説明

シンクライアントサーバ及びアプリケーション制御方法

【課題】シンクライアント端末とシンクライアントサーバとの間の通信状態と、シンクライアントサーバ上のアプリケーションの処理を連携させることができるシンクライアントサーバシンクライアントサーバ及びアプリケーション制御方法を提供すること
【解決手段】本発明にかかるシンクライアントサーバ10は、シンクライアント端末50とデータの送受信を行う通信部15と、シンクライアント端末50によって実行される複数のアプリケーションを有するユーザ環境部11と、シンクライアント端末50と通信部15との間の通信状態を監視する監視部16と、監視部16によってシンクライアント端末50との間の通信が実行されていないことが検出された場合、複数のアプリケーション毎に、予め定められた制御を実行するアプリケーション制御部17と、を備えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシンクライアントサーバ及びアプリケーション制御方法に関し、特にシンクライアント端末との間の通信状態に応じてアプリケーションを制御するシンクライアントサーバ及びアプリケーション制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットを用いた通信において、ユーザが使用する端末に保存されている情報が流出することを防止するために、シンクライアントシステムを用いた通信が行われている。シンクライアントシステムは、仮想化技術を利用し、シンクライアントサーバ上に、複数のユーザ環境を収容する。ユーザが使用するシンクライアント端末は、シンクライアントサーバ上に割り当てられたユーザ環境を用いて、シンクライアントサーバ上においてアプリケーションを実行する。シンクライアント端末は、アプリケーションの実行結果をシンクライアントサーバから受け取る。シンクライアント端末は、RDP(Remote Desktop Protocol)等のプロトコルを実装している。このようなシンクライアントシステムを、画面転送型シンクライアントシステムと称する。複数のユーザがシンクライアントサーバを共有して処理を実行するため、シンクライアントサーバは、複数のユーザ環境を有する。そのため、シンクライアントサーバに搭載されたCPU、メモリ、ネットワーク帯域等のリソースは、複数のユーザに共有して用いられる。
【0003】
特許文献1には、シンクライアントサーバが再起動することにより、アプリケーションが強制終了された場合の処理について開示されている。具体的には、シンクライアントサーバが再起動した後に、ワープロソフト等のアプリケーションを起動した場合、アプリケーションの作業状態を、アプリケーションが強制終了される前の状態に復元させるシステムについて開示している。
【0004】
特許文献2には、シンクライアントシステムにおいて、シンクライアント端末とシンクライアントサーバ間のセッションを、利用者と端末をキーとして管理する処理について開示されている。これにより、利用者とシンクライアント端末との組み合わせにより予め接続先を設定することができるため、利用者は、特別な設定を行うことなくシンクライアントサーバにアクセスすることができる。また、シンクライアントサーバのOSに不具合が発生した際に、利用者の操作に応じて、シンクライアントサーバのOSを再起動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−169797号公報
【特許文献2】特開2007−334686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、シンクライアントシステムは、シンクライアント端末とシンクライアントサーバとの間のセッションが中断された場合においても、シンクライアントサーバ上のアプリケーションが継続動作する。そのため、シンクライアント端末を操作するユーザは、セッションが中断されている間のアプリケーションの動作を認識することができないという問題がある。例えば、シンクライアント端末が、シンクライアントサーバの動画再生アプリケーションを起動して動画を閲覧している場合、シンクライアント端末とシンクライアントサーバとの間のセッションが切断された後も、シンクライアントサーバ上の動画再生アプリケーションは継続して動作する。シンクライアント端末が動画を視聴することができない間にも、動画は再生されているため、シンクライアント端末とシンクライアントサーバとのセッションが再度接続された場合、シンクライアント端末は、セッションが切断される前に視聴していた場面まで巻き戻して視聴する必要がある。
【0007】
特許文献1には、シンクライアントサーバの再起動に伴うシンクライアント端末とシンクライアントサーバ間のセッションが切断された場合の処理について記載されているが、シンクライアントサーバが動作している状態において、シンクライアント端末とシンクライアントサーバ間のセッションが切断された場合に生じる上述した問題に関する処理については、なんら開示されていない。
【0008】
本発明はこのような問題を解決するために、シンクライアント端末とシンクライアントサーバとの間の通信状態と、シンクライアントサーバ上のアプリケーションの処理を連携させることができるシンクライアントサーバシンクライアントサーバ及びアプリケーション制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様にかかるシンクライアントサーバは、シンクライアント端末とデータの送受信を行う通信部と、前記シンクライアント端末によって実行される複数のアプリケーションを有するユーザ環境部と、前記シンクライアント端末と前記通信部との間の通信状態を監視する監視部と、前記監視部によって前記シンクライアント端末との間の通信が実行されていないことが検出された場合、前記複数のアプリケーション毎に、予め定められた制御を実行するアプリケーション制御部と、を備えるものである。
【0010】
本発明の第2の態様にかかるアプリケーション制御方法は、シンクライアント端末によって実行される複数のアプリケーションを有するシンクライアントサーバにおけるアプリケーション制御方法であって、前記シンクライアント端末と前記シンクライアントサーバとの間の通信状態を監視し、前記通信状態の監視において、前記シンクライアント端末と前記シンクライアントサーバとの間の通信が実行されていないことが検出された場合、前記複数のアプリケーション毎に、予め定められた制御を実行するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、シンクライアント端末とシンクライアントサーバとの間の通信状態と、シンクライアントサーバ上のアプリケーションの処理を連携させることができるシンクライアントサーバ及びアプリケーション制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1にかかるシンクライアントサーバの構成図である。
【図2】実施の形態1にかかるシンクライアントサーバの詳細な構成図である。
【図3】実施の形態1にかかるセッション識別テーブルを示す図である。
【図4】実施の形態1にかかるユーザ識別テーブルを示す図である。
【図5】実施の形態1にかかる制御内容テーブルを示す図である。
【図6】実施の形態1にかかる制御結果格納DBを示す図である。
【図7】実施の形態1にかかるユーザ環境部の構成図である。
【図8】実施の形態1にかかる監視部における処理の流れを示す図である。
【図9】実施の形態1にかかるAPL状態管理部における処理の流れを示す図である。
【図10】実施の形態1にかかるAPL制御部における処理の流れを示す図である。
【図11】実施の形態1にかかる制御部における処理の流れを示す図である。
【図12】実施の形態1にかかる制御部における処理の流れを示す図である。
【図13】実施の形態1にかかる制御部における処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1を用いて本発明の実施の形態1にかかるシンクライアントサーバ10の構成例について説明する。シンクライアントサーバ10は、ユーザ環境部11と、通信部15と、監視部16と、アプリケーション(APL)制御部17と、を備えている。また、ユーザ環境部11は、APL12〜14を有している。
【0014】
通信部15は、シンクライアント端末50とデータの送受信を行う。通信部15とシンクライアント端末50とは、インターネット回線を介してデータの送受信を行う。シンクライアント端末50とインターネット回線とは、有線又は無線回線を用いて接続される。また、通信部15とインターネット回線とも、有線又は無線回線を用いて接続される。シンクライアント端末50は、有線又は無線通信機能を有する装置であり、パーソナルコンピュータ又は携帯電話端末等であってもよい。
【0015】
ユーザ環境部11は、シンクライアント端末50によって実行される複数のAPL12〜14を管理している。シンクライアント端末50は、ユーザ環境部11が有するAPL12〜14を実行し、その実行結果を通信部15及びインターネット回線を介して受け取る。つまり、ユーザ環境部11は、シンクライアント端末50の端末操作によって実行されたAPLの実行結果に関する画面データをシンクライアント端末50へ送信する。シンクライアント端末50は、シンクライアントサーバ10から受け取った画面データをシンクライアント端末50上の液晶ディスプレイ等の表示部(図示せず)へ出力する。
【0016】
監視部16は、シンクライアント端末50と通信部15との間の通信状態を監視する。監視部16は、通信状態として、シンクライアント端末50と通信部15との間において通信を実行する際に設定されるセッションが正常に設定されているか又は切断されているか、を監視する。もしくは、監視部16は、通信状態として、通信部15とシンクライアント端末50との間においてデータの送受信が行われているか否かを監視する。
【0017】
APL制御部17は、監視部16によって、シンクライアント端末50と通信部15との間の通信が実行されていないことが検出された場合、APL12〜14毎に、予め定められた制御を実行する。通信が実行されていない状態とは、例えば、シンクライアント端末50と通信部15との間のセッションが切断されていたり、シンクライアント端末50と通信部15との間において、一定期間データの送受信が行われていない状態である。
【0018】
予め定められた制御とは、例えば、シンクライアント端末50と通信部15との間の通信が実行されていないことが検出された場合、APL12は、一時停止し、APL13は継続して動作させる等である。ユーザ環境部11が有するAPL毎に、シンクライアント端末50と通信部15との間の通信が実行されていないことが検出された場合の制御内容が定められている。
【0019】
以上説明したように、図1にかかるシンクライアントサーバを用いることにより、シンクライアント端末50とシンクライアントサーバ10との間の通信が実行されているか否かを検出することができる。さらに、シンクライアント端末50とシンクライアントサーバ10との間の通信が実行されていない場合、ユーザ環境部11が有するAPL毎に、予め定められた制御を実行することができる。これより、シンクライアントサーバ10が動作している際に、シンクライアント端末50とシンクライアントサーバ10との間の通信が実行されなくなったことと、ユーザ環境部11におけるAPL制御を連携させることができる。
【0020】
続いて、図2を用いて本発明の実施の形態1にかかるシンクライアントサーバ10の詳細な構成例について説明する。シンクライアントサーバ10は、ユーザ環境部11_1〜11_nと、監視部16と、APL制御部17と、通信制御IF21と、送信部22と、受信部23と、制御部24と、APL状態管理部25と、セッション識別テーブル26と、ユーザ識別テーブル27と、制御結果格納DB28と、制御内容テーブル29と、を備えている。図1と同様の構成要素は同一の番号を付する。また、図1と同様の構成要素については、詳細な説明を省略する。また、APL制御部17、制御部24及びAPL状態管理部25は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等により構成される。また、セッション識別テーブル26、ユーザ識別テーブル27、制御結果格納DB28及び制御内容テーブル29は、シンクライアントサーバ10内のメモリ等により構成される。
【0021】
通信制御IF21は、図1の通信部15に相当する。通信制御IF21は、シンクライアント端末50とインターネット回線等を介して通信を行う。通信制御IF21は、インターネット回線と、イーサネット(登録商標)や、無線LAN等を用いて接続される。また、シンクライアント端末50も同様に、インターネット回線と、イーサネット(登録商標)や、無線LAN等を用いて接続される。通信制御IF21は、シンクライアント端末50から受信したデータを、監視部16を経由して受信部23へ出力する。また、通信制御IF21は、シンクライアント端末50へ送信するデータを、送信部22から監視部16を経由して受け取り、シンクライアント端末50へ送信する。
【0022】
監視部16は、通信制御IF21とシンクライアント端末50との間のセッションが確立されているか否かを監視する。監視部16は、定期的に通信制御IF21へアクセスし、セッションが確立しているか否かを監視してもよい。もしくは、監視部16は、通信制御IF21を介してシンクライアント端末50へデータを送信し、これに対する応答信号を受信できるか否かにより、セッションが確立しているか否かを監視してもよい。また、監視部16は、一定期間内に通信制御IF21から受信部23に対してデータが出力されるか否かを判定し、シンクライアント端末50から通信制御IF21に対するデータ送信が行われているか否かを監視してもよい。もしくは、監視部16は、送信部22から通信制御IF21に対してデータが出力されるか否かを判定し、通信制御IF21からシンクライアント端末50に対するデータ送信が行われているか否かを監視してもよい。
【0023】
監視部16は、シンクライアント端末50と通信制御IF21との間のセッションが確立されていないことを検出、つまり、セッションが切断されていることを検出した場合、又は、シンクライアント端末50と通信制御IF21との間においてデータの送受信が行われていないことを検出した場合、セッション識別テーブル26を用いて、シンクライアント端末50を識別するユーザIDを特定する。
【0024】
ここで、図3を用いて、セッション識別テーブル26の構成について説明する。セッション識別テーブル26は、セッション番号とユーザIDとを関連付けて管理している。例えば、セッション1により接続されているシンクライアント端末は、ユーザIDが「1111」であり、セッション2により接続されているシンクライアント端末は、ユーザIDが「2222」であり、セッション3により接続されているシンクライアント端末は、ユーザIDが「3333」である。
【0025】
図2に戻り、監視部16は、切断されているセッション番号又はデータの送受信が行われていないセッション番号に関連付けられているユーザIDを特定する。監視部16は、特定したユーザID及び特定したユーザIDの状態が「未利用」に遷移したことを示す識別子を、制御部24へ出力する。監視部16は、送信部22又は23を介して特定したユーザID等を制御部24へ出力してもよいし、直接制御部24へ出力してもよい。また、セッションの切断等を検出した場合、シンクライアント端末50を操作するユーザは、シンクライアントシステムを利用していないものと想定される。そのため、監視部16は、特定したユーザIDの状態を「未利用」として、制御部24へ出力する。
【0026】
制御部24は、監視部16から受け取ったユーザIDと、ユーザ識別テーブル27とを用いて、シンクライアント端末50に割り当てられているユーザ環境部を特定する。ここで、図4を用いて、ユーザ識別テーブル27の構成について説明する。ユーザ識別テーブル27は、ユーザIDと、ユーザ環境IDとを関連付けて管理している。ユーザ環境IDは、それぞれのシンクライアント端末に割り当てられているユーザ環境部を識別するIDである。図4においては、ユーザID「1111」に対応するユーザ環境IDは1であり、ユーザID「2222」に対応するユーザ環境IDは2である。ここで、ユーザ環境ID「1」は、ユーザ環境部11_1に割り当てられている識別子であり、ユーザ環境ID「2」は、ユーザ環境部11_2に割り当てられている識別子であるとする。
【0027】
図2に戻り、制御部24は、特定したユーザ環境IDを、APL状態管理部25へ出力する。APL状態管理部25は、制御部から出力されたユーザ環境IDに対応するユーザ環境部において動作中APLの検出を行う。つまり、シンクライアント端末50の端末操作により起動されているAPLの検出を行う。APL状態管理部25は、動作中のAPLを検出した場合、検出したAPLのAPL IDを制御部24へ出力する。APL IDは、アプリケーションを識別するために用いられる識別子である。
【0028】
制御部24は、APL状態管理部25から出力されたAPL IDと、制御内容テーブル29を用いて、APL IDに対応するAPLの制御内容を特定する。ここで、図5を用いて、制御内容テーブル29の構成について説明する。制御内容テーブル29は、APL IDと、シンクライアント端末50がシンクライアントシステムの未利用時又は利用再開時の制御内容と、を関連付けて管理している。
【0029】
例えば、APL ID#1は、動画視聴に用いられるアプリケーションである。シンクライアント端末50が、シンクライアントシステムを利用していない場合、動画視聴に用いられるアプリケーションは、一時停止されるように制御される。また、シンクライアント端末50が、シンクライアントシステムの利用を再開した場合、アプリケーションは、動作が再開される。Webブラウザの閲覧に用いられるAPL ID#2及び音楽再生に用いられるAPL ID#3も同様である。また、シンクライアント端末50が、シンクライアントシステムを利用していない場合、メールの送受信及びメールの閲覧等に用いられるAPL ID#4のアプリケーションの動作は、継続される。つまり、APL ID#4のアプリケーションは、シンクライアント端末50がシンクライアントシステムを利用しているか否かにかかわらず、動作が変更されない。ワープロ機能、表計算機能等を備えるAPL ID#5のオフィスツールアプリケーションも同様である。
【0030】
図2に戻り、制御部24は、APL状態管理部25から動作中のAPL IDに関する情報を受け取る。さらに、制御部24は、監視部16から、シンクライアント端末50がシンクライアントシステムを利用しているか否かに関する情報を受け取る。これより、制御部24は、APL状態管理部25から受け取った動作中のAPL IDについて、シンクライアント端末50がシンクライアントシステムを利用していない場合のAPLの制御内容を特定する。制御部24は、ユーザ環境ID、APL ID及びAPLの制御内容をAPL制御部17へ出力する。
【0031】
APL制御部17は、APLの制御内容に基づいて、ユーザ環境ID及びAPL IDにおいて特定されるAPLを制御する。APL制御部17は、制御結果を制御部24へ出力する。ここで、制御部24は、APL制御部17から受け取った制御結果を制御結果格納DB28へ書き込む。図6を用いて、制御結果格納DB28の構成について説明する。
【0032】
図6における制御結果格納DB28は、ユーザ環境IDと、制御対象APL IDとを関連付けて管理している。制御対象APL IDは、シンクライアントシステムの未利用により、一時停止等されたアプリケーションのAPL IDである。本図においては、ユーザ環境ID#1のAPL ID#1〜3のアプリケーションが、シンクライアントシステムの未利用により、一時停止等の制御が行われたことを示している。また、ユーザ環境ID#2のAPL ID#2及び#3のアプリケーションも、同様に制御されたことを示している。
【0033】
続いて、シンクライアント端末50が、シンクライアントシステムの利用を再開した場合の動作について説明する。図2における監視部16は、通信制御IF21を監視し、通信制御IF21とシンクライアント端末50との間のセッションが再接続されたことを検出する。もしくは、監視部16は、通信制御IF21から受信部23に対して出力されるデータを検出することにより、シンクライアント端末50から通信制御IF21に対するデータ送信が行われていると判定してもよい。また、監視部16は、送信部22から通信制御IF21に対して出力されるデータを検出することにより、通信制御IF21からシンクライアント端末50に対するデータ送信が行われていると判定してもよい。
【0034】
監視部16は、セッションの再接続又はデータ送受信を検出した場合、セッション識別テーブル26を用いて、再接続等されたセッションを介してデータの送受信を行うシンクライアント端末50のユーザIDを特定する。制御部24は、監視部16において特定されたユーザID及びユーザ識別テーブル27を用いて、当該ユーザIDに関連付けられているユーザ環境IDを特定する。さらに、制御部24は、特定されたユーザ環境ID及び制御結果格納DB28を用いて、制御対象となるAPL IDを受け取る。制御対象となるAPL IDは、ユーザ環境IDに関連付けられているAPL IDである。ここで、制御部24は、制御内容テーブル29を用いて、制御対象となるAPL IDの利用再開時における制御内容を特定し、APL制御部17へ出力する。APL制御部17は、受け取った制御内容に応じて、アプリケーションを制御する。
【0035】
続いて、図7を用いて本発明の実施の形態1にかかるユーザ環境部11_1〜11_nの構成例について説明する。なお、ユーザ環境部11_1とユーザ環境部11_nとは、同一の構成であるため、ユーザ環境部11_1の構成例について説明する。
【0036】
ユーザ環境部11_1は、APL12〜14と、ゲストOS31と、APL状態取得I/F32と、APL制御I/F33とを備えている。ゲストOS31は、一般的なOSと同様に、APL12〜14等において共通に用いられる機能を提供する。また、ゲストOS31は、ユーザ環境部11_1に割り当てられているメモリやCPU等の資源を管理する。APL状態取得I/F32は、APL状態管理部25から出力されるユーザ環境IDに応じて、動作中もしくは起動中のAPLに関する情報をAPL状態管理部25へ出力する。また、APL制御I/F33は、APL制御部17から出力されるAPL ID及びAPL制御内容に応じて、APL12〜14のうち対象となるAPLを制御する。
【0037】
続いて、図8を用いて本発明の実施の形態1にかかる監視部16における処理の流れについて説明する。はじめに、監視部16は、通信制御IF21の監視を行う(S11)。監視部16は、通信制御IF21とシンクライアント端末50との間のセッションが確立しているか否か、又は、通信制御IF21とシンクライアント端末50との間においてデータの送受信が行われているか否か等を監視する。
【0038】
次に、監視部16は、通信制御IF21とシンクライアント端末50との間において、非通信状態を検出したか否かについて判定する(S12)。非通信状態とは、通信制御IF21とシンクライアント端末50との間のセッションが確立されていない状態、又は、通信制御IF21とシンクライアント端末50との間においてデータの送受信が行われていない状態等である。
【0039】
ステップS12において、監視部16は、通信制御IF21とシンクライアント端末50との間の非通信状態を検出した場合、非通信状態となっているシンクライアント端末50のユーザIDを特定する(S13)。監視部16は、セッション識別テーブル26において、切断状態となっているセッションID、又は、データの送受信が行われていないセッションIDに関連付けられて記憶されているユーザIDを抽出することにより、ユーザIDを特定する。
【0040】
次に、監視部16は、特定したユーザIDに対応するシンクライアント端末50の状態が、シンクライアントシステム未利用に遷移したことを制御部24へ通知する(S14)。
【0041】
ここで、ステップS12において、監視部16が、通信制御IF21とシンクライアント端末50との間の非通信状態を検出しなかった場合、つまり、通信制御IF21とシンクライアント端末50との間において正常に通信が行われていることを検出した場合、通信が再開されたか否かを検出する(S15)。通信再開は、切断されていたセッションが接続されたこと、もしくは、一定時間データの送受信が行われていなかったセッションにおいて、データの送受信が行われたこと、を確認することにより検出される。
【0042】
ステップS15において、監視部16は、通信制御IF21とシンクライアント端末50との間の通信再開を検出した場合、通信が再開されたシンクライアント端末50のユーザIDを特定する(S16)。監視部16は、セッション識別テーブル26において、切断状態から接続状態となったセッションのセッションID、又は、データの送受信が行われていない状態からデータの送受信が行われたセッションのセッションIDに関連付けられて記憶されているユーザIDを抽出することにより、ユーザIDを特定する。
【0043】
次に、監視部16は、特定したユーザIDに対応するシンクライアント端末50の状態が、シンクライアントシステムの利用再開に遷移したことを制御部24へ通知する。ステップS15において、監視部16によって通信再開が検出されなかった場合、ステップS11の処理に戻る。
【0044】
続いて、図9を用いて本発明の実施の形態1にかかるAPL状態管理部25における処理の流れについて説明する。はじめに、APL状態管理部25は、制御部24からユーザ環境IDを受け取る(S21)。次に、APL状態管理部25は、制御部24から受け取ったユーザ環境IDに対応するユーザ環境部における、動作中もしくは起動中APLの有無を判定する(S22)。APL状態管理部25は、動作中もしくは起動中APLが有ると判定した場合、制御部24に対して、動作中もしくは起動中APLのAPL IDを通知する(S23)。ステップS22において、APL状態管理部25は、動作中もしくは起動中APLが無いと判定した場合、処理を終了する。
【0045】
続いて、図10を用いて本発明の実施の形態1にかかるAPL制御部17の処理の流れについて説明する。はじめに、APL制御部17は、制御部24からユーザ環境ID、APL ID及びAPL制御内容を受け取る(S31)。次に、APL制御部17は、ユーザ環境IDに基づいて、APL制御の対象となるユーザ環境部を選択する(S32)。次に、APL制御部17は、受け取ったAPL ID及びAPL制御内容に従い、対象となるAPLを制御する(S33)。
【0046】
次に、APL制御部17は、制御対象となるAPLが他に存在するか否かを判定する。(S34)。APL制御部17は、制御対象となるAPLが存在しないと判定した場合、APLの制御結果を制御部24へ通知する(S35)。ステップS34において、制御対象となるAPLが存在する場合、ステップS33の処理を繰り返す。
【0047】
続いて、図11及び図12を用いて、本発明の実施の形態1にかかる制御部24の処理の流れについて説明する。はじめに、制御部24は、監視部16からシンクライアント端末50の状態識別子を受け取る(S41)。状態識別子とは、シンクライアント端末50がシンクライアントシステムを未利用の状態に遷移したか、又は、利用再開の状態に遷移したかを示す識別子である。
【0048】
次に、制御部24は、ユーザ識別テーブル27を用いて、ユーザIDに関連付けられているユーザ環境IDを抽出する(S42)。次に、制御部24は、監視部16から受け取った状態識別子が、未利用状態を示しているか、利用再開状態を示しているかを判定する(S43)。制御部24は、状態識別子が未利用状態を示していると判定した場合、APL状態管理部25へユーザ環境IDを出力する(S44)。これにより、APL状態管理部25は、ユーザ環境IDに対応付けられているユーザ環境部における起動中APL IDを制御部24へ通知する。また、ステップS43において、制御部24は、状態識別子が利用再開状態を示していると判定した場合、制御結果格納DB28を用いて、ユーザ環境IDに関連付けられている制御対象のAPL IDを抽出する(S45)。
【0049】
制御部24は、制御対象のAPL IDの有無を判定する(S46)。制御対象のAPL IDが無いと判定された場合、制御部24は、処理を終了する。ステップS46において、制御対象のAPL IDが有ると判定された場合、制御部24は、図12にかかる処理を実行する。
【0050】
続いて、図12を用いて、図11のステップS46において、制御対象のAPL IDが有ると判定された場合の制御部24の処理の流れについて説明する。はじめに、制御部24は、制御内容テーブル29を用いて、制御対象APL IDの、利用再開時における制御内容を抽出する(S47)。次に、制御部24は、制御対象APL IDの制御内容が、「なにもしない」か否かを判定する(S48)。又は、制御部24は、制御対象APL IDの制御内容が、「一時停止」か否かを判定してもよい。ステップS48において、制御対象APL IDの制御内容が「なにもしない」と判定された場合、制御部24は処理を終了する。ステップS48において、制御内容APL IDの制御内容が「なにもしない」以外の場合、つまり「一時停止」等である場合、制御内容をAPL制御部17へ通知する(S49)。また、制御部24は、制御内容とともに、ユーザ環境ID及び制御対象のAPL IDも併せてAPL制御部17へ通知する。これにより、APL制御部17は、制御部24から通知された制御内容に従い、制御対象のAPL IDを制御する。
【0051】
続いて、図13を用いて、APL状態管理部25へユーザ環境IDを通知した後(図11におけるステップS44の後)の制御部24の処理の流れについて説明する。はじめに、制御部24は、APL状態管理部25から、通知したユーザ環境IDに対応するユーザ環境部において起動中APLのAPL IDを取得する(S51)。次に、制御部24は、制御内容テーブル29を用いて、制御対象APL IDの、未利用時における制御内容を抽出する(S52)。次に、制御部24は、制御対象APL IDの制御内容が、「なにもしない」か否かを判定する(S53)。又は、制御部24は、制御対象APL IDの制御内容が、「一時停止」か否かを判定してもよい。ステップS53において、制御対象APL IDの制御内容が「なにもしない」と判定された場合、制御部24は処理を終了する。ステップS48において、制御内容APL IDの制御内容が「なにもしない」以外の場合、つまり「一時停止」等である場合、制御内容をAPL制御部17へ通知する(S53)。また、制御部24は、制御内容とともに、ユーザ環境ID及び制御対象のAPL IDも併せてAPL制御部17へ通知する。これにより、APL制御部17は、制御部24から通知された制御内容に従い、制御対象のAPL IDを制御する。
【0052】
以上説明したように、本発明の実施の形態1にかかるシンクライアントサーバを用いることにより、シンクライアント端末50を利用するユーザが、シンクライアントシステムを利用していないと判断された場合、起動中のAPL毎に一時停止等の制御を行うことができる。具体的には、ユーザがシンクライアントシステムを利用していない場合に、継続動作することが不適切であると考えられるアプリケーションについては、一時停止することができる。そのため、ユーザにより、シンクライアントシステムの利用再開と同時に一時停止したAPLを再開することにより、動画や音楽再生などのAPLにおいては、巻き戻し操作等が不要であることから、シンクライアントシステムを利用するユーザの利便性向上に繋がる。
【0053】
また、ユーザがシンクライアントシステムを利用していない場合に、起動中のAPLを一時停止させることにより、不要なリソースの消費を防止することができる。つまり、不要なAPLを継続動作させておくことにより、シンクライアントサーバのリソースを共有する他のユーザの動作速度等に影響を与えることを防止することができる。
【0054】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0055】
10 シンクライアントサーバ
11 ユーザ環境部
11_1〜11_n ユーザ環境部
12〜14 APL
15 通信部
16 監視部
17 APL制御部
21 通信制御IF
22 送信部
23 受信部
24 制御部
25 APL状態管理部
26 セッション識別テーブル
27 ユーザ識別テーブル
28 制御結果格納DB
29 制御内容テーブル
31 ゲストOS
32 APL状態取得I/F
33 APL制御I/F
50 シンクライアント端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンクライアント端末とデータの送受信を行う通信部と、
前記シンクライアント端末によって実行される複数のアプリケーションを有するユーザ環境部と、
前記シンクライアント端末と前記通信部との間の通信状態を監視する監視部と、
前記監視部によって前記シンクライアント端末との間の通信が実行されていないことが検出された場合、前記複数のアプリケーション毎に、予め定められた制御を実行するアプリケーション制御部と、を備えるシンクライアントサーバ。
【請求項2】
前記監視部は、
前記シンクライアント端末と前記通信部との間のセッションが確立されているか否か及び前記シンクライアント端末と前記通信部との間においてデータの送受信が行われているか否かの少なくとも一方を監視する、請求項1記載のシンクライアントサーバ。
【請求項3】
前記アプリケーション制御部は、
前記シンクライアント端末によって少なくとも1つのアプリケーションが起動されている状態において、前記監視部によって、前記シンクライアント端末との間の通信が実行されていないことが検出された場合、前記起動されているアプリケーションについて予め定められた制御内容を実行する、請求項1又は2記載のシンクライアントサーバ。
【請求項4】
前記複数のアプリケーション毎に、前記監視部によって、前記シンクライアント端末との間の通信が実行されていないことが検出された場合の制御内容が関連付けられている制御内容管理部をさらに備える、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシンクライアントサーバ。
【請求項5】
前記制御内容管理部は、
前記監視部によって前記シンクライアント端末との間の通信が実行されていないことが検出された場合、前記複数のアプリケーション毎に、それぞれのアプリケーションを一時停止するか又は継続動作するかを関連付けて管理する、請求項4記載のシンクライアントサーバ。
【請求項6】
前記通信部は、
複数のシンクライアント端末とデータの送受信を行い、
前記ユーザ環境部は、
前記複数のシンクライアント端末毎に、前記それぞれのシンクライアント端末によって実行される複数のアプリケーションを有する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシンクライアントサーバ。
【請求項7】
前記監視部は、
前記複数のシンクライアント端末の中から、通信が行われていないシンクライアント端末を抽出し、
前記アプリケーション制御部は、
前記抽出されたシンクライアント端末において起動された少なくとも1つのアプリケーションについて予め定められた制御を実行する請求項6記載のシンクライアントサーバ。
【請求項8】
前記制御内容管理部は、
前記ユーザ環境部において管理されている複数のアプリケーション毎に、前記監視部によって、前記シンクライアント端末との間の通信が再開されたことが検出された場合の制御内容を関連付けて管理する、請求項4又は5に記載のシンクライアントサーバ。
【請求項9】
シンクライアント端末によって実行される複数のアプリケーションを有するシンクライアントサーバにおけるアプリケーション制御方法であって、
前記シンクライアント端末と前記シンクライアントサーバとの間の通信状態を監視し、
前記通信状態の監視において、前記シンクライアント端末と前記シンクライアントサーバとの間の通信が実行されていないことが検出された場合、前記複数のアプリケーション毎に、予め定められた制御を実行する、アプリケーション制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−150659(P2012−150659A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8939(P2011−8939)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】