説明

シーダーテープ製造装置

【課題】家庭菜園のように多数種類の種子を少量だけ蒔くという需要に適し、容易にシーダーテープを製造できる装置を提供する。
【解決手段】種子9によって最適な所定の間隔で所定量となるように、多数のユニット23から、最適な数と大きさの穴37が設けられたユニット23を選択し、これらのユニット23を回転体11の凹部25へ所定の間隔で嵌合する。そして、巻取りリール15を回転させれば、引っ張られたテープ5は、巻出しリール7から巻出され、上側の粘着面21に、回転体11からのユニット23から種子9が供給され、この粘着面21が半分に折り合わされて取る巻取りリール15に巻き取られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シーダーテープを製造するための装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
シーダーテープは、土壌中で分解可能なテープの長手方向に、所定の間隔で、所定量の種子が保持されたもので、種子によって異なる最適の間隔や量で、土壌への種蒔きが可能になる。
下記特許文献1には、主テープの上に所定の間隔で、所定量の種子が供給された後に、2枚のテープによって上下から挟み込まれてシーダーテープが製造される技術が記載されている。
また、近年、家庭菜園へシーダーテープを利用する人々も現われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-192005
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のようにテープの上に所定の間隔で所定量の種子を供給するための供給装置は、一般には、一定の間隔で供給口を開閉するアクチュエーターが必要であり、このアクチュエーターは通常は電気的に制御されたものになる。このような供給装置は高価であり、家庭菜園に利用することはできない。
【0005】
また、家庭菜園では、多数種類の種子を少量だけ蒔くという需要があるので、市販のシーダーテープでまかなうことは、種類が揃わないことが多く、また、コスト高になってしまう。
この発明は、以上の問題点を解決するために、家庭菜園のように多数種類の種子を少量だけ蒔くという需要に適し、容易にシーダーテープを製造できる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、第一発明は、土壌中で分解可能で片面に粘着面を有するテープを前記粘着面を上側にして巻出す巻出しリールと、この巻出されたテープの前記粘着面に下周面が近接しながら縦に回転し種子を供給する円筒状の回転体と、この種子が供給された後の前記テープを案内し前記粘着面の幅方向で半分に折り合わせる折合わせ具と、この折り合わせられたテープを巻き取る巻取りリールと、を備え、前記回転体は、周面に設けられた周方向へ配列された複数の同形の凹部と、これら凹部に嵌合する同形の嵌合部を有する多数のユニットと、これらユニットが構成する周面部に設けられ前記種子又は/及び固形肥料を受取り供給するための穴であって前記ユニットにより異なる数と大きさの穴と、この穴へ前記種子又は/及び前記固形肥料を補充するために前記回転体の上方に近接して設けられたホッパーと、を有することを特徴とするシーダーテープ製造装置である。
【0007】
第二発明は、更に、前記ホッパーは、前記種子及び前記固形肥料を補充するため、前記テープの幅方向に複数の補充口を有することを特徴とするシーダーテープ製造装置である。
【発明の効果】
【0008】
第一、又は第二発明によれば、種子によって最適な所定の間隔で所定量となるように、多数のユニットから、最適な数と大きさの穴が設けられたユニットを選択し、回転体の凹部へ所定の間隔で嵌合する。
そして、巻取りリールを回転させれば、引っ張られたテープは、巻出しリールから巻出され、上側の粘着面に、回転体からの種子が供給され、この粘着面が半分に折り合わされて巻取りリールに巻き取られる。
このようにして、最適なユニットを選択するだけで、最適な所定の間隔で所定量の種子が保持されたシーダーテープを容易に製造できるので、多数種類の種子を少量だけ蒔くという需要に適したシーダーテープ製造装置を提供できる。
第二発明によれば、更に、種子及び固形肥料を、テープの同じ箇所へ保持させることができるので、種子へ肥料を効果的に与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の一実施形態に係るシーダーテープ製造装置の全体図である。
【図2】図1のシーダーテープ製造装置を構成する回転体の上半分からユニットを取出した状態を示す拡大図である。
【図3】図1のシーダーテープ製造装置を構成する回転体の全体斜視図である。
【図4】図3の回転体の周面へのユニットの配列を示すために、この周面を展開して示す展開図である。
【図5】ユニットの種類を示すもので、(A)〜(F)は各ユニットの平面図、(G)は代表的なユニット(A)の側面図である。
【図6】(A)〜(F)は、図5の各ユニット平面図(A)〜(F)に対応する正面図である。
【図7】図1のシーダーテープ製造装置を構成するホッパーを示すもので、(A)は正面図、(B)は(A)の側面図、(C)は(B)の平面図である。
【図8】図1のシーダーテープ製造装置を構成する折合わせ具の斜視図である。
【図9】図7のホッパーの種子補充機能を示す説明図である。
【図10】図3の回転体の種子供給機能を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明の実施形態を、図1〜図10に示す。
図1に示すように、このシーダーテープ製造装置1は、装置ベース3の上に、テープ5を巻出す巻出しリール7と、巻出されたテープ5へ種子9(図10参照)を供給する回転体11と、種子9が供給された後のテープ5を半分に折り合わせる折合わせ具13と、この折り合わせられたテープ5を巻き取る巻取りリール15と、が設けられる。
【0011】
テープ5は、土壌中で分解可能な材料が使用され、例えば、水溶性のものが用いられる。片面に粘着面を有し、種子9や固形肥料を粘着力で保持するとともに、半分に折り合わされて、粘着力により閉じることができる。テープ5は巻出しリール7に巻かれて扱われる。
巻出しリール7は、短い円筒状で、水平な回転軸17Aを有して縦に回転する。そして、アイドルローラー19を介して、テープ5を粘着面21を上側にして、回転体11へ巻出す。
図1、図2、図3に示すように、回転体11は、短い円筒状で、水平な回転軸17Bを有して縦に回転する。巻出しリール7から巻出されたテープ5の粘着面21に、下周面が近接しながら縦に回転する。近接の際に、テープ5へ種子9を重力により供給する。回転体11の近くで、回転体11よりも高い位置に設けられたアイドルローラー19の働きで、回転体11の概略下半分の広い範囲で、テープ5の粘着面21に、近接することができる。
【0012】
回転体11からの種子9の最適な間隔と量とを伴う供給は、ユニット23によって調節される。すなわち、図2,図3、図4に示すように、回転体11の周面には、周方向へ配列された12個の同形の凹部25が設けられる。
そして、ユニット23は、図5、図6に示すように、全体がコの字状で、コの字の両辺部27が、これら凹部25に嵌合するための嵌合部29となる。この嵌合部29は、全てのユニット23で同形を有する。嵌合部29は左右の下端に嵌合爪31を有し、抜け止される。嵌合爪31は、嵌合した状態で、回転体11の側面から露出しており、側面から嵌合爪31を手で押し込むことで、容易に嵌合を外すことができる。嵌合して配列されるユニット23は、12個であるが、種子9の種類に応じて多数のものが準備される。
【0013】
そして、ユニット23は、前記コの字の中央辺部33が、回転体11の周面を構成する。このユニット23が構成する周面部35には、穴37が設けられる。穴37は、内部がカップ状で、種子又は/及び固形肥料9をホッパーより受取り、テープ5へ供給する。
穴37は、ユニット23により異なる数と大きさを有する。数は、回転体11の周面における回転軸17方向へ、すなわちテープ5の幅方向へ、例えば図5に示すように、0個から3個が設けられる。
穴37を0個とすることでめくらになったユニット23(図5(F)図6(F))は、種子9を供給しないものの、種子9が供給され保持される間隔を調整するのに大きな働きをする。めくらになったユニット23を連続して用いれば、間隔を大きくできる。穴37の大きさは、穴37の開口面積と深さから定まる。種子9や固形肥料の大きさや受け取る数により設定される。
【0014】
図1、図7、図9に示すように、回転体11の上方には、近接してホッパー39が設けられる。ホッパー39は、種子9や肥料が投入し補充されるためのもので、ホッパー39の下端の補充口41が、回転体11に嵌合されたユニット23の穴37に、近接し、位置が合致した時に、ユニット23への補充が行なわれる。
【0015】
補充口41は、テープ5の幅方向に複数、図7では3個が設けられる。これらの補充口41と、ユニット23の穴37が合致した時に、合致した補充口41及び穴37においてのみ、種子9や肥料の補充が行なわれる。
【0016】
図8に示すように、折合わせ具13は、種子9が供給された後のテープ5を、案内し、粘着面21の幅方向で半分に折り合わせる。折合わせ具13は、一枚の板材43が上方へ向かった2枚に折曲げられた形状を有し、間にテープ5を案内する。案内入口45の幅は、テープ5を水平状態で案内するのに十分な大きさであるが、案内方向へ進むに従って幅が狭くなる。案内方向へ進んだ各位置における縦断面で、底部47が狭く、上方49がより広い形状を有する。案内出口51の幅は、もっとも狭い。これにより、テープ5は上向きに幅方向で半分に折り合わされる。
【0017】
図1に示すように、巻取りリール15は、短い円筒状で、水平な回転軸17Cを有して縦に回転する。そして、折り合わせられたテープ5を、完成したシーダーテープとして巻き取る。
【0018】
「実施形態の効果」
種子9や固形燃料によって使用するユニット23を選択する。すなわち、シーダーテープを製造しようとする種子9に最適な所定の間隔で所定量の種子9となるように、図5に示す多数のユニット23から、最適な数と大きさの穴37が設けられたユニット23の群を選択する。選択したユニット群を、回転体11の凹部25へ所定の間隔で嵌合する(図4)。
【0019】
そして、図1において、巻取りリール15を手動などで回転させれば、この巻取りリール15によりテープ5は引っ張られる。引っ張られたテープ5は、巻出しリール7から巻出され、上側の粘着面21に、回転体11からの種子9が供給される。種子9の供給の間隔と量は、選択されたユニット群によって定まる。定まった間隔と量は、回転体11の全周の長さを最大ピッチとして、繰り返されながら、シーダーテープが製造される。
【0020】
種子9や固形燃料が供給されたテープ5は、図1、図8に示す折合わせ具13によって、粘着面21が半分に折り合わされて、巻取りリール15に巻き取られる。
このようにして、最適なユニット23を選択するだけで、最適な所定の間隔で所定量の種子9が保持されたシーダーテープを容易に製造できる。そして、多数種類の種子9を少量だけ蒔くという需要に適した、簡易なシーダーテープ製造装置1を提供できる。
更に、図7、図9に示すように、種子及び固形肥料を、テープ5の周方向の同じ箇所へ保持させることができるので、種子9へ肥料を効果的に与えることができる。
【0021】
「他の実施形態」
以上の実施形態では、装置を駆動させる動力は、手動であったが、他の実施形態では、電気モーターでも良い。
以上の実施形態では、回転体11の周方向へ12個のユニット23が配列されたが、他の実施形態では、11個以下でも良いし、13個以上でも良い。
【符号の説明】
【0022】
1…シーダーテープ製造装置、3…装置ベース、5…テープ、7…巻出しリール、9…種子又は固形肥料、11…回転体、13…折合わせ具、15…巻取りリール、17…回転軸、19…アイドルローラー、21…粘着面、23…ユニット、25…凹部、27…両辺部、29…嵌合部、31…嵌合爪、33…中央辺部、35…周面部、37…穴、39…ホッパー、41…補充口、43…板材、45…案内入口、47…底部、49…上方、51…案内出口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌中で分解可能で片面に粘着面を有するテープを前記粘着面を上側にして巻出す巻出しリールと、この巻出されたテープの前記粘着面に下周面が近接しながら縦に回転し種子を供給する円筒状の回転体と、この種子が供給された後の前記テープを案内し前記粘着面の幅方向で半分に折り合わせる折合わせ具と、この折り合わせられたテープを巻き取る巻取りリールと、を備え、前記回転体は、周面に設けられた周方向へ配列された複数の同形の凹部と、これら凹部に嵌合する同形の嵌合部を有する多数のユニットと、これらユニットが構成する周面部に設けられ前記種子又は/及び固形肥料を受取り供給するための穴であって前記ユニットにより異なる数と大きさの穴と、この穴へ前記種子又は/及び前記固形肥料を補充するために前記回転体の上方に近接して設けられたホッパーと、を有することを特徴とするシーダーテープ製造装置。
【請求項2】
前記ホッパーは、前記種子及び前記固形肥料を補充するため、前記テープの幅方向に複数の補充口を有することを特徴とする請求項1に記載のシーダーテープ製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−235724(P2012−235724A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105908(P2011−105908)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【特許番号】特許第4890653号(P4890653)
【特許公報発行日】平成24年3月7日(2012.3.7)
【出願人】(511086962)
【Fターム(参考)】