説明

サーキュレータ

【課題】 室内空気を循環させるサーキュレータにおいて、空気吹出口の吹出角度を変更するための角度調節機構が外部に露出しない構造を実現する。
【解決手段】 ベース1の上に配置される枠体2内に空気流路3を配置し、枠体2背面に空気流路3の入口となる空気取入口4を、枠体2前面に空気流路3の出口となる空気吹出口5を設け、空気流路3内に送風ファン6を備える。枠体2内には左右方向に伸ばされた回転軸部8を設け、枠体2の下面から背面に連続するスリット状開口9を形成し、ベース1にはスリット状開口9を貫通して枠体2内に伸ばされた支柱10と、支柱10の上部に形成されて回転軸部8を回動可能に支持する基部11とを設け、回転軸部8と基部11とによって枠体2内に角度調節機構7を構成し、枠体2が回転軸部8を回動中心として回動して、枠体2の前面の空気吹出口5が前方を向いた状態と上方を向いた状態との間で、吹出角度を変更できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は室内空気を循環させるサーキュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
床面に設置されるベースの上に枠体を設け、枠体内にはファンモータと送風ファンとを備え、枠体背面の空気取入口から取り入れた室内空気を枠体前面の空気吹出口から吹出す構成のサーキュレータが知られている。また、枠体とベースの間には角度調節機構を備えており、枠体前面の空気吹出口の吹出角度が前方と上方の間で変更できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案公報 第3104900号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のサーキュレータは、角度調節機構が枠体外に形成されたものが一般的であり、ベースの上に間隔をあけて2本の支持部材が形成され、支持部材の間に枠体が回動可能に取り付けられている。2本の支持部材は枠体よりも幅広の間隔で配置されるため、ベースの形状は必ず枠体よりも大きくなり、製品全体の形状が大きくなってしまうものであった。また、枠体の側面に角度調節機構を配置するため、デザインの変更が難しい構造となっており、デザインの自由度が低いという課題があった。
【0005】
また、従来の一般的なサーキュレータの場合、送風ファンのファンモータが枠体内の背面側に寄せられて配置されているが、枠体の重量のバランスが悪く転倒の可能性があるため、重量のバランスを取るための構造が新たに必要となる場合があり、部品点数や重量の増加などの課題がある。また、空気吹出口の吹出角度を調節するときに枠体の重量のバランスが変化するため、操作性が悪いという課題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上記の課題を解決するもので、床面に設置されるベース1と、該ベース1の上に配置される枠体2とを設け、前記枠体2内に空気流路3を配置し、前記枠体2背面に前記空気流路3の入口を形成する空気取入口4と、前記枠体2前面に前記空気流路3の出口を形成する空気吹出口5とを設け、前記空気取入口4から前記空気吹出口5に至る前記空気流路3に空気流を作り出す送風ファン6を設けると共に、前記枠体2の前面の前記空気吹出口5が前方を向いた状態と上方を向いた状態との間で、吹出角度を変更できるように角度調節機構7を設けたサーキュレータにおいて、前記枠体2内には左右方向に伸ばされた回転軸部8を設けると共に、前記枠体2の下面から背面に連続するスリット状開口9を形成し、かつ、前記ベース1には前記スリット状開口9を貫通して前記枠体2内に伸ばされた支柱10と、前記支柱10の上部に形成されて前記回転軸部8を回動可能に支持する基部11とを設け、前記角度調節機構7は前記回転軸部8と前記基部11とによって前記枠体2内に構成されており、前記枠体2が回転軸部8を回動中心として回動するように構成されていることを特徴とするものである。
【0007】
前記ベース1の上面と前記スリット状開口9を含む前記枠体2の底面と背面の連続する表面は回転軸部8を中心とした円弧状の湾曲面で形成し、前記ベース1の上面とスリット状開口9の表面とが所定の間隔12で対向すると共に、枠体2の外部から一定の荷重がかかると前記ベース1と前記枠体2とが接触することにより、外部からの荷重に対しては枠体2が直接ベース1の上面によって支持されるものである。
【0008】
また、前記回転軸部8の中央には前記ファンモータ6aが取り付けられる固定部材8aを設け、前記ファンモータ6aを前記回転軸部8に配置することにより、ファンモータ6aを枠体2内の中央に配置できると共に、枠体2背面の空気取入口4と送風ファン6との距離を確保することができる。
【0009】
また、前記基部11は前記支柱10よりも枠体2前面の空気吹出口5側に形成し、前記支柱10を前記回転軸部8よりも枠体2背面側に配置したことにより、枠体2のスリット状開口9と送風ファン6との距離を確保することができる。
【0010】
また、前記回転軸部8は両端部が中央部よりも枠体2の背面側に位置するようにクランク部8bを形成すると共に、前記回転軸部8の中央部に前記ファンモータ6aの固定部材8aと基部11との嵌合部8cとを構成したことにより、送風ファン6と回転軸部8との間隔を大きくすることなく、送風ファン6と回転軸部8との接触を防ぐことができる。
【0011】
前記回転軸部8の嵌合部8cと前記支柱10は中空形状に形成し、前記枠体2と前記ベース1との空間を連通する連通部13を形成し、前記ファンモータ6aの配線コード6bが前記連通部13内を経てベース1に配置されていることにより、枠体2内に配線コード6bが露出しない構成にすることができた。
【発明の効果】
【0012】
この発明は、ベース1から形成した支柱10が枠体2に設けたスリット状開口9を貫通して枠体2内に位置し、支柱10の上部に形成した基部11と枠体2内に設けた回転軸部8が枠体2内で嵌合することで、枠体2がベース1の上に取り付けられており、枠体2は回転軸部8を回動中心として回動可能に構成されており、枠体2の前面の空気吹出口5の吹出角度が変更可能となっている。枠体2の角度調節機構7を枠体2内の回転軸部8と基部11とによって構成することで、デザイン処理が難しい角度調節機構7が露出しない構造が実現できたから、ベース1や枠体2のデザインが変更しやすい構造となり、デザイナーの意図するデザインが容易に実現できるものとなった。
【0013】
また、ベース1の上面とスリット状開口9が配置される枠体2の底面から背面に連続する表面を回転軸部8を中心とした円弧状の湾曲面で形成し、ベース1の上面とスリット状開口9を含む枠体2の表面とが所定の間隔12を保ちながら枠体2が回転軸部8を中心に回動する構成として、通常は回転軸部8と支柱10とによって枠体2が支持される構造となっている。一方、枠体2の外部から荷重がかかったときは、間隔12がなくなって枠体2の底面もしくは背面がベース1の上面に接触して、ベース1の上面で直接枠体2を支持することで、外部からの荷重に対する強度を得ることができた。このため、空気流路3内の風の流れの障害となる回転軸部8や支柱10の形状を小さくすることができ、送風能力の低下を最小限に抑えることができるから、枠体2の形状を大きくすることなく角度調節機構7が外部に露出しない構造が実現できるから、製品全体をコンパクトな形状にすることができる。
【0014】
また、送風ファン6のファンモータ6aを枠体2内に固定するための固定部材8aを回転軸部8の中央に設け、ファンモータ6aを回転軸部8に配置している。このため、枠体2の背面の空気取入口4と枠体2内の送風ファン6との距離を確保することができ、空気取入口4から指などを挿入した場合でも、送風ファン6に触れることがなくなり、安全性が向上できるものとなった。また、重量のあるファンモータ6aが枠体2の回動中心に位置するので、枠体2内の重量のバランスが良くなり安定性が向上でき、空気吹出口5の吹出角度の変更時に枠体2の重量のバランスがほとんど変化しないから、操作性が向上できたものである。
【0015】
また、枠体2内において、支柱10の位置を回転軸部8と基部11の位置よりも枠体2の背面側に位置するように構成したから、枠体2のスリット状開口9の端部と枠体2内の送風ファン6との距離を確保することができ、スリット状開口9から指が挿入された場合でも送風ファン6に触れることはなく、安全性が向上できるものとなった。
【0016】
また、回転軸部8にはクランク部8bを形成して、回転軸部8の両端部が中央部よりも枠体2の背面側に位置するように構成し、中央部にファンモータ6aの固定部材8aと基部11との嵌合部8cを設けている。このようにすると、送風ファン6とファンモータ6aの位置を近づけても、送風ファン6と回転軸部8とが接触しない構造が実現できるから、枠体2の前後方向の幅を短くできコンパクト化が可能となった。
【0017】
また、回転軸部8の嵌合部8cと支柱10の内部には、枠体2とベース1との空間を連通する連通部13を形成し、固定部材8aに取り付けたファンモータ6aの配線コード6bが連通部13内を経てベース1内に配置されるようにした。ファンモータ6aの配線コード6bを枠体2内に露出させることなく直接連通部13内に配置することができるから、枠体2内に侵入した異物や送風ファン6が配線コード6bと接触する恐れがなくなり、配線コード6bの破損や断線などのトラブルを防ぐことができるものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施例を示すサーキュレータの縦断面図である。
【図2】この発明の実施例を示すサーキュレータの横断面図である。
【図3】この発明の実施例を示すサーキュレータの要部断面図である。
【図4】この発明の実施例を示すサーキュレータの空気吹出口を上方に向けた状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図に示す実施例によってこの発明を説明すると、1はサーキュレータのベース、2はベース1の上に設置する枠体、4は枠体2の背面に形成した空気取入口、5は枠体2の前面に形成した空気吹出口、3は枠体2背面の空気取入口4と枠体2前面の空気吹出口5とを連通するように枠体2内に形成した空気流路、6は枠体2の空気流路3内に配置したプロペラファンで構成される送風ファンである。
【0020】
6aは送風ファン6のファンモータ、6bはファンモータ6aの配線コード、14はベース1に設けた運転スイッチを兼ねる風量設定手段、15は壁コンセントに接続する電源コードであり、ファンモータ6aの配線コード6bと電源コード15はベース1内で風量設定手段14を介して接続されている。風量設定手段14は例えば「強」「中」「弱」「微風」「停止」のいずれかが設定できるようになっており、風量設定手段14が「停止」のときはファンモータ6aへの電源が切断されており、風量設定手段14が「強」「中」「弱」「微風」のいずれかに設定されるとファンモータ6aに通電されて送風ファン6が回転し、枠体2背面の空気取入口4から室内空気を吸い込み、枠体2前面の空気吹出口5から枠体2前方に吹き出す。風量設定手段14によって「強」「中」「弱」「微風」の設定を変更すると、ファンモータ6aへの出力電圧が変更し、ファンモータ6の回転数が変更されるものであり、運転・停止と風量の切り替えを1つのスイッチで行うことができるようになっている。
【0021】
7はベース1と枠体2との間に形成した角度調節機構であり、枠体2の前面の空気吹出口5の吹出角度が前方と上方との間で変更できるようになっている。サーキュレータは床面に設置されるが、枠体2前面の空気吹出口5を斜め上方や真上に向けることで、部屋の上部空間や天井に向けて送風して室内空気を循環することができる。
【0022】
冬季にストーブなどの暖房機器と併用するときには、枠体2の前面の空気吹出口5を上方に向けると天井付近の温められた空気が循環しやすくなり、天井付近に暖かい空気が溜まるのを防ぐことができ、床面と天井の温度差をなくして室内温度を均一にできる。一方、夏季にエアコンなどの冷房機器と併用するときは、枠体2の前面の空気吹出口5を斜め上方に向けると低温度の空気が室内全体に循環しやすくなり、床面と天井の温度差をなくして室内温度を均一にできるようになっている。
【0023】
ところで、サーキュレータは送風ファン6の送風能力に合わせて空気流路3の大きさを決定し、空気流路3の形状に合わせて枠体2の大きさが決定するが、従来は角度調節機構7が枠体2の外側に配置された構造が一般的であり、角度調節機構7の分だけ枠体2よりもベース1の形状を大きくする必要があるため、製品の全体形状が大きくなってしまっていた。また、角度調節機構7を配置するためデザイン上の制約があり、ベース1や枠体2のデザインの自由度を低くしているため、デザインの変更がしやすい構造の要望がある。
【0024】
8は枠体2内の中央に左右方向に伸ばされた回転軸部であり、回転軸部8は両端が空気流路3を形成する枠体2内の側壁に係合してネジ止めなどの固定方法によって固定されている。9は枠体2の底面から背面に連続するスリット状開口であり、平行する2本の長孔で構成されている。
【0025】
10はベース1の上面から上方に伸ばされた2本の支柱であり、支柱10は枠体2のスリット状開口9を貫通して枠体2内に位置している。11は支柱10の上端に形成されて回転軸部8を回動可能に支持するための基部、11aは回転軸部8を間に挟むように基部11に取り付けられる固定手段であり、固定手段11aをネジ止めなどの固定方法によって基部11に固定すると、基部11と固定手段11aによって軸受け構造を構成して回転軸部8を回動可能に保持している。
【0026】
ベース1の上に配置された枠体2は、回転軸部8を回動中心として回動して、枠体2前面の空気吹出口5が前方と上方の間で吹出角度を変更できるようになり、枠体2内の回転軸部8と支軸11とによって角度調節機構7を構成することができた。
枠体2のスリット状開口9は、枠体2が回動するときの支柱10の逃がし構造となっており、枠体2の空気吹出口5が前方を向いているときはスリット状開口9の底面側の端部が支柱10と接触する位置となり、枠体2の空気吹出口5が上方を向くように変更すると、スリット状開口9の枠体2底面側の端部が支柱10から離れ、枠体の背面が下向きになってスリット状開口9の背面側の端部が支柱10に接触する位置まで回動する。
【0027】
このため、ベース1と枠体2の外部に角度調節機構7が露出しない構造になったから、ベース1や枠体2の形状に制約がなくなって、デザインの変更がしやすい構造となったから、デザインの自由度が高まり、デザイナーの意図したデザインが容易に実現できるものとなった。
【0028】
12はベース1の上面と枠体2の底面もしくは背面との間に形成される間隔であり、この発明の実施例ではベース1の上面と、枠体2のスリット状開口9の間の底面から背面に連続する表面を、回転軸部8を中心とした円弧状の湾曲面で構成したから、枠体2が回転軸部8を回動中心として回動して空気吹出口5の向きを変更したときも、湾曲面で構成されたベース1の上面と枠体2の底面もしくは背面とは一定の間隔12を維持しており、ベース1と枠体2とが接触しない構造となっている。
【0029】
一方、枠体2の外部から枠体2に一定以上の荷重がかけられたときは、回転軸部8と支柱10が撓んで枠体2の位置が下側に変化し、ベース1と枠体2との間隔12がなくなって枠体2の底面もしくは背面の湾曲面がベース1の上面の湾曲面と接触するように設定している。
【0030】
このため、外部からの荷重に対しては枠体2が直接ベース1の上面にのって支持される構造となり、回転軸部8や支柱10には一定以上の荷重がかからない構造にすることができたから、回転軸部8と支柱10は枠体2の重量を支持できる強度に設定すればよく、空気流路3内に配置される回転軸部8や支柱10の形状を小さくできるものとなった。
空気流路3内に配置される回転軸部8や支柱10は送風ファン6の風の流れの妨げとなるが、この構成では送風能力の低下を最小限に抑えることができるから、枠体2の形状を大きくすることなく角度調節機構7が外部に露出しない構造が実現できたから、製品全体をコンパクトな形状にすることができる。
【0031】
図2において、8aは2本の支柱10の基部11の間に位置する回転軸部8の中央部に設けたファンモータ6aの固定部材であり、ファンモータ6aは固定部材8aに取り付けてネジ止めなどの固定方法によって固定されており、回転軸部8の中央部に配置される。
枠体2内に配置された部品の中で重量のあるファンモータ6aが枠体2の回動中心に位置するから、枠体2を回転軸部8を回転中心として回動して枠体2の向きを変更したときに、枠体2内の重量のバランスが大きく変化することがなくなった。このため、枠体2の向きを変更するときに重量の変化が少なく安定した構造となるから、取り扱い性が向上できるものとなった。
【0032】
また、送風ファン6を構成するプロペラファンは羽根の先端が枠体2の背面側に傾斜した形状となっているため、送風ファン6の羽根の先端は空気取入口4に近づく構造となっているが、ファンモータ6aを回転軸部8に取り付けることで送風ファン6も枠体2内の中央付近に位置するものとなったから、枠体2の空気取入口4と送風ファン6との距離を確保することができ、空気取入口4から指等が挿入された場合でも、送風ファン6の羽根に指が触れることはなくなり、安全性を向上することができるものとなった。
【0033】
また、枠体2の背面側のスリット状開口9は空気取入口4と同じ位置にあるので、枠体2の背面側のスリット状開口9から指が挿入されても送風ファン6に触れる心配はない。一方、枠体2の空気吹出口5を上方に向けたときには、枠体2の底面側のスリット状開口9から指を挿入することができるが、枠体2の底面側のスリット状開口9は送風ファン6との距離が近くなるため、この場合でも送風ファン6に触れないようにする工夫が必要となる。
この対策として、支柱10の上部に位置する基部11が支柱10よりも枠体2の前面側に突出するように形成しており、基部11に取り付けられた回転軸部8が支柱10よりも枠体2前面側に位置するように構成している。このようにすると、スリット状開口9の底面側の端部を枠体2の回動中心となる回転軸部8よりも枠体2の背面側に位置させることができ、スリット状開口9と送風ファン6との距離を確保することができるので、枠体2の空気吹出口5を上方に向けたときに、枠体2底面側のスリット状開口9から指を挿入した場合でも、送風ファン6に指が触れることはなく安全性が確保できるものとなった。
【0034】
また、回転軸部8は送風ファン6とファンモータ6aとの間に位置するため、送風ファン6の羽根と回転軸部8との接触を防ぐ必要があり、ファンモータ6aのモータ軸の寸法を長くすれば、送風ファン6と回転軸部8が接触しない構造となるが、送風ファン6と空気吹出口5との距離が短くなってしまい、枠体2の前後方向の幅が必要となることがあり、枠体形状が大きくなってしまう可能性があるため、できるだけコンパクトな枠体形状で実現したい。
【0035】
8bは回転軸部8の中央部と両端部との間に形成したクランク部であり、回転軸部8はクランク部8bよりも外側の両端部が中央部よりも枠体2の背面側に位置するように構成されている。8cは回転軸部8に形成した基部11との嵌合部であり、クランク部8bの内側に嵌合部8cが形成され、嵌合部8cの内側に固定部材8aが形成されてファンモータ6aが取り付けられており、ファンモータ6aと嵌合部8cが回転軸部8の中央部に配置されている。
回転軸部8はクランク部8bの内側の嵌合部8cで基部11と嵌合しており、クランク部8bより外側の両端部が枠体2内の側壁と係合しているから、枠体2の回動中心の位置は変更されないが、枠体2と回転軸部8との係合位置はクランク部8bの分だけ枠体2の背面側に位置する構造となる。
【0036】
この構造によって、回転軸部8のクランク部8bよりも外側の両端部がファンモータ6aの固定部材8aよりも枠体2背面側に位置するから、ファンモータ6aと送風ファン6との距離を短くしても、送風ファン6の羽根と回転軸部8の両端部とが接触しない構造にすることができ、枠体2の前後方向の幅を短くしてコンパクトな形状にすることができるものである。
【0037】
また、この発明の実施例において、回転軸部8の嵌合部8cと支柱10は中空に作られており、13は中空の嵌合部8cと支柱10の内部に形成される連通部であり、枠体2とベース1との空間が連通部13を介して連通している。
嵌合部8cの連通部13aは一方が固定部材8aに取り付けたファンモータ6aの近傍に開口し、他方が基部11内に開口している。また、支柱10内の連通部13bは上部が基部11内に開口し、下部がベース1内に開口しており、嵌合部8cの連通部13aと支柱10内の連通部13bが基部11内で連続して、1つの連通部13を構成している。
ファンモータ6aの配線コード6bは嵌合部8cの開口から連通部13aに通され、基部11内を経て支柱10の連通部13bに通され、ベース1内に届いており、ベース1内に配置された風量設定手段14に接続されている。
【0038】
従来は配線コード6bが枠体2の内面に沿って配置されていたため、配線コード6bが枠体2内に露出した構造となっており、枠体2内に誤って物品が挿入されたときに物品が配線コード6bに接触する恐れがあり、また、配線コード6bが枠体2の内面から外れてしまうと送風ファン6と接触する恐れがあり、配線コード6bの破損や断線を発生させる恐れがあった。
【0039】
この発明の構造では、ファンモータ6aの配線コード6bを枠体2の内面などに沿って配置することなく、直接連通部13に通すことができるから、枠体2内にファンモータ6aの配線コード6bが全く露出しない構造が実現できたものである。枠体2内に侵入した物品や送風ファン6と配線コード6bが接触することがなくなり、配線コード6bの破損や断線などのトラブルを発生させる心配がなくなった。
【符号の説明】
【0040】
1 ベース
2 枠体
3 空気流路
4 空気取入口
5 空気吹出口
6 送風ファン
6a ファンモータ
6b 配線コード
7 角度調節機構
8 回転軸部
8a 固定部材
8b クランク部
8c 嵌合部
9 スリット状開口
10 支柱
11 基部
12 間隔
13 連通部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に設置されるベース(1)と、該ベース(1)の上に配置される枠体(2)とを設け、
前記枠体(2)内に空気流路(3)を配置し、前記枠体(2)背面に前記空気流路(3)の入口を形成する空気取入口(4)と、前記枠体(2)前面に前記空気流路(3)の出口を形成する空気吹出口(5)とを設け、前記空気取入口(4)から前記空気吹出口(5)に至る前記空気流路(3)に空気流を作り出す送風ファン(6)を設けると共に、
前記枠体(2)の前面の前記空気吹出口(5)が前方を向いた状態と上方を向いた状態との間で、吹出角度を変更できるように角度調節機構(7)を設けたサーキュレータにおいて、
前記枠体(2)内には左右方向に伸ばされた回転軸部(8)を設けると共に、前記枠体(2)の下面から背面に連続するスリット状開口(9)を形成し、
かつ、前記ベース(1)には前記スリット状開口(9)を貫通して前記枠体(2)内に伸ばされた支柱(10)と、前記支柱(10)の上部に形成されて前記回転軸部(8)を回動可能に支持する基部(11)とを設け、
前記角度調節機構(7)は前記回転軸部(8)と前記基部(11)とによって前記枠体(2)内に構成されており、前記枠体(2)が回転軸部(8)を回動中心として回動するように構成されていることを特徴とするサーキュレータ。
【請求項2】
前記ベース(1)の上面と前記スリット状開口(9)を含む前記枠体2の底面と背面の連続する表面は回転軸部(8)を中心とした円弧状の湾曲面で形成し、前記ベース(1)の上面とスリット状開口(9)の表面とが所定の間隔(12)で対向すると共に、
枠体2に外部から一定の荷重がかかると前記ベース1と前記枠体2とが接触することを特徴とする請求項1記載のサーキュレータ。
【請求項3】
前記回転軸部(8)の中央には前記ファンモータ(6a)が取り付けられる固定部材(8a)を設け、前記ファンモータ(6a)を前記回転軸部(8)に配置することを特徴とする請求項1または2に記載のサーキュレータ。
【請求項4】
前記基部(11)は前記支柱(10)よりも枠体(2)前面の空気吹出口(5)側に形成し、前記支柱(10)を前記回転軸部(8)よりも枠体(2)背面側に配置したことを特徴とする請求項1から3に記載のサーキュレータ。
【請求項5】
前記回転軸部(8)は両端部が中央部よりも枠体(2)の背面側に位置するようにクランク部(8b)を形成すると共に、前記回転軸部(8)の中央部に前記ファンモータ(6a)の固定部材(8a)と基部(11)との嵌合部(8c)とを構成したことを特徴とする請求項1から4に記載のサーキュレータ。
【請求項6】
前記回転軸部(8)の嵌合部(8c)と前記支柱(10)は中空形状に形成し、前記枠体(2)と前記ベース(1)との空間を連通する連通部(13)を形成し、前記ファンモータ(6a)の配線コード(6b)が前記連通部(13)内を経てベース(1)に配置されていることを特徴とする請求項1から5に記載のサーキュレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−208910(P2011−208910A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78501(P2010−78501)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000003229)株式会社トヨトミ (124)
【Fターム(参考)】