シート裁断装置およびこれを用いた製本装置並びにプリンティングシステム
【課題】シートの裁断過程で装置が停止した場合に装置の再起動時に装置内に残留する裁断途中のシートをその都度取除く必要のないシート裁断装置を提供する。
【解決手段】
順次供給される単一若しくは束状のシートを裁断するテーブルなどの裁断ステージに上記シートの所定箇所を裁断する裁断手段を配置する。上記裁断ステージにはシートが存在するか否かを検知するシート検知手段を設け、上記裁断手段を駆動する駆動手段及びその制御手段を、電源投入その他の装置起動時に上記シート検知手段がシートを検知した場合、上記駆動装置を駆動して上記裁断手段による裁断動作を実行するように構成する。そして前記制御手段には、停電その他装置電源遮断時の前記裁断手段の動作状態を記憶する記憶手段備える。そこで装置電源が供給されたとき前記シート検知手段の検出状態と上記記憶手段に記憶された裁断手段の動作状態に基づいて前記裁断手段の後続する動作を実行する。
【解決手段】
順次供給される単一若しくは束状のシートを裁断するテーブルなどの裁断ステージに上記シートの所定箇所を裁断する裁断手段を配置する。上記裁断ステージにはシートが存在するか否かを検知するシート検知手段を設け、上記裁断手段を駆動する駆動手段及びその制御手段を、電源投入その他の装置起動時に上記シート検知手段がシートを検知した場合、上記駆動装置を駆動して上記裁断手段による裁断動作を実行するように構成する。そして前記制御手段には、停電その他装置電源遮断時の前記裁断手段の動作状態を記憶する記憶手段備える。そこで装置電源が供給されたとき前記シート検知手段の検出状態と上記記憶手段に記憶された裁断手段の動作状態に基づいて前記裁断手段の後続する動作を実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裁断テーブルなどのステージにセットされた単シート或いは束状のシートを裁断するシート裁断装置に係わり、所定のテーブルにオペレータがセットしたシート(束)の所定位置を裁断処理するシート裁断装置或いは画像形成装置などから搬出された印刷シートを束状に整合してその背部に接着糊などで綴じ処理した後そのシート束の余白耳部をカットする製本装置或いは画像形成から表紙装丁と縁部のトリミングカットまでを自動的に処理するプリンティングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、コンピュータ、ワードプロセッサなどで作成した画像をプリンタ装置で印刷し、この印刷後の一連のシートを束状に整合してステップル綴じ、糊綴じなどを施す後処理装置は広く用いられている。また最近、各種業務用の冊子などを必要の都度出力するプリンティングシステムがオンデマンド印刷として活用されるに至っている。このようなシステムではプリンタから順次搬出される一連の文書の一端縁(背部)を糊付けし、この糊付け面を表紙シートの中央に合わせて折畳んで表裏の表紙面を自動装丁する製本装置が必要とされ、この場合に綴合わせた背部を除く周縁部を所定量裁断して冊子状にシート端縁を揃える裁断装置が提案されている。
【0003】
従来、この種の裁断装置は、例えば特許文献1に開示されているように、画像形成装置の後処理装置として製本装置に裁断ユニットとして組込まれている。そして、シート後処理装置は、画像形成装置の装置本体から排出されるシートを束状に整合し、これに画像形成装置或いはインサート装置から供給された表紙シートを合わせて糊付け製本する方法と、表紙シートの中央に束状シートを糊付けして折り込む中折製本する方法が採られている。いずれの製本方法であっても冊子状に形成したシートの周縁を裁断してその端面を揃える必要がある。尚、この場合のシート裁断装置は、シート束のみならず、シート1枚を裁断する場合もあり、また画像形成装置としては、シートに画像を形成する印刷機、複写機、プリンタ、ファクシミリ、及びこれらの複合機等が知られている。
【特許文献1】特開2004−114196号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のシート裁断装置は、単機能装置としてオペレータが単一シート或いはシート束をセットして裁断する装置構成であっても、製本装置に組込まれて糊付け装丁後の冊子状シートを裁断する装置構成であっても、或いは画像形成装置を含むプリンティングシステムに組み込まれる場合であっても、シートの裁断中に電源がOFFされた場合、オペレータが裁断部にあるシートを取り出さなければ装置を再起動することが出来なかった。
【0005】
このようなシート裁断中に装置電源が断たれることは、停電や不用意に電源スイッチが操作された場合、或いは装置の上流側で、例えばシートを束状に集積する積載部、或いはシート束に接着糊を塗布する糊付け部などで用紙詰りその他の不具合が発生した際に、その処置のために安全上電源をOFFすることがあり、このような電源の遮断は頻繁に発生することがある。このような動作途上で電源が遮断された場合、裁断部でシートを裁断中には、その動作が停止され裁断途中のシートが装置内に残留することとなるが、従来かかる状態のときにはオペレータが裁断部のシートを取除いて初期状態にした後装置を復帰させることが余儀なくされていた。
【0006】
従って、例えば装置の上流側で不具合が生じた場合など必要以上にオペレータが裁断中のシートを除去する必要が生じ、その除去作業中に裁断刃に触れる危険性が問題となっていた。またカッタブレードなどに挟まった切断途中のシートはその除去が面倒であるという問題もあった。更に、切断途中のシート(束)は、継続して切断処理することができないため、除去後に廃棄する無駄があった。
【0007】
そこで本発明は、シートの裁断過程で電源その他の理由で装置が停止した場合に装置の再起動時に装置内に残留する半裁断状態のシート、或いは裁断工程の完了していないシートをその都度、取除いて廃棄する必要のないシート裁断装置の提供をその課題としている。
【0008】
更に、本発明は装置内に残留する裁断途上のシートをその後の裁断動作をするか、裁断動作を行わないかシートの状態に応じて判断し、適切な動作および処置を実行するシート裁断装置及びこれを用いた製本装置並びにプリンティングシステムの提供をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は次の手段によって上述の課題を達成したものである。まずシート裁断装置に係わる請求項1の発明は、順次供給される単一若しくは束状のシートを裁断する裁断ステージと、上記裁断ステージに配置され上記シートの所定箇所を裁断する裁断手段と、上記裁断手段を駆動する駆動手段及びその制御手段と、上記裁断ステージからシートを搬出するシート搬出手段と、を備える。そして上記裁断ステージにはシートが存在するか否かを検知するシート検知手段を設け、上記制御手段は、電源投入などの装置起動時に上記シート検知手段がシートを検知した場合、上記駆動装置を駆動して上記裁断手段による裁断動作を実行するように構成する。これによって装置電源が停電若しくは不用意に遮断されたとき、或いは裁断ステージの上流側で不具合が生じ、その処置のために電源が遮断されたとき、その後の再起動時に裁断ステージにシートが存在するときは継続する裁断処理を実行して正常な処理を施すことが可能となる。従って従来動作不良として裁断中のシートを使用者が取除く際に裁断刃に触れる危険も、また除去したシート束を廃棄する必要もない。
【0010】
また請求項4の発明は、順次供給される単一若しくは束状のシートを裁断する裁断ステージと、上記裁断ステージに配置され上記シートを裁断する裁断手段と、上記裁断手段を駆動して裁断動作を実行する駆動手段と、上記駆動手段を制御する制御手段と、上記裁断ステージからシートを搬出するシート搬出手段と、上記裁断ステージのシート及び裁断手段の動作状態を検知する状態検知手段と、上記状態検知手段の検知状態を記憶する記憶手段とを備える。そして上記制御手段は、電源投入などの装置起動時に上記状態検知手段の検知状態と、上記記憶手段に記憶された動作状態とに基づいて、裁断処理を実行するか、裁断処理を実行しないかを判断する判断手段を設ける。これによって装置の電源遮断時と再起動時の裁断手段の状態とを比較して正確な裁断動作の継続が可能となる。
【0011】
更に、製本装置に係わる請求項7の発明は、順次供給されるシートを束状に積み重ねるシート集積手段と、上記シート集積手段からのシート束の端縁を接合するシート綴じ手段と、上記シート綴じ手段からのシート束の所定個所を裁断するシート裁断装置と、上記シート裁断装置からのシート束を収納するスタック手段とを備えた製本装置であって、上記シート裁断装置は、前記請求項1乃至6に記載の構成を備えるようにする。これによって、製本装置の構成で前記各請求項の特徴を備えることとなる。
【0012】
また、プリンティングシステムに係わる請求項9の発明は、順次シート上に画像を形成する印刷手段を有する画像形成装置と、上記画像形成装置から排出されたシートを束状に積載するシート集積手段及びこのシート集積手段からのシート束の端縁を接着するシート綴じ手段と、上記シート綴じ手段からのシート束の所定個所を裁断する裁断手段とを有する製本装置とを備える。そして上記製本装置は前記請求項7又は8に記載の構成を備えるようにする。これによって画像の形成から、製本、裁断までを一連の連続した処理として実行することが出来、オンデマンドプリンティングに適したシステムの提供が可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、裁断手段を備えた裁断ステージにシートが存在するか否かを検知するシート検知手段を設け、電源投入などの装置起動時に上記シート検知手段がシートを検知した場合、裁断手段を駆動して裁断動作を実行するようにしたものであるから、装置電源が裁断途中で断たれた場合などに装置を再起動する場合に裁断ステージにシートが存在する場合には所定の裁断動作を実行して正常に裁断処理したシートを搬出することが出来、従来かかる装置の中断時に装置内に残留するシートを除去していたのに比べ、使用者が裁断刃に触れる危険がなく、また装置の稼働効率も向上するなどの効果を奏する。
【0014】
更に、裁断手段を装置停止前の状態を記憶し、装置再起動時の裁断手段の状態と比較して後続する裁断動作を実行するように構成することによって電源投入時において裁断部などの装置内にシートがある場合に、これを自動的に排出処理することも可能であり、中断した処理を継続して実行することも可能であるので、このような電源投入時に装置内に処理中のシートが有る場合に、使用者がこれを除去することなく適切に処理して排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて詳述する。図1(a)、図1(b)は本発明に係わるシート裁断装置を組み込んだプリンティングシステムの全体構成図であり、同図(a)は製本装置の詳細を、同図(b)は画像形成装置の詳細を示す。また図2はシート裁断ユニットの要部説明図であり、図3は図2の装置の平面説明図である。
【0016】
「プリンティングシステムの構成」
図1(a)、(b)に示すプリンティングシステムは、画像形成装置(図示のものは複写機)Aと、この画像形成装置の排紙口に連接された製本装置(製本部)Bと、この製本装置Bのシート搬送下流側に配置された後処理装置(後処理部)Cとから構成され、製本装置Bには本発明に係わるシート裁断ユニットが組込まれている。図示の画像形成装置A及び製本装置B、後処理装置Cはそれぞれ単独で使用できる装置として構成され、製本装置Bは画像形成装置の排紙口からのシートを受取って一連の文書を束状に集積し、その一側縁に糊付けして表紙シートと綴じ合わせて冊子状に形成し、次いでこの冊子状のシートの糊付けしない周側縁を所定量裁断して収納スタッカに集積する。
【0017】
また後処理装置Cは製本装置に付設され、製本処理しないシートを受取ってステプル綴じ、パンチ(穿孔処理)、スタンプ(捺印処理)などの後処理を施すように構成されている。また図示の後処理装置は画像形成装置で画像形成したシートを収納する排紙スタッカの機能を備えている。以下これらの各装置について説明する。
【0018】
「画像形成装置の構成」
図1(b)に示すように、画像形成装置としての複写機Aは装置本体2内に設けられた画像形成部3と、この装置本体2の上部に配置された画像読取装置(スキャナユニット)7と、原稿供給装置(ADFユニット)5とから構成されている。装置本体2には画像形成部3が設けられており、この画像形成部3によって普通紙やOHPシート等のシートに画像が形成される。図示の画像形成部3は、静電印刷方式が用いられ感光体ドラム8と、このドラム8に静電潜像を形成する光照射手段13とが設けられている。OPC、セレンなどの感光体ドラム8の周囲には光照射手段13と現像機と転写チャージャが配置されている。そして後述する画像読取装置7から送られた画像データはデータ貯蔵部14に蓄えられ、このデータ貯蔵部14から順次データを受け取ってレーザ発光素子などの光照射手段13は感光体ドラム8の表面に潜像を形成し、この潜像に現像機でトナーを付着する。
【0019】
一方、装置本体2には給紙部9にそれぞれサイズの異なる複数のカセットが配置され、このカセットから選択された所定のシートが搬送ローラ10で感光体ドラム8に導かれる。そしてこのシートには図示しないチャージャでドラム8上のトナーが転写され、定着器6で加熱定着される。このように画像形成されたシートは排紙経路19から排紙口に搬出される。同時に排紙経路19にはシートの表裏を反転するスイッチバック経路17が設けられ、シートの表裏に画像形成する両面印刷モードのときにはシートは定着器6からスイッチバック経路17に送られ循環経路18から表裏反転した状態で再び感光体ドラム8の入口に送られる。そして片面に印刷を施されたシートは、その裏面に印刷を施され定着器6を経て排紙経路19に導かれる。尚図示12はシートの手差し供給口であり、例えば表紙シートなどの厚紙、コーティングシートなどの特殊シートを供給する。
【0020】
このように構成された本体装置2にはその上部に画像読取装置(スキャナユニット)7が配置されている。この画像読取装置7は本体装置に内蔵しても、或いは図示のように別体のユニットで構成しても良いが原稿を載置するプラテンと、このプラテン上の原稿をスキャンするキャリッジと、このキャリッジでスキャンした画像を光電変換する受光素子と、この受光素子からの画像データをデジタル化して上記データ貯蔵部14に転送する出力部とから構成されている。更に図示の画像読取装置7には上記プラテンに原稿を自動的に給送する原稿供給装置(ADFユニット)5が付設してある。この原稿供給装置5は原稿をセットする給紙トレイと、このトレイ上の原稿を1枚ずつ分離して給装する分離給送手段と、この分離給送手段からの原稿をプラテン上に搬送する搬送ガイドと、プラテンで画像を読み取った後の原稿を収納する排紙スタッカとから構成されている。なお、このような画像形成装置は広く用いられ、種々の構造のものが知られているが、図示の複写機、特にレーザヘッドを用いた静電印刷方法に限らず、これはスクリーン印刷、インクジェット印刷などの方式が採用可能であることは勿論である。またこの画像形成装置は複写機、プリンタ、ファクシミリなどの機能を備えた装置として構成されることも勿論である。
【0021】
「製本装置の構成」
製本装置Bは図1(a)に詳細を示すように、シートSを束状に積載収納する集積部42と、接着剤塗布部22と、裁断部23とを備えており、画像形成装置Aの排紙口19に連なるシート搬入経路T1から画像形成されたシートを受け入れ、集積部42で一連のシートを束状に集積して整合した後、接着剤塗布部22でこの束状シートの一側縁に糊付け処理を施し、表紙シートと一体に綴じ合わせ、その後裁断部23でこの冊子状シート束の周縁をカットする一連の製本処理を施す構成になっている。図示の装置は、集積部で略々水平姿勢でシートを束状に集積し、この姿勢でシートを束状に整合し、このシート束を旋回して略々鉛直姿勢でその端縁に糊付け処理を施し、その後表紙シートと綴じ合わせた後、この鉛直姿勢でシート周縁を裁断して揃えることを特徴としている。
【0022】
また、上記シート搬入経路T1には画像形成装置からのシートを上記集積部に導く第2の搬送路T2と画像形成装置Aからのシートを後処理装置Cに導く第3の搬送路T3が図示のように2股状に分岐して連接してあり、各経路には搬送ローラ29が配置してある。尚、図1(a)に示す製本装置は表紙シートを画像形成装置から供給する構成を示しているが、図6に示す製本装置はシート搬入経路T1に表紙シートを供給するインサート装置(後述する)を備え、このインサート装置100から表紙シートを供給することも可能である。上記第1の搬送路T1には搬入ローラ対25が設けてあり、この搬入ローラ対25の下流側には、第2の搬送路T2と第3の搬送路T3との分岐部に、搬送路を切り替えるための切替フラッパ(切換手段)27が設けられている。この切替フラッパ(切換手段)27によって、画像形成装置からのシートを搬入経路T1から搬送路T3を経て直接後処理装置Cの排紙トレイ35に搬出する通常の排出モードと、画像形成装置からのシートを搬入経路T1から搬送路T2に送り接着剤塗布部22で糊付け処理した後、製本綴じする製本モード(非裁断モード)と、この製本後の冊子状シートの縁部を裁断するトリミング製本モード(裁断モード)とがそれぞれ選択して実行可能に構成されている。つまり図示の製本装置は、前記裁断ステージでシート束の所定個所を裁断して前記スタック手段に収納する裁断モードと、前記裁断ステージでシート束を裁断することなく前記スタック手段に収納する非裁断モードとを備えることとなる。これによって、シート束の裁断と非裁断とを選択的に行うことが出来る。
【0023】
以下各構成について説明する。まず製本装置は、前記第2の搬送路T2の下流に、集積部42が設けられている。この集積部42は、シートSを受ける積載トレイ42aで構成され、搬送路T2から順次送られるシートをこの積載トレイ42aに集積して一連のシート束を形成する。この一連のシートは画像形成装置からページ順に順次送られるシートをトレイ上に積み重ねる。この場合積載トレイ42aは、図示しない上下昇降機構によってシートSの積載方向(図1(a)上下のシート束の厚さ方向)に上下動自在に構成され、シート束の厚さに応じてトレイが降下するようになっている。また、積載トレイ42aは載置されたシートを基準位置に整合するように傾斜配置してあり、図示のものは排紙方向下流側(シートの後端)を積載トレイ42aに設けたシート端突当て規制部材(図示せず)に突当て整合する。
【0024】
また積載トレイ42aのシート排紙口には最上シートを押圧して上記の規制部材に案内するウエイト部材52が、回転軸52aを中心に回動自在に設けられている。このウエイト部材は搬送路T2からシートが搬出されるときにはトレイから上方に退避、シートがトレイ上に搬入した後、シートを押圧して規制部材に案内する。またこのシート排紙口には正逆転可能なスイッチバックローラが配置され、排紙口からのシートをトレイに沿って搬出し、トレイ上に搬出した後は逆方向に回転してシートを規制部材に向けて搬送する。更に積載トレイ42aにはシートの幅方向を整合する整合手段が配置され、トレイ上に搬出されたシートを搬出方向と直交方向に整合する。この整合手段は図示しないがシートをセンタ基準で幅寄せ整合する場合とシートの一側縁を基準にサイド基準で幅寄せ整合する機構がそれぞれ知られ、本発明はそのいずれも採用可能である。
【0025】
このような構成の積載トレイ42aは、その上に一連のシートが積載されると、図1(a)に矢印a、bで示すように、シートを積載する位置から矢印a方向の第1の位置P1にトレイごと移動する。次いでシート束はこのP1位置から直交する矢印b方向に移動され第2の位置P2に繰り出される。このシートの移動機構は図示しないが例えば載置トレイをラックピニオンなどのシフト機構で矢印a方向に移動し、載置トレイ上のシート束はグリップ搬送機構で矢印b方向に移動するように構成する。
【0026】
そして上記第2の位置P2には、積載トレイ42aから搬出されたシート束S1の端部を保持するグリッパ55a、55bが設けられている。この一対のグリッパ55a、55bはシート束を把持する保持位置とシート束から離反した解除位置との間で相対的に移動可能に構成されている。そしてグリッパ55a、55bはシート束S1を把持して保持した状態で図1(a)に矢印cで示すように90度旋回してシート束を略々鉛直姿勢に偏向する。この鉛直姿勢で保持されたシート束の下方には接着剤塗布部22が設けてある。上記グリッパ55a、55bはシート束S1を鉛直姿勢に偏向するのと同時に下方に配置された接着剤塗布部22にシート束を搬送する。このグリッパ55a、55bは、第2の位置P2でシート束S1を保持する保持位置と、シート束を後述する裁断装置23に受渡す受渡位置との間で往復動するようになっている。
【0027】
次に接着剤塗布部22は、接着剤(例えば、糊)を収納する糊容器66aと、この糊容器に収納された接着剤をシート束S1の端縁に塗布する塗布ローラ66bとから構成された接着ユニット66を備えている。接着ユニット66はグリッパ55a、55bに保持され略鉛直姿勢のシート束の下端縁に糊などの接着剤を塗布する。このため図示の糊容器66aは図1(a)において紙面表裏方向に移動自在にガイドレール(図示せず)に移動可能に支持され、シート束の下端縁に沿って移動して糊付けする塗布領域と、この塗布領域外で塗布処理に備える待機位置と接着剤の補充を受ける補充位置との間で移動自在に構成されている。つまりこの接着ユニットはシートの幅サイズより長い経路でガイドレールに沿って移動自在に支持されている。
【0028】
また、上記糊容器66aには耐熱ゴムなどの糊を含浸する塗布ローラ66bが設けられ、この塗布ローラは図示しない駆動モータで回転するようになっている。そして糊容器がシート束の端面に沿って移動する際にこの塗布ローラがシート束の端面と少許のギャップを形成して回転し、シート束の端面に糊付け処理を施す。尚、この場合塗布ローラ66bとシート束の端面とのギャップを束の厚さに応じて変更することによって糊付け量を調整することができる。
【0029】
次に、上記構成のグリッパ55a、55bによって送られてくるシート束S1の端縁に対して、接着剤塗布部22により接着剤を塗布する動作について説明すると、前述したようにグリッパ55a、55bにより挟持されて下降されてくるシート束S1は、接着ユニット66の移動経路における塗布領域上の所定の位置に略鉛直状態で位置決めされる。そこで待機位置で待機していた接着ユニット66がシート下端縁に沿って移動し、塗布ローラ66bは回転しながらシート束の端縁に糊付け処理を施す。そして接着ユニット66がシートの端縁に達すると、塗布ローラ68bは逆回転され、接着ユニット66が折り返し位置から起点位置に向けて移動する。そして、接着ユニット66が再度起点位置に達した段階で、塗布ローラ68bは停止し接着ユニット66も待機位置で停止する。
【0030】
この接着ユニット66が待機位置に位置づけられるとシート束S1の搬送経路が確保され、糊付け処理されたシート束S1はグリッパ55a、55bにより表紙接着部60へと送られる。表紙接着部(表紙シート綴じ部)60は搬送路T3と、前記グリッパ55a、55bに保持され搬送されるシート束の搬送路との交差部に設けられ、搬送路T3には後述する方法で表紙シートが搬送され、シート中央が交差部に位置するように準備されている。そこで表紙シートとシート束とは逆T字状に表紙シートの中央(シートセンタ)にシート束が一致するように合わせられて接合される。尚この接合の際、搬送路T3にはバックアッププレート59が準備されている。
【0031】
尚、前述の表紙シートの給送について説明すると、表紙シートは画像形成装置からタイトルなどを印刷されて供給される場合と、図6に示すインサータ装置100から供給する場合がある。図6のインサータ装置100は複写機Aと製本装置Bとの間に配置され、搬送路T1にスタッカにセットされた表紙シートを1枚ずつ分離って供給する給紙機構が設けられている。なお、同図において複写機及び製本装置の構造は図1(a),(b)のものと同一であり、同一符号を付して説明を省略する。このように表紙シートを画像形成装置とは別のインサート装置から供給することによって厚紙、薄紙、特殊コーティングシートなど多様な表紙シートを供給することが出来、好適な装丁が可能となる。
【0032】
そして表紙シートが装置本体2側またはインサータ装置100から表紙接着部60に送られる場合、表紙は、第1の搬送路T1から切替フラッパ27を介して第3の搬送路T3に搬送され、シート束S1の略鉛直な搬送経路を横切る表紙接着部60の所定位置に位置決めされる。そして、この位置決めされた表紙に対し、接着剤が塗布されたシート束S1の端縁がグリッパ55a、55bによって上側から鉛直方向で押し付けられる。また、この状態で、シート束S1は、接着剤によりその端縁に表紙が付着されたまま、グリッパ55a、55bによって更に鉛直下方へと移動され、表紙接着部60の下側に位置するスライド自在なバックアッププレート59に押し付けられる。その後、表紙およびシート束S1は、バックアッププレート59に突当てられた状態で、スライド自在な背折り板によって両側からプレスされる。これにより、表紙には、シート束S1の厚さに応じた折り目が形成される。
【0033】
次に、バックアッププレート59が外側にスライド移動して、シート束S1の搬送経路が形成された後、グリッパ55a、55bは、表紙が接着されたシート束S1を挟持したまま下方の裁断部23へと引き渡す。この裁断部には折りロールとして一対の搬入ローラ113が設けられグリッパ55a、55bから搬送されたシート束(以下冊子状シートという)を引き継いで下流側のシート裁断ユニットに送る。このときローラ113は表紙シートにシート束を挟んだ状態で折り畳む。
【0034】
「シート裁断装置」
次に、図2乃至図5に基づいて裁断部23について説明する。裁断部23は、裁断ステージ120と、裁断手段(後述の裁断縁プレス手段120b、120cとカッタ手段120a)と、この各裁断手段を駆動する駆動手段と、シート搬出手段123とから以下の構造で構成されている。前述の表紙シートとシート束を折り畳みながらこれを搬出する入口搬入ローラ113の下流には冊子状シートを鉛直姿勢に案内する搬送ガイド119が設けられている。この搬送ガイド119で構成する搬送経路には、回転テーブル121と、この回転テーブルに冊子状シートを押圧するグリッパ122とが以下の構造で配置されている。この回転テーブルとグリッパ122とで裁断ステージ120が構成され、冊子状シートは略鉛直姿勢で裁断可能な状態に支持される。
【0035】
まず上記回転テーブル121とグリッパ122とは搬送ガイド119を挟んで対向する位置に配置され、この回転テーブル121とグリッパ122とは上下昇降自在なユニットフレーム122cに取付けられている。グリッパ122にはグリッパ駆動モータを備えたグリッパ移動機構122a(図3)が設けられ、回転テーブル121に接近および離反自在に構成され冊子状シートを把持するようになっている。また回転テーブル121は図3の冊子状シートを把持した状態で回転する回転モータを備え、グリッパ122も追随して回転するようにユニットフレームに回動自在に取付けられている。従って入口搬入ローラ113から搬送ガイド119に送られた冊子状シートは回転テーブル121とグリッパ122とで把持され、回転テーブル121の回転で図2の鉛直姿勢で旋回することとなる。また、このユニットフレーム122cは昇降機構121bで図2上下方向に冊子状シートを把持した状態で移動ように構成されている。かかる構成において回転テーブル121には冊子状シートが存在するか否かを検知するシート検知センサSsが設けられている。尚このシート検知センサSsはグリッパ122に配置しても良く、回転テーブル121とグリッパ122との一方に発光素子、他方に受光素子を配置して冊子状シートを貫通するセンサで構成しても良い。
【0036】
また、グリッパ122にはグリッパ移動機構122aが冊子状シートを把持する押圧動作の完了を検知するグリップエンドセンサSgが設けられている。このグリップエンドセンサはグリッパ122がシートから退避した待機位置とシートを把持する作動位置との間で移動する状態を検知するように構成され、図示のものはグリッパ122が冊子状シートを把持する所定位置に移動した位置を検知し動作の完了状態を検知している。
【0037】
上記裁断ステージ120の下流側には冊子状シートを裁断するカッタ手段120aと、シートの裁断縁近傍を押圧する裁断縁プレス手段120b、120cが設けられている。図5に示すようにシートの裁断刃と対向する位置に固定押え部材120cが前記搬送ガイド119内に設けてあり、この部材と対向して可動押え部材120bが設けてあり、押え板移動機構によって破線位置から実線位置に移動する。この図示の実線位置で可動押え部材120bは冊子状シートを固定押え板120cに押圧してシートの裁断縁近傍を保持するがこの作動位置にプレスエンドセンサSpが配置され押圧動作の完了を検知する。図示F2はセンサSpを作動するフラッグで可動押え板に取付けてある。同様に裁断刃120aが図示破線位置のホームポジションから実線状態の作動位置(シートの裁断が完了する位置)との間で往復動自在に配置されている。この裁断刃は図示N1、N2、2個所に配置したセンサで位置検出される。ポジションセンサN2は裁断刃のホームポジションをそのフラグF2で検知し、ポジションセンサN1は作動位置を検知する。そして裁断刃120aはホームポジションから待機位置を経て作動位置に駆動機構で移動する。
【0038】
次に裁断刃による冊子状シートの裁断方法を図4(a)乃至(c)に基づいて説明すると、図示装置の特徴は前述の回転テーブルとグリッパで冊子状シートを鉛直姿勢で保持し、回転テーブルの回転制御で冊子シートを旋回させながらその周縁3個所を順次裁断することを特徴としている。その方法は表紙が接着された端縁としての背面S1aを下に向けた状態から、この背面S1aを除く他の端縁である天部S1b、小口部S1c、地部S1dを回転テーブル121とグリッパ122で断裁位置に旋回して固定し、この裁断位置で順次裁断刃で断裁する。図4(a)は、天部S1bが断裁刃120aで断裁される位置、同(b)は、地部S1dが断裁刃120aで断裁される位置、同(c)は、小口部S1cが断裁刃120aで断裁される位置に回転テーブル121とグリッパ122でシート束S1を回転および移動させた状態を示している。いずれの端縁S1b、S1Cs1dを裁断する場合にも、回転テーブル121とグリッパ122とによって挟持されている冊子状シートS1は断裁位置で前記裁断縁プレス手段で固定され、その状態で裁断刃がシートを裁断する。
【0039】
以上説明した装置の制御の構成について説明する。図7は画像形成装置、製本装置の制御構成を示すブロック図である。画像形成装置は画像形成部を制御CPU201でコントロールする通常の機能及び構成を備えている。この制御CPU201にはコントロールパネルが設けられ、排紙モードと製本モードと製本裁断モードの設定が行われる。製本装置に設けられた制御CPU202は、インサータ装置の各動作を制御するインサータユニット制御部203と糊綴じ製本ユニット制御部204と裁断ユニット制御部205と排紙スタッカユニット制御部206とから構成されている。
【0040】
以下、本発明に係わる裁断ユニット制御部205について詳述するが、各モードについて概略を説明する。排紙モードが設定されたときは、制御CPU202は切替フラッパ27を動作させて画像形成装置の排紙口から搬出されたシートを搬送路T1、T3を経て後処理装置の排紙スタッカ35に搬出する。このときシートは製本処理が施されず後処理装置によって後処理が施される。次に製本モードが選択されたときは制御CPU202は、切替フラッパ27でシートを搬送路T1からT2に導き、集積トレイにシートを積載する。その後グリッパ55a、bでシート束を鉛直姿勢に偏向し、その端縁に糊付け処理し、表紙接着部60で表紙シートと綴じ合わせ、搬入ローラ113で裁断ステージ120を通過して排紙ローラ123で排紙スタッカに搬出する。次に製本裁断モードが選択されたときの裁断ユニット制御部205について以下説明する。
【0041】
制御CPU202は、シート搬入ローラ113の駆動部206aと、グリッパ122の移動機構部の駆動モータ206bと、裁断縁プレス手段の可動押え板の移動機構の駆動モータ206cと、裁断刃移動機構の駆動モータ206dと、シート排紙ローラ123の駆動モータ206eに制御信号を伝達する。この制御信号は各駆動モータのドライバに起動および停止の支持信号を発する他、その回転量(移動量)を制御する制御信号を発する。また、制御CPU202には裁断ステージのシートセンサSsの検知信号207a、グリッパ122のグリップエンドセンサSgの検知信号207b、可動押え板120b(裁断縁プレス手段)のプレスエンドセンサSpの検知信号207c、および裁断刃120aのポジションセンサN1、N2の検知信号を受信するように構成されている。また制御CPU202には裁断動作の実行プログラム208と、記憶装置209が接続され、内部で判断手段210を構成するようになっている。
【0042】
この実行プログラム208と記憶装置209と判断手段210の内容を図9の動作フローに従って説明する。本発明は、上述の裁断ステージでシートを裁断刃で裁断する過程で何らかの理由で装置電源が遮断されたとき、その後の装置起動時に裁断動作を継続するように制御することを特徴としている。まず、裁断ユニットの通常の動作フロー図9に基づいて説明する。前記入口搬入ローラ113から冊子状シートS1が搬入される。この冊子状シートの搬入でシート検知センサSsはONする。搬入ローラ113はシートサイズに応じて予め設定された送り量で冊子シートを搬送ガイド119内に搬入して停止する。(S101)この搬入ローラの搬送完了信号を受けてグリッパ122は退避位置(開位置)から作動位置(把持位置)に移動して回転テーブル121との間に冊子シートをニップして支持する。このグリッパの動作をグリップエンドセンサSgが検知し、その信号でグリッバ移動機構を停止する(S102)。このセンサからグリップ動作が完了した信号を受けて回転テーブル121は冊子シートを所定回転旋回して姿勢を偏向し、同時に裁断位置にユニットフレームCを昇降機構121bで移動し冊子シートの下端を裁断位置に移動する。
【0043】
この裁断装置への移動は例えば裁断位置近傍に配置したセンサでシート端を検知し、シートのサイズ情報から予め設定された縁取りカット量に相当する送り量でシートを送るようにする(S103)。上記冊子シートの回転移動と平行して制御CPU202は裁断刃120aをホームポジションから所定の待機位置に移動する(S104)。このとき可動押え板120bも待機位置からシート押え方向に移動する。そして上記センサの信号から所定時間後に冊子シートが裁断位置に位置付けられた見込み時間で、まず可動押え板120bが移動して固定押え板120cに冊子シートを押圧する(S105)。このプレス動作の完了をプレスエンドセンサSpが検知し、その信号で裁断刃120aは裁断動作を開始する(S106)。
【0044】
裁断刃120で裁断動作が完了するとポジションセンサN1がこれを検知し、その信号で裁断刃移動機構を逆転し裁断刃を待機位置に復帰する。そこで制御CPU202は複数の裁断プロセス、図示の場合は3回裁断が完了した否か判断し(S107)、未完成の場合は前記ステップS102に戻る。全ての裁断が終了した場合は排紙ローラ123を駆動して冊子シートを排紙スタッカ34に収納する。つまり前記判断手段は電源投入などの装置起動時に、前記状態検知手段で検知した動作状態と、前記記憶手段に記憶された動作状態とが一致するか否かを比較し、実質的に一致する場合には前記裁断手段の後続する裁断処理を実行するように構成されることとなる。これによって装置電源遮断時に裁断手段の状態が変化したときには装置再起動時に裁断動作を実行しないように構成することが出来、不測な裁断動作の実行を防止することができる。
【0045】
前記制御CPU202には記憶装置209と判断手段210が設けられているが、まず記憶手段209には前記センサ(シート検知センサ、グリップエンドセンサ、プレスエンドセンサ、裁断刃ポジションセンサ)の状態信号が記憶される。つまり前記裁断ステージにシートの有無を検知するセンサSsと上記グリップ手段の動作状態を検知するセンサSgと、上記プレス手段の動作状態を検知するセンサSpと、上記裁断刃ポジションセンサN1、N2の状態を記憶装置209に記憶することによって状態検知手段が構成され、これによって、シートの裁断状態をより正確に判断することが可能である。
【0046】
次に、上記の記憶された状態信号に基づいて装置起動時に裁断動作を続行するか否かを判断手段210で判断する構成について説明する。この判断のため本発明は前記回転テーブル121及びグリッパ122の動作状態と、裁断縁プレス手段(可動押え板120b)の動作と、裁断刃120aの動作を裁断処理状態変数Csとして扱い、この変数Csを図8(a)のテーブルで設定する。同テーブルでCsはシート束を裁断するとき(裁断刃が裁断方向図5(b)矢印方向に動作中)のみ「1」となりそれ以外の動作中は「0」として設定してあり、この変数は記憶装置209に記憶し、このCsは値が変わる毎に書き換え記憶し、電源がOFFされても保持する。
【0047】
このような条件設定のもとで前記判断手段210は図8(b)に示す判断を実行するように構成され、判断手段210は、シート検知センサSsがONのとき(裁断ステージにシートが存在するとき)電源投入時のセンサ状態(Ss、Sg、Sp)と、記憶装置209に記憶してある(異常停止前の)裁断処理状態変数Csとを照合し、同テーブルの各実行処理を判断する。この場合、異常停止前の各センサ(Ss、Sg、Sp)の状態は図8(a)のテーブルの設定条件から例えばCs=「1」のときはSg=ON、Sp=ONとして比較する。
【0048】
上記判断手段210に基づく動作を図10のフローチャートに基づいて説明する。
前述のように装置の稼働過程でCs値は記憶装置209に記憶される(S110)。そこで装置電源が何らかの理由で遮断され、再度装置を起動する電源投入時(S111)にシート検知センサSsがOFFの場合は正常な状態であるとしてリカバリ処理を終了する(S112)。一方センサSsがONの場合(S113)は、処理中のシートが装置内にあるとして、リカバリ処理を実行する。そこで判断手段210がCs値と、電源投入時(S111)の各センサ(Sg、Sp、N1、N2)の状態とを照合する(S114)。その結果が一致(YES)する場合はCs値が「1」のときには裁断動作を実行する(S115)。Cs値が「0」の場合は排出動作を実行する(S116)。この排出動作は排紙ローラ123を駆動して排紙スタッカに冊子状シートを搬出する。
【0049】
前記照合結果がNG(不一致)の場合は電源遮断時に各裁断手段の動作状態が変化した可能性があると判断し、ジャム信号を発する(S117)。その後のジャム処理は製本装置のジャム処理工程に従う。このようにして、記憶装置に記憶された電源を切る前に実行していた処理状態と、電源投入時に検知したセンサ状態を、あらかじめ作成した照合表に基づいて照合し、それぞれの状態に対応した処理を実施する。
【0050】
尚、前記判断手段210が裁断動作を実行するステップS115において、裁断動作が複数のプロセスで実行される場合、前記図4(a)乃至(c)で説明したように糊綴じ処理したシート束の背部S1aを除く他の3辺である天部S1bを裁断し(図4(a))、次いで地部S1dを裁断し(図4(b))、最後に小口部S1cを裁断する(図4(c))複数のプロセスで裁断を実行するときには前記記憶手段209に実行され処理されたプロセス状態を記憶する。そしてリカバリ動作時は、この前記記憶手段209に記憶された情報に基づいて残る裁断動作を継続実行するように構成することも可能である。この場合は図9で説明したステップ(S107)の判断で予め設定された裁断処理を完了したか否かの判断の際、実行された若しくは未処理の裁断回数(ステップ状態)を記憶手段209に記憶する。このように前記裁断手段は、前記シートの複数個所を裁断する複数の処理プロセスをする場合は、前記制御手段は、上記複数の処理プロセスの実行状態を監視する動作状態監視手段をCPU内部に備え、この動作状態監視手段で裁断手段の実行状態を記憶手段209に記憶することとなる。そして制御手段は、装置の電源投入などの装置起動時に前記シート検知手段がシートを検知した場合、上記記憶手段に記憶された実行状態又は動作状態に応じて前記裁断手段の後続する処理プロセスを実行するように前記駆動手段を制御する。これによって、裁断手段が複数のプロセス、例えばシートの複数個所を順次裁断する場合にも装置電源が遮断される前の動作状態に引き続いて、装置の電源投入時に継続する動作を実行しシートを正常に裁断処理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1(a)】本発明の一実施形態に係る画像形成処理システムの概略構成図を示し、製本装置の詳細図を示す。
【図1(b)】本発明の一実施形態に係る画像形成処理システムの概略構成図を示し、画像形成装置の詳細図を示す。
【図2】図1の画像形成処理システムを構成する製本装置の裁断部の概略構成図である。
【図3】図2の裁断部の平面時である。
【図4】裁断刃による裁断手順を段階的に示す斜視図である。
【図5】(a)は裁断前の裁断刃のホームポジション位置の状態、(b)は裁断時の裁断刃の状態をそれぞれ示す。
【図6】複写機と製本装置との間にインサータを介在させた画像形成処理システムの変形例を示す。
【図7】図1のシステムの制御装置の説明図。
【図8】(a)装置稼働時における裁断状態の変数値の説明図、(b)判断手段の構成の説明図。
【図9】裁断動作の手順を示すフローチャート。
【図10】裁断ユニットの起動時の動作フローチャート。
【符号の説明】
【0052】
27 切替フラッパ
42 集積部
60 表紙接着部
100 インサータ
200 CPU(判断手段)
202 記憶装置(記憶手段)
300 制御基板
A 複写機(画像形成部;シート供給部)
B 製本装置(製本部)
C 後処理装置(後処理部)
S1 シート束
T1 第1の搬送路
T2 第2の搬送路
T3 第3の搬送路
Ss グリップ紙検知センサ(状態検知手段1)
Sg グリップエンドセンサ(状態検知手段2)
Sp プレスエンドセンサ(状態検知手段3)
F2 プレス位置フラグ
N1、N2 裁断刃ポジションセンサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、裁断テーブルなどのステージにセットされた単シート或いは束状のシートを裁断するシート裁断装置に係わり、所定のテーブルにオペレータがセットしたシート(束)の所定位置を裁断処理するシート裁断装置或いは画像形成装置などから搬出された印刷シートを束状に整合してその背部に接着糊などで綴じ処理した後そのシート束の余白耳部をカットする製本装置或いは画像形成から表紙装丁と縁部のトリミングカットまでを自動的に処理するプリンティングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、コンピュータ、ワードプロセッサなどで作成した画像をプリンタ装置で印刷し、この印刷後の一連のシートを束状に整合してステップル綴じ、糊綴じなどを施す後処理装置は広く用いられている。また最近、各種業務用の冊子などを必要の都度出力するプリンティングシステムがオンデマンド印刷として活用されるに至っている。このようなシステムではプリンタから順次搬出される一連の文書の一端縁(背部)を糊付けし、この糊付け面を表紙シートの中央に合わせて折畳んで表裏の表紙面を自動装丁する製本装置が必要とされ、この場合に綴合わせた背部を除く周縁部を所定量裁断して冊子状にシート端縁を揃える裁断装置が提案されている。
【0003】
従来、この種の裁断装置は、例えば特許文献1に開示されているように、画像形成装置の後処理装置として製本装置に裁断ユニットとして組込まれている。そして、シート後処理装置は、画像形成装置の装置本体から排出されるシートを束状に整合し、これに画像形成装置或いはインサート装置から供給された表紙シートを合わせて糊付け製本する方法と、表紙シートの中央に束状シートを糊付けして折り込む中折製本する方法が採られている。いずれの製本方法であっても冊子状に形成したシートの周縁を裁断してその端面を揃える必要がある。尚、この場合のシート裁断装置は、シート束のみならず、シート1枚を裁断する場合もあり、また画像形成装置としては、シートに画像を形成する印刷機、複写機、プリンタ、ファクシミリ、及びこれらの複合機等が知られている。
【特許文献1】特開2004−114196号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のシート裁断装置は、単機能装置としてオペレータが単一シート或いはシート束をセットして裁断する装置構成であっても、製本装置に組込まれて糊付け装丁後の冊子状シートを裁断する装置構成であっても、或いは画像形成装置を含むプリンティングシステムに組み込まれる場合であっても、シートの裁断中に電源がOFFされた場合、オペレータが裁断部にあるシートを取り出さなければ装置を再起動することが出来なかった。
【0005】
このようなシート裁断中に装置電源が断たれることは、停電や不用意に電源スイッチが操作された場合、或いは装置の上流側で、例えばシートを束状に集積する積載部、或いはシート束に接着糊を塗布する糊付け部などで用紙詰りその他の不具合が発生した際に、その処置のために安全上電源をOFFすることがあり、このような電源の遮断は頻繁に発生することがある。このような動作途上で電源が遮断された場合、裁断部でシートを裁断中には、その動作が停止され裁断途中のシートが装置内に残留することとなるが、従来かかる状態のときにはオペレータが裁断部のシートを取除いて初期状態にした後装置を復帰させることが余儀なくされていた。
【0006】
従って、例えば装置の上流側で不具合が生じた場合など必要以上にオペレータが裁断中のシートを除去する必要が生じ、その除去作業中に裁断刃に触れる危険性が問題となっていた。またカッタブレードなどに挟まった切断途中のシートはその除去が面倒であるという問題もあった。更に、切断途中のシート(束)は、継続して切断処理することができないため、除去後に廃棄する無駄があった。
【0007】
そこで本発明は、シートの裁断過程で電源その他の理由で装置が停止した場合に装置の再起動時に装置内に残留する半裁断状態のシート、或いは裁断工程の完了していないシートをその都度、取除いて廃棄する必要のないシート裁断装置の提供をその課題としている。
【0008】
更に、本発明は装置内に残留する裁断途上のシートをその後の裁断動作をするか、裁断動作を行わないかシートの状態に応じて判断し、適切な動作および処置を実行するシート裁断装置及びこれを用いた製本装置並びにプリンティングシステムの提供をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は次の手段によって上述の課題を達成したものである。まずシート裁断装置に係わる請求項1の発明は、順次供給される単一若しくは束状のシートを裁断する裁断ステージと、上記裁断ステージに配置され上記シートの所定箇所を裁断する裁断手段と、上記裁断手段を駆動する駆動手段及びその制御手段と、上記裁断ステージからシートを搬出するシート搬出手段と、を備える。そして上記裁断ステージにはシートが存在するか否かを検知するシート検知手段を設け、上記制御手段は、電源投入などの装置起動時に上記シート検知手段がシートを検知した場合、上記駆動装置を駆動して上記裁断手段による裁断動作を実行するように構成する。これによって装置電源が停電若しくは不用意に遮断されたとき、或いは裁断ステージの上流側で不具合が生じ、その処置のために電源が遮断されたとき、その後の再起動時に裁断ステージにシートが存在するときは継続する裁断処理を実行して正常な処理を施すことが可能となる。従って従来動作不良として裁断中のシートを使用者が取除く際に裁断刃に触れる危険も、また除去したシート束を廃棄する必要もない。
【0010】
また請求項4の発明は、順次供給される単一若しくは束状のシートを裁断する裁断ステージと、上記裁断ステージに配置され上記シートを裁断する裁断手段と、上記裁断手段を駆動して裁断動作を実行する駆動手段と、上記駆動手段を制御する制御手段と、上記裁断ステージからシートを搬出するシート搬出手段と、上記裁断ステージのシート及び裁断手段の動作状態を検知する状態検知手段と、上記状態検知手段の検知状態を記憶する記憶手段とを備える。そして上記制御手段は、電源投入などの装置起動時に上記状態検知手段の検知状態と、上記記憶手段に記憶された動作状態とに基づいて、裁断処理を実行するか、裁断処理を実行しないかを判断する判断手段を設ける。これによって装置の電源遮断時と再起動時の裁断手段の状態とを比較して正確な裁断動作の継続が可能となる。
【0011】
更に、製本装置に係わる請求項7の発明は、順次供給されるシートを束状に積み重ねるシート集積手段と、上記シート集積手段からのシート束の端縁を接合するシート綴じ手段と、上記シート綴じ手段からのシート束の所定個所を裁断するシート裁断装置と、上記シート裁断装置からのシート束を収納するスタック手段とを備えた製本装置であって、上記シート裁断装置は、前記請求項1乃至6に記載の構成を備えるようにする。これによって、製本装置の構成で前記各請求項の特徴を備えることとなる。
【0012】
また、プリンティングシステムに係わる請求項9の発明は、順次シート上に画像を形成する印刷手段を有する画像形成装置と、上記画像形成装置から排出されたシートを束状に積載するシート集積手段及びこのシート集積手段からのシート束の端縁を接着するシート綴じ手段と、上記シート綴じ手段からのシート束の所定個所を裁断する裁断手段とを有する製本装置とを備える。そして上記製本装置は前記請求項7又は8に記載の構成を備えるようにする。これによって画像の形成から、製本、裁断までを一連の連続した処理として実行することが出来、オンデマンドプリンティングに適したシステムの提供が可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、裁断手段を備えた裁断ステージにシートが存在するか否かを検知するシート検知手段を設け、電源投入などの装置起動時に上記シート検知手段がシートを検知した場合、裁断手段を駆動して裁断動作を実行するようにしたものであるから、装置電源が裁断途中で断たれた場合などに装置を再起動する場合に裁断ステージにシートが存在する場合には所定の裁断動作を実行して正常に裁断処理したシートを搬出することが出来、従来かかる装置の中断時に装置内に残留するシートを除去していたのに比べ、使用者が裁断刃に触れる危険がなく、また装置の稼働効率も向上するなどの効果を奏する。
【0014】
更に、裁断手段を装置停止前の状態を記憶し、装置再起動時の裁断手段の状態と比較して後続する裁断動作を実行するように構成することによって電源投入時において裁断部などの装置内にシートがある場合に、これを自動的に排出処理することも可能であり、中断した処理を継続して実行することも可能であるので、このような電源投入時に装置内に処理中のシートが有る場合に、使用者がこれを除去することなく適切に処理して排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて詳述する。図1(a)、図1(b)は本発明に係わるシート裁断装置を組み込んだプリンティングシステムの全体構成図であり、同図(a)は製本装置の詳細を、同図(b)は画像形成装置の詳細を示す。また図2はシート裁断ユニットの要部説明図であり、図3は図2の装置の平面説明図である。
【0016】
「プリンティングシステムの構成」
図1(a)、(b)に示すプリンティングシステムは、画像形成装置(図示のものは複写機)Aと、この画像形成装置の排紙口に連接された製本装置(製本部)Bと、この製本装置Bのシート搬送下流側に配置された後処理装置(後処理部)Cとから構成され、製本装置Bには本発明に係わるシート裁断ユニットが組込まれている。図示の画像形成装置A及び製本装置B、後処理装置Cはそれぞれ単独で使用できる装置として構成され、製本装置Bは画像形成装置の排紙口からのシートを受取って一連の文書を束状に集積し、その一側縁に糊付けして表紙シートと綴じ合わせて冊子状に形成し、次いでこの冊子状のシートの糊付けしない周側縁を所定量裁断して収納スタッカに集積する。
【0017】
また後処理装置Cは製本装置に付設され、製本処理しないシートを受取ってステプル綴じ、パンチ(穿孔処理)、スタンプ(捺印処理)などの後処理を施すように構成されている。また図示の後処理装置は画像形成装置で画像形成したシートを収納する排紙スタッカの機能を備えている。以下これらの各装置について説明する。
【0018】
「画像形成装置の構成」
図1(b)に示すように、画像形成装置としての複写機Aは装置本体2内に設けられた画像形成部3と、この装置本体2の上部に配置された画像読取装置(スキャナユニット)7と、原稿供給装置(ADFユニット)5とから構成されている。装置本体2には画像形成部3が設けられており、この画像形成部3によって普通紙やOHPシート等のシートに画像が形成される。図示の画像形成部3は、静電印刷方式が用いられ感光体ドラム8と、このドラム8に静電潜像を形成する光照射手段13とが設けられている。OPC、セレンなどの感光体ドラム8の周囲には光照射手段13と現像機と転写チャージャが配置されている。そして後述する画像読取装置7から送られた画像データはデータ貯蔵部14に蓄えられ、このデータ貯蔵部14から順次データを受け取ってレーザ発光素子などの光照射手段13は感光体ドラム8の表面に潜像を形成し、この潜像に現像機でトナーを付着する。
【0019】
一方、装置本体2には給紙部9にそれぞれサイズの異なる複数のカセットが配置され、このカセットから選択された所定のシートが搬送ローラ10で感光体ドラム8に導かれる。そしてこのシートには図示しないチャージャでドラム8上のトナーが転写され、定着器6で加熱定着される。このように画像形成されたシートは排紙経路19から排紙口に搬出される。同時に排紙経路19にはシートの表裏を反転するスイッチバック経路17が設けられ、シートの表裏に画像形成する両面印刷モードのときにはシートは定着器6からスイッチバック経路17に送られ循環経路18から表裏反転した状態で再び感光体ドラム8の入口に送られる。そして片面に印刷を施されたシートは、その裏面に印刷を施され定着器6を経て排紙経路19に導かれる。尚図示12はシートの手差し供給口であり、例えば表紙シートなどの厚紙、コーティングシートなどの特殊シートを供給する。
【0020】
このように構成された本体装置2にはその上部に画像読取装置(スキャナユニット)7が配置されている。この画像読取装置7は本体装置に内蔵しても、或いは図示のように別体のユニットで構成しても良いが原稿を載置するプラテンと、このプラテン上の原稿をスキャンするキャリッジと、このキャリッジでスキャンした画像を光電変換する受光素子と、この受光素子からの画像データをデジタル化して上記データ貯蔵部14に転送する出力部とから構成されている。更に図示の画像読取装置7には上記プラテンに原稿を自動的に給送する原稿供給装置(ADFユニット)5が付設してある。この原稿供給装置5は原稿をセットする給紙トレイと、このトレイ上の原稿を1枚ずつ分離して給装する分離給送手段と、この分離給送手段からの原稿をプラテン上に搬送する搬送ガイドと、プラテンで画像を読み取った後の原稿を収納する排紙スタッカとから構成されている。なお、このような画像形成装置は広く用いられ、種々の構造のものが知られているが、図示の複写機、特にレーザヘッドを用いた静電印刷方法に限らず、これはスクリーン印刷、インクジェット印刷などの方式が採用可能であることは勿論である。またこの画像形成装置は複写機、プリンタ、ファクシミリなどの機能を備えた装置として構成されることも勿論である。
【0021】
「製本装置の構成」
製本装置Bは図1(a)に詳細を示すように、シートSを束状に積載収納する集積部42と、接着剤塗布部22と、裁断部23とを備えており、画像形成装置Aの排紙口19に連なるシート搬入経路T1から画像形成されたシートを受け入れ、集積部42で一連のシートを束状に集積して整合した後、接着剤塗布部22でこの束状シートの一側縁に糊付け処理を施し、表紙シートと一体に綴じ合わせ、その後裁断部23でこの冊子状シート束の周縁をカットする一連の製本処理を施す構成になっている。図示の装置は、集積部で略々水平姿勢でシートを束状に集積し、この姿勢でシートを束状に整合し、このシート束を旋回して略々鉛直姿勢でその端縁に糊付け処理を施し、その後表紙シートと綴じ合わせた後、この鉛直姿勢でシート周縁を裁断して揃えることを特徴としている。
【0022】
また、上記シート搬入経路T1には画像形成装置からのシートを上記集積部に導く第2の搬送路T2と画像形成装置Aからのシートを後処理装置Cに導く第3の搬送路T3が図示のように2股状に分岐して連接してあり、各経路には搬送ローラ29が配置してある。尚、図1(a)に示す製本装置は表紙シートを画像形成装置から供給する構成を示しているが、図6に示す製本装置はシート搬入経路T1に表紙シートを供給するインサート装置(後述する)を備え、このインサート装置100から表紙シートを供給することも可能である。上記第1の搬送路T1には搬入ローラ対25が設けてあり、この搬入ローラ対25の下流側には、第2の搬送路T2と第3の搬送路T3との分岐部に、搬送路を切り替えるための切替フラッパ(切換手段)27が設けられている。この切替フラッパ(切換手段)27によって、画像形成装置からのシートを搬入経路T1から搬送路T3を経て直接後処理装置Cの排紙トレイ35に搬出する通常の排出モードと、画像形成装置からのシートを搬入経路T1から搬送路T2に送り接着剤塗布部22で糊付け処理した後、製本綴じする製本モード(非裁断モード)と、この製本後の冊子状シートの縁部を裁断するトリミング製本モード(裁断モード)とがそれぞれ選択して実行可能に構成されている。つまり図示の製本装置は、前記裁断ステージでシート束の所定個所を裁断して前記スタック手段に収納する裁断モードと、前記裁断ステージでシート束を裁断することなく前記スタック手段に収納する非裁断モードとを備えることとなる。これによって、シート束の裁断と非裁断とを選択的に行うことが出来る。
【0023】
以下各構成について説明する。まず製本装置は、前記第2の搬送路T2の下流に、集積部42が設けられている。この集積部42は、シートSを受ける積載トレイ42aで構成され、搬送路T2から順次送られるシートをこの積載トレイ42aに集積して一連のシート束を形成する。この一連のシートは画像形成装置からページ順に順次送られるシートをトレイ上に積み重ねる。この場合積載トレイ42aは、図示しない上下昇降機構によってシートSの積載方向(図1(a)上下のシート束の厚さ方向)に上下動自在に構成され、シート束の厚さに応じてトレイが降下するようになっている。また、積載トレイ42aは載置されたシートを基準位置に整合するように傾斜配置してあり、図示のものは排紙方向下流側(シートの後端)を積載トレイ42aに設けたシート端突当て規制部材(図示せず)に突当て整合する。
【0024】
また積載トレイ42aのシート排紙口には最上シートを押圧して上記の規制部材に案内するウエイト部材52が、回転軸52aを中心に回動自在に設けられている。このウエイト部材は搬送路T2からシートが搬出されるときにはトレイから上方に退避、シートがトレイ上に搬入した後、シートを押圧して規制部材に案内する。またこのシート排紙口には正逆転可能なスイッチバックローラが配置され、排紙口からのシートをトレイに沿って搬出し、トレイ上に搬出した後は逆方向に回転してシートを規制部材に向けて搬送する。更に積載トレイ42aにはシートの幅方向を整合する整合手段が配置され、トレイ上に搬出されたシートを搬出方向と直交方向に整合する。この整合手段は図示しないがシートをセンタ基準で幅寄せ整合する場合とシートの一側縁を基準にサイド基準で幅寄せ整合する機構がそれぞれ知られ、本発明はそのいずれも採用可能である。
【0025】
このような構成の積載トレイ42aは、その上に一連のシートが積載されると、図1(a)に矢印a、bで示すように、シートを積載する位置から矢印a方向の第1の位置P1にトレイごと移動する。次いでシート束はこのP1位置から直交する矢印b方向に移動され第2の位置P2に繰り出される。このシートの移動機構は図示しないが例えば載置トレイをラックピニオンなどのシフト機構で矢印a方向に移動し、載置トレイ上のシート束はグリップ搬送機構で矢印b方向に移動するように構成する。
【0026】
そして上記第2の位置P2には、積載トレイ42aから搬出されたシート束S1の端部を保持するグリッパ55a、55bが設けられている。この一対のグリッパ55a、55bはシート束を把持する保持位置とシート束から離反した解除位置との間で相対的に移動可能に構成されている。そしてグリッパ55a、55bはシート束S1を把持して保持した状態で図1(a)に矢印cで示すように90度旋回してシート束を略々鉛直姿勢に偏向する。この鉛直姿勢で保持されたシート束の下方には接着剤塗布部22が設けてある。上記グリッパ55a、55bはシート束S1を鉛直姿勢に偏向するのと同時に下方に配置された接着剤塗布部22にシート束を搬送する。このグリッパ55a、55bは、第2の位置P2でシート束S1を保持する保持位置と、シート束を後述する裁断装置23に受渡す受渡位置との間で往復動するようになっている。
【0027】
次に接着剤塗布部22は、接着剤(例えば、糊)を収納する糊容器66aと、この糊容器に収納された接着剤をシート束S1の端縁に塗布する塗布ローラ66bとから構成された接着ユニット66を備えている。接着ユニット66はグリッパ55a、55bに保持され略鉛直姿勢のシート束の下端縁に糊などの接着剤を塗布する。このため図示の糊容器66aは図1(a)において紙面表裏方向に移動自在にガイドレール(図示せず)に移動可能に支持され、シート束の下端縁に沿って移動して糊付けする塗布領域と、この塗布領域外で塗布処理に備える待機位置と接着剤の補充を受ける補充位置との間で移動自在に構成されている。つまりこの接着ユニットはシートの幅サイズより長い経路でガイドレールに沿って移動自在に支持されている。
【0028】
また、上記糊容器66aには耐熱ゴムなどの糊を含浸する塗布ローラ66bが設けられ、この塗布ローラは図示しない駆動モータで回転するようになっている。そして糊容器がシート束の端面に沿って移動する際にこの塗布ローラがシート束の端面と少許のギャップを形成して回転し、シート束の端面に糊付け処理を施す。尚、この場合塗布ローラ66bとシート束の端面とのギャップを束の厚さに応じて変更することによって糊付け量を調整することができる。
【0029】
次に、上記構成のグリッパ55a、55bによって送られてくるシート束S1の端縁に対して、接着剤塗布部22により接着剤を塗布する動作について説明すると、前述したようにグリッパ55a、55bにより挟持されて下降されてくるシート束S1は、接着ユニット66の移動経路における塗布領域上の所定の位置に略鉛直状態で位置決めされる。そこで待機位置で待機していた接着ユニット66がシート下端縁に沿って移動し、塗布ローラ66bは回転しながらシート束の端縁に糊付け処理を施す。そして接着ユニット66がシートの端縁に達すると、塗布ローラ68bは逆回転され、接着ユニット66が折り返し位置から起点位置に向けて移動する。そして、接着ユニット66が再度起点位置に達した段階で、塗布ローラ68bは停止し接着ユニット66も待機位置で停止する。
【0030】
この接着ユニット66が待機位置に位置づけられるとシート束S1の搬送経路が確保され、糊付け処理されたシート束S1はグリッパ55a、55bにより表紙接着部60へと送られる。表紙接着部(表紙シート綴じ部)60は搬送路T3と、前記グリッパ55a、55bに保持され搬送されるシート束の搬送路との交差部に設けられ、搬送路T3には後述する方法で表紙シートが搬送され、シート中央が交差部に位置するように準備されている。そこで表紙シートとシート束とは逆T字状に表紙シートの中央(シートセンタ)にシート束が一致するように合わせられて接合される。尚この接合の際、搬送路T3にはバックアッププレート59が準備されている。
【0031】
尚、前述の表紙シートの給送について説明すると、表紙シートは画像形成装置からタイトルなどを印刷されて供給される場合と、図6に示すインサータ装置100から供給する場合がある。図6のインサータ装置100は複写機Aと製本装置Bとの間に配置され、搬送路T1にスタッカにセットされた表紙シートを1枚ずつ分離って供給する給紙機構が設けられている。なお、同図において複写機及び製本装置の構造は図1(a),(b)のものと同一であり、同一符号を付して説明を省略する。このように表紙シートを画像形成装置とは別のインサート装置から供給することによって厚紙、薄紙、特殊コーティングシートなど多様な表紙シートを供給することが出来、好適な装丁が可能となる。
【0032】
そして表紙シートが装置本体2側またはインサータ装置100から表紙接着部60に送られる場合、表紙は、第1の搬送路T1から切替フラッパ27を介して第3の搬送路T3に搬送され、シート束S1の略鉛直な搬送経路を横切る表紙接着部60の所定位置に位置決めされる。そして、この位置決めされた表紙に対し、接着剤が塗布されたシート束S1の端縁がグリッパ55a、55bによって上側から鉛直方向で押し付けられる。また、この状態で、シート束S1は、接着剤によりその端縁に表紙が付着されたまま、グリッパ55a、55bによって更に鉛直下方へと移動され、表紙接着部60の下側に位置するスライド自在なバックアッププレート59に押し付けられる。その後、表紙およびシート束S1は、バックアッププレート59に突当てられた状態で、スライド自在な背折り板によって両側からプレスされる。これにより、表紙には、シート束S1の厚さに応じた折り目が形成される。
【0033】
次に、バックアッププレート59が外側にスライド移動して、シート束S1の搬送経路が形成された後、グリッパ55a、55bは、表紙が接着されたシート束S1を挟持したまま下方の裁断部23へと引き渡す。この裁断部には折りロールとして一対の搬入ローラ113が設けられグリッパ55a、55bから搬送されたシート束(以下冊子状シートという)を引き継いで下流側のシート裁断ユニットに送る。このときローラ113は表紙シートにシート束を挟んだ状態で折り畳む。
【0034】
「シート裁断装置」
次に、図2乃至図5に基づいて裁断部23について説明する。裁断部23は、裁断ステージ120と、裁断手段(後述の裁断縁プレス手段120b、120cとカッタ手段120a)と、この各裁断手段を駆動する駆動手段と、シート搬出手段123とから以下の構造で構成されている。前述の表紙シートとシート束を折り畳みながらこれを搬出する入口搬入ローラ113の下流には冊子状シートを鉛直姿勢に案内する搬送ガイド119が設けられている。この搬送ガイド119で構成する搬送経路には、回転テーブル121と、この回転テーブルに冊子状シートを押圧するグリッパ122とが以下の構造で配置されている。この回転テーブルとグリッパ122とで裁断ステージ120が構成され、冊子状シートは略鉛直姿勢で裁断可能な状態に支持される。
【0035】
まず上記回転テーブル121とグリッパ122とは搬送ガイド119を挟んで対向する位置に配置され、この回転テーブル121とグリッパ122とは上下昇降自在なユニットフレーム122cに取付けられている。グリッパ122にはグリッパ駆動モータを備えたグリッパ移動機構122a(図3)が設けられ、回転テーブル121に接近および離反自在に構成され冊子状シートを把持するようになっている。また回転テーブル121は図3の冊子状シートを把持した状態で回転する回転モータを備え、グリッパ122も追随して回転するようにユニットフレームに回動自在に取付けられている。従って入口搬入ローラ113から搬送ガイド119に送られた冊子状シートは回転テーブル121とグリッパ122とで把持され、回転テーブル121の回転で図2の鉛直姿勢で旋回することとなる。また、このユニットフレーム122cは昇降機構121bで図2上下方向に冊子状シートを把持した状態で移動ように構成されている。かかる構成において回転テーブル121には冊子状シートが存在するか否かを検知するシート検知センサSsが設けられている。尚このシート検知センサSsはグリッパ122に配置しても良く、回転テーブル121とグリッパ122との一方に発光素子、他方に受光素子を配置して冊子状シートを貫通するセンサで構成しても良い。
【0036】
また、グリッパ122にはグリッパ移動機構122aが冊子状シートを把持する押圧動作の完了を検知するグリップエンドセンサSgが設けられている。このグリップエンドセンサはグリッパ122がシートから退避した待機位置とシートを把持する作動位置との間で移動する状態を検知するように構成され、図示のものはグリッパ122が冊子状シートを把持する所定位置に移動した位置を検知し動作の完了状態を検知している。
【0037】
上記裁断ステージ120の下流側には冊子状シートを裁断するカッタ手段120aと、シートの裁断縁近傍を押圧する裁断縁プレス手段120b、120cが設けられている。図5に示すようにシートの裁断刃と対向する位置に固定押え部材120cが前記搬送ガイド119内に設けてあり、この部材と対向して可動押え部材120bが設けてあり、押え板移動機構によって破線位置から実線位置に移動する。この図示の実線位置で可動押え部材120bは冊子状シートを固定押え板120cに押圧してシートの裁断縁近傍を保持するがこの作動位置にプレスエンドセンサSpが配置され押圧動作の完了を検知する。図示F2はセンサSpを作動するフラッグで可動押え板に取付けてある。同様に裁断刃120aが図示破線位置のホームポジションから実線状態の作動位置(シートの裁断が完了する位置)との間で往復動自在に配置されている。この裁断刃は図示N1、N2、2個所に配置したセンサで位置検出される。ポジションセンサN2は裁断刃のホームポジションをそのフラグF2で検知し、ポジションセンサN1は作動位置を検知する。そして裁断刃120aはホームポジションから待機位置を経て作動位置に駆動機構で移動する。
【0038】
次に裁断刃による冊子状シートの裁断方法を図4(a)乃至(c)に基づいて説明すると、図示装置の特徴は前述の回転テーブルとグリッパで冊子状シートを鉛直姿勢で保持し、回転テーブルの回転制御で冊子シートを旋回させながらその周縁3個所を順次裁断することを特徴としている。その方法は表紙が接着された端縁としての背面S1aを下に向けた状態から、この背面S1aを除く他の端縁である天部S1b、小口部S1c、地部S1dを回転テーブル121とグリッパ122で断裁位置に旋回して固定し、この裁断位置で順次裁断刃で断裁する。図4(a)は、天部S1bが断裁刃120aで断裁される位置、同(b)は、地部S1dが断裁刃120aで断裁される位置、同(c)は、小口部S1cが断裁刃120aで断裁される位置に回転テーブル121とグリッパ122でシート束S1を回転および移動させた状態を示している。いずれの端縁S1b、S1Cs1dを裁断する場合にも、回転テーブル121とグリッパ122とによって挟持されている冊子状シートS1は断裁位置で前記裁断縁プレス手段で固定され、その状態で裁断刃がシートを裁断する。
【0039】
以上説明した装置の制御の構成について説明する。図7は画像形成装置、製本装置の制御構成を示すブロック図である。画像形成装置は画像形成部を制御CPU201でコントロールする通常の機能及び構成を備えている。この制御CPU201にはコントロールパネルが設けられ、排紙モードと製本モードと製本裁断モードの設定が行われる。製本装置に設けられた制御CPU202は、インサータ装置の各動作を制御するインサータユニット制御部203と糊綴じ製本ユニット制御部204と裁断ユニット制御部205と排紙スタッカユニット制御部206とから構成されている。
【0040】
以下、本発明に係わる裁断ユニット制御部205について詳述するが、各モードについて概略を説明する。排紙モードが設定されたときは、制御CPU202は切替フラッパ27を動作させて画像形成装置の排紙口から搬出されたシートを搬送路T1、T3を経て後処理装置の排紙スタッカ35に搬出する。このときシートは製本処理が施されず後処理装置によって後処理が施される。次に製本モードが選択されたときは制御CPU202は、切替フラッパ27でシートを搬送路T1からT2に導き、集積トレイにシートを積載する。その後グリッパ55a、bでシート束を鉛直姿勢に偏向し、その端縁に糊付け処理し、表紙接着部60で表紙シートと綴じ合わせ、搬入ローラ113で裁断ステージ120を通過して排紙ローラ123で排紙スタッカに搬出する。次に製本裁断モードが選択されたときの裁断ユニット制御部205について以下説明する。
【0041】
制御CPU202は、シート搬入ローラ113の駆動部206aと、グリッパ122の移動機構部の駆動モータ206bと、裁断縁プレス手段の可動押え板の移動機構の駆動モータ206cと、裁断刃移動機構の駆動モータ206dと、シート排紙ローラ123の駆動モータ206eに制御信号を伝達する。この制御信号は各駆動モータのドライバに起動および停止の支持信号を発する他、その回転量(移動量)を制御する制御信号を発する。また、制御CPU202には裁断ステージのシートセンサSsの検知信号207a、グリッパ122のグリップエンドセンサSgの検知信号207b、可動押え板120b(裁断縁プレス手段)のプレスエンドセンサSpの検知信号207c、および裁断刃120aのポジションセンサN1、N2の検知信号を受信するように構成されている。また制御CPU202には裁断動作の実行プログラム208と、記憶装置209が接続され、内部で判断手段210を構成するようになっている。
【0042】
この実行プログラム208と記憶装置209と判断手段210の内容を図9の動作フローに従って説明する。本発明は、上述の裁断ステージでシートを裁断刃で裁断する過程で何らかの理由で装置電源が遮断されたとき、その後の装置起動時に裁断動作を継続するように制御することを特徴としている。まず、裁断ユニットの通常の動作フロー図9に基づいて説明する。前記入口搬入ローラ113から冊子状シートS1が搬入される。この冊子状シートの搬入でシート検知センサSsはONする。搬入ローラ113はシートサイズに応じて予め設定された送り量で冊子シートを搬送ガイド119内に搬入して停止する。(S101)この搬入ローラの搬送完了信号を受けてグリッパ122は退避位置(開位置)から作動位置(把持位置)に移動して回転テーブル121との間に冊子シートをニップして支持する。このグリッパの動作をグリップエンドセンサSgが検知し、その信号でグリッバ移動機構を停止する(S102)。このセンサからグリップ動作が完了した信号を受けて回転テーブル121は冊子シートを所定回転旋回して姿勢を偏向し、同時に裁断位置にユニットフレームCを昇降機構121bで移動し冊子シートの下端を裁断位置に移動する。
【0043】
この裁断装置への移動は例えば裁断位置近傍に配置したセンサでシート端を検知し、シートのサイズ情報から予め設定された縁取りカット量に相当する送り量でシートを送るようにする(S103)。上記冊子シートの回転移動と平行して制御CPU202は裁断刃120aをホームポジションから所定の待機位置に移動する(S104)。このとき可動押え板120bも待機位置からシート押え方向に移動する。そして上記センサの信号から所定時間後に冊子シートが裁断位置に位置付けられた見込み時間で、まず可動押え板120bが移動して固定押え板120cに冊子シートを押圧する(S105)。このプレス動作の完了をプレスエンドセンサSpが検知し、その信号で裁断刃120aは裁断動作を開始する(S106)。
【0044】
裁断刃120で裁断動作が完了するとポジションセンサN1がこれを検知し、その信号で裁断刃移動機構を逆転し裁断刃を待機位置に復帰する。そこで制御CPU202は複数の裁断プロセス、図示の場合は3回裁断が完了した否か判断し(S107)、未完成の場合は前記ステップS102に戻る。全ての裁断が終了した場合は排紙ローラ123を駆動して冊子シートを排紙スタッカ34に収納する。つまり前記判断手段は電源投入などの装置起動時に、前記状態検知手段で検知した動作状態と、前記記憶手段に記憶された動作状態とが一致するか否かを比較し、実質的に一致する場合には前記裁断手段の後続する裁断処理を実行するように構成されることとなる。これによって装置電源遮断時に裁断手段の状態が変化したときには装置再起動時に裁断動作を実行しないように構成することが出来、不測な裁断動作の実行を防止することができる。
【0045】
前記制御CPU202には記憶装置209と判断手段210が設けられているが、まず記憶手段209には前記センサ(シート検知センサ、グリップエンドセンサ、プレスエンドセンサ、裁断刃ポジションセンサ)の状態信号が記憶される。つまり前記裁断ステージにシートの有無を検知するセンサSsと上記グリップ手段の動作状態を検知するセンサSgと、上記プレス手段の動作状態を検知するセンサSpと、上記裁断刃ポジションセンサN1、N2の状態を記憶装置209に記憶することによって状態検知手段が構成され、これによって、シートの裁断状態をより正確に判断することが可能である。
【0046】
次に、上記の記憶された状態信号に基づいて装置起動時に裁断動作を続行するか否かを判断手段210で判断する構成について説明する。この判断のため本発明は前記回転テーブル121及びグリッパ122の動作状態と、裁断縁プレス手段(可動押え板120b)の動作と、裁断刃120aの動作を裁断処理状態変数Csとして扱い、この変数Csを図8(a)のテーブルで設定する。同テーブルでCsはシート束を裁断するとき(裁断刃が裁断方向図5(b)矢印方向に動作中)のみ「1」となりそれ以外の動作中は「0」として設定してあり、この変数は記憶装置209に記憶し、このCsは値が変わる毎に書き換え記憶し、電源がOFFされても保持する。
【0047】
このような条件設定のもとで前記判断手段210は図8(b)に示す判断を実行するように構成され、判断手段210は、シート検知センサSsがONのとき(裁断ステージにシートが存在するとき)電源投入時のセンサ状態(Ss、Sg、Sp)と、記憶装置209に記憶してある(異常停止前の)裁断処理状態変数Csとを照合し、同テーブルの各実行処理を判断する。この場合、異常停止前の各センサ(Ss、Sg、Sp)の状態は図8(a)のテーブルの設定条件から例えばCs=「1」のときはSg=ON、Sp=ONとして比較する。
【0048】
上記判断手段210に基づく動作を図10のフローチャートに基づいて説明する。
前述のように装置の稼働過程でCs値は記憶装置209に記憶される(S110)。そこで装置電源が何らかの理由で遮断され、再度装置を起動する電源投入時(S111)にシート検知センサSsがOFFの場合は正常な状態であるとしてリカバリ処理を終了する(S112)。一方センサSsがONの場合(S113)は、処理中のシートが装置内にあるとして、リカバリ処理を実行する。そこで判断手段210がCs値と、電源投入時(S111)の各センサ(Sg、Sp、N1、N2)の状態とを照合する(S114)。その結果が一致(YES)する場合はCs値が「1」のときには裁断動作を実行する(S115)。Cs値が「0」の場合は排出動作を実行する(S116)。この排出動作は排紙ローラ123を駆動して排紙スタッカに冊子状シートを搬出する。
【0049】
前記照合結果がNG(不一致)の場合は電源遮断時に各裁断手段の動作状態が変化した可能性があると判断し、ジャム信号を発する(S117)。その後のジャム処理は製本装置のジャム処理工程に従う。このようにして、記憶装置に記憶された電源を切る前に実行していた処理状態と、電源投入時に検知したセンサ状態を、あらかじめ作成した照合表に基づいて照合し、それぞれの状態に対応した処理を実施する。
【0050】
尚、前記判断手段210が裁断動作を実行するステップS115において、裁断動作が複数のプロセスで実行される場合、前記図4(a)乃至(c)で説明したように糊綴じ処理したシート束の背部S1aを除く他の3辺である天部S1bを裁断し(図4(a))、次いで地部S1dを裁断し(図4(b))、最後に小口部S1cを裁断する(図4(c))複数のプロセスで裁断を実行するときには前記記憶手段209に実行され処理されたプロセス状態を記憶する。そしてリカバリ動作時は、この前記記憶手段209に記憶された情報に基づいて残る裁断動作を継続実行するように構成することも可能である。この場合は図9で説明したステップ(S107)の判断で予め設定された裁断処理を完了したか否かの判断の際、実行された若しくは未処理の裁断回数(ステップ状態)を記憶手段209に記憶する。このように前記裁断手段は、前記シートの複数個所を裁断する複数の処理プロセスをする場合は、前記制御手段は、上記複数の処理プロセスの実行状態を監視する動作状態監視手段をCPU内部に備え、この動作状態監視手段で裁断手段の実行状態を記憶手段209に記憶することとなる。そして制御手段は、装置の電源投入などの装置起動時に前記シート検知手段がシートを検知した場合、上記記憶手段に記憶された実行状態又は動作状態に応じて前記裁断手段の後続する処理プロセスを実行するように前記駆動手段を制御する。これによって、裁断手段が複数のプロセス、例えばシートの複数個所を順次裁断する場合にも装置電源が遮断される前の動作状態に引き続いて、装置の電源投入時に継続する動作を実行しシートを正常に裁断処理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1(a)】本発明の一実施形態に係る画像形成処理システムの概略構成図を示し、製本装置の詳細図を示す。
【図1(b)】本発明の一実施形態に係る画像形成処理システムの概略構成図を示し、画像形成装置の詳細図を示す。
【図2】図1の画像形成処理システムを構成する製本装置の裁断部の概略構成図である。
【図3】図2の裁断部の平面時である。
【図4】裁断刃による裁断手順を段階的に示す斜視図である。
【図5】(a)は裁断前の裁断刃のホームポジション位置の状態、(b)は裁断時の裁断刃の状態をそれぞれ示す。
【図6】複写機と製本装置との間にインサータを介在させた画像形成処理システムの変形例を示す。
【図7】図1のシステムの制御装置の説明図。
【図8】(a)装置稼働時における裁断状態の変数値の説明図、(b)判断手段の構成の説明図。
【図9】裁断動作の手順を示すフローチャート。
【図10】裁断ユニットの起動時の動作フローチャート。
【符号の説明】
【0052】
27 切替フラッパ
42 集積部
60 表紙接着部
100 インサータ
200 CPU(判断手段)
202 記憶装置(記憶手段)
300 制御基板
A 複写機(画像形成部;シート供給部)
B 製本装置(製本部)
C 後処理装置(後処理部)
S1 シート束
T1 第1の搬送路
T2 第2の搬送路
T3 第3の搬送路
Ss グリップ紙検知センサ(状態検知手段1)
Sg グリップエンドセンサ(状態検知手段2)
Sp プレスエンドセンサ(状態検知手段3)
F2 プレス位置フラグ
N1、N2 裁断刃ポジションセンサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
順次供給される単一若しくは束状のシートを裁断する裁断ステージと、
上記裁断ステージに配置され上記シートの所定箇所を裁断する裁断手段と、
上記裁断手段を駆動する駆動手段及びその制御手段と、
上記裁断ステージからシートを搬出するシート搬出手段と、を備え、
上記裁断ステージにはシートが存在するか否かを検知するシート検知手段が設けられ、
上記制御手段は、電源投入などの装置起動時に上記シート検知手段がシートを検知した場合、上記駆動装置を駆動して上記裁断手段による裁断動作を実行するように構成されていることを特徴とするシート裁断装置。
【請求項2】
前記制御手段は、停電その他装置電源遮断時の前記裁断手段の動作状態を記憶する記憶手段を有すると共に、装置電源が供給されたとき前記シート検知手段の検出状態と上記記憶手段に記憶された裁断手段の動作状態に基づいて前記裁断手段の後続する動作を実行することを特徴とする請求項1に記載のシート裁断装置。
【請求項3】
前記裁断手段は、前記シートの複数個所を裁断する複数の処理プロセスを有し、
前記制御手段は、上記複数の処理プロセスの実行状態を監視及び/又は上記裁断手段の動作状態を検知する動作状態監視手段と、この動作状態監視手段による前記裁断手段の実行状態又は動作状態を記憶する記憶手段とを有し、
前記制御手段は、前記装置の電源投入などの装置起動時に前記シート検知手段がシートを検知した場合、上記記憶手段に記憶された実行状態又は動作状態に応じて前記裁断手段の後続する処理プロセスを実行するように前記駆動手段を制御することを特徴とする請求項1に記載のシート裁断装置。
【請求項4】
順次供給される単一若しくは束状のシートを裁断する裁断ステージと、
上記裁断ステージに配置され上記シートを裁断する裁断手段と、
上記裁断手段を駆動して裁断動作を実行する駆動手段と、
上記駆動手段を制御する制御手段と、
上記裁断ステージからシートを搬出するシート搬出手段と、
上記裁断ステージのシート及び裁断手段の動作状態を検知する状態検知手段と、
上記状態検知手段の検知状態を記憶する記憶手段とを備え、
上記制御手段は、電源投入などの装置起動時に上記状態検知手段の検知状態と、上記記憶手段に記憶された動作状態とに基づいて、裁断処理を実行するか、裁断処理を実行しないかを判断する判断手段を備えていることを特徴とするシート裁断装置。
【請求項5】
前記判断手段は電源投入などの装置起動時に、前記状態検知手段で検知した動作状態と、前記記憶手段に記憶された動作状態とが一致するか否かを比較し、実質的に一致する場合には前記裁断手段の後続する裁断処理を実行することを特徴とする請求項4に記載のシート裁断装置。
【請求項6】
前記裁断手段は、前記裁断ステージにシートを旋回可能に支持して所定姿勢に保持するシートグリップ手段と、シートの裁断縁部を挟圧する裁断縁プレス手段と、シートを裁断するカッタ手段とから構成され、
前記状態検知手段は、前記裁断ステージにシートの有無を検知するセンサと、
上記グリップ手段の動作状態を検知するセンサと、
上記プレス手段の動作状態を検知するセンサと、
上記カッタ手段の動作状態を検知するセンサと、から構成されていることを特徴とする請求項4に記載のシート裁断装置。
【請求項7】
順次供給されるシートを束状に積み重ねるシート集積手段と、
上記シート集積手段からのシート束の端縁を接合するシート綴じ手段と、
上記シート綴じ手段からのシート束の所定個所を裁断するシート裁断装置と、
上記シート裁断装置からのシート束を収納するスタック手段とを備えた製本装置であって、
上記シート裁断装置は、前記請求項1乃至6の何れかの項に記載の構成を備えていることを特徴とする製本装置。
【請求項8】
前記製本装置は、前記裁断ステージでシート束の所定個所を裁断して前記スタック手段に収納する裁断モードと、
前記裁断ステージでシート束を裁断することなく前記スタック手段に収納する非裁断モードを備えていることを特徴とする請求項7に記載の製本装置。
【請求項9】
順次シート上に画像を形成する印刷手段を有する画像形成装置と、
上記画像形成装置から排出されたシートを束状に積載するシート集積手段及びこのシート集積手段からのシート束の端縁を接着するシート綴じ手段と、
上記シート綴じ手段からのシート束の所定個所を裁断する裁断手段とを有する製本装置とを備えたプリンティングシステムであって、
上記製本装置は前記請求項7又は8に記載の構成を備えていることを特徴とするプリンティングシステム。
【請求項10】
前記製本装置は、更に表紙シートを供給するインサート装置を備え、
前記製本装置は、前記画像形成装置からのシート束の一側縁に糊付けして上記インサート装置からの表紙シートと合体して綴合せ、
前記製本装置は、前記裁断手段によって上記シート束の綴合わせた側縁を除くシート周側縁を所定量裁断することを特徴とする請求項9に記載のプリンティングシステム。
【請求項1】
順次供給される単一若しくは束状のシートを裁断する裁断ステージと、
上記裁断ステージに配置され上記シートの所定箇所を裁断する裁断手段と、
上記裁断手段を駆動する駆動手段及びその制御手段と、
上記裁断ステージからシートを搬出するシート搬出手段と、を備え、
上記裁断ステージにはシートが存在するか否かを検知するシート検知手段が設けられ、
上記制御手段は、電源投入などの装置起動時に上記シート検知手段がシートを検知した場合、上記駆動装置を駆動して上記裁断手段による裁断動作を実行するように構成されていることを特徴とするシート裁断装置。
【請求項2】
前記制御手段は、停電その他装置電源遮断時の前記裁断手段の動作状態を記憶する記憶手段を有すると共に、装置電源が供給されたとき前記シート検知手段の検出状態と上記記憶手段に記憶された裁断手段の動作状態に基づいて前記裁断手段の後続する動作を実行することを特徴とする請求項1に記載のシート裁断装置。
【請求項3】
前記裁断手段は、前記シートの複数個所を裁断する複数の処理プロセスを有し、
前記制御手段は、上記複数の処理プロセスの実行状態を監視及び/又は上記裁断手段の動作状態を検知する動作状態監視手段と、この動作状態監視手段による前記裁断手段の実行状態又は動作状態を記憶する記憶手段とを有し、
前記制御手段は、前記装置の電源投入などの装置起動時に前記シート検知手段がシートを検知した場合、上記記憶手段に記憶された実行状態又は動作状態に応じて前記裁断手段の後続する処理プロセスを実行するように前記駆動手段を制御することを特徴とする請求項1に記載のシート裁断装置。
【請求項4】
順次供給される単一若しくは束状のシートを裁断する裁断ステージと、
上記裁断ステージに配置され上記シートを裁断する裁断手段と、
上記裁断手段を駆動して裁断動作を実行する駆動手段と、
上記駆動手段を制御する制御手段と、
上記裁断ステージからシートを搬出するシート搬出手段と、
上記裁断ステージのシート及び裁断手段の動作状態を検知する状態検知手段と、
上記状態検知手段の検知状態を記憶する記憶手段とを備え、
上記制御手段は、電源投入などの装置起動時に上記状態検知手段の検知状態と、上記記憶手段に記憶された動作状態とに基づいて、裁断処理を実行するか、裁断処理を実行しないかを判断する判断手段を備えていることを特徴とするシート裁断装置。
【請求項5】
前記判断手段は電源投入などの装置起動時に、前記状態検知手段で検知した動作状態と、前記記憶手段に記憶された動作状態とが一致するか否かを比較し、実質的に一致する場合には前記裁断手段の後続する裁断処理を実行することを特徴とする請求項4に記載のシート裁断装置。
【請求項6】
前記裁断手段は、前記裁断ステージにシートを旋回可能に支持して所定姿勢に保持するシートグリップ手段と、シートの裁断縁部を挟圧する裁断縁プレス手段と、シートを裁断するカッタ手段とから構成され、
前記状態検知手段は、前記裁断ステージにシートの有無を検知するセンサと、
上記グリップ手段の動作状態を検知するセンサと、
上記プレス手段の動作状態を検知するセンサと、
上記カッタ手段の動作状態を検知するセンサと、から構成されていることを特徴とする請求項4に記載のシート裁断装置。
【請求項7】
順次供給されるシートを束状に積み重ねるシート集積手段と、
上記シート集積手段からのシート束の端縁を接合するシート綴じ手段と、
上記シート綴じ手段からのシート束の所定個所を裁断するシート裁断装置と、
上記シート裁断装置からのシート束を収納するスタック手段とを備えた製本装置であって、
上記シート裁断装置は、前記請求項1乃至6の何れかの項に記載の構成を備えていることを特徴とする製本装置。
【請求項8】
前記製本装置は、前記裁断ステージでシート束の所定個所を裁断して前記スタック手段に収納する裁断モードと、
前記裁断ステージでシート束を裁断することなく前記スタック手段に収納する非裁断モードを備えていることを特徴とする請求項7に記載の製本装置。
【請求項9】
順次シート上に画像を形成する印刷手段を有する画像形成装置と、
上記画像形成装置から排出されたシートを束状に積載するシート集積手段及びこのシート集積手段からのシート束の端縁を接着するシート綴じ手段と、
上記シート綴じ手段からのシート束の所定個所を裁断する裁断手段とを有する製本装置とを備えたプリンティングシステムであって、
上記製本装置は前記請求項7又は8に記載の構成を備えていることを特徴とするプリンティングシステム。
【請求項10】
前記製本装置は、更に表紙シートを供給するインサート装置を備え、
前記製本装置は、前記画像形成装置からのシート束の一側縁に糊付けして上記インサート装置からの表紙シートと合体して綴合せ、
前記製本装置は、前記裁断手段によって上記シート束の綴合わせた側縁を除くシート周側縁を所定量裁断することを特徴とする請求項9に記載のプリンティングシステム。
【図1(a)】
【図1(b)】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図1(b)】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2007−44821(P2007−44821A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−232412(P2005−232412)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】
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