コンバイン
【課題】簡易かつ低コストな構成で掻き込み部を昇降させられるコンバインを提供する。
【解決手段】運転部8に配設され、手動回転操作によって支持部12に連係されたワイヤ20を巻き取り、掻き込み部3を上昇操作可能な昇降操作部30と、掻き込み部3を上昇させる方向の上昇付勢力を支持部12に対して付与する付勢機構13と、昇降操作部30に係止するよう付勢され、回転方向に沿った複数箇所において昇降操作部30に係止可能であると共に、係止を解除する操作が可能であり、昇降操作部30に係止したとき、掻き込み部3が上昇する方向への昇降操作部30の回転を許容し、かつ、掻き込み部3が下降する方向への昇降操作部30の回転を禁止する高さ調節機構36と、を備え、上昇付勢力に基づき支持部12に作用する揺動軸芯P回りの力が、掻き込み部3の自重に基づき支持部12に作用する揺動軸芯P回りの力よりも小さくなるよう、上昇付勢力を設定した。
【解決手段】運転部8に配設され、手動回転操作によって支持部12に連係されたワイヤ20を巻き取り、掻き込み部3を上昇操作可能な昇降操作部30と、掻き込み部3を上昇させる方向の上昇付勢力を支持部12に対して付与する付勢機構13と、昇降操作部30に係止するよう付勢され、回転方向に沿った複数箇所において昇降操作部30に係止可能であると共に、係止を解除する操作が可能であり、昇降操作部30に係止したとき、掻き込み部3が上昇する方向への昇降操作部30の回転を許容し、かつ、掻き込み部3が下降する方向への昇降操作部30の回転を禁止する高さ調節機構36と、を備え、上昇付勢力に基づき支持部12に作用する揺動軸芯P回りの力が、掻き込み部3の自重に基づき支持部12に作用する揺動軸芯P回りの力よりも小さくなるよう、上昇付勢力を設定した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転駆動によって植立穀稈を刈取部に掻き込む掻き込み部を備えたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
掻き込み部は作業状況に応じて上下に昇降させるものであるところ、掻き込み部は重量が重いため、掻き込み部を支持する支持部を上下に揺動させるには大きな力を加える必要がある。また、掻き込み部の昇降操作は刈取作業中に行うものであるから、運転部における手元操作によって簡単に行えるように構成した方が良い。
【0003】
従来、例えば、特許文献1に記載のコンバインにおいては、支持部(文献では「支持アーム」)を刈取部(文献では「刈取りフレーム」)の基端側の上部から前方向きに延出すると共に、掻き込み部(文献では「回転リール」)を支持部の前端部に駆動回転自在に支持し、支持部を刈取部に対して上下に揺動操作可能なよう、支持部と刈取部との間に油圧シリンダを連結してある。
【0004】
また、特に文献は挙げないが、上述の油圧シリンダの代わりにモータ等の電動動力によって支持部を上下揺動させるよう構成したコンバインも知られている。
【0005】
これらの構成であると、運転部における手元操作によって簡易に掻き込み部の昇降操作が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−39026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来のコンバインであると、油圧シリンダや電動動力を使用して掻き込み部を姿勢変更させるものであるから、油圧ユニットまたは電動機器や電気配線等を備える必要があり、構成が複雑化し、組立工数の増加やコスト増大を招来する虞がある。
【0008】
本発明は上記実情に鑑み、簡易かつ低コストな構成で、掻き込み部を昇降させることができるコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る作業車の第一特徴構成は、刈取部に上下揺動可能に支持された支持部と、前記支持部に回転自在に支持され、回転駆動によって植立穀稈を前記刈取部に掻き込む掻き込み部と、運転部に配設されると共に、手動回転操作によって前記支持部に連係されたワイヤを巻き取り、前記掻き込み部を上昇操作可能な昇降操作部と、前記掻き込み部を上昇させる方向の上昇付勢力を前記支持部に対して付与する付勢機構と、前記昇降操作部に対して係止するよう付勢されて、前記昇降操作部の回転方向に沿った複数箇所において前記昇降操作部に対して係止可能であると共に、前記係止を解除する操作が可能であり、前記昇降操作部に係止したとき、前記掻き込み部が上昇する方向への前記昇降操作部の回転を許容し、かつ、前記掻き込み部が下降する方向への前記昇降操作部の回転を禁止する高さ調節機構と、を備え、前記上昇付勢力に基づいて前記支持部に作用する前記支持部の揺動軸芯回りの力が、前記掻き込み部の自重に基づいて前記支持部に作用する前記揺動軸芯回りの力よりも小さくなるよう前記上昇付勢力を設定した点にある。
【0010】
本構成によると、掻き込み部を上昇させる方向の上昇付勢力を支持部に対して付与する付勢機構を備えているため、掻き込み部を上昇させるために昇降操作部が負担する荷重が低減される。したがって、昇降操作部を手動回転操作してワイヤを巻き取るだけで、重量が重い掻き込み部を上昇させることが可能である。そして、高さ調節機構が昇降操作部に係止することにより、掻き込み部が下降する方向への昇降操作部の回転を禁止され、掻き込み部の上昇位置が維持される。また、付勢機構の上昇付勢力に基づいて支持部に作用する揺動軸芯回りの力が、掻き込み部の自重に基づいて支持部に作用する揺動軸芯回りの力よりも小さいため、高さ調節機構の係止を解除すれば、巻き取られたワイヤが繰り出され、掻き込み部は自重に基づいて下降する。
【0011】
さらに、高さ調節機構は昇降操作部に係止するよう付勢されているので、昇降操作部の操作を止めれば、すぐさま高さ調節機構が昇降操作部に係止すると共に、高さ調節機構を小まめに解除操作すれば、ワイヤを段階的に繰り出すことが可能である。したがって、昇降操作部の回転操作を停止したときや、高さ調整機構を解除操作したときに、掻き込み部が急激に下降することはない。また、掻き込み部の上昇位置の微調整も可能である。反対に、掻き込み部を上昇させるときにも、段階的に徐々に上昇させることも可能である。
【0012】
即ち、昇降操作部と高さ調節機構とを備え、ワイヤによって掻き込み部と昇降操作部とを連係するという簡易かつ低コストな構成によって、油圧や電動動力を使用することなく、掻き込み部の上昇操作、上昇位置の維持、及び、下降操作が可能である。
【0013】
本発明に係る作業車の第二特徴構成は、前記昇降操作部が、手動回転操作されるハンドルと、前記ワイヤが巻き付く巻き取り部と、前記ハンドルの回転を前記巻き取り部に減速して伝達する減速機構と、を備えた点にある。
【0014】
付勢機構の上昇付勢力を出来るだけ大きく設定すれば、ハンドルを回転操作する力が小さくて済む反面、掻き込み部の自重に基づいて支持部に作用する揺動軸芯回りの力と、上昇付勢力に基づいて支持部に作用する揺動軸芯回りの力と、の差が小さくなって、掻き込み部の下降速度が遅くなる。本構成によると、昇降操作部が減速機構を備えているため、掻き込み部の下降速度をある程度担保するべく付勢機構の上昇付勢力を控え目に設定することによって、昇降操作部が負担する荷重が大きくなっても、ハンドルを回転操作する力を小さくすることができ、掻き込み部を楽に上昇させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】は、本発明に係るコンバインの全体左側面図である。
【図2】は、本発明に係るコンバインの平面図である。
【図3】は、搬送部の横断平面図である。
【図4】は、搬送部の縦断側面図である。
【図5】は、脱穀装置の縦断側面図である。
【図6】は、回転リールと昇降操作部との連係関係を示す模式図である。
【図7】は、昇降操作部の構成を示す斜視図である。
【図8】は、従動プーリーを手動回転させる構成を示す斜視図である。
【図9】は、重量感知式に構成したチャフシーブの側面図である。
【図10】は、図9に示すX−X矢視方向の断面図である。
【図11】は、別実施形態に係る回転リールと昇降操作部との連係関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を普通型(全稈投入型)のコンバインに適用した例を図面に基づいて説明する。
【0017】
〔コンバインの全体構成〕
本発明に係るコンバインは、稲、麦などを収穫するものであって、図1,図2に示すごとく、機体の骨格である機体フレーム1と、機体を支持する左右一対のクローラ式の走行装置2と、機体フレーム1の前部に上下揺動可能に支持されたフィーダ5と、フィーダ5の前端に連結された刈取部4と、機体フレーム1の左側に配設された脱穀装置6と、脱穀装置6の右横側に配設された袋詰めタンク7と、フィーダ5及び脱穀装置6の右側かつ袋詰めタンク7の前側に配設された運転部8と、を備えている。
【0018】
刈取部4は、図1,図2に示すごとく、左右一対のデバイダ16と、プラットホーム14と、「掻き込み部」としての回転リール3と、プラットホーム14の前端において左右のデバイダ16に亘って配設されたバリカン型の切断装置17と、プラットホーム14の上に配設され、左右方向向きの軸芯回りに回転するオーガ15と、を備えている。
【0019】
フィーダ5が左右方向向きの軸芯X回りに脱穀装置6に対して上下に揺動操作可能なように、機体フレーム1とフィーダ5との間に油圧シリンダ58を配設してある。フィーダ5が揺動操作されることによって、刈取部4は、プラットホーム14が地面近くに下降した作業状態と、プラットホーム14が地面から高く上昇した非作業状態と、に姿勢変更する。
【0020】
また、回転リール3は、刈取部4に対して揺動軸芯P回りに上下揺動可能に支持された「支持部」としてのリール支持部12に、回転自在に支持してある。回転リール3は、リール支持部12に支持される回転枠10と、常時下方を向くように回転枠10に支持され、刈取り対象の植立穀稈を掻き込む複数のタイン11と、を備えている。
【0021】
刈取部4を下降させて作業状態とし、コンバインを走行させると、植立穀稈がデバイダ16によって刈取り対象と非刈取り対象とに分草され、回転リール3の回転駆動によって刈取り対象の植立穀稈がプラットホーム14に掻き込まれながら切断装置17で刈取られる。プラットホーム14に掻き込まれた刈取穀稈は、オーガ15によってフィーダ5の前方に横送りされ、さらにフィーダ5に掻き込まれる。刈取穀稈はフィーダ5によって後方に搬送され、刈取穀稈の株元から穂先までの全体が脱穀装置6に投入される。
【0022】
脱穀装置6は、投入された刈取穀稈を回転する扱胴40によって脱穀処理する。脱穀処理された単粒化穀粒は、袋詰めタンク7に送られて一旦貯留され、袋詰めタンク7の下部から穀粒袋に排出される。機体フレーム1の右側面には、袋詰めタンク7からの袋詰め作業を行う作業ステージ7Aと、作業ステージ7Aに乗った作業者用の手摺となるフレーム7Bと、を前後方向向きの軸芯回りに揺動可能に配設してある。袋詰め作業を行わないときは、作業ステージ7A及びフレーム7Bを垂直に立てて収容する。
【0023】
〔オーガ〕
オーガ15は、図3に示すごとく、フィーダ5よりも右側部分に二条の螺旋である第一スパイラ15a及び第二スパイラ15bを備え、フィーダ5よりも左側に一条の第三スパイラ15cを備え、フィーダ5の前方に、径方向に突出させた複数の掻き込み杆15dを備えている。第一スパイラ15a及び第二スパイラ15bと、第三スパイラ15cとによってフィーダ5の前方まで刈取穀稈を横送りし、掻き込み杆15dによってフィーダ5に掻き込む。
【0024】
刈取対象が長稈作物のときは、刈取穀稈がオーガ15に巻き付いて振動が生じ、オーガ15の軸受部分が磨耗する虞がある。オーガ15の径を大きくして周長を長くすれば、刈取穀稈の撒き付きが軽減されるところ、重量が増加して機体バランスが悪くなったり、コスト増が招来されたりする可能性がある。本実施形態においては、上述したように、第一スパイラ15a及び第二スパイラ15bを二条螺旋に構成してあるので、一方のスパイラの螺旋間隔が他方のスパイラの螺旋によって区切られて小さくなる。この結果、全体としての搬送効率は落ちないものの、各スパイラによって搬送される刈取穀稈の量が半分となり、刈取穀稈のオーガ15への巻き付きが低減される。
【0025】
〔フィーダ〕
図3,図4に示すごとく、フィーダ5は、フィーダケース50と、フィーダケース50に内装されたコンベア部52と、を備えている。コンベア部52は、左右方向向きの軸芯回りに回動可能にフィーダケース50に支持された前部輪体52a及び後部輪体52bと、前部輪体52aと後部輪体52bとに撒き回された左右一対のチェーン52cと、左右のチェーン52cに亘って配設された左右方向向きアングル52dと、を備えている。さらに、後部輪体52bの回動軸芯と同一の軸芯上で後部輪体52bと一体回動可能なように、フィーダケース50の外側に従動プーリー53を備えている。図5に示すごとく、従動プーリー53は、機体本体の側に配設された駆動プーリー54とベルト55によって連係されている。これにより、エンジンからの動力が、駆動プーリー54を介して従動プーリー53に伝達され、フィーダ5が駆動する。また、ベルト55が弛まないようにテンションプーリー56を備えている。図示はしないが、エンジンから従動プーリー53を支持する刈取入力軸53Aに伝達された動力が、回転リール3、オーガ15、切断装置17に伝達されるように構成してある。
【0026】
駆動プーリー54から従動プーリー53に駆動力が伝達されると、コンベア部52が駆動し、掻き込み杆15dによって掻き込まれた刈取穀稈は、アングル52dに引掛けられて後方に搬送される。
【0027】
図4に示すごとく、フィーダ5の前端部付近においてフィーダケース50の底面に掃除口を開口し、掃除口に対して掃除口カバー51をボルト等で取り外し自在に配設してある。フィーダ5の内部において刈取穀稈等が詰まった場合は、掃除口カバー51を外した上で、ハンドル57によって従動プーリー53を手動回転操作し(図8参照)、コンベア部52を逆回転させて、詰まった刈取穀稈等を取り出す。なお、従動プーリー53を手動で操作するためには、テンションプーリー56を緩めたり、ベルト55を外したりする必要がある。
【0028】
図8に示すごとく、従動プーリー53には軸芯方向に開口する複数の空洞部53aを形成してあり、ハンドル57の先端には二つの係止部57aを備えてある。従動プーリー53の回動軸芯を挟んで異なる空洞部53aに係止部57aを嵌め、ハンドル57を回転させると、係止部57aが空洞部53aに係止して、従動プーリー53が回転する。なお、ハンドル57は、使用しないときには、例えば、フィーダケース50の上面等に配設したクランプに固定する。
【0029】
このように構成することで、コンベア部52を逆回転させるための特別な駆動機構または駆動構造を採用せずとも、簡易にコンベア部52を逆回転させて、フィーダ5に詰まった刈取穀稈等を取り出すことが可能である。
【0030】
〔脱穀装置〕
脱穀装置6は、図5に示すごとく、フィーダ5によって搬送された刈取穀稈(未脱粒穀稈)を脱穀処理する脱穀部6Aと、脱穀処理で得た処理物に選別処理を施す選別部6Bと、を備えている。
【0031】
脱穀部6Aは、前後向きの軸芯回りに回転する扱胴40を備えている。扱胴40の回転軸芯に沿った姿勢で周方向に一定間隔をあけて並ぶ複数本の扱歯支持部材40aと、扱歯支持部材40aに配設され、扱胴40の外方に向けて突出する複数の扱歯40bと、で扱胴40を構成し、バータイプの扱胴40としてある。扱胴40の前部には、スクリュ式の掻込部を備えている。また、脱穀部6Aは、扱胴40を下方から覆う前後方向視でU字状の受網41を備えている。
【0032】
未脱粒穀稈は、扱歯支持部材40a及び扱歯40bの打撃や、扱歯40bの梳き込みなどによって脱穀処理される。処理物の一部は扱胴40の内部空間へ入り込み、扱胴40の外部空間にある処理物と内部空間にある処理物とは、扱胴40の回転によって攪拌されながら、さらに扱歯支持部材40a及び扱歯40bの打撃等によって脱穀処理される。
【0033】
選別部6Bは、後端部に備えた偏心カム式の駆動機構43の作動によって前後方向に揺動して、処理物を揺動選別処理するシーブケース42を備えている。シーブケース42は、受網41から漏下した処理物などを揺動しながら受け止め、受け止めた処理物を選別対象の処理物として機体後方に移送しながら篩い選別する。また、選別部6Bは、左右向きの軸芯回りに回転して選別風を発生させ、処理物を風力選別処理する唐箕44をシーブケース42の前下方に備えている。
【0034】
また、選別部6Bは、シーブケース42の下方に一番回収部46を備えると共に、シーブケース42の下方、かつ、一番回収部46の後方に二番回収部47を備えている。一番回収部46は、シーブケース42から流下した単粒化穀粒を一番物として回収し、不図示の揚送スクリューを介して袋詰めタンク7に送る。二番回収部47は、シーブケース42から流下した枝梗付き穀粒等を二番物として回収し、不図示の二番還元機構を介して不図示の再処理部に送る。再処理部によって脱穀処理された処理物はシーブケース42に還元される。
【0035】
シーブケース42の上部には、粗選別用グレンパン45Aとチャフシーブ45Bとストローラック45Cとを、選別処理方向の上手側から順に備えてある。また、シーブケース42の下部には、精選別用グレンパン45Dとグレンシーブ45Eとを、選別処理方向の上手側から順に備えてある。
【0036】
チャフシーブ45Bは、前後方向に一定間隔をあけて整列された複数のチャフリップ板60によって構成してある。そして、全てのチャフリップ板60を、図9,10に示すごとく、連結部材63によって連結し、同時かつ一律に揺動するよう構成してある。これにより、処理物が流下する経路の開度を調節できる。
【0037】
本実施形態においては、選別部6Bにおいて、少なくともシーブケース42、チャフリップ板60、ストローラック45Cのうち、軸受となる箇所を除いて樹脂製としてある。これにより、重量が軽くなり、振動が軽減されると共に、軸受部分への負担が減って、耐久性が向上する。また、板金製とした場合と比較して、濡れにも強い。
【0038】
〔重量感知式チャフシーブ〕
本実施形態では、処理物の重量によってチャフシーブ45Bの開度を自動的に調節する構造を採用してある。以下に、チャフシーブ45Bの開度を調整する機構について、図9,図10に基づいて説明する。
【0039】
チャフリップ板60は、図10に示すごとく、支軸ピン61を介してシーブケース42の内側面に固定されたブラケット42aに、その上端部分の左右両端を揺動自在に支持されている。全てのチャフリップ板60の下端部分のうち左右いずれかの端部は、揺動ピン62を介して連結部材63によって連結してある。したがって、全てのチャフリップ板60は、連結部材63に下端部分を規制されて、同時かつ一律に、各支軸ピン61を中心とする揺動が可能である。チャフリップ板60が上方に揺動する(水平に近付く)と、チャフリップ板60の下端部分が互いに近接して、処理物が流下する経路が小さくなる。即ち、チャフシーブ45Bの開度が小さくなる。逆に、チャフリップ板60が下方に揺動すると、チャフリップ板60の下端部分が互いに離間して、処理物が流下する経路が大きくなる。即ち、チャフシーブ45Bの開度が大きくなる。チャフリップ板60が垂直になったとき、チャフシーブ45Bの開度は最大となる。
【0040】
図9,図10に示すごとく、チャフリップ板60のうちの一つについて、揺動ピン62に延長ピン64を連結し、延長ピン64を、シーブケース42に開口した第三開口部42cを通して、シーブケース42の外側に突出させてある。第三開口部42cは、支軸ピン61を中心とするチャフリップ板60の揺動動作を阻害しないよう、支軸ピン61を中心とする延長ピン64の揺動軌跡に配慮して余裕を持って形成してある。延長ピン64の外側端部に後述するスプリング69の一端を固定し、チャフリップ板60が上方に揺動する(水平となる)よう常時付勢してある。即ち、チャフシーブ45Bは、開度が小さくなる側に常時付勢されている。
【0041】
図10に示すごとく、シーブケース42のうち、延長ピン64と、対応する支軸ピン61との側面視における中間付近(図9参照)を外側に向けて突出させてボス部42bを形成してある。ボス部42bに、シーブケース42の内側から軸芯ピン71を挿通し、軸芯ピン71の端部をボス部42bから突出させてある。その突出部分に、第二プレート67、第一プレート66、バランスウェイト68を、各部材間にスペーサー72を介して内側から順に支持してある。第二プレート67、第一プレート66、バランスウェイト68は、軸芯ピン71(軸芯Y)を中心としてシーブケース42の外側面に沿って各別に揺動自在である。
【0042】
バランスウェイト68は、軸芯ピン71に支持されるプレート部68bと、プレート部68bの端部に固定されたウェイト部68aと、を備えている。バランスウェイト68は、駆動機構43によるシーブケース42の揺動動作に基づく慣性によってチャフリップ板60が不測に揺動するのを抑制すべく、延長ピン64及び揺動ピン62を介して、ウェイトの重量に基づく軸芯Y回りのモーメント力をチャフリップ板60に付与する。第一プレート66の揺動操作によって、チャフリップ板60を水平側に付勢するスプリング69の付勢力を調節可能である。第二プレート67の揺動操作によって、チャフリップ板60の水平側(上方)への揺動限界を変更可能であり、これにより、チャフシーブ45Bの最小開度を調節可能とする。
【0043】
第一プレート66と第二プレート67とには、延長ピン64を挿通させる第一開口部66aまたは第二開口部67aを夫々開口してある。第一開口部66a及び第二開口部67aは、支軸ピン61を中心とするチャフリップ板60の揺動動作を阻害しないよう、かつ、軸芯Yを中心とする自身の揺動動作が延長ピン64によって阻害されないよう、支軸ピン61を中心とする延長ピン64の揺動軌跡、及び、自身の揺動動作に基づく軸芯Yを中心とする延長ピン64の相対的な揺動軌跡に配慮して余裕を持って形成してある。
【0044】
バランスウェイト68のうちプレート部68bにも、延長ピン64を挿通させる第四開口部68cを開口してある。延長ピン64が第四開口部68cに対して軸芯Yを中心とする周方向に相対移動可能であると、上述したチャフリップ板60の慣性揺動を抑制できない。そこで、第四開口部68cは、軸芯Yを中心とする径方向に沿った長孔形状としてある。そして、延長ピン64に円筒形状のカラー部材65を回転自在に外挿した状態で、延長ピン64を第四開口部68cに挿通してある。第四開口部68cの短辺方向の幅はカラー部材65の外径よりも僅かに大きくしてある。バランスウェイト68の揺動中心(軸芯Y)と延長ピン64の揺動中心(支軸ピン61の軸芯)とは偏心しているため、延長ピン64は第四開口部68cに対して長手方向に沿ってスライド移動する必要がある。その際、カラー部材65が第四開口部68cに接触して回転するため、延長ピン64は第四開口部68cに沿って円滑に相対移動可能である。
【0045】
第一プレート66は、図9に示すごとく、軸芯Yを挟んで一方側を延長し、その端部を屈曲した屈曲部66dを備えている。また、第一プレート66は、軸芯Yを挟んで他方側を延長した第一操作部66bを備えている。屈曲部66dには、一端を延長ピン64の端部に固定したスプリング69の他端を固定してある。即ち、第一プレート66を揺動させると、スプリング69の他端は、その一端とは異なる点(軸芯Y)を中心とする軌跡を描いて移動する。
【0046】
したがって、図9の紙面において、第一プレート66を時計回りに揺動させると、屈曲部66d(スプリング69の他端)が延長ピン64(スプリング69の一端)から離間し、スプリング69が延ばされる。一方、図9の紙面において、第一プレート66を反時計回りに揺動させると、屈曲部66d(スプリング69の他端)が延長ピン64(スプリング69の一端)に近付き、スプリング69が収縮される。このように、第一プレート66の揺動操作によって、スプリング69の引張量を調節することにより、スプリング69の付勢力を調節可能である。なお、スプリング69は引張バネであり、収縮する側への付勢力を有する。
【0047】
シーブケース42の外側には、平板形状の係合プレート70が固定されている。係合プレート70の外側面には、複数の係合突起70aが突出形成されている。係合突起70aは、軸芯Yを中心とする円弧上に配設されており、第一操作部66bに開口された第一係合孔66cを何れかの係合突起70aに係合させることにより、第一プレート66の揺動位置を選択的に固定することができる。第一プレート66は、図10の紙面左右方向への曲げが可能な程度に薄く形成してある。これにより、第一プレート66は板バネのごとき挙動が可能である。第一操作部66bを持って、軸芯ピン71を支点として図10の紙面右方向に第一プレート66を手動で湾曲させれば、第一係合孔66cを係合突起70aから外して、別の係合突起70aに係合させることができる。
【0048】
第二プレート67は、延長ピン64がカラー部材65を介して第二開口部67aの上端部分に当接したときに、延長ピン64のそれ以上の上方への揺動を規制する。これにより、チャフリップ板60の水平側への揺動が規制され、チャフシーブ45Bの最小開度が決定される。
【0049】
図9の紙面において、第二プレート67を時計回りに揺動させると、チャフリップ板60の水平側への揺動限界が水平側に近付き、チャフシーブ45Bの最小開度を小さくできる。一方で、図9の紙面において、第二プレート67を反時計回りに揺動させると、チャフリップ板60の水平側への揺動限界が水平側から遠くなり、チャフシーブ45Bの最小開度を大きくできる。
【0050】
第一プレート66と同様に、第二プレート67は、係合プレート70の側を延長した第二操作部67bを備えている。第二操作部67bに開口された第二係合孔67cを、係合プレート70の何れかの係合突起70aに係合させることにより、第二プレート67の揺動位置を選択的に固定することができる。第二操作部67bを持って、軸芯ピン71を支点として図10の紙面右方向に第二プレート67を手動で湾曲させれば、第二係合孔67cを係合突起70aから外して、別の係合突起70aに係合させることができる。
【0051】
以上の構成により、処理物の重量を受けてチャフリップ板60が自動的に揺動し、チャフシーブ45Bが処理物の重量に応じた適切な開度となるだけでなく、シーブケース42の選別揺動動作の影響を受けることがなく開度が安定し、また、スプリング69の付勢力や最小開度を手動で簡単に調節できる。
【0052】
〔運転部〕
運転部8は、図1,図2に示すごとく、後側中央部に配設された運転座席82と、前端部に立設されたフロントパネル80と、左端部に立設されたサイドパネル81と、を備えている。フロントパネル80には操向レバー83等が備えてある。操向レバー83を左右に揺動させることにより、左右の走行装置2を異なる速度で駆動させて、右旋回及び左旋回を行うことができる。サイドパネル81には、前後進の切換を含めた機体走行速度を制御する主変速レバー84や、副変速レバー85が備えてある。
【0053】
〔回転リールの昇降構造〕
回転リール3は、上述したように、図1,図2に示すごとく、リール支持部12に回転自在に支持されており、回転枠10と複数のタイン11とを備えている。リール支持部12を揺動軸芯P回りに上下揺動させることにより、回転リール3を上下に昇降させられる。例えば、通常の刈取作業のときは回転リール3を大きく下降させて、上述したように、植立穀稈をプラットホーム14の側に掻き込む。下降状態における回転リール3の高さの調節は、作物の種類、稈長、倒伏具合等の状況に応じて行う。例えば、図1から明らかなように、回転リール3を下降させれば、回転リール3の前端が前方に移動するため、作物の倒伏が大きいほど回転リール3を下降させて早いタイミングから掻き込みを行う。また、回転リール3を大きく上昇させると回転リール3とプラットホーム14との間が大きく空いて、前方の未刈り地を見通しやすい。
【0054】
以下に、特に図6,図7に基づいて、回転リール3を昇降させる構造についての説明をする。
【0055】
リール支持部12は、図6に示すごとく、揺動軸芯Pに沿うよう、機体左右方向向きの姿勢で刈取部4に回転自在に固定された揺動軸部材12cと、揺動軸部材12cの左右両端に連結された左右一対のリール支持杆12bと、左右のリール支持杆12bに亘って回転可能に支持され、回転枠10を回転駆動させる駆動軸部材12aと、揺動軸部材12cの左右中間部分に後方向きに固定されたブラケット12dと、を備えている。ブラケット12dに後述する昇降操作部30の回転操作力を作用させることにより、揺動軸芯Pを中心としてリール支持杆12bを上下に揺動させる。
【0056】
図1,図6に示すごとく、刈取部4と左右のリール支持杆12bとの間に、「付勢機構」としてのガススプリング13を配設してある。詳細には、ガススプリング13は、プラットホーム14における左右の側壁部14aの前後方向の中間部と、リール支持杆12bの前後方向の中間部における後端側寄りの箇所とに亘って、左右のリール支持杆12bの真下に位置する状態で且つ上下向き姿勢で配設してある。ガススプリング13は、周知の構成であるため詳述はしないが、リール支持杆12bに対して上方への上昇付勢力を付与しつつ、下方への荷重に対しては徐々に収縮する性質を有する。
【0057】
ガススプリング13の上昇付勢力は、この上昇付勢力に基づいてリール支持部12に作用する揺動軸芯P回りの力が、回転リール3の自重に基づいてリール支持部12に作用する揺動軸芯P回りの力よりも小さくなるよう設定してある。
【0058】
図6,図7に示すごとく、運転部8において、サイドパネル81の右側下部に昇降操作部30を配設してある。昇降操作部30は、左右方向向きの軸芯回りに手動回転操作可能なハンドル31と、シャフト32を介してハンドル31に連結され、ハンドル31の回転を減速する減速機構33と、後述する「ワイヤ」としてのレリーズワイヤ20を巻き取る巻き取り部35と、を備えている。ハンドル31は、運転部8から操作可能なように、サイドパネル81の外側に配置され、減速機構33等はフロントパネル80及びサイドパネル81の内部に配置されている。
【0059】
レリーズワイヤ20は、減速機構33とブラケット12dとを連係するインナワイヤ21と、両端部を夫々フロントパネル80と刈取部4とに固定してあるアウタワイヤ22と、を備えている。ブラケット12dに接続されたレリーズワイヤ20は、フィーダ5の横側を通して、サイドパネル81の下側から減速機構33に接続されている。減速機構33は、シャフト32を介してハンドル31の回転軸芯と同一軸芯回りに回転する第一ギア33aと、第一ギア33aよりも大径、かつ、歯数が多い第二ギア33bと、第一ギア33aと第二ギア33bとに巻き回されたチェーン33cとを備えている。巻き取り部35は第二ギア33bと同一軸芯上で一体的に回転する。
【0060】
ハンドル31を反時計回りに手動回転操作することにより、インナワイヤ21が巻き取り部35に巻き取られ、下方向きの引張力がブラケット12dに作用する。これにより、リール支持部12が揺動軸芯P回りに上方に揺動し、回転リール3が上昇する。ハンドル31を時計回りに回転することにより、巻き取り部35に巻き取られたインナワイヤ21が繰り出され、ブラケット12dに作用する下方向きの引張力が弱まる。これにより、リール支持部12が揺動軸芯P回りに下方に揺動し、回転リール3が下降する。
【0061】
ハンドル31の回転方向の位置を固定する構造として、いわゆるラチェット機構を採用している。回転操作部は、シャフト32におけるハンドル31と第一ギア33aとの間に固定され、複数の歯を有する係止ギア34を備えている。係止ギア34の各歯は、時計回り側(回転リール3が下降する側)の面を円周方向に対して鋭角となるように設定してあるのに対して、反時計回り側(回転リール3が上昇する側)の面を円周方向に対して鈍角となるように設定してある。係止ギア34の後方側に、前後方向に揺動可能であり、前方に揺動したとき、係止ギア34の時計回り側の面に係止可能な係止レバー36を備えている。係止レバー36の一端側を、サイドパネル81に揺動可能に支持し、他端側を、係止ギア34の時計回り側の面に係止可能なよう、鋭角な形状に形成してある。係止レバー36の中間部分とサイドパネル81との間にスプリング38が配設され、スプリング38の付勢力によって、係止レバー36は係止ギア34に係止するよう付勢されている。
【0062】
また、係止レバー36の揺動中心と係止ギア34の回転軸芯との距離が、係止レバー36の揺動半径と係止ギア34と回転半径との合計よりも小さくなるよう、係止ギア34と係止レバー36とを構成してある。よって、係止レバー36が係止ギア34に係止した状態では、ハンドル31に時計回り(回転リール3が下降する方向)に回転操作力を加えても、係止レバー36の他端が係止ギア34の歯間に食い込んで、ハンドル31は回転しない。
【0063】
一方、係止レバー36が係止ギア34に係止した状態でも、ハンドル31に反時計回り(回転リール3が上昇する方向)に回転操作力を加えると、係止レバー36の他端が、スプリング38の付勢力に抗しつつ、係止ギア34の反時計回り側の面に案内されて次々と歯を乗り越え、ハンドル31は回転する。そして、ハンドル31の回転操作をやめると、スプリング38の付勢力によって、係止レバー36が係止ギア34に係止する。即ち、係止レバー36が、本発明に係る「高さ調節機構」に相当する。
【0064】
以上の構成によると、ガススプリング13によって、回転リール3を上昇させるために運転者が負担する荷重を低減し、ハンドル31を手動回転操作してインナワイヤ21を巻き取るだけで重量が重い回転リール3を上昇させることができる。そして、係止レバー36が係止ギア34に係止することにより、回転リール3の上昇位置は維持される。また、係止レバー36の係止を解除すれば、巻き取られたインナワイヤ21が繰り出され、回転リール3は自重に基づいて下降する。
【0065】
さらに、係止レバー36は係止ギア34に係止するよう付勢されているので、ハンドル31の操作を止めれば、すぐさま係止レバー36が係止ギア34に係止すると共に、係止レバー36を小まめに解除操作すれば、インナワイヤ21を段階的に繰り出すことが可能である。したがって、ハンドル31の回転操作を停止したときや、係止レバー36を解除操作したときに、回転リール3が急激に下降することはない。また、回転リール3の上昇位置の微調整も可能である
【0066】
なお、上述したように、昇降操作部30のうちハンドル31のみが、サイドパネル81から運転座席82の側に露出されている。また、係止レバー36には、運転座席82の側に突出し、手動操作可能なツマミ37を備え、ツマミ37のみがサイドパネル81から運転座席82の側に露出している。また、ハンドル31やツマミ37は、主変速レバー84の下方辺りに配設されている。このため、誤操作が少ない上、刈取作業中に右手で操向レバー83を操作しながら、ハンドル31やツマミ37を操作し易い。
【0067】
〔別実施形態〕
(1)上述の実施形態において、付勢機構としてガススプリング13を適用した例を示したがこれに限られるものではない。例えば、図11に示すごとく、左右のリール支持杆12bと刈取部4との間に、伸びる方向の付勢力を有する圧縮バネとしての左右一対の第一スプリング113Aを備えると共に、ブラケット12dと刈取部4との間に、収縮する方向の付勢力を有する引張バネとしての第二スプリング113Bを備えても良い。また、図示はしないが、図11における第一スプリング113A及び第二スプリング113Bのうち何れか一方のみを備えてあっても良い。ただし、第一スプリング113A及び第二スプリング113Bの両方を備えた方が、各スプリングが負担する荷重が小さくて済み、スプリングの付勢力の設定がし易い。さらに、付勢機構として、スプリングを茶筒部材に内装したものや、油圧式のダンパー等を採用しても良い。
【0068】
(2)上述の実施形態においては、減速機構33を第一ギア33a、第二ギア33b、チェーン33cで構成したがこれに限られるものではなく、各種の公知の減速機構を採用可能である。図示はしないが、例えば、小径ギアと大径ギアのみのギア連係からなる減速機構であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、回転駆動によって植立穀稈を刈取部に掻き込む掻き込み部を備えたコンバインに適用可能である。
【符号の説明】
【0070】
3 回転リール(掻き込み部)
4 刈取部
8 運転部
12 リール支持部(支持部)
13 ガススプリング(付勢機構)
20 レリーズワイヤ(ワイヤ)
30 昇降操作部
31 ハンドル
33 減速機構
35 巻き取り部
36 係止レバー(高さ調節機構)
P 揺動軸芯
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転駆動によって植立穀稈を刈取部に掻き込む掻き込み部を備えたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
掻き込み部は作業状況に応じて上下に昇降させるものであるところ、掻き込み部は重量が重いため、掻き込み部を支持する支持部を上下に揺動させるには大きな力を加える必要がある。また、掻き込み部の昇降操作は刈取作業中に行うものであるから、運転部における手元操作によって簡単に行えるように構成した方が良い。
【0003】
従来、例えば、特許文献1に記載のコンバインにおいては、支持部(文献では「支持アーム」)を刈取部(文献では「刈取りフレーム」)の基端側の上部から前方向きに延出すると共に、掻き込み部(文献では「回転リール」)を支持部の前端部に駆動回転自在に支持し、支持部を刈取部に対して上下に揺動操作可能なよう、支持部と刈取部との間に油圧シリンダを連結してある。
【0004】
また、特に文献は挙げないが、上述の油圧シリンダの代わりにモータ等の電動動力によって支持部を上下揺動させるよう構成したコンバインも知られている。
【0005】
これらの構成であると、運転部における手元操作によって簡易に掻き込み部の昇降操作が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−39026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来のコンバインであると、油圧シリンダや電動動力を使用して掻き込み部を姿勢変更させるものであるから、油圧ユニットまたは電動機器や電気配線等を備える必要があり、構成が複雑化し、組立工数の増加やコスト増大を招来する虞がある。
【0008】
本発明は上記実情に鑑み、簡易かつ低コストな構成で、掻き込み部を昇降させることができるコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る作業車の第一特徴構成は、刈取部に上下揺動可能に支持された支持部と、前記支持部に回転自在に支持され、回転駆動によって植立穀稈を前記刈取部に掻き込む掻き込み部と、運転部に配設されると共に、手動回転操作によって前記支持部に連係されたワイヤを巻き取り、前記掻き込み部を上昇操作可能な昇降操作部と、前記掻き込み部を上昇させる方向の上昇付勢力を前記支持部に対して付与する付勢機構と、前記昇降操作部に対して係止するよう付勢されて、前記昇降操作部の回転方向に沿った複数箇所において前記昇降操作部に対して係止可能であると共に、前記係止を解除する操作が可能であり、前記昇降操作部に係止したとき、前記掻き込み部が上昇する方向への前記昇降操作部の回転を許容し、かつ、前記掻き込み部が下降する方向への前記昇降操作部の回転を禁止する高さ調節機構と、を備え、前記上昇付勢力に基づいて前記支持部に作用する前記支持部の揺動軸芯回りの力が、前記掻き込み部の自重に基づいて前記支持部に作用する前記揺動軸芯回りの力よりも小さくなるよう前記上昇付勢力を設定した点にある。
【0010】
本構成によると、掻き込み部を上昇させる方向の上昇付勢力を支持部に対して付与する付勢機構を備えているため、掻き込み部を上昇させるために昇降操作部が負担する荷重が低減される。したがって、昇降操作部を手動回転操作してワイヤを巻き取るだけで、重量が重い掻き込み部を上昇させることが可能である。そして、高さ調節機構が昇降操作部に係止することにより、掻き込み部が下降する方向への昇降操作部の回転を禁止され、掻き込み部の上昇位置が維持される。また、付勢機構の上昇付勢力に基づいて支持部に作用する揺動軸芯回りの力が、掻き込み部の自重に基づいて支持部に作用する揺動軸芯回りの力よりも小さいため、高さ調節機構の係止を解除すれば、巻き取られたワイヤが繰り出され、掻き込み部は自重に基づいて下降する。
【0011】
さらに、高さ調節機構は昇降操作部に係止するよう付勢されているので、昇降操作部の操作を止めれば、すぐさま高さ調節機構が昇降操作部に係止すると共に、高さ調節機構を小まめに解除操作すれば、ワイヤを段階的に繰り出すことが可能である。したがって、昇降操作部の回転操作を停止したときや、高さ調整機構を解除操作したときに、掻き込み部が急激に下降することはない。また、掻き込み部の上昇位置の微調整も可能である。反対に、掻き込み部を上昇させるときにも、段階的に徐々に上昇させることも可能である。
【0012】
即ち、昇降操作部と高さ調節機構とを備え、ワイヤによって掻き込み部と昇降操作部とを連係するという簡易かつ低コストな構成によって、油圧や電動動力を使用することなく、掻き込み部の上昇操作、上昇位置の維持、及び、下降操作が可能である。
【0013】
本発明に係る作業車の第二特徴構成は、前記昇降操作部が、手動回転操作されるハンドルと、前記ワイヤが巻き付く巻き取り部と、前記ハンドルの回転を前記巻き取り部に減速して伝達する減速機構と、を備えた点にある。
【0014】
付勢機構の上昇付勢力を出来るだけ大きく設定すれば、ハンドルを回転操作する力が小さくて済む反面、掻き込み部の自重に基づいて支持部に作用する揺動軸芯回りの力と、上昇付勢力に基づいて支持部に作用する揺動軸芯回りの力と、の差が小さくなって、掻き込み部の下降速度が遅くなる。本構成によると、昇降操作部が減速機構を備えているため、掻き込み部の下降速度をある程度担保するべく付勢機構の上昇付勢力を控え目に設定することによって、昇降操作部が負担する荷重が大きくなっても、ハンドルを回転操作する力を小さくすることができ、掻き込み部を楽に上昇させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】は、本発明に係るコンバインの全体左側面図である。
【図2】は、本発明に係るコンバインの平面図である。
【図3】は、搬送部の横断平面図である。
【図4】は、搬送部の縦断側面図である。
【図5】は、脱穀装置の縦断側面図である。
【図6】は、回転リールと昇降操作部との連係関係を示す模式図である。
【図7】は、昇降操作部の構成を示す斜視図である。
【図8】は、従動プーリーを手動回転させる構成を示す斜視図である。
【図9】は、重量感知式に構成したチャフシーブの側面図である。
【図10】は、図9に示すX−X矢視方向の断面図である。
【図11】は、別実施形態に係る回転リールと昇降操作部との連係関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を普通型(全稈投入型)のコンバインに適用した例を図面に基づいて説明する。
【0017】
〔コンバインの全体構成〕
本発明に係るコンバインは、稲、麦などを収穫するものであって、図1,図2に示すごとく、機体の骨格である機体フレーム1と、機体を支持する左右一対のクローラ式の走行装置2と、機体フレーム1の前部に上下揺動可能に支持されたフィーダ5と、フィーダ5の前端に連結された刈取部4と、機体フレーム1の左側に配設された脱穀装置6と、脱穀装置6の右横側に配設された袋詰めタンク7と、フィーダ5及び脱穀装置6の右側かつ袋詰めタンク7の前側に配設された運転部8と、を備えている。
【0018】
刈取部4は、図1,図2に示すごとく、左右一対のデバイダ16と、プラットホーム14と、「掻き込み部」としての回転リール3と、プラットホーム14の前端において左右のデバイダ16に亘って配設されたバリカン型の切断装置17と、プラットホーム14の上に配設され、左右方向向きの軸芯回りに回転するオーガ15と、を備えている。
【0019】
フィーダ5が左右方向向きの軸芯X回りに脱穀装置6に対して上下に揺動操作可能なように、機体フレーム1とフィーダ5との間に油圧シリンダ58を配設してある。フィーダ5が揺動操作されることによって、刈取部4は、プラットホーム14が地面近くに下降した作業状態と、プラットホーム14が地面から高く上昇した非作業状態と、に姿勢変更する。
【0020】
また、回転リール3は、刈取部4に対して揺動軸芯P回りに上下揺動可能に支持された「支持部」としてのリール支持部12に、回転自在に支持してある。回転リール3は、リール支持部12に支持される回転枠10と、常時下方を向くように回転枠10に支持され、刈取り対象の植立穀稈を掻き込む複数のタイン11と、を備えている。
【0021】
刈取部4を下降させて作業状態とし、コンバインを走行させると、植立穀稈がデバイダ16によって刈取り対象と非刈取り対象とに分草され、回転リール3の回転駆動によって刈取り対象の植立穀稈がプラットホーム14に掻き込まれながら切断装置17で刈取られる。プラットホーム14に掻き込まれた刈取穀稈は、オーガ15によってフィーダ5の前方に横送りされ、さらにフィーダ5に掻き込まれる。刈取穀稈はフィーダ5によって後方に搬送され、刈取穀稈の株元から穂先までの全体が脱穀装置6に投入される。
【0022】
脱穀装置6は、投入された刈取穀稈を回転する扱胴40によって脱穀処理する。脱穀処理された単粒化穀粒は、袋詰めタンク7に送られて一旦貯留され、袋詰めタンク7の下部から穀粒袋に排出される。機体フレーム1の右側面には、袋詰めタンク7からの袋詰め作業を行う作業ステージ7Aと、作業ステージ7Aに乗った作業者用の手摺となるフレーム7Bと、を前後方向向きの軸芯回りに揺動可能に配設してある。袋詰め作業を行わないときは、作業ステージ7A及びフレーム7Bを垂直に立てて収容する。
【0023】
〔オーガ〕
オーガ15は、図3に示すごとく、フィーダ5よりも右側部分に二条の螺旋である第一スパイラ15a及び第二スパイラ15bを備え、フィーダ5よりも左側に一条の第三スパイラ15cを備え、フィーダ5の前方に、径方向に突出させた複数の掻き込み杆15dを備えている。第一スパイラ15a及び第二スパイラ15bと、第三スパイラ15cとによってフィーダ5の前方まで刈取穀稈を横送りし、掻き込み杆15dによってフィーダ5に掻き込む。
【0024】
刈取対象が長稈作物のときは、刈取穀稈がオーガ15に巻き付いて振動が生じ、オーガ15の軸受部分が磨耗する虞がある。オーガ15の径を大きくして周長を長くすれば、刈取穀稈の撒き付きが軽減されるところ、重量が増加して機体バランスが悪くなったり、コスト増が招来されたりする可能性がある。本実施形態においては、上述したように、第一スパイラ15a及び第二スパイラ15bを二条螺旋に構成してあるので、一方のスパイラの螺旋間隔が他方のスパイラの螺旋によって区切られて小さくなる。この結果、全体としての搬送効率は落ちないものの、各スパイラによって搬送される刈取穀稈の量が半分となり、刈取穀稈のオーガ15への巻き付きが低減される。
【0025】
〔フィーダ〕
図3,図4に示すごとく、フィーダ5は、フィーダケース50と、フィーダケース50に内装されたコンベア部52と、を備えている。コンベア部52は、左右方向向きの軸芯回りに回動可能にフィーダケース50に支持された前部輪体52a及び後部輪体52bと、前部輪体52aと後部輪体52bとに撒き回された左右一対のチェーン52cと、左右のチェーン52cに亘って配設された左右方向向きアングル52dと、を備えている。さらに、後部輪体52bの回動軸芯と同一の軸芯上で後部輪体52bと一体回動可能なように、フィーダケース50の外側に従動プーリー53を備えている。図5に示すごとく、従動プーリー53は、機体本体の側に配設された駆動プーリー54とベルト55によって連係されている。これにより、エンジンからの動力が、駆動プーリー54を介して従動プーリー53に伝達され、フィーダ5が駆動する。また、ベルト55が弛まないようにテンションプーリー56を備えている。図示はしないが、エンジンから従動プーリー53を支持する刈取入力軸53Aに伝達された動力が、回転リール3、オーガ15、切断装置17に伝達されるように構成してある。
【0026】
駆動プーリー54から従動プーリー53に駆動力が伝達されると、コンベア部52が駆動し、掻き込み杆15dによって掻き込まれた刈取穀稈は、アングル52dに引掛けられて後方に搬送される。
【0027】
図4に示すごとく、フィーダ5の前端部付近においてフィーダケース50の底面に掃除口を開口し、掃除口に対して掃除口カバー51をボルト等で取り外し自在に配設してある。フィーダ5の内部において刈取穀稈等が詰まった場合は、掃除口カバー51を外した上で、ハンドル57によって従動プーリー53を手動回転操作し(図8参照)、コンベア部52を逆回転させて、詰まった刈取穀稈等を取り出す。なお、従動プーリー53を手動で操作するためには、テンションプーリー56を緩めたり、ベルト55を外したりする必要がある。
【0028】
図8に示すごとく、従動プーリー53には軸芯方向に開口する複数の空洞部53aを形成してあり、ハンドル57の先端には二つの係止部57aを備えてある。従動プーリー53の回動軸芯を挟んで異なる空洞部53aに係止部57aを嵌め、ハンドル57を回転させると、係止部57aが空洞部53aに係止して、従動プーリー53が回転する。なお、ハンドル57は、使用しないときには、例えば、フィーダケース50の上面等に配設したクランプに固定する。
【0029】
このように構成することで、コンベア部52を逆回転させるための特別な駆動機構または駆動構造を採用せずとも、簡易にコンベア部52を逆回転させて、フィーダ5に詰まった刈取穀稈等を取り出すことが可能である。
【0030】
〔脱穀装置〕
脱穀装置6は、図5に示すごとく、フィーダ5によって搬送された刈取穀稈(未脱粒穀稈)を脱穀処理する脱穀部6Aと、脱穀処理で得た処理物に選別処理を施す選別部6Bと、を備えている。
【0031】
脱穀部6Aは、前後向きの軸芯回りに回転する扱胴40を備えている。扱胴40の回転軸芯に沿った姿勢で周方向に一定間隔をあけて並ぶ複数本の扱歯支持部材40aと、扱歯支持部材40aに配設され、扱胴40の外方に向けて突出する複数の扱歯40bと、で扱胴40を構成し、バータイプの扱胴40としてある。扱胴40の前部には、スクリュ式の掻込部を備えている。また、脱穀部6Aは、扱胴40を下方から覆う前後方向視でU字状の受網41を備えている。
【0032】
未脱粒穀稈は、扱歯支持部材40a及び扱歯40bの打撃や、扱歯40bの梳き込みなどによって脱穀処理される。処理物の一部は扱胴40の内部空間へ入り込み、扱胴40の外部空間にある処理物と内部空間にある処理物とは、扱胴40の回転によって攪拌されながら、さらに扱歯支持部材40a及び扱歯40bの打撃等によって脱穀処理される。
【0033】
選別部6Bは、後端部に備えた偏心カム式の駆動機構43の作動によって前後方向に揺動して、処理物を揺動選別処理するシーブケース42を備えている。シーブケース42は、受網41から漏下した処理物などを揺動しながら受け止め、受け止めた処理物を選別対象の処理物として機体後方に移送しながら篩い選別する。また、選別部6Bは、左右向きの軸芯回りに回転して選別風を発生させ、処理物を風力選別処理する唐箕44をシーブケース42の前下方に備えている。
【0034】
また、選別部6Bは、シーブケース42の下方に一番回収部46を備えると共に、シーブケース42の下方、かつ、一番回収部46の後方に二番回収部47を備えている。一番回収部46は、シーブケース42から流下した単粒化穀粒を一番物として回収し、不図示の揚送スクリューを介して袋詰めタンク7に送る。二番回収部47は、シーブケース42から流下した枝梗付き穀粒等を二番物として回収し、不図示の二番還元機構を介して不図示の再処理部に送る。再処理部によって脱穀処理された処理物はシーブケース42に還元される。
【0035】
シーブケース42の上部には、粗選別用グレンパン45Aとチャフシーブ45Bとストローラック45Cとを、選別処理方向の上手側から順に備えてある。また、シーブケース42の下部には、精選別用グレンパン45Dとグレンシーブ45Eとを、選別処理方向の上手側から順に備えてある。
【0036】
チャフシーブ45Bは、前後方向に一定間隔をあけて整列された複数のチャフリップ板60によって構成してある。そして、全てのチャフリップ板60を、図9,10に示すごとく、連結部材63によって連結し、同時かつ一律に揺動するよう構成してある。これにより、処理物が流下する経路の開度を調節できる。
【0037】
本実施形態においては、選別部6Bにおいて、少なくともシーブケース42、チャフリップ板60、ストローラック45Cのうち、軸受となる箇所を除いて樹脂製としてある。これにより、重量が軽くなり、振動が軽減されると共に、軸受部分への負担が減って、耐久性が向上する。また、板金製とした場合と比較して、濡れにも強い。
【0038】
〔重量感知式チャフシーブ〕
本実施形態では、処理物の重量によってチャフシーブ45Bの開度を自動的に調節する構造を採用してある。以下に、チャフシーブ45Bの開度を調整する機構について、図9,図10に基づいて説明する。
【0039】
チャフリップ板60は、図10に示すごとく、支軸ピン61を介してシーブケース42の内側面に固定されたブラケット42aに、その上端部分の左右両端を揺動自在に支持されている。全てのチャフリップ板60の下端部分のうち左右いずれかの端部は、揺動ピン62を介して連結部材63によって連結してある。したがって、全てのチャフリップ板60は、連結部材63に下端部分を規制されて、同時かつ一律に、各支軸ピン61を中心とする揺動が可能である。チャフリップ板60が上方に揺動する(水平に近付く)と、チャフリップ板60の下端部分が互いに近接して、処理物が流下する経路が小さくなる。即ち、チャフシーブ45Bの開度が小さくなる。逆に、チャフリップ板60が下方に揺動すると、チャフリップ板60の下端部分が互いに離間して、処理物が流下する経路が大きくなる。即ち、チャフシーブ45Bの開度が大きくなる。チャフリップ板60が垂直になったとき、チャフシーブ45Bの開度は最大となる。
【0040】
図9,図10に示すごとく、チャフリップ板60のうちの一つについて、揺動ピン62に延長ピン64を連結し、延長ピン64を、シーブケース42に開口した第三開口部42cを通して、シーブケース42の外側に突出させてある。第三開口部42cは、支軸ピン61を中心とするチャフリップ板60の揺動動作を阻害しないよう、支軸ピン61を中心とする延長ピン64の揺動軌跡に配慮して余裕を持って形成してある。延長ピン64の外側端部に後述するスプリング69の一端を固定し、チャフリップ板60が上方に揺動する(水平となる)よう常時付勢してある。即ち、チャフシーブ45Bは、開度が小さくなる側に常時付勢されている。
【0041】
図10に示すごとく、シーブケース42のうち、延長ピン64と、対応する支軸ピン61との側面視における中間付近(図9参照)を外側に向けて突出させてボス部42bを形成してある。ボス部42bに、シーブケース42の内側から軸芯ピン71を挿通し、軸芯ピン71の端部をボス部42bから突出させてある。その突出部分に、第二プレート67、第一プレート66、バランスウェイト68を、各部材間にスペーサー72を介して内側から順に支持してある。第二プレート67、第一プレート66、バランスウェイト68は、軸芯ピン71(軸芯Y)を中心としてシーブケース42の外側面に沿って各別に揺動自在である。
【0042】
バランスウェイト68は、軸芯ピン71に支持されるプレート部68bと、プレート部68bの端部に固定されたウェイト部68aと、を備えている。バランスウェイト68は、駆動機構43によるシーブケース42の揺動動作に基づく慣性によってチャフリップ板60が不測に揺動するのを抑制すべく、延長ピン64及び揺動ピン62を介して、ウェイトの重量に基づく軸芯Y回りのモーメント力をチャフリップ板60に付与する。第一プレート66の揺動操作によって、チャフリップ板60を水平側に付勢するスプリング69の付勢力を調節可能である。第二プレート67の揺動操作によって、チャフリップ板60の水平側(上方)への揺動限界を変更可能であり、これにより、チャフシーブ45Bの最小開度を調節可能とする。
【0043】
第一プレート66と第二プレート67とには、延長ピン64を挿通させる第一開口部66aまたは第二開口部67aを夫々開口してある。第一開口部66a及び第二開口部67aは、支軸ピン61を中心とするチャフリップ板60の揺動動作を阻害しないよう、かつ、軸芯Yを中心とする自身の揺動動作が延長ピン64によって阻害されないよう、支軸ピン61を中心とする延長ピン64の揺動軌跡、及び、自身の揺動動作に基づく軸芯Yを中心とする延長ピン64の相対的な揺動軌跡に配慮して余裕を持って形成してある。
【0044】
バランスウェイト68のうちプレート部68bにも、延長ピン64を挿通させる第四開口部68cを開口してある。延長ピン64が第四開口部68cに対して軸芯Yを中心とする周方向に相対移動可能であると、上述したチャフリップ板60の慣性揺動を抑制できない。そこで、第四開口部68cは、軸芯Yを中心とする径方向に沿った長孔形状としてある。そして、延長ピン64に円筒形状のカラー部材65を回転自在に外挿した状態で、延長ピン64を第四開口部68cに挿通してある。第四開口部68cの短辺方向の幅はカラー部材65の外径よりも僅かに大きくしてある。バランスウェイト68の揺動中心(軸芯Y)と延長ピン64の揺動中心(支軸ピン61の軸芯)とは偏心しているため、延長ピン64は第四開口部68cに対して長手方向に沿ってスライド移動する必要がある。その際、カラー部材65が第四開口部68cに接触して回転するため、延長ピン64は第四開口部68cに沿って円滑に相対移動可能である。
【0045】
第一プレート66は、図9に示すごとく、軸芯Yを挟んで一方側を延長し、その端部を屈曲した屈曲部66dを備えている。また、第一プレート66は、軸芯Yを挟んで他方側を延長した第一操作部66bを備えている。屈曲部66dには、一端を延長ピン64の端部に固定したスプリング69の他端を固定してある。即ち、第一プレート66を揺動させると、スプリング69の他端は、その一端とは異なる点(軸芯Y)を中心とする軌跡を描いて移動する。
【0046】
したがって、図9の紙面において、第一プレート66を時計回りに揺動させると、屈曲部66d(スプリング69の他端)が延長ピン64(スプリング69の一端)から離間し、スプリング69が延ばされる。一方、図9の紙面において、第一プレート66を反時計回りに揺動させると、屈曲部66d(スプリング69の他端)が延長ピン64(スプリング69の一端)に近付き、スプリング69が収縮される。このように、第一プレート66の揺動操作によって、スプリング69の引張量を調節することにより、スプリング69の付勢力を調節可能である。なお、スプリング69は引張バネであり、収縮する側への付勢力を有する。
【0047】
シーブケース42の外側には、平板形状の係合プレート70が固定されている。係合プレート70の外側面には、複数の係合突起70aが突出形成されている。係合突起70aは、軸芯Yを中心とする円弧上に配設されており、第一操作部66bに開口された第一係合孔66cを何れかの係合突起70aに係合させることにより、第一プレート66の揺動位置を選択的に固定することができる。第一プレート66は、図10の紙面左右方向への曲げが可能な程度に薄く形成してある。これにより、第一プレート66は板バネのごとき挙動が可能である。第一操作部66bを持って、軸芯ピン71を支点として図10の紙面右方向に第一プレート66を手動で湾曲させれば、第一係合孔66cを係合突起70aから外して、別の係合突起70aに係合させることができる。
【0048】
第二プレート67は、延長ピン64がカラー部材65を介して第二開口部67aの上端部分に当接したときに、延長ピン64のそれ以上の上方への揺動を規制する。これにより、チャフリップ板60の水平側への揺動が規制され、チャフシーブ45Bの最小開度が決定される。
【0049】
図9の紙面において、第二プレート67を時計回りに揺動させると、チャフリップ板60の水平側への揺動限界が水平側に近付き、チャフシーブ45Bの最小開度を小さくできる。一方で、図9の紙面において、第二プレート67を反時計回りに揺動させると、チャフリップ板60の水平側への揺動限界が水平側から遠くなり、チャフシーブ45Bの最小開度を大きくできる。
【0050】
第一プレート66と同様に、第二プレート67は、係合プレート70の側を延長した第二操作部67bを備えている。第二操作部67bに開口された第二係合孔67cを、係合プレート70の何れかの係合突起70aに係合させることにより、第二プレート67の揺動位置を選択的に固定することができる。第二操作部67bを持って、軸芯ピン71を支点として図10の紙面右方向に第二プレート67を手動で湾曲させれば、第二係合孔67cを係合突起70aから外して、別の係合突起70aに係合させることができる。
【0051】
以上の構成により、処理物の重量を受けてチャフリップ板60が自動的に揺動し、チャフシーブ45Bが処理物の重量に応じた適切な開度となるだけでなく、シーブケース42の選別揺動動作の影響を受けることがなく開度が安定し、また、スプリング69の付勢力や最小開度を手動で簡単に調節できる。
【0052】
〔運転部〕
運転部8は、図1,図2に示すごとく、後側中央部に配設された運転座席82と、前端部に立設されたフロントパネル80と、左端部に立設されたサイドパネル81と、を備えている。フロントパネル80には操向レバー83等が備えてある。操向レバー83を左右に揺動させることにより、左右の走行装置2を異なる速度で駆動させて、右旋回及び左旋回を行うことができる。サイドパネル81には、前後進の切換を含めた機体走行速度を制御する主変速レバー84や、副変速レバー85が備えてある。
【0053】
〔回転リールの昇降構造〕
回転リール3は、上述したように、図1,図2に示すごとく、リール支持部12に回転自在に支持されており、回転枠10と複数のタイン11とを備えている。リール支持部12を揺動軸芯P回りに上下揺動させることにより、回転リール3を上下に昇降させられる。例えば、通常の刈取作業のときは回転リール3を大きく下降させて、上述したように、植立穀稈をプラットホーム14の側に掻き込む。下降状態における回転リール3の高さの調節は、作物の種類、稈長、倒伏具合等の状況に応じて行う。例えば、図1から明らかなように、回転リール3を下降させれば、回転リール3の前端が前方に移動するため、作物の倒伏が大きいほど回転リール3を下降させて早いタイミングから掻き込みを行う。また、回転リール3を大きく上昇させると回転リール3とプラットホーム14との間が大きく空いて、前方の未刈り地を見通しやすい。
【0054】
以下に、特に図6,図7に基づいて、回転リール3を昇降させる構造についての説明をする。
【0055】
リール支持部12は、図6に示すごとく、揺動軸芯Pに沿うよう、機体左右方向向きの姿勢で刈取部4に回転自在に固定された揺動軸部材12cと、揺動軸部材12cの左右両端に連結された左右一対のリール支持杆12bと、左右のリール支持杆12bに亘って回転可能に支持され、回転枠10を回転駆動させる駆動軸部材12aと、揺動軸部材12cの左右中間部分に後方向きに固定されたブラケット12dと、を備えている。ブラケット12dに後述する昇降操作部30の回転操作力を作用させることにより、揺動軸芯Pを中心としてリール支持杆12bを上下に揺動させる。
【0056】
図1,図6に示すごとく、刈取部4と左右のリール支持杆12bとの間に、「付勢機構」としてのガススプリング13を配設してある。詳細には、ガススプリング13は、プラットホーム14における左右の側壁部14aの前後方向の中間部と、リール支持杆12bの前後方向の中間部における後端側寄りの箇所とに亘って、左右のリール支持杆12bの真下に位置する状態で且つ上下向き姿勢で配設してある。ガススプリング13は、周知の構成であるため詳述はしないが、リール支持杆12bに対して上方への上昇付勢力を付与しつつ、下方への荷重に対しては徐々に収縮する性質を有する。
【0057】
ガススプリング13の上昇付勢力は、この上昇付勢力に基づいてリール支持部12に作用する揺動軸芯P回りの力が、回転リール3の自重に基づいてリール支持部12に作用する揺動軸芯P回りの力よりも小さくなるよう設定してある。
【0058】
図6,図7に示すごとく、運転部8において、サイドパネル81の右側下部に昇降操作部30を配設してある。昇降操作部30は、左右方向向きの軸芯回りに手動回転操作可能なハンドル31と、シャフト32を介してハンドル31に連結され、ハンドル31の回転を減速する減速機構33と、後述する「ワイヤ」としてのレリーズワイヤ20を巻き取る巻き取り部35と、を備えている。ハンドル31は、運転部8から操作可能なように、サイドパネル81の外側に配置され、減速機構33等はフロントパネル80及びサイドパネル81の内部に配置されている。
【0059】
レリーズワイヤ20は、減速機構33とブラケット12dとを連係するインナワイヤ21と、両端部を夫々フロントパネル80と刈取部4とに固定してあるアウタワイヤ22と、を備えている。ブラケット12dに接続されたレリーズワイヤ20は、フィーダ5の横側を通して、サイドパネル81の下側から減速機構33に接続されている。減速機構33は、シャフト32を介してハンドル31の回転軸芯と同一軸芯回りに回転する第一ギア33aと、第一ギア33aよりも大径、かつ、歯数が多い第二ギア33bと、第一ギア33aと第二ギア33bとに巻き回されたチェーン33cとを備えている。巻き取り部35は第二ギア33bと同一軸芯上で一体的に回転する。
【0060】
ハンドル31を反時計回りに手動回転操作することにより、インナワイヤ21が巻き取り部35に巻き取られ、下方向きの引張力がブラケット12dに作用する。これにより、リール支持部12が揺動軸芯P回りに上方に揺動し、回転リール3が上昇する。ハンドル31を時計回りに回転することにより、巻き取り部35に巻き取られたインナワイヤ21が繰り出され、ブラケット12dに作用する下方向きの引張力が弱まる。これにより、リール支持部12が揺動軸芯P回りに下方に揺動し、回転リール3が下降する。
【0061】
ハンドル31の回転方向の位置を固定する構造として、いわゆるラチェット機構を採用している。回転操作部は、シャフト32におけるハンドル31と第一ギア33aとの間に固定され、複数の歯を有する係止ギア34を備えている。係止ギア34の各歯は、時計回り側(回転リール3が下降する側)の面を円周方向に対して鋭角となるように設定してあるのに対して、反時計回り側(回転リール3が上昇する側)の面を円周方向に対して鈍角となるように設定してある。係止ギア34の後方側に、前後方向に揺動可能であり、前方に揺動したとき、係止ギア34の時計回り側の面に係止可能な係止レバー36を備えている。係止レバー36の一端側を、サイドパネル81に揺動可能に支持し、他端側を、係止ギア34の時計回り側の面に係止可能なよう、鋭角な形状に形成してある。係止レバー36の中間部分とサイドパネル81との間にスプリング38が配設され、スプリング38の付勢力によって、係止レバー36は係止ギア34に係止するよう付勢されている。
【0062】
また、係止レバー36の揺動中心と係止ギア34の回転軸芯との距離が、係止レバー36の揺動半径と係止ギア34と回転半径との合計よりも小さくなるよう、係止ギア34と係止レバー36とを構成してある。よって、係止レバー36が係止ギア34に係止した状態では、ハンドル31に時計回り(回転リール3が下降する方向)に回転操作力を加えても、係止レバー36の他端が係止ギア34の歯間に食い込んで、ハンドル31は回転しない。
【0063】
一方、係止レバー36が係止ギア34に係止した状態でも、ハンドル31に反時計回り(回転リール3が上昇する方向)に回転操作力を加えると、係止レバー36の他端が、スプリング38の付勢力に抗しつつ、係止ギア34の反時計回り側の面に案内されて次々と歯を乗り越え、ハンドル31は回転する。そして、ハンドル31の回転操作をやめると、スプリング38の付勢力によって、係止レバー36が係止ギア34に係止する。即ち、係止レバー36が、本発明に係る「高さ調節機構」に相当する。
【0064】
以上の構成によると、ガススプリング13によって、回転リール3を上昇させるために運転者が負担する荷重を低減し、ハンドル31を手動回転操作してインナワイヤ21を巻き取るだけで重量が重い回転リール3を上昇させることができる。そして、係止レバー36が係止ギア34に係止することにより、回転リール3の上昇位置は維持される。また、係止レバー36の係止を解除すれば、巻き取られたインナワイヤ21が繰り出され、回転リール3は自重に基づいて下降する。
【0065】
さらに、係止レバー36は係止ギア34に係止するよう付勢されているので、ハンドル31の操作を止めれば、すぐさま係止レバー36が係止ギア34に係止すると共に、係止レバー36を小まめに解除操作すれば、インナワイヤ21を段階的に繰り出すことが可能である。したがって、ハンドル31の回転操作を停止したときや、係止レバー36を解除操作したときに、回転リール3が急激に下降することはない。また、回転リール3の上昇位置の微調整も可能である
【0066】
なお、上述したように、昇降操作部30のうちハンドル31のみが、サイドパネル81から運転座席82の側に露出されている。また、係止レバー36には、運転座席82の側に突出し、手動操作可能なツマミ37を備え、ツマミ37のみがサイドパネル81から運転座席82の側に露出している。また、ハンドル31やツマミ37は、主変速レバー84の下方辺りに配設されている。このため、誤操作が少ない上、刈取作業中に右手で操向レバー83を操作しながら、ハンドル31やツマミ37を操作し易い。
【0067】
〔別実施形態〕
(1)上述の実施形態において、付勢機構としてガススプリング13を適用した例を示したがこれに限られるものではない。例えば、図11に示すごとく、左右のリール支持杆12bと刈取部4との間に、伸びる方向の付勢力を有する圧縮バネとしての左右一対の第一スプリング113Aを備えると共に、ブラケット12dと刈取部4との間に、収縮する方向の付勢力を有する引張バネとしての第二スプリング113Bを備えても良い。また、図示はしないが、図11における第一スプリング113A及び第二スプリング113Bのうち何れか一方のみを備えてあっても良い。ただし、第一スプリング113A及び第二スプリング113Bの両方を備えた方が、各スプリングが負担する荷重が小さくて済み、スプリングの付勢力の設定がし易い。さらに、付勢機構として、スプリングを茶筒部材に内装したものや、油圧式のダンパー等を採用しても良い。
【0068】
(2)上述の実施形態においては、減速機構33を第一ギア33a、第二ギア33b、チェーン33cで構成したがこれに限られるものではなく、各種の公知の減速機構を採用可能である。図示はしないが、例えば、小径ギアと大径ギアのみのギア連係からなる減速機構であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、回転駆動によって植立穀稈を刈取部に掻き込む掻き込み部を備えたコンバインに適用可能である。
【符号の説明】
【0070】
3 回転リール(掻き込み部)
4 刈取部
8 運転部
12 リール支持部(支持部)
13 ガススプリング(付勢機構)
20 レリーズワイヤ(ワイヤ)
30 昇降操作部
31 ハンドル
33 減速機構
35 巻き取り部
36 係止レバー(高さ調節機構)
P 揺動軸芯
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取部に上下揺動可能に支持された支持部と、
前記支持部に回転自在に支持され、回転駆動によって植立穀稈を前記刈取部に掻き込む掻き込み部と、
運転部に配設されると共に、手動回転操作によって前記支持部に連係されたワイヤを巻き取り、前記掻き込み部を上昇操作可能な昇降操作部と、
前記掻き込み部を上昇させる方向の上昇付勢力を前記支持部に対して付与する付勢機構と、
前記昇降操作部に対して係止するよう付勢されて、前記昇降操作部の回転方向に沿った複数箇所において前記昇降操作部に対して係止可能であると共に、前記係止を解除する操作が可能であり、前記昇降操作部に係止したとき、前記掻き込み部が上昇する方向への前記昇降操作部の回転を許容し、かつ、前記掻き込み部が下降する方向への前記昇降操作部の回転を禁止する高さ調節機構と、を備え、
前記上昇付勢力に基づいて前記支持部に作用する前記支持部の揺動軸芯回りの力が、前記掻き込み部の自重に基づいて前記支持部に作用する前記揺動軸芯回りの力よりも小さくなるよう前記上昇付勢力を設定してあるコンバイン。
【請求項2】
前記昇降操作部が、手動回転操作されるハンドルと、前記ワイヤが巻き付く巻き取り部と、前記ハンドルの回転を前記巻き取り部に減速して伝達する減速機構と、を備えた請求項1に記載のコンバイン。
【請求項1】
刈取部に上下揺動可能に支持された支持部と、
前記支持部に回転自在に支持され、回転駆動によって植立穀稈を前記刈取部に掻き込む掻き込み部と、
運転部に配設されると共に、手動回転操作によって前記支持部に連係されたワイヤを巻き取り、前記掻き込み部を上昇操作可能な昇降操作部と、
前記掻き込み部を上昇させる方向の上昇付勢力を前記支持部に対して付与する付勢機構と、
前記昇降操作部に対して係止するよう付勢されて、前記昇降操作部の回転方向に沿った複数箇所において前記昇降操作部に対して係止可能であると共に、前記係止を解除する操作が可能であり、前記昇降操作部に係止したとき、前記掻き込み部が上昇する方向への前記昇降操作部の回転を許容し、かつ、前記掻き込み部が下降する方向への前記昇降操作部の回転を禁止する高さ調節機構と、を備え、
前記上昇付勢力に基づいて前記支持部に作用する前記支持部の揺動軸芯回りの力が、前記掻き込み部の自重に基づいて前記支持部に作用する前記揺動軸芯回りの力よりも小さくなるよう前記上昇付勢力を設定してあるコンバイン。
【請求項2】
前記昇降操作部が、手動回転操作されるハンドルと、前記ワイヤが巻き付く巻き取り部と、前記ハンドルの回転を前記巻き取り部に減速して伝達する減速機構と、を備えた請求項1に記載のコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−60971(P2012−60971A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209874(P2010−209874)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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