説明

ショーケースの点検蓋の開閉構造

【課題】ショーケースの移動時に振動などの外力がショーケースに加わっても、点検蓋が簡単に外れることがなく、安定した状態でショーケースを移動でき、また、機械室内の装置のメンテナンス時にはワンタッチ的に容易に点検蓋を開閉でき、しかも点検蓋の全体を開口部から完全に外さずに開状態を保持でき、メンテナンス時などに作業性を向上できるショーケースの点検蓋の開閉構造を得る。
【解決手段】商品出入れ用の開口を有し断熱壁で形成されたショーケース本体の下方に機械室を設け、この機械室の前面開口を点検蓋で開閉自在に閉塞するショーケースの前記開閉蓋の開閉構造において、細長帯状の板体の途中を略三角形状に折り曲げて形成した板バネによるフック部12を、点検蓋の上部から背面側に突出し、前記機械室の前面開口の上縁に前記フック部が着脱自在に係止する係止突片を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケットなどの店舗に設置されるショーケースの機械室の前面開口に取付けられる点検蓋の開閉構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ショーケースは、図4に示すように上面に商品出入れ用の開口2を有し断熱壁で形成された断面略コ字形のショーケース本体1内を仕切り板3で商品収納庫4と冷気循環ダクトとに区画し、開口2の端部に商品収納庫4内を照射する蛍光灯5などの照明灯と照明灯スイッチ6を配設し、冷気循環ダクト内には冷気を開口2や庫内に送風するための送風機を配設している。
【0003】
また、ショーケース本体1の下方には機械室7を設け、機械室7内に圧縮機や凝縮器、送風機などからなる冷凍ユニット・電装ボックス8を配設しているものもある。
【0004】
機械室7の前面は、メンテナンスのための開口部9に形成し、この開口部を点検蓋10で開閉自在に覆う。
【0005】
点検蓋10の開口部9への取付構造として、従来は例えば上引掛け方式と下引掛け方式とがあり、上引掛け方式では点検蓋10の背面側下部にマグネットを取り付けるとともに、背面側上部にフックを取り付け、他方、開口部9の上縁に前記フックが係合する係止突片を設けている。
【0006】
そして、点検蓋10の上部はフックが係止突片に回動自在に係合され、下部はマグネットが機械室7の外枠に磁着されることで、点検蓋10は開口部9に開閉自在に取付けられている。
【0007】
一方、下引掛け方式では、上引掛け方式とは反対に点検蓋10の背面側上部にマグネットを取り付けるとともに、背面側下部に係止孔を形成し、他方、開口部9の下縁に前記係止孔に挿入する係止フックを設けている。
【0008】
そして、点検蓋10の上部はマグネットが機械室の外枠に磁着され、下部は係止孔に係止フックが回動自在に挿入されることで、点検蓋10は開口部9に
開閉自在に取付けられている。(例えば特開平10-311657号公報)
【特許文献1】特開平10-311657号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記上引掛け方式では、ショーケースの運搬時などにショーケースが揺れて点検蓋の下部が磁力に抗して開口部から離間しても、点検蓋の上部はショーケース本体側に係止され、フックにより吊支持されている状態にあるから、点検蓋がパウンドしてもショーケース本体から外れることはない。
【0010】
しかし、開閉部分が点検蓋の下部であり、開閉方向が下方から上方に点検蓋を持ち上げる方向となっているため、機械室内の装置のメンテナンス時には点検蓋を持ち上げたままの状態で作業をすることはできず、点検蓋の全体を機械室の開口部から外してこれを床に置くなどの必要があり、作業性がよくない。
【0011】
他方、下引掛け方式の場合は、点検蓋の上部を磁力に抗して外して、下部を係止フックを介して手前に回動できるから、点検蓋を手前に倒して機械室の開口縁に引掛けたままの状態でメンテナンスなどの作業を行えるが、前記のように点検蓋の上部は磁力によって開口縁に固定されているだけであるから、ショーケースの移動時などに振動などの外力がショーケースに加わると、そのはずみで点検蓋の上が外れるおそれがある。
【0012】
本発明は前記従来例の不都合を解消するものとして、ショーケースの移動時に振動などの外力がショーケースに加わっても、点検蓋が簡単に外れることがなく、安定した状態でショーケースを移動でき、また、機械室内の装置のメンテナンス時にはワンタッチ的に容易に点検蓋を開閉でき、しかも点検蓋の全体を開口部から完全に外さずに開状態を保持でき、メンテナンス時などに作業性を向上できるショーケースの点検蓋の開閉構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1記載の本発明は、商品出入れ用の開口を有し断熱壁で形成されたショーケース本体の下方に機械室を設け、この機械室の前面開口を点検蓋で開閉自在に閉塞するショーケースの前記開閉蓋の開閉構造において、細長帯状の板体の途中を略三角形状に折り曲げて形成した板バネによるフック部を、点検蓋の上部から背面側に突出し、前記機械室の前面開口の上縁に前記フック部が着脱自在に係止する係止突片を設けたことを要旨とするものである。
【発明の効果】
【0014】
以上述べたように本発明のショーケースの点検蓋の開閉構造は、点検蓋の下部を機械室の開口縁に回動自在に係止し、上部をバネ構造のフックで係止したから、ショーケースの移動時に振動などの外力がショーケースに加わっても、点検蓋が簡単に外れることがなく、安定した状態でショーケースを移動でき、また、機械室内の装置のメンテナンス時にはバネの弾力に抗して押すだけでワンタッチ的に容易に点検蓋を開閉でき、しかも点検蓋の全体を開口部から完全に外さずに開状態を保持でき、メンテナンス時などに作業性を向上できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面について本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明のショーケースの点検蓋の開閉構造の実施形態を示す要部であるフック部の斜視図、図2は本発明のショーケースの点検蓋の開閉構造の実施形態を示す点検蓋を閉じた状態の縦断側面図、図3は同上開き始めの状態の縦断側面図で、ショーケースの全体構造は図4について既に説明したとおりであるからここでの詳細な説明は省略する。
【0016】
本発明の点検蓋10も、商品出入れ用の開口2を有し断熱壁で形成されたショーケース本体1の下方に形成された機械室7の前面の開口部9を開閉自在に閉塞するものであり、開閉蓋10の上部が開閉自在に係止され、下部が回動自在に係止される。
【0017】
上部の開閉自在な係止構造として、開口部9の上縁でショーケース本体1の側にアングル状の係止突片11を下方の向けて垂設し、点検蓋10の上部背面側から後方に向けて前記係止突片11に着脱自在に係止するフック部12を突設した。
【0018】
このフック部12は、図1に示すように細長帯状の板体の途中を略三角形状に折り曲げ可撓性を有する折返し部による係止部12aを形成した板バネによるものであり、一方の端部を摘み部12bに形成し、この摘み部12bと係止部12aとの間に前記係止突片11に係止する係止段部12dをクランク状に形成し、他方の端部を点検蓋10への取付部12cとし、この取付部12cを点検蓋10の背面にボルトなどで固定した。
【0019】
前記摘み部12bは、操作可能なように点検蓋10に形成した操作孔13から点検蓋10の前方に向けて突出させる。
【0020】
下部の回動自在な係止構造としては、点検蓋10の下部を内側にコ字形に折返し、ここに係止孔14を形成して引掛け部とし、機械室7の開口部9下縁に前記係止孔14に回動自在に差込まれるチャンネル形状の受け部15を取りつけた。
【0021】
点検蓋10が閉じられて開口部9を閉塞している状態では、図2に示すように点検蓋10の上部は、フック部12の係止部12aと係止段部12dとが点検蓋10の背面側に突出し、垂直に形成されている係止段部12dの前面が係止突片11の背面に当接して、点検蓋10が手前に倒れることを阻止する状態にある。
【0022】
また、この状態では摘み部12bは操作孔13から前方に突出している。
【0023】
一方、点検蓋10の下部は、ショーケース本体1側に取り付けた受け部15が点検蓋10の側に取り付けた係止孔14に回動自在に差込まれている。
【0024】
よって、この状態でショーケースを運搬した場合、点検蓋10の上部はフック部12が係止突片11に係止して前方への倒れが阻止され、点検蓋10の下部は受け部15が係止孔14に差込まれているから、移動に伴う振動が点検蓋10に加わっても、これにより点検蓋10が開口部9から外れるおそれはない。
【0025】
機械室7内の機械の点検を行うに際し、開口部9を解放するには、図3に示すように摘み部12bを係止部12aの弾力に抗して下方に押せば、係止段部12dが係止突片11にそって下方に移動し係止突片11から外れる。これにより点検蓋10の上部は手前に倒れる。
【0026】
このとき、点検蓋10の下部は受け部15が係止孔14に挿入された状態にあるから、係止状態が解除されることはなく、受け部15と係止孔14との係止部分を支点として点検蓋10は上部が手前下方に回動し、開口部9が解放される。
【0027】
よって、点検蓋10の全体を取外さずに、下部を開口部9の下縁に取り付けたままの状態で開くことができる。
【0028】
点検作業終了後、点検蓋10を閉じるには、点検蓋10を後方に押せば、係止部12aがバネの弾力に抗して係止突片11の下縁にそって後方に押しやられ、バネの弾力によって係止段部12dが係止突片11の背面側に復位する。このとき、摘み部12bによる操作は不要であり、点検蓋10を後方に押して閉じる操作だけでフック部12により自動的にロックされる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明のショーケースの点検蓋の開閉構造の実施形態を示す要部であるフック部の斜視図である。
【図2】本発明のショーケースの点検蓋の開閉構造の実施形態を示す点検蓋を閉じた状態の縦断側面図である。
【図3】本発明のショーケースの点検蓋の開閉構造の実施形態を示す開き始めの状態の縦断側面図である。
【図4】ショーケースの全体斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
1 ショーケース本体 2 開口
3 仕切り板 4 商品収納庫
5 蛍光灯 6 照明灯スイッチ
7 機械室 8 冷凍ユニット・電装ボックス
9 開口部 10 点検蓋
11 係止突片 12 フック部
12a 係止部 12b 摘み部
12c 取付部 12d 係止段部
13 操作孔 14 係止孔
15 受け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品出入れ用の開口を有し断熱壁で形成されたショーケース本体の下方に機械室を設け、この機械室の前面開口を点検蓋で開閉自在に閉塞するショーケースの前記開閉蓋の開閉構造において、細長帯状の板体の途中を略三角形状に折り曲げて形成した板バネによるフック部を、点検蓋の上部から背面側に突出し、前記機械室の前面開口の上縁に前記フック部が着脱自在に係止する係止突片を設けたことを特徴とするショーケースの点検蓋の開閉構造。
【請求項2】
前記フック部は、点検蓋の前方に突出する端部の摘み部が下方に押圧されることで撓む山形の折返し部と、この折返し部と摘み部との間にクランク状に形成される係止段部とで形成されることを特徴とする請求項1記載のショーケースの点検蓋の開閉構造。
【請求項3】
前記開閉蓋の下部には引掛け部を設け、この引掛け部が回動自在に係止する受け部を前記機械室の前面開口の下縁に設けたことを特徴とする請求項1記載のショーケースの点検蓋の開閉構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−273639(P2009−273639A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−127279(P2008−127279)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000004422)日本建鐵株式会社 (152)
【Fターム(参考)】