コージェネレーションシステム
【課題】効率的に電力需要と熱需要を賄えるコージェネレーションシステムを提供する。
【解決手段】熱電併給装置1と、電力消費型熱供給装置4と、補助熱源装置7と、制御装置8とを備えるコージェネレーションシステムSであって、制御装置8は、電力需要が熱電併給装置1の定格発電出力より大きく、且つ、定格発電出力を熱電併給装置1で発生させるときに熱電併給装置1で発生する熱が熱需要より小さいとき、熱電併給装置1及び電力消費型熱供給装置4からの熱で熱需要を賄い並びに熱電併給装置1及び外部からの電力で電力需要を賄う第1運転状態を実行した場合の消費一次エネルギー量又はその相当量と、熱電併給装置1及び補助熱源装置7からの熱で熱需要を賄い並びに熱電併給装置1及び外部からの電力で電力需要を賄う第2運転状態を実行した場合の消費一次エネルギー量又はその相当量とを比較し、それが小さくなる方の運転状態を実行させる。
【解決手段】熱電併給装置1と、電力消費型熱供給装置4と、補助熱源装置7と、制御装置8とを備えるコージェネレーションシステムSであって、制御装置8は、電力需要が熱電併給装置1の定格発電出力より大きく、且つ、定格発電出力を熱電併給装置1で発生させるときに熱電併給装置1で発生する熱が熱需要より小さいとき、熱電併給装置1及び電力消費型熱供給装置4からの熱で熱需要を賄い並びに熱電併給装置1及び外部からの電力で電力需要を賄う第1運転状態を実行した場合の消費一次エネルギー量又はその相当量と、熱電併給装置1及び補助熱源装置7からの熱で熱需要を賄い並びに熱電併給装置1及び外部からの電力で電力需要を賄う第2運転状態を実行した場合の消費一次エネルギー量又はその相当量とを比較し、それが小さくなる方の運転状態を実行させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転状態に応じて決まる電力及び熱を併せて出力する熱電併給装置を運転させて、消費者に電力と熱とを供給するコージェネレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
運転状態に応じて決まる電力及び熱を併せて出力する熱電併給装置を運転することで、消費者に電力と熱とを供給できるコージェネレーションシステムがある(例えば、特許文献1を参照)。更に、特許文献1に記載のコージェネレーションシステムには、熱電併給装置の発電出力の一部を消費して熱を出力する電力消費型熱供給装置(具体的には電熱ヒータ装置)が設けられている。また更に、特許文献1に記載のコージェネレーションシステムでは、外部の商用電力系統から調達する電力で電力需要の一部又は全部を賄うことも可能である。そのため、電力需要が熱電併給装置の定格発電出力より大きく、且つ、定格発電出力を熱電併給装置で発生させるときに熱電併給装置で発生する熱が熱需要より小さいとき、熱需要を賄うために熱電併給装置の発電出力の大部分を電力消費型熱供給装置で消費して熱に変換し、その結果として不足した電力は外部の商用電力系統から調達するような運用も可能である。つまり、この運転形態では不足電力が発生しても構わないため、例えば、電力消費型熱供給装置を熱負荷を賄うための発熱源として積極的に用いることが可能となる。
【0003】
また、熱需要を熱電併給装置の熱出力で賄うことができない場合に備えて、燃料を消費して熱を発生するボイラーなどの補助熱源装置をコージェネレーションシステムに追加で設けておくこともできる。その場合、熱電併給装置から余剰電力が発生した場合にのみ利用できる上記電力消費型熱供給装置を用いるのではなく、熱電併給装置の運転状態とは無関係に利用できる補助熱源装置が、熱負荷を賄うための発熱源として積極的に用いられることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−260916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のコージェネレーションシステムでは、補助熱源装置は、熱需要のうち熱電併給装置の熱出力で賄うことができない熱不足分を賄う目的で補助的に運転されていた。従って、補助的に用いられる補助熱源装置に対して要求される熱出力の大きさは様々であり、高効率の状態で運転されることもあれば、低効率の状態で運転されることもある。また、主体的に用いられる熱電併給装置についても、要求される発電出力の大きさに応じて効率は変化する。
【0006】
更に、熱電併給装置から定格発電出力を発生させており発電余力が無かったとしても、不足電力が大きくなることを承知で、熱電併給装置の発電出力の一部を電力消費型熱供給装置で利用して熱を発生させることもできる。しかし、その場合は、不足電力分を賄うために外部から調達(購入)する電力が増大するため、その調達電力の増大が適切か否かを何らかの指標を用いて評価する必要が生じる。
【0007】
以上のように、電力需要が熱電併給装置の定格発電出力より大きく、且つ、定格発電出力を熱電併給装置で発生させるときに熱電併給装置で発生する熱が熱需要より小さいとき、熱電併給装置の発電出力及び熱出力と、電力消費型熱供給装置の熱出力と、補助熱源装置の熱出力と、外部から調達する電力とをどのように組み合わせて全体として電力需要及び熱需要を賄うことが効率的であるのかが不明であった。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、効率的に電力需要及び熱需要を賄うことができるコージェネレーションシステムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係るコージェネレーションシステムの特徴構成は、
運転状態に応じて決まる電力及び熱を併せて出力する熱電併給装置と、
前記熱電併給装置の発電出力を消費して熱を発生する電力消費型熱供給装置と、
燃料を消費して熱を発生する補助熱源装置と、
前記各装置の運転を制御する制御装置とを備えるコージェネレーションシステムであって、
前記制御装置は、電力需要が前記熱電併給装置の定格発電出力より大きく、且つ、前記定格発電出力を前記熱電併給装置で発生させるときに前記熱電併給装置で発生する熱が熱需要より小さいとき、
前記熱電併給装置で発生する熱、及び、前記電力消費型熱供給装置で発生する熱で前記熱需要を賄い、並びに、前記熱電併給装置の発電出力、及び、外部から調達する電力で前記電力需要を賄う第1運転状態を実行した場合の、前記熱電併給装置を運転させるのに要し及び前記外部から調達する電力を発生させるのに要する消費一次エネルギー量又はその相当量と、
前記熱電併給装置で発生する熱、及び、前記補助熱源装置で発生する熱で前記熱需要を賄い、並びに、前記熱電併給装置の発電出力、及び、外部から調達する電力で前記電力需要を賄う第2運転状態を実行した場合の、前記熱電併給装置を運転させるのに要し及び前記補助熱源装置を運転させるのに要し及び前記外部から調達する電力を発生させるのに要する消費一次エネルギー量又はその相当量と、を比較し、
消費一次エネルギー量又はその相当量が小さくなる方の運転状態を実行させる点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、第1運転状態を実行するにあたって熱電併給装置を運転させるのに要し及び外部から調達する電力を発生させるのに要する消費一次エネルギー量又はその相当量と、第2運転状態を実行するにあたって熱電併給装置を運転させるのに要し及び補助熱源装置を運転させるのに要し及び外部から調達する電力を発生させるのに要する消費一次エネルギー量又はその相当量とが比較される。つまり、熱電併給装置の運転及び外部からの電力調達の組み合わせを用いて第1運転状態を実行して電力需要及び熱需要を賄う場合と、熱電併給装置及び補助熱源装置及び外部からの電力調達の組み合わせを用いて第2運転状態を実行して電力需要及び熱需要を賄う場合とを、効率的に使い分けることが可能となる。
従って、効率的に電力需要及び熱需要を賄うことができるコージェネレーションシステムを提供できる。
【0011】
本発明に係るコージェネレーションシステムの別の特徴構成は、前記第1運転状態は、前記定格発電出力を発生させるときに前記熱電併給装置で発生する熱、及び、前記熱電併給装置で発生する前記定格発電出力の一部の電力を前記電力消費型熱供給装置が消費して発生する、前記熱電併給装置で発生する熱が前記熱需要に満たない分の熱で前記熱需要を賄い、並びに、前記熱電併給装置で発生する前記定格発電出力から前記電力消費型熱供給装置で消費される電力を除いた後の残余電力が前記電力需要に満たない分に相当する不足電力を外部から調達する電力で賄う運転状態であり、前記第2運転状態は、前記定格発電出力を発生させるときに前記熱電併給装置で発生する熱及び前記熱電併給装置で発生する熱が前記熱需要に満たない分に相当する不足熱を前記燃料を消費して前記補助熱源装置で発生させることで前記熱需要を賄い、並びに、前記熱電併給装置で発生する前記定格発電出力が前記電力需要に満たない分に相当する不足電力を外部から調達する電力で賄う運転状態である点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、第1運転状態を実行するにあたって、定格発電出力を発生させるときに熱電併給装置で発生する熱、及び、熱電併給装置で発生する上記定格発電出力の一部の電力を電力消費型熱供給装置が消費して発生する、熱電併給装置で発生する熱が熱需要に満たない分の熱で熱需要を賄い、並びに、熱電併給装置で発生する定格発電出力から電力消費型熱供給装置で消費される電力を除いた後の残余電力が電力需要に満たない分に相当する不足電力を外部から調達する電力で賄うのに要する消費一次エネルギー量又はその相当量が導出される。
また、第2運転状態を実行するにあたって、定格発電出力を発生させるときに熱電併給装置で発生する熱及び熱電併給装置で発生する熱が熱需要に満たない分に相当する不足熱を燃料を消費して補助熱源装置で発生させることで熱需要を賄い、並びに、熱電併給装置で発生する定格発電出力が電力需要に満たない分に相当する不足電力を外部から調達する電力で賄うのに要する消費一次エネルギー量又はその相当量が導出される。
そして、両者の消費一次エネルギー量又はその相当量が比較される。つまり、熱電併給装置及び電力消費型熱供給装置及び外部からの電力調達の組み合わせを用いて第1運転状態を実行して電力需要及び熱需要を賄う場合と、熱電併給装置及び補助熱源装置及び外部からの電力調達の組み合わせを用いて第2運転状態を実行して電力需要及び熱需要を賄う場合とを、効率的に使い分けることが可能となる。
【0013】
本発明に係るコージェネレーションシステムの更に別の特徴構成は、太陽光発電装置を備え、前記電力需要は、前記太陽光発電装置の発電電力で賄うことができる分の電力需要を除いた後の値である点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、コージェネレーションシステムにとっての電力需要から、太陽光発電装置の発電電力で賄うことのできる分の電力を除くことで、熱電併給装置が供給するべき電力需要を小さくできる。また、消費一次エネルギー量などが発生しない太陽光発電装置をコージェネレーションシステムに組み込んだことで、コージェネレーションシステム全体としての消費一次エネルギー量又はその相当量を低減できる。
【0015】
本発明に係るコージェネレーションシステムの更に別の特徴構成は、熱を蓄える蓄熱装置を備え、前記熱需要は、前記蓄熱装置に蓄えられている熱で賄うことができる分の熱需要を除いた後の値である点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、コージェネレーションシステムにとっての熱需要から、蓄熱装置に蓄えられている熱で賄うことのできる分の熱を除くことで、熱電併給装置又は電力消費型熱供給装置又は補助熱源装置が供給するべき熱需要を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】コージェネレーションシステムの構成を示す図である。
【図2】熱電併給装置の発電出力と、発電効率及び排熱回収効率との関係を示すグラフである。
【図3】熱電併給装置の発電出力と、排熱出力との関係を示すグラフである。
【図4】熱電併給装置を定格運転した場合における電力負荷装置による利用電力と、発電効率及び排熱回収効率との関係を示すグラフである。
【図5】熱電併給装置を定格運転した場合における電力負荷装置による利用電力と、排熱出力との関係を示すグラフである。
【図6】補助熱源装置の出力と、排熱回収効率との関係を示すグラフである。
【図7】第1運転状態及び第2運転状態において、電力負荷装置による消費電力量をどの装置から供給しているかを各別に示すグラフである。
【図8】第1運転状態及び第2運転状態において、熱負荷装置による熱消費量をどの装置から供給しているかを各別に示すグラフである。
【図9】第1運転状態及び第2運転状態を実行した場合の1時間当たりの消費一次エネルギー量を各別に示すグラフである。
【図10】第1運転状態及び第2運転状態を実行した場合の1時間当たりのCO2排出量を各別に示すグラフである。
【図11】別実施形態のコージェネレーションシステムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して第1実施形態のコージェネレーションについて説明する。
図1は、第1実施形態のコージェネレーションシステムS1(S)の構成を説明する図である。
コージェネレーションシステムS1は、熱電併給装置1と、電力消費型熱供給装置としての電熱ヒータ装置4と、補助熱源装置7と、制御装置8とを備える。また、コージェネレーションシステムS1には、電力負荷装置6及び熱負荷装置5が接続されている。電力負荷装置6には、熱電併給装置1の発電出力及び商用電力系統3から供給される電力の少なくとも何れか一方の電力が供給される。熱負荷装置5へは、熱電併給装置1又は電熱ヒータ装置4又は補助熱源装置7で発生された熱が高温の湯水や他の熱媒の形態で供給される。
【0019】
熱電併給装置1は、運転状態に応じて決まる電力及び熱を併せて出力する装置である。本実施形態において、熱電併給装置1は、ガス、ガソリン、軽油などの燃料を消費して運転されるエンジン(内燃機関)1aと、そのエンジン1aによって駆動される発電機1bとを備える。エンジン1aは、燃料を消費する際に熱を発生するため、熱源として作用する。また、発電機1bは電源として作用する。以上のように、熱電併給装置1は、エンジン1a及び発電機1bの運転状態に応じた量の電力及び熱を発生する。本実施形態において、エンジン1a及び発電機1bの運転状態、即ち、熱電併給装置1の運転状態は、制御装置8によって制御される。例えば、制御装置8は、熱電併給装置1から出力するべき電力又は熱を決定して、その電力又は熱を出力するようにエンジン1a及び発電機1bの動作(エンジン1aへの燃料供給量の調節を含む)を制御する。尚、以下の説明では、エンジン(熱電併給装置1)1aの燃料としてガスを用いた場合を例示する。
【0020】
本実施形態では、熱電併給装置1の発電機1bから出力される発電出力は、インバータ装置2によって所望の電力に変換された後で電力負荷装置6に供給される。本実施形態では、インバータ装置2は、例えば、交流/直流変換回路部と直流/交流変換回路部とを有する。そして、発電機1bから出力された交流電力を交流/直流変換回路部で直流電力に変換し、その後、直流/交流変換回路部でその直流電力を所望の交流電力に変換することで、電力負荷装置6へは交流電力が供給される。
【0021】
電熱ヒータ装置4は、熱電併給装置1の発電出力を消費して熱を発生できる電力消費型熱供給装置の一例である。本実施形態では、電熱ヒータ装置4に対して直流電力を供給する場合を想定している。例えば、上述したインバータ装置2の交流/直流変換回路部と直流/交流変換回路部との間の直流部から取り出した直流電力を電熱ヒータ装置4に供給する。電熱ヒータ装置4では、電力の消費に伴ってジュール熱を発生して、その熱が熱負荷装置5に供給される。このように、インバータ装置2の直流部から直流電力を電熱ヒータ装置4に供給するので、その後の直流/交流変換時の変換損失がなくなり効率が向上するという点で有利である。
本実施形態において、電熱ヒータ装置4における消費電力、即ち、発熱量は、制御装置8によって制御される。例えば、制御装置8は、電熱ヒータ装置4から出力するべき熱の大きさを決定して、その熱を出力するように電熱ヒータ装置4の消費電力を制御する。
【0022】
補助熱源装置7は、例えば、ガス、ガソリン、軽油などの燃料を消費して熱を発生する装置である。本実施形態において、補助熱源装置7の発熱量は制御装置8によって制御される。例えば、制御装置8は、補助熱源装置7から出力するべき熱の大きさを決定して、その熱を出力するように補助熱源装置7の動作(補助熱源装置7への燃料供給量の調節を含む)を制御する。尚、以下の説明では、補助熱源装置7の燃料としてガスを用いた場合を例示する。
【0023】
図2は、熱電併給装置1の発電出力と、発電効率及び排熱回収効率との関係を示すグラフである。図3は、熱電併給装置1の発電出力と、排熱出力との関係を示すグラフである。発電効率は、熱電併給装置1を運転するために要するエネルギーに対する、熱電併給装置1から得られる電気エネルギーの百分率である。また、排熱回収効率は、熱電併給装置1を運転するために要するエネルギーに対する、熱電併給装置1から得られる熱エネルギーの百分率である。尚、図2では、発電効率を下段に描き、排熱回収効率をその発電効率の上段に重ねる形態で描いている。従って、実線で描いている効率は、発電効率と排熱回収効率とを足した値(総合効率と言える)となる。本実施形態では、熱電併給装置1の定格発電出力を1000Wとする。そして、熱電併給装置1の発電出力が定格発電出力(1000W)であるときに、熱電併給装置1の発電効率及び排熱回収効率が最も高くなる。これに対して、熱電併給装置1の発電出力が低下するにつれて、発電効率及び排熱回収効率は共に低下する。
【0024】
図4は、熱電併給装置1を定格運転した場合(発電出力が1000Wの場合)における電力負荷装置6による利用電力と、発電効率及び排熱回収効率との関係を示すグラフである。図5は、熱電併給装置1を定格運転した場合(発電出力が1000Wの場合)における電力負荷装置6による利用電力と、排熱出力(熱電併給装置1の排熱出力及び電熱ヒータ装置4の排熱出力の合計)との関係を示すグラフである。図4及び図5の横軸に示すのは熱電併給装置1を定格運転した場合(発電出力が1000Wの場合)における電力負荷装置6による利用電力であり、[電力負荷装置6による利用電力]+[電熱ヒータ装置4による利用電力]=1000Wという関係が成立する。例えば、電力負荷装置6による利用電力が600Wという場合は、発電出力(1000W)のうちの600Wを電力負荷装置6が消費し、残りの400Wの余剰電力を電熱ヒータ装置4が消費する場合を意味する。同様に、図5の縦軸に示す熱出力は、例えば、横軸に示す電力負荷装置6による利用電力が600Wという場合、熱電併給装置1を1000Wの発電出力で運転するときの熱電併給装置1の熱出力と、電熱ヒータ装置4で400Wの電力を熱に変換したときの熱出力との合計である。
【0025】
図4において破線で示して「発電効率(ヒータ除く)」と表記している曲線は、電力負荷装置6で消費される電力分についての発電効率である。
図4において一点鎖線で示して「発電効率(ヒータ含む)」と表記している曲線は、電力負荷装置6で利用される電力分についての発電効率と、電熱ヒータ装置4で利用される電力分についての発電効率との合計である。図4に示す一点鎖線の曲線(「発電効率(ヒータ含む)」)から明らかなように、電力消費装置6で利用される電力分が減少するにつれて、即ち、電熱ヒータ装置4で利用される電力分が増加するにつれて、発電効率が高くなっている。これは、電熱ヒータ装置4で利用される電力を発電する際の効率の方が、電力負荷装置6で利用される電力を発電する際の効率よりも高くなるからである。具体的には、電熱ヒータ装置4で消費される直流電力は、インバータ装置2の直流部から供給される電力(即ち、発電機1bの交流発電出力に対して交流/直流変換のみを施した後の電力)であるので、電力変換装置6に供給される交流電力(即ち、発電機1bの交流発電出力に対して交流/直流変換と直流/交流変換とを施した後の電力)に比べて変換損失が少なくなり、その結果、発電効率は高くなる。
【0026】
図4において実線で示して「排熱回収効率(ヒータ含む)」と表記している曲線は、発電効率と排熱回収効率とを足した値(総合効率と言える)となる。具体的には、熱電併給装置1を運転するために要するエネルギーに対する、熱電併給装置1から得られる熱エネルギー(熱電併給装置1から排出される熱エネルギーと電熱ヒータ装置4から排出される熱エネルギーとの合計)の百分率である。このように、「排熱回収効率(ヒータ含む)」と表記している通り、電熱ヒータ装置4から排出される熱エネルギーも考慮されている。
【0027】
図6は、補助熱源装置7の出力と、排熱回収効率との関係を示すグラフである。図6に示す排熱回収効率は、補助熱源装置7を運転するために要するエネルギーに対する、補助熱源装置7から得られる熱エネルギーの百分率である。図示するように、補助熱源装置7の出力が小さくなるにつれて、排熱回収効率も小さくなる。
【0028】
次に、電力負荷装置6の電力需要が1400Whであり、且つ、熱負荷装置5の熱需要が2500Whである場合(即ち、電力負荷装置6の電力需要が熱電併給装置1の定格発電出力より大きく、且つ、定格発電出力を熱電併給装置で発生させるときに熱電併給装置で発生する熱(約2100Wh)が熱需要(2500Wh)より小さい場合)を例にして、制御装置8が、熱電併給装置1及び電熱ヒータ装置4及び補助熱源装置7及び外部の商用電力系統3からの電力調達の運用形態をどのように決定するのかを説明する。
【0029】
本実施形態において、制御装置8は、熱電併給装置1で発生する熱、及び、電熱ヒータ装置4で発生する熱で熱需要を賄い、並びに、熱電併給装置1の発電出力、及び、外部から調達する電力で電力需要を賄う第1運転状態を実行した場合の、熱電併給装置1を運転させるのに要し及び外部の商用電力系統3から調達する電力を発生させるのに要する消費一次エネルギー量を導出する。加えて、制御装置8は、熱電併給装置1で発生する熱、及び、補助熱源装置7で発生する熱で熱需要を賄い、並びに、熱電併給装置1の発電出力、及び、外部の商用電力系統3から調達する電力で電力需要を賄う第2運転状態を実行した場合の、熱電併給装置1を運転させるのに要し及び補助熱源装置7を運転させるのに要し及び外部の商用電力系統3から調達する電力を発生させるのに要する消費一次エネルギー量を導出する。そして、制御装置8は、第1運転状態を実行した場合の消費一次エネルギー量と、第2運転状態を実行した場合の消費一次エネルギー量とを比較し、消費一次エネルギー量が小さくなる方の運転状態を実行させるという運用形態を取る。
【0030】
図7は、第1運転状態及び第2運転状態において、電力負荷装置6による電力負荷(消費電力量)をどの装置から供給するかを各別に示すグラフである。尚、図7において分数で記載している数値のうち、分母に記載する数値は熱電併給装置1の発電出力を示し、分子に記載する数値は電力負荷装置による消費電力量を示す。図8は、第1運転状態及び第2運転状態において、熱負荷装置5による熱負荷(熱消費量)をどの装置から供給するかを各別に示すグラフである。
【0031】
〔第1運転状態〕
第1運転状態は、定格発電出力を発生させるときに熱電併給装置1で発生する熱、及び、熱電併給装置1で発生する定格発電出力の一部の電力を電熱ヒータ装置4が消費して発生する、熱電併給装置1で発生する熱が熱需要に満たない分の熱で熱需要を賄い、並びに、熱電併給装置1で発生する定格発電出力から電熱ヒータ装置4で消費される電力を除いた後の残余電力が電力需要に満たない分に相当する不足電力を外部の商用電力系統3から調達する電力で賄う運転状態である。図7及び図8に示した例では、第1運転状態において、熱電併給装置1には1000Whの発電出力(定格発電出力)が要求される。そして、発電された1000Whのうちの500Whが電力負荷を賄うために利用される(図7では、[500Wh/1000Wh]と記載する)。熱電併給装置1の発電出力のうちの電力需要を上回る余剰電力(500Wh)は、図8に示すように電熱ヒータ装置4で消費されて熱に変換される。
熱電併給装置1の発電出力が1000Whであるときに併せて発生される熱は、図3及び図8に示すように2000Whとなる。加えて、上述したように余剰電力(500Wh)を消費した電熱ヒータ装置4で発生される熱が500Whとなる。その結果、熱電併給装置1及び電熱ヒータ装置4で合計2500Whの熱が発生される。
【0032】
〔第2運転状態〕
第2運転状態は、定格発電出力を発生させるときに熱電併給装置1で発生する熱及び熱電併給装置1で発生する熱が熱需要に満たない分に相当する不足熱を燃料を消費して補助熱源装置7で発生させることで熱需要を賄い、並びに、熱電併給装置1で発生する定格発電出力が電力需要に満たない分に相当する不足電力を外部の商用電力系統3から調達する電力で賄う運転状態である。図7及び図8に示した例では、第2運転状態において、熱電併給装置1には1000Whの発電出力(定格発電出力)が要求される。そして、発電された1000Whがそのまま電力需要を賄うために利用される(図7では、[1000Wh/1000Wh]と記載する)。更に、熱電併給装置1の発電出力では不足する分の電力である400Whが外部の商用電力系統3から購入される。
熱電併給装置1の発電出力が1000Whであるときに併せて発生される熱は、図3及び図8に示すように2100Whとなる。従って、熱電併給装置1で発生する熱が熱需要に満たない分に相当する不足熱は400Whとなる。そこで、補助熱源装置7でその不足熱(400Wh)を賄う運転を行うこととする。その結果、熱電併給装置1及び補助熱源装置7で合計2500Whの熱が発生される。
【0033】
尚、本実施形態において、熱電併給装置1から電熱ヒータ装置4に電力を供給する際に生じる電力変換損失(インバータ装置2の内部での交流/直流変換による損失)は、熱電併給装置1から電力負荷装置6に電力を供給する際に生じる電力変換損失(インバータ装置2の内部での交流/直流変換による損失及び直流/交流変換による損失)よりも小さくなる。つまり、熱電併給装置1で電熱ヒータ装置4に供給する電力を発生させるときの効率は、熱電併給装置で電力負荷装置6に供給する電力を発生させるときの効率よりも高くなる。その結果、熱電併給装置1で同じ発電出力を発生させるとしても、電熱ヒータ装置4に供給する分の電力が多くなるほど、同じ発電出力を発生させるときの効率が高くなり、それと共に燃料量が減少して、発生熱量も減少する。
従って、第1運転状態の場合と第2運転状態の場合とでは電熱ヒータ装置4に供給する分の電力が異なっているため、同じ発電出力(1000Wh)を発生させるときの発熱量が2000Wh(第1運転状態)と2100Wh(第2運転状態)というように異なっている。
【0034】
図9は、第1運転状態及び第2運転状態を実行した場合の1時間当たりの消費一次エネルギー量を各別に示すグラフである。
第1運転状態では、熱電併給装置1の発電出力は1000Whであり、その内の500Whが電力負荷装置6で利用され及び500Whが電熱ヒータ装置4で利用されるので、図4に一点鎖線で示す発電効率(ヒータ含む)の曲線のようにそのときの効率は28%となる。従って、1000Wの電力を出力する運転を行うために、熱電併給装置1は3.57kWh(=1000/0.28)のエネルギーを有する燃料(本実施形態では「ガス」)を消費する。ガスの一次エネルギー原単位は3.6MJ/kWhである。その結果、第1運転状態を実行した場合において、熱電併給装置1の運転に要する1時間当たりの消費一次エネルギー量は12.85MJとなる。
加えて、外部の商用電力系統3から900Whの電力を購入する。この購入電力の一次エネルギー原単位は9.76MJ/kWhである。その結果、第1運転状態を実行した場合において、外部から電力を調達するのに要する1時間当たりの消費一次エネルギー量は8.78MJとなる。
従って、以上を合計すると、第1運転状態を実行した場合の1時間当たりの消費一次エネルギー量は21.63MJとなる。
【0035】
第2運転状態では、熱電併給装置1の発電出力は1000Whであり、その全てが電力負荷装置6に利用されるので、図2に破線で示すようにそのときの効率は27%となる。従って、1000Whの電力を出力する運転を行うために、熱電併給装置1は3.70kWh(=1000/0.27)のエネルギーを有するガスを消費する。ガスの一次エネルギー原単位は3.6MJ/kWhである。その結果、第1運転状態を実行した場合において、熱電併給装置1の運転に要する1時間当たりの消費一次エネルギー量は13.32MJとなる。
加えて、補助熱源装置7の熱出力は400Whであるので、図6に示すようにそのときの効率は10%となる。従って、400Whの熱を出力する運転を行うために、補助熱源装置7は4.00kWh(=400/0.1)のエネルギーを有するガスを消費する。その結果、第1運転状態を実行した場合において、補助熱源装置7の運転に要する1時間当たりの消費一次エネルギー量は14.40MJとなる。
更に、外部の商用電力系統3から400Whの電力を購入する。この購入電力の一次エネルギー原単位は9.76MJ/kWhである。その結果、第1運転状態を実行した場合において、外部から電力を調達するのに要する1時間当たりの消費一次エネルギー量は3.90MJとなる。
従って、以上を合計すると、第2運転状態を実行した場合の1時間当たりの消費一次エネルギー量は31.62MJとなる。
【0036】
以上のように、第1運転状態を実行した場合の1時間当たりの消費一次エネルギー量は21.63MJとなり、第2運転状態を実行した場合の1時間当たりの消費一次エネルギー量は31.62MJとなる。両者を比較すると、第1運転状態を実行した場合の消費一次エネルギー量の方が小さい。従って、本実施形態において制御装置8は、第1運転状態を実行させることを決定する。
このように、本実施形態のコージェネレーションシステムS1では、熱電併給装置1及び電熱ヒータ装置4の組み合わせを用いて第1運転状態を実行して電力需要及び熱需要を賄う場合と、熱電併給装置1及び補助熱源装置7の組み合わせを用いて第2運転状態を実行して電力需要及び熱需要を賄う場合とを、効率的に使い分けることが可能となる。
【0037】
<第2実施形態>
第2実施形態のコージェネレーションシステムSは、第1運転状態及び第2運転状態を比較するための指標が上記第1実施形態と異なっている。以下に第2実施形態のコージェネレーションシステムSについて説明するが、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0038】
上記第1実施形態では、制御装置8が、第1運転状態を実行した場合の消費一次エネルギー量と、第2運転状態を実行した場合の消費一次エネルギー量とを比較する例を説明したが、消費一次エネルギーに相当する他の指標を用いて第1運転状態と第2運転状態とを比較してもよい。例えば、制御装置8が、電力及び熱の発生に伴って排出されるCO2の量(所謂、環境負荷量)を、消費一次エネルギーの相当量として指標に用いてもよい。
【0039】
図10は、第1運転状態及び第2運転状態を実行した場合の1時間当たりのCO2排出量を各別に示すグラフである。
上記第1実施形態で説明したように、第1運転状態では、熱電併給装置1は3.57kWhのガスを消費する。ガスのCO2原単位は0.18kg/kWhである。その結果、第1運転状態を実行した場合において、熱電併給装置1の運転により発生する1時間当たりのCO2排出量は0.64kgとなる。
また、第1運転状態では、外部の商用電力系統3から900Whの電力を購入する。この購入電力のCO2原単位は0.69kg/kWhである。その結果、第1運転状態を実行した場合において、外部から電力を調達するために発生する1時間当たりのCO2排出量は0.62kgとなる。
従って、以上を合計すると、第1運転状態を実行した場合の1時間当たりのCO2排出量は1.26kgとなる。
【0040】
上記第1実施形態で説明したように、第2運転状態では、熱電併給装置1は3.70kWhのエネルギーを有するガスを消費する。加えて、補助熱源装置7は4.00kWhのエネルギーを有するガスを消費する。その結果、第2運転状態では、熱電併給装置1及び補助熱源装置7は合計7.70kWhエネルギーを有するガスを消費する。ガスのCO2原単位は0.18kg/kWhである。その結果、第2運転状態を実行した場合において、熱電併給装置1及び補助熱源装置7の運転により発生する1時間当たりのCO2排出量は1.39kgとなる。
また、第2運転状態では、外部の商用電力系統3から400Whの電力を購入する。この購入電力のCO2原単位は0.69kg/kWhである。その結果、第2運転状態を実行した場合において、外部から電力を調達するために発生する1時間当たりのCO2排出量は0.28kgとなる。
従って、以上を合計すると、第1運転状態を実行した場合の1時間当たりのCO2排出量は1.67kgとなる。
【0041】
以上のように、第1運転状態を実行した場合の1時間当たりのCO2排出量は1.26kgとなり、第2運転状態を実行した場合の1時間当たりのCO2排出量は1.67kgとなる。両者を比較すると、第1運転状態を実行した場合のCO2排出量の方が小さい。従って、本実施形態においても、制御装置8は、第1運転状態を実行させることを決定する。
【0042】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態において、コージェネレーションシステムSに他の電力源及び熱源を追加で設けてもよい。また、コージェネレーションシステムSに電力を貯蔵できる装置及び熱を貯蔵できる装置を設けてもよい。その一例として、図11には、電力源として太陽光発電装置9を更に備え、熱を貯蔵できる装置として蓄熱装置10を更に備えたコージェネレーションシステムS2(S)を示す。
【0043】
コージェネレーションシステムS2は太陽光発電装置9を備えているため、コージェネレーションシステムS2にとっての電力需要から、太陽光発電装置9の発電電力で賄うことのできる分の電力を除くことができる。即ち、図7に例示した電力負荷装置6による消費電力量(即ち、電力需要)を、太陽光発電装置9の発電電力で賄うことができる分の電力需要を除いた後の値とすることができる。従って、熱電併給装置1が供給するべき電力需要を小さくできる。また、消費一次エネルギー量又はCO2排出量(環境負荷量)が発生しない太陽光発電装置9をコージェネレーションシステムS2に組み込んだことで、コージェネレーションシステムS2全体としての消費一次エネルギー量又はCO2排出量を低減できる。
【0044】
また、コージェネレーションシステムS2は蓄熱装置10を備えているため、コージェネレーションシステムS2にとっての熱需要から、蓄熱装置10に蓄えられている熱で賄うことのできる分の熱を除くことができる。即ち、図8に例示した熱負荷装置5による消費熱量(熱需要)を、蓄熱装置10に蓄えられている熱で賄うことができる分の熱需要を除いた後の値とすることができる。従って、熱電併給装置1又は電熱ヒータ装置4又は補助熱源装置7が供給するべき熱需要を小さくできる。尚、蓄熱装置10に蓄えられる熱として、熱電併給装置1及び電熱ヒータ装置4で発生された余剰熱を利用できる。
【0045】
<2>
上記実施形態において、第1運転状態を実行した場合の消費一次エネルギー量又はその相当量と、第2運転状態を実行した場合の消費一次エネルギー量又はその相当量とを比較する例を説明するために、電力需要及び熱需要の数値や熱電併給装置1及び補助熱源装置7の効率などの数値を例示したが、それらの値は例示目的で記載したのであり、適宜変更してもよい。
【0046】
<3>
上記第2実施形態において、消費一次エネルギー量の相当量としてCO2排出量を例示したが、更に別の指標を用いてもよい。例えば、光熱費という指標を用いてもよい。例えば、第1運転状態を実行した場合の光熱費と、第2運転状態を実行した場合の光熱費とを比較し、その光熱費が小さくなる方の運転状態を実行するようにしてもよい。
【0047】
<4>
上記実施形態において、電熱ヒータ装置4を、熱電併給装置1の発電出力を消費して熱を発生できる電力消費型熱供給装置として用いる例を説明したが、他の装置を電力消費型熱供給装置として用いてもよい。例えば、電動式のヒートポンプ装置を上記電力消費型熱供給装置として用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、コージェネレーションシステムを用いて効率的に電力需要及び熱需要を賄うために利用できる。
【符号の説明】
【0049】
1 熱電併給装置
3 商用電力系統
4 電熱ヒータ装置(電力消費型熱供給装置)
5 熱負荷装置
6 電力負荷装置
7 補助熱源装置
8 制御装置
9 太陽光発電装置
10 蓄熱装置
S コージェネレーションシステム
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転状態に応じて決まる電力及び熱を併せて出力する熱電併給装置を運転させて、消費者に電力と熱とを供給するコージェネレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
運転状態に応じて決まる電力及び熱を併せて出力する熱電併給装置を運転することで、消費者に電力と熱とを供給できるコージェネレーションシステムがある(例えば、特許文献1を参照)。更に、特許文献1に記載のコージェネレーションシステムには、熱電併給装置の発電出力の一部を消費して熱を出力する電力消費型熱供給装置(具体的には電熱ヒータ装置)が設けられている。また更に、特許文献1に記載のコージェネレーションシステムでは、外部の商用電力系統から調達する電力で電力需要の一部又は全部を賄うことも可能である。そのため、電力需要が熱電併給装置の定格発電出力より大きく、且つ、定格発電出力を熱電併給装置で発生させるときに熱電併給装置で発生する熱が熱需要より小さいとき、熱需要を賄うために熱電併給装置の発電出力の大部分を電力消費型熱供給装置で消費して熱に変換し、その結果として不足した電力は外部の商用電力系統から調達するような運用も可能である。つまり、この運転形態では不足電力が発生しても構わないため、例えば、電力消費型熱供給装置を熱負荷を賄うための発熱源として積極的に用いることが可能となる。
【0003】
また、熱需要を熱電併給装置の熱出力で賄うことができない場合に備えて、燃料を消費して熱を発生するボイラーなどの補助熱源装置をコージェネレーションシステムに追加で設けておくこともできる。その場合、熱電併給装置から余剰電力が発生した場合にのみ利用できる上記電力消費型熱供給装置を用いるのではなく、熱電併給装置の運転状態とは無関係に利用できる補助熱源装置が、熱負荷を賄うための発熱源として積極的に用いられることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−260916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のコージェネレーションシステムでは、補助熱源装置は、熱需要のうち熱電併給装置の熱出力で賄うことができない熱不足分を賄う目的で補助的に運転されていた。従って、補助的に用いられる補助熱源装置に対して要求される熱出力の大きさは様々であり、高効率の状態で運転されることもあれば、低効率の状態で運転されることもある。また、主体的に用いられる熱電併給装置についても、要求される発電出力の大きさに応じて効率は変化する。
【0006】
更に、熱電併給装置から定格発電出力を発生させており発電余力が無かったとしても、不足電力が大きくなることを承知で、熱電併給装置の発電出力の一部を電力消費型熱供給装置で利用して熱を発生させることもできる。しかし、その場合は、不足電力分を賄うために外部から調達(購入)する電力が増大するため、その調達電力の増大が適切か否かを何らかの指標を用いて評価する必要が生じる。
【0007】
以上のように、電力需要が熱電併給装置の定格発電出力より大きく、且つ、定格発電出力を熱電併給装置で発生させるときに熱電併給装置で発生する熱が熱需要より小さいとき、熱電併給装置の発電出力及び熱出力と、電力消費型熱供給装置の熱出力と、補助熱源装置の熱出力と、外部から調達する電力とをどのように組み合わせて全体として電力需要及び熱需要を賄うことが効率的であるのかが不明であった。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、効率的に電力需要及び熱需要を賄うことができるコージェネレーションシステムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係るコージェネレーションシステムの特徴構成は、
運転状態に応じて決まる電力及び熱を併せて出力する熱電併給装置と、
前記熱電併給装置の発電出力を消費して熱を発生する電力消費型熱供給装置と、
燃料を消費して熱を発生する補助熱源装置と、
前記各装置の運転を制御する制御装置とを備えるコージェネレーションシステムであって、
前記制御装置は、電力需要が前記熱電併給装置の定格発電出力より大きく、且つ、前記定格発電出力を前記熱電併給装置で発生させるときに前記熱電併給装置で発生する熱が熱需要より小さいとき、
前記熱電併給装置で発生する熱、及び、前記電力消費型熱供給装置で発生する熱で前記熱需要を賄い、並びに、前記熱電併給装置の発電出力、及び、外部から調達する電力で前記電力需要を賄う第1運転状態を実行した場合の、前記熱電併給装置を運転させるのに要し及び前記外部から調達する電力を発生させるのに要する消費一次エネルギー量又はその相当量と、
前記熱電併給装置で発生する熱、及び、前記補助熱源装置で発生する熱で前記熱需要を賄い、並びに、前記熱電併給装置の発電出力、及び、外部から調達する電力で前記電力需要を賄う第2運転状態を実行した場合の、前記熱電併給装置を運転させるのに要し及び前記補助熱源装置を運転させるのに要し及び前記外部から調達する電力を発生させるのに要する消費一次エネルギー量又はその相当量と、を比較し、
消費一次エネルギー量又はその相当量が小さくなる方の運転状態を実行させる点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、第1運転状態を実行するにあたって熱電併給装置を運転させるのに要し及び外部から調達する電力を発生させるのに要する消費一次エネルギー量又はその相当量と、第2運転状態を実行するにあたって熱電併給装置を運転させるのに要し及び補助熱源装置を運転させるのに要し及び外部から調達する電力を発生させるのに要する消費一次エネルギー量又はその相当量とが比較される。つまり、熱電併給装置の運転及び外部からの電力調達の組み合わせを用いて第1運転状態を実行して電力需要及び熱需要を賄う場合と、熱電併給装置及び補助熱源装置及び外部からの電力調達の組み合わせを用いて第2運転状態を実行して電力需要及び熱需要を賄う場合とを、効率的に使い分けることが可能となる。
従って、効率的に電力需要及び熱需要を賄うことができるコージェネレーションシステムを提供できる。
【0011】
本発明に係るコージェネレーションシステムの別の特徴構成は、前記第1運転状態は、前記定格発電出力を発生させるときに前記熱電併給装置で発生する熱、及び、前記熱電併給装置で発生する前記定格発電出力の一部の電力を前記電力消費型熱供給装置が消費して発生する、前記熱電併給装置で発生する熱が前記熱需要に満たない分の熱で前記熱需要を賄い、並びに、前記熱電併給装置で発生する前記定格発電出力から前記電力消費型熱供給装置で消費される電力を除いた後の残余電力が前記電力需要に満たない分に相当する不足電力を外部から調達する電力で賄う運転状態であり、前記第2運転状態は、前記定格発電出力を発生させるときに前記熱電併給装置で発生する熱及び前記熱電併給装置で発生する熱が前記熱需要に満たない分に相当する不足熱を前記燃料を消費して前記補助熱源装置で発生させることで前記熱需要を賄い、並びに、前記熱電併給装置で発生する前記定格発電出力が前記電力需要に満たない分に相当する不足電力を外部から調達する電力で賄う運転状態である点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、第1運転状態を実行するにあたって、定格発電出力を発生させるときに熱電併給装置で発生する熱、及び、熱電併給装置で発生する上記定格発電出力の一部の電力を電力消費型熱供給装置が消費して発生する、熱電併給装置で発生する熱が熱需要に満たない分の熱で熱需要を賄い、並びに、熱電併給装置で発生する定格発電出力から電力消費型熱供給装置で消費される電力を除いた後の残余電力が電力需要に満たない分に相当する不足電力を外部から調達する電力で賄うのに要する消費一次エネルギー量又はその相当量が導出される。
また、第2運転状態を実行するにあたって、定格発電出力を発生させるときに熱電併給装置で発生する熱及び熱電併給装置で発生する熱が熱需要に満たない分に相当する不足熱を燃料を消費して補助熱源装置で発生させることで熱需要を賄い、並びに、熱電併給装置で発生する定格発電出力が電力需要に満たない分に相当する不足電力を外部から調達する電力で賄うのに要する消費一次エネルギー量又はその相当量が導出される。
そして、両者の消費一次エネルギー量又はその相当量が比較される。つまり、熱電併給装置及び電力消費型熱供給装置及び外部からの電力調達の組み合わせを用いて第1運転状態を実行して電力需要及び熱需要を賄う場合と、熱電併給装置及び補助熱源装置及び外部からの電力調達の組み合わせを用いて第2運転状態を実行して電力需要及び熱需要を賄う場合とを、効率的に使い分けることが可能となる。
【0013】
本発明に係るコージェネレーションシステムの更に別の特徴構成は、太陽光発電装置を備え、前記電力需要は、前記太陽光発電装置の発電電力で賄うことができる分の電力需要を除いた後の値である点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、コージェネレーションシステムにとっての電力需要から、太陽光発電装置の発電電力で賄うことのできる分の電力を除くことで、熱電併給装置が供給するべき電力需要を小さくできる。また、消費一次エネルギー量などが発生しない太陽光発電装置をコージェネレーションシステムに組み込んだことで、コージェネレーションシステム全体としての消費一次エネルギー量又はその相当量を低減できる。
【0015】
本発明に係るコージェネレーションシステムの更に別の特徴構成は、熱を蓄える蓄熱装置を備え、前記熱需要は、前記蓄熱装置に蓄えられている熱で賄うことができる分の熱需要を除いた後の値である点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、コージェネレーションシステムにとっての熱需要から、蓄熱装置に蓄えられている熱で賄うことのできる分の熱を除くことで、熱電併給装置又は電力消費型熱供給装置又は補助熱源装置が供給するべき熱需要を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】コージェネレーションシステムの構成を示す図である。
【図2】熱電併給装置の発電出力と、発電効率及び排熱回収効率との関係を示すグラフである。
【図3】熱電併給装置の発電出力と、排熱出力との関係を示すグラフである。
【図4】熱電併給装置を定格運転した場合における電力負荷装置による利用電力と、発電効率及び排熱回収効率との関係を示すグラフである。
【図5】熱電併給装置を定格運転した場合における電力負荷装置による利用電力と、排熱出力との関係を示すグラフである。
【図6】補助熱源装置の出力と、排熱回収効率との関係を示すグラフである。
【図7】第1運転状態及び第2運転状態において、電力負荷装置による消費電力量をどの装置から供給しているかを各別に示すグラフである。
【図8】第1運転状態及び第2運転状態において、熱負荷装置による熱消費量をどの装置から供給しているかを各別に示すグラフである。
【図9】第1運転状態及び第2運転状態を実行した場合の1時間当たりの消費一次エネルギー量を各別に示すグラフである。
【図10】第1運転状態及び第2運転状態を実行した場合の1時間当たりのCO2排出量を各別に示すグラフである。
【図11】別実施形態のコージェネレーションシステムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して第1実施形態のコージェネレーションについて説明する。
図1は、第1実施形態のコージェネレーションシステムS1(S)の構成を説明する図である。
コージェネレーションシステムS1は、熱電併給装置1と、電力消費型熱供給装置としての電熱ヒータ装置4と、補助熱源装置7と、制御装置8とを備える。また、コージェネレーションシステムS1には、電力負荷装置6及び熱負荷装置5が接続されている。電力負荷装置6には、熱電併給装置1の発電出力及び商用電力系統3から供給される電力の少なくとも何れか一方の電力が供給される。熱負荷装置5へは、熱電併給装置1又は電熱ヒータ装置4又は補助熱源装置7で発生された熱が高温の湯水や他の熱媒の形態で供給される。
【0019】
熱電併給装置1は、運転状態に応じて決まる電力及び熱を併せて出力する装置である。本実施形態において、熱電併給装置1は、ガス、ガソリン、軽油などの燃料を消費して運転されるエンジン(内燃機関)1aと、そのエンジン1aによって駆動される発電機1bとを備える。エンジン1aは、燃料を消費する際に熱を発生するため、熱源として作用する。また、発電機1bは電源として作用する。以上のように、熱電併給装置1は、エンジン1a及び発電機1bの運転状態に応じた量の電力及び熱を発生する。本実施形態において、エンジン1a及び発電機1bの運転状態、即ち、熱電併給装置1の運転状態は、制御装置8によって制御される。例えば、制御装置8は、熱電併給装置1から出力するべき電力又は熱を決定して、その電力又は熱を出力するようにエンジン1a及び発電機1bの動作(エンジン1aへの燃料供給量の調節を含む)を制御する。尚、以下の説明では、エンジン(熱電併給装置1)1aの燃料としてガスを用いた場合を例示する。
【0020】
本実施形態では、熱電併給装置1の発電機1bから出力される発電出力は、インバータ装置2によって所望の電力に変換された後で電力負荷装置6に供給される。本実施形態では、インバータ装置2は、例えば、交流/直流変換回路部と直流/交流変換回路部とを有する。そして、発電機1bから出力された交流電力を交流/直流変換回路部で直流電力に変換し、その後、直流/交流変換回路部でその直流電力を所望の交流電力に変換することで、電力負荷装置6へは交流電力が供給される。
【0021】
電熱ヒータ装置4は、熱電併給装置1の発電出力を消費して熱を発生できる電力消費型熱供給装置の一例である。本実施形態では、電熱ヒータ装置4に対して直流電力を供給する場合を想定している。例えば、上述したインバータ装置2の交流/直流変換回路部と直流/交流変換回路部との間の直流部から取り出した直流電力を電熱ヒータ装置4に供給する。電熱ヒータ装置4では、電力の消費に伴ってジュール熱を発生して、その熱が熱負荷装置5に供給される。このように、インバータ装置2の直流部から直流電力を電熱ヒータ装置4に供給するので、その後の直流/交流変換時の変換損失がなくなり効率が向上するという点で有利である。
本実施形態において、電熱ヒータ装置4における消費電力、即ち、発熱量は、制御装置8によって制御される。例えば、制御装置8は、電熱ヒータ装置4から出力するべき熱の大きさを決定して、その熱を出力するように電熱ヒータ装置4の消費電力を制御する。
【0022】
補助熱源装置7は、例えば、ガス、ガソリン、軽油などの燃料を消費して熱を発生する装置である。本実施形態において、補助熱源装置7の発熱量は制御装置8によって制御される。例えば、制御装置8は、補助熱源装置7から出力するべき熱の大きさを決定して、その熱を出力するように補助熱源装置7の動作(補助熱源装置7への燃料供給量の調節を含む)を制御する。尚、以下の説明では、補助熱源装置7の燃料としてガスを用いた場合を例示する。
【0023】
図2は、熱電併給装置1の発電出力と、発電効率及び排熱回収効率との関係を示すグラフである。図3は、熱電併給装置1の発電出力と、排熱出力との関係を示すグラフである。発電効率は、熱電併給装置1を運転するために要するエネルギーに対する、熱電併給装置1から得られる電気エネルギーの百分率である。また、排熱回収効率は、熱電併給装置1を運転するために要するエネルギーに対する、熱電併給装置1から得られる熱エネルギーの百分率である。尚、図2では、発電効率を下段に描き、排熱回収効率をその発電効率の上段に重ねる形態で描いている。従って、実線で描いている効率は、発電効率と排熱回収効率とを足した値(総合効率と言える)となる。本実施形態では、熱電併給装置1の定格発電出力を1000Wとする。そして、熱電併給装置1の発電出力が定格発電出力(1000W)であるときに、熱電併給装置1の発電効率及び排熱回収効率が最も高くなる。これに対して、熱電併給装置1の発電出力が低下するにつれて、発電効率及び排熱回収効率は共に低下する。
【0024】
図4は、熱電併給装置1を定格運転した場合(発電出力が1000Wの場合)における電力負荷装置6による利用電力と、発電効率及び排熱回収効率との関係を示すグラフである。図5は、熱電併給装置1を定格運転した場合(発電出力が1000Wの場合)における電力負荷装置6による利用電力と、排熱出力(熱電併給装置1の排熱出力及び電熱ヒータ装置4の排熱出力の合計)との関係を示すグラフである。図4及び図5の横軸に示すのは熱電併給装置1を定格運転した場合(発電出力が1000Wの場合)における電力負荷装置6による利用電力であり、[電力負荷装置6による利用電力]+[電熱ヒータ装置4による利用電力]=1000Wという関係が成立する。例えば、電力負荷装置6による利用電力が600Wという場合は、発電出力(1000W)のうちの600Wを電力負荷装置6が消費し、残りの400Wの余剰電力を電熱ヒータ装置4が消費する場合を意味する。同様に、図5の縦軸に示す熱出力は、例えば、横軸に示す電力負荷装置6による利用電力が600Wという場合、熱電併給装置1を1000Wの発電出力で運転するときの熱電併給装置1の熱出力と、電熱ヒータ装置4で400Wの電力を熱に変換したときの熱出力との合計である。
【0025】
図4において破線で示して「発電効率(ヒータ除く)」と表記している曲線は、電力負荷装置6で消費される電力分についての発電効率である。
図4において一点鎖線で示して「発電効率(ヒータ含む)」と表記している曲線は、電力負荷装置6で利用される電力分についての発電効率と、電熱ヒータ装置4で利用される電力分についての発電効率との合計である。図4に示す一点鎖線の曲線(「発電効率(ヒータ含む)」)から明らかなように、電力消費装置6で利用される電力分が減少するにつれて、即ち、電熱ヒータ装置4で利用される電力分が増加するにつれて、発電効率が高くなっている。これは、電熱ヒータ装置4で利用される電力を発電する際の効率の方が、電力負荷装置6で利用される電力を発電する際の効率よりも高くなるからである。具体的には、電熱ヒータ装置4で消費される直流電力は、インバータ装置2の直流部から供給される電力(即ち、発電機1bの交流発電出力に対して交流/直流変換のみを施した後の電力)であるので、電力変換装置6に供給される交流電力(即ち、発電機1bの交流発電出力に対して交流/直流変換と直流/交流変換とを施した後の電力)に比べて変換損失が少なくなり、その結果、発電効率は高くなる。
【0026】
図4において実線で示して「排熱回収効率(ヒータ含む)」と表記している曲線は、発電効率と排熱回収効率とを足した値(総合効率と言える)となる。具体的には、熱電併給装置1を運転するために要するエネルギーに対する、熱電併給装置1から得られる熱エネルギー(熱電併給装置1から排出される熱エネルギーと電熱ヒータ装置4から排出される熱エネルギーとの合計)の百分率である。このように、「排熱回収効率(ヒータ含む)」と表記している通り、電熱ヒータ装置4から排出される熱エネルギーも考慮されている。
【0027】
図6は、補助熱源装置7の出力と、排熱回収効率との関係を示すグラフである。図6に示す排熱回収効率は、補助熱源装置7を運転するために要するエネルギーに対する、補助熱源装置7から得られる熱エネルギーの百分率である。図示するように、補助熱源装置7の出力が小さくなるにつれて、排熱回収効率も小さくなる。
【0028】
次に、電力負荷装置6の電力需要が1400Whであり、且つ、熱負荷装置5の熱需要が2500Whである場合(即ち、電力負荷装置6の電力需要が熱電併給装置1の定格発電出力より大きく、且つ、定格発電出力を熱電併給装置で発生させるときに熱電併給装置で発生する熱(約2100Wh)が熱需要(2500Wh)より小さい場合)を例にして、制御装置8が、熱電併給装置1及び電熱ヒータ装置4及び補助熱源装置7及び外部の商用電力系統3からの電力調達の運用形態をどのように決定するのかを説明する。
【0029】
本実施形態において、制御装置8は、熱電併給装置1で発生する熱、及び、電熱ヒータ装置4で発生する熱で熱需要を賄い、並びに、熱電併給装置1の発電出力、及び、外部から調達する電力で電力需要を賄う第1運転状態を実行した場合の、熱電併給装置1を運転させるのに要し及び外部の商用電力系統3から調達する電力を発生させるのに要する消費一次エネルギー量を導出する。加えて、制御装置8は、熱電併給装置1で発生する熱、及び、補助熱源装置7で発生する熱で熱需要を賄い、並びに、熱電併給装置1の発電出力、及び、外部の商用電力系統3から調達する電力で電力需要を賄う第2運転状態を実行した場合の、熱電併給装置1を運転させるのに要し及び補助熱源装置7を運転させるのに要し及び外部の商用電力系統3から調達する電力を発生させるのに要する消費一次エネルギー量を導出する。そして、制御装置8は、第1運転状態を実行した場合の消費一次エネルギー量と、第2運転状態を実行した場合の消費一次エネルギー量とを比較し、消費一次エネルギー量が小さくなる方の運転状態を実行させるという運用形態を取る。
【0030】
図7は、第1運転状態及び第2運転状態において、電力負荷装置6による電力負荷(消費電力量)をどの装置から供給するかを各別に示すグラフである。尚、図7において分数で記載している数値のうち、分母に記載する数値は熱電併給装置1の発電出力を示し、分子に記載する数値は電力負荷装置による消費電力量を示す。図8は、第1運転状態及び第2運転状態において、熱負荷装置5による熱負荷(熱消費量)をどの装置から供給するかを各別に示すグラフである。
【0031】
〔第1運転状態〕
第1運転状態は、定格発電出力を発生させるときに熱電併給装置1で発生する熱、及び、熱電併給装置1で発生する定格発電出力の一部の電力を電熱ヒータ装置4が消費して発生する、熱電併給装置1で発生する熱が熱需要に満たない分の熱で熱需要を賄い、並びに、熱電併給装置1で発生する定格発電出力から電熱ヒータ装置4で消費される電力を除いた後の残余電力が電力需要に満たない分に相当する不足電力を外部の商用電力系統3から調達する電力で賄う運転状態である。図7及び図8に示した例では、第1運転状態において、熱電併給装置1には1000Whの発電出力(定格発電出力)が要求される。そして、発電された1000Whのうちの500Whが電力負荷を賄うために利用される(図7では、[500Wh/1000Wh]と記載する)。熱電併給装置1の発電出力のうちの電力需要を上回る余剰電力(500Wh)は、図8に示すように電熱ヒータ装置4で消費されて熱に変換される。
熱電併給装置1の発電出力が1000Whであるときに併せて発生される熱は、図3及び図8に示すように2000Whとなる。加えて、上述したように余剰電力(500Wh)を消費した電熱ヒータ装置4で発生される熱が500Whとなる。その結果、熱電併給装置1及び電熱ヒータ装置4で合計2500Whの熱が発生される。
【0032】
〔第2運転状態〕
第2運転状態は、定格発電出力を発生させるときに熱電併給装置1で発生する熱及び熱電併給装置1で発生する熱が熱需要に満たない分に相当する不足熱を燃料を消費して補助熱源装置7で発生させることで熱需要を賄い、並びに、熱電併給装置1で発生する定格発電出力が電力需要に満たない分に相当する不足電力を外部の商用電力系統3から調達する電力で賄う運転状態である。図7及び図8に示した例では、第2運転状態において、熱電併給装置1には1000Whの発電出力(定格発電出力)が要求される。そして、発電された1000Whがそのまま電力需要を賄うために利用される(図7では、[1000Wh/1000Wh]と記載する)。更に、熱電併給装置1の発電出力では不足する分の電力である400Whが外部の商用電力系統3から購入される。
熱電併給装置1の発電出力が1000Whであるときに併せて発生される熱は、図3及び図8に示すように2100Whとなる。従って、熱電併給装置1で発生する熱が熱需要に満たない分に相当する不足熱は400Whとなる。そこで、補助熱源装置7でその不足熱(400Wh)を賄う運転を行うこととする。その結果、熱電併給装置1及び補助熱源装置7で合計2500Whの熱が発生される。
【0033】
尚、本実施形態において、熱電併給装置1から電熱ヒータ装置4に電力を供給する際に生じる電力変換損失(インバータ装置2の内部での交流/直流変換による損失)は、熱電併給装置1から電力負荷装置6に電力を供給する際に生じる電力変換損失(インバータ装置2の内部での交流/直流変換による損失及び直流/交流変換による損失)よりも小さくなる。つまり、熱電併給装置1で電熱ヒータ装置4に供給する電力を発生させるときの効率は、熱電併給装置で電力負荷装置6に供給する電力を発生させるときの効率よりも高くなる。その結果、熱電併給装置1で同じ発電出力を発生させるとしても、電熱ヒータ装置4に供給する分の電力が多くなるほど、同じ発電出力を発生させるときの効率が高くなり、それと共に燃料量が減少して、発生熱量も減少する。
従って、第1運転状態の場合と第2運転状態の場合とでは電熱ヒータ装置4に供給する分の電力が異なっているため、同じ発電出力(1000Wh)を発生させるときの発熱量が2000Wh(第1運転状態)と2100Wh(第2運転状態)というように異なっている。
【0034】
図9は、第1運転状態及び第2運転状態を実行した場合の1時間当たりの消費一次エネルギー量を各別に示すグラフである。
第1運転状態では、熱電併給装置1の発電出力は1000Whであり、その内の500Whが電力負荷装置6で利用され及び500Whが電熱ヒータ装置4で利用されるので、図4に一点鎖線で示す発電効率(ヒータ含む)の曲線のようにそのときの効率は28%となる。従って、1000Wの電力を出力する運転を行うために、熱電併給装置1は3.57kWh(=1000/0.28)のエネルギーを有する燃料(本実施形態では「ガス」)を消費する。ガスの一次エネルギー原単位は3.6MJ/kWhである。その結果、第1運転状態を実行した場合において、熱電併給装置1の運転に要する1時間当たりの消費一次エネルギー量は12.85MJとなる。
加えて、外部の商用電力系統3から900Whの電力を購入する。この購入電力の一次エネルギー原単位は9.76MJ/kWhである。その結果、第1運転状態を実行した場合において、外部から電力を調達するのに要する1時間当たりの消費一次エネルギー量は8.78MJとなる。
従って、以上を合計すると、第1運転状態を実行した場合の1時間当たりの消費一次エネルギー量は21.63MJとなる。
【0035】
第2運転状態では、熱電併給装置1の発電出力は1000Whであり、その全てが電力負荷装置6に利用されるので、図2に破線で示すようにそのときの効率は27%となる。従って、1000Whの電力を出力する運転を行うために、熱電併給装置1は3.70kWh(=1000/0.27)のエネルギーを有するガスを消費する。ガスの一次エネルギー原単位は3.6MJ/kWhである。その結果、第1運転状態を実行した場合において、熱電併給装置1の運転に要する1時間当たりの消費一次エネルギー量は13.32MJとなる。
加えて、補助熱源装置7の熱出力は400Whであるので、図6に示すようにそのときの効率は10%となる。従って、400Whの熱を出力する運転を行うために、補助熱源装置7は4.00kWh(=400/0.1)のエネルギーを有するガスを消費する。その結果、第1運転状態を実行した場合において、補助熱源装置7の運転に要する1時間当たりの消費一次エネルギー量は14.40MJとなる。
更に、外部の商用電力系統3から400Whの電力を購入する。この購入電力の一次エネルギー原単位は9.76MJ/kWhである。その結果、第1運転状態を実行した場合において、外部から電力を調達するのに要する1時間当たりの消費一次エネルギー量は3.90MJとなる。
従って、以上を合計すると、第2運転状態を実行した場合の1時間当たりの消費一次エネルギー量は31.62MJとなる。
【0036】
以上のように、第1運転状態を実行した場合の1時間当たりの消費一次エネルギー量は21.63MJとなり、第2運転状態を実行した場合の1時間当たりの消費一次エネルギー量は31.62MJとなる。両者を比較すると、第1運転状態を実行した場合の消費一次エネルギー量の方が小さい。従って、本実施形態において制御装置8は、第1運転状態を実行させることを決定する。
このように、本実施形態のコージェネレーションシステムS1では、熱電併給装置1及び電熱ヒータ装置4の組み合わせを用いて第1運転状態を実行して電力需要及び熱需要を賄う場合と、熱電併給装置1及び補助熱源装置7の組み合わせを用いて第2運転状態を実行して電力需要及び熱需要を賄う場合とを、効率的に使い分けることが可能となる。
【0037】
<第2実施形態>
第2実施形態のコージェネレーションシステムSは、第1運転状態及び第2運転状態を比較するための指標が上記第1実施形態と異なっている。以下に第2実施形態のコージェネレーションシステムSについて説明するが、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0038】
上記第1実施形態では、制御装置8が、第1運転状態を実行した場合の消費一次エネルギー量と、第2運転状態を実行した場合の消費一次エネルギー量とを比較する例を説明したが、消費一次エネルギーに相当する他の指標を用いて第1運転状態と第2運転状態とを比較してもよい。例えば、制御装置8が、電力及び熱の発生に伴って排出されるCO2の量(所謂、環境負荷量)を、消費一次エネルギーの相当量として指標に用いてもよい。
【0039】
図10は、第1運転状態及び第2運転状態を実行した場合の1時間当たりのCO2排出量を各別に示すグラフである。
上記第1実施形態で説明したように、第1運転状態では、熱電併給装置1は3.57kWhのガスを消費する。ガスのCO2原単位は0.18kg/kWhである。その結果、第1運転状態を実行した場合において、熱電併給装置1の運転により発生する1時間当たりのCO2排出量は0.64kgとなる。
また、第1運転状態では、外部の商用電力系統3から900Whの電力を購入する。この購入電力のCO2原単位は0.69kg/kWhである。その結果、第1運転状態を実行した場合において、外部から電力を調達するために発生する1時間当たりのCO2排出量は0.62kgとなる。
従って、以上を合計すると、第1運転状態を実行した場合の1時間当たりのCO2排出量は1.26kgとなる。
【0040】
上記第1実施形態で説明したように、第2運転状態では、熱電併給装置1は3.70kWhのエネルギーを有するガスを消費する。加えて、補助熱源装置7は4.00kWhのエネルギーを有するガスを消費する。その結果、第2運転状態では、熱電併給装置1及び補助熱源装置7は合計7.70kWhエネルギーを有するガスを消費する。ガスのCO2原単位は0.18kg/kWhである。その結果、第2運転状態を実行した場合において、熱電併給装置1及び補助熱源装置7の運転により発生する1時間当たりのCO2排出量は1.39kgとなる。
また、第2運転状態では、外部の商用電力系統3から400Whの電力を購入する。この購入電力のCO2原単位は0.69kg/kWhである。その結果、第2運転状態を実行した場合において、外部から電力を調達するために発生する1時間当たりのCO2排出量は0.28kgとなる。
従って、以上を合計すると、第1運転状態を実行した場合の1時間当たりのCO2排出量は1.67kgとなる。
【0041】
以上のように、第1運転状態を実行した場合の1時間当たりのCO2排出量は1.26kgとなり、第2運転状態を実行した場合の1時間当たりのCO2排出量は1.67kgとなる。両者を比較すると、第1運転状態を実行した場合のCO2排出量の方が小さい。従って、本実施形態においても、制御装置8は、第1運転状態を実行させることを決定する。
【0042】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態において、コージェネレーションシステムSに他の電力源及び熱源を追加で設けてもよい。また、コージェネレーションシステムSに電力を貯蔵できる装置及び熱を貯蔵できる装置を設けてもよい。その一例として、図11には、電力源として太陽光発電装置9を更に備え、熱を貯蔵できる装置として蓄熱装置10を更に備えたコージェネレーションシステムS2(S)を示す。
【0043】
コージェネレーションシステムS2は太陽光発電装置9を備えているため、コージェネレーションシステムS2にとっての電力需要から、太陽光発電装置9の発電電力で賄うことのできる分の電力を除くことができる。即ち、図7に例示した電力負荷装置6による消費電力量(即ち、電力需要)を、太陽光発電装置9の発電電力で賄うことができる分の電力需要を除いた後の値とすることができる。従って、熱電併給装置1が供給するべき電力需要を小さくできる。また、消費一次エネルギー量又はCO2排出量(環境負荷量)が発生しない太陽光発電装置9をコージェネレーションシステムS2に組み込んだことで、コージェネレーションシステムS2全体としての消費一次エネルギー量又はCO2排出量を低減できる。
【0044】
また、コージェネレーションシステムS2は蓄熱装置10を備えているため、コージェネレーションシステムS2にとっての熱需要から、蓄熱装置10に蓄えられている熱で賄うことのできる分の熱を除くことができる。即ち、図8に例示した熱負荷装置5による消費熱量(熱需要)を、蓄熱装置10に蓄えられている熱で賄うことができる分の熱需要を除いた後の値とすることができる。従って、熱電併給装置1又は電熱ヒータ装置4又は補助熱源装置7が供給するべき熱需要を小さくできる。尚、蓄熱装置10に蓄えられる熱として、熱電併給装置1及び電熱ヒータ装置4で発生された余剰熱を利用できる。
【0045】
<2>
上記実施形態において、第1運転状態を実行した場合の消費一次エネルギー量又はその相当量と、第2運転状態を実行した場合の消費一次エネルギー量又はその相当量とを比較する例を説明するために、電力需要及び熱需要の数値や熱電併給装置1及び補助熱源装置7の効率などの数値を例示したが、それらの値は例示目的で記載したのであり、適宜変更してもよい。
【0046】
<3>
上記第2実施形態において、消費一次エネルギー量の相当量としてCO2排出量を例示したが、更に別の指標を用いてもよい。例えば、光熱費という指標を用いてもよい。例えば、第1運転状態を実行した場合の光熱費と、第2運転状態を実行した場合の光熱費とを比較し、その光熱費が小さくなる方の運転状態を実行するようにしてもよい。
【0047】
<4>
上記実施形態において、電熱ヒータ装置4を、熱電併給装置1の発電出力を消費して熱を発生できる電力消費型熱供給装置として用いる例を説明したが、他の装置を電力消費型熱供給装置として用いてもよい。例えば、電動式のヒートポンプ装置を上記電力消費型熱供給装置として用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、コージェネレーションシステムを用いて効率的に電力需要及び熱需要を賄うために利用できる。
【符号の説明】
【0049】
1 熱電併給装置
3 商用電力系統
4 電熱ヒータ装置(電力消費型熱供給装置)
5 熱負荷装置
6 電力負荷装置
7 補助熱源装置
8 制御装置
9 太陽光発電装置
10 蓄熱装置
S コージェネレーションシステム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転状態に応じて決まる電力及び熱を併せて出力する熱電併給装置と、
前記熱電併給装置の発電出力を消費して熱を発生する電力消費型熱供給装置と、
燃料を消費して熱を発生する補助熱源装置と、
前記各装置の運転を制御する制御装置とを備えるコージェネレーションシステムであって、
前記制御装置は、電力需要が前記熱電併給装置の定格発電出力より大きく、且つ、前記定格発電出力を前記熱電併給装置で発生させるときに前記熱電併給装置で発生する熱が熱需要より小さいとき、
前記熱電併給装置で発生する熱、及び、前記電力消費型熱供給装置で発生する熱で前記熱需要を賄い、並びに、前記熱電併給装置の発電出力、及び、外部から調達する電力で前記電力需要を賄う第1運転状態を実行した場合の、前記熱電併給装置を運転させるのに要し及び前記外部から調達する電力を発生させるのに要する消費一次エネルギー量又はその相当量と、
前記熱電併給装置で発生する熱、及び、前記補助熱源装置で発生する熱で前記熱需要を賄い、並びに、前記熱電併給装置の発電出力、及び、外部から調達する電力で前記電力需要を賄う第2運転状態を実行した場合の、前記熱電併給装置を運転させるのに要し及び前記補助熱源装置を運転させるのに要し及び前記外部から調達する電力を発生させるのに要する消費一次エネルギー量又はその相当量と、を比較し、
消費一次エネルギー量又はその相当量が小さくなる方の運転状態を実行させるコージェネレーションシステム。
【請求項2】
前記第1運転状態は、前記定格発電出力を発生させるときに前記熱電併給装置で発生する熱、及び、前記熱電併給装置で発生する前記定格発電出力の一部の電力を前記電力消費型熱供給装置が消費して発生する、前記熱電併給装置で発生する熱が前記熱需要に満たない分の熱で前記熱需要を賄い、並びに、前記熱電併給装置で発生する前記定格発電出力から前記電力消費型熱供給装置で消費される電力を除いた後の残余電力が前記電力需要に満たない分に相当する不足電力を外部から調達する電力で賄う運転状態であり、
前記第2運転状態は、前記定格発電出力を発生させるときに前記熱電併給装置で発生する熱及び前記熱電併給装置で発生する熱が前記熱需要に満たない分に相当する不足熱を前記燃料を消費して前記補助熱源装置で発生させることで前記熱需要を賄い、並びに、前記熱電併給装置で発生する前記定格発電出力が前記電力需要に満たない分に相当する不足電力を外部から調達する電力で賄う運転状態である請求項1に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項3】
太陽光発電装置を備え、
前記電力需要は、前記太陽光発電装置の発電電力で賄うことができる分の電力需要を除いた後の値である請求項1又は2に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項4】
熱を蓄える蓄熱装置を備え、
前記熱需要は、前記蓄熱装置に蓄えられている熱で賄うことができる分の熱需要を除いた後の値である請求項1〜3の何れか一項に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項1】
運転状態に応じて決まる電力及び熱を併せて出力する熱電併給装置と、
前記熱電併給装置の発電出力を消費して熱を発生する電力消費型熱供給装置と、
燃料を消費して熱を発生する補助熱源装置と、
前記各装置の運転を制御する制御装置とを備えるコージェネレーションシステムであって、
前記制御装置は、電力需要が前記熱電併給装置の定格発電出力より大きく、且つ、前記定格発電出力を前記熱電併給装置で発生させるときに前記熱電併給装置で発生する熱が熱需要より小さいとき、
前記熱電併給装置で発生する熱、及び、前記電力消費型熱供給装置で発生する熱で前記熱需要を賄い、並びに、前記熱電併給装置の発電出力、及び、外部から調達する電力で前記電力需要を賄う第1運転状態を実行した場合の、前記熱電併給装置を運転させるのに要し及び前記外部から調達する電力を発生させるのに要する消費一次エネルギー量又はその相当量と、
前記熱電併給装置で発生する熱、及び、前記補助熱源装置で発生する熱で前記熱需要を賄い、並びに、前記熱電併給装置の発電出力、及び、外部から調達する電力で前記電力需要を賄う第2運転状態を実行した場合の、前記熱電併給装置を運転させるのに要し及び前記補助熱源装置を運転させるのに要し及び前記外部から調達する電力を発生させるのに要する消費一次エネルギー量又はその相当量と、を比較し、
消費一次エネルギー量又はその相当量が小さくなる方の運転状態を実行させるコージェネレーションシステム。
【請求項2】
前記第1運転状態は、前記定格発電出力を発生させるときに前記熱電併給装置で発生する熱、及び、前記熱電併給装置で発生する前記定格発電出力の一部の電力を前記電力消費型熱供給装置が消費して発生する、前記熱電併給装置で発生する熱が前記熱需要に満たない分の熱で前記熱需要を賄い、並びに、前記熱電併給装置で発生する前記定格発電出力から前記電力消費型熱供給装置で消費される電力を除いた後の残余電力が前記電力需要に満たない分に相当する不足電力を外部から調達する電力で賄う運転状態であり、
前記第2運転状態は、前記定格発電出力を発生させるときに前記熱電併給装置で発生する熱及び前記熱電併給装置で発生する熱が前記熱需要に満たない分に相当する不足熱を前記燃料を消費して前記補助熱源装置で発生させることで前記熱需要を賄い、並びに、前記熱電併給装置で発生する前記定格発電出力が前記電力需要に満たない分に相当する不足電力を外部から調達する電力で賄う運転状態である請求項1に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項3】
太陽光発電装置を備え、
前記電力需要は、前記太陽光発電装置の発電電力で賄うことができる分の電力需要を除いた後の値である請求項1又は2に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項4】
熱を蓄える蓄熱装置を備え、
前記熱需要は、前記蓄熱装置に蓄えられている熱で賄うことができる分の熱需要を除いた後の値である請求項1〜3の何れか一項に記載のコージェネレーションシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−207893(P2012−207893A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75742(P2011−75742)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]