サンプリング装置および波形観測システム
【課題】 繰り返し周期が長い信号であってもその波形情報を正確に取得できるようにする。
【解決手段】 演算手段22は、入力信号Sの波形繰り返し周期Txの整数N倍と、サンプリング周期Tsの整数Q倍との差がオフセット遅延時間ΔTとなる整数Q、Nと、その整数に応じたサンプリング周期Tsを算出する。光サンプリング部25は、算出されたサンプリング周期Tsで入力信号Sに対するサンプリングを行いう。データ取得制御手段34は、サンプリングで得られた信号Eoから、サンプリング周期TsのQ倍の周期をもつ第2のクロック信号C2に同期して、入力信号の波形情報を取得する。
【解決手段】 演算手段22は、入力信号Sの波形繰り返し周期Txの整数N倍と、サンプリング周期Tsの整数Q倍との差がオフセット遅延時間ΔTとなる整数Q、Nと、その整数に応じたサンプリング周期Tsを算出する。光サンプリング部25は、算出されたサンプリング周期Tsで入力信号Sに対するサンプリングを行いう。データ取得制御手段34は、サンプリングで得られた信号Eoから、サンプリング周期TsのQ倍の周期をもつ第2のクロック信号C2に同期して、入力信号の波形情報を取得する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一の波形が所定周期で繰り返し現れる信号に対するサンプリングを行い、波形情報を高い時間分解能で取得し、観測するための技術に関し、波形の繰り返し周期が、サンプリング周期より広い場合であっても、波形情報を正確に高い時間分解能で取得できるようにするための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、数10GHzの高速のクロック信号で強度変調された光信号のように、同一波形が短い周期で繰り返し現れる信号の波形データを、高い分解能で取得して観測するために、図9に示すサンプリング方式の波形観測装置10が用いられている。
【0003】
この波形観測装置10は、入力される光信号Pの波形の繰り返し周期TxのN倍(Nは1以上の任意の整数で例えば100、1000等)より所定値(オフセット遅延時間)ΔTだけ長い繰り返し周期Ts(=N・Tx+ΔT)をもち、パルス幅が狭い光サンプリングパルスPsを光サンプリングパルス発生手段11によって生成する。
【0004】
そして、その生成された光サンプリングパルスPsを光サンプリング部12に入力し、光信号Pを光サンプリングパルスPsでサンプリングし、そのサンプリングによって得られたパルス光を光電変換して電気のパルス信号Eoに変換し、このパルス信号Eoの振幅強度をA/D変換器13によってデジタルのデータに変換して波形データメモリ14に記憶し、この波形データメモリ14に記憶された一連の波形データを表示制御手段15が読み出して表示器16に波形表示する。
【0005】
このようなサンプリング方式の波形観測装置10では、図10の(a)に示すように、光信号Pの繰り返し波形がN回連続して入力される毎に、光サンプリングパルスPsによるサンプリングタイミングが図10の(b)のように、ΔT時間ずつシフトしていくため、繰り返し周期Txに比べて格段に低速なサンプリングで、光信号Pの波形情報を高分解能に取得でき、これを表示器16の画面上で観測することができる。
【0006】
上記のようなサンプリングによって信号の波形を取得する技術は、次の特許文献1に開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2002−071725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、サンプリングに用いるパルスは、前記したように0.1psのように非常に幅の狭い信号であり、このような信号の周期、即ちサンプリング周期を広い範囲にわたって高精度に可変できるようにすることは極めて困難である。
【0009】
即ち、パルス光で0.1psの幅を実現する場合、一般的にパルス光を分散減少ファイバに入力し、その非線形効果によりパルス幅を狭くして出射しているが、この非線形効果により所望の形状をした安定なパルスを生じさせるためには、入力光の瞬時強度がある程度大きく且つ所定の範囲に入っていなければならない。
【0010】
このため、通常は、光サンプリングパルス発生手段11において、図11に示すように、分散減少ファイバ11aに入射するパルス光Pb′の平均電力を安定化するための自動利得制御型のファイバアンプ11bを用いている。
【0011】
ところが、この自動利得型のファイバアンプ11bは、出射する光の平均電力を安定化するように制御するため、サンプリング周期、即ち、入力されるパルス光Pbの間隔が大幅に変化すると、それに応じて利得が大幅に変化して、分散減少ファイバ11aへ適正な瞬時強度のパルス光を入射できなくなる。
【0012】
このような理由から、一般的にサンプリング周期の1パーセント程度が可変範囲の限度となっている。
【0013】
このサンプリング周期の可変幅の狭さは、繰り返し周期が長い信号の波形観測に制限を与え、擬似ランダムパターンで変調された信号のように同一波形の繰り返し周期が長い信号の波形観測がうまく行えない。
【0014】
つまり、サンプリング周期の最大値をTmax、最小値をTminとすると、整数Nがとりうる範囲は、
(Tmin−ΔT)/Tx≦N≦(Tmax−ΔT)/Tx
となる。
【0015】
ここで、TmaxおよびTminに対してΔTが無視できるとすれば、上記式は、
Tmin/Tx≦N≦Tmax/Tx
と近似できる。
【0016】
なお、上記式を、
Tmin=1/Fmax、
Tmax=1/Fmin、
Tx=1/Fx
として、周波数で表現すれば、
Fx/Fmax≦N≦Fx/Fmin
となる。
【0017】
上記の不等式において、FxがFminより小さいとき1以上の整数Nは得られず、また、FxがFmin以上であっても、Fxが小さい場合には1以上の整数Nが得られない場合がある。
【0018】
例えば、周波数で説明すると、サンプリング周波数の範囲が9.9〜10.1MHzで、入力信号の同一波形の繰り返し周波数が455MHz、ΔT=0.1psとすると、
44.06≦N≦44.95
となり、整数Nは得られず、上記従来装置では、この信号の観測を正しく行うことはできない。
【0019】
また、この種の波形観測装置では、狭い幅の光サンプリングパルスを生成したり、光同士のミキシングを行なう光ミキサ等が必要であり、表示部を含めると装置全体が複雑化し高価になるという別の問題がある。
【0020】
本発明は、これらの問題を解決して、同一の波形の繰り返しの周期が短い信号だけでなく、繰り返し周期が長い信号であってもその波形情報を正確に取得できるサンプリング装置および波形観測システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1記載のサンプリング装置は、
同一の波形が所定周期(Tx)で繰り返し現れる信号を入力するための入力端子(20a)と、
前記波形の繰り返し周期(Tx)とサンプリングのオフセット遅延時間(ΔT)とに対応する情報を指定するためのパラメータ指定手段(21)と、
前記パラメータ指定手段によって指定された情報と、サンプリング周期(Ts)の可変範囲とに基づいて、
Q・Ts=N・Tx+ΔT
を満たす1以上の整数Q、Nおよびサンプリング周期を算出する演算手段(22)と、
前記演算手段によって算出されたサンプリング周期の第1のクロック信号(C1)を出力する信号発生手段(23)と、
前記第1のクロック信号に同期したサンプリングパルスを前記演算手段によって算出されたサンプリング周期で発生するサンプリングパルス発生手段(24)と、
前記サンプリングパルスによって前記入力信号をサンプリングするサンプリング部(25)と、
前記第1のクロック信号に同期し、且つ前記サンプリング周期の前記整数Q倍の周期をもつ第2のクロック信号(C2)を出力する第2のクロック信号発生手段(26)と、
前記第2のクロック信号を外部に出力するためのクロック出力端子(50a)と、
前記サンプリング部から出力されるパルス信号を外部に出力するためのパルス出力端子(50b)とを備えている。
【0022】
また、本発明の請求項2の波形観測システムは、
同一の波形が所定周期(Tx)で繰り返し現れる信号を入力するための入力端子(20a)と、
前記波形の繰り返し周期(Tx)とサンプリングのオフセット遅延時間(ΔT)とに対応する情報を指定するためのパラメータ指定手段(21)と、
前記パラメータ指定手段によって指定された情報と、サンプリング周期(Ts)の可変範囲とに基づいて、
Q・Ts=N・Tx+ΔT
を満たす1以上の整数Q、Nおよびサンプリング周期を算出する演算手段(22)と、
前記演算手段によって算出されたサンプリング周期の第1のクロック信号(C1)を出力する信号発生手段(23)と、
前記第1のクロック信号に同期したサンプリングパルスを前記演算手段によって算出されたサンプリング周期で発生するサンプリングパルス発生手段(24)と、
前記サンプリングパルスによって前記入力信号をサンプリングするサンプリング部(25)と、
前記第1のクロック信号に同期し、且つ前記サンプリング周期の前記整数Q倍の周期をもつ第2のクロック信号(C2)を出力する第2のクロック信号発生手段(26)と、
前記サンプリング部から出力されるパルス信号をデジタルのデータに変換して出力するA/D変換器(33)と、
波形データを記憶するための波形データメモリ(35)と、
前記A/D変換器が出力するデータを前記第2のクロック信号に同期して前記波形データメモリに書込むデータ取得制御手段(34)と、
前記波形データメモリに記憶された一連の波形データを読み出して前記オフセット遅延時間間隔の時間軸上に波形表示する波形表示手段(36、37)とを備えている。
【発明の効果】
【0023】
上記のように、本発明の波形観測システムは、入力信号の波形繰り返し周期Txの整数N倍と、サンプリング周期Tsの整数Q倍との差がオフセット遅延時間ΔTとなる整数Q、Nを求め、その整数に応じたサンプリング周期Tsでサンプリングして得られた信号から、サンプリング周期TsのQ倍の周期をもつ第2のクロック信号に同期した波形情報を取得しているので、限られた可変範囲のサンプリング周期であっても、波形の繰り返し周期が長い信号に対する波形情報の取得を高精度に行うことができる。
【0024】
また、本発明のサンプリング装置では、第2のクロック信号をデジタルオシロスコープの外部クロック入力端子に入力し、サンプリングで得られた信号をデジタルオシロスコープのチャネル入力端子に入力することで、限られた可変範囲のサンプリング周期であっても、波形の繰り返し周期が長い信号に対する波形情報の取得を高精度に行うことができ、その波形を正しく表示させることができ、既存のデジタルオシロスコープを用いることで、波形観測システムを簡易に構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明を適用した波形観測システム20の構成を示している。
【0026】
この波形観測システム20は、同一波形が繰り返される光信号Pを入力端子20aで受けてサンプリングし、その波形データを取得し、波形表示するためのものであり、パラメータ指定手段21は、図示しない操作部の操作等によって光信号Pの同一波形の繰り返し周期Txとサンプリングのオフセット遅延時間ΔTとに対応する情報を指定するためのものである。
【0027】
なお、この情報は、繰り返し周期Txとオフセット遅延時間ΔTとを特定できる情報であればよく、例えば繰り返し周期Txに対応した情報は、繰り返し周期Txそのものの値だけでなく、繰り返し周波数fx(=1/Tx)であってもよく、また、予め設定されている複数のものから一つを指定する番号等の情報であってもよい。
【0028】
また、信号の周期と周波数とは、その一方が決まれば他方が一義的に特定されるので、本明細書において「周期」およびその関係を「周波数」およびその関係に置き換えたものや、逆に「周波数」およびその関係を「周期」およびその関係に置き換えたものも本発明に含まれるものとする。
【0029】
演算手段22は、パラメータ指定手段21によって指定された情報と、後述する信号発生手段23が出力する第1のクロック信号C1の周期Tsの可変範囲とに基づいて、
Q・Ts=N・Tx+ΔT ……(1)
を満たす1以上の整数Q、Nおよびサンプリング周期Tsを算出する。
【0030】
なお、この式(1)を周波数表現すれば、
Fs=Q・Fx/(N+Fx・ΔT) ……(1′)
となる。
【0031】
また、上記式(1)は、
N=(Q・Ts−ΔT)/Tx
と表され、演算手段22は、サンプリング周期Ts(=1/Fs)の最大値をTmax(=1/Fmin)、最小値をTmin(=1/Fmax)とし、オフセット遅延時間ΔTがサンプリング周期Tsに対して十分小さいとして、
Q・Tmin/Tx≦N≦Q・Tmax/Tx ……(2)
を満たす1以上の整数N、Qを選定し、その条件にあったサンプリング周期Tsを算出する。
【0032】
式(2)を周波数表現すれば、
Q・Fx/Fmax≦N≦Q・Fx/Fmin ……(2′)
となる。
【0033】
実際の数値例で示すと、前記同様に、Fmax=10.1MHz、Fmin=9.9MHz、Fx=455MHz、ΔT=0.1psとしたとき、Q=1の場合は前記したように、44.06≦N≦44.95となり、整数Nは存在しない。
【0034】
次に、Q=2とすると、88.12≦N≦89.90となり、整数89がNとして存在する。
【0035】
そして、この整数Q=2、N=89を、前記式(1′)に代入することで、
Fs=9.999995(MHz)
が得られる。
【0036】
なお、上記不等式を満たす整数N、Qは無限に存在するが、整数N、Qが小さいほど1波形分のデータ所得に必要な時間が短くて済むので、特別な事情がない限り、整数N、Qとしてはその最小値を選定する。
【0037】
信号発生手段23は、演算手段22で算出されたサンプリング周期Ts(=1/Fs)の第1のクロック信号C1と、後述する光サンプリングパルス発生手段24で幅の狭いパルス光を生成させるために必要な高い周波数の信号Uとを生成して出力する。
【0038】
この信号発生手段23としては、安定で高い周波数(例えば1GHz±1MHz)の高周波信号を逓倍して信号Uを生成し、その信号Uを分周して上記第1のクロック信号C1を発生するように構成されている。
【0039】
また、図1で点線で示しているように、観測対象の光信号Pを出力するシステムがその光信号Pを生成するのに必要な基準信号Rをこの信号発生手段23で生成してシステムに与えて同期をとる場合もある。
【0040】
光サンプリングパルス発生手段24は、信号発生手段23から出力された第1のクロック信号C1に同期した周期Tsの光サンプリングパルスPsを発生する。
【0041】
この光サンプリングパルス発生手段24が発生する光サンプリングパルスPsのパルス幅は、サンプリングの時間分解能の上限を決定するものであり、パルス幅が狭い程、高い時間分解能でサンプリングを行うことができる。
【0042】
この狭い光サンプリングパルスを得るために、光サンプリングパルス発生手段24は、例えば図2に示しているように、光源24aから出射される連続光CWを変調器24bに入射して信号Uで変調して、図3の(a)のように比較的狭い幅のパルス光Paを信号Uの周期Tuで生成し、そのパルス光Paを間引手段24cに入力する。
【0043】
間引手段24cは、第1のクロック信号C1の周期で短時間だけオンする光スイッチを有し、図3の(b)のように第1のクロック信号C1の周期Tsのパルス光Pbを出力する。このパルス光Pbは、自動利得制御型のファイバアンプ24dに入射され、適正な強度のパルス光Pb′に増幅されて分散減少ファイバ24eに入射され、分散減少ファイバ24eからは、図3の(c)のように幅が狭い(例えば0.1ps以下)の光サンプリングパルスPsが周期Tsで出射される。
【0044】
なお、この光サンプリングパルス発生手段24から出射される光サンプリングパルスPsは、第1のクロック信号C1に同期するように設定されている。
【0045】
この光サンプリングパルスPsは、光サンプリング部25に入射される。
光サンプリング部25は、例えば、図4に示しているように、光ミキサ25aと光電変換器25bとからなり、入力端子20aから入力される光信号Pと光サンプリングパルスPsとを光ミキサ25aに入力して、光信号Pを光サンプリングパルスPsでサンプリングし、そのサンプリングによって得られたパルス光Poを光電変換器25bによって電気のパルス信号Eoに変換して出力する。
【0046】
第2のクロック信号発生手段26は、例えば分周比を可変できる分周器によって構成され、第1のクロック信号C1に同期し、且つサンプリング周期Tsの整数Q倍の周期Q・Tsをもつ第2のクロック信号C2を出力する。
【0047】
また、トリガ用信号発生手段27は、データ取得の開始を示すトリガ用信号Wを生成し、データ取得制御手段34へ出力する。
【0048】
このトリガ用信号Wは、波形描画を1回しか行わないシングル測定の場合には、例えば1回の立ち上がりエッジを有するステップ状の信号である。
【0049】
また、波形描画を繰り返し行うリピート測定の場合には、繰り返し周期Txとサンプリング周期Tsと整数Qとの積(Q・Ts・Tx)をオフセット遅延時間ΔTで除算して得られる周期(Q・Ts・Tx/ΔT)またはその整数倍に等しい周期Twをもつ矩形波信号である。
【0050】
ここで、周期Q・Ts・Tx/ΔTのうち、Q・Tsは、第2のクロック信号C2の周期を示し、Tx/ΔTは、オフセット遅延時間ΔTで繰り返し周期Txの1波形分をサンプリングするのに必要なサンプリング回数を示している。
【0051】
つまり、周期Q・Ts・Tx/ΔTは、第2のクロック信号C2によって、繰り返し周期Txの1波形分をオフセット遅延時間ΔTでサンプリングするのに必要な時間を表している。これを数値例で示せば、Q=2、Ts=0.1μs、Tx=2ns、ΔT=0.1psとすれば、周期Q・Ts・Tx/ΔTは4ms(周波数250Hz)となる。
【0052】
一方、光サンプリング部25から出力されるパルス信号Eoは、A/D変換器33に入力される。
【0053】
A/D変換器33は、光サンプリング部25から出力されるパルス信号Eoに対するA/D変換処理を第2のクロック信号C2(点線で示すように第1のクロック信号C1でもよい)を受ける毎に行い、そのA/D変換処理によって得られたパルス信号Eoのピーク値のデータDpを後述するデータ取得制御手段34に出力する。
【0054】
データ取得制御手段34は、トリガ用信号Wに基づいて、A/D変換器33から出力されるデータDpを、第2のクロック信号C2に同期して波形データメモリ35に書き込む。
【0055】
即ち、トリガ用信号Wが例えば「0」から「1」に立ち上がるタイミング(逆に「1」から「0」に立ち下がるタイミングでもよく、両者を選択できるようにしてもよい)から第2のクロック信号C2に同期して波形データメモリ35に対するデータDpの書き込みを開始し、所定数のデータの書き込み行う。前記シングル測定の場合この動作で測定が終了するが、リピート測定モードでは、トリガ用信号Wが立ち上がる毎に上記動作を繰り返す。なお、波形データメモリ35に書き込むデータの数は、後述する表示器37に表示される時間軸の表示ポイント数に対応する。
【0056】
表示制御手段36は、表示器37とともに波形表示手段を形成するものであり、時間軸と電圧軸とからなる座標画面を表示器37に表示させ、波形データメモリ35に記憶された一連のデータDpを読み出して、座標画面上にプロット表示して、その読み出した一連のデータDpに対応する波形を表示する。
【0057】
なお、この表示制御手段36は、観測モード指定手段38によって指定された観測モードに応じて、波形データメモリ35に記憶されたデータDpに対する加工処理および表示処理を行う。
【0058】
即ち、パーシステンスモードが指定された場合には、波形データメモリ35に記憶された一連のデータDpを、その残像を残すことで波形表示し、平均化モードが指定された場合には、波形データメモリ35に記憶された一連のデータDpを所定組求めて、その平均化処理を行い、その平均化処理で得られた一連のデータを波形として表示する。
なお、トリガ信号発生手段27が図示しない操作部に対する手動操作に同期したトリガ用信号Wを単発に出力する単掃引モードも可能である。
【0059】
次に上記波形観測システム20の動作を説明する。
始めに、例えば図5の(a)に示すように擬似ランダム信号(1100101…0)で強度変調され、その符号長に等しい繰り返し周期Txで同一波形が現れる光信号Pを入力端子20aに入力し、その波形の繰り返し周期Txおよびサンプリングのオフセット遅延時間ΔTに対応した情報をパラメータ指定手段21によって指定する。
【0060】
この指定された情報に基づいて、前記式(2)を満たす最小の整数N、Qが求められ、その整数に基づいてサンプリング周期Tsが算出され、それらの情報が信号発生手段23および第2のクロック信号発生手段26に出力される(ここでは、整数N=89、Q=2としている)。
【0061】
このため、サンプリング周期Tsの第1のクロック信号C1と、それに同期した光サンプリングパルスPsが、図5の(b)、(c)のように生成される。
【0062】
そして、光サンプリングパルスPsが光サンプリング部25に入力され、光サンプリング部25で光信号Pが周期Tsでサンプリングされて、そのサンプリングで得られた電気のパルス信号EoがA/D変換器33に順次出力される。
【0063】
ここで、前記したようにQが2の場合、A/D変換器33には、オフセット遅延時間ΔTずつすれた波形情報をもつ周期Q・Tsのパルス信号Eoの間に、不要な信号も入力される。
【0064】
これに対して、第2のクロック信号発生手段26からは、図5の(d)のようにQ・Tsの周期をもつ第2のクロック信号C2が出力される。このため、A/D変換器33は、周期Tsで入力されるパルス信号Eoのうち、図5の(e)のように、所望のQ個毎のパルス信号Eoに対するサンプリングを行い、必要とするデジタルのデータDpに変換する。
【0065】
また、トリガ用信号発生手段27は、図6の(b)に示すように、周期Q・Tsの第2のクロック信号C2によって、繰り返し周期Txの1波形分をオフセット遅延時間ΔTでサンプリングするのに必要な時間Q・Ts・Tx/ΔT(またはその整数倍)を周期Twとするトリガ用信号Wを生成してデータ取得制御手段34に出力する。なお、図6の(a)は図5の(e)の波形の時間軸を縮めて示したものである。
【0066】
そして、このトリガ用信号Wの立ち上がり(または立ち下がり)を検知したデータ取得制御手段34により、時刻t0のタイミングから所定時間が経過するまでの間に、A/D変換器33から出力されるデータDpが、第2のクロック信号C2に同期して波形データメモリ35へ書き込まれる。
【0067】
ここで、パーシステンスモードが指定されていれば、波形データメモリ35に所定数書き込まれた一連の波形データが読み出されて、表示器37の画面上に例えば図7のように、光信号Pの波形がオフセット遅延時間ΔT間隔のポイントで残像表示される。
【0068】
なお、表示器37に表示される時間軸の表示ポイント数が例えば1001ポイントであれば、1回のデータ取得期間で取得されて波形データメモリ35に書き込まれるデータDpの数も1001個となり、この1001個目のデータDpを波形データメモリ35に書き込んだ後に、次のトリガ用信号Wの立ち上がりタイミングまで待機し、前記同様にトリガ用信号Wが立ち上がりタイミングから所定時間が経過するまでの間にA/D変換器33から出力される波形データの取得を行うことになる。
【0069】
そして、新たに取得された一連の波形データは、前に取得された波形データの代わりに読み出されて、オフセット遅延時間ΔTの間隔で時間軸上にプロットされて、その波形が残像表示される。
【0070】
以下同様に、トリガ用信号Wの立ち上がりタイミングの直後から第2のクロック信号C2に同期した波形データの取得が開始され、その取得された一連の波形データに対応する残像波形が前の残像波形に代わって表示される。
【0071】
なお、観測モード指定手段38によって平均化モードが指定されている場合には、表示制御手段36によって複数のデータ取得期間に取得された複数組の波形データの平均化処理が行なわれ、その平均化処理された波形が表示器37に表示されることになるが、いずれのモードの場合でも、トリガ用信号Wでトリガをかけて各データの取得を開始している。
【0072】
したがって、各データ取得の開始タイミングをトリガ用信号Wと同期させることができ、表示波形のずれや波形再現性の悪化が起こらない。
【0073】
また、前記式(1)で示したように、入力信号の波形繰り返し周期Txの整数N倍と、サンプリング周期Tsの整数Q倍との差がオフセット遅延時間ΔTとなる整数Q、Nを求め、その整数に応じたサンプリング周期Tsを設定するようにするとともに、サンプリングで得られた信号に対する取得をQ個毎に行うようにしているので、限られた可変範囲のサンプリング周期であっても、波形の繰り返し周期が長い信号に対する波形情報の取得を高精度に行うことができる。
【0074】
上記した波形観測システム20における、A/D変換器33の入力信号に対するA/D変換処理機能、入力信号の電圧としきい値Vとを比較して、その比較結果でデータの取得を開始する機能、取得したデータの波形を順次残像を残しながら表示するパーシステンス表示機能、平均化処理して表示する平均化表示機能は、多チャネル型のデジタルオシロスコープで代用することが可能である。
【0075】
この場合、図8に示すように、サンプリング装置50とデジタルオシロスコープ60とで波形観測システム20′を構成することができる。
【0076】
このサンプリング装置50は、デジタルオシロスコープ60と独立した筐体(図示せず)を有し、また、前記した波形観測システム20の入力端子20a、パラメータ指定手段21、演算手段22、信号発生手段23、サンプリングパルス発生手段24、サンプリング部25、第2のクロック信号発生手段26、トリガ用信号発生手段27の他に、第2のクロック信号C2を外部へ出力するためのクロック出力端子50a、サンプリング部25から出力されるパルス信号Eoを外部へ出力するためのパルス出力端子50b、トリガ用信号Wを外部へ出力するためのトリガ出力端子50cが設けられている。
【0077】
このサンプリング装置50のクロック出力端子50a、パルス出力端子50bおよびトリガ出力端子50cは、デジタルオシロスコープ60の外部クロック入力端子60a、第1チャネル入力端子60bおよび第2チャネル入力端子60cにそれぞれケーブル接続されている。
【0078】
デジタルオシロスコープ60は、各チャネル入力端子60b、60cから入力される信号に対するA/D変換処理を外部クロック入力端子60aに入力されるクロック信号に同期して行う外部クロック同期機能と、任意に指定したチャネル入力端子またはトリガ入力端子の入力信号の電圧が任意に設定したしきい値を所定方向に越えたタイミングから一定時間(後述する時間軸の表示幅および表示ポイント数等に依存する)が経過する間にA/D変換処理によって得られたデータを波形データとしてチャネル毎に記憶する外部トリガ機能と、その記憶した波形データを時間軸上に表示する波形表示機能とを有しており、この波形表示のモードとして、前記したパーシステンス表示モード、平均化表示モードのいずれかを任意に選択できるように構成されている。
【0079】
上記サンプリング装置50の各部の動作は、前記した波形観測システム20で説明したのと同一であり、このサンプリング装置50からの第2のクロック信号C2、パルス信号Eoおよびトリガ用信号Wを受けたデジタルオシロスコープ60は、第1チャネル入力端子60bに入力されるパルス信号Eoに対するA/D変換処理を、外部クロック入力端子60aに入力されている第2のクロック信号C2に同期して行ない、パルス信号Eoの各パルスのピーク値に対応したデータ値Dpに変換する。
【0080】
そして、ある時刻に、第2チャネル入力端子60cに入力されているトリガ用信号Wが立ち上がって、しきい値Vを低い方から高い方に越えると、そのタイミングから一定時間の間に第1チャネルのA/D変換処理で得られるデータを波形データとして内部メモリに順次記憶し、その記憶した一連の波形データを読み出して前記同様に表示部の時間軸上にプロットして光信号Pの波形を、指定されたモードに応じて表示する。
【0081】
この波形観測システム20′では、データ取得と波形表示の機能をデジタルオシロスコープ60で実現しているので、このオシロスコープ60の各端子に、第2のクロック信号C2、パルス信号Eoおよびトリガ用信号Wを各出力端子50a〜50cから与えることで、前記した波形観測システム20と同一の動作をさせることができ、デジタルオシロスコープ60を所有していれば、上記サンプリング装置50を新たに用意するだけで、光信号の観測が行なえ、システム全体を安価に構成することができる。
【0082】
また、上記の波形観測システム20′では、データの取得と波形の表示の処理をデジタルオシロスコープ60で行なっていたが、このデジタルオシロスコープ60の代わりに、入力信号をデジタルのデータに変換するA/D変換機能を有し、前記したデータ取得制御手段34、波形データメモリ35、表示制御手段36と同等の機能をプログラム処理で行なうパーソナルコンピュータを用いてもよい。
【0083】
また、前記説明では、光信号の波形情報を取得して観測していたが、電気信号を光パルスあるいは電気パルスでサンプリングする装置についても本発明を同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施形態の構成を示す図
【図2】実施形態の要部の構成図
【図3】要部の要部動作を説明するための信号図
【図4】実施形態の要部の構成図
【図5】実施形態の動作を説明するための信号図
【図6】実施形態の動作を説明するための信号図
【図7】表示される波形の一実施例を示す図
【図8】サンプリング装置とデジタルオシロスコープとで構成した波形観測システムの図
【図9】従来装置の構成を示す図
【図10】従来装置の動作説明図
【図11】光サンプリングパルス発生手段の構成例を示す図
【符号の説明】
【0085】
20、20′……波形観測システム、21……パラメータ指定手段、22……演算手段、23……信号発生手段、24……光サンプリングパルス発生手段、25……サンプリング部、26……第2のクロック信号発生手段、27……トリガ用信号発生手段、33……A/D変換器、34……データ取得制御手段、35……波形データメモリ、36……表示制御手段、37……表示器、38……観測モード指定手段、50……サンプリング装置、50a……クロック出力端子、50b……パルス出力端子、50c……トリガ出力端子、60……デジタルオシロスコープ、60a……外部クロック入力端子、60b……第1チャネル入力端子、60c……第2チャネル入力端子
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一の波形が所定周期で繰り返し現れる信号に対するサンプリングを行い、波形情報を高い時間分解能で取得し、観測するための技術に関し、波形の繰り返し周期が、サンプリング周期より広い場合であっても、波形情報を正確に高い時間分解能で取得できるようにするための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、数10GHzの高速のクロック信号で強度変調された光信号のように、同一波形が短い周期で繰り返し現れる信号の波形データを、高い分解能で取得して観測するために、図9に示すサンプリング方式の波形観測装置10が用いられている。
【0003】
この波形観測装置10は、入力される光信号Pの波形の繰り返し周期TxのN倍(Nは1以上の任意の整数で例えば100、1000等)より所定値(オフセット遅延時間)ΔTだけ長い繰り返し周期Ts(=N・Tx+ΔT)をもち、パルス幅が狭い光サンプリングパルスPsを光サンプリングパルス発生手段11によって生成する。
【0004】
そして、その生成された光サンプリングパルスPsを光サンプリング部12に入力し、光信号Pを光サンプリングパルスPsでサンプリングし、そのサンプリングによって得られたパルス光を光電変換して電気のパルス信号Eoに変換し、このパルス信号Eoの振幅強度をA/D変換器13によってデジタルのデータに変換して波形データメモリ14に記憶し、この波形データメモリ14に記憶された一連の波形データを表示制御手段15が読み出して表示器16に波形表示する。
【0005】
このようなサンプリング方式の波形観測装置10では、図10の(a)に示すように、光信号Pの繰り返し波形がN回連続して入力される毎に、光サンプリングパルスPsによるサンプリングタイミングが図10の(b)のように、ΔT時間ずつシフトしていくため、繰り返し周期Txに比べて格段に低速なサンプリングで、光信号Pの波形情報を高分解能に取得でき、これを表示器16の画面上で観測することができる。
【0006】
上記のようなサンプリングによって信号の波形を取得する技術は、次の特許文献1に開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2002−071725号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、サンプリングに用いるパルスは、前記したように0.1psのように非常に幅の狭い信号であり、このような信号の周期、即ちサンプリング周期を広い範囲にわたって高精度に可変できるようにすることは極めて困難である。
【0009】
即ち、パルス光で0.1psの幅を実現する場合、一般的にパルス光を分散減少ファイバに入力し、その非線形効果によりパルス幅を狭くして出射しているが、この非線形効果により所望の形状をした安定なパルスを生じさせるためには、入力光の瞬時強度がある程度大きく且つ所定の範囲に入っていなければならない。
【0010】
このため、通常は、光サンプリングパルス発生手段11において、図11に示すように、分散減少ファイバ11aに入射するパルス光Pb′の平均電力を安定化するための自動利得制御型のファイバアンプ11bを用いている。
【0011】
ところが、この自動利得型のファイバアンプ11bは、出射する光の平均電力を安定化するように制御するため、サンプリング周期、即ち、入力されるパルス光Pbの間隔が大幅に変化すると、それに応じて利得が大幅に変化して、分散減少ファイバ11aへ適正な瞬時強度のパルス光を入射できなくなる。
【0012】
このような理由から、一般的にサンプリング周期の1パーセント程度が可変範囲の限度となっている。
【0013】
このサンプリング周期の可変幅の狭さは、繰り返し周期が長い信号の波形観測に制限を与え、擬似ランダムパターンで変調された信号のように同一波形の繰り返し周期が長い信号の波形観測がうまく行えない。
【0014】
つまり、サンプリング周期の最大値をTmax、最小値をTminとすると、整数Nがとりうる範囲は、
(Tmin−ΔT)/Tx≦N≦(Tmax−ΔT)/Tx
となる。
【0015】
ここで、TmaxおよびTminに対してΔTが無視できるとすれば、上記式は、
Tmin/Tx≦N≦Tmax/Tx
と近似できる。
【0016】
なお、上記式を、
Tmin=1/Fmax、
Tmax=1/Fmin、
Tx=1/Fx
として、周波数で表現すれば、
Fx/Fmax≦N≦Fx/Fmin
となる。
【0017】
上記の不等式において、FxがFminより小さいとき1以上の整数Nは得られず、また、FxがFmin以上であっても、Fxが小さい場合には1以上の整数Nが得られない場合がある。
【0018】
例えば、周波数で説明すると、サンプリング周波数の範囲が9.9〜10.1MHzで、入力信号の同一波形の繰り返し周波数が455MHz、ΔT=0.1psとすると、
44.06≦N≦44.95
となり、整数Nは得られず、上記従来装置では、この信号の観測を正しく行うことはできない。
【0019】
また、この種の波形観測装置では、狭い幅の光サンプリングパルスを生成したり、光同士のミキシングを行なう光ミキサ等が必要であり、表示部を含めると装置全体が複雑化し高価になるという別の問題がある。
【0020】
本発明は、これらの問題を解決して、同一の波形の繰り返しの周期が短い信号だけでなく、繰り返し周期が長い信号であってもその波形情報を正確に取得できるサンプリング装置および波形観測システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1記載のサンプリング装置は、
同一の波形が所定周期(Tx)で繰り返し現れる信号を入力するための入力端子(20a)と、
前記波形の繰り返し周期(Tx)とサンプリングのオフセット遅延時間(ΔT)とに対応する情報を指定するためのパラメータ指定手段(21)と、
前記パラメータ指定手段によって指定された情報と、サンプリング周期(Ts)の可変範囲とに基づいて、
Q・Ts=N・Tx+ΔT
を満たす1以上の整数Q、Nおよびサンプリング周期を算出する演算手段(22)と、
前記演算手段によって算出されたサンプリング周期の第1のクロック信号(C1)を出力する信号発生手段(23)と、
前記第1のクロック信号に同期したサンプリングパルスを前記演算手段によって算出されたサンプリング周期で発生するサンプリングパルス発生手段(24)と、
前記サンプリングパルスによって前記入力信号をサンプリングするサンプリング部(25)と、
前記第1のクロック信号に同期し、且つ前記サンプリング周期の前記整数Q倍の周期をもつ第2のクロック信号(C2)を出力する第2のクロック信号発生手段(26)と、
前記第2のクロック信号を外部に出力するためのクロック出力端子(50a)と、
前記サンプリング部から出力されるパルス信号を外部に出力するためのパルス出力端子(50b)とを備えている。
【0022】
また、本発明の請求項2の波形観測システムは、
同一の波形が所定周期(Tx)で繰り返し現れる信号を入力するための入力端子(20a)と、
前記波形の繰り返し周期(Tx)とサンプリングのオフセット遅延時間(ΔT)とに対応する情報を指定するためのパラメータ指定手段(21)と、
前記パラメータ指定手段によって指定された情報と、サンプリング周期(Ts)の可変範囲とに基づいて、
Q・Ts=N・Tx+ΔT
を満たす1以上の整数Q、Nおよびサンプリング周期を算出する演算手段(22)と、
前記演算手段によって算出されたサンプリング周期の第1のクロック信号(C1)を出力する信号発生手段(23)と、
前記第1のクロック信号に同期したサンプリングパルスを前記演算手段によって算出されたサンプリング周期で発生するサンプリングパルス発生手段(24)と、
前記サンプリングパルスによって前記入力信号をサンプリングするサンプリング部(25)と、
前記第1のクロック信号に同期し、且つ前記サンプリング周期の前記整数Q倍の周期をもつ第2のクロック信号(C2)を出力する第2のクロック信号発生手段(26)と、
前記サンプリング部から出力されるパルス信号をデジタルのデータに変換して出力するA/D変換器(33)と、
波形データを記憶するための波形データメモリ(35)と、
前記A/D変換器が出力するデータを前記第2のクロック信号に同期して前記波形データメモリに書込むデータ取得制御手段(34)と、
前記波形データメモリに記憶された一連の波形データを読み出して前記オフセット遅延時間間隔の時間軸上に波形表示する波形表示手段(36、37)とを備えている。
【発明の効果】
【0023】
上記のように、本発明の波形観測システムは、入力信号の波形繰り返し周期Txの整数N倍と、サンプリング周期Tsの整数Q倍との差がオフセット遅延時間ΔTとなる整数Q、Nを求め、その整数に応じたサンプリング周期Tsでサンプリングして得られた信号から、サンプリング周期TsのQ倍の周期をもつ第2のクロック信号に同期した波形情報を取得しているので、限られた可変範囲のサンプリング周期であっても、波形の繰り返し周期が長い信号に対する波形情報の取得を高精度に行うことができる。
【0024】
また、本発明のサンプリング装置では、第2のクロック信号をデジタルオシロスコープの外部クロック入力端子に入力し、サンプリングで得られた信号をデジタルオシロスコープのチャネル入力端子に入力することで、限られた可変範囲のサンプリング周期であっても、波形の繰り返し周期が長い信号に対する波形情報の取得を高精度に行うことができ、その波形を正しく表示させることができ、既存のデジタルオシロスコープを用いることで、波形観測システムを簡易に構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明を適用した波形観測システム20の構成を示している。
【0026】
この波形観測システム20は、同一波形が繰り返される光信号Pを入力端子20aで受けてサンプリングし、その波形データを取得し、波形表示するためのものであり、パラメータ指定手段21は、図示しない操作部の操作等によって光信号Pの同一波形の繰り返し周期Txとサンプリングのオフセット遅延時間ΔTとに対応する情報を指定するためのものである。
【0027】
なお、この情報は、繰り返し周期Txとオフセット遅延時間ΔTとを特定できる情報であればよく、例えば繰り返し周期Txに対応した情報は、繰り返し周期Txそのものの値だけでなく、繰り返し周波数fx(=1/Tx)であってもよく、また、予め設定されている複数のものから一つを指定する番号等の情報であってもよい。
【0028】
また、信号の周期と周波数とは、その一方が決まれば他方が一義的に特定されるので、本明細書において「周期」およびその関係を「周波数」およびその関係に置き換えたものや、逆に「周波数」およびその関係を「周期」およびその関係に置き換えたものも本発明に含まれるものとする。
【0029】
演算手段22は、パラメータ指定手段21によって指定された情報と、後述する信号発生手段23が出力する第1のクロック信号C1の周期Tsの可変範囲とに基づいて、
Q・Ts=N・Tx+ΔT ……(1)
を満たす1以上の整数Q、Nおよびサンプリング周期Tsを算出する。
【0030】
なお、この式(1)を周波数表現すれば、
Fs=Q・Fx/(N+Fx・ΔT) ……(1′)
となる。
【0031】
また、上記式(1)は、
N=(Q・Ts−ΔT)/Tx
と表され、演算手段22は、サンプリング周期Ts(=1/Fs)の最大値をTmax(=1/Fmin)、最小値をTmin(=1/Fmax)とし、オフセット遅延時間ΔTがサンプリング周期Tsに対して十分小さいとして、
Q・Tmin/Tx≦N≦Q・Tmax/Tx ……(2)
を満たす1以上の整数N、Qを選定し、その条件にあったサンプリング周期Tsを算出する。
【0032】
式(2)を周波数表現すれば、
Q・Fx/Fmax≦N≦Q・Fx/Fmin ……(2′)
となる。
【0033】
実際の数値例で示すと、前記同様に、Fmax=10.1MHz、Fmin=9.9MHz、Fx=455MHz、ΔT=0.1psとしたとき、Q=1の場合は前記したように、44.06≦N≦44.95となり、整数Nは存在しない。
【0034】
次に、Q=2とすると、88.12≦N≦89.90となり、整数89がNとして存在する。
【0035】
そして、この整数Q=2、N=89を、前記式(1′)に代入することで、
Fs=9.999995(MHz)
が得られる。
【0036】
なお、上記不等式を満たす整数N、Qは無限に存在するが、整数N、Qが小さいほど1波形分のデータ所得に必要な時間が短くて済むので、特別な事情がない限り、整数N、Qとしてはその最小値を選定する。
【0037】
信号発生手段23は、演算手段22で算出されたサンプリング周期Ts(=1/Fs)の第1のクロック信号C1と、後述する光サンプリングパルス発生手段24で幅の狭いパルス光を生成させるために必要な高い周波数の信号Uとを生成して出力する。
【0038】
この信号発生手段23としては、安定で高い周波数(例えば1GHz±1MHz)の高周波信号を逓倍して信号Uを生成し、その信号Uを分周して上記第1のクロック信号C1を発生するように構成されている。
【0039】
また、図1で点線で示しているように、観測対象の光信号Pを出力するシステムがその光信号Pを生成するのに必要な基準信号Rをこの信号発生手段23で生成してシステムに与えて同期をとる場合もある。
【0040】
光サンプリングパルス発生手段24は、信号発生手段23から出力された第1のクロック信号C1に同期した周期Tsの光サンプリングパルスPsを発生する。
【0041】
この光サンプリングパルス発生手段24が発生する光サンプリングパルスPsのパルス幅は、サンプリングの時間分解能の上限を決定するものであり、パルス幅が狭い程、高い時間分解能でサンプリングを行うことができる。
【0042】
この狭い光サンプリングパルスを得るために、光サンプリングパルス発生手段24は、例えば図2に示しているように、光源24aから出射される連続光CWを変調器24bに入射して信号Uで変調して、図3の(a)のように比較的狭い幅のパルス光Paを信号Uの周期Tuで生成し、そのパルス光Paを間引手段24cに入力する。
【0043】
間引手段24cは、第1のクロック信号C1の周期で短時間だけオンする光スイッチを有し、図3の(b)のように第1のクロック信号C1の周期Tsのパルス光Pbを出力する。このパルス光Pbは、自動利得制御型のファイバアンプ24dに入射され、適正な強度のパルス光Pb′に増幅されて分散減少ファイバ24eに入射され、分散減少ファイバ24eからは、図3の(c)のように幅が狭い(例えば0.1ps以下)の光サンプリングパルスPsが周期Tsで出射される。
【0044】
なお、この光サンプリングパルス発生手段24から出射される光サンプリングパルスPsは、第1のクロック信号C1に同期するように設定されている。
【0045】
この光サンプリングパルスPsは、光サンプリング部25に入射される。
光サンプリング部25は、例えば、図4に示しているように、光ミキサ25aと光電変換器25bとからなり、入力端子20aから入力される光信号Pと光サンプリングパルスPsとを光ミキサ25aに入力して、光信号Pを光サンプリングパルスPsでサンプリングし、そのサンプリングによって得られたパルス光Poを光電変換器25bによって電気のパルス信号Eoに変換して出力する。
【0046】
第2のクロック信号発生手段26は、例えば分周比を可変できる分周器によって構成され、第1のクロック信号C1に同期し、且つサンプリング周期Tsの整数Q倍の周期Q・Tsをもつ第2のクロック信号C2を出力する。
【0047】
また、トリガ用信号発生手段27は、データ取得の開始を示すトリガ用信号Wを生成し、データ取得制御手段34へ出力する。
【0048】
このトリガ用信号Wは、波形描画を1回しか行わないシングル測定の場合には、例えば1回の立ち上がりエッジを有するステップ状の信号である。
【0049】
また、波形描画を繰り返し行うリピート測定の場合には、繰り返し周期Txとサンプリング周期Tsと整数Qとの積(Q・Ts・Tx)をオフセット遅延時間ΔTで除算して得られる周期(Q・Ts・Tx/ΔT)またはその整数倍に等しい周期Twをもつ矩形波信号である。
【0050】
ここで、周期Q・Ts・Tx/ΔTのうち、Q・Tsは、第2のクロック信号C2の周期を示し、Tx/ΔTは、オフセット遅延時間ΔTで繰り返し周期Txの1波形分をサンプリングするのに必要なサンプリング回数を示している。
【0051】
つまり、周期Q・Ts・Tx/ΔTは、第2のクロック信号C2によって、繰り返し周期Txの1波形分をオフセット遅延時間ΔTでサンプリングするのに必要な時間を表している。これを数値例で示せば、Q=2、Ts=0.1μs、Tx=2ns、ΔT=0.1psとすれば、周期Q・Ts・Tx/ΔTは4ms(周波数250Hz)となる。
【0052】
一方、光サンプリング部25から出力されるパルス信号Eoは、A/D変換器33に入力される。
【0053】
A/D変換器33は、光サンプリング部25から出力されるパルス信号Eoに対するA/D変換処理を第2のクロック信号C2(点線で示すように第1のクロック信号C1でもよい)を受ける毎に行い、そのA/D変換処理によって得られたパルス信号Eoのピーク値のデータDpを後述するデータ取得制御手段34に出力する。
【0054】
データ取得制御手段34は、トリガ用信号Wに基づいて、A/D変換器33から出力されるデータDpを、第2のクロック信号C2に同期して波形データメモリ35に書き込む。
【0055】
即ち、トリガ用信号Wが例えば「0」から「1」に立ち上がるタイミング(逆に「1」から「0」に立ち下がるタイミングでもよく、両者を選択できるようにしてもよい)から第2のクロック信号C2に同期して波形データメモリ35に対するデータDpの書き込みを開始し、所定数のデータの書き込み行う。前記シングル測定の場合この動作で測定が終了するが、リピート測定モードでは、トリガ用信号Wが立ち上がる毎に上記動作を繰り返す。なお、波形データメモリ35に書き込むデータの数は、後述する表示器37に表示される時間軸の表示ポイント数に対応する。
【0056】
表示制御手段36は、表示器37とともに波形表示手段を形成するものであり、時間軸と電圧軸とからなる座標画面を表示器37に表示させ、波形データメモリ35に記憶された一連のデータDpを読み出して、座標画面上にプロット表示して、その読み出した一連のデータDpに対応する波形を表示する。
【0057】
なお、この表示制御手段36は、観測モード指定手段38によって指定された観測モードに応じて、波形データメモリ35に記憶されたデータDpに対する加工処理および表示処理を行う。
【0058】
即ち、パーシステンスモードが指定された場合には、波形データメモリ35に記憶された一連のデータDpを、その残像を残すことで波形表示し、平均化モードが指定された場合には、波形データメモリ35に記憶された一連のデータDpを所定組求めて、その平均化処理を行い、その平均化処理で得られた一連のデータを波形として表示する。
なお、トリガ信号発生手段27が図示しない操作部に対する手動操作に同期したトリガ用信号Wを単発に出力する単掃引モードも可能である。
【0059】
次に上記波形観測システム20の動作を説明する。
始めに、例えば図5の(a)に示すように擬似ランダム信号(1100101…0)で強度変調され、その符号長に等しい繰り返し周期Txで同一波形が現れる光信号Pを入力端子20aに入力し、その波形の繰り返し周期Txおよびサンプリングのオフセット遅延時間ΔTに対応した情報をパラメータ指定手段21によって指定する。
【0060】
この指定された情報に基づいて、前記式(2)を満たす最小の整数N、Qが求められ、その整数に基づいてサンプリング周期Tsが算出され、それらの情報が信号発生手段23および第2のクロック信号発生手段26に出力される(ここでは、整数N=89、Q=2としている)。
【0061】
このため、サンプリング周期Tsの第1のクロック信号C1と、それに同期した光サンプリングパルスPsが、図5の(b)、(c)のように生成される。
【0062】
そして、光サンプリングパルスPsが光サンプリング部25に入力され、光サンプリング部25で光信号Pが周期Tsでサンプリングされて、そのサンプリングで得られた電気のパルス信号EoがA/D変換器33に順次出力される。
【0063】
ここで、前記したようにQが2の場合、A/D変換器33には、オフセット遅延時間ΔTずつすれた波形情報をもつ周期Q・Tsのパルス信号Eoの間に、不要な信号も入力される。
【0064】
これに対して、第2のクロック信号発生手段26からは、図5の(d)のようにQ・Tsの周期をもつ第2のクロック信号C2が出力される。このため、A/D変換器33は、周期Tsで入力されるパルス信号Eoのうち、図5の(e)のように、所望のQ個毎のパルス信号Eoに対するサンプリングを行い、必要とするデジタルのデータDpに変換する。
【0065】
また、トリガ用信号発生手段27は、図6の(b)に示すように、周期Q・Tsの第2のクロック信号C2によって、繰り返し周期Txの1波形分をオフセット遅延時間ΔTでサンプリングするのに必要な時間Q・Ts・Tx/ΔT(またはその整数倍)を周期Twとするトリガ用信号Wを生成してデータ取得制御手段34に出力する。なお、図6の(a)は図5の(e)の波形の時間軸を縮めて示したものである。
【0066】
そして、このトリガ用信号Wの立ち上がり(または立ち下がり)を検知したデータ取得制御手段34により、時刻t0のタイミングから所定時間が経過するまでの間に、A/D変換器33から出力されるデータDpが、第2のクロック信号C2に同期して波形データメモリ35へ書き込まれる。
【0067】
ここで、パーシステンスモードが指定されていれば、波形データメモリ35に所定数書き込まれた一連の波形データが読み出されて、表示器37の画面上に例えば図7のように、光信号Pの波形がオフセット遅延時間ΔT間隔のポイントで残像表示される。
【0068】
なお、表示器37に表示される時間軸の表示ポイント数が例えば1001ポイントであれば、1回のデータ取得期間で取得されて波形データメモリ35に書き込まれるデータDpの数も1001個となり、この1001個目のデータDpを波形データメモリ35に書き込んだ後に、次のトリガ用信号Wの立ち上がりタイミングまで待機し、前記同様にトリガ用信号Wが立ち上がりタイミングから所定時間が経過するまでの間にA/D変換器33から出力される波形データの取得を行うことになる。
【0069】
そして、新たに取得された一連の波形データは、前に取得された波形データの代わりに読み出されて、オフセット遅延時間ΔTの間隔で時間軸上にプロットされて、その波形が残像表示される。
【0070】
以下同様に、トリガ用信号Wの立ち上がりタイミングの直後から第2のクロック信号C2に同期した波形データの取得が開始され、その取得された一連の波形データに対応する残像波形が前の残像波形に代わって表示される。
【0071】
なお、観測モード指定手段38によって平均化モードが指定されている場合には、表示制御手段36によって複数のデータ取得期間に取得された複数組の波形データの平均化処理が行なわれ、その平均化処理された波形が表示器37に表示されることになるが、いずれのモードの場合でも、トリガ用信号Wでトリガをかけて各データの取得を開始している。
【0072】
したがって、各データ取得の開始タイミングをトリガ用信号Wと同期させることができ、表示波形のずれや波形再現性の悪化が起こらない。
【0073】
また、前記式(1)で示したように、入力信号の波形繰り返し周期Txの整数N倍と、サンプリング周期Tsの整数Q倍との差がオフセット遅延時間ΔTとなる整数Q、Nを求め、その整数に応じたサンプリング周期Tsを設定するようにするとともに、サンプリングで得られた信号に対する取得をQ個毎に行うようにしているので、限られた可変範囲のサンプリング周期であっても、波形の繰り返し周期が長い信号に対する波形情報の取得を高精度に行うことができる。
【0074】
上記した波形観測システム20における、A/D変換器33の入力信号に対するA/D変換処理機能、入力信号の電圧としきい値Vとを比較して、その比較結果でデータの取得を開始する機能、取得したデータの波形を順次残像を残しながら表示するパーシステンス表示機能、平均化処理して表示する平均化表示機能は、多チャネル型のデジタルオシロスコープで代用することが可能である。
【0075】
この場合、図8に示すように、サンプリング装置50とデジタルオシロスコープ60とで波形観測システム20′を構成することができる。
【0076】
このサンプリング装置50は、デジタルオシロスコープ60と独立した筐体(図示せず)を有し、また、前記した波形観測システム20の入力端子20a、パラメータ指定手段21、演算手段22、信号発生手段23、サンプリングパルス発生手段24、サンプリング部25、第2のクロック信号発生手段26、トリガ用信号発生手段27の他に、第2のクロック信号C2を外部へ出力するためのクロック出力端子50a、サンプリング部25から出力されるパルス信号Eoを外部へ出力するためのパルス出力端子50b、トリガ用信号Wを外部へ出力するためのトリガ出力端子50cが設けられている。
【0077】
このサンプリング装置50のクロック出力端子50a、パルス出力端子50bおよびトリガ出力端子50cは、デジタルオシロスコープ60の外部クロック入力端子60a、第1チャネル入力端子60bおよび第2チャネル入力端子60cにそれぞれケーブル接続されている。
【0078】
デジタルオシロスコープ60は、各チャネル入力端子60b、60cから入力される信号に対するA/D変換処理を外部クロック入力端子60aに入力されるクロック信号に同期して行う外部クロック同期機能と、任意に指定したチャネル入力端子またはトリガ入力端子の入力信号の電圧が任意に設定したしきい値を所定方向に越えたタイミングから一定時間(後述する時間軸の表示幅および表示ポイント数等に依存する)が経過する間にA/D変換処理によって得られたデータを波形データとしてチャネル毎に記憶する外部トリガ機能と、その記憶した波形データを時間軸上に表示する波形表示機能とを有しており、この波形表示のモードとして、前記したパーシステンス表示モード、平均化表示モードのいずれかを任意に選択できるように構成されている。
【0079】
上記サンプリング装置50の各部の動作は、前記した波形観測システム20で説明したのと同一であり、このサンプリング装置50からの第2のクロック信号C2、パルス信号Eoおよびトリガ用信号Wを受けたデジタルオシロスコープ60は、第1チャネル入力端子60bに入力されるパルス信号Eoに対するA/D変換処理を、外部クロック入力端子60aに入力されている第2のクロック信号C2に同期して行ない、パルス信号Eoの各パルスのピーク値に対応したデータ値Dpに変換する。
【0080】
そして、ある時刻に、第2チャネル入力端子60cに入力されているトリガ用信号Wが立ち上がって、しきい値Vを低い方から高い方に越えると、そのタイミングから一定時間の間に第1チャネルのA/D変換処理で得られるデータを波形データとして内部メモリに順次記憶し、その記憶した一連の波形データを読み出して前記同様に表示部の時間軸上にプロットして光信号Pの波形を、指定されたモードに応じて表示する。
【0081】
この波形観測システム20′では、データ取得と波形表示の機能をデジタルオシロスコープ60で実現しているので、このオシロスコープ60の各端子に、第2のクロック信号C2、パルス信号Eoおよびトリガ用信号Wを各出力端子50a〜50cから与えることで、前記した波形観測システム20と同一の動作をさせることができ、デジタルオシロスコープ60を所有していれば、上記サンプリング装置50を新たに用意するだけで、光信号の観測が行なえ、システム全体を安価に構成することができる。
【0082】
また、上記の波形観測システム20′では、データの取得と波形の表示の処理をデジタルオシロスコープ60で行なっていたが、このデジタルオシロスコープ60の代わりに、入力信号をデジタルのデータに変換するA/D変換機能を有し、前記したデータ取得制御手段34、波形データメモリ35、表示制御手段36と同等の機能をプログラム処理で行なうパーソナルコンピュータを用いてもよい。
【0083】
また、前記説明では、光信号の波形情報を取得して観測していたが、電気信号を光パルスあるいは電気パルスでサンプリングする装置についても本発明を同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施形態の構成を示す図
【図2】実施形態の要部の構成図
【図3】要部の要部動作を説明するための信号図
【図4】実施形態の要部の構成図
【図5】実施形態の動作を説明するための信号図
【図6】実施形態の動作を説明するための信号図
【図7】表示される波形の一実施例を示す図
【図8】サンプリング装置とデジタルオシロスコープとで構成した波形観測システムの図
【図9】従来装置の構成を示す図
【図10】従来装置の動作説明図
【図11】光サンプリングパルス発生手段の構成例を示す図
【符号の説明】
【0085】
20、20′……波形観測システム、21……パラメータ指定手段、22……演算手段、23……信号発生手段、24……光サンプリングパルス発生手段、25……サンプリング部、26……第2のクロック信号発生手段、27……トリガ用信号発生手段、33……A/D変換器、34……データ取得制御手段、35……波形データメモリ、36……表示制御手段、37……表示器、38……観測モード指定手段、50……サンプリング装置、50a……クロック出力端子、50b……パルス出力端子、50c……トリガ出力端子、60……デジタルオシロスコープ、60a……外部クロック入力端子、60b……第1チャネル入力端子、60c……第2チャネル入力端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の波形が所定周期(Tx)で繰り返し現れる信号を入力するための入力端子(20a)と、
前記波形の繰り返し周期(Tx)とサンプリングのオフセット遅延時間(ΔT)とに対応する情報を指定するためのパラメータ指定手段(21)と、
前記パラメータ指定手段によって指定された情報と、サンプリング周期(Ts)の可変範囲とに基づいて、
Q・Ts=N・Tx+ΔT
を満たす1以上の整数Q、Nおよびサンプリング周期を算出する演算手段(22)と、
前記演算手段によって算出されたサンプリング周期の第1のクロック信号(C1)を出力する信号発生手段(23)と、
前記第1のクロック信号に同期したサンプリングパルスを前記演算手段によって算出されたサンプリング周期で発生するサンプリングパルス発生手段(24)と、
前記サンプリングパルスによって前記入力信号をサンプリングするサンプリング部(25)と、
前記第1のクロック信号に同期し、且つ前記サンプリング周期の前記整数Q倍の周期をもつ第2のクロック信号(C2)を出力する第2のクロック信号発生手段(26)と、
前記第2のクロック信号を外部に出力するためのクロック出力端子(50a)と、
前記サンプリング部から出力されるパルス信号を外部に出力するためのパルス出力端子(50b)とを備えたサンプリング装置。
【請求項2】
同一の波形が所定周期(Tx)で繰り返し現れる信号を入力するための入力端子(20a)と、
前記波形の繰り返し周期(Tx)とサンプリングのオフセット遅延時間(ΔT)とに対応する情報を指定するためのパラメータ指定手段(21)と、
前記パラメータ指定手段によって指定された情報と、サンプリング周期(Ts)の可変範囲とに基づいて、
Q・Ts=N・Tx+ΔT
を満たす1以上の整数Q、Nおよびサンプリング周期を算出する演算手段(22)と、
前記演算手段によって算出されたサンプリング周期の第1のクロック信号(C1)を出力する信号発生手段(23)と、
前記第1のクロック信号に同期したサンプリングパルスを前記演算手段によって算出されたサンプリング周期で発生するサンプリングパルス発生手段(24)と、
前記サンプリングパルスによって前記入力信号をサンプリングするサンプリング部(25)と、
前記第1のクロック信号に同期し、且つ前記サンプリング周期の前記整数Q倍の周期をもつ第2のクロック信号(C2)を出力する第2のクロック信号発生手段(26)と、
前記サンプリング部から出力されるパルス信号をデジタルのデータに変換して出力するA/D変換器(33)と、
波形データを記憶するための波形データメモリ(35)と、
前記A/D変換器が出力するデータを前記第2のクロック信号に同期して前記波形データメモリに書込むデータ取得制御手段(34)と、
前記波形データメモリに記憶された一連の波形データを読み出して前記オフセット遅延時間間隔の時間軸上に波形表示する波形表示手段(36、37)とを備えた波形観測システム。
【請求項1】
同一の波形が所定周期(Tx)で繰り返し現れる信号を入力するための入力端子(20a)と、
前記波形の繰り返し周期(Tx)とサンプリングのオフセット遅延時間(ΔT)とに対応する情報を指定するためのパラメータ指定手段(21)と、
前記パラメータ指定手段によって指定された情報と、サンプリング周期(Ts)の可変範囲とに基づいて、
Q・Ts=N・Tx+ΔT
を満たす1以上の整数Q、Nおよびサンプリング周期を算出する演算手段(22)と、
前記演算手段によって算出されたサンプリング周期の第1のクロック信号(C1)を出力する信号発生手段(23)と、
前記第1のクロック信号に同期したサンプリングパルスを前記演算手段によって算出されたサンプリング周期で発生するサンプリングパルス発生手段(24)と、
前記サンプリングパルスによって前記入力信号をサンプリングするサンプリング部(25)と、
前記第1のクロック信号に同期し、且つ前記サンプリング周期の前記整数Q倍の周期をもつ第2のクロック信号(C2)を出力する第2のクロック信号発生手段(26)と、
前記第2のクロック信号を外部に出力するためのクロック出力端子(50a)と、
前記サンプリング部から出力されるパルス信号を外部に出力するためのパルス出力端子(50b)とを備えたサンプリング装置。
【請求項2】
同一の波形が所定周期(Tx)で繰り返し現れる信号を入力するための入力端子(20a)と、
前記波形の繰り返し周期(Tx)とサンプリングのオフセット遅延時間(ΔT)とに対応する情報を指定するためのパラメータ指定手段(21)と、
前記パラメータ指定手段によって指定された情報と、サンプリング周期(Ts)の可変範囲とに基づいて、
Q・Ts=N・Tx+ΔT
を満たす1以上の整数Q、Nおよびサンプリング周期を算出する演算手段(22)と、
前記演算手段によって算出されたサンプリング周期の第1のクロック信号(C1)を出力する信号発生手段(23)と、
前記第1のクロック信号に同期したサンプリングパルスを前記演算手段によって算出されたサンプリング周期で発生するサンプリングパルス発生手段(24)と、
前記サンプリングパルスによって前記入力信号をサンプリングするサンプリング部(25)と、
前記第1のクロック信号に同期し、且つ前記サンプリング周期の前記整数Q倍の周期をもつ第2のクロック信号(C2)を出力する第2のクロック信号発生手段(26)と、
前記サンプリング部から出力されるパルス信号をデジタルのデータに変換して出力するA/D変換器(33)と、
波形データを記憶するための波形データメモリ(35)と、
前記A/D変換器が出力するデータを前記第2のクロック信号に同期して前記波形データメモリに書込むデータ取得制御手段(34)と、
前記波形データメモリに記憶された一連の波形データを読み出して前記オフセット遅延時間間隔の時間軸上に波形表示する波形表示手段(36、37)とを備えた波形観測システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−3325(P2006−3325A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182946(P2004−182946)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】
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