説明

サンドイッチパネル及び建築壁体

【課題】見栄えのよい仕上がり外観の壁面を容易に構築できるようにする。
【解決手段】サンドイッチパネル10は、前面側の第1の金属板11と裏側の第2の金属板12との間に断熱材13を介在させたものである。金属板11,12としては鋼板が好適である。断熱材13としては厚さ15〜100mm程度の合成樹脂発泡体が好適である。第1の金属板11の厚さは0.1〜0.4mmであり、特に0.2〜0.35mm程度例えば約0.27mmが好適である。第2の金属板12の厚さは第1の金属板11よりも大であり、具体的には0.35〜1.5mm特に0.4〜1.0mm例えば約0.5mm程度が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1対の金属板間に断熱材を介在させたサンドイッチパネルと、このサンドイッチパネルを躯体に留め付けた建築壁体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
1対の金属板同士の間に断熱材を介在させてなるサンドイッチパネルを用いて壁を構築したり改修することが行われている。
【0003】
特開平11−159032号公報には、金属箔、発泡断熱材及び金属板をサンドイッチ状に積層してなるパネルを釘打ちにより躯体に留め付けることが記載されている。
【特許文献1】特開平11−159032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サンドイッチパネルをビスや釘によって躯体に留め付け、この上に塗装やタイル張り等の仕上げを施す場合、ビスや釘の頭部がサンドイッチパネルから出っ張っていると、塗装仕上げ後、頭部の分だけ塗膜が盛り上ってしまい、見栄えが悪くなる。また、タイル張り用の接着剤の塗布時にコテ等が頭部に当って作業性が悪くなる。
【0005】
頭部が出っ張らないようにビスや釘を深く打ち込むようにした場合、従来のサンドイッチパネルでは頭部周囲の金属板が凹反りし、やはり仕上げ後の見栄えが悪くなる。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決し、見栄えのよい仕上がり外観の壁面を容易に構築できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1のサンドイッチパネルは、第1及び第2の金属板の間に断熱材が介在されてなるサンドイッチパネルにおいて、第1の金属板の厚さが0.1〜0.4mmであり、第2の金属板の厚さがそれよりも大きいことを特徴とするものである。
【0008】
請求項2のサンドイッチパネルは、請求項1において、該第2の金属板の厚さが0.35〜1.5mmであることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3のサンドイッチパネルは、請求項1又は2において、該金属板は鋼板であることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4の建築壁体は、頭部を有したビス又は釘よりなる留付具によってサンドイッチパネルが躯体に留め付けられている建築壁体において、該サンドイッチパネルは、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のサンドイッチパネルであり、前記第1の金属板を前面側としており、該留付具の頭部が該サンドイッチパネルにめり込み、頭部の先端面が第1の金属板の前面から非突出となっていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のサンドイッチパネル及び建築壁体にあっては、サンドイッチパネルの第1の金属板の厚さが適切であるため、留付具を打ち込んだ場合に留付具の頭部のみが第1の金属板にめり込み、頭部の先端面を第1の金属板から非突出、即ち、面一か又はそれよりも引込んだ状態とすることができ、また第1の金属板の凹反りも生じない。このため、塗装仕上げした場合には見栄えが良好になる。また、タイル張り施工時に接着剤塗布用のコテが留付具の頭部に引掛かることがなく、塗布作業を容易に行うことができる。また、柱と当接する第2の金属板の厚さが大きいため、サンドイッチパネルを施工したときの耐面内剪断性が向上するという効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図は実施の形態に係るサンドイッチパネルの全体縦断面図、第2図は第1図の一部の拡大図、第3図はサンドイッチパネルの取り付け状態を示す水平断面図、第4図及び第5図は比較例に係るサンドイッチパネルの取り付け状態を示す水平断面図である。
【0013】
第1図〜第2図の通り、このサンドイッチパネル10は、前面側の第1の金属板11と裏側の第2の金属板12との間に断熱材13を介在させたものである。金属板11,12としては鋼板が好適である。断熱材13としては厚さDが15〜100mm程度の発泡ウレタン、発泡スチレン等の合成樹脂発泡体が好適であるが、これに限定されるものではない。
【0014】
このサンドイッチパネル10の上端側には、厚みを小さくするようにして雄実10aが形成されている。また、サンドイッチパネル10の下端面には、厚み方向の中央部分から上方に凹陥する雌実10bが形成され、この雌実10bの奥部(天井面)にゴム等よりなるパッキン10cが接着等により固着されている。下段側に配設されたサンドイッチパネル10の雄実10aと、上段側に配設されたサンドイッチパネル10の雌実10bとが係合するようにしてこのサンドイッチパネル10が壁に設置される。なお、雄実、雌実の形状は図示以外であってもよい。
【0015】
施工時に前面側とされる第1の金属板11の厚さは0.1〜0.4mmであり、特に0.2〜0.35mm程度例えば約0.27mmが好適である。第2の金属板12の厚さは第1の金属板11の厚さよりも大きく、具体的には0.35〜1.5mm特に0.4〜1.0mm例えば約0.5mm程度が好ましい。
【0016】
第2の金属板12は、第1の金属板11よりも0.08〜1.1mm特に0.15〜0.3mm厚いことが好ましい。また、第1の金属板と第2の金属板を識別するため、一方の表面のみ塗装する、異なった色の塗装をするなどを行うことが望ましい。
【0017】
このサンドイッチパネル10を第3図のように柱30にビス20によって留め付けると、ビス20の頭部が第1の金属板11にめり込み、その先端面が第1の金属板11から非突出となる。
【0018】
この第1の金属板11は厚さが0.1mm以上であるため、剛性が高く、ビス留めしてもビス周囲が殆ど凹反りしない。なお、ビス20を強く締め込んでいくと、ビス20の頭部が第1の金属板11の面よりも奥に引込んでいくので、ねじ込み完了をすぐに知ることができる。
【0019】
第2の金属板12は、第1の金属板11よりも厚いため、ビス留めによって柱30に押し付けられても変形しない。このため、サンドイッチパネル10の全体の厚さ(t+D+t)は、サンドイッチパネル10の全領域で均等となる。この結果、隣り合うサンドイッチパネル10の面出入りが均一に揃ったものとなる。従って、仕上げ処理した場合、サンドイッチパネル同士の継目(板間継目)が目立たず、見栄えが良いものとなる。
【0020】
第1の金属板11の前面は、全体として平坦であり、塗装仕上げした場合にビス頭部が出張らず、見栄えが良好である。
【0021】
また、タイル張り仕上げする場合、タイル用接着剤を塗布するためのコテがビス頭部に引掛かることがなく、作業を行い易い。なお、板間の段差がないため、板間に跨がってタイル張りする場合でもタイルをしっかりと張ることができ、張り上りも良好となる。
【0022】
なお、第1の金属板11の厚さが0.4mm以下であるため、第1の金属板11よりも大きい厚さの第2の金属板12を含めたサンドイッチパネルの重量が過大となることがない。
【0023】
第4,5図を参照して比較例とその短所について説明する。
【0024】
第4図は、第1の金属板11Aと第2の金属板12Aとの厚さt,tを等しくした第1比較例に係るサンドイッチパネル10Aの施工状態を示す水平断面図である。
【0025】
この比較例では、第1及び第2の金属板11A,12Aが同厚さであり、剛性が同じである。このため、ビス20をねじ込んでいくと、第2の金属板12Aが柱30に押し付けられて柱30との当接部付近が凹反りすると共に、第1の金属板11Aもビス頭部に押されてビス20の周囲が凹反りする。このように、第1の金属板11Aが凹反りするため、見栄えが悪くなる。また、ビス20の締め加減によってサンドイッチパネル10Aの前面の出入りが変わるため、隣接するサンドイッチパネル10A同士の継目(板間)に段差が生じ易くなる。
【0026】
第5図は、第1の金属板11Bの厚さtよりも第2の金属板12Bの厚さtを小としたサンドイッチパネル10Bの施工状態を示す水平断面図である。
【0027】
この第2比較例では、ビス20を締め込んでいくと、厚さが小さく剛性の小さい第2の金属板12Bに柱30がめり込む。このため、サンドイッチパネル10Bの面出入りがビス20の締め加減によって変わるようになり、板間に段差が生じ易くなる。
【0028】
このように、t=tとした第1比較例及びt>tとした第2比較例のいずれによっても見栄えが悪いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施の形態に係るサンドイッチパネルの全体縦断面図である。
【図2】第1図の一部の拡大図である。
【図3】サンドイッチパネルの取り付け状態を示す水平断面図である。
【図4】比較例に係るサンドイッチパネルの取り付け状態を示す水平断面図である。
【図5】比較例に係るサンドイッチパネルの取り付け状態を示す水平断面図である。
【符号の説明】
【0030】
10,10A,10A サンドイッチパネル
11,11A,11B 第1の金属板
12,12A,12B 第2の金属板
20 ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の金属板の間に断熱材が介在されてなるサンドイッチパネルにおいて、
第1の金属板の厚さが0.1〜0.4mmであり、第2の金属板の厚さがそれよりも大きいことを特徴とするサンドイッチパネル。
【請求項2】
請求項1において、該第2の金属板の厚さが0.35〜1.5mmであることを特徴とするサンドイッチパネル。
【請求項3】
請求項1又は2において、該金属板は鋼板であることを特徴とするサンドイッチパネル。
【請求項4】
頭部を有したビス又は釘よりなる留付具によってサンドイッチパネルが躯体に留め付けられている建築壁体において、
該サンドイッチパネルは、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のサンドイッチパネルであり、前記第1の金属板を前面側としており、
該留付具の頭部が該サンドイッチパネルにめり込み、頭部の先端面が第1の金属板の前面から非突出となっていることを特徴とする建築壁体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−92317(P2007−92317A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−280259(P2005−280259)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【出願人】(000207436)日鉄住金鋼板株式会社 (178)
【Fターム(参考)】