説明

シートリフタ

【課題】シートクッションのインナ側ロアアーム、アウタ側ロアアームの高さや傾斜を変えられるシートリフタに関し、リンクに対するロッドの溶接位置が一定となるシートリフタを提供することを課題とする。
【解決手段】リンク(リンク部材)19,191,61,161は、貫通穴を有した軸部31a,119b,61a,161bを備えるとともにその軸部31a,119b,61a,161bの外周面で回転可能に保持され、ロッド53,69は、リンクの前記貫通穴に挿入された状態で溶接される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リンクを用いてシートクッションの高さや傾斜を変えるシートリフタに関する。
【背景技術】
【0002】
リンクを用いてシートクッションの高さや傾斜を変えるシートリフタでは、シートの幅方向の一方の側のリンクの動きをロッドを介してシートの幅方向の他方の側のリンクへ伝達するようにしたものがある。
【0003】
ロッドとリンクの接続構造としては、ロッドの端面をリンクに当接させ、当接部を溶接で固定する構造がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この構造では、シートの機構部品の寸法精度、組み付け精度のバラツキにより、シートの幅方向の寸法バラツキが発生し、ロッドの端面をリンクに溶接できない場合がある。
【0005】
そこで、リンクに固定されリンクを回転可能に支持するピンの周部をロッドの内周部に嵌合させ、ピンとロッドとを溶接で固定する構造が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
この構造であれば、シートの機構部品の寸法精度、組み付け精度のバラツキは、ピンの長さで吸収できるので、ロッドとリンクとを溶接できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−283900号公報(図2)
【特許文献2】特開2010−274691号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献2に記載された発明では、ロッドをピンに溶接する位置が一定しない。よって、治具を用いて溶接ができない問題点がある。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その課題は、ロッドの溶接位置が一定となるシートリフタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、シートクッションの高さや傾斜を変えられるシートリフタにおいて、シートの幅方向の一方の側に設けられた第1リンク部材と、シートの幅方向の他方の側に設けられた第2リンク部材と、一端部が第1リンク部材に取り付けられ、他端部が第2リンク部材に取り付けられるロッドとを有し、少なくとも一方のリンク部材は、穴を有した軸部を備えるとともにその軸部の外周面で回転可能に保持され、前記ロッドは、前記リンク部材の前記穴に挿入された状態で溶接されることを特徴とするシートリフタである。
【0011】
請求項2に係る発明は、前記軸部は前記リンク部材に一体形成されていることを特徴とする請求項1記載のシートリフタである。
【0012】
請求項3に係る発明は、前記リンク部材は、リンクと、該リンクに設けられ、両端が開放面となり、前記軸部として機能する円筒部と、該円筒部の外周面に形成され、前記リンクの穴の縁部に溶接されたつば部とからなるブッシュと、からなることを特徴とする請求項1記載のシートリフタである。
【0013】
請求項4に係る発明は、前記第1リンク部材の前記軸部は前記第1リンク部材に一体形成され、前記第2リンク部材は、リンクと、該リンクに設けられ、両端が開放面となり、前記軸部として機能する円筒部と、該円筒部の外周面に形成され、前記リンクの穴の縁部に溶接されたつば部とからなるブッシュとからなることを特徴とする請求項1記載のシートリフタである。
【0014】
請求項5に係る発明は、前記第1リンク部材の前記軸部は前記第1リンク部材に一体形成され、前記第2リンク部材の前記軸部は前記第2リンク部材に一体形成されていることを特徴とする請求項1記載のシートリフタである。
【0015】
請求項6に係る発明は、前記つば部の側部に前記ロアアームが摺接することを特徴とする請求項3または4記載のシートリフタである。
【0016】
請求項7に係る発明は、前記ブッシュの円筒部の前記ロアアームに回転可能に保持される部分の外径と、前記ロッドが挿入される部分の外径とが異なることを特徴とする請求項3または4記載のシートリフタである。
【0017】
尚、本発明で「リンク部材」とは、リンクに限定するものではなく、部品が固着されたリンクもいう。
【発明の効果】
【0018】
請求項1−請求項7に係る発明によれば、少なくとも一方のリンク部材は、穴を有した軸部を備えるとともにその軸部の外周面で回転可能に保持され、前記ロッドは、前記リンク部材の前記穴に挿入された状態で溶接されることにより、ロッドの溶接位置が一定となると共に、ロッドはロッド穴に挿入されることにより、ロッドの軸方向の寸法のバラツキを吸収できる。
【0019】
請求項2に係る発明によれば、前記軸部は前記リンク部材に一体形成されていることにより、部品点数を削減できる。
【0020】
請求項3に係る発明によれば、前記リンク部材は、リンクと、該リンクに設けられ、両端が開放面となり、前記軸部として機能する円筒部と、該円筒部の外周面に形成され、前記リンクの穴の縁部に溶接されたつば部とからなるブッシュと、からなることによりリンク部材に穴部と円筒部とを一体形成できない場合でも、ブッシュを介すことにより、ロッドの溶接位置を一定にできる。
【0021】
請求項5に係る発明によれば、ブッシュの円筒部に対するつば部の垂直度は、良好である。よって、シートが昇降する際に、つば部の側部に摺接するロアアームの回転がスムーズとなり、つば部とロアアームとの間で異音も発生せず、昇降駆動力も小さくなる。また、つば部の厚さを変えることにより、ロアアームとリンクとのオフセット量を容易に変えることができる。
【0022】
請求項6に係る発明によれば、前記ブッシュの円筒部の前記ロアアームに回転可能に保持される部分の外径を小さくすることで、ロアアームの穴を小さくすることができる。よって、ロアアームの小型化、強度アップが図れる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態のシートリフタの主要部を示す斜視図である。
【図2】図1のII方向矢視図である。
【図3】図2の切断線III−IIIでの断面図である。
【図4】図2の切断線IV−IVでの断面図である。
【図5】第2実施形態の発明部分を説明する図で、第1実施形態の図3に相当する図である。
【図6】第2実施形態の発明部分を説明する図で、第1実施形態の図4に相当する図である。
【図7】第3実施形態のブッシュを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
次に図面を用いて本発明の第1実施形態を説明する。図1は第1実施形態のシートリフタの主要部を示す斜視図、図2は図1のII方向(アウタ側)矢視図、図3は図2の切断線III−IIIでの断面図、図4は図2の切断線IV−IVでの断面図である。
【0025】
最初に、図2を用いて実施形態のシートリフタを有するシートの全体構成を説明する。図に示すように、アウタ側のシートトラック1は、フロアに対してブラケット3,5を介して設けられるロアレール7と、ロアレール7に対して移動可能に係合するアッパレール9とからなっている。
【0026】
このシートトラック1は、フロアに対して一対(アウタ側、インナ側)設けられ、図2に示すシートトラックはアウタ側のシートトラックである。インナ側のシートトラック101は図3、図4に示すように、ロアレール107と、ロアレール107に対して移動可能に係合するアッパレール109とからなっている。
【0027】
(シートクッションの高さを変えるシートリフタ)
図2に戻って、アッパレール9の前側上部には、フロントブラケット10、後側上部にはリアブラケット11が設けられている。フロントブラケット10には、ピン13を用いてフロントリンク15の一方の端部側が回転可能に設けられている。リアブラケット11には、ピン17を用いてリアリンク19の一方の端部側が回転可能に取り付けられている。フロントリンク15の他方の端部側は、ピン21を用いて、シートクッションのアウタ側のロアアーム23の前部に回転可能に取り付けられている。リアリンク19の他方の端部側は、後述する取付構造により、シートクッションのロアアーム23の後部に回転可能に取り付けられている。よって、アッパレール9と、フロントリンク15と、ロアアーム23と、リアリンク19とで、四節回転機構が形成されている。
【0028】
同様に、インナ側のシートトラック101にもフロントリンク(図4参照)、リアリンク119(図1参照)を介してシートクッションのインナ側のロアアーム123(図1参照)が設けられ、インナ側のアッパレール109と、フロントリンクと、ロアアーム123と、リアリンク119とで、四節回転機構が形成されている。
【0029】
アウタ側のリアリンク19には、ロアアーム23側の回転中心を中心とするセクタギヤ19aが形成されている。ロアアーム23には、セクタギヤ19aに螺合するピニオン27が設けられている。このピニオン27は、ロアアーム23に設けられた図示しないモータによって回転駆動されるようになっている。
【0030】
ここで、図1、図3を用いて、リアリンク19、リアリンク119の取付構造を説明する。リアリンク19には、回転中心を中心とする貫通穴19bが形成されている。また、ロアアーム23には、リアリンク19の貫通穴19bより若干径が大きな穴23aが形成されている。
【0031】
リアリンク19の貫通穴19bには、貫通穴19bに挿入され、両端が開放面となった円筒部(軸部)31aと、円筒部31aの外周面に形成され、リアリンク19の貫通穴19bの縁部に溶接されたつば部31bとからなるブッシュ31が設けられる。このブッシュ31の円筒部31aのリアリンク19の貫通穴19bから突出した部分の外周面は、ロアアーム23の穴23aに嵌合し、リアリンク19は回転可能に保持されている。ブッシュ31の貫通穴には、ロッド53の一方の端部側が挿入され、ロッド53の外周面とブッシュ31のつば部31b(リンク部材)とは溶接されている。ブッシュ31の円筒部31aのロアアーム23の穴23aから突出した部分の外周面には、ロアアーム23の外側の面に当接可能なプッシュナット55が設けられる。尚、本実施形態では、ロアアーム23の穴23aの内周面とブッシュ31の外周面との間に、低摩擦材でなるブッシュ57が配置されている。
【0032】
リアリンク119には、バーリング加工により、円筒部(軸部)119bが一体形成されている。
【0033】
また、ロアアーム123には、リアリンク119の円筒部119bより若干径が大きな穴123aが形成されている。
【0034】
そして、リアリンク119の円筒部119bがロアアーム123の穴123aに挿入され、リアリンク119は回転可能に保持されている。リアリンク119の円筒部119bの貫通穴には、ロッド53の他方の端部側が挿入され、ロッド53の外周面とリアリンク119とは溶接されている。リアリンク119の円筒部119bのロアアーム123の穴123aから突出した部分の外周面には、ロアアーム123の外側の面に当接可能なプッシュナット155が設けられる。尚、本実施形態では、ロアアーム123の穴123aの内周面とリアリンク119の円筒部119bの外周面との間に、低摩擦材でなるブッシュ157が配置されている。
【0035】
よって、リアリンク19の回転は、ロッド53を介してリアリンク119へ伝達されることとなる。このため、ピニオン27が回転し、リアリンク19が回転すると、ロッド53を介してリアリンク119も回転し、ロアアーム23、123はシートトラック1に対して昇降する。
【0036】
(シートクッションの傾きを変えるシートリフタ)
図2に戻って、ロアアーム23、ロアアーム123の前側上部には、ロアアーム23,ロアアーム123を橋渡しするようにチルトパン51が配置されている。このチルトパン51の基部は、ピン52を用いてロアアーム23に、図示しないピンを用いてロアアーム123にそれぞれ回転可能に取り付けられている。
【0037】
また、チルトパン51の中間部には、シートトラック1、101方向に延びるアーム部51a、51b(図4参照)が設けられている。
【0038】
ロアアーム23の前部には、チルトリンク61が回転可能に取り付けられている。このチルトリンク61の一方の回転端部側は、回転中心を中心とするセクタギヤ61aが形成されている。ロアアーム23には、セクタギヤ61aに螺合するピニオン63が設けられている。このピニオン63は、ロアアーム23に設けられた図示しないモータによって回転駆動されるようになっている。チルトリンク61の他方の回転端部側には、チルトパン51のアーム部51aに嵌合するピン65が設けられている。
【0039】
図1に示すように、ロアアーム123の前部には、チルトリンク161が回転可能に取り付けられている。このチルトリンク161の他方の回転端部側には、チルトパン51のアーム部51bに嵌合するピン(図示せず)が設けられている。
【0040】
そして、チルトパン51、チルトリンク61、チルトリンク161には、チルトリンクの回転軌跡と、チルトパン51の回転軌跡の差を吸収する機構が設けられている。
【0041】
ここで、図1、図4を用いて、チルトリンク61、チルトリンク161の取付構造を説明する。チルトリンク61には、回転中心を中心とする貫通穴61bが形成されている。また、ロアアーム23には、チルトリンク61の貫通穴61bより若干径が大きな穴23cが形成されている。
【0042】
チルトリンク61の貫通穴61bには、貫通穴61bに挿入され、両端が開放面となった円筒部(軸部)67aと、円筒部67aの外周面に形成され、チルトリンク61の貫通穴61bの縁部に溶接されたつば部67bとからなるブッシュ67が設けられる。このブッシュ67の円筒部67aのチルトリンク61の貫通穴61bから突出した部分の外周面は、ロアアーム23の穴23cに嵌合し、チルトリンク61が回転可能に保持されている。ブッシュ67の貫通穴には、ロッド69の一方の端部側が挿入され、ロッド69の外周面とブッシュ67のつば部67b(リンク部材)とは溶接されている。ブッシュ67の円筒部67aのロアアーム23の穴23cから突出した部分の外周面には、ロアアーム23の外側の面に当接可能なプッシュナット68が設けられる。尚、本実施形態では、ロアアーム23の穴23cの内周面とブッシュ67の外周面との間に、低摩擦材でなるブッシュ71が配置されている。
【0043】
チルトリンク161には、バーリング加工により、円筒部161bが一体形成されている。
【0044】
また、ロアアーム123には、チルトリンク161の円筒部161bより若干径が大きな穴123cが形成されている。
【0045】
そして、チルトリンク161の円筒部161bがロアアーム123の穴123cに挿入され、チルトリンク161が回転可能に保持されている。チルトリンク161の円筒部161bの貫通穴には、ロッド69の他方の端部側が挿入され、ロッド69の外周面とチルトリンク161とは溶接されている。チルトリンク161の円筒部161bのロアアーム123の穴123cから突出した部分の外周面には、ロアアーム123の外側の面に当接可能なプッシュナット168が設けられる。尚、本実施形態では、ロアアーム123の穴123cの内周面とチルトリンク161の円筒部161bの外周面との間に、低摩擦材でなるブッシュ171が配置されている。
【0046】
よって、チルトリンク61の回転は、ロッド69を介してチルトリンク161へ伝達されることとなる。このため、ピニオン63が回転し、チルトリンク61が回転すると、ロッド69を介してチルトリンク161も回転し、チルトパン51はロアアーム23側のピン52、ロアアーム123側の図示しないピンを中心に、回転端部側が昇降し、シートクッションの前部側が傾斜する。
【0047】
このような構成によれば、以下のような効果が得られる。
【0048】
(1) シートクッションの高さを変えるシートリフタ、シートクッションの傾きを変えるシートリフタともに、ロッド53、ロッド69はリンク部材の円筒部(軸部)の貫通穴に挿入され、ロッド53、ロッド69の外周面とリンク部材とが溶接されていることにより、ロッド53、ロッド69の溶接位置が一定となる。
【0049】
また、ロッド53、ロッド69はリンク部材の円筒部の貫通穴に挿入されることにより、ロッド53、ロッド69の軸方向の寸法のバラツキを吸収できる。
【0050】
(2) リアリンク119に円筒部119bを一体形成したことにより、部品点数の削減が行えると共に、リアリンク119、ロッド53を安定して保持できる。
【0051】
チルトリンク161に円筒部161bを一体形成したことにより、部品点数の削減が行えると共に、チルトリンク161、ロッド69を安定して保持できる。
【0052】
(3) リアリンクの119の円筒部119bはバーリング加工で形成したことにより、製造が簡単である。同様に、チルトリンクの161の円筒部161bもバーリング加工で形成したことにより、製造が簡単である。
【0053】
(4) セクタギヤ19aが形成されたリアリンク19、セクタギヤ61aが形成されたチルトリンク61は、焼き入れにより硬さを増大する処理を行なう。焼き入れを行うと、軸部の周面が硬化し、プッシュナットの内周側が軸部に食い込まなくなり、プッシュナット機能しなくなる。しかし、本実施形態例では、ブッシュ31、ブッシュ67を介すことにより、リアリンク19、チルトリンク161に、硬化していない円筒部31a、円筒部67aを形成でき、ロッド53、ロッド69の溶接位置を一定とすることができると共に、ロッド53、ロッド69の軸方向の寸法のバラツキを吸収できる。
【0054】
本発明は上記実施形態に限定するものではない。上記実施形態では、ブッシュ31、ブッシュ67はつば部31b、つば部67bを有しているが、なくてもよい。
【0055】
また、上記実施形態例では、一方のリンクに円筒部を一体形成し、他方の側は、リンクに固着されるブッシュに円筒部を形成したが、ブッシュを用いず両方のリンクに円筒部を一体形成してもよい。更に、円筒部をリンクに一体形成せず、両方が円筒部が形成されたブッシュを有するリンクであってもよい。
【0056】
また、上記実施形態のシートリフタでは、リンクに形成されたセクタギヤに噛合するピニオンを回転駆動することで、リンクを回転駆動するようにしたが、他に、回転のみ許容された固定ナット部材と、この固定ナット部材に螺合し、端部がリンクに回転可能に取り付けられたねじ棒とからなり、固定ナット部材を回転させることにより、ねじ棒を進退させ、リンクを回転させるようにしてもよい。
【0057】
更に、上記実施形態例では、シートクッションの高さを変える機構では、リアリンク19を回転させたが、四節回転機構を構成するフロントリンク、リアリンクのうちのいずれかのリンクを回転させればよい。
【0058】
更にまた、上記実施形態例では、ロッド53、ロッド69が挿入される穴は貫通穴であるが、十分な深さを有する有底穴でもよい。
【0059】
<第2実施形態>
図5,図6を用いて、第2実施形態を説明する。図5は第2実施形態の発明部分を説明する図で、第1実施形態の図3に相当する図、図6は第2実施形態の発明部分を説明する図で、第1実施形態の図4に相当する図である。
【0060】
本実施形態と第1実施形態との相違点は、ブッシュの形状であり、他の部分は同一である。よって、第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0061】
最初に、図5に示すように、リアリンク19の貫通穴19bには、貫通穴19bに挿入され、両端が開放面となった円筒部(軸部)231aと、円筒部231aの外周面に形成されたつば部231bとからなるブッシュ231が設けられる。
【0062】
つば部231bの一方の側部側の円筒部231aは、リアリンク19の穴19bを挿さし、つば部231bの一方の側部は、リアリンク19の貫通穴19bの縁部に溶接されている。
【0063】
また、つば部231bの他方の側部側の円筒部231aは、ロアアーム23の穴23aに挿通している。円筒部231aのロアアーム23の穴23aから突出した部分の外周面には、ロアアーム23の外側の面に当接可能なプッシュナット55が設けられている。よって、このプッシュナット55と、ブッシュ231のつば部231bとがロアアーム23を挟むことにより、ブッシュ231の軸方向の移動が禁止され、つば部231bの他方の側部と、ロアアーム23の穴の23aの周部とは摺接するようになっている。尚、本実施形態では、ロアアーム23の穴23aの内周面とブッシュ31の外周面との間に、低摩擦材でなるブッシュ57が配置されている。
【0064】
次に、図6に示すように、チルトリンク61の貫通穴61bには、貫通穴61bに挿入され、両端が開放面となった円筒部(軸部)267aと、円筒部267aの外周面に形成されたつば部267bとからなるブッシュ267が設けられる。
【0065】
つば部267bの一方の側部側の円筒部267aは、チルトリンク61の穴61bを挿さし、つば部267bの一方の側部は、チルトリンク61の貫通穴61bの縁部に溶接されている。
【0066】
また、つば部267bの他方の側部側の円筒部267aは、ロアアーム23の穴23cに挿通している。円筒部267aのロアアーム23の穴23cから突出した部分の外周面には、ロアアーム23の外側の面に当接可能なプッシュナット68が設けられている。よって、このプッシュナット68と、ブッシュ267のつば部267bとがロアアーム23を挟むことにより、ブッシュ267の軸方向の移動が禁止され、つば部267bの他方の側部と、ロアアーム23の穴の23cの周部とは摺接するようになっている。尚、本実施形態では、ロアアーム23の穴23cの内周面とブッシュ31の外周面との間に、低摩擦材でなるブッシュ71が配置されている。
【0067】
このような構成によれば、第1実施形態の効果に加え、下記のような効果が得られる。
【0068】
(1) シートが昇降すると、ブッシュ231のつば部231b、ブッシュ267のつば部267bがロアアーム23に摺接する。ブッシュ231のつば部231b、ブッシュ267のつば部267bは、機械加工等(例えば、冷間鍛造)で形成されるので、円筒部231a、円筒部267aに対する垂直度が良好となる。よって、シートを昇降させる際に、スムーズな昇降ができ、異音の発生がなくなり、昇降駆動力も小さくなる。
【0069】
(2) ブッシュのつば部231b、ブッシュ267のつば部267bの厚さを変えることにより、ロアアーム23とリアリンク19、チルトリンク61とのオフセット量を容易に変えることができる。
【0070】
尚、上記実施形態例では、ロッド53、ロッド69が挿入される穴は貫通穴であるが、十分な深さを有する有底穴でもよい。
【0071】
<第3実施形態>
図7を用いて第3実施形態を説明する。図7は第3実施形態のブッシュを説明する図である。本実施形態と第1、第2実施形態との相違点は、ブッシュの形状であり、他の部分は同一である。よって、第1、第2実施形態と同一部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0072】
図において、ブッシュ331は、両端が開放面となった円筒部(軸部)331aと、円筒部331aの外周面に形成されたつば部331bとからなっている。更に、円筒部331aは、つば部331bを介して一方の側には大径部331cが形成され、他方の側には、外径が大径部331より小さな小径部331dが形成されている。
【0073】
リアリンク19の貫通穴19bには、ブッシュ331の円筒部331aの大径部331cが挿入される。そして、つば部331bの一方の側部(大径部331c側の側部)は、リアリンク19の貫通穴19bの縁部に溶接されている。
【0074】
また、ブッシュ331の円筒部331aの小径部331dは、ロアアーム23の穴23aに挿通している。小径部331dのロアアーム23の穴23aから突出した部分の外周面には、ロアアーム23の外側の面に当接可能なプッシュナット55が設けられている。よって、このプッシュナット55と、ブッシュ331のつば部331bとがロアアーム23を挟むことにより、ブッシュ231の軸方向の移動が禁止され、つば部231bの他方の側部と、ロアアーム23の穴の23aの周部とは摺接するようになっている。
【0075】
尚、図7はリアリンク19で説明を行ったが、チルトリンク61でも同様な構成とすることは可能である。
【0076】
このような構成によれば、ブッシュ331の円筒部331aのロアアーム23に回転可能に保持される部分を小径部331dとすることで、ロアアーム23の穴23aを小さくすることができる。よって、ロアアーム23の小型化、強度アップが図れる。
【0077】
尚、上記実施形態例では、ロッド53、ロッド69が挿入される穴は貫通穴であるが、十分な深さを有する有底穴でもよい。
【符号の説明】
【0078】
19 リアアリンク
31、67 ブッシュ
31a、67a、119b、161b 軸部
61 チルトリンク
119 リアリンク
161 チルトリンク
53,69 ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションのインナ側ロアアーム、アウタ側ロアアームの高さや傾斜を変えられるシートリフタにおいて、
アウタ側ロアアーム、インナ側ロアアームのうちのどちらか一方のロアアームに設けられた第1リンク部材と、
インナ側ロアアーム、アウタ側ロアアームのうちの他方のロアアームに設けられた第2リンク部材と、
一端部が第1リンク部材に取り付けられ、他端部が第2リンク部材に取り付けられるロッドとを有し、
少なくとも一方のリンク部材は、穴を有した軸部を備えるとともにその軸部の外周面で前記ロアアームに回転可能に保持され、
前記ロッドは、前記リンク部材の前記穴に挿入された状態で溶接されることを特徴とするシートリフタ。
【請求項2】
前記軸部は前記リンク部材に一体形成されていることを特徴とする請求項1記載のシートリフタ。
【請求項3】
前記リンク部材は、
リンクと、
該リンクに設けられ、両端が開放面となり、前記軸部として機能する円筒部と、該円筒部の外周面に形成され、前記リンクの穴の縁部に溶接されたつば部とからなるブッシュと、
からなることを特徴とする請求項1記載のシートリフタ。
【請求項4】
前記第1リンク部材の前記軸部は前記第1リンク部材に一体形成され、
前記第2リンク部材は、リンクと、該リンクに設けられ、両端が開放面となり、前記軸部として機能する円筒部と、該円筒部の外周面に形成され、前記リンクの穴の縁部に溶接されたつば部とからなるブッシュとからなることを特徴とする請求項1記載のシートリフタ。
【請求項5】
前記第1リンク部材の前記軸部は前記第1リンク部材に一体形成され、
前記第2リンク部材の前記軸部は前記第2リンク部材に一体形成されていることを特徴とする請求項1記載のシートリフタ。
【請求項6】
前記つば部の側部に前記ロアアームが摺接することを特徴とする請求項3または4記載のシートリフタ。
【請求項7】
前記ブッシュの円筒部の前記ロアアームに回転可能に保持される部分の外径と、前記ロッドが挿入される部分の外径とが異なることを特徴とする請求項3または4記載のシートリフタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−254777(P2012−254777A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−16518(P2012−16518)
【出願日】平成24年1月30日(2012.1.30)
【出願人】(590001164)シロキ工業株式会社 (610)
【Fターム(参考)】