説明

サーマル印刷装置およびその印字方法

【課題】サーマル印字において、発熱体に偏りがある印字図柄の場合には、ある特定の発熱体に発熱回数が集中することによって、サーマルヘッドの寿命がその発熱体の寿命に依存し、短命なものとなってしまう。
【解決手段】発熱すべき画素パターンを全画素よりも少なくしても発色性に遜色の無い画素数とし、そのパターンを多数用意し、印字券ごとに発熱すべき画素パターンを変更し、結果サーマルヘッドの各画素の発熱回数を平準化することによって、サーマルヘッドの延命を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直接感熱印刷または熱転写印刷(以下サーマル印刷という)用の印字ヘッド(以下サーマルヘッドという)の発熱制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
サーマル印字方式は、定期券の券面印刷や帳票類の印刷技術として実用に具している。通常サーマルヘッドは発熱体が一列に並んでおり、その発熱体に一定の印加エネルギーを電気的に印加し、その電気エネルギーを熱に変換し印刷媒体あるいは、転写リボンに印加することによって、発色させる素子である。文字や図柄の印字は、サーマルヘッドを間欠的に発熱させ、さらに、その状態においてサーマルヘッドまたは印刷媒体をサーマルヘッドの発熱体の並びに対して直角方向に移動せしめることによって実現する。サーマルヘッドの寿命は通常印加エネルギーの量と印加の回数によって制限される。
【0003】
サーマルヘッドは、通常発熱回数で寿命が謳われている。定期券の券面のように、券面に対して印字箇所が偏っているような用途に使用する場合には、発熱する発熱体が偏り特定の発熱体が寿命を迎える。
【0004】
そこで、個別の素子が破壊されたためにサーマルヘッドとしての寿命が短くなってしまうことを避けるための、サーマルヘッドの延命方法が求められている。特許文献1は、破壊された素子を印字に用いないという方策をとることにより、ヘッドの寿命を延ばしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−248800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、発熱体の使用(発熱)頻度が偏り、使用頻度の高い発熱体が寿命を迎えることにより、サーマルヘッドの寿命が使用頻度の高い発熱体の寿命に依拠してしまうことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明によれば、複数の発熱体が線状に配置され、該発熱体に一定のエネルギーを電気的に印加することにより印字を行う印刷装置において、
前記複数の発熱体の一部に印加することを許諾する複数のパターンを作成する作成手段と、
該作成手段によって作成されたパターンの中から、特定のパターンを選択する選択手段と、
該選択手段を複数回繰り返す繰り返し手段と、
を有することを特徴とするサーマル印刷装置。
【0008】
請求項2の発明によれば、複数の発熱体が線状に配置され、該発熱体に一定のエネルギーを電気的に印加することにより印字を行う印刷装置の印字方法において、
前記複数の発熱体の一部に印加することを許諾する複数のパターンを作成する作成工程と、
該作成手段によって作成されたパターンの中から、特定のパターンを選択する選択工程と、
該選択手段を複数回繰り返す繰り返し工程と、
を有することを特徴とするサーマル印刷装置の印字方法。
【0009】
本発明は、印字対象となる券面を構成する全画素数に対して、例えばその8割程度の画素を選択し、選択された画素に対して発熱すべきヘッドについて発熱制御すること、および、その画素選択のパターンを券面に対して常に変更することを特徴とする。この場合は、使用(発熱)頻度をできる限り均一化し、結果、各発熱体の発熱回数をほぼ等しくすることによって、サーマルヘッドの寿命を2割程度延命することができる。
【発明の効果】
【0010】
サーマル印字において、発熱体に偏りがある印字図柄の場合には、ある特定の発熱体に発熱回数が集中することによって、サーマルヘッドの寿命がその発熱体の寿命に依存してしまう。
そこで、発熱すべき画素パターンを全画素よりも少なくしても発色性に遜色の無い画素数とし、そのパターンを多数用意し、印字券ごとに発熱すべき画素パターンを変更し、結果サーマルヘッドの各画素の発熱回数を平準化することによって、延命を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】発熱すべき画素パターン
【図2】印字すべき図柄
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の好適な実施態様を以下の実施例を用いて説明する。
以下において、発熱体は、当該画素パターンにおいて発熱すべき画素であって、かつ印字図柄で発色画素である場合に発熱するものとする。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明方式の1実施例の発熱パターンであって、2は発熱すべき画素、3は非発熱画素を示す。図2は実際に券面に印字したい図柄であって、図1と図2との対応する画素が共に発熱すべき画素であれば、サーマルヘッドの発熱体を発熱させる。
【0014】
印字するための発熱パターンは発熱画素が均一になるように複数パターン用意し、一枚の券を印字するたびに発熱パターンを変化させる。
【0015】
本発明においては、サーマルヘッドの各発熱体の印加の回数を文字、図柄によらず平準化制御することによって、サーマルヘッド延命する。券面の印刷に必要な全画素数に対して、発色濃度に影響ない範囲で少ない印加画素並びのパターンをあらかじめ定義するかまたは計算によって、印加画素並び求め、それらのパターンを一回の印刷処理ごとにパターンを変更することによって、印加される発熱体の回数を平準化制御するものである。
【0016】
例えば、発熱すべき画素パターンを全画素の8割とし、そのパターンを多数用意し、印字券ごとに発熱すべき画素パターンを変更し、結果サーマルヘッドの各画素の発熱回数を平準化することにより、約2割の延命を図ることができる。
【0017】
本発明は、発熱パターンを、ランダムに全画素の8割とすることにより、行または列毎にコントロールするような場合に比べて、本発明実施の成果物である印刷媒体における印字の判読性・可読性を上げることができる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
発熱すべき画素パターンを全画素よりも少なくしても発色性に遜色の無い画素数とし、そのパターンを多数用意し、印字券ごとに発熱すべき画素パターンを変更し、結果サーマルヘッドの各画素の発熱回数を平準化することによって、サーマルヘッドの延命を図ることができる。
【符号の説明】
【0019】
1 発熱パターン例
2 発熱画素
3 非発熱画素
4 印字図柄


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発熱体が線状に配置され、該発熱体に一定のエネルギーを電気的に印加することにより印字を行う印刷装置において、
前記複数の発熱体の一部に印加することを許諾する複数のパターンを作成する作成手段と、
該作成手段によって作成されたパターンの中から、特定のパターンを選択する選択手段と、
該選択手段を複数回繰り返す繰り返し手段と、
を有することを特徴とするサーマル印刷装置。
【請求項2】
複数の発熱体が線状に配置され、該発熱体に一定のエネルギーを電気的に印加することにより印字を行う印刷装置の印字方法において、
前記複数の発熱体の一部に印加することを許諾する複数のパターンを作成する作成工程と、
該作成手段によって作成されたパターンの中から、特定のパターンを選択する選択工程と、
該選択手段を複数回繰り返す繰り返し工程と、
を有することを特徴とするサーマル印刷装置の印字方法。


【図1】
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【図2】
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