説明

シート収納機構及び記録装置

【課題】 シートを二つ折りとなる吊り下げ状態で積載するに際し、複数枚の異なるサイズのシートを積載する場合でも、容易に揃った状態で積載することができるシート収納機構を提供する。
【解決手段】 排出口6の送り出し方向下流側に配されたシート支持棒7(22)と、シート支持棒の2箇所に当接可能な2個の当接部材10、18(24、25)と、を備える。排出口からのシート12の送り出し量に応じて2個の当接部材を交互にシート支持棒に係止させることにより、排出されたシートを当接部材によりシート支持棒に係止した状態で該シート支持棒に吊り下げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置等から排出されるシートを収納するためのシート収納機構及びこれを用いる記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、プロッタ、複写機、スキャナ等の記録装置は画像出力装置として広く使用されている。この記録装置は、画像情報に基づいて記録ヘッドにより被記録材に画像を記録するものである。被記録材としては、記録紙やプラスチックシートなどのシート材(以下、シートと称する)が一般に使用されている。本発明に係るシート収納機構は、記録装置等の画像出力装置から排出されるシートを収納するために使用され、特に大型のシートを収納するのに好適なものである。
【0003】
記録装置等における従来の一般的なシート収納機構は、水平あるいは水平に近似した斜め方向に排出される記録紙等のシートを水平面もしくは斜面からなるトレイに広げたままの状態で積載するように構成されている。これとは異なる形態のシート収納機構として、排出されてくるシートをシート支持棒に吊り下げ状態で積載するものが知られている。このような吊り下げ式のシート収納機構は、例えば特許文献1に開示されている。この種のシート収納機構では、排出口から送り出し方向所定距離の位置にシート支持棒(用紙係止棒)を配設し、排出されてくるシートをこのシート支持棒に吊り下げるように構成されている。また、シート支持棒の近傍には、送り出されるシートを該シート支持棒に係止させるための当接部材(ストッパー)が配されている。
【特許文献1】特開平05−058532号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のシートを水平あるいは水平に近い傾斜状態で積載するシート収納機構の場合は、少なくともシートの面積と同等あるいはそれ以上の積載スペースが必要である。このため、特にシートが大版である場合、必然的にシートの積載手段が大型になり、機器の全体構成が大型になってしまう。また、大型化のため、シート積載手段の剛性を高めることも必要になる。
【0005】
一方、特許文献1に記載されているようなシートを吊り下げて積載する方式では、積載スペースの問題は解消することができる。しかしながら、従来の吊り下げ方式の場合は、送り出されるシートを棒部材に吊り下げているだけである。このため、サイズの異なるシートを重ねて積載してゆくと、シートにズレが生じやすく、揃った状態で積載することが困難であった。さらには、シートがシート支持棒からズレ落ちることもあり、シート上の画像が損傷する原因になることもあった。
【0006】
本発明はこのような技術的課題に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、シートを二つ折りとなる吊り下げ状態で積載するに際し、複数枚の異なるサイズのシートを積載する場合でも、容易に揃った状態で積載することができるシート収納機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、排出口から排出されるシートを収納するシート収納機構に関する。本発明に係るシート収納機構は、排出口の送り出し方向下流側に配されたシート支持棒と、シート支持棒の2箇所に当接可能な2個の当接部材と、を備える。そこで、排出口からのシートの送り出し量に応じて2個の当接部材を交互にシート支持棒に係止させることにより、排出されたシートを当接部材によりシート支持棒に係止した状態で該シート支持棒に吊り下げる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シートを二つ折りとなる吊り下げ状態で積載するに際し、複数枚の異なるサイズのシートを積載する場合でも、容易に揃った状態で積載することができるシート収納機構が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を具体的に説明する。なお、各図面を通して同一符号は同一又は対応部分を示すものである。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るシート収納機構において、シートガイドが退避位置にあるときの状態を示す斜視図である。図2は図1のシート収納機構においてシートガイドが案内位置にあるときの状態を示す中央部縦断面図である。図3は図1のシート収納機構のシートガイドが退避位置にあるときの中央部縦断面図である。図1〜図3において、本実施形態に係るシート収納機構100は、記録装置500に接続されている。本実施形態は、記録装置500が大判のインクジェット式のプリンタである場合を示す。記録装置500は、連続した被記録材であるロール紙に画像を記録する装置であり、その内部に記録手段(記録ヘッド)1、ロール紙3、給紙機構4及び搬送機構5などを具備している。記録装置500はスタンド13上に固定されている。
【0010】
ロール紙3から引き出されたシート(シート状の被記録材)12は、給紙機構4により記録ヘッド1へ向けて給送され、搬送機構5により搬送される間に記録ヘッド1により画像を記録される。記録されたシート12は排出口6から送り出される。さらに、記録済みとなったシート12は、排出口6の内側に配されたカッター2により所定長さに切断されて排出口6から排出される。図示の排出口6は、その下辺6aが送り出し方向に所定長さだけ延び出している。
【0011】
記録手段である記録ヘッド1は、画像情報を基づいて被記録材に画像(文字や記号等も含む)を記録するものであり、インクジェット式の場合は、画像情報に基づいて記録ヘッドの複数の吐出口からシートへインクを吐出して記録が行われる。被記録材12はシート状をしており、以下では単にシートと称する。また、このシートの材質は、紙、プラスチックシート、写真調印画紙、皮革など、画像を記録できるものであれば種々のものを使用することができる。
【0012】
記録装置500の排出口6には、排出されるシートを収納保持するためのシート収納機構100が接続されている。シート収納機構100は、記録装置500に隣接した所定位置に配されるべく、スタンド13に連結された左右一対の脚8、9により支持されている。一対の脚8、9は、シート12(ロール紙3)の幅より若干広い間隔をもって立設され、ステー14で連結されることで剛性の高いフレームを形成している。また、一対の脚8、9の中間位置には、両側の脚を連結するようにシート支持棒7(支持棒)が配されている。このシート支持棒7は、排出されたシート12を吊り下げ状態で積載するための棒状の部材である。シート支持棒7は排出口6の送り出し方向下流側の所定位置に排出口6と平行に配されている。排出口6(延び出し部6a)とシート支持棒7との間には、排出されるシート12をシート支持棒7へ案内するための案内部材としてのシートガイド11が配されている。シートガイド11はシート12をシート支持棒7の送り出し方向の下流側に案内する第1の位置とシート支持棒7のシート送り出し方向上流側に案内する第2の位置とに移動可能である。
【0013】
シートガイド11は、排出口6の近傍の左右に設けられた軸受部で、図2の案内位置(第1の位置)と図3の退避位置(第2の位置)との間で回動可動に軸支されている。本実施形態では、シートガイド11は、記録中のシート12の送り出し量に応じて、案内位置と退避位置との間で位置を制御される。この場合の送り出し量は、記録済みのシート12の排出口6からの送り出された長さを検知することにより求められる。シート支持棒7の両端部にはフランジ15、16が設けられている。これらのフランジのそれぞれには、円周方向の2箇所に当接部材10、18が配されている。
【0014】
当接部材10、18は、シート支持棒7の周面に押圧される当接位置とシート支持棒の周面から離間する退避位置との間で移動可動(例えば回動可動)に支持されている。当接部材10、18は、当接位置にあるときはシート12をシート支持棒7に押圧して係止させる。また、当接部材10、18のそれぞれは、記録中のシート12の送り出し量に応じて、当接位置及び退避位置のいずれをとるか制御される。このように、本実施形態のシート収納機構100には、シート支持棒7の2箇所に当接可能な2個の当接部材10、18が設けられている。本実施形態では、一方の当接部材10(第2の当接部材)は、記録終了後にシート支持棒7に吊り下げられるシート12を該シート支持棒に係止するために使用される。他方の当接部材18(第1の当接部材)は、シート12をシート支持棒7に吊り下げる過程で必要となるシートの撓みを形成するために使用される。
【0015】
次に、図1〜図3を用いて、第1の実施形態に係るシート収納機構100の構成及び動作について説明する。図2の状態では、シートガイド11は排出されるシート12を撓みのない自然形をもって案内する第1の位置にあり、当接部材10はシート12をシート支持棒7に係止(押圧)する当接位置にあり、当接部材18はシート12に接触しない退避位置にある。記録装置500により目的の画像記録の最中もしくは目的の画像記録を終了したシート12は、図2に示すように、排出口6から排出され、シート収納機構100のシートガイド11に沿って案内された後、シートガイド11の先端部(下流側端部)から垂下する。そして、シート支持棒7のシート送り出し方向下流側(図示右側)の周面に沿いながら送り出される。
【0016】
送り出されるに従って、シート12の目的の画像記録が行われる(又は行われた)長さの中間部分(例えば略中央部分)がシート支持棒7の上に到達した状態となる。図2中のシート12は、このようなシート長さの半端に達した状態を示す。この位置がシート支持棒7に到達したことは、シートの送り出し量及び画像記録の長さに基づいて検知することができる。これを検知した時点、又はこの直後に、シートガイド11及び当接部材10、18を、図2の状態から図3の状態へ移動させる。図3の状態では、シートガイド11は案内位置から退避位置へ移動し、一方の当接部材18は退避位置から当接位置へ移動し、シートの、シート支持棒7の下流側に案内された部分をシート支持棒に押圧する。他方の当接部材10は当接位置から離間位置へ移動している。
【0017】
すなわち、本実施形態では、排出口6からのシート12の送り出し量に応じて2個の当接部材10、18を交互にシート支持棒7に係止させるように構成されている。また、かかる当接部材10、18の動作により、排出されたシート12を当接部材18によりシート支持棒7に係止した状態で該シートを該シート支持棒に吊り下げるように構成されている。また、本実施形態では、シート支持棒7の下方に、シート支持棒7に吊り下げられたシート12のすそ部分を支持するための、断面山形の支持部材19が配されている。
【0018】
具体的には、排出口6からのシート12の送り出し量に応じて、シートガイド11は排出口6側を中心に下向きに回動する。これにより、シートガイド11が退避位置(第2の位置)へ移動し、排出口6とシート支持棒7との間にシート12の垂れ下がりを許容するための空間が形成される。また、各当接部材10、18もその回動軸を中心に回動する。ここでは、当接部材18の方はシート12をシート支持棒7に係止する当接位置へ移動し、当接部材10の方はシート12に接触しない退避位置へ移動する。こうして図3の状態になると、シート12は当接部材18によりシート支持棒7上に係止されているので、記録が継続されていてもシート12の当接部材18から先の部分では移動しない。このため、排出口6とシート支持棒7との間に形成されるシートの撓み17の量だけが増大していく。
【0019】
さらに、目的の画像記録が終了するとシート12の後端をカッター2で裁断する。これにより、シート12の後端は排出口5から自重でシート支持棒7の上流側に滑り落ち、シート12はその中央部分でシート支持棒7に吊り下げられた状態で積載される。このシート12をシート支持棒7上に積載するときの動作は、シートガイド11が退避位置へ移動する前にシートが裁断される場合も実質的に同じである。ここで、記録動作が終了する場合は、シート収納機構100の動作を終了しても良く、あるいは、シートガイド11及び当接部材10、18を記録開始前の状態(図2の状態)まで戻しても良い。また、連続的に記録ジョブがある場合は、ジョブを継続したままシートガイド11及び当接部材10、18を図3の状態から図2の状態まで戻す。
【0020】
図2の状態では、当接部材10はシート12をシート支持棒7に係止する当接位置で停止し、当接部材18はシート12に接触しない退避位置で停止している。また、図2の状態では、シート12は、当接部材10により係止された状態となっている。このため、積載されたシートを定位置に保持することができ、次のシートがシートガイド11の先端部からシート支持棒7ヘ垂下し、積載されたシートの表面に沿いながら移動しても、積載されたシートが移動したりズレたりすることはない。また、次のシートも、安定した吊り下げ状態で積載することができる。本実施形態では、シート支持棒7に吊り下げられたシート12は、すその部分で山型の支持部材19により支持されている。
【0021】
以上説明したように、本実施形態では、排出口6からのシート12の送り出し量に応じて2個の当接部材10、18を交互にシート支持棒7に係止させる。これにより、排出されたシートを当接部材によりシート支持棒に係止した状態でシート支持棒に吊り下げる。すなわち、排出されるシート12の長さに応じて2個の当接部材10、18を交互にシート支持棒7に当接させることにより、排出されたシートを長さ方向の中間部分でシート支持棒7に吊り下げるように構成されている。これにより、シート12を二つ折りとなる吊り下げ状態で積載するに際し、複数枚の異なるサイズのシートを積載する場合でも、容易に揃った状態で積載することが可能になる。
【0022】
(第2の実施形態)
図4は本発明の第2の実施形態に係るシート収納機構のシートガイドの斜視図である。図5は図4のシート収納機構においてシートガイドが案内位置にあるときの中央部縦断面図である。図6は図4のシート収納機構においてシートガイドが退避位置にあるときの中央部縦断面図である。第2の実施形態に係るシート収納機構200は、第1の実施形態に係るシート収納機構100に対し、シート12をシート支持棒7に係止させる当接部材の構成が異なっており、その他の構成は実質的に同じである。
【0023】
図4〜図6において、シート収納機構200は、記録装置500からシート12を排出させる排出口6に接続させるように、一対の脚20、21上に配されている。これらの脚20、21は、記録装置500を支持するスタンド13に連結されている。左右の脚20、21をステー14で連結することで、高い剛性を有するフレームが構成されている。左右の脚20、21の中間部分を連結するようにして、排出口6と平行な姿勢でシート支持棒22が配されている。排出口6(その延び出し部6a)とシート支持棒22との間には、送り出されるシート12をシート支持棒22へ案内するためのシートガイド11が配されている。シート支持棒22の前後方向に略対向する近傍の2箇所に、当接部材24、25が配されている。当接部材24、25は、それぞれ、シート支持棒22と平行に延びるシャフト26の長さ方向複数位置(図示の例では2箇所)に押圧用の円筒部27を配した構成を有する。
【0024】
一方の当接部材24は、両側の脚20、21に形成されたガイド溝29にシャフト26の両端部を摺動可能に嵌合させることにより、該ガイド溝29に沿って移動可能に支持されている。つまり、当接部材24は、ガイド溝29に沿って移動可能であり、円筒部27がシート支持棒22に押圧される当接位置(図6)とシート支持棒から離間する退避位置(図5)との間で移動可能に支持されている。他方の当接部材25は、両側の脚20、21に形成されたガイド溝30にシャフト26の両端部を摺動可能に嵌合させることにより、該ガイド溝30に沿って移動可能に支持されている。各ガイド溝30は、各脚20、21の後方へ(記録装置側へ)延び出したアーム部分20a、21aに形成されている。つまり、当接部材25は、ガイド溝30に沿って移動可能であり、円筒部27がシート支持棒22に押圧される当接位置(図5)とシート支持棒から離間する退避位置(図6)との間で移動可能に支持されている。
【0025】
当接部材24、25は、シート12の排出口6からの送り出し量に応じてその移動及び停止位置を制御される。特に、本実施形態では、当接部材24、25は、シート支持棒22に対して平行な姿勢を保った移動可能に配されている。そして、当接部材24、25は、当接位置にあるときにシート12をシート支持棒22に係止させることができる。この場合、一方の当接部材25は、第1の実施形態における当接部材10と同様、収納動作終了後にシート支持棒22に吊り下げられるシート12を該シート支持棒に係止するために使用される。他方の当接部材24は、第1の実施形態における当接部材18と同様、シート12をシート支持棒22に吊り下げる過程で必要となるシートの撓み17を形成するために使用される。第2の実施形態に係るシート収納機構200は、以上説明した点以外の部分では、前述の第1の実施形態と同様の構成を有する。従って、対応する部分を同一符号で示し、それらの詳細説明は省略する。
【0026】
次に、図4〜図6を用いて、第2の実施形態に係るシート収納機構200の動作について説明する。図5の状態では、シートガイド11は送り出されるシート12を撓みのない自然形をもって案内する位置にあり、当接部材24はシート支持棒22から離間した退避位置にあり、当接部材25はシート支持棒22に当接する当接位置にある。記録装置500により目的の画像記録の最中もしくは目的の画像記録を終了したシート12は、図5に示すように、排出口6から送り出され、シートガイド11に沿って案内された後、その先端部から垂下する。そして、シート支持棒22の先端側(図示右側)の周面に沿いながら送り出される。
【0027】
送り出されるに従って、シート12の目的の画像記録が行われる(又は行われた)長さの略中央部分がシート支持棒22の上に到達した状態となる。図5中のシート12は、このようなシート長さの半端に達した状態を示す。目的の画像記録の長さの略半分の位置がシート支持棒22に到達したことは、シートの送り出し量及び画像記録の長さに基づいて検知することができる。これを検知した時点、又はこの直後に、シートガイド11及び当接部材24、25を、図5の状態から図6の状態へ移動させる。すなわち、シートガイド11を案内位置から退避位置へ移動させるとともに、一方の当接部材24を当接位置から離間位置へ退避させ、他方の当接部材25を退避位置から当接位置へ移動させる。
【0028】
具体的には、シートガイド11が下向きに回動することにより、排出口6とシート支持棒22との間にシート12の垂れ下がりを許容するための空間が形成される。当接部材24は、ガイド溝29に沿って、シート12をシート支持棒22に係止する当接位置へ移動する。当接部材25は、ガイド溝30に沿って、シート支持棒22から離間した退避位置へ移動する。ガイド溝29、30は、それぞれ両側の脚20、21に形成されている。特に、ガイド溝30は、脚20、21の略水平方向のアーム部分20a、21aのそれぞれに形成されている。こうして図6の状態にすると、シート12は当接部材24によりシート支持棒22上に係止されているので、記録動作に伴ってシート12の送り出しが継続されていても、該シートの当接部材24から先の部分では移動しない。このため、排出口6とシート支持棒22との間に形成されるシートの撓み17の量が増大していく。
【0029】
さらに、目的の画像記録が終了するとシート12の後端をカッター2で裁断する。これにより、シート12の後端は排出口5から自重で滑り落ち、シート12は二つ折り状態になって中間部分でシート支持棒22に吊り下げられ状態で積載される。シート12をシート支持棒22上に積載するときの動作は、シートガイド11が退避位置へ移動する前にシートがカッター2で裁断される場合も実質的に同じである。また、ここで記録動作が終了する場合は、そのままシート収納機構200の動作を終了しても良く、あるいは、シートガイド11及び当接部材24、25を記録開始前の状態(図5の状態)まで戻しても良い。また、連続的に記録ジョブがある場合は、ジョブを継続したままシートガイド11及び当接部材24、25を図6の状態から図5の状態へ戻す。
【0030】
図5の状態では、当接部材25はシート支持棒22に当接した当接位置で停止し、当接部材24はシート支持棒22から離間した退避位置に停止している。また、図5の状態では、積載されたシート12は、当接部材25によりシート支持棒22に係止されている。このため、積載されたシートを定位置に保持でき、次のシートがシートガイド11の先端部からシート支持棒22ヘ垂下し、積載されたシートの表面に沿いながら移動しても、積載されたシートが移動したりズレたりすることはない。また、次のシートも、前述と同様に安定した状態で積載することができる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態でも、排出口6からのシート12の送り出し量に応じて2個の当接部材10、18を交互にシート支持棒7に係止させる。これにより、排出されたシートを当接部材によりシート支持棒に係止した状態でシート支持棒に吊り下げる。すなわち、排出されるシート12の長さに応じて2個の当接部材10、18を交互にシート支持棒7に当接させることにより、排出されたシートを長さ方向の中間部分で二つ折り状態でシート支持棒7に吊り下げるように構成されている。これにより、シート12を二つ折り状態で吊り下げて積載するに際し、複数枚の異なるサイズのシートを積載する場合でも、容易に揃った状態で積載することが可能になる。
【0032】
また、以上説明した各実施形態に係るシート収納機構によれば、排出された記録済みのシートを広げたままの状態で収納することができる。なお、排紙トレイ上に水平又は水平に近い状態で積載する従来のシート収納機構では、シートの面積と同等又はそれ以上の収容スペースを必要としていた。これに対し、上述の各実施形態によれば、シート支持棒7、22にシート12を略逆U字状に吊り下げた状態で回収できるため、収納トレイのような場所を必要としない。従って、シート収納機構を使用する機器の小型化を図ることができる。また、折り目を付けることなく記録されたシートを回収することができる。さらに、シートを係止する手段として移動可能な当接部材10、18又は24、25を二箇所に設け、どちらか一方の当接部材で収納済みのシートを係止して積載することができる。このため、複数枚のサイズが異なるシートであっても、ズレを生じることなく、揃った積載で保持することができる。
【0033】
なお、以上の実施形態では、本発明に係るシート収納機構を用いて記録装置から排出されるシートを収納する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明に係るシート収納機構は、これに限定されるものではなく、シートを取り扱う機器であれば、記録装置以外の機器から排出されるシートを収納する場合に広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るシート収納機構のシートガイドが退避位置にあるときの斜視図である。
【図2】図1のシート収納機構のシートガイドが案内位置にあるときの中央部縦断面図である。
【図3】図1のシート収納機構のシートガイドが退避位置にあるときの中央部縦断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るシート収納機構のシートガイドが退避位置にあるときの斜視図である。
【図5】図4のシート収納機構のシートガイドが案内位置にあるときの中央部縦断面図である。
【図6】図4のシート収納機構のシートガイドが退避位置にあるときの中央部縦断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 記録ヘッド(記録手段)
2 カッター
6 排出口
7、22 シート支持棒
10、18、24、25 当接部材
11 シートガイド
12 シート
17 シートの撓み
29、30 ガイド溝
100 シート収納機構
200 シート収納機構
500 記録装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出口から排出されるシートを収納するシート収納機構において、
前記排出口の送り出し方向下流側に配されたシート支持棒と、前記シート支持棒の2箇所に当接可能な2個の当接部材と、を備え、
前記排出口からのシートの送り出し量に応じて前記2個の当接部材を交互にシート支持棒に係止させることにより、排出されたシートを前記当接部材により前記シート支持棒に係止した状態で該シート支持棒に吊り下げることを特徴とするシート収納機構。
【請求項2】
前記排出口と前記シート支持棒の間に、排出されるシートを該シート支持棒まで案内するためのシートガイドを配することを特徴とする請求項1に記載のシート収納機構。
【請求項3】
前記シートガイドは、前記排出口と前記シート支持棒との間にシートの垂れ下がりを許容するための空間を形成する退避位置へ移動可能であることを特徴とする請求項2に記載のシート収納機構。
【請求項4】
前記当接部材は、前記シート支持棒にシートを係止する当接位置と該シート支持棒から離間する退避位置の間で移動可動であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート収納機構。
【請求項5】
前記当接部材は、前記シート支持棒に対して、平行な姿勢で移動可動であることを特徴とする請求項4に記載のシート収納機構。
【請求項6】
画像情報に基づいて記録ヘッドによりシートに画像を記録する記録装置において、請求項1乃至5のいずれか1項のシート収納機構を具備することを特徴とする記録装置。
【請求項7】
前記記録ヘッドは、吐出口からインクを吐出して画像を記録するインクジェット記録ヘッドであることを特徴とする請求項6に記載の記録装置。
【請求項8】
排出口から排出されるシートを収納するシート収納機構において、
前記排出口の送り出し方向下流側に配された支持棒と、
前記排出口から排出されるシートを前記支持棒の前記送り出し方向下流側に案内する第1の位置と、上流側に案内する第2の位置とに移動可能な案内部材と、
前記支持棒の2箇所に当接可能な第1、第2の当接部材と、
を備え、
前記排出口から排出されるシートを途中まで前記第1の位置に位置する前記案内部材によって前記支持棒の前記送り出し方向下流側に案内し、シートの前記支持棒の前記送り出し方向下流側に案内された部分を前記第1の当接部材によって前記支持棒に押圧し、次いで前記案内部材を前記第2の位置に移動させ、シートの残りの部分を前記支持棒の前記送り出し方向上流側に案内し、シートの前記支持棒の前記送り出し方向上流側に案内された部分を前記第2の当接部材によって前記支持棒に押圧することによって、
排出されたシートを前記支持棒に吊り下げることを特徴とするシート収納機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−94565(P2008−94565A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−279070(P2006−279070)
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】