説明

ゴルフクラブおよびゴルフクラブヘッド

【課題】ボールの飛距離を伸ばすようにボールの初速を増すことができる、ゴルフクラブヘッドを提供する。
【解決手段】ゴルフクラブヘッド1は金属製のフェースプレート10と、繊維強化プラスチック製のクラブヘッド本体、たとえば、クラウン30およびソールプレート20とを含む。ゴルフクラブヘッド1の最後部の内側には、加重本体50が設けられ、クラウン30内には、最後部に近づくにつれて幅が徐々に狭くなりかつフェースプレート10の近傍から最後部の方へ延びる、低剛性部が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブヘッドおよび、そのようなゴルフクラブヘッドを含むゴルフクラブ、ならびにそのようなゴルフクラブを製造する方法に関する。少なくともいくつかの例においては、本発明によるゴルフクラブヘッドは、1つまたは複数の金属部材および1つまたは複数の繊維強化プラスチック(FRP)部材から形成される。
【背景技術】
【0002】
ゴルフクラブおよび関連するゴルフクラブヘッドには、長い飛距離および優れた方向安定性が必要である。これらの要件を満たすために、ゴルフクラブヘッドの構造においては、重心および慣性モーメントに関して高度な設計上の自由度が求められる。近年、重心および慣性モーメントの設計上の自由度を高めるために、金属部材が低い位置に配置され、繊維強化プラスチック部材が高い位置に配置された、複合型のゴルフクラブヘッドが提案されている(たとえば、特許文献1、特許文献2、および特許文献3を参照されたい)。これらの文献は、その全文が参照として本明細書に組み入れられる。
【0003】
ゴルフボールをゴルフクラブで打ったときの飛距離は、ボールの初速に強く依存する。一方、ボールの初速は、ゴルフクラブヘッドからボールに伝達される運動エネルギーの量に依存する。したがって、飛距離は通常、ボールに伝達される運動エネルギーの量を増やすことによって伸ばすことができる。
【0004】
このことから、ゴルフボールに伝達される運動エネルギーの量を増やすために、ゴルフクラブヘッドのフェースプレートの構造が特殊な部品を有するゴルフクラブヘッドが提案されている。たとえば、特許文献4、特許文献5、および特許文献6を参照されたい。これらの特許は、その全文が参照として本明細書に組み入れられる。
【0005】
しかし、これらの既知のゴルフクラブヘッドにおいては、ボールを打った瞬間にゴルフクラブヘッドを変形させるのに大量の運動エネルギーが費やされるため、飛距離を伸ばすのに十分な程度ボールの初速を高めるのは不可能であった。
【0006】
【特許文献1】日本国特許第2773009号
【特許文献2】日本国公開特許公報第59-90578号
【特許文献3】日本国公開特許公報第2002-336389号
【特許文献4】米国特許第6,354,962号
【特許文献5】米国特許第6,368,234号
【特許文献6】米国特許第6,398,666号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の事情を考慮してなされたものであり、本発明の少なくとも1つの例示的な局面は、ボールの飛距離を伸ばすようにボールの初速を増すことができる、ゴルフクラブヘッド構造を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の少なくともいくつかの例によるゴルフクラブヘッド構造は、金属製のフェースプレート、ならびに繊維強化プラスチック製のクラブヘッド本体の少なくとも一部(たとえば、クラウンおよびソール)を含む。ゴルフクラブヘッドの最後部の内側には加重本体が設けられている。クラブヘッドのクラウン内には、フェースプレートの近傍またはクラブヘッド本体の側面からゴルフクラブヘッドの最後部の方へ延びる低剛性部が設けられ、ここで低剛性部の幅は、最後部に近づくにつれて徐々に狭くなる。低剛性部は、「変形波伝達システム」の少なくとも一部として働くことができ、加重本体は、変形波からのエネルギーに対する反射部材の少なくとも一部として働くことができる。
【0009】
この種のゴルフクラブヘッド構造では、ボールの初速を増すことができるので、ボールをクラブヘッドで打ったときの飛距離を伸ばすことができる。本発明の局面は、このようなクラブヘッドを含むゴルフクラブおよび、そのようなクラブヘッドを製造する方法にも関する。
【0010】
本発明(1)は、以下を含む、ゴルフクラブヘッドである:
金属製のフェースプレート;
フェースプレートに取り付けられた繊維強化プラスチック製のクラウンであって、フェースプレートの近傍からゴルフクラブヘッドの最後部の方へ延びかつ最後部の方へ延びるにつれて徐々に狭くなる幅を有する低剛性部を含む、クラウン;
フェースプレートおよびクラウンに取り付けられた繊維強化プラスチック製のソール;ならびに
クラウン、ソール、およびフェースプレートによって規定される空間の内側に設けられ、かつゴルフクラブヘッドの最後部に設けられた、加重部材。
本発明(2)は、低剛性部が、クラウンの主表面から突き出るようにクラウンの凸部上に設けられる、本発明(1)のゴルフクラブヘッドである。
本発明(3)は、クラウンを形成する繊維強化プラスチックのヤング率が10GPaから100GPaである、本発明(1)のゴルフクラブヘッドである。
本発明(4)は、クラウンの厚さが0.4mmから2mmの範囲である、本発明(1)のゴルフクラブヘッドである。
本発明(5)は、加重部材の質量が10gから50gの範囲である、本発明(1)のゴルフクラブヘッドである。
本発明(6)は、低剛性部が、低剛性部の第1の側面に隣接して配置された第1の高剛性部と、低剛性部の第2の側面に隣接して配置された第2の高剛性部との間に形成され、かつ、低剛性部が、第1の高剛性部および第2の高剛性部よりも剛性の低い、本発明(1)のゴルフクラブヘッドである。
本発明(7)は、第1の高剛性部が、低剛性部よりも厚い第1のリブを含み、第2の高剛性部が、低剛性部よりも厚い第2のリブを含む、本発明(6)のゴルフクラブヘッドである。
本発明(8)は、第1のリブが、クラウンの主表面から、空間から離れる方向に延び、かつ第2のリブが、クラウンの主表面から、空間から離れる方向に延びる、本発明(7)のゴルフクラブヘッドである。
本発明(9)は、第1のリブが、クラウンの主表面から、空間に向かう方向に延び、かつ第2のリブが、クラウンの主表面から、空間に向かう方向に延びる、本発明(7)のゴルフクラブヘッドである。
本発明(10)は、低剛性部が、クラウン表面の大部分を構成する材料よりも薄い材料で形成される、本発明(6)のゴルフクラブヘッドである。
本発明(11)は、低剛性部が、クラウンの大部分を構成する材料よりも剛性の低い材料で形成される、本発明(6)のゴルフクラブヘッドである。
本発明(12)は、第1の高剛性部および第2の高剛性部は、クラウンの大部分を構成する材料よりも剛性の高い1つまたは複数の材料で作製される、本発明(6)のゴルフクラブヘッドである。
本発明(13)は、クラウンが、第1の方向に位置合わせされた繊維を有する第1の繊維強化プラスチック層と、第1の方向とは異なる第2の方向に位置合わせされた繊維を有する第2の繊維強化プラスチック層とを含む、本発明(1)のゴルフクラブヘッドである。
本発明(14)は、第1の方向が、第2の方向に実質的に垂直である、本発明(13)のゴルフクラブヘッドである。
本発明(15)は、第1の方向が、フェースプレートの打球面に対して約0°の角度であり、第2の方向が、打球面に対して約90°の角度である、本発明(14)のゴルフクラブヘッドである。
本発明(16)は、第1の方向が、フェースプレートの打球面に対して約+45°の角度であり、第2の方向が、打球面に対して約-45°の角度である、本発明(14)のゴルフクラブヘッドである。
本発明(17)は、以下を含む、ゴルフクラブである:
本発明(1)のゴルフクラブヘッド;および
ゴルフクラブヘッドに取り付けられたシャフト。
本発明(18)は、シャフトに取り付けられたグリップをさらに含む、本発明(17)のゴルフクラブである。
本発明(19)は、以下を含む、ゴルフクラブヘッドである:
フェースプレートに取り付けられたクラブヘッド本体であって、ゴルフクラブヘッドによってボールが打たれたときに発生する変形波に含まれるエネルギーの少なくとも一部を、フェースプレートから離れる方向およびフェースプレートに向かう方向に伝達するための変形波伝達システムを含む、クラブヘッド本体;および
反射部材に入射した変形波のエネルギーの少なくとも一部を変形波伝達システムを介してフェースプレートに反射するための反射部材。
本発明(20)は、変形波伝達システムが、フェースプレートの近傍からゴルフクラブヘッドの最後部の方へ延び、最後部の方へ延びるにつれて徐々に狭くなる幅を有し、かつ、クラブヘッド本体の主表面から突き出るようにクラブヘッド本体の凸部上に設けられる、本発明(19)のゴルフクラブヘッドである。
本発明(21)は、反射部材が、少なくとも部分的にクラブヘッド本体内に配置される、本発明(19)のゴルフクラブヘッドである。
本発明(22)は、変形波伝達システムが、フェースプレートの近傍からゴルフクラブヘッドの最後部の方へ延びる低剛性部を含み、低剛性部が、最後部の方へ延びるにつれて徐々に狭くなる幅を有し、低剛性部の第1の側面に隣接して配置された第1の高剛性部と、低剛性部の第2の側面に隣接して配置された第2の高剛性部との間に形成され、かつ、第1の高剛性部および第2の高剛性部よりも剛性の低い、本発明(19)のゴルフクラブヘッドである。
本発明(23)は、第1の高剛性部が、低剛性部よりも厚い第1のリブを含み、第2の高剛性部が、低剛性部よりも厚い第2のリブを含む、本発明(22)のゴルフクラブヘッドである。
本発明(24)は、第1のリブが、クラウンの主表面から、空間から離れる方向に延び、第2のリブが、クラウンの主表面から、空間から離れる方向に延びる、本発明(23)のゴルフクラブヘッドである。
本発明(25)は、第1のリブが、クラウンの主表面から、空間に向かう方向に延び、第2のリブが、クラウンの主表面から、空間に向かう方向に延びる、本発明(23)のゴルフクラブヘッドである。
本発明(26)は、低剛性部が、クラブヘッド本体の大部分を構成する材料よりも薄い材料で形成される、本発明(22)のゴルフクラブヘッドである。
本発明(27)は、低剛性部が、クラブヘッド本体の大部分を構成する材料よりも剛性の低い材料で形成される、本発明(22)のゴルフクラブヘッドである。
本発明(28)は、第1の高剛性部および第2の高剛性部が、クラブヘッド本体の大部分を構成する材料よりも剛性の高い1つまたは複数の材料で作製される、本発明(22)のゴルフクラブヘッドである。
本発明(29)は、クラブヘッド本体の少なくともクラウンは、第1の方向に位置合わせされた繊維を有する第1の繊維強化プラスチック層および、第1の方向とは異なる第2の方向に位置合わせされた繊維を有する第2の繊維強化プラスチック層とを含む、本発明(19)のゴルフクラブヘッドである。
本発明(30)は、第1の方向が、第2の方向に実質的に垂直である、本発明(29)のゴルフクラブヘッドである。
本発明(31)は、第1の方向が、フェースプレートの打球面に対して約0°の角度であり、第2の方向が、打球面に対して約90°の角度である、本発明(30)のゴルフクラブヘッドである。
本発明(32)は、第1の方向が、フェースプレートの打球面に対して約+45°の角度であり、第2の方向が、打球面に対して約-45°の角度である、本発明(30)のゴルフクラブヘッドである。
本発明(33)は、以下を含む、ゴルフクラブである:
本発明(19)のゴルフクラブヘッド;および
ゴルフクラブヘッドに取り付けられたシャフト。
本発明(34)は、シャフトに取り付けられたグリップをさらに含む、本発明(33)のゴルフクラブである。
本発明(35)は、接着剤を用いてフェースプレートにソール予備形成体(preform)を取り付ける段階;
接着剤を用いてフェースプレートおよびソール予備形成体にクラウン予備形成体を取り付ける段階;
クラウン予備形成体またはソール予備形成体の少なくとも一方に加重部材予備形成体を取り付ける段階;ならびに
クラウン予備形成体、ソール予備形成体、およびフェースプレートをゴルフクラブヘッド構造として形成する段階を含む方法であって、クラウン予備形成体が、フェースプレートの近傍からゴルフクラブヘッドの最後部の方へ延びる低剛性部を含むように形成され、低剛性部が、最後部の方へ延びるにつれて徐々に狭くなる幅を有する方法である。
本発明(36)は、形成段階が、クラウン予備形成体、ソール予備形成体、およびフェースプレートを一緒に加圧成形する段階、ならびに、クラウン予備形成体、ソール予備形成体、および加重部材予備形成体を加熱する段階の少なくとも一方を含む、本発明(35)の方法である。
本発明(37)は、接着剤を用いてフェースプレートにクラブヘッド本体予備形成体を取り付ける段階;
クラブヘッド本体予備形成体の少なくとも一部に変形波反射部材予備形成体を取り付ける段階;ならびに
クラブヘッド本体予備形成体およびフェースプレートからゴルフクラブヘッド構造を形成する段階を含む方法であって、形成の際に、クラブヘッド本体が、ゴルフクラブヘッドによってボールが打たれたときに発生する変形波に含まれるエネルギーの少なくとも一部を、フェースプレートから離れる方向およびフェースプレートに向かう方向に伝達するための変形波伝達システムを含むように成形される方法である。
本発明(38)は、変形波伝達システムが、フェースプレートの近傍からゴルフクラブヘッドの最後部の方へ延び、変形波伝達システムが、最後部の方へ延びるにつれて徐々に狭くなる幅を有する、本発明(37)の方法である。
本発明(39)は、形成段階が、クラブヘッド本体およびフェースプレートを一緒に加圧成形する段階、ならびに、クラブヘッド本体および変形波反射予備形成体を加熱する段階の少なくとも一方を含む、本発明(37)の方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、ボールの飛距離を伸ばすようにボールの初速を増すことができる、ゴルフクラブヘッド構造が提供された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の様々な例示的な態様についての以下の説明では、本発明の一部を形成する添付の図面を参照するが、ここで、本発明の各局面を実施できる様々な例示的な装置、システム、方法が一例として示されている。部品、例示的な装置、システム、および方法のその他の特定の構成を利用することができ、かつ本発明の範囲から逸脱することなく構造的および機能的な改変を加えうることを理解されたい。さらに、本明細書の様々な例示的な特徴および要素について説明するために本明細書において「頂部」、「底部」、「前面」、「背面」、「側面」、「後部」などの用語を用いうるが、これらの用語は、本明細書において簡便化のために用いられており、たとえば図面に示されている例示的な方位に基づくものである。本明細書において、本発明の意図を満たすために特定の三次元配向の構造が必要になると解釈されるものはない。
【0013】
次に、本発明によるゴルフクラブヘッド構造の様々な例について説明する。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施例によるゴルフクラブヘッド1を示す断面図である。この例示的なゴルフクラブヘッド構造1は、フェース11および、フェース11の縁部からクラブヘッドの打球面12とは反対側へ延びるよう形成されたフランジ13(すなわち、フランジ13は、打球面12から離れる方向へ延びている)を有する、金属フェースプレート10を有している。ゴルフクラブヘッド1は、金属ソールプレート20、クラウン30、およびソール40をさらに含んでいる。この例示的構造のクラウン30およびソール40は、クラブヘッド本体の主要部を構成しており、繊維強化プラスチック製である。加重本体50は、ゴルフクラブヘッド構造1の最後部の内側に設けられている。ここで、最後部とは、フェースプレート10の打球面12が前方を向いたときにゴルフクラブヘッド1の後面から最も遠くに位置する部分である。
【0015】
当技術分野で既知の従来の様式を含む、本発明から逸脱しない任意の望ましい様式で、ゴルフクラブヘッドの様々な部分を一緒に固定することができる。この例示的なゴルフクラブヘッド1の例においては、フェースプレート10のフランジ13およびクラウン30およびソール40は、フィルム型接着剤60を介してそれぞれの接着オーバラップにおいて一緒に接着されている。クラウン30とソール40は、最後部の近傍におけるそれぞれの接着オーバラップにおいて一緒に接着されてもよい。従来の接着剤を、当技術分野で既知のように使用できる。
【0016】
この例示的なゴルフクラブヘッド1のフェースプレート10およびソールプレート20を、金属の鋳込み、鋳造、機械的切削などの当技術分野で既知の従来の様式を含む、本発明から逸脱しない任意の望ましい様式で、製造することができる。また、ゴルフクラブヘッド構造1のフェースプレート10および/またはソールプレート20には任意の望ましい種類の材料を使用できるが、使用できる適切な材料の例には、チタン合金、アルミニウム高強度合金、ステンレススチールなどが含まれる。少なくともいくつかの例においては、強度と比重とのバランスを考慮すると、チタン合金が有利に使用される。また、本発明から逸脱することなく、フェースプレート10およびソールプレート20を、同一の材料から作製してもよく、異なる材料から作製してもよい。さらに、フェースプレート10とソールプレート20は組み合わせても分離してもよい。特に、少なくともいくつかの例においては、ゴルフクラブヘッド1の重心を容易に下げることができるので、フェースプレート10よりも比重の大きな材料をソールプレート20に使用することが好ましい。より具体的な例としては、少なくともいくつかの例示的なクラブヘッド構造1では、ソールプレート20にステンレススチールを使用することができ、フェースプレート10にチタン合金を使用することができる。
【0017】
様々な部品同士の接着強度を高めるために、本発明の少なくともいくつかの例においては、クラウン30および/またはソール40に接着されたフェースプレート10およびソールプレート20の表面に、その表面粗さ(「Ra」)が1μmから20μmの間になるように予め(例えばブラスト処理、研磨などによって)粗引き処理を施す。また、クラウン30および/またはソール40に接着されたフェースプレート10およびソールプレート20の表面に、たとえば、メチルエチルケトンまたはアセトンなどを用いた脱脂処理を施して、結合性をさらに向上させ、かつこれらの部品の接着強度をさらに高めることができる。
【0018】
上記で指摘し図1に示したように、フェースプレート10のフランジ13は、全体的なクラブヘッド構造1の部分であり、これによりフェースプレート10がクラウン30および/またはソール40に接着される。本発明から逸脱することなく、任意の望ましいフランジ13サイズを使用できるが、フランジ13サイズのいくつかの局面は、クラブヘッド1の構造および/または特徴の向上を助けることができる。たとえば、フランジ13が長いと、フェースプレート10のフランジ13とクラウン30および/またはソール40との間の接着強度が大きくなるが、フランジ13が長すぎると、ゴルフクラブヘッド1の重量が重くなりすぎる。したがって、少なくともいくつかの例示的な構造1では、フランジ部13は、5mmから25mmの間の長さを有するように設計され、いくつかの例においては、10mmから15mmの間の長さであってよい。
【0019】
ゴルフクラブヘッド1の製造時に使用される圧力バッグを挿入する穴21を、ソールプレート20に形成することができる。穴21はねじ穴(「ブラダー(bladder)穴」としても知られる)であってもよい。穴21がねじ穴である場合、圧力バッグをねじ穴21から引き抜いた後、ねじ穴21に適合するねじをそこにねじ込んで容易に塞ぎ、それによって閉鎖することができる。タングステン合金から作製されたもののような、比重の大きなねじが使用されうる。というのは、これにより、ゴルフクラブヘッド構造1全体の重心をさらに下げることができるからである。
【0020】
クラウン30は、各層の強化繊維が一方向に位置合わせされた、複数の繊維強化プラスチック層を積層することによって単体として形成されうる。これらの繊維強化プラスチック層は、各層における繊維位置合わせ方向が、それを挟む層の繊維位置合わせ方向に対して垂直である(または実質的に垂直である)ように積層することができる。たとえば、補強繊維が打球面12に対して0°の角度に配置された層を、補強繊維が打球面12に対して90°の角度に配置された層と交互に積層することができる。あるいは、補強繊維が打球面12に対して+45°の角度に配置された層を、補強繊維が打球面12に対して-45°の角度に配置された層と交互に積層することができる。少なくともいくつかの例においては、補強繊維が打球面12に対して+45°の角度に配置された層が、補強繊維が打球面12に対して-45°の角度に配置された層と交互に積層された構造により、クラブヘッド構造によって打たれたときのボールの初速をさらに増すことができる。
【0021】
図2および図3に示されているように、クラウン30内には凸部31を設けることができる。この凸部31は、その幅が、クラブヘッド構造1の最後部に近づくにつれて徐々に狭くなるように構成することができ、凸部31は、クラブヘッド内側空間から離れる方向へ、たとえば実質的に垂直上向き方向に、突き出ることができる。少なくともいくつかの例においては、凸部31は、フェースプレート10の近傍および/またはクラウン30の側面からクラウンの最後部の方へ、加重本体50が設けられた位置までまたはその近くまで延びることができる。
【0022】
図3に示されているように、凸部31の両側の縁部に、2つの高剛性部32(たとえば、周囲の部分よりも厚く、周囲の部分よりも高い剛性を有する部分)が形成されている。この様式において、高剛性部32同士の間に、低剛性部33(たとえば、厚さおよび剛性の両方が高剛性部32よりも小さな部分)が形成されている。低剛性部33の構成は凸部31の構成に対応する。したがって、この例示的な構造では、低剛性部33は、クラウン30の最後部に近づくにつれて幅が徐々に狭くなり、フェースプレート10の近傍および/またはクラウンの側面からクラウン30の最後部の方へ延びている。
【0023】
クラブヘッド構造1の使用時には、ボールを打ったときに、クラウン30において変形波が発生しうる。しかし、この低剛性部33を設けることによって、この変形波は低剛性部33に沿って伝達される。その結果、変形波を効率的に加重本体50に伝達することができる。この例の低剛性部33は、変形波のエネルギーをフェースプレート10から離れる方向およびフェースプレート10に戻る方向に伝達する(かつさらに、加重本体50反射部材に向かう方向および加重本体50反射部材から離れる方向に伝達する)、変形波伝達システムとして働く。
【0024】
本発明による少なくともいくつかの例示的なクラブヘッド構造1では、クラウン30のヤング率は10GPaから100GPaの間と考えられる。クラウン30のヤング率がこの範囲であるとき、クラウン30は通常、ボールに伝達される運動エネルギーの量をさらに増やすことができるような、より適切な様式で変形することができる。
【0025】
この例示的な構造においてクラウン30を形成する繊維強化プラスチックのヤング率は、以下の方法によって得られる繊維強化プラスチックプレート材料を用いて測定することができる。
【0026】
まず、試験片としての使用対象となる繊維強化プラスチックプレート材料を製造する。この繊維強化プラスチックプレート材料を製造する際、クラウン30を形成する繊維強化プラスチックの製造に使用されるのと同じ材料のプリプレグを使用する。このプリプレグを適切なサイズに切断し、積層して積層体を形成する。積層構造および積層体のプリプレグの繊維の位置合わせを、クラウン30を形成している繊維強化プラスチックと同じにする。ゴルフクラブヘッドを形成するときと同じ温度条件および同じ圧力条件の下で、試験プレートの積層体を形成し、それによってヤング率試験用の繊維強化プレートを形成する。
【0027】
次に、この繊維強化プラスチックプレート材料を用いたヤング率を測定するのに用いる方法について説明する。具体的には、この例では、この繊維強化プラスチックプレート材料のヤング率を後述の張力試験において測定する。
【0028】
この測定方法では、まず、繊維強化プラスチックプレート材料(すなわち、上述の試験プレート)の両端を把持工具で把持し、次に繊維強化プラスチックプレート材料に引張り応力を加える。このとき、引張り応力を加える方向は、繊維強化プラスチックプレート材料をゴルフクラブヘッド構造1のクラウン30に組み込んだ場合にゴルフクラブヘッドの中心点とクラブヘッドの最後部を繋ぐ直線に沿った方向に対応する。
【0029】
次に、この引張り応力を加えたときに得られるひずみの量を、ひずみ計を用いて測定し、引張り応力とひずみの量との関係をグラフにプロットする。次いで、ひずみの量がひずみ絶対値の0.1%から0.3%である範囲を、このグラフから抽出する。本グラフは本質的にこの範囲では直線であるため、グラフの傾き(または勾配)を求め、この傾きを繊維強化プラスチックプレート材料のヤング率とみなす。
【0030】
少なくともいくつかの例示的なクラブヘッド構造1では、クラウン30の厚さは0.4mmから2mmの範囲で維持されると考えられる。クラウン30の厚さが0.4mm以上であるとき、クラウン30は通常、より適切に変形して、構造上の安定性を維持する。その結果、ボールに伝達される運動エネルギーの量をさらに増やすことができるだけでなく、全体的なゴルフクラブヘッド構造1の強度を、十分な程度に確保することができる。しかし、クラウン30の厚さが2mmを超える場合、通常クラウン30の重量は望ましくない程度まで増大し、ゴルフクラブヘッド1の重心はいくらか高くなる傾向がある。さらに、本構造に必要とされる繊維強化プラスチックの量が増え、それによって製造コストが高くなる。
【0031】
少なくともいくつかの例示的なクラブヘッド構造1では、ソール40を、各層の強化繊維の方向が一方向に位置合わせされた複数の繊維強化プラスチック層を積層することによって単体として形成することができる。これらの繊維強化プラスチック層は、各層の繊維位置合わせ方向がそれを挟む層の繊維位置合わせ方向に対して垂直となるように積層されうる。たとえば、補強繊維が打球面12に対して0°の角度に配置された層を、補強繊維が打球面12に対して90°の角度に配置された層と交互に積層することができる。本発明から逸脱することなく、交互の層に対して±45°の角度を使用することもできる。
【0032】
当技術分野で既知でありかつ使用されている従来の材料を含む任意の望ましい材料を、本発明から逸脱することなく、クラウン30および/またはソール40を形成する繊維強化プラスチックプレート材料に使用することができる。クラウン30および/またはソール40を形成する繊維強化プラスチックに含めることのできるマトリクス樹脂の例には、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、マレイミド樹脂、およびフェノール樹脂が含まれる。強化繊維の例には、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ホウ素繊維、炭化ケイ素繊維、高強度ポリエチレン、PBO繊維、およびステンレススチール繊維が含まれる。炭素繊維は、優れた比強度および弾性率を有するため、本発明の少なくともいくつかの例において強化繊維として使用されうる。
【0033】
同様に、本発明から逸脱することなく、任意の材料を加重本体50に使用することができる。本発明の少なくともいくつかの例においては、加重本体50は、タングステン、銅、鉛などの比重の大きな金属から構成されうる。いくつかの例においては、タングステンまたは銅の粒子と組み合わせた樹脂を使用することができる(たとえば、このような材料は好ましい形成特性を有する)。このような材料における樹脂として、クラウン30またはソール40の繊維強化プラスチックに使用されるのと同じマトリクス樹脂を使用できる。なぜなら、この様式において、加重本体50をクラウン30および/またはソール40を含む構造に容易に組み込むことができるからである。加重本体50は、クラウン30で発生し伝達システムによって伝達される変形波がクラブヘッド構造1の前部およびフェースプレート10の方へ反射されるのを可能にするような、構造および配置であってよい。この様式において、ボールを打った結果として変形波に含まれるエネルギーの少なくとも一部を、運動エネルギーとして、反射波を介してボールに返すことができる。
【0034】
本発明から逸脱することなく、様々な異なる重さの加重本体50を使用することもできる。たとえば、いくつかの例示的な構造1では、加重本体50の質量は10gから50gの範囲と考えられる。少なくともいくつかのゴルフクラブヘッド構造1においては、加重本体50の質量が10g以上である場合、変形波をより効率的に反射することができる。その結果、上述のように、ボールに作用する運動エネルギーの量をさらに増やすことができる。しかし、加重本体50の質量が50gを上回る場合、少なくともいくつかの例示的な構造では、ゴルフクラブヘッド1が過度に重くなり使用がより困難になる可能性がある。
【0035】
接着剤60は、本発明から逸脱することなく、様々な異なる組成でありうる。少なくともいくつかの例においては、接着剤60は、均一な厚さを有するフィルム型接着剤であってよい。このような接着剤を使用すると、構造が不規則になる可能性が低くなり、一定の接着強度を得ることがより容易になる。フィルム型接着剤60を形成するのに適した樹脂の例には、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、およびアクリル樹脂が含まれるが、これらに限定されるものではない。本発明の少なくともいくつかの例においては、その優れた接着強度のために、エポキシ樹脂が使用されている。より具体的には、本発明の少なくともいくつかの例においては、エポキシ樹脂組成には、エポキシ樹脂成分だけでなくエラストマ成分および硬化剤成分が含まれうる。本発明の少なくともいくつかの例による使用のための適切なエラストマ成分の具体的な例には、カルボキシ末端ブタジエンアクリロニトリルコポリマー(CTBN)などが含まれる。
【0036】
フィルム型接着剤60を使用する場合、不織布または織物のような繊維で形成された土台材料を含むように修飾することができる。フィルム型接着剤60が繊維などの土台材料を含む場合、その取り扱いの容易さおよび接着性を改善することができる。さらに、接着剤が硬化した後に接着剤に応力が発生して微細な亀裂が生じた場合でも、繊維材料は亀裂の延長またはさらなる発生の防止を助けることができる。その結果、接着剤の破壊強度を改善することができる。フィルム型接着剤60の土台材料用の不織布および織物として有用な材料の例には、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、アクリル繊維、およびガラス繊維が含まれる。
【0037】
次に、上記の例によりゴルフクラブヘッドを製造する例示的な方法について、詳しく説明する。まず、たとえば、金属の鋳込み、鋳造、機械的切削などによって、フェースおよびフランジを有する金属フェースプレートならびに金属ソールプレートを別々に得る。
【0038】
次に、予備形成体製造段階において、プリプレグをソールの構造へと予備的に形成することによって、第1の予備形成体を製造する。さらに、予備的にプリプレグをクラウンの構造へと形成することによって、第2の予備形成体を製造する。第1の予備形成体(この例においてはソール予備形成体)を製造する際、ソールプレート内に形成されるねじ穴が閉鎖されないように、開口部を形成する。この場合、「予備的に成形する」または「予備形成」という用語は、その接着力を用いて単体を形成するように複数のプリプレグを積層すること、およびその後、外形が最終的なクラウンまたはソールの外形に近い様な構造へとこれを形成することを指す。
【0039】
これらの予備形成体を製造する際、「予備形成」段階の前に、プリプレグ内に予め破壊線(breakage line)を形成しておくことが好ましい。プリプレグ内に予め破壊線を形成することによって、積み重ねられたプリプレグに対して予備形成段階を実行する際、破壊線の端部同士を接着することによって、湾曲構造であるクラウンおよびソールの構造を容易に形成することができる。
【0040】
次に、組立て段階において、図4に示されているように、第1の予備形成体71の底面をフィルム型接着剤60を介してソールプレート20の頂面に接着する。さらに、第1の予備形成体71とフェースプレート10のフランジ13をフィルム型接着剤60を介して一緒に接着する。このとき、第1の予備形成体71内の強化繊維を、その各層において、打球面12に対して0°および90°に位置合わせする。次に、その強化繊維の位置合わせ方向が打球面12の位置合わせ方向に対して垂直となるように積層されたプリプレグ72をさらに、第1の予備形成体71とフランジ13との間の接触部の近傍に接着する。
【0041】
次に、比重の高い金属(タングステンまたは銅など)の粉末をマトリクス樹脂の前駆体と混合することによって、金属含有化合物を作製する。次いで、この金属含有化合物をベルト型に形成し、加重本体予備形成体73を形成するように、第1の予備形成体71の最後部の内側に接着する。
【0042】
次に、図5に示されているように、ソールプレート20の穴21を介して圧力バッグ22を挿入する。圧力バッグ22には任意の望ましい材料を使用できるが、適切な材料の例には、シリコンゴム、ナイロン、およびポリエステルが含まれる。
【0043】
次いで、(クラウン用の)第2の予備形成体74を第1の予備形成体71上に配置し、第2の予備形成体74と、フェースプレート10のフランジ13を、フィルム型接着剤60を介して一緒に接着する。このとき、第2の予備形成体74内の強化繊維を、その各層において打球面12に対して+45°または-45°の角度に位置合わせする。次に、その各層において打球面12に対して+45°または-45°の角度に位置合わせされた強化繊維を有するプリプレグ75を、第2の予備形成体74とフランジ13との間の接触部の近傍に接着する。上記の段階の結果として、成形産物前駆体80が得られる。
【0044】
次に、ブラダー成形段階において、この成形産物前駆体80に対してブラダー成形を実行する。より具体的な例としては、図6に示されるように、成形産物前駆体80を、上部型90aおよび下部型90bによって形成される型90の内側に配置する。次いで、型90を閉じ、圧力バッグ22に空気(または他の気体)を供給することによって圧力バッグ22を膨張させる。クラブヘッドの最後部に近づくにつれて幅が徐々に狭くなる溝を、フェースプレート10の近傍または成形産物前駆体80の第2の予備形成体74の側面からその最後部の方へ延びる部分に対応する、型90の上部型90a内の位置に形成する。
【0045】
その結果、膨張した圧力バッグ22によって第1の予備形成体71および第2の予備形成体74が型90に押し付けられる。同時に、各予備形成体71および74のマトリクス樹脂が熱硬化され、それにより成形されて凝固する。この成形段階において、第1の予備形成体71の最後部の内側に接着された加重本体予備形成体73の前駆体を、加重本体50を成形するように硬化する。さらに、第2の予備形成体74の頂面の一部が、上部型90aの溝に押し込まれるため、クラブヘッドの最後部に近づくにつれて幅が徐々に狭くなりかつフェースプレートの近傍またはクラウンの側面から最後部の方へ延びる凸部を、クラウンに設ける。
【0046】
次に、型90を開け、得られる成形産物を抽出する。さらに、穴21を介して圧力バッグ22を取り出す。最後に、ねじ穴を閉鎖するようにソールプレート20の穴21にねじをねじ込み、それによってゴルフクラブヘッド構造を得られるようにする。
【0047】
上述の例においては、ゴルフクラブヘッド1の最後部の内側に加重本体50が設けられ、クラウン30の最後部に近づくにつれて幅が徐々に狭くなる低剛性部33がクラウン30内に設けられる(たとえば、図1〜図3参照)。このゴルフクラブヘッド1でボールを打つと、得られる衝撃によってクラウン30内に変形波が発生し、クラウン30はクラブヘッド構造1の背面の方へ移動する。しかし、このゴルフクラブヘッド構造1では、変形波が低剛性部33に沿って最後部まで伝達され、次いで、変形波のエネルギーの少なくとも一部を、クラウン30の最後部に設けられた加重本体50によって(変形波伝達システム33を介して)クラブヘッド1の正面の方へ反射することができる。この反射波をフェースプレート10を介してボールに作用させることも可能である。したがって、この反射エネルギー(すなわち、従来は変形のために失われていたエネルギー)をボールに伝達することが可能であるため、ゴルフクラブヘッド1の変形に起因する運動エネルギーの損失を少なくともある程度抑制することが可能になる。すなわち、ボールに伝達される運動エネルギーの量が(反射波によって)増えるため、ボールの初速が増し、それによって飛距離を伸ばすことが可能になる。
【0048】
本発明の望ましい態様の一例について、上記で説明した。しかし、当業者には容易に理解されるように、本発明はこの例示的な態様に限定されるものではない。本発明の精神または範囲から逸脱することなく、追加、省略、置換、およびその他の修正を施すことができる。本発明による様々な他の例示的なゴルフクラブヘッド構造について以下に詳しく説明する。
【0049】
本発明による別の例示的なゴルフクラブヘッド構造が図7に示されている。この例示的な構造では、たとえばクラウン30の頂面から実質的に垂直方向に、クラブヘッドの内部空間へと凹まされた凹部101が設けられている。この凹部101は、上記の例示的構造の凸部31と同様の様式で、フェースプレートの近傍またはクラウン30の側面からクラウン30の最後部の方へ延びうる。この凹部101の幅は、クラウン30の最後部に近づくにつれて幅が徐々に狭くなるような構造を有しうる。この種の凹部101を設けることによって、周囲の部分よりも厚く、周囲の部分よりも高い剛性を有する、2つの高剛性部102が形成される。さらに、高剛性部102同士の間に(例えば、クラウン30の最後部に近づくにつれて幅が徐々に狭くなり、かつ厚さおよび剛性が共に高剛性部102よりも小さい)低剛性部103が形成されている。
【0050】
本発明による別の例示的なゴルフクラブヘッド構造を、図8および図9に関して示す。この例示的な構造では、フェースプレート10の近傍および/またはクラウン30の側面からクラウン30の最後部の方へ延びる2つの隆起したリブ104がクラウン30内に設けられている。図示された例においては、リブ104間の空間は、リブ104がクラウン30の最後部に近づくにつれて徐々に狭くなる。クラウン30の、リブ104が設けられた部分では、厚さが増しているので、これらの部分104は、その周囲の部分よりも剛性が高い、高剛性部となる、さらに、クラウン30の、リブ104同士の間に含まれる部分は、リブ104が設けられた部分よりも薄いので、この中間部は、リブ104と比べて剛性の低い、クラウン30の低剛性部105を形成する。2つのリブ104間の空間は、リブ104がクラウン30の最後部に近づくにつれて徐々に狭くなるため、これらのリブ104の間に含まれる低剛性部105の幅は、クラウン30の最後部に近づくにつれて徐々に狭くなる。
【0051】
図8および図9に示されている構造の多数の変形を、本発明から逸脱することなく、使用することができる。たとえば、図9に示されているように、この例示的な構造のリブ104は、ゴルフクラブヘッドの外側を向くように設けられている(すなわち、リブ104は、クラウン30の外面上に隆起し、外側に延びている)。しかし、望ましいならば、リブ104の一部または全てを、ゴルフクラブヘッドの内側を向くように設けることができる(すなわち、1つまたは複数のリブ104がクラウン30の内面から隆起し、クラブヘッドの内側の方へ延びることができる)が、剛性が高くなるという同じ効果が実現される。さらに、図9に示されている構造は、リブ104を固体の部材として示しているが、リブ104は、本発明から逸脱することなく、中空であってもよい。さらにリブ104は、クラウン30構造の一部として一体的に(単一の一体型構造として)形成されてもよく、または何らかの様式でクラウン30に取り付けられた別々の要素であってもよい。
【0052】
図10は、本発明による更に別の例示的なゴルフクラブヘッド構造を示している。図10に示されているように、他のいくつかの例示的な態様に示されているような隆起した領域を形成することなく2つの高剛性部106を設けることも可能である。具体的には、図10に示されているように、2つの高剛性部106は、その周囲の部分よりも剛性の高い材料で形成されている。これらの高剛性部106は、クラウン30の残りの部分と同じ厚さであるが、フェースプレートの近傍および/またはクラウン30の側面からクラウン30の最後部の方へ延びている。この場合もまた、高剛性部106同士の間の空間107は、クラウン30の最後部に近づくにつれて徐々に狭くなる。高剛性部106同士の間の部分107は、周囲の高剛性部106よりも剛性の低いため、この部分107は、クラウンの最後部に近づくにつれて幅が徐々に狭くなる低剛性部107を形成する。
【0053】
本発明による別の例示的なゴルフクラブヘッド構造が図11に示されている。上記の例示的な構造のいくつかに示されているように高剛性部としてクラウン30の隆起した部分またはより厚い部分を設けるのでなく、周囲の部分よりも薄く、かつフェースプレートの近傍および/またはクラウン30の内面(または外面)からクラウン30の最後部の方へ延びる、クラウン30の部分を設けることも可能である。この薄い部分108の幅は、クラウン30の最後部に近づくにつれて徐々に狭くなる。薄い部分108の剛性はその周囲の部分よりも低いので、薄い部分108は低剛性部108を形成し、上述の低剛性部と同様の様式で変形波伝達システムとして機能する。
【0054】
図12に示されているように、その周囲の部分よりも剛性が低くかつクラウン30の残りの部分よりも剛性の低い材料から、クラウン30の一部109を形成することによって、低剛性部109を設けることも可能である。この部分109は、上記に概説したように、フェースプレートの近傍および/またはクラウン30の側面からクラウン30の最後部の方へ延びてよい。この低剛性部109の幅は、クラウン30の最後部に近づくにつれて徐々に狭くなる。低剛性部109の両側の部分に、高い剛性を有する材料で形成される高剛性部110を設けることによって、この種の低剛性部109を設けることもできる。
【0055】
図7〜図12を参照して上述したように、変形波を、低剛性部を介して加重本体50に向かう方向および/または加重本体50から離れる方向に効率的に伝達することもできる。
【0056】
さらに、上述の例においては、打球面に対して0°の角度に配置された強化繊維を含む層が、打球面に対して90°の角度に配置された強化繊維を含む層と交互に積層されかつその層の間に挟まれるように、クラウン30内の強化繊維の位置合わせ方向を制御することができる。または、本発明の少なくともいくつかの実施例においては、打球面に対して+45°の角度に配置された強化繊維を含む層が、打球面に対して-45°の角度に配置された強化繊維を含む層と交互に積層されかつその層の間に挟まれるように、クラウン30内の強化繊維の位置合わせ方向を制御することができる。本発明による少なくともいくつかの例示的な構造では、層の方位角が0°から±90°の範囲内に位置すれば十分である。この範囲内では、少なくともいくつかの例においては、範囲が±10°から±80°の間に維持されることが好ましい。というのは、これにより、より速いボール初速が得られるからである。同様に、ソール内の強化繊維の方位角も、打球面に対して0°から±90°の範囲内に、いくつかの例においては±10°から±80°の間に維持することができるが、本発明から逸脱することなく、他の構成および方位角を使用することもできる。
【0057】
望ましいならば、本発明の少なくともいくつかの実施例においては、繊維強化プラスチックに含まれる強化繊維を所与の層内で位置合わせする必要はなく、かつ/または互いに対して垂直である方向に配置された複数の一方向層として配置する必要はない。さらに、少なくともいくつかの例示的な構造では、織物を使用してもよい。
【0058】
さらに、上述の例示的な構造では、フェースプレート10のフランジ13とクラウン30とソール40、および、ソールプレート20とソール40は、フィルム型接着剤を用いて一緒に接着されている。しかし、本発明から逸脱することなく、これらの部材を一緒に固定する他の手段を使用することができる。たとえば、1つまたは複数の機械的コネクタを使用してもよい。望ましいならば、溶接またははんだ付けを使用してもよい。更に別の例として、本発明から逸脱することなく、液体型接着剤を使用することができる。液体型接着剤を使用する例においては、ゴルフクラブヘッドなどの三次元形状を形成する際、比較的均一な厚さおよび幅のコーティングを設けるように十分な注意が必要である。接着剤のコーティングのむらおよび/または厚さのむらは、少なくともいくつかの例においては、接着剤コーティングの接着強度の低下を招き、それによって一定の強度を有するゴルフクラブヘッドを得るのが困難になる。
【0059】
望ましいならば、打球面を含むゴルフクラブヘッドの任意の表面上に装飾層または標識を設けることも可能である。装飾層または標識を設けると、ゴルフクラブヘッドのデザインは審美的により魅力的になる。望ましいならば、印刷、彫刻、およびその他の従来のマーキングシステムおよび方法を用いて、クラブヘッド上に装飾情報または標識を設けることができる。
【実施例】
【0060】
本発明による構造を含む、ゴルフクラブヘッド構造の作製の様々な実施例、およびそのような構造を用いて得られる結果を以下に示す。しかし、当業者には、本発明の意図が、これらの実施例やそれによって得られる結果にはどのようにも制限されないことが認識されよう。
【0061】
実施例1
まず、2.8mm厚のフェースおよび1.5mm厚のフランジを備えたチタン合金フェースプレートと、1.5mm厚のステンレススチール(SUS314)ソールプレートとを、別々に鋳込んだ。次に、ソールプレートおよびフェースプレートのフランジ表面に、ブラスト加工によって表面粗引き処理を施し、次いでアセトンを用いてこれらの表面を脱脂した。
【0062】
次に、第1の予備形成体製造段階において、2つの交差方向に配置された炭素繊維を有する(Mitsubishi Rayon Co., Ltd.によって製造されているPYROFIL(登録商標)TR350で作製された)プリプレグにエポキシ樹脂を含浸させ、ゴルフクラブヘッドのソールの大まかな構造へと予め形成し、それによって(1.5mm厚の)第1の予備形成体を形成した。このときに、ソールプレートのねじ穴がソール予備形成体によって塞がれないように、第1の予備形成体内に開口部を形成した。
【0063】
次に、組立て段階において、図4に示されているように、第1の予備形成体71の底面を、フィルム型接着剤60を介してソールプレート20の頂面に接着した。さらに、第1の予備形成体71を、フィルム型接着剤60を介してフェースプレート10のフランジ13に接着した。次に、炭素繊維が打球面12に対して0°に延びる方向に位置合わせされた0.25mm厚のプリプレグ72を、第1の予備形成体71とフランジ13との間の接触部の近傍にさらに接着した。
【0064】
次いで、タングステン粉末をエポキシ樹脂組成物内で混合し、得られたタングステン含有混合物を10mm幅のベルト型に形成した。次に、ベルト型に形成されたこのタングステン含有混合物30gを測定し、第1の予備形成体71の最後部の内側に接着した。その結果、加重本体予備形成体73を得た。
【0065】
その後、図5に示されているように、シリコンゴムで形成された圧力バッグ22を、ソールプレート20のねじ穴21(および第1の予備形成体71内に設けられた対応する開口部)を介して第1の予備形成体71に挿入した。
【0066】
第2の予備形成体製造段階において、その炭素繊維の方向が、各層において、打球面に対して±45°の角度に位置合わせされ配置されるように、4層の上述のプリプレグを積層した。その結果、予めゴルフクラブヘッドのクラウンの形状に形成された(0.5mm厚の)第2の予備形成体を得た。次いで、この第2の予備形成体74を第1の予備形成体71上に配置し、第2の予備形成体74と、フェースプレート10のフランジ13を、フィルム型接着剤60を介して一緒に接着した。次に、炭素繊維が打球面12に対して±45°の角度に位置合わせされた0.5mm厚のプリプレグ75を、第2の予備形成体74とフランジ13との間の接触部の近傍にさらに接着した。このような様式で、成形産物前駆体80を得た。
【0067】
次に、図6に示されているように、内圧成形段階を実行した。具体的には、上部型90aおよび下部型90bによって形成された型90の内側に、成形産物前駆体80を配置した。型90を油圧プレスによって密閉し、次いで圧力バッグ22に空気を供給することによって圧力バッグ22を膨張させた。この例で用いられた上部型90aは、クラウンの最後部に近づくにつれて幅が徐々に狭くなる、深さ3mmの溝を有していた。成形産物前駆体80のフェースプレート10の近傍からクラウンの最後部の方へ延びるクラウンの部分に対応する位置に、この溝を設けた。
【0068】
第1の予備形成体71および第2の予備形成体74を、膨張した圧力バッグ22によって型90に押し付けた。同時に、各予備形成体のマトリクス樹脂を熱硬化させ、それによって、マトリクス樹脂を成形して凝固させた。この成形の結果として、第1の予備形成体71およびプリプレグ72がソール40を形成し、第2の予備形成体74およびプリプレグ75がクラウン30を形成した。さらに、加重本体予備形成体73が加重本体50を形成した。また、クラブヘッド構造の最後部に近づくにつれて幅が徐々に狭くなり、かつフェースプレートの近傍からクラウン30の最後部の方へ延びる凸部を、クラウン30に設けた。
【0069】
次に、型を開け、得られた成形産物を抽出した。さらに、穴21を介して圧力バッグ22を取り出した。最後に、ねじ穴を閉鎖するようにソールプレートの穴21にタングステン合金ねじをねじ込んで、それによってゴルフクラブヘッドを得た。
【0070】
実施例2
上部型に溝を形成しないこと以外は実施例1と同じ様式で、ゴルフクラブヘッドを得た。得られたこのゴルフクラブヘッドは、凸部が設けられていないこと以外は実施例1のゴルフクラブヘッドと同じであった。
【0071】
実施例3
プリプレグの炭素繊維の方向が打球面に対して交互に0°および90°になるようにプリプレグを積層することによって第2の予備形成体を得たこと以外は実施例2と同じ様式で、ゴルフクラブヘッドを得た。
【0072】
実施例4
実施例1〜実施例3を比較するために、クラウンが0.5mm厚でありソールが1.5mm厚である、チタン合金ゴルフクラブヘッドを使用した。
【0073】
ボールの初速の測定
実施例1〜実施例4のゴルフクラブヘッドを用いて、ヘッド速度50m/秒で打ったゴルフボールの初速を、レーザ光法を用いて30回測定した。得られた平均値を表1に示す。
【0074】
【表1】

【0075】
表1に示されているように、最後部の内側に加重本体が設けられたゴルフクラブヘッドを用いて得られたボール初速は、チタン合金ゴルフクラブを用いて得られたボール初速よりも速かった。この結果から、飛距離が延びると仮定することができる。特に、クラウン内の強化繊維の位置合わせ方向が打球面に対して±45°でありかつ低剛性部が形成されるように凸部が設けられた、実施例1のゴルフクラブヘッドは、最も速いボール初速を実現する。したがって、このゴルフクラブヘッドは、飛距離を最も伸ばすことができると仮定することができる。
【0076】
当技術分野で公知の従来の様式を含む任意の望ましい様式で、シャフトをヘッドに取り付けかつグリップをシャフトに取り付けることによって、上述の種類のゴルフクラブヘッドをゴルフクラブとして形成することができる。たとえば、機械的コネクタ、ねじ、ビス、ボルト、接着剤などを用いて、シャフトをヘッドに取り付けることができる。グリップもまた、接着剤などを用いてシャフトに取り付けることができる。本発明から逸脱することなく、従来のシャフト材料(たとえば、鋼、黒鉛など)およびグリップ材料(たとえば、ポリマー、合成ゴム、革など)を用いることもできる。
【0077】
本発明の現在好ましい実施態様を含む特定の実施例を参照して本発明を説明したが、当業者には、上述のシステムおよび方法の多数の改変態様および置換態様があることが理解されよう。したがって、本発明の意図および範囲は、添付の特許請求の範囲に記載されているように広義に解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0078】
添付の図面を考慮しながら上記の説明を参照することによって、本発明およびその特定の利点をより完全に理解することができるが、ここで、同じ参照番号は同じ部品を示す。
【図1】本発明による例示的なゴルフクラブヘッド構造を示す断面図である。
【図2】ゴルフクラブヘッド構造の凸部をさらに示す、図1に示されているゴルフクラブヘッド構造の平面図である。
【図3】図2の線A-A'に沿った断面図である。
【図4】図1に示されているゴルフクラブヘッド構造を製造する例示的な方法における1つの段階を示す断面図である。
【図5】図1に示されているゴルフクラブヘッド構造を製造する例示的な方法における別の段階を示す断面図である。
【図6】図1に示されているゴルフクラブヘッド構造を製造する例示的な方法における別の段階を示す断面図である。
【図7】本発明によるゴルフクラブヘッド構造の別の例を示す断面図である。
【図8】本発明によるゴルフクラブヘッド構造のさらに別の例を示す平面図である。
【図9】図8の線B-B'に沿った断面図である。
【図10】本発明によるゴルフクラブヘッド構造の別の例を示す断面図である。
【図11】本発明によるゴルフクラブヘッド構造のさらに別の例を示す断面図である。
【図12】本発明によるゴルフクラブヘッド構造の別の例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0079】
1 ゴルフクラブヘッド、 10 フェースプレート、 11 フェース、 12 打球面、 13 フランジ、 20 ソールプレート、 21 穴、 22 圧力バッグ、 30 クラウン、 31 凸部、 32 高剛性部、 33 低剛性部、 40 ソール、 50 加重本体、 60 接着剤、 71 第1の予備形成体、 72 プリプレグ、 73 加重本体予備形成体、 74 第2の予備形成体、 75 プリプレグ、 80 成形産物前駆体、 90 型、 90a 上部型、 90b 下部型、 101 凹部、 102 高剛性部、 103 低剛性部、 104 リブ、 105 低剛性部、 106 高剛性部、 107 低剛性部、 108 低剛性部、 109 低剛性部、 110 高剛性部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、ゴルフクラブヘッド:
金属製のフェースプレート;
フェースプレートに取り付けられた繊維強化プラスチック製のクラウンであって、フェースプレートの近傍からゴルフクラブヘッドの最後部の方へ延びかつ最後部の方へ延びるにつれて徐々に狭くなる幅を有する低剛性部を含む、クラウン;
フェースプレートおよびクラウンに取り付けられた繊維強化プラスチック製のソール;ならびに
クラウン、ソール、およびフェースプレートによって規定される空間の内側に設けられ、かつゴルフクラブヘッドの最後部に設けられた、加重部材。
【請求項2】
低剛性部が、クラウンの主表面から突き出るようにクラウンの凸部上に設けられる、請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
クラウンを形成する繊維強化プラスチックのヤング率が10GPaから100GPaである、請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
クラウンの厚さが0.4mmから2mmの範囲である、請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
加重部材の質量が10gから50gの範囲である、請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
低剛性部が、低剛性部の第1の側面に隣接して配置された第1の高剛性部と、低剛性部の第2の側面に隣接して配置された第2の高剛性部との間に形成され、かつ、低剛性部が、第1の高剛性部および第2の高剛性部よりも剛性の低い、請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
第1の高剛性部が、低剛性部よりも厚い第1のリブを含み、第2の高剛性部が、低剛性部よりも厚い第2のリブを含む、請求項6記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
第1のリブが、クラウンの主表面から、空間から離れる方向に延び、かつ第2のリブが、クラウンの主表面から、空間から離れる方向に延びる、請求項7記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
第1のリブが、クラウンの主表面から、空間に向かう方向に延び、かつ第2のリブが、クラウンの主表面から、空間に向かう方向に延びる、請求項7記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
低剛性部が、クラウン表面の大部分を構成する材料よりも薄い材料で形成される、請求項6記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
低剛性部が、クラウンの大部分を構成する材料よりも剛性の低い材料で形成される、請求項6記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
第1の高剛性部および第2の高剛性部は、クラウンの大部分を構成する材料よりも剛性の高い1つまたは複数の材料で作製される、請求項6記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
クラウンが、第1の方向に位置合わせされた繊維を有する第1の繊維強化プラスチック層と、第1の方向とは異なる第2の方向に位置合わせされた繊維を有する第2の繊維強化プラスチック層とを含む、請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
第1の方向が、第2の方向に実質的に垂直である、請求項13記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項15】
第1の方向が、フェースプレートの打球面に対して約0°の角度であり、第2の方向が、打球面に対して約90°の角度である、請求項14記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項16】
第1の方向が、フェースプレートの打球面に対して約+45°の角度であり、第2の方向が、打球面に対して約-45°の角度である、請求項14記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項17】
以下を含む、ゴルフクラブ:
請求項1記載のゴルフクラブヘッド;および
ゴルフクラブヘッドに取り付けられたシャフト。
【請求項18】
シャフトに取り付けられたグリップをさらに含む、請求項17記載のゴルフクラブ。
【請求項19】
以下を含む、ゴルフクラブヘッド:
フェースプレートに取り付けられたクラブヘッド本体であって、ゴルフクラブヘッドによってボールが打たれたときに発生する変形波に含まれるエネルギーの少なくとも一部を、フェースプレートから離れる方向およびフェースプレートに向かう方向に伝達するための変形波伝達システムを含む、クラブヘッド本体;および
反射部材に入射した変形波のエネルギーの少なくとも一部を変形波伝達システムを介してフェースプレートに反射するための反射部材。
【請求項20】
変形波伝達システムが、フェースプレートの近傍からゴルフクラブヘッドの最後部の方へ延び、最後部の方へ延びるにつれて徐々に狭くなる幅を有し、かつ、クラブヘッド本体の主表面から突き出るようにクラブヘッド本体の凸部上に設けられる、請求項19記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項21】
反射部材が、少なくとも部分的にクラブヘッド本体内に配置される、請求項19記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項22】
変形波伝達システムが、フェースプレートの近傍からゴルフクラブヘッドの最後部の方へ延びる低剛性部を含み、低剛性部が、最後部の方へ延びるにつれて徐々に狭くなる幅を有し、低剛性部の第1の側面に隣接して配置された第1の高剛性部と、低剛性部の第2の側面に隣接して配置された第2の高剛性部との間に形成され、かつ、第1の高剛性部および第2の高剛性部よりも剛性の低い、請求項19記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項23】
第1の高剛性部が、低剛性部よりも厚い第1のリブを含み、第2の高剛性部が、低剛性部よりも厚い第2のリブを含む、請求項22記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項24】
第1のリブが、クラウンの主表面から、空間から離れる方向に延び、第2のリブが、クラウンの主表面から、空間から離れる方向に延びる、請求項23記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項25】
第1のリブが、クラウンの主表面から、空間に向かう方向に延び、第2のリブが、クラウンの主表面から、空間に向かう方向に延びる、請求項23記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項26】
低剛性部が、クラブヘッド本体の大部分を構成する材料よりも薄い材料で形成される、請求項22記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項27】
低剛性部が、クラブヘッド本体の大部分を構成する材料よりも剛性の低い材料で形成される、請求項22記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項28】
第1の高剛性部および第2の高剛性部が、クラブヘッド本体の大部分を構成する材料よりも剛性の高い1つまたは複数の材料で作製される、請求項22記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項29】
クラブヘッド本体の少なくともクラウンは、第1の方向に位置合わせされた繊維を有する第1の繊維強化プラスチック層および、第1の方向とは異なる第2の方向に位置合わせされた繊維を有する第2の繊維強化プラスチック層とを含む、請求項19記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項30】
第1の方向が、第2の方向に実質的に垂直である、請求項29記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項31】
第1の方向が、フェースプレートの打球面に対して約0°の角度であり、第2の方向が、打球面に対して約90°の角度である、請求項30記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項32】
第1の方向が、フェースプレートの打球面に対して約+45°の角度であり、第2の方向が、打球面に対して約-45°の角度である、請求項30記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項33】
以下を含む、ゴルフクラブ:
請求項19記載のゴルフクラブヘッド;および
ゴルフクラブヘッドに取り付けられたシャフト。
【請求項34】
シャフトに取り付けられたグリップをさらに含む、請求項33記載のゴルフクラブ。
【請求項35】
接着剤を用いてフェースプレートにソール予備形成体(preform)を取り付ける段階;
接着剤を用いてフェースプレートおよびソール予備形成体にクラウン予備形成体を取り付ける段階;
クラウン予備形成体またはソール予備形成体の少なくとも一方に加重部材予備形成体を取り付ける段階;ならびに
クラウン予備形成体、ソール予備形成体、およびフェースプレートをゴルフクラブヘッド構造として形成する段階を含む方法であって、クラウン予備形成体が、フェースプレートの近傍からゴルフクラブヘッドの最後部の方へ延びる低剛性部を含むように形成され、低剛性部が、最後部の方へ延びるにつれて徐々に狭くなる幅を有する方法。
【請求項36】
形成段階が、クラウン予備形成体、ソール予備形成体、およびフェースプレートを一緒に加圧成形する段階、ならびに、クラウン予備形成体、ソール予備形成体、および加重部材予備形成体を加熱する段階の少なくとも一方を含む、請求項35記載の方法。
【請求項37】
接着剤を用いてフェースプレートにクラブヘッド本体予備形成体を取り付ける段階;
クラブヘッド本体予備形成体の少なくとも一部に変形波反射部材予備形成体を取り付ける段階;ならびに
クラブヘッド本体予備形成体およびフェースプレートからゴルフクラブヘッド構造を形成する段階を含む方法であって、形成の際に、クラブヘッド本体が、ゴルフクラブヘッドによってボールが打たれたときに発生する変形波に含まれるエネルギーの少なくとも一部を、フェースプレートから離れる方向およびフェースプレートに向かう方向に伝達するための変形波伝達システムを含むように成形される方法。
【請求項38】
変形波伝達システムが、フェースプレートの近傍からゴルフクラブヘッドの最後部の方へ延び、変形波伝達システムが、最後部の方へ延びるにつれて徐々に狭くなる幅を有する、請求項37記載の方法。
【請求項39】
形成段階が、クラブヘッド本体およびフェースプレートを一緒に加圧成形する段階、ならびに、クラブヘッド本体および変形波反射予備形成体を加熱する段階の少なくとも一方を含む、請求項37記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−75594(P2006−75594A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−253047(P2005−253047)
【出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(505087849)ナイキ インコーポレーティッド (123)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】