コンバイン
【課題】刈取部の下部のフレームに対するワラの堆積を簡単な構成で解消するコンバインを構成する。
【解決手段】刈取部の下部において横向きとなる横フレーム26と、主フレーム25との連結位置に、前下がり姿勢で横フレーム26の上方を覆う落下ガイド部材65を備え、この落下ガイド部材65の上端65Bが、刈取部の搬送装置で搬送される刈取穀稈Kの下端Kaが移動する移動軌跡Lの上方に突出するように位置関係を設定した。
【解決手段】刈取部の下部において横向きとなる横フレーム26と、主フレーム25との連結位置に、前下がり姿勢で横フレーム26の上方を覆う落下ガイド部材65を備え、この落下ガイド部材65の上端65Bが、刈取部の搬送装置で搬送される刈取穀稈Kの下端Kaが移動する移動軌跡Lの上方に突出するように位置関係を設定した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植立穀稈の株元を切断する切断装置と、この切断装置で切断された刈取穀稈を搬送して脱穀装置のフィードチェーンに供給する搬送装置とを有する刈取部が走行機体に備えられているコンバインに関し、詳しくは、刈取部の下部に横向き姿勢のフレームに対するワラや草等の堆積を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように、刈取部底部のフレームに対するワラや草の堆積を抑制するコンバインとして特許文献1には、刈取部において穀稈を掻き込むスターホイルに近接する位置に縦向姿勢のスクレーパ軸によって駆動回転するスクレーパを有する除去機構が示されている。この除去機構は、エンジンからの駆動力が伝えられる前後向き姿勢のフレーム(文献では2軸ケース)と、このフレームからの駆動力が伝えられる横向き姿勢のフレーム(文献では3軸ケース)とが連結する部位の上方に配置されると共に、スクレーパの下端を連結部位の上面に接近配置することで、この連結部位の上面にワラ草が溜まり、塊が形成される不都合を抑制するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002‐84862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるように駆動回転するスクレーパを備えることによりフレームの上面に堆積するワラを取り除く構成では、スクレーパを回転自在に支持する構成を必要とするだけではなく、このスクレーパを回転させる駆動力を必要とするため構成が複雑化しやすく改善の余地がある。また、この特許文献1のようにスクレーパを回転させる構成では、ワラの除去が可能な領域を拡大する場合にも限界があり、複数のスクレーパを必要とすることになり構成の一層の複雑化を招くものであった。
【0005】
本発明の目的は、刈取部の下部のフレームに対するワラの堆積を簡単な構成で解消するコンバインを構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴は、植立穀稈の株元を切断する切断装置と、この切断装置で切断された刈取穀稈を搬送して脱穀装置のフィードチェーンに供給する搬送装置とを有する刈取部が走行機体に備えられているコンバインであって、前記刈取部が、前記植立穀稈の分草を行う分草具と、この分草具で分草された植立穀稈を引き起こす引起装置と、前記切断装置とを支持するため前後方向に延びる姿勢の縦フレームを備えると共に、前記走行機体から駆動力が伝えられる回転型の伝動軸を内装したパイプ状となる横フレームを前記刈取部の下部位置において横方向に延びる姿勢で前記縦フレームに連結する状態で備えており、前記搬送装置が、前記切断装置で株元が切断された刈取穀稈を後方斜め上方に向かう搬送経路に沿って搬送するように構成され、この搬送経路の下側で、前記横フレームの上側において前下がりとなる傾斜姿勢で、搬送機構から落下するワラを前記横フレームの前側に案内して落下させる落下ガイド部材を備えている点にある。
【0007】
この構成によると、切断装置で株元が切断された刈取穀稈を、搬送経路に沿って後方斜め上方に向けて搬送する際に、この刈取穀稈に付着したワラが横フレームの上方で刈取穀稈から分離して落下することがあっても、そのワラは落下ガイド部材の上面に接触し、自重により落下ガイド部材の傾斜に沿って前方に移動し前端から地面に落下することになり、横フレームの上面に堆積することが少ない。
従って、刈取部の下部のフレームに対するワラの堆積を簡単な構成で解消するコンバインが構成され、ワラの堆積物が、搬送装置で搬送される刈取穀稈を阻害する不都合を解消して円滑な搬送が実現する。
【0008】
本発明は、前記落下ガイド部材の上端を前記搬送装置で搬送される刈取穀稈の下端部に接触する状態に設定し、この落下ガイド部材の下端を前記横フレームの前部位置に設定しても良い。
【0009】
これによると、搬送装置で搬送される刈取穀稈が落下ガイド部材の上部を通過する場合には、その刈取穀稈の下端部に落下ガイド部材の上端が接触するため、刈取穀稈に付着しているワラ等を積極的に脱落させることが可能となる。このように刈取穀稈に付着しているワラを積極的に脱落させることにより、搬送装置の搬送経路においてワラが落下して搬送装置の駆動系に巻き付く不都合や、ワラが脱穀装置の内部に持ち込まれ脱穀性能を低下させる不都合も解消する。
【0010】
本発明は、前記切断装置が、前記横フレームの前方に離間する位置に配置されることで、この切断装置と前記横フレームとの間に上下方向に開放する空間が形成され、この空間に前記落下ガイド部材で案内されるワラを落下させても良い。
【0011】
これによると、切断装置の後方で、横フレームの前方において上下方向に開放する空間にワラを落下させることになり、ワラを無理なく排出できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】コンバインの全体側面図である。
【図2】搬送装置の構成を示す平面図である。
【図3】刈取部の前部位置の側面図である。
【図4】刈取部の正面図である。
【図5】落下ガイド部材と刈取装置との配置を示す平面図である。
【図6】刈取穀稈と落下ガイド部材との位置関係を示す側面図である。
【図7】落下ガイド部材の正面図である。
【図8】刈取装置の縦断側面図である。
【図9】供給搬送チェーンから脱穀装置に至る搬送経路の平面図である。
【図10】供給搬送チェーンと補助挟持体とを示す断面図である。
【図11】中継部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔コンバインの全体構成〕
図1、図2に示すように、左右一対のクローラ走行装置1によって走行する走行機体Aの前端に昇降シリンダ10の作動により昇降自在に刈取部Bを備えると共に、走行機体Aの前部に運転者が搭乗する運転部Cを備え、走行機体Aに対して刈取部Bから刈取穀稈K(図6を参照)が供給される脱穀装置Dと、この脱穀装置Dで選別された穀粒を貯留する穀粒タンクEとを備えて自脱型のコンバインが構成されている。
【0014】
このコンバインは、収穫作業時に刈取部Bと脱穀装置Dとを駆動した状態で走行機体Aを前進させることにより刈取部Bで植立穀稈J(図6を参照)の株元を切断して穀稈の刈り取りを行い、刈り取った刈取穀稈Kを脱穀装置Dに搬送して脱穀処理を行い、この脱穀装置Dの脱穀処理により得られた穀粒を穀粒タンクEに貯留する処理が行われる。
【0015】
運転部Cには、運転者が着座する運転座席12が備えられると共に、運転座席12の前方位置に運転者が操作する操縦レバー13が備えられ、運転座席12の側方位置に複数の操作レバーが備えられている。
【0016】
運転座席12の下部位置にはエンジン(図示せず)が備えられ、走行機体Aの前部位置で左右方向での中央位置には左右のクローラ走行装置1に駆動力を伝える伝動ケース3が配置され、エンジンの駆動力は伝動ケース3に伝えられる。この伝動ケース3の駆動力で駆動回転するスプロケット3Sからクローラ走行装置1に伝えられ、エンジンからの駆動力は刈取部Bと、脱穀装置Dとに伝えられる。
【0017】
操縦レバー13は、非操作状態で中立姿勢を維持すると共に、左右方向の何れかの方向に操作された場合には操作方向に対応するクローラ走行装置1に伝えられる駆動力を遮断して走行機体Aの操向を実現する。また、この操縦レバー13が前後方向へ操作された場合には昇降シリンダ10に対する作動油の給排を制御して刈取部Bの昇降を行う。
【0018】
〔刈取部〕
図1〜図6に示すように、刈取部Bは、植立穀稈Jの分草を行う複数の分草具21と、植立穀稈Jを引き起こす複数の引起装置22と、植立穀稈Jの株元を切断するバリカン型の刈取装置Gと、この刈取装置Gで株元が切断された穀稈を搬送して脱穀装置DのフィードチェーンFCに供給する搬送装置Hとを備えている。尚、この実施形態では図6に示す如く、刈取装置Gで株元が切断される以前の穀稈を植立穀稈Jと称し、刈取装置Gで株元が切断され搬送装置Hで搬送される穀稈を刈取穀稈Kと称している。
【0019】
また、刈取部Bは、機体フレームの前端部の刈取部支持台23に対し横向き姿勢の主軸芯Xを中心にして揺動自在に支持される丸パイプ状の支持フレーム24と、この支持フレーム24から前方に突出するパイプ状の主フレーム25と、この主フレーム25の下端位置に連結する横向き姿勢でパイプ状の横フレーム26と、この横フレーム26の一方の端部から上方に延びる姿勢で引起装置に22に駆動力を伝える伝動フレーム27とを備えると共に、横フレーム26の両端位置から前方に延びる姿勢の左右一対の縦フレーム28を備えている。
【0020】
この刈取部Bでは、支持フレーム24と主フレーム25と横フレーム26と伝動フレーム27との内部に伝動軸(図示せず)が備えられ、支持フレーム24の伝動軸に対して伝動ケース3から走行速度に同期した駆動力を伝える伝動系(図示せず)が形成されている。支持フレーム24の伝動軸の駆動力は横フレーム26の伝動軸から伝動フレーム27の伝動軸に順次伝えられ刈取部Bの引起装置22、搬送装置Hに伝えられる。尚、縦フレーム28は刈取部Bの底部位置において前後向きに伸びる姿勢で備えられている。
【0021】
〔刈取部:刈取装置〕
刈取部Bの底部には、左右の縦フレーム28に両端が連結する横向き姿勢の角パイプ状の中間フレーム30を備えており、この中間フレーム30の前部位置に刈取装置Gが備えられている。図5、図8に示すように、刈取装置Gは、プレート状の受刃台31の上面に多数の刃体をリベット等で固定した固定刃32を有し、この上側に配置されるナイフバー33の下面に複数の刃体をリベット等で固定した可動刃34を有し、固定刃32に可動刃34を圧接させる押圧部材35を有し、これらを重ね合わせ状態に保持する構成を有している。連結ボルト36により受刃台31を連結プレート37に連結し、この連結プレート37が縦フレーム28に連結されることで刈取装置Gが左右の縦フレーム28に支持されている。
【0022】
この刈取装置Gは、固定刃32と可動刃34とを構成する複数の刃体の先端が尖鋭となる三角形状であり、可動刃34が横方向に往復駆動されることにより夫々の刃体から植立穀稈Jに対して剪断方向に力を作用させて植立穀稈Jの切断を行うように構成されている。
【0023】
〔刈取部:搬送装置〕
図2に示すように刈取部Bは、4つの引起装置22を備えることにより4条刈りに構成され、搬送系の前部位置で夫々の引起装置22の後部の下部位置には、植立穀稈Jの株元を掻き寄せるように多数の係止アームが一体形成された搬送ベルト39と、この搬送ベルト39と同期して回転する星状のパッカー40とを組み合わせた掻き込み機構が備えられている。
【0024】
この搬送装置Hは、前述した右側の掻き込み機構から2条分の刈取穀稈Kを搬送する第1搬送機構H1と、前述した左側の掻き込み機構から左側の2条分の刈取穀稈Kを搬送して第1搬送機構H1に合流させる第2搬送機構H2とを備え、刈取穀稈Kを後方斜め上方に向かう搬送経路に沿って搬送するように構成されている。
【0025】
第1搬送機構H1は、刈取穀稈Kの株元を前部挟持ロッド41Aに沿って挟持搬送する前部搬送チェーン41と、扱深さ調節のために姿勢変更が可能に構成され刈取穀稈Kの株元を中間挟持ロッド42Aに沿って挟持搬送する中間搬送チェーン42と、刈取穀稈Kの株元を挟持ロッド50に沿って挟持搬送して脱穀装置Dに供給する供給搬送チェーン43とを搬送方向に沿って順次備えると共に、これら前部搬送チェーン41と中間搬送チェーン42と供給搬送チェーン43で搬送される刈取穀稈Kの穂先部を係止搬送する第1穂先搬送部44とを備えている。
【0026】
第2搬送機構H2は、刈取穀稈Kの株元を合流挟持ロッド46Aに沿って挟持搬送する合流搬送チェーン46と、この合流搬送チェーン46で搬送される刈取穀稈Kの穂先部を係止搬送する第2穂先搬送部47とを備えている。第1穂先搬送部44は無端チェーンに対して起伏自在に多数の係止爪44Aを備えた構造を有しており、刈取穀稈Kの搬送を行う領域において係止爪44Aを起立させることで、この係止爪44Aを刈取穀稈Kの穂先側に当接させて搬送力を作用させる。
【0027】
図9に示すように、供給搬送チェーン43の挟持ロッド50は、刈取穀稈Kを供給搬送チェーン43に向けて押圧する機能を有する。つまり、挟持ロッド50に連結する一対の支持軸51がホルダ52にスライド移動自在に支持され、挟持バネ53により突出付勢されている。図面には示していないがホルダ52はフレームを介して刈取部Bに支持されている。また、この供給搬送チェーン43で搬送される刈取穀稈Kの株元をフィードチェーンFCに案内するガイドロッド54が供給搬送チェーン43の下側からフィードチェーンFCの近傍に達する位置に亘って備えられている。
【0028】
図9〜図11に示すように、供給搬送チェーン43の上部を覆うカバー体55が備えられ、挟持ロッド50の終端(脱穀装置D側の端部)を通過した刈取穀稈Kの脱落を阻止するバネ板製の補助挟持体56が備えられている。この補助挟持体56は、基端部56Aをボルトによりホルダ52の上面に固定し、中間部を供給搬送チェーン43の方向に突出するように緩やかに湾曲させ、後端部56Bを挟持ロッド50の終端位置を挟持ロッド50の後端位置より更に後方に突出させたものが使用されている。この補助挟持体56は、供給搬送チェーン43に接近する方向に付勢力を作用させ、この供給搬送チェーン43から離間する方向(走行機体Aの外方)に良好に弾性変形すると共に、上下方向への変形を行い難い姿勢で備えられている。この構成から、供給搬送チェーン43で搬送される刈取穀稈Kが挟持ロッド50の終端から離脱した際に、補助挟持体56が付勢力を作用させて脱落を防止する。
【0029】
脱穀装置Dの前面には、フィードチェーンFCで搬送される刈取穀稈Kが供給される穀稈供給口5が形成され、脱穀装置Dの前面には刈取穀稈Kを横倒れ姿勢で穀稈供給口5に案内する供給ガイド板6が前方に突出する形態で備えられている。尚、脱穀装置Dの内部には前後向き姿勢の駆動軸芯を中心にして回転する扱胴(図示せず)と、この下側において扱胴の外周に沿う円弧状の受網(図示せず)とが備えられ、この扱胴と受網との間の空間に刈取穀稈Kの穂先側を横倒れ姿勢で供給するため、穀稈供給口5は下側に凸となる円弧状で形成され、供給ガイド板6は穀稈供給口5の下側の開口縁に連なるように湾曲形成されている。
【0030】
カバー体55の後端部には、第1穂先搬送部44より低い位置で後方に向けて支持プレート57が突設され、この支持プレート57の上面と供給ガイド板6の上面とに亘ってゴム板製の中継材58が備えられている。この中継材58は刈取部Bの昇降に伴い供給搬送チェーン43と脱穀装置Dとの相対高さが変動した場合にも刈取穀稈Kを円滑に穀稈供給口5に供給できるように柔軟に変形可能な素材が用いられ、ガイド板として機能する。尚、この中継材58として布材を用いても良い。
【0031】
中継材58は、前端部が支持プレート57の前端とカバー体55との間に挟み込まれる状態でボルト59により固定され、後端部は供給ガイド板6の上面に載せ付けられている。特に、中継材58が柔軟に変形する性質であるため、供給搬送チェーン43と供給ガイド板6との中間位置での中継材58の垂れ下がることもあり、この垂れ下がりを抑制する観点から支持プレート57を備えている。また、この垂れ下がりを一層抑制するため支持プレート57には走行機体Aの中央側に突出する姿勢の補助プレート57Aを備え、供給ガイド板6の前端には前方に突出する補助ブラケット6Aを備えている。
【0032】
図2、図4、図5に示すように、中間フレーム30の中間位置に3つの補助縦フレーム60が備えられ、左右の縦フレーム28と3つの補助縦フレーム60との前端に分草具21が備えられている。この5つの分草具21のうち中央側の3つの分草具21は補助縦フレーム60の前端に支持されている。また、中央位置の分草具21と、中央位置の2つの引起装置22の上部の中間位置との間に分草杆61が備えられている。この分草杆61の下端部は中央位置の分草具21を上下に貫通して補助縦フレーム60前端のブラケット60Aに連結し、上端部は、4つの引起装置22の上部を連結する横向き姿勢の連結フレーム62から上方に延出した連結板63に連結している。
【0033】
この分草杆61は、中央位置の分草具21の先端位置より少し後部に配置されるものであるが、分草杆61の全体が引起装置22の前面より前方に配置されるため、隣接する植立穀稈Jが絡み合う状態で高い位置まで分草を行うように機能する。
【0034】
〔刈取部:落下ガイド部材〕
図5〜図7に示すように、主フレーム25の下端部の前面の一部と、この主フレーム25に連結する横フレーム26の一部とに亘る領域を覆う部位に板状の落下ガイド部材65が備えられている。この落下ガイド部材65は、刈取装置Gで切断され搬送装置Hで搬送される刈取穀稈Kに付着して移動するワラや草等の付着物を横フレーム26の前方で、中間フレーム30の後方の開放空間Sに落下させる機能を有するものであり、側面視で前下がりとなる傾斜姿勢で備えられている。尚、この落下ガイド部材65には表面が平滑な鋼板が使用されているが、樹脂板を用いても良い。
【0035】
横フレーム26は、左側の左フレーム26Lと右側の右フレーム26Rとで成る2部材を同軸芯上に配置し、互いのフランジ連結部26Aにおいてボルト連結すると共に、このフランジ連結部26Aの近傍に被連結部26Bを形成した構造を有している。この被連結部26Bに対して主フレーム25の下端部のフランジ部25Aがボルト連結しており、この連結部位に主フレーム25の内部の伝動軸からの駆動力を横フレーム26の内部の伝動軸に伝えるベベルギヤ機構(図示せず)が内装されている。このフランジ連結部26Aと被連結部26Bとの接触を避けるために落下ガイド部材65の下端部には開口65Aが形成されている。
【0036】
主フレーム25の下端のフランジ部25Aの上面には、上端側ほど後方に向けて傾斜する傾斜姿勢の第1支持部材66の下端が連結し、右フレーム26Rの上面には、上端側ほど後方に向けて傾斜する傾斜姿勢の第2支持部材67の下端が連結している。この第1支持部材66と第2支持部材67とは平行姿勢で備えられるものであり、第1支持部材66と第2支持部材67との前面側に落下ガイド部材65を配置し、落下ガイド部材65に形成された長孔65Hにビス68を挿通し、第1支持部材66と第2支持部材67とのナット部に螺合させることにより、落下ガイド部材65が連結されている。尚、長孔65Hは上下方向に長寸に形成され、この長孔65Hにより落下ガイド部材65の取付位置を上下方向で調節を行えるように構成されている。
【0037】
落下ガイド部材65は、第1搬送機構H1の搬送経路に対して第2搬送機構H2の搬送経路が合流する位置の下方位置であり、搬送装置Hで搬送される刈取穀稈Kの下端部(切断部)が落下ガイド部材65の上端65Bに接触するように、この落下ガイド部材65の上端65Bの位置が設定されている。図6に示すように、植立穀稈Jの株元が刈取装置Gで切断され、刈取穀稈Kとして更に後方に送られた後に、搬送装置Hで搬送される場合には、刈取穀稈Kが後方斜め上方に送られることになり、下端Ka(切断部)は同図に示す移動軌跡Lに沿って移動することになる。従って、落下ガイド部材65の上端65Bを移動軌跡Lより少し上方に突出するように相対的な位置関係を設定することで刈取穀稈Kの下端Kaを落下ガイド部材65の上端65Bに接触させている。
【0038】
このように落下ガイド部材65が配置されているため、刈取穀稈Kに付着するワラや草等の付着物が自然に落下する場合には、この付着物は落下ガイド部材65の上面に沿って開放空間Sに送られ横フレーム26より前方位置の圃場面に落下する。また、ワラや草等の付着物が自然に落下し難い状態にあっても、搬送に伴い刈取穀稈Kの下端Kaが落下ガイド部材65の上端65Bに接触する際に生ずる振動によって落下することになり、付着物は落下ガイド部材65の上面に沿って開放空間Sに送られ横フレーム26より前方位置の圃場面に落下する。これにより横フレーム26の上面や主フレームの24の前部にワラや草等が堆積する不都合が解消され、この堆積が成長して刈取穀稈Kの搬送を阻害する不都合を招くこともない。
【0039】
また、落下ガイド部材65の上端65Bの位置を高く設定することで刈取穀稈Kの付着物を効率的に除去することも可能となるが、この上端65Bを高く設定した場合には、刈取穀稈Kの搬送抵抗が増大させ、刈取穀稈Kの搬送姿勢を乱す不都合に繋がる。ワラや草等の量は、作業環境によって異なるものである。従って、ワラや草等の量が多い作業環境では、落下ガイド部材65の上端65Bの位置を高く設定することで、刈取穀稈Kに作用する搬送抵抗の増大や搬送抵抗の乱れの不都合を多少許しながら付着物の除去を効率的に行う設定を選択できるようにも構成されている。
【0040】
〔実施形態の作用・効果〕
このような構成から、収穫作業を行う場合には、植立穀稈Jが絡み合う状態で倒伏していても分草杆61が良好に分草し、引起装置22が引き起こすことが可能となる。引起装置22で引き起こされた植立穀稈Jは掻き込み機構によって掻き込まれ、株元が切断されると略同時に、第1搬送機構H1と第2搬送機構H2とによる搬送が開始され、第1搬送機構H1で刈取穀稈Kが搬送される経路に、第2搬送機構H2の刈取穀稈Kが合流する状態で送られる。この合流部の下方位置には落下ガイド部材65が配置されているので、この合流位置において刈取穀稈Kに付着しているワラや草が刈取穀稈Kから分離して落下した場合にも、落下ガイド部材65が横フレーム26の前方の開放空間Sから圃場面に落下させることにより、ワラや草等が横フレーム26の上面や主フレーム25の上面に堆積させることがない。特に、刈取穀稈Kが合流部を通過する際には刈取穀稈Kの切断部に落下ガイド部材65の上端が接触するため、刈取穀稈Kに付着しているワラや草を直接的に脱落させることや、刈取穀稈Kを振動させることでワラや草を振り落とすことが可能となり、これによってもワラや草を横フレーム26の上面等に堆積させる不都合を解消する。
【0041】
搬送装置Hで搬送される刈取穀稈Kは供給搬送チェーン43で挟持搬送される際に、ガイドロッド54で株元側が持ち上げられるため横倒れ姿勢となり、株元がフィードチェーンFCに供給される。このように刈取穀稈KがフィードチェーンFCに受け渡される場合には、挟持ロッド50の後端から離脱することになるため、非挟持状態に陥り挟持ロッド50の後端から脱落しやすい状態にある。しかしながら、補助挟持体56が刈取穀稈Kを供給搬送チェーン43やカバー体55に押し付けることになるため、刈取穀稈Kの脱落が抑制される。
【0042】
次に、フィードチェーンFCにより刈取穀稈Kが脱穀装置Dに供給される場合には、穂先部分が第1穂先搬送部44から離脱すると共に、刈取穀稈Kの稈身が供給搬送チェーン43の上部のカバー体55の上面を滑る状態で中継材58の上面に沿って移動する。この移動時には刈取穀稈Kの重量により中継材58の中間部分が下方に垂れ下がりやすい状態となるが、中継材58の下側に支持プレート57と、補助プレート57Aと、補助ブラケット6Aとが配置されているので、中継材58の中間部分の垂れ下がりが抑制され、刈取穀稈Kを円滑に供給ガイド板6から穀稈供給口5に送り脱穀処理を行える。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、刈取穀稈を搬送して脱穀装置に供給する搬送装置を備えたコンバイン全般に利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
21 分草具
22 引起装置
26 横フレーム
28 縦フレーム
65 落下ガイド部材
65B 上端
A 走行機体
B 刈取部
D 脱穀装置
FC フィードチェーン
G 切断装置
H 搬送装置
J 植立穀稈
K 刈取穀稈
Ka 下端部
S 空間(開放空間)
【技術分野】
【0001】
本発明は、植立穀稈の株元を切断する切断装置と、この切断装置で切断された刈取穀稈を搬送して脱穀装置のフィードチェーンに供給する搬送装置とを有する刈取部が走行機体に備えられているコンバインに関し、詳しくは、刈取部の下部に横向き姿勢のフレームに対するワラや草等の堆積を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のように、刈取部底部のフレームに対するワラや草の堆積を抑制するコンバインとして特許文献1には、刈取部において穀稈を掻き込むスターホイルに近接する位置に縦向姿勢のスクレーパ軸によって駆動回転するスクレーパを有する除去機構が示されている。この除去機構は、エンジンからの駆動力が伝えられる前後向き姿勢のフレーム(文献では2軸ケース)と、このフレームからの駆動力が伝えられる横向き姿勢のフレーム(文献では3軸ケース)とが連結する部位の上方に配置されると共に、スクレーパの下端を連結部位の上面に接近配置することで、この連結部位の上面にワラ草が溜まり、塊が形成される不都合を抑制するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002‐84862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるように駆動回転するスクレーパを備えることによりフレームの上面に堆積するワラを取り除く構成では、スクレーパを回転自在に支持する構成を必要とするだけではなく、このスクレーパを回転させる駆動力を必要とするため構成が複雑化しやすく改善の余地がある。また、この特許文献1のようにスクレーパを回転させる構成では、ワラの除去が可能な領域を拡大する場合にも限界があり、複数のスクレーパを必要とすることになり構成の一層の複雑化を招くものであった。
【0005】
本発明の目的は、刈取部の下部のフレームに対するワラの堆積を簡単な構成で解消するコンバインを構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴は、植立穀稈の株元を切断する切断装置と、この切断装置で切断された刈取穀稈を搬送して脱穀装置のフィードチェーンに供給する搬送装置とを有する刈取部が走行機体に備えられているコンバインであって、前記刈取部が、前記植立穀稈の分草を行う分草具と、この分草具で分草された植立穀稈を引き起こす引起装置と、前記切断装置とを支持するため前後方向に延びる姿勢の縦フレームを備えると共に、前記走行機体から駆動力が伝えられる回転型の伝動軸を内装したパイプ状となる横フレームを前記刈取部の下部位置において横方向に延びる姿勢で前記縦フレームに連結する状態で備えており、前記搬送装置が、前記切断装置で株元が切断された刈取穀稈を後方斜め上方に向かう搬送経路に沿って搬送するように構成され、この搬送経路の下側で、前記横フレームの上側において前下がりとなる傾斜姿勢で、搬送機構から落下するワラを前記横フレームの前側に案内して落下させる落下ガイド部材を備えている点にある。
【0007】
この構成によると、切断装置で株元が切断された刈取穀稈を、搬送経路に沿って後方斜め上方に向けて搬送する際に、この刈取穀稈に付着したワラが横フレームの上方で刈取穀稈から分離して落下することがあっても、そのワラは落下ガイド部材の上面に接触し、自重により落下ガイド部材の傾斜に沿って前方に移動し前端から地面に落下することになり、横フレームの上面に堆積することが少ない。
従って、刈取部の下部のフレームに対するワラの堆積を簡単な構成で解消するコンバインが構成され、ワラの堆積物が、搬送装置で搬送される刈取穀稈を阻害する不都合を解消して円滑な搬送が実現する。
【0008】
本発明は、前記落下ガイド部材の上端を前記搬送装置で搬送される刈取穀稈の下端部に接触する状態に設定し、この落下ガイド部材の下端を前記横フレームの前部位置に設定しても良い。
【0009】
これによると、搬送装置で搬送される刈取穀稈が落下ガイド部材の上部を通過する場合には、その刈取穀稈の下端部に落下ガイド部材の上端が接触するため、刈取穀稈に付着しているワラ等を積極的に脱落させることが可能となる。このように刈取穀稈に付着しているワラを積極的に脱落させることにより、搬送装置の搬送経路においてワラが落下して搬送装置の駆動系に巻き付く不都合や、ワラが脱穀装置の内部に持ち込まれ脱穀性能を低下させる不都合も解消する。
【0010】
本発明は、前記切断装置が、前記横フレームの前方に離間する位置に配置されることで、この切断装置と前記横フレームとの間に上下方向に開放する空間が形成され、この空間に前記落下ガイド部材で案内されるワラを落下させても良い。
【0011】
これによると、切断装置の後方で、横フレームの前方において上下方向に開放する空間にワラを落下させることになり、ワラを無理なく排出できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】コンバインの全体側面図である。
【図2】搬送装置の構成を示す平面図である。
【図3】刈取部の前部位置の側面図である。
【図4】刈取部の正面図である。
【図5】落下ガイド部材と刈取装置との配置を示す平面図である。
【図6】刈取穀稈と落下ガイド部材との位置関係を示す側面図である。
【図7】落下ガイド部材の正面図である。
【図8】刈取装置の縦断側面図である。
【図9】供給搬送チェーンから脱穀装置に至る搬送経路の平面図である。
【図10】供給搬送チェーンと補助挟持体とを示す断面図である。
【図11】中継部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔コンバインの全体構成〕
図1、図2に示すように、左右一対のクローラ走行装置1によって走行する走行機体Aの前端に昇降シリンダ10の作動により昇降自在に刈取部Bを備えると共に、走行機体Aの前部に運転者が搭乗する運転部Cを備え、走行機体Aに対して刈取部Bから刈取穀稈K(図6を参照)が供給される脱穀装置Dと、この脱穀装置Dで選別された穀粒を貯留する穀粒タンクEとを備えて自脱型のコンバインが構成されている。
【0014】
このコンバインは、収穫作業時に刈取部Bと脱穀装置Dとを駆動した状態で走行機体Aを前進させることにより刈取部Bで植立穀稈J(図6を参照)の株元を切断して穀稈の刈り取りを行い、刈り取った刈取穀稈Kを脱穀装置Dに搬送して脱穀処理を行い、この脱穀装置Dの脱穀処理により得られた穀粒を穀粒タンクEに貯留する処理が行われる。
【0015】
運転部Cには、運転者が着座する運転座席12が備えられると共に、運転座席12の前方位置に運転者が操作する操縦レバー13が備えられ、運転座席12の側方位置に複数の操作レバーが備えられている。
【0016】
運転座席12の下部位置にはエンジン(図示せず)が備えられ、走行機体Aの前部位置で左右方向での中央位置には左右のクローラ走行装置1に駆動力を伝える伝動ケース3が配置され、エンジンの駆動力は伝動ケース3に伝えられる。この伝動ケース3の駆動力で駆動回転するスプロケット3Sからクローラ走行装置1に伝えられ、エンジンからの駆動力は刈取部Bと、脱穀装置Dとに伝えられる。
【0017】
操縦レバー13は、非操作状態で中立姿勢を維持すると共に、左右方向の何れかの方向に操作された場合には操作方向に対応するクローラ走行装置1に伝えられる駆動力を遮断して走行機体Aの操向を実現する。また、この操縦レバー13が前後方向へ操作された場合には昇降シリンダ10に対する作動油の給排を制御して刈取部Bの昇降を行う。
【0018】
〔刈取部〕
図1〜図6に示すように、刈取部Bは、植立穀稈Jの分草を行う複数の分草具21と、植立穀稈Jを引き起こす複数の引起装置22と、植立穀稈Jの株元を切断するバリカン型の刈取装置Gと、この刈取装置Gで株元が切断された穀稈を搬送して脱穀装置DのフィードチェーンFCに供給する搬送装置Hとを備えている。尚、この実施形態では図6に示す如く、刈取装置Gで株元が切断される以前の穀稈を植立穀稈Jと称し、刈取装置Gで株元が切断され搬送装置Hで搬送される穀稈を刈取穀稈Kと称している。
【0019】
また、刈取部Bは、機体フレームの前端部の刈取部支持台23に対し横向き姿勢の主軸芯Xを中心にして揺動自在に支持される丸パイプ状の支持フレーム24と、この支持フレーム24から前方に突出するパイプ状の主フレーム25と、この主フレーム25の下端位置に連結する横向き姿勢でパイプ状の横フレーム26と、この横フレーム26の一方の端部から上方に延びる姿勢で引起装置に22に駆動力を伝える伝動フレーム27とを備えると共に、横フレーム26の両端位置から前方に延びる姿勢の左右一対の縦フレーム28を備えている。
【0020】
この刈取部Bでは、支持フレーム24と主フレーム25と横フレーム26と伝動フレーム27との内部に伝動軸(図示せず)が備えられ、支持フレーム24の伝動軸に対して伝動ケース3から走行速度に同期した駆動力を伝える伝動系(図示せず)が形成されている。支持フレーム24の伝動軸の駆動力は横フレーム26の伝動軸から伝動フレーム27の伝動軸に順次伝えられ刈取部Bの引起装置22、搬送装置Hに伝えられる。尚、縦フレーム28は刈取部Bの底部位置において前後向きに伸びる姿勢で備えられている。
【0021】
〔刈取部:刈取装置〕
刈取部Bの底部には、左右の縦フレーム28に両端が連結する横向き姿勢の角パイプ状の中間フレーム30を備えており、この中間フレーム30の前部位置に刈取装置Gが備えられている。図5、図8に示すように、刈取装置Gは、プレート状の受刃台31の上面に多数の刃体をリベット等で固定した固定刃32を有し、この上側に配置されるナイフバー33の下面に複数の刃体をリベット等で固定した可動刃34を有し、固定刃32に可動刃34を圧接させる押圧部材35を有し、これらを重ね合わせ状態に保持する構成を有している。連結ボルト36により受刃台31を連結プレート37に連結し、この連結プレート37が縦フレーム28に連結されることで刈取装置Gが左右の縦フレーム28に支持されている。
【0022】
この刈取装置Gは、固定刃32と可動刃34とを構成する複数の刃体の先端が尖鋭となる三角形状であり、可動刃34が横方向に往復駆動されることにより夫々の刃体から植立穀稈Jに対して剪断方向に力を作用させて植立穀稈Jの切断を行うように構成されている。
【0023】
〔刈取部:搬送装置〕
図2に示すように刈取部Bは、4つの引起装置22を備えることにより4条刈りに構成され、搬送系の前部位置で夫々の引起装置22の後部の下部位置には、植立穀稈Jの株元を掻き寄せるように多数の係止アームが一体形成された搬送ベルト39と、この搬送ベルト39と同期して回転する星状のパッカー40とを組み合わせた掻き込み機構が備えられている。
【0024】
この搬送装置Hは、前述した右側の掻き込み機構から2条分の刈取穀稈Kを搬送する第1搬送機構H1と、前述した左側の掻き込み機構から左側の2条分の刈取穀稈Kを搬送して第1搬送機構H1に合流させる第2搬送機構H2とを備え、刈取穀稈Kを後方斜め上方に向かう搬送経路に沿って搬送するように構成されている。
【0025】
第1搬送機構H1は、刈取穀稈Kの株元を前部挟持ロッド41Aに沿って挟持搬送する前部搬送チェーン41と、扱深さ調節のために姿勢変更が可能に構成され刈取穀稈Kの株元を中間挟持ロッド42Aに沿って挟持搬送する中間搬送チェーン42と、刈取穀稈Kの株元を挟持ロッド50に沿って挟持搬送して脱穀装置Dに供給する供給搬送チェーン43とを搬送方向に沿って順次備えると共に、これら前部搬送チェーン41と中間搬送チェーン42と供給搬送チェーン43で搬送される刈取穀稈Kの穂先部を係止搬送する第1穂先搬送部44とを備えている。
【0026】
第2搬送機構H2は、刈取穀稈Kの株元を合流挟持ロッド46Aに沿って挟持搬送する合流搬送チェーン46と、この合流搬送チェーン46で搬送される刈取穀稈Kの穂先部を係止搬送する第2穂先搬送部47とを備えている。第1穂先搬送部44は無端チェーンに対して起伏自在に多数の係止爪44Aを備えた構造を有しており、刈取穀稈Kの搬送を行う領域において係止爪44Aを起立させることで、この係止爪44Aを刈取穀稈Kの穂先側に当接させて搬送力を作用させる。
【0027】
図9に示すように、供給搬送チェーン43の挟持ロッド50は、刈取穀稈Kを供給搬送チェーン43に向けて押圧する機能を有する。つまり、挟持ロッド50に連結する一対の支持軸51がホルダ52にスライド移動自在に支持され、挟持バネ53により突出付勢されている。図面には示していないがホルダ52はフレームを介して刈取部Bに支持されている。また、この供給搬送チェーン43で搬送される刈取穀稈Kの株元をフィードチェーンFCに案内するガイドロッド54が供給搬送チェーン43の下側からフィードチェーンFCの近傍に達する位置に亘って備えられている。
【0028】
図9〜図11に示すように、供給搬送チェーン43の上部を覆うカバー体55が備えられ、挟持ロッド50の終端(脱穀装置D側の端部)を通過した刈取穀稈Kの脱落を阻止するバネ板製の補助挟持体56が備えられている。この補助挟持体56は、基端部56Aをボルトによりホルダ52の上面に固定し、中間部を供給搬送チェーン43の方向に突出するように緩やかに湾曲させ、後端部56Bを挟持ロッド50の終端位置を挟持ロッド50の後端位置より更に後方に突出させたものが使用されている。この補助挟持体56は、供給搬送チェーン43に接近する方向に付勢力を作用させ、この供給搬送チェーン43から離間する方向(走行機体Aの外方)に良好に弾性変形すると共に、上下方向への変形を行い難い姿勢で備えられている。この構成から、供給搬送チェーン43で搬送される刈取穀稈Kが挟持ロッド50の終端から離脱した際に、補助挟持体56が付勢力を作用させて脱落を防止する。
【0029】
脱穀装置Dの前面には、フィードチェーンFCで搬送される刈取穀稈Kが供給される穀稈供給口5が形成され、脱穀装置Dの前面には刈取穀稈Kを横倒れ姿勢で穀稈供給口5に案内する供給ガイド板6が前方に突出する形態で備えられている。尚、脱穀装置Dの内部には前後向き姿勢の駆動軸芯を中心にして回転する扱胴(図示せず)と、この下側において扱胴の外周に沿う円弧状の受網(図示せず)とが備えられ、この扱胴と受網との間の空間に刈取穀稈Kの穂先側を横倒れ姿勢で供給するため、穀稈供給口5は下側に凸となる円弧状で形成され、供給ガイド板6は穀稈供給口5の下側の開口縁に連なるように湾曲形成されている。
【0030】
カバー体55の後端部には、第1穂先搬送部44より低い位置で後方に向けて支持プレート57が突設され、この支持プレート57の上面と供給ガイド板6の上面とに亘ってゴム板製の中継材58が備えられている。この中継材58は刈取部Bの昇降に伴い供給搬送チェーン43と脱穀装置Dとの相対高さが変動した場合にも刈取穀稈Kを円滑に穀稈供給口5に供給できるように柔軟に変形可能な素材が用いられ、ガイド板として機能する。尚、この中継材58として布材を用いても良い。
【0031】
中継材58は、前端部が支持プレート57の前端とカバー体55との間に挟み込まれる状態でボルト59により固定され、後端部は供給ガイド板6の上面に載せ付けられている。特に、中継材58が柔軟に変形する性質であるため、供給搬送チェーン43と供給ガイド板6との中間位置での中継材58の垂れ下がることもあり、この垂れ下がりを抑制する観点から支持プレート57を備えている。また、この垂れ下がりを一層抑制するため支持プレート57には走行機体Aの中央側に突出する姿勢の補助プレート57Aを備え、供給ガイド板6の前端には前方に突出する補助ブラケット6Aを備えている。
【0032】
図2、図4、図5に示すように、中間フレーム30の中間位置に3つの補助縦フレーム60が備えられ、左右の縦フレーム28と3つの補助縦フレーム60との前端に分草具21が備えられている。この5つの分草具21のうち中央側の3つの分草具21は補助縦フレーム60の前端に支持されている。また、中央位置の分草具21と、中央位置の2つの引起装置22の上部の中間位置との間に分草杆61が備えられている。この分草杆61の下端部は中央位置の分草具21を上下に貫通して補助縦フレーム60前端のブラケット60Aに連結し、上端部は、4つの引起装置22の上部を連結する横向き姿勢の連結フレーム62から上方に延出した連結板63に連結している。
【0033】
この分草杆61は、中央位置の分草具21の先端位置より少し後部に配置されるものであるが、分草杆61の全体が引起装置22の前面より前方に配置されるため、隣接する植立穀稈Jが絡み合う状態で高い位置まで分草を行うように機能する。
【0034】
〔刈取部:落下ガイド部材〕
図5〜図7に示すように、主フレーム25の下端部の前面の一部と、この主フレーム25に連結する横フレーム26の一部とに亘る領域を覆う部位に板状の落下ガイド部材65が備えられている。この落下ガイド部材65は、刈取装置Gで切断され搬送装置Hで搬送される刈取穀稈Kに付着して移動するワラや草等の付着物を横フレーム26の前方で、中間フレーム30の後方の開放空間Sに落下させる機能を有するものであり、側面視で前下がりとなる傾斜姿勢で備えられている。尚、この落下ガイド部材65には表面が平滑な鋼板が使用されているが、樹脂板を用いても良い。
【0035】
横フレーム26は、左側の左フレーム26Lと右側の右フレーム26Rとで成る2部材を同軸芯上に配置し、互いのフランジ連結部26Aにおいてボルト連結すると共に、このフランジ連結部26Aの近傍に被連結部26Bを形成した構造を有している。この被連結部26Bに対して主フレーム25の下端部のフランジ部25Aがボルト連結しており、この連結部位に主フレーム25の内部の伝動軸からの駆動力を横フレーム26の内部の伝動軸に伝えるベベルギヤ機構(図示せず)が内装されている。このフランジ連結部26Aと被連結部26Bとの接触を避けるために落下ガイド部材65の下端部には開口65Aが形成されている。
【0036】
主フレーム25の下端のフランジ部25Aの上面には、上端側ほど後方に向けて傾斜する傾斜姿勢の第1支持部材66の下端が連結し、右フレーム26Rの上面には、上端側ほど後方に向けて傾斜する傾斜姿勢の第2支持部材67の下端が連結している。この第1支持部材66と第2支持部材67とは平行姿勢で備えられるものであり、第1支持部材66と第2支持部材67との前面側に落下ガイド部材65を配置し、落下ガイド部材65に形成された長孔65Hにビス68を挿通し、第1支持部材66と第2支持部材67とのナット部に螺合させることにより、落下ガイド部材65が連結されている。尚、長孔65Hは上下方向に長寸に形成され、この長孔65Hにより落下ガイド部材65の取付位置を上下方向で調節を行えるように構成されている。
【0037】
落下ガイド部材65は、第1搬送機構H1の搬送経路に対して第2搬送機構H2の搬送経路が合流する位置の下方位置であり、搬送装置Hで搬送される刈取穀稈Kの下端部(切断部)が落下ガイド部材65の上端65Bに接触するように、この落下ガイド部材65の上端65Bの位置が設定されている。図6に示すように、植立穀稈Jの株元が刈取装置Gで切断され、刈取穀稈Kとして更に後方に送られた後に、搬送装置Hで搬送される場合には、刈取穀稈Kが後方斜め上方に送られることになり、下端Ka(切断部)は同図に示す移動軌跡Lに沿って移動することになる。従って、落下ガイド部材65の上端65Bを移動軌跡Lより少し上方に突出するように相対的な位置関係を設定することで刈取穀稈Kの下端Kaを落下ガイド部材65の上端65Bに接触させている。
【0038】
このように落下ガイド部材65が配置されているため、刈取穀稈Kに付着するワラや草等の付着物が自然に落下する場合には、この付着物は落下ガイド部材65の上面に沿って開放空間Sに送られ横フレーム26より前方位置の圃場面に落下する。また、ワラや草等の付着物が自然に落下し難い状態にあっても、搬送に伴い刈取穀稈Kの下端Kaが落下ガイド部材65の上端65Bに接触する際に生ずる振動によって落下することになり、付着物は落下ガイド部材65の上面に沿って開放空間Sに送られ横フレーム26より前方位置の圃場面に落下する。これにより横フレーム26の上面や主フレームの24の前部にワラや草等が堆積する不都合が解消され、この堆積が成長して刈取穀稈Kの搬送を阻害する不都合を招くこともない。
【0039】
また、落下ガイド部材65の上端65Bの位置を高く設定することで刈取穀稈Kの付着物を効率的に除去することも可能となるが、この上端65Bを高く設定した場合には、刈取穀稈Kの搬送抵抗が増大させ、刈取穀稈Kの搬送姿勢を乱す不都合に繋がる。ワラや草等の量は、作業環境によって異なるものである。従って、ワラや草等の量が多い作業環境では、落下ガイド部材65の上端65Bの位置を高く設定することで、刈取穀稈Kに作用する搬送抵抗の増大や搬送抵抗の乱れの不都合を多少許しながら付着物の除去を効率的に行う設定を選択できるようにも構成されている。
【0040】
〔実施形態の作用・効果〕
このような構成から、収穫作業を行う場合には、植立穀稈Jが絡み合う状態で倒伏していても分草杆61が良好に分草し、引起装置22が引き起こすことが可能となる。引起装置22で引き起こされた植立穀稈Jは掻き込み機構によって掻き込まれ、株元が切断されると略同時に、第1搬送機構H1と第2搬送機構H2とによる搬送が開始され、第1搬送機構H1で刈取穀稈Kが搬送される経路に、第2搬送機構H2の刈取穀稈Kが合流する状態で送られる。この合流部の下方位置には落下ガイド部材65が配置されているので、この合流位置において刈取穀稈Kに付着しているワラや草が刈取穀稈Kから分離して落下した場合にも、落下ガイド部材65が横フレーム26の前方の開放空間Sから圃場面に落下させることにより、ワラや草等が横フレーム26の上面や主フレーム25の上面に堆積させることがない。特に、刈取穀稈Kが合流部を通過する際には刈取穀稈Kの切断部に落下ガイド部材65の上端が接触するため、刈取穀稈Kに付着しているワラや草を直接的に脱落させることや、刈取穀稈Kを振動させることでワラや草を振り落とすことが可能となり、これによってもワラや草を横フレーム26の上面等に堆積させる不都合を解消する。
【0041】
搬送装置Hで搬送される刈取穀稈Kは供給搬送チェーン43で挟持搬送される際に、ガイドロッド54で株元側が持ち上げられるため横倒れ姿勢となり、株元がフィードチェーンFCに供給される。このように刈取穀稈KがフィードチェーンFCに受け渡される場合には、挟持ロッド50の後端から離脱することになるため、非挟持状態に陥り挟持ロッド50の後端から脱落しやすい状態にある。しかしながら、補助挟持体56が刈取穀稈Kを供給搬送チェーン43やカバー体55に押し付けることになるため、刈取穀稈Kの脱落が抑制される。
【0042】
次に、フィードチェーンFCにより刈取穀稈Kが脱穀装置Dに供給される場合には、穂先部分が第1穂先搬送部44から離脱すると共に、刈取穀稈Kの稈身が供給搬送チェーン43の上部のカバー体55の上面を滑る状態で中継材58の上面に沿って移動する。この移動時には刈取穀稈Kの重量により中継材58の中間部分が下方に垂れ下がりやすい状態となるが、中継材58の下側に支持プレート57と、補助プレート57Aと、補助ブラケット6Aとが配置されているので、中継材58の中間部分の垂れ下がりが抑制され、刈取穀稈Kを円滑に供給ガイド板6から穀稈供給口5に送り脱穀処理を行える。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、刈取穀稈を搬送して脱穀装置に供給する搬送装置を備えたコンバイン全般に利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
21 分草具
22 引起装置
26 横フレーム
28 縦フレーム
65 落下ガイド部材
65B 上端
A 走行機体
B 刈取部
D 脱穀装置
FC フィードチェーン
G 切断装置
H 搬送装置
J 植立穀稈
K 刈取穀稈
Ka 下端部
S 空間(開放空間)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植立穀稈の株元を切断する切断装置と、この切断装置で切断された刈取穀稈を搬送して脱穀装置のフィードチェーンに供給する搬送装置とを有する刈取部が走行機体に備えられているコンバインであって、
前記刈取部が、前記植立穀稈の分草を行う分草具と、この分草具で分草された植立穀稈を引き起こす引起装置と、前記切断装置とを支持するため前後方向に延びる姿勢の縦フレームを備えると共に、前記走行機体から駆動力が伝えられる回転型の伝動軸を内装したパイプ状となる横フレームを前記刈取部の下部位置において横方向に延びる姿勢で前記縦フレームに連結する状態で備えており、
前記搬送装置が、前記切断装置で株元が切断された刈取穀稈を後方斜め上方に向かう搬送経路に沿って搬送するように構成され、この搬送経路の下側で、前記横フレームの上側において前下がりとなる傾斜姿勢で、搬送機構から落下するワラを前記横フレームの前側に案内して落下させる落下ガイド部材を備えているコンバイン。
【請求項2】
前記落下ガイド部材の上端を前記搬送装置で搬送される刈取穀稈の下端部に接触する状態に設定し、この落下ガイド部材の下端を前記横フレームの前部位置に設定している請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記切断装置が、前記横フレームの前方に離間する位置に配置されることで、この切断装置と前記横フレームとの間に上下方向に開放する空間が形成され、この空間に前記落下ガイド部材で案内されるワラを落下させる請求項1又は2記載のコンバイン。
【請求項1】
植立穀稈の株元を切断する切断装置と、この切断装置で切断された刈取穀稈を搬送して脱穀装置のフィードチェーンに供給する搬送装置とを有する刈取部が走行機体に備えられているコンバインであって、
前記刈取部が、前記植立穀稈の分草を行う分草具と、この分草具で分草された植立穀稈を引き起こす引起装置と、前記切断装置とを支持するため前後方向に延びる姿勢の縦フレームを備えると共に、前記走行機体から駆動力が伝えられる回転型の伝動軸を内装したパイプ状となる横フレームを前記刈取部の下部位置において横方向に延びる姿勢で前記縦フレームに連結する状態で備えており、
前記搬送装置が、前記切断装置で株元が切断された刈取穀稈を後方斜め上方に向かう搬送経路に沿って搬送するように構成され、この搬送経路の下側で、前記横フレームの上側において前下がりとなる傾斜姿勢で、搬送機構から落下するワラを前記横フレームの前側に案内して落下させる落下ガイド部材を備えているコンバイン。
【請求項2】
前記落下ガイド部材の上端を前記搬送装置で搬送される刈取穀稈の下端部に接触する状態に設定し、この落下ガイド部材の下端を前記横フレームの前部位置に設定している請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記切断装置が、前記横フレームの前方に離間する位置に配置されることで、この切断装置と前記横フレームとの間に上下方向に開放する空間が形成され、この空間に前記落下ガイド部材で案内されるワラを落下させる請求項1又は2記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−231712(P2012−231712A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101471(P2011−101471)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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