説明

ショーケース

【課題】温度センサが取付位置から脱落した場合、温度センサの接続を誤った場合、蒸発器にアイスバンクが生じている場合などに起因する異常を報知することができるショーケースを提供すること。
【解決手段】複数の部位にそれぞれ取り付けられ、部位ごとの温度を計測する複数の温度センサを備え、複数の温度センサが計測した部位ごとの温度に基づいて運転制御するショーケースにおいて、温度調節用温度センサが計測した温度Aと除霜温度センサが計測した温度BとがA≧B+2の関係を満たさない場合(ステップS2:No)、温度調節用温度センサが計測した温度Aと外気温度センサが計測した温度CとがA+15≦Cの関係を満たさない場合(ステップS5:No)に異常と判定し(ステップS3,ステップS6)、その旨を報知するので、温度調節用温度センサや除霜センサが取付位置から脱落した場合などに起因する異常を知ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陳列した商品をあらかじめ設定した温度域で保冷するショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
商品を陳列する収容庫の内部に温度センサを設置し、温度センサが計測した温度データとあらかじめ設定した温度域データとに基づいて、ショーケースの冷凍サイクル内に設けた電磁開閉弁を開閉制御するショーケースが広く知られている。
【0003】
上述したショーケースのなかには、正常運転時における電磁開閉弁の開閉間隔を記憶しておき、温度センサに断線などの故障が生じた場合に、正常運転時における開閉間隔で電磁開閉弁を開閉制御することにより、収容庫の内部の温度をあらかじめ設定した温度域に近い状態で運転するものがある(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
また、上述したショーケースのなかには、複数の温度センサを備え、一または複数の温度センサに故障が生じた場合に、故障した温度センサ以外の温度センサが計測した温度データを故障した温度センサの設置場所における温度データに補正し、補正した温度データとあらかじめ設定した温度域データとに基づいてショーケースの冷凍サイクル内に設けた電磁開閉弁を開閉制御することにより、収容庫の内部の温度をあらかじめ設定した温度域に近い状態で運転するものがある(たとえば、特許文献2参照)。
【0005】
ところで、温度センサは、単体で管理され、信号に異常が認められた場合に故障と判定していた。たとえば、温度センサにNTCサーミスタを用いた場合には、抵抗値が所定値よりも大きい場合に断線故障と判定し、抵抗値が所定値よりも小さい場合に短絡故障と判定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−190580号公報
【特許文献2】特開平10−99167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、温度センサを単体で管理し、信号に異常が認められた場合に故障と判定するのでは、温度センサの故障を判定できても、温度センサが取付位置から脱落した場合、温度センサの取付位置を間違えた場合、温度センサの接続を誤った場合、蒸発器にアイスバンクが生じている場合などに起因する異常を報知することができない。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、温度センサが取付位置から脱落した場合、温度センサの取付位置を間違えた場合、温度センサの接続を誤った場合、蒸発器にアイスバンクが生じている場合などに起因する異常を報知することができるショーケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、複数の部位にそれぞれ取り付けられ、部位ごとの温度を計測する複数の温度センサを備え、前記複数の温度センサが計測した部位ごとの温度に基づいて運転制御するショーケースにおいて、第1の部位に取り付けた温度センサが計測した第1の温度と前記第1の部位と異なる第2の部位に取り付けた温度センサが計測した第2の温度とがあらかじめ定めた関係を満たさない場合に異常と判定する判定手段と、前記判定手段が異常と判定した場合にその旨を報知する報知手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記判定手段は、冷却運転している場合にあらかじめ定めた第1の関係を満たさない場合に異常と判定し、除霜運転している場合にあらかじめ定めた第2の関係を満たさない場合に異常と判定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記判定手段は、店舗が開店中の場合にあらかじめ定めた第3の関係を満たさない場合に異常と判定し、店舗が閉店中の場合にあらかじめ定めた第4の関係を満たさない場合に異常と判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかるショーケースは、第1の部位に取り付けた温度センサが計測した第1の温度と第1の部位と異なる第2の部位に取り付けた温度センサが計測した第2の温度とがあらかじめ定めた関係を満たさない場合に異常と判定し、その旨を報知するので、温度センサが取付位置から脱落した場合、温度センサの取付位置を間違えた場合、温度センサの接続を誤った場合、蒸発器にアイスバンクが生じている場合などに起因する異常を報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の実施の形態であるショーケースを示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示したショーケースの内部構造を示す断面図である。
【図3】図3は、図1に示したショーケースの制御構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、図1に示したショーケースの運転状態と各部位における温度との関係を示す図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態であるショーケースにおける異常検出手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明にかかるショーケースの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態であるショーケースを示す斜視図であり、図2は、図1に示したショーケースの内部構造を示す断面図である。ここで例示するショーケース1は、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどの店舗において冷凍商品や生鮮食品などの商品を陳列販売するためのものであって、オープンショーケースと称されている。ショーケース1は、台座11とケース本体12とを備えている。台座11は、平面視矩形の外形を有する枠体であり、その上にケース本体12が搭載される。
【0016】
ケース本体12は、直方体の箱の前面および両側面が開口した形状を有している。ケース本体12は、底部を構成する船底状の船底壁部12Aと、船底壁部12Aの後端縁から上方に向けて延在した背壁部12Bと、背壁部12Bの上端縁から前方に向けて延在した天井壁部12Cを有しており、これらは、左右一対をなす側板12Dに取り付けられている。また、船底壁部12A、背壁部12B、天井壁部12C、側板12Dの内部には、断熱材(図示せず)が配設してあり、ケース本体12の内部と外部とは断熱されている。
【0017】
側板12Dは、水平方向に延びる基部12D1と、基部12D1の後端部から上方に向けて延在する柱部12D2と、柱部12D2の上端部から前方に向けて延在する梁部12D3とを有しており、側面視コの字状を成している。
【0018】
図2に示すように、ケース本体12の底部を構成する船底壁部12Aの上には、ドレーンパン2が設置してある。ドレーンパン2は、後述する通風路や陳列室4において結露した水滴などを集めて外部に排出するためのもので、その底面は、排水孔となるドレーン2aに向けて漸次低くなるように傾斜している。
【0019】
ケース本体12は、船底壁部12Aよりも上方に位置する部位にドレーンパン2から離隔する態様で設けたデッキパン4Aと、デッキパン4Aの後端縁から上方に向けて延在した背面パネル4Bと、背面パネル4Bの上端縁から前方に向けて延在した天井パネル4Cとを有しており、ドレーンパン2とデッキパン4Aとの間に底面ダクト(通風路)3Aを画成し、これら、デッキパン4A、背面パネル4B、天井パネル4Cに囲まれた空間に陳列室4を画成する。
【0020】
デッキパン4Aは、左右対をなす側板12Dの基部12D1と基部12D1とに跨って設けられ、底面ダクト3Aの上面を閉塞している。
【0021】
背面パネル4Bは、背壁部12Bの内側に背壁部12Bと離隔する態様で側板12Dの柱部12D2に取り付けてあり、背壁部12Bとの間に背面ダクト(通風路)3Bを画成している。背面ダクト3Bは、底面ダクト3Aと連通しており、底面ダクト3Aと背面ダクト3Bとの間で空気が流通する。
【0022】
天井パネル4Cは、天井壁部12Cの内側に天井壁部12Cと離隔する態様で側板12Dの梁部12D3に取り付けてあり、天井壁部12Cとの間に天井ダクト(通風路)3Cを画成している。天井ダクト3Cは、背面ダクト3Bと連通しており、背面ダクト3Bと天井ダクト3Cとの間で空気が流通する。
【0023】
また、船底壁部12Aの前端縁とデッキパン4Aとの間には、リターングリル5が設置してある。リターングリル5は、陳列室4の前面域から底面ダクト3Aに空気を吸い込むためのもので、上面には、陳列室4の前面域から底面ダクト3Aに空気を吸い込むための吸込口5aが形成してある。吸込口5aは、ケース本体12の前後方向に延びる細長い長孔状のスリットを並設したもので、吸込口5aから底面ダクト3Aに商品等が落下する事態を防止している。
【0024】
底面ダクト3Aの内部、より具体的にはドレーンパン2の上には、ファンダクト6が設置してある。ファンダクト6は、底面ダクト3A、背面ダクト3B、天井ダクト3C、陳列室4の前面の順に空気を循環させ、陳列室4の前面にエアカーテンを生成させるためのもので、前面が斜め上方を臨むように、傾斜した角筒形を有している。また、ファンダクト6の前面には、ファン61が設置してあり、ファン61を稼働させると、底面ダクト3Aの内部空気がファンダクト6を通り背面ダクト3Bに流入し、陳列室4の前面から底面ダクト3Aに空気が吸い込まれる。
【0025】
背面ダクト3Bの内部には、蒸発器(熱交換器)62が設置してある。蒸発器62は、底面ダクト3Aから流入した空気との間で熱交換することにより、底面ダクト3Aから流入した空気を冷却するためのもので、ショーケース1の外部に設けられた冷凍機(図示せず)とともに冷凍サイクルを構成する。そして、底面ダクト3Aから流入した空気は、蒸発器62の周囲を通過する際に冷却される。また、上述した冷凍サイクル内には、電磁開閉弁63(図3参照)が設けてある。電磁開閉弁63は、蒸発器62に供給する冷媒の供給量を制御するためのもので、開閉制御することにより、冷媒の供給量を制御する。
【0026】
また、ファン61と蒸発器62との間には、除霜ヒータ64が設置してある。除霜ヒータ64は、蒸発器62に付着した霜を取り除くためのもので、底面ダクト3Aからファンダクト6に流入した空気を温めることにより、蒸発器62に付着した霜を融解させる。
【0027】
天井壁部12Cの前端縁と天井パネル4Cの前端縁との間には、ハニカム7が設置してある。ハニカム7は、天井ダクト3Cから吹き出す空気を整流するためのもので、上述した吸込口5aと対向する吹出口7aを有し、天井ダクト3Cから吹出口7aを通り吹き出された空気は吸込口5aから吸い込まれ、陳列室4の前面にエアカーテンを生成する。
【0028】
また、天井壁部12Cの前端縁には、照明装置8が並設してある。照明装置8は、フロントパネル81により前面が覆われた蛍光灯82であって、フロントパネル81の前面に蛍光灯82を点灯あるいは消灯させるスイッチ83が設けてある。
【0029】
また、底面ダクト3Aの内部であって、吸込口5aの下方となる位置には、吸込温度センサ91が取り付けてある。吸込温度センサ91は、陳列室4の前面域から吸い込んだ空気の温度を計測するためのもので、吸込温度センサ91が計測した温度は、ショーケース1の制御指標となる。
【0030】
また、背面ダクト3Bの内部であって、蒸発器62のすぐ上となる位置には、除霜温度センサ92が取り付けてある。除霜温度センサ92は、蒸発器62を通過した空気の温度を計測するためのもので、除霜温度センサ92が計測した温度は、ショーケース1の制御指標となる。
【0031】
また、天井ダクト3Cの内部であって、ハニカム7の奥となる位置には、温度調節用温度センサ93が取り付けてある。温度調節用温度センサ93は、ハニカム7から吹き出す空気の温度を計測するもので、温度調節用温度センサ93が計測した温度は、ショーケース1の制御指標となる。
【0032】
また、背面パネル4Bの陳列室側、高さ方向中程には、背面温度センサ94が取り付けてある。背面温度センサ94は、陳列室内部の温度を計測するためのもので、背面温度センサ94が計測した温度は、ショーケース1の制御指標となる。
【0033】
また、天井パネル4Cの陳列室側、奥行き方向中程には、庫内温度センサ95が取り付けてある。庫内温度センサ95は、背面温度センサ94と同様、陳列室内部の温度を計測するためのもので、庫内温度センサ95が計測した温度は、ショーケース1の庫内温度として表示するとともに、ショーケース1の制御指標となる。
【0034】
また、天井壁部12Cの上面手前側には、外気温度センサ96が取り付けてある。外気温度センサ96は、ショーケース1の設置場所の温度を計測するためのもので、外気温度センサ96が計測した温度は、ショーケース1の制御指標となる。
【0035】
図3は、図1に示したショーケースの制御構成を示すブロック図である。図4は、図1に示した運転状態と各部位における温度との関係を示す図である。図3に示すように、ショーケース1は、上述したファン61、電磁開閉弁63、除霜ヒータ64を統括的に制御する制御部10を備えている。制御部10には、ファン61、電磁開閉弁63、除霜ヒータ64のほか、上述した吸込温度センサ91、除霜温度センサ92、温度調節用温度センサ93、背面温度センサ94、庫内温度センサ95、外気温度センサ96が接続してある。そして、制御部10は、これらが計測した温度に基づいて電磁開閉弁63、ファン61を運転制御することにより、蒸発器62に供給する冷媒量、蒸発器62のまわりを流れる空気量を制御し、陳列室4の庫内温度を所定の温度域に維持する。
【0036】
また、制御部10は、吸込温度センサ91、除霜温度センサ92、温度調節用温度センサ93、背面温度センサ94、庫内温度センサ95、外気温度センサ96を単体で管理し、信号に異常が認められた場合に故障と判定する。たとえば、温度センサにNTCサーミスタを用いた場合には、抵抗値が所定値よりも大きい場合に断線故障と判定し、抵抗値が所定値よりも小さい場合に短絡故障と判定する。また、制御部10は、第1の部位に取り付けた温度センサが計測した第1の温度と第1の部位と異なる第2の部位に取り付けた温度センサが計測した温度とがあらかじめ定めた関係を満たさない場合に異常と判定するとともに、異常と判定した場合にその旨を報知する。
【0037】
具体的には、図4に示すように、冷却運転時には、温度調節用温度センサ93が計測した温度Aと除霜温度センサ92が計測した温度BとがA≧B+2の関係を満たさない場合に異常と判定する。また、冷却運転時であって、かつ、店舗が開店している場合には、温度調節用温度センサ93が計測した温度Aと外気温度センサ96が計測した温度CとがA+15≦Cの関係を満たさない場合に異常と判定する。また、冷却運転時であっても、店舗が閉店している場合には、温度調節用温度センサ93が計測した温度Aと外気温度センサ96が計測した温度CとがA+5≦Cの関係を満たさない場合に異常と判定する。
【0038】
一方、除霜運転時には、温度調節用温度センサ93が計測した温度Aと除霜温度センサ92が計測した温度BとがA<B−4の関係を満たさない場合に異常と判定する。また、除霜運転時であって、かつ、店舗が開店している場合には、温度調節用温度センサ93が計測した温度Aと外気温度センサ96が計測した温度CとがA+8≦Cの関係を満たさない場合に異常と判定する。また、除霜運転時であっても、店舗が閉店している場合には、温度調節用温度センサ93が計測した温度Aと外気温度センサ96が計測した温度CとがA−2≦Cの関係を満たさない場合に異常と判定する。
【0039】
図5は、本発明の実施の形態であるショーケースにおける異常検出手順を示すフローチャートである。上述した実施の形態であるショーケース1は、図5に示すように、冷却運転している場合であって(ステップS1:Yes)、温度調節用温度センサ93が計測した温度Aと除霜温度センサ92が計測した温度BとがA≧B+2の関係を満たさない場合(ステップS2:No)、すなわち、温度調節用温度センサ93が計測した温度Aが除霜温度センサ92が計測した温度Bよりも2°C以上高くない場合には、異常と判定する(ステップS3)。これは、蒸発器62のまわりを通過する際に冷却された空気が背面ダクト3Bから天井ダクト3Cに至るまでの間に2°C以上高くなることによるものである。したがって、ショーケース1の組み立て後まもなくこの関係を満たさない場合には、温度センサの取付位置を間違えている、あるいは、温度センサの接続を誤っている可能性が高い。また、ショーケース1の設置後一定期間経過後にこの関係を満たさない場合には、温度センサが取付位置から脱落している、あるいは、蒸発器62にアイスバンクが生じている可能性が高い。したがって、異常と判定した場合には、その旨をショーケース1に設けた表示部84(図3参照)に表示し、あるいは、そのショーケース1を管理する管理装置(図示せず)に報知する。
【0040】
つぎに、店舗が開店している場合(営業中の場合)であって、温度調節用温度センサ93が計測した温度Aと外気温度センサ96が計測した温度CとがA+15≦Cの関係を満たさない場合(ステップS4:Yes,ステップS5:No)、すなわち、温度調節用温度センサ93が計測した温度Aが外気温度センサ96が計測した温度Cよりも15°C以上低くない場合には、異常と判定する(ステップS6)。これは、蒸発器62のまわりを通過する際に冷却された空気が外気温度よりも十分(たとえば、15°C)に低いことによるものである。したがって、ショーケース1の組み立て後まもなくこの関係を満たさない場合には、温度センサの取付位置を間違えている、あるいは、温度センサの接続を誤っている可能性が高い。また、ショーケース1の設置後一定期間経過後にこの関係を満たさない場合には、温度センサが取付位置から脱落している、あるいは、蒸発器62にアイスバンクが生じている可能性が高い。したがって、異常と判定した場合には、その旨をショーケース1に設けた表示部84に表示し、あるいは、そのショーケース1を管理する管理装置に報知する。
【0041】
一方、店舗が閉店している場合(準備中の場合)であって、温度調節用温度センサ93が計測した温度Aと外気温度センサ96が計測した温度とがA+5≦Cの関係を満たさない場合(ステップS6:No,ステップS7:Yes)、すなわち、温度調節用温度センサ93が計測した温度Aが外気温度センサ96が計測した温度Cよりも5°C以上低くない場合には、異常と判定する。これは、店舗が閉店している場合に必要最小限のエネルギーで商品を冷却していることによるもので、蒸発器62のまわりを通過する際に冷却された空気の温度と外気温度との温度差(たとえば、5°C)が小さく設定してある。したがって、ショーケース1の組み立て後まもなくこの関係を満たさない場合には、温度センサの取付位置を間違えている、あるいは、温度センサの接続を誤っている可能性が高い。また、ショーケース1の設置後一定期間経過後にこの関係を満たさない場合には、温度センサが取付位置から脱落している、あるいは、蒸発器62にアイスバンクが生じている可能性が高い。したがって、異常と判定した場合には、その旨をショーケース1に設けた表示部84に表示し、あるいは、そのショーケース1を管理する管理装置に報知する。
【0042】
除霜運転している場合であって、温度調節用温度センサ93が計測した温度Aと除霜温度センサ92が計測した温度とがA≦B−4の関係を満たさない場合(ステップS1:No,ステップS12:No)、すなわち、温度調節用温度センサ93が計測した温度Aが除霜温度センサ92が計測した温度Bよりも4°C以上低くない場合には、異常と判定する(ステップS13)。これは、除霜運転している場合には、蒸発器62への冷媒の供給が停止され、かつ、除霜ヒータ64により空気が温められることによるものである。したがって、ショーケース1の組み立て後まもなくこの関係を満たさない場合には、温度センサの取付位置を間違えている、あるいは、温度センサの接続を誤っている可能性が高い。また、ショーケース1の設置後一定期間経過後にこの関係を満たさない場合には、温度センサが取付位置から脱落している、あるいは、蒸発器62にアイスバンクが生じている可能性が高い。したがって、異常と判定した場合には、その旨をショーケース1に設けた表示部84に表示し、あるいは、そのショーケース1を管理する管理装置に報知する。
【0043】
つぎに、店舗が開店している場合(営業中の場合)であって、温度調節用温度センサ93が計測した温度Aと外気温度センサが計測した温度とがA+8≦Cの関係を満たさない場合(ステップS14:Yes,ステップS15:No)、すなわち、温度調節用温度センサが計測した温度Aが外気温度センサが計測した温度Cよりも8°C以上低くない場合には、異常と判定する(ステップS16)。これは、店舗が開店している場合には除霜運転をしている場合であっても蒸発器62のまわりを通過した空気が外気温よりやや低いことによるものである(たとえば、8°C)。したがって、ショーケース1の組み立て後まもなくこの関係を満たさない場合には、温度センサの取付位置を間違えている、あるいは、温度センサの接続を誤っている可能性が高い。また、ショーケース1の設置後一定期間経過後にこの関係を満たさない場合には、温度センサが取付位置から脱落している、あるいは、蒸発器62にアイスバンクが生じている可能性が高い。したがって、異常と判定した場合には、その旨をショーケース1に設けた表示部84に表示し、あるいは、そのショーケース1を管理する管理装置に報知する。
【0044】
一方、店舗が閉店している場合(準備中の場合)であって、温度調節用温度センサが計測した温度Aと外気温度センサが計測した温度とがA−2≦Cの関係を満たさない場合(ステップS14:No,ステップS17:No)、すなわち、温度調節用温度センサ93が計測した温度Aが外気温度センサ96が計測した温度Cプラス2°C以下の場合には、異常と判定する(ステップS13)。これは、店舗が閉店している場合に必要最小限のエネルギーで商品を冷却していること、除霜ヒータ64により空気が温められ、蒸発器62のまわりを通過した空気の温度が外気温よりも高い場合があることによるものである。したがって、ショーケース1の組み立て後まもなくこの関係を満たさない場合には、温度センサの取付位置を間違えている、あるいは、温度センサの接続を誤っている可能性が高い。また、ショーケース1の運転中にこの関係を満たさない場合には、温度センサが取付位置から脱落している、あるいは、蒸発器62にアイスバンクが生じている可能性が高い。したがって、異常と判定した場合には、その旨をショーケース1に設けた表示部84に表示し、あるいは、そのショーケース1を管理する管理装置に報知する。
【0045】
上述した本発明の実施の形態であるショーケースは、温度調節用温度センサ93が計測した温度Aと除霜温度センサ92が計測した温度Bとがあらかじめ定めた関係にない場合、温度調節用温度センサ93が計測した温度Bと外気温度センサ96が計測した温度Cとがあらかじめ定めた関係にない場合に、異常と判定するとともに、異常と判定した場合にその旨を報知するので、温度センサが取付位置から脱落した場合、温度センサの取付位置を間違えた場合、温度センサの接続を誤った場合、蒸発器62にアイスバンクが生じている場合などに起因する異常を報知することができる。
【0046】
また、除霜温度センサが計測する温度<温度調節用温度センサが計測する温度<背面温度センサが計測する温度≒庫内温度センサが計測する温度<<吸込温度センサが計測する温度<<外気温度センサが計測する温度の関係を有するので、これらの関係を監視すれば、温度センサが取付位置から脱落した場合、温度センサの取付位置を間違えた場合、温度センサの接続を誤った場合、蒸発器62にアイスバンクが生じている場合などに起因する異常を報知することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 ショーケース
12 ケース本体
12A 船底壁部
12B 背壁部
12C 天井壁部
12D 側板
12D1 基部
12D2 柱部
12D3 梁部
2 ドレーンパン
3A 底面ダクト
3B 背面ダクト
3C 天井ダクト
4 陳列室
4A デッキパン
4B 背面パネル
4C 天井パネル
5 リターングリル
5a 吸込口
6 ファンダクト
61 ファン
62 蒸発器
63 電磁開閉弁
64 除霜ヒータ
7 ハニカム
7a 吹出口
84 表示部
91 吸込温度センサ
92 除霜温度センサ
93 温度調節用温度センサ
94 背面温度センサ
95 庫内温度センサ
96 外気温度センサ
10 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部位にそれぞれ取り付けられ、部位ごとの温度を計測する複数の温度センサを備え、前記複数の温度センサが計測した部位ごとの温度に基づいて運転制御するショーケースにおいて、
第1の部位に取り付けた温度センサが計測した第1の温度と前記第1の部位と異なる第2の部位に取り付けた温度センサが計測した第2の温度とがあらかじめ定めた関係を満たさない場合に異常と判定する判定手段と、
前記判定手段が異常と判定した場合にその旨を報知する報知手段と
を備えたことを特徴とするショーケース。
【請求項2】
前記判定手段は、冷却運転している場合にあらかじめ定めた第1の関係を満たさない場合に異常と判定し、除霜運転している場合にあらかじめ定めた第2の関係を満たさない場合に異常と判定することを特徴とする請求項1に記載のショーケース。
【請求項3】
前記判定手段は、店舗が開店中の場合にあらかじめ定めた第3の関係を満たさない場合に異常と判定し、店舗が閉店中の場合にあらかじめ定めた第4の関係を満たさない場合に異常と判定することを特徴とする請求項1または2に記載のショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−112580(P2012−112580A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261708(P2010−261708)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】