説明

シリコンスポンジ、その製造方法および用途

【課題】 優れた通気性および弾性を有し、赤外線放出効果、低燃、不燃、脱臭および殺菌効果を示すシリコンスポンジ、その製造方法および用途を提供する。
【解決手段】 ポリウレタンスポンジに、抗菌剤、難燃剤、光触媒剤および天然鉱物よりなる群から選択された1種または2種以上を含むシリコン溶液が含浸されてなることを特徴とする、シリコンスポンジを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンスポンジ、その製造方法および用途に係り、より詳しくは、ポリウレタンスポンジにシリコン溶液が含浸されてなるシリコンスポンジ、その製造方法および前記シリコンスポンジから製造された機能性製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シリコン(Silicone)の基本物質は、石英、すなわちシリカまたは酸化ケイ素(SiO2)であり、よく見かけられる砂の主成分である。シリコンは、有機物質の結合している珪素がシロキサン結合(Si−O−Si)によって連結されて生成されたポリマーを意味する。
【0003】
このようなシリコンを用いて製造されるシリコンスポンジは、他のスポンジとは異なり、非常に柔軟で耐熱性および耐寒性などに優れるため、その需要が増加しつつある。シリコンスポンジは、特殊な原料配合に起因する発泡構造によって、密閉型スポンジ(Closed cell sponge)と開放型スポンジ(open cell sponge)に大別されるが、原料、加工方法および技術の能力によって、様々な硬度と機能性を備えた製品の生産が可能である。
【0004】
シリコンスポンジは、高温での使用が可能であり、柔らかくて可撓性に優れるうえ、軽いという特性を持つ。また、シリコンスポンジは、柔らかい特性により、密閉する部分の空間が一定でなくても密閉が可能であり、その設置も簡便である。シリコンスポンジは、復元力および弾性に優れるから、超耐熱または断熱材として広く用いられており、製品の安全性のために2次加硫を行って使用されている。
【0005】
次に、このようなシリコンスポンジと関連した従来の技術について説明する。
特許文献1は、有機物質、ポリジオルガノシロキサン、水素化ケイ素、水および白金触媒を混合して室温で気泡を形成させ、前記混合液を硬化させて弾性シリコン発泡体を製造する方法を開示しており、特許文献2は、オルガノポリシロキサン、無機充填剤、熱可塑性樹脂およびシリコンオイルを含む油中水エマルジョンを混合し、これを硬化させるための十分な量の硬化剤を含むシリコンゴムスポンジ組成物を開示している。
【0006】
すなわち、従来のシリコンスポンジと関連した技術では、室温近くに放置するだけで弾性体になる常温加硫型(Room temperature vulcanizing、RTV)シリコン、または熱を加えることにより弾性体になる熱加硫型(High temperature vulcanizing、HTV)シリコンへの化学発泡剤の添加、あるいはシリコンと硬化剤が反応し合って発生する水素ガスによって発泡するスポンジである。ところが、このような方式で製造されたシリコンスポンジの中でも、開放型スポンジは、発泡セルの開放(open)の度合いが非常に微弱であって通気性が殆どなく、セルのサイズを調節することが難しく、発泡セル膜が弱く形成されて反復的な変形または引裂強度などに弱いという問題点があった。
【特許文献1】韓国特許公告第1995−0000986号明細書
【特許文献2】韓国特許公開第2001−0098908号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ポリウレタンスポンジにシリコン溶液を含浸させて使用目的に合わせて製造できるスポンジを提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、通気性に優れ、発泡セルが非常に安定して弾性に優れるうえ、シリコン溶液に機能性物質を添加してポリウレタンスポンジに含浸させることにより遠赤外線放出効果、低燃、不燃、脱臭および殺菌効果を示すことが可能なシリコンスポンジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ポリウレタンスポンジにシリコン溶液が含浸されることを特徴とする、シリコンスポンジおよびこれから製造される機能性製品が提供される。
【0010】
また、本発明の他の観点によれば、(a)シロキサン、有機溶媒および機能性物質を混合してシリコン溶液を製造する段階と、(b)前記段階(a)で製造したシリコン溶液の粘度を調節する段階と、(c)前記段階(b)のシリコン溶液にポリウレタンスポンジを含浸させる段階と、(d)前記段階(c)のポリウレタンスポンジを加圧ローラーの間に通して加圧する段階と、(e)前記段階(d)のポリウレタンスポンジを熱風乾燥させる段階とからなることを特徴とする、シリコンスポンジの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明のシリコンスポンジは、通気性に優れ、発泡セルが非常に安定して弾性に優れるうえ、シリコン溶液に機能性物質を添加してポリウレタンスポンジに含浸させることにより遠赤外線放出効果、低燃、不燃、脱臭および殺菌効果を示すことができる。また、本発明のシリコンスポンジから製造した機能性製品を用いる場合、血液浄化、血液循環促進、疲労回復、筋肉痛緩和などといった健康増進効果を示すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、シリコンスポンジおよびそれを製造する方法に関するもので、ポリウレタンスポンジにシリコン溶液が含浸されることを特徴とするシリコンスポンジを提供する。
用語「含浸」とは、液体状態のシリコン溶液をポリウレタンスポンジの表面および内部に浸透させてポリウレタンスポンジの特性を使用目的に合わせることを意味する。
【0013】
本発明では、ポリウレタンスポンジとして、ポリエーテルフォーム(Poly ether foam)またはポリエステルフォーム(Poly ester foam)を使用することができる。
前記ポリウレタンは、イソシアネート(Isocyanate)とポリオール(Polyol)の化学合成によって製造される熱硬化性樹脂であって、前記イソシアネートと前記ポリオールとの合成割合によって物性の調節が容易であり、その取り扱いの便利性のため、様々な材料の製作に広く用いられている合成樹脂である。このようなポリウレタンは、内部に発泡剤が含有されているスポンジの形で使用されたり、それ以外に軽い靴の底または自動車の内装材などに使用されたりする。
【0014】
本発明では、ポリウレタンとして、内部に多くの気孔が設けられているスポンジ形態のポリウレタンを使用することができる。このようなスポンジ形態のポリウレタンは、ポリエーテルフォーム(Poly ether foam)とポリエステルフォーム(Poly ester foam)に区分される。本発明では、ポリエステルフォームを使用することが好ましい。その理由は、前記ポリエステルフォームは発泡構造を開放型にして製造することができるためである。
【0015】
前記ポリウレタンスポンジの発泡構造を開放型にする方法は、1次に製造されたスポンジの発泡構造に形成された表面膜を取り除く機械などを用いた2次過程を経る。
また、本発明でポリウレタンスポンジに含浸されるシリコン溶液としては、シロキサン(siloxane:Si−O−Si)を含有する溶液を使用することができる。前記シロキサンとしては、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンまたはメチルフェニルポリシロキサンを使用することができ、好ましくはジメチルポリシロキサンを使用する。
【0016】
本発明で使用されるシリコン溶液は、シロキサンと有機溶媒とを混合して製造することができる。本発明で使用可能な有機溶媒としては、キシレン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類;エタノール、メタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;メチルアセテート、エチルアセテート、ブチルアセテートなどの低級脂肪酸エステル類;メチルエーテル、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類などが挙げられるが、好ましくはキシレン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類有機溶媒を使用する。
【0017】
また、本発明は、機能性物質を添加して、シリコン溶液をポリウレタンスポンジに含浸させて製造されるシリコンスポンジに機能性を与えることができる。前記添加される機能性物質は、これらに限定されるのではないが、抗菌剤、難燃剤、光触媒剤または天然鉱物を使用することができ、好ましくはこれら物質を単独または2種以上混合して使用する。
【0018】
本発明で使用される機能性物質としての抗菌剤は、細菌またはウィルスの増殖を抑制して悪臭または汚染物質の生成を遮断するために添加される物質である。
本発明の抗菌剤としては、銀や銅、亜鉛などの金属、芥子やサイプレスなどの天然抗菌剤、またはチオベンダゾールやビスフェノール、4級アンモニウム塩などの有機物を使用することができる。前記抗菌剤は、0.2〜20重量%をシリコン溶液に添加して使用することができる。
【0019】
本発明で使用される他の機能性物質としての難燃剤は、合成樹脂またはプラスチック類などのように炭素、水素、酸素からなる有機物質が燃焼し易いので、このような性質を物理・化学的に改善してよく燃焼しないように添加する物質である。
【0020】
本発明の難燃剤としては、ハロゲン系、リン系、無機系、メラミン系または塩素系難燃剤を使用することができる。前記難燃剤は、0.2〜20重量%をシリコン溶液に添加して使用することができる。
【0021】
本発明で使用される別の機能性物質としての光触媒剤は、光をエネルギー源として酸化と還元を起こして各種細菌および悪臭の除去、環境ホルモンなどの有機物質の分解、汚染除去、および紫外線遮断などの機能を行う物質である。
【0022】
本発明の光触媒剤としては二酸化チタニウムを使用することが最も好ましい。前記光触媒剤は、0.2〜20重量%をシリコン溶液に添加して使用することができる。
本発明で使用される別の機能性物質としての天然鉱物は、陰イオン、微弱電流および遠赤外線が放射されることにより、細胞の活性化、抵抗力の増進、血液浄化、血液循環促進、交感神経興奮の抑制、疲労回復、筋肉痛緩和または神経痛緩和などの健康増進効果のために添加する物質である。
【0023】
本発明の天然鉱物としては、トルマリン、済州鉱石、ナノチタニウム、希土類鉱物、珪藻土、絹雲母または麦飯石などを使用することができる。前記天然鉱物は、0.2〜20重量%をシリコン溶液に添加して使用することができる。
【0024】
一方、上述した機能性成分の少なくとも2種を選択、混合して焼結することにより得られた混合物を用いることもできる。このような混合物の一例が「銀−天然鉱物の粉末」である。
【0025】
前記銀−天然鉱物粉末は、(a)溶液を製造する段階と、(b)前記銀溶液に天然鉱物を添加する段階と、(c)天然鉱物含有の銀溶液を押し出す段階と、(d)押し出された成形物を焼結する段階と、(e)焼結体を粉砕する段階とによって製造することができる。
【0026】
前記製造方法の段階(a)は、銀溶液を製造する段階であって、銀金属を蒸留水内で電気分解して製造することができる。目的した量の銀が効率よく解離できるように、前記電気分解は100〜200V、好ましくは125〜175V、より好ましくは140〜160Vの電圧で行う。また、電気分解は、前記銀溶液中の銀の含量が10〜200ppm、好ましくは50〜150ppm、より好ましくは80〜120ppmとなるまで行う。
【0027】
前記製造方法の段階(b)は、段階(a)で製造された銀溶液に上述の天然鉱物を添加する段階である。具体的に、天然鉱物は、混合物全体重量当たり10〜99重量%、好ましくは15〜70重量%、より好ましくは20〜50重量%含まれる。銀は、混合物全体重量当たり1〜90重量%、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜30重量%含まれる。
【0028】
前記製造方法の段階(c)では、段階(b)による天然鉱物含有の銀溶液を押し出す。本発明では、スクリュー型(screw type)押出または加圧プレスなどの通常の方法によって押し出すことができる。
【0029】
前記製造方法の段階(d)では、天然鉱物含有の銀溶液を押し出して得た成形物を焼結して天然鉱物と銀との反応を誘導する。焼結時の温度は、天然鉱物と銀の融点より高く、これらの酸化温度より低くなければならない。焼結は、約300〜600℃、好ましくは350〜550℃、より好ましくは400〜500℃で行う。
【0030】
前記製造方法の段階(e)では、段階(d)の焼結によって得た焼結体を粉砕する。粉砕は、粉末の直径が10〜50μm、好ましくは20〜40μmとなるように行う。
本発明において、銀−天然鉱物の粉末は、シリコン溶液の全体重量当たり0.2〜20重量%、好ましくは1〜15重量%、より好ましくは5〜10重量%含まれる。
【0031】
上述した機能性成分の少なくとも2種を選択、混合して得た混合物の他の例が「銀−ヨウ素メッキされた活性炭素」である。
前記銀−ヨウ素メッキされた活性炭素は、(a)銀塩水溶液からなるメッキ浴で活性炭素を電解メッキする段階と、(b)前記銀メッキ処理された活性炭素を洗浄および乾燥させる段階と、(c)前記洗浄および乾燥処理された活性炭素を、ヨウ素塩水溶液からなるメッキ浴で電解メッキする段階とによって製造することができる。
【0032】
本発明で使用可能な銀塩としては、硝酸銀(AgNO3)、酢酸銀(CH3CO2Ag)およびシアン化銀(AgCN)などがあり、ヨウ素塩としては、ヨウ素酸カリウム(KIO3)およびヨウ素酸ナトリウム(NaIO3)などがある。
【0033】
これら銀化合物電解メッキ溶液の濃度は、1〜10重量%であることが好ましい。銀化合物電解メッキ溶液の濃度が1重量%未満であれば、電気分解によって解離される電解質濃度が低いため、活性炭素の表面にメッキされる銀成分の含量が少ない。これに対し、銀化合物電解メッキ溶液の濃度が10重量%超過であれば、解離される電解質の濃度が高くて電解液の中で銀沈殿が起こり、且つ被着物である活性炭素の表面構造を変化させて吸着性能を低下させる。
【0034】
ヨウ素化合物電解メッキ溶液の濃度は、5〜30重量%であることが好ましい。ヨウ素化合物電解メッキ溶液の濃度が5重量%未満であれば、電気分解によって解離される電解質の濃度が低いため、活性炭素の表面に粘着されるヨウ素成分の含量が少ない。これに対し、ヨウ素化合物電解メッキ溶液の濃度が30重量%超過であれば、解離される電解質の濃度が高いため、被着物である活性炭素の表面構造を変化させて吸着性能を低下させる。
【0035】
本発明において、電気分解時の電圧は1〜5Vが好ましい。電気分解時の電圧が1V未満であれば、電気分解によって解離される電解質の濃度が低いため、活性炭素の表面にメッキされる銀成分およびヨウ素成分の含量が少ない。これに対し、電気分解時の電圧が5V超過であれば、解離される電解質の濃度が高くて電解液中で沈殿現象が起こり、且つ被着物である活性炭素の表面構造を変化させて吸着性能を低下させる。
【0036】
また、本発明において、電気分解時の電流強度は0.1〜5.0Aが好ましい。電流強度が0.1A未満であれば、電気分解によって解離される電解質の濃度が低いため、活性炭素の表面にメッキされる銀成分およびヨウ素成分の含量が少ない。これに対し、電流強度が5.0A超過であれば、解離される電解質の濃度が高くて電解液中で沈殿現象が起こり、且つ被着物である活性炭素の表面構造を変化させて吸着性能を低下させる。
【0037】
本発明において、電気分解時間は10〜120秒が好ましい。電気分解時間が10秒未満であれば、電気分解によって解離される電解質の濃度が低いため、活性炭素の表面にメッキされる銀成分およびヨウ素成分の含量が少ない。これに対し、電気分解時間が120秒超過であれば、解離される電解質の濃度が高くて電解液中で沈殿現象が起こり、且つ被着物である活性炭素の表面構造を変化させて吸着性能を低下させる。
【0038】
本発明において、銀−ヨウ素メッキされた活性炭素は、シリコン溶液の全体重量当たり0.2〜20重量%、好ましくは1〜15重量%、より好ましくは5〜10重量%含まれる。
【0039】
他の観点として、本発明は、(a)シロキサン、有機溶媒および機能性物質を混合してシリコン溶液を製造する段階と、(b)前記段階(a)で製造したシリコン溶液の粘度を調節する段階と、(c)前記段階(b)のシリコン溶液にポリウレタンスポンジを含浸させる段階と、(d)前記段階(c)のポリウレタンスポンジを加圧ローラーの間に通して加圧する段階と、(e)前記段階(d)のポリウレタンスポンジを熱風乾燥させる段階とから構成される、シリコンスポンジの製造方法を提供する。
【0040】
以下、本発明のシリコンスポンジの製造方法を詳細に説明する。
前記段階(a)において、シリコン溶液は、シリコン溶液の総重量当たり、シロキサン60〜80重量%、有機溶媒20〜40重量%および機能性物質0.2〜20重量%を混合し、シロキサンと有機溶媒が均一に分散するように1分〜60分間、好ましくは20〜40分間攪拌して製造することができる。
【0041】
前記段階(a)において、機能性物質としては、前述した抗菌剤、難燃剤、光触媒剤または天然鉱物を使用することができ、前記機能性物質を単独または2種以上混合して使用することができる。
【0042】
前記段階(b)において、前記段階(a)で製造したシリコン溶液の粘度を調節するためには、有機溶媒をさらに添加することができる。また、前記シリコン溶液の粘度は、2000〜800,000cpに調節することができる。
【0043】
前記段階(c)において、ポリウレタンスポンジを前記段階(b)のシリコン溶液に含浸させるために、前記シリコン溶液がポリウレタンスポンジに十分浸透されるように1〜30分間、好ましくは2〜10分間含浸を行う。
【0044】
前記段階(d)において、ポリウレタンスポンジに含浸されたシリコン溶液の量を調節するために、前記段階(c)のポリウレタンスポンジを加圧ローラーの間に1〜10回通すことができる。
【0045】
前記段階(e)において、前記段階(d)のポリウレタンスポンジを乾燥させるために、前記ポリウレタンスポンジをコンベーヤー(conveyer)乾燥機などに通過させて熱風乾燥させることができる。この際、熱風乾燥させる時間は1〜30分、好ましくは5〜15分であり、温度は10〜100℃、好ましくは30〜70℃であるが、浸漬されたシリコン溶液の量によって調節することができる。
【0046】
また、前記段階(e)において、熱風乾燥の際にコンベーヤー乾燥機の内部を前記ポリウレタンスポンジが容易に通るように、油圧プレスなどの圧着器を用いて前記ポリウレタンスポンジを圧着させることができる。
【0047】
一方、上述した製造方法によって完成した本発明のシリコンスポンジは、様々な機能性製品に製造することができるので、要求される機能性製品に合わせて裁断して使用することが可能なことは当業者であれば認識できるであろう。
【0048】
本発明のシリコンスポンジは、様々な機能性製品に製造することができる。本発明のシリコンスポンジから製造できる機能性製品としては、船舶、自動車および鉄道車両のシートまたはクッション、建築内装材、靴の底、インソール(靴の中敷き)、座布団、マトリックス、アンダーウェア(例えば、ブラジャー、パンツ)、アクセサリ、スポーツ衣類などが挙げられる。
【0049】
また、本発明に係るシリコンスポンジでは、保護帯をも製造できるが、ここで、保護帯は、人体の関節、骨などが位置する皮膚を覆って外部の影響から身体を保護し、着用される部位の汗などの老廃物による悪臭、細菌などを取り除くためのものである。前述した目的を達成することができるものであればいずれの保護帯も本発明の保護帯に該当するが、好ましくは手首保護帯、膝保護帯、足首保護帯、肘保護帯、腰保護帯、肩保護帯などが前記シリコンスポンジ保護帯に該当する。
【0050】
また、本発明に係るシリコンスポンジでは、フィルターをも製造できるが、ここで、フィルターは、揮発性有機化合物、環境ホルモンなどの有機物質、悪臭、カビまたは細菌などを取り除くために使用されるフィルターである。前述した目的を達成することが可能なフィルターであればいずれのフィルターでも構わないが、好ましくはエアコン、温風機、空気清浄機、自動車空調装置、建物空調装置、加湿器の空調設備などに適用されるフィルターが本発明に係るシリコンスポンジフィルターに該当する。
【0051】
以下、本発明の理解を助けるために好適な実施例を提示する。ところが、下記の実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0052】
(実施例)
実施例1:シリコンスポンジの製造
ジメチルポリシロキサン70重量%、キシレン25重量%およびトルマリン5重量%を混合してシリコン溶液を製造した。
【0053】
一方、前記製造したシリコン溶液10lにポリウレタンスポンジ(シンファウレタン、韓国)を浸漬して5分間含浸させた。
また、シリコン溶液に含浸された前記ポリウレタンスポンジを加圧ローラー(ハンラ空調、韓国)の間に2回繰り返し通した後、熱風乾燥のために10分間コンベーヤー乾燥機(ジンバイブロテック、韓国)に通過させて最終的なシリコンスポンジを製造した。
【0054】
実施例2:シリコンスポンジで製造した靴の底の遠赤外線放射測定
実施例1で製造したシリコンスポンジを用いて靴の底を製造し、前記靴の底から放射される赤外線放射エネルギーを赤外線熱画像装置によって温度29℃、湿度41%の条件で測定した。一方、対照群としては、通常の靴の底を使用した。それぞれの測定結果を図1aおよび図1bに示した。
【0055】
図1aおよび図1bに示すように、本発明のシリコンスポンジで製造した靴の底からは赤外線エネルギーが多量放射されたが(図1a)、対照群からは赤外線エネルギーの放射が微々であることを確認することができた(図1b)。
【0056】
実施例3:シリコンスポンジで製造したブレスレットの遠赤外線放射測定
実施例1で製造したシリコンスポンジを用いてブレスレットを製造し、前記ブレスレットを着用してから10分経過した後、デジタル体熱測定器を用いて25℃、相対湿度40%の条件で手首周囲の体熱の変化を撮影した。一方、ブレスレットを着用していない手首を対照群とした。その測定結果を図2に示した。
【0057】
図2に示すように、本発明のシリコンスポンジで製造したブレスレットを着用した手首は、血行が促進されて体熱が上昇したが(図2の左側)、対照群では体熱の上昇が微々であることを確認することができた(図2の右側)。
【0058】
さらに、前記ブレスレットを着用する前、および着用してから30分が経過した後にそれぞれ採血を行い、赤血球測定器を用いて血液中の赤血球の形状、色相および分布度などを測定した。その測定結果を図3aおよび図3bに示した。
【0059】
図3aおよび図3bに示すように、本発明のシリコンスポンジで製造したブレスレッドを着用することにより、血中の酸性度が元通りに復元されて赤血球の形状、色相および分布度が健康な状態に回復することを確認することができた。
【0060】
実施例4:シリコンスポンジで製造したネックレスの遠赤外線放射測定
実施例1で製造したシリコンスポンジを用いてネックレスを製造し、前記ネックレスを着用する前、および着用してから10分が経過した後にそれぞれデジタル体熱撮影機を用いて25℃、相対湿度40%の条件で首周囲の体熱の変化を撮影した。前記測定結果を図4aおよび図4bに示した。
【0061】
図4aおよび図4bに示すように、本発明のシリコンスポンジで製造したネックレスを着用した首は、血行が促進されて体熱が上昇した(図4b)が、対照群では体熱の上昇が微々であることを確認することができた(図4a)。
【0062】
実施例5:シリコンスポンジで製造したマットの遠赤外線放射測定
実施例1で製造したシリコンスポンジを用いてマットを製造し、前記マットに横になったまま10分が経過した後、デジタル体熱撮影機を用いて25℃で、相対湿度40%の条件で上半身の体熱の変化を撮影した。一方、対照群としては、通常のマットを使用した。前記測定結果を図5aおよび図5bに示した。
【0063】
図5aおよび図5bに示すように、本発明のシリコンスポンジで製造したマットを用いた場合、上半身の血行が促進されて体熱が上昇したが(図5b)、対照群では体熱の上昇が微々であることが分かった(図5a)。
【0064】
実施例6:シリコンスポンジで製造したブラジャーの遠赤外線放射測定
実施例1で製造したシリコンスポンジを用いてブラジャーを製造し、前記ブラジャーを着用する前、および着用してから15分が経過した後にそれぞれデジタル体熱撮影機を用いて25℃、相対湿度40%の条件で上半身の体熱の変化を撮影した。前記測定結果を図6aおよび図6bに示した。
【0065】
図6aおよび図6bに示すように、本発明のシリコンスポンジで製造したブラジャーからは赤外線エネルギーが多量放射されることを確認することができた。
さらに、前記ブラジャーを着用する前、着用してから30分が経過した後、および着用してから60分が経過した後にそれぞれ採血を行い、赤血球測定器を用いて血液中の赤血球の形状、色相および分布度などを測定した。その測定結果を 図7a、図7bおよび図7cに示した。
【0066】
図7a、図7bおよび図7cに示すように、本発明のシリコンスポンジで製造したブラジャーを着用することにより、血中の酸性度が元通りに復元されて赤血球の形状、色相および分布度が健康な状態に回復することを確認することができた。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1a】通常使用される靴の底の赤外線エネルギー放射を測定した写真である。
【図1b】本発明のシリコンスポンジで製造された靴の底の赤外線エネルギー放射を測定した写真である。
【図2】本発明のシリコンスポンジで製造されたブレスレットを着用して手首の体熱が上昇することを示す写真である。
【図3a】本発明のシリコンスポンジで製造されたブレスレットを着用する前の赤血球の状態を示す写真である。
【図3b】本発明のシリコンスポンジで製造されたブレスレットを着用した後の赤血球の状態を示す写真である。
【図4a】本発明のシリコンスポンジで製造されたネックレスを着用する前の首周囲の体熱を測定した写真である。
【図4b】本発明のシリコンスポンジで製造されたネックレスを着用した後の首周囲の体熱を測定した写真である。
【図5a】本発明のシリコンスポンジで製造されたマットを使用する前の上半身の体熱を測定した写真である。
【図5b】本発明のシリコンスポンジで製造されたマットを使用した後の上半身の体熱を測定した写真である。
【図6a】本発明のシリコンスポンジで製造されたブラジャーを着用する前の上半身の体熱を測定した写真である。
【図6b】本発明のシリコンスポンジで製造されたブラジャーを着用した後の上半身の体熱を測定した写真である。
【図7a】本発明のシリコンスポンジで製造されたブラジャーを着用する前の赤血球の状態を示す写真である。
【図7b】本発明のシリコンスポンジで製造されたブラジャーを着用してから30分が経過した後 の赤血球の状態を示す写真である。
【図7c】本発明のシリコンスポンジで製造されたブラジャーを着用してから60分が経過した後 の赤血球の状態を示す写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンスポンジに、抗菌剤、難燃剤、光触媒剤および天然鉱物よりなる群から選択された1種または2種以上を含むシリコン溶液が含浸されてなることを特徴とする、シリコンスポンジ。
【請求項2】
前記抗菌剤は、シリコン溶液の総重量当たり0.2〜20重量%含まれ、前記難燃剤は、シリコン溶液の総重量当たり0.2〜20重量%含まれ、前記光触媒剤は、シリコン溶液の総重量当たり0.2〜20重量%含まれ、前記天然鉱物は、シリコン溶液の総重量当たり0.2〜20重量%含まれることを特徴とする、請求項1に記載のシリコンスポンジ。
【請求項3】
(a)シロキサン、有機溶媒および機能性物質を混合してシリコン溶液を製造する段階と、
(b)前記段階(a)で製造したシリコン溶液の粘度を調節する段階と、
(c)前記段階(b)のシリコン溶液にポリウレタンスポンジを含浸させる段階と、
(d)前記段階(c)のポリウレタンスポンジを加圧ローラーの間に通して加圧する段階と、
(e)前記段階(d)のポリウレタンスポンジを熱風乾燥させる段階とからなることを特徴とする、シリコンスポンジの製造方法。
【請求項4】
前記段階(a)において、シリコン溶液の総重量当たり、シロキサン60〜80重量%、有機溶媒20〜40重量%および機能性物質0.2〜20重量%を混合して1〜60分間攪拌することを特徴とする、請求項3に記載のシリコンスポンジの製造方法。
【請求項5】
前記段階(b)において、有機溶媒をさらに添加してシリコン溶液の粘度を2000〜800,000cpに調節することを特徴とする、請求項3に記載のシリコンスポンジの製造方法。
【請求項6】
前記段階(c)において、シリコン溶液にポリウレタンスポンジを1〜30分間含浸させることを特徴とする、請求項3に記載のシリコンスポンジの製造方法。
【請求項7】
前記段階(d)において、ポリウレタンスポンジを加圧ローラーの間に1〜10回通すことを特徴とする、請求項3に記載のシリコンスポンジの製造方法。
【請求項8】
前記段階(e)において、ポリウレタンスポンジを圧着して熱風乾燥させることを特徴とする、請求項3に記載のシリコンスポンジの製造方法。
【請求項9】
請求項1または2のシリコンスポンジから製造される機能性製品。
【請求項10】
前記機能性製品が船舶、自動車および鉄道車両のシートまたはクッション、建築内装材、靴の底、インソール、座布団、マトリックス、アンダーウェア、アクセサリ、スポーツ衣類、保護帯およびフィルターのいずれか一つであることを特徴とする、請求項9に記載の製品。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【公開番号】特開2006−68519(P2006−68519A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−244727(P2005−244727)
【出願日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(505321880)ドン スン シリコン カンパニー リミテッド (1)
【出願人】(505321891)
【Fターム(参考)】