装置(10)とフィードチェン(13)に沿わせて、先端から後端へ向かって登り傾斜させて、株元搬送装置(10)とフィードチェン(13)によって搬送される穀稈の株元の移動軌跡に沿わせたことを特徴とする請求項4に記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2012−115158(P2012−115158A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265314(P2010−265314)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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