説明

シール装置及び転動装置

【課題】優れた密封性を有するシール装置、及び、密封性に優れ長寿命な転動装置を提供する。
【解決手段】深溝玉軸受は、外周面に軌道面21aを有する内輪21と、軌道面21aに対向する軌道面22aを内周面に有する外輪22と、両軌道面21a,22a間に転動自在に配された複数の転動体23と、内輪21及び外輪22の間に複数の転動体23を保持する保持器24と、内輪21及び外輪22の間に形成された隙間の開口を覆う接触形のシール装置25,25と、を備えている。シール装置25は、芯金31と弾性部材32とからなり、この弾性部材32を構成するゴム組成物は、デンドリマー,デンドロン,及びフラロデンドリマーのうち少なくとも1つを含有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール装置、及び、シール装置を備えた転動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
転がり軸受には、内部に封入した潤滑剤の漏洩を防止するとともに外部からの異物(塵埃,水等)の侵入を防止するために、シール装置が備えられている場合がある。そして、その密封性を向上させる技術が種々提案されており、例えば特許文献1には、シール部材のリップ部の形状を工夫することにより、外部からの異物の侵入に対して高い密封性を有するとともに、内部の潤滑剤の漏洩を防止する効果も有する接触形シール装置が開示されている。
【特許文献1】特開2002−333032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に開示の技術は、リップ部の形状が極めて限定されているため、様々な形状のシール装置や転がり軸受に対して適用できないおそれがあった。
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題を解決し、様々な形状を取ることが可能であり、どのような形状であっても優れた密封性を有するシール装置を提供することを課題とする。また、本発明は、優れた密封性を有するシール装置を備えて長寿命な転動装置を提供することを併せて課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1のシール装置は、相手部材に滑り接触して密封を行う弾性部材を備えるシール装置において、前記弾性部材は、デンドリマー,デンドロン,及びフラロデンドリマーのうち少なくとも1つを含有するゴム組成物で構成されていることを特徴とする。
また、本発明に係る請求項2の転動装置は、外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内方部材及び前記外方部材のいずれか一方の部材に取り付けられ他方の部材に滑り接触するシール装置と、を備える転動装置において、前記シール装置は、前記他方の部材に滑り接触する弾性部材を備え、この弾性部材は、デンドリマー,デンドロン,及びフラロデンドリマーのうち少なくとも1つを含有するゴム組成物で構成されていることを特徴とする。
【0005】
このようなシール装置の弾性部材は、デンドリマー,デンドロン,及びフラロデンドリマーのうち少なくとも1つを含有するゴム組成物で構成されているため、強度が優れている。よって、本発明のシール装置は密封性が優れている。また、ゴム組成物を成形することにより優れた密封性を有するシール装置を製造できるから、様々な形状のシール装置を製造することが可能である。さらに、本発明の転動装置は密封性が優れており、長寿命である。
【0006】
弾性部材を構成するゴム組成物には、デンドリマー,デンドロン,及びフラロデンドリマーのうち少なくとも1つが含有されるが、その含有量は、ゴム組成物の主要な原料であるゴム100重量部(重量部は質量部と同義である)に対して、1重量部以上100重量部以下であることが好ましい。1重量部未満であると添加効果が乏しく、100重量部を超えると、ゴム材料が本来有している弾性が失われるおそれがある。このような問題点がより生じにくくするためには、含有量は2重量部以上50重量部以下であることがより好ましい。本発明において使用されるデンドリマーの一例を図1に、デンドロンの一例を図2に、フラロデンドリマーの一例を図3に、それぞれ示す。
【0007】
なお、本発明は種々の転動装置に適用することができる。例えば、転がり軸受,ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等である。
また、本発明における前記内方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には内輪、同じくボールねじの場合にはねじ軸、同じくリニアガイド装置の場合には案内レール、同じく直動ベアリングの場合には軸をそれぞれ意味する。また、前記外方部材とは、転動装置が転がり軸受の場合には外輪、同じくボールねじの場合にはナット、同じくリニアガイド装置の場合にはスライダ、同じく直動ベアリングの場合には外筒をそれぞれ意味する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のシール装置は密封性が優れている。また、本発明の転動装置は密封性が優れており、長寿命である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係るシール装置及び転動装置の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
〔第一実施形態〕
図4は、本発明に係る転動装置の一実施形態である深溝玉軸受の構造を示す部分縦断面図である。この深溝玉軸受は、外周面に軌道面21aを有する内輪21と、軌道面21aに対向する軌道面22aを内周面に有する外輪22と、両軌道面21a,22a間に転動自在に配された複数の転動体(玉)23と、内輪21及び外輪22の間に複数の転動体23を保持する保持器24と、内輪21及び外輪22の間に形成された隙間の開口を覆う接触形のシール装置25,25と、を備えている。また、内輪21と外輪22とシール装置25,25とにより囲まれた空間には、油,グリース等の潤滑剤(図示せず)が封入され、シール装置25,25により深溝玉軸受の内部に密封されている。ただし、保持器24や潤滑剤は備えていなくてもよい。
【0010】
シール装置25は、環状の板状部材である芯金31とゴム組成物で構成された弾性部材32とからなり、弾性部材32の外周縁部に断面が略V字形の係止部32aが形成されていて、この係止部32aを、外輪22の内周面の両端部に外輪22の全周にわたって設けられている断面略V字形のシール溝27,27に嵌め込むことにより、シール装置25,25が深溝玉軸受に装着されている。そして、弾性部材32の内周縁部に形成されているシールリップ部32bは、内輪21の外周面に滑り接触していて、シール装置25,25が外輪22の内周面と内輪21の外周面との間の開口部分を覆っている。なお、弾性部材32の形状(特にシールリップ部32bの形状)は、図示のものに限定されるものではなく、一般的なシール装置におけるシールリップ部の形状を適用することが可能である。
【0011】
この弾性部材32は、ゴムを主成分とするゴム組成物で構成されているが、このゴム組成物は、デンドリマー,デンドロン,及びフラロデンドリマーのうち少なくとも1つを含有しているため、強度が優れている。そのため、シール装置25の密封性が優れているので、図4の深溝玉軸受は密封性が優れており、長寿命である。
【0012】
以下に、ゴム組成物とについて、詳細に説明する。
〔デンドリマー,デンドロン,及びフラロデンドリマーについて〕
本発明において使用することができるデンドリマー,デンドロン,フラロデンドリマーの種類は、一般的にデンドリマー,デンドロン,フラロデンドリマーと称される物質であれば特に限定されるものではないが、デンドリマー,デンドロン,フラロデンドリマーの末端に吸着基を有するものがより好ましい。このような吸着基としては、ヒドロキシル基(−OH),アミノ基(−NH2 ),チオール基(−SH),ホルミル基,カチオン性のアンモニウム基,活性エステル基等があげられる。
また、デンドリマー,デンドロン,フラロデンドリマーの合成方法は特に限定されるものではないが、一例としては、コアから外側に向かって合成を進めるダイバージェント法、末端官能基から内側に向かって合成を進めるコンバージェント法、及びこれらを組み合わせた方法がある。
【0013】
〔弾性部材(シールリップ部)について〕
次に、ゴム組成物で構成された弾性部材(シールリップ部)について、詳細に説明する。弾性部材(シールリップ部)の硬さは、JIS K6301に規定されたスプリング硬さAスケールで、40以上90以下であることが好ましい。スプリング硬さが40未満であると、転がり軸受の回転時にシールリップ部が必要以上に変形する。そうすると、発熱やトルク上昇が生じやすくなり、エネルギー効率が悪化する。一方、スプリング硬さが90超過であると、ゴム弾性が低下して転がり軸受の密封性が悪くなる。このような不都合が生じにくくするためには、弾性部材(シールリップ部)のスプリング硬さは50以上80以下であることがより好ましい。
【0014】
〔ゴム組成物について〕
弾性部材(シールリップ部)は、ゴムを主成分とするゴム組成物を加硫成形することによって得られる。このゴム組成物には、必要に応じて、加硫剤,加硫促進剤,加硫促進助剤,老化防止剤,補強剤,可塑剤,カップリング剤等の配合剤を適宜配合してもよい。また、補強性充填剤,加工助剤,摩耗改良剤,潤滑油,潤滑剤等を、必要に応じてさらに添加してもよい。このゴム組成物の各成分の具体例について、以下に説明する。
【0015】
ゴムとしては、天然ゴム(NR),イソプレンゴム(IR),スチレンブタジエンゴム(SBR),ブタジエンゴム(BR),クロロプレンゴム(CR),アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR),ブチルゴム(IIR),エチレンプロピレンゴム(EPDM),ウレタンゴム,シリコーンゴム,フッ素ゴム,アクリルゴム(ACM)等があげられる。これらの中でも、耐油性,耐熱性,耐グリース性のバランスを考えると、アクリロニトリルブタジエンゴム及びアクリルゴムが好ましい。
【0016】
アクリロニトリルブタジエンゴムには数種の種類があり、アクリロニトリルの含有量によって、低い方から、低ニトリル,中ニトリル,中高ニトリル,高ニトリル,極高ニトリルがある。アクリロニトリルブタジエンゴムのアクリロニトリル含有量は特に限定されるものではないが、耐熱性,耐油性,耐摩耗性,耐クリープ性,リップ追従性等を考慮すると、中ニトリル,中高ニトリル,高ニトリルが好ましく、アクリロニトリルの含有量で言えば20〜40%が好ましい。
【0017】
アクリロニトリルの含有量が20%未満であると、耐摩耗性が不十分となり、シールリップ部が摩耗しやすくなるので、転がり軸受の寿命が不十分となるおそれがある。一方、アクリロニトリルの含有量が40%超過であると、圧縮永久ひずみ特性が不十分となり、シールリップ部の追従性が低下するので、転がり軸受の寿命が不十分となるおそれがある。このような不都合がより生じにくくするためには、アクリロニトリルの含有量は25〜36%がより好ましい。
【0018】
さらに、アクリロニトリルブタジエンゴムとして、アクリロニトリルブタジエンゴムを水素化した水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム、イソプレンを共重合させたアクリロニトリルブタジエンイソプレンゴム、分子内にカルボキシル基を導入したカルボキシル化アクリロニトリルブタジエンゴム、分子内にカルボキシル基を導入するとともに水素化したカルボキシル化水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム等の変性アクリロニトリルブタジエンゴムも使用できる。これらのアクリロニトリルブタジエンゴムは、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0019】
加硫剤(架橋剤)としては、粉末硫黄、硫黄華、沈降硫黄、高分散性硫黄等の各種硫黄や、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、N,N−ジチオ−ビス(ヘキサヒドロ−2H−アゼピノン−2)、チウラムポリスルフィド等の硫黄を生成可能な硫黄化合物や、ジクミルパーオキサイド、ジ(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物等があげられる。
【0020】
また、硫黄系の加硫剤を用いた場合は、グアニジン系化合物,アルデヒド−アンモニア系化合物,チアゾール系化合物,チオウレア系化合物,スルフェンアミド系化合物,チウラム系化合物,ジチオカルバメート系化合物,キサンテート系化合物等の加硫促進剤を併用してもよい。加硫剤として高分散性硫黄を使用した場合には、チウラム系化合物であるテトラメチルチウラムジスルフィド等又はスルフェンアミド系化合物であるN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド等と、チアゾール系化合物である2−メルカプトベンゾチアゾール等とを併用してもよい。なお、加硫促進剤は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0021】
さらに、加硫促進助剤としては、酸化亜鉛等の金属酸化物,金属炭酸塩,金属水酸化物,ステアリン酸等の有機酸やその誘導体,及びアミン類等があげられる。なお、加硫促進助剤は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。ゴム組成物に配合される加硫促進剤と加硫促進助剤との合計量は、通常は、ゴム100重量部に対して0.1重量部以上10重量部以下である。
【0022】
なお、ゴムがカルボキシル化アクリロニトリルブタジエンゴムである場合には、加硫促進助剤として酸化亜鉛を用いると早期加硫を生じやすいため、過酸化亜鉛とステアリン酸とを併用することが好ましい。過酸化亜鉛は、ゴム組成物の混練り加工時の温度ではそのままゴム組成物中に存在し、加硫成形時に酸化亜鉛を生じるため、混練り加工時及び保管時に早期加硫を生じることがない。
【0023】
さらに、酸化劣化を防止する老化防止剤としては、アミン・ケトン縮合生成物,芳香族第二級アミン類,モノフェノール誘導体,ビス又はポリフェノール誘導体,ヒドロキノン誘導体,硫黄系老化防止剤,リン系老化防止剤等があげられる。この中でも、アミン・ケトン縮合生成物系の2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、ジフェニルアミンとアセトンとの縮合反応物、芳香族第二級アミン系のN,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N−フェニル−N’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン等が特に好ましい。
【0024】
さらに、熱分解を防止して耐熱性を向上するため、上記の老化防止剤とともに2次老化防止剤を併用してもよい。2次老化防止剤としては、硫黄系化合物である2−メルカプトベンズイミダゾール,2−メルカプトメチルベンズイミダゾール,及びこれらの亜鉛塩等があげられる。
さらに、日光又はオゾンの作用による亀裂が生じることを抑制する日光亀裂防止剤として、融点が55〜70℃程度のワックス類を、ゴム100重量部に対して0.5重量部以上2重量部以下程度添加してもよい。0.5重量部未満であると、オゾンの作用による亀裂を防止する効果がほとんど得られず、また、2重量部超過であると不必要なワックス類がゴム組成物の表面に滲み出してくるため、加工性に問題が生じるおそれがある。
【0025】
さらに、成形性を向上させる必要がある場合には、上記のような配合剤の他に、加工助剤として可塑剤が適宜添加される。ただし、成形性に特に問題がない場合は添加しなくてもよい。添加する場合は、ゴム100重量部に対して3重量部以上20重量部以下添加すればよく、必要以上に添加すると、ゴム組成物が軟化するとともに、完全に混合されずにブリードアウトが生じるおそれがある。
【0026】
可塑剤としては、フタル酸ジエステル系可塑剤,アジペート系可塑剤,セバケート系可塑剤,ホスフェート系可塑剤,ポリエーテル系可塑剤,ポリエステル系可塑剤,ポリエーテルエステル系可塑剤,液状ゴム等があげられる。ただし、近年問題となっている環境ホルモン問題を考慮すると、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート(DOP),ジブチルフタレート(DBP),ジエチルフタレート(DEP),ブチルベンジルフタレート(BBP),ジ−(2−エチルヘキシル)アジペート以外のものが好ましい。
【0027】
フタル酸ジエステル系可塑剤の具体例としては、ジメチルフタレート,ジ−p−オクチルフタレート,ジヘプチルフタレート,ジイソデシルフタレート,ジウンデシルフタレート,ジ(ヘプチルウンデシル)フタレート,ジイソノニルフタレート,ジ−n−アルキルフタレート,アルキルベンジルフタレート,ジアルキルフタレート,ジブトキシエチルフタレート,ジブトキシエトキシエチルフタレート,ジメチルシクロヘキシルフタレート,エチルフタリルエチルグリコレート,ブチルフタリルブチルグリコレートのフタル酸誘導体,テトラヒドロフタル酸誘導体があげられる。
【0028】
また、アジペート系可塑剤の具体例としては、ジブチルアジペート,ジメチルアジペート,ジイソデシルアジペート,ジイソブチルアジペート,ジ(n−オクチル−n−デシル)アジペート,ジイソノニルアジペート,ジイソオクチルアジペート,ベンジルオクチルアジペート,ジブチルジグリコールアジペート,ジ−n−アルキルアジペート,アルキルアルキルエーテルジエステルアジペート,ジブトキシエチルアジペート,ジ(ブトキシエトキシエチル)アジペート,ジ(n−ヘキシル−n−オクチル−n−デシル)アジペートのアジピン酸誘導体,同じくアゼライン酸誘導体,同じくセバシン酸誘導体,同じくドデカン−2−酸誘導体,同じくマレイン酸誘導体,同じくフマル酸誘導体,同じくトリメリット酸誘導体,同じくピロメリット酸誘導体,同じくクエン酸誘導体,同じくオレイン酸誘導体,同じくリシノール酸誘導体,同じくステアリン酸誘導体があげられる。
【0029】
その他の可塑剤の具体例としては、ポリエチレングリコール200モノラウレート、ポリエチレングリコール400モノラウレート、ポリエチレングリコール600モノラウレート、ポリエチレングリコール400ジラウレート、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンラウレート乳化物、多価アルコール脂肪酸エステル、スルホン酸誘導体、リン酸誘導体、グルタール酸誘導体、ジペンタエリスリトールエステル、グリコール誘導体、グリセリン誘導体、エポキシ誘導体、エーテルチオエーテル、エステルチオエステル、ステアリン酸エステルアミド、N,N−ジメチルオレアミド、N,N−ジメチルカプリルアミド・カプラミドがあげられる。
【0030】
さらに、カップリング剤としては、シラン系,アルミニウム系,チタネート系のカップリング剤があげられる。例えば、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン,γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等である。
【0031】
さらに、補強性充填剤としては、カーボンブラックや白色系充填剤等があげられる。カーボンブラックとしては、具体的には、SAF(Super Abrasion Furnace black),ISAF(Intermediate Super Abrasion Furnace black ),HAF(High Abrasion Furnace black ),MAF(Medium Abrasion Furnace black ),FEF(Fast Extruding Furnace black),GPF(General Purpose Furnace black ),SRF(Semi-Reinforcing Furnace black),FT(Fine Thermal Furnace black),MT(Medium Thermal Furnace black)等を例示することができる。補強性及び追従性を考慮すると、HAF,FEF,SRFがより好ましい。
【0032】
白色系充填剤としては、具体的には、各種シリカ,塩基性炭酸マグネシウム,活性化炭酸カルシウム,特殊炭酸カルシウム,超微粉ケイ酸マグネシウム,クレー,タルク,珪藻土,ウォラストナイト等があげられる。
補強性充填剤の添加量は、カーボンブラックの場合は、ゴム100重量部に対し20重量部以上90重量部以下とすることが好ましい。20重量部未満であると十分な補強性が発現されず、また、90重量部超過であると、ゴム組成物の硬さが高くなるとともに伸びが低くなり、本来有するゴム弾性が低下してしまう。
白色系充填剤の場合は、ゴム100重量部に対し20重量部以上150重量部以下とすることが好ましい。20重量部未満であると十分な補強性が発現されず、また、150重量部超過であると、ゴム組成物の硬さが高くなるとともに伸びが低くなり、本来有するゴム弾性が低下してしまう。
【0033】
さらに、補強性充填剤としてカーボンブラックと白色系充填剤とを混合して使用する場合は、ゴム100重量部に対し、合計で20重量部以上200重量部以下とすることが好ましい。このうち、カーボンブラックは10重量部以上90重量部以下で、白色系充填剤は10重量部以上110重量部以下である。補強性充填剤が20重量部未満であると十分な補強性が発現されず、また、200重量部超過であると、ゴム材料組成物の硬度が高くなるとともに伸びが低くなり、本来有するゴム弾性が低下してしまう。このような問題がより生じにくくするためには、ゴム100重量部に対し、合計で60重量部以上120重量部以下とすることがより好ましい。このうち、カーボンブラックは20重量部以上80重量部以下で、白色系充填剤は20重量部以上100重量部以下である。
【0034】
なお、この第一実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は第一実施形態に限定されるものではない。例えば、第一実施形態においては転がり軸受の例として深溝玉軸受をあげて説明したが、本発明は、他の種類の様々な転がり軸受に対して適用することができる。例えば、アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,円筒ころ軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。
【0035】
〔第二実施形態〕
図5は、本発明に係る転動装置の一実施形態である車輪支持用転がり軸受装置の構造を示す縦断面図である。
固定側軌道輪である外方部材1は、外周面に形成された取付部2によって図示しない懸架装置に固定されており、使用時には回転しない。このような外方部材1の内側には、回転側軌道輪である内方部材3が、外方部材1と同心に配されていて、使用時には内方部材3が回転するようになっている。
【0036】
この内方部材3は、ハブ4と内輪5とで構成される。このうちハブ4の内周面は、スプライン溝が形成されたスプライン孔6とされ、また、ハブ4の外端側部分の外周面には取付フランジ7が形成されている。車両への組み付け時には、図示しない等速ジョイントを介して回転駆動される駆動軸をスプライン孔6に挿入し、取付フランジ7に図示しない車輪を固定する。
なお、第二実施形態においては、車輪支持用転がり軸受装置を自動車等の車両に取り付けた状態において、車両の幅方向外側を向いた部分を外端側部分と称し、幅方向中央側を向いた部分を内端側部分と称する。すなわち、図5においては、左側が外端側となり、右側が内端側となる。
【0037】
外方部材1の内周面には複列の外輪軌道8,8が、ハブ4の中間部の外周面と内輪5の外周面とには内輪軌道9,9が、それぞれ形成されている。そして、これら各外輪軌道8,8と内輪軌道9,9との間に、転動体10,10がそれぞれ複数個ずつ配され、外方部材1の内側で内方部材3が回転自在とされている。なお、各転動体10,10は、それぞれ保持器11,11によって転動自在に保持されている。また、図示の例では、転動体として玉を使用しているが、重量が嵩む車両用の転がり軸受装置の場合には、転動体としてテーパころを使用する場合もある。
【0038】
さらに、外方部材1の内端側部分の内周面と内輪5の内端側部分の外周面との間、並びに、外方部材1の外端側部分の内周面とハブ4の中間部の外周面との間には、それぞれシール装置12a,12bが設けられており、外方部材1の内周面と内方部材3の外周面との間で、各転動体10,10が設置され各転動体10,10と外輪軌道8,8及び内輪軌道9,9との潤滑のためのグリースが充填された軸受内部空間13の両端開口が塞がれている。
【0039】
このようなシール装置12a,12bの構成を、図6,7を参照しながらさらに詳細に説明する。なお、図6,7のシール装置12a,12bにおいては、軸受内部空間13に近い側を内側、遠い側を外側と呼ぶ。まず、図5の車輪支持用転がり軸受装置において内端側に配された図6のシール装置12aは、補強部材に相当する芯金105と、スリンガ106と、シール本体に相当する弾性部材107と、で構成されている。このうち芯金105は、低炭素鋼板等の金属板にプレス加工等の打ち抜き加工及び塑性加工を施すことにより、一体的に成形されている。このような芯金105は、外方部材1の内端側部分の内周面に内嵌固定可能な外径側円筒部109と、この外径側円筒部109の内側縁(図6における左側縁)から径方向内方に折れ曲がった内側円輪部110と、を備えており、断面略L字形の円環状部材である。
【0040】
また、スリンガ106は、ステンレス鋼板等の優れた耐食性を有する金属板に、プレス加工等の打ち抜き加工及び塑性加工を施すことにより、一体的に成形されている。このようなスリンガ106は、内輪5の内端側部分の外周面に外嵌固定可能な内径側円筒部112と、この内径側円筒部112の外側縁(図6における右側縁)から径方向外方に折れ曲がった外側円輪部113とを備えており、断面略L宇形の円環状部材である。
【0041】
さらに、弾性部材107はゴム組成物で構成され、外側,中間,内側の3本のシールリップ114,115,116を備え、芯金105にその基端部が固定されている。そして、最も外側に位置する外側シールリップ114の先端縁を、スリンガ106を構成する外側円輪部113の内側面に摺接させ、残り2本のシールリップである中間シールリップ115及び内側シールリップ116の先端縁を、スリンガ106を構成する内径側円筒部112の外周面に摺接させている。これにより、内部からのグリースの漏洩を防止するとともに、外部から転がり軸受装置内部への塵挨,水,泥水等の侵入を防止している。
【0042】
図5の車輪支持用転がり軸受装置において外端側に配された図7のシール装置12bは、それぞれが円輪状に形成された芯金216と弾性部材217とで構成される。このうちの芯金216は金属板から製造され、外方部材1の外端側部分に内嵌固定されている。また、弾性部材217はゴム組成物で構成され、芯金216に接着等により接合されている。また、この弾性部材217は、外径側,内径側の2本のサイドシールリップ218,219と、1本のラジアルシールリップ220とを備える。そして、上記2本のサイドシールリップ218,219を、先端縁(図7における左側縁)に向かうに従って径方向外方(図7における上方)に湾曲する形状とし、取付フランジ7の基部の内端側面に摺接させることにより、軸受内部空間13内への異物侵入防止機能を確保している。また、ラジアルシールリップ220を、先端縁(図7における右下側縁)に向かうに従って軸受内部空間13の内側(図7における右側)に湾曲する形状とし、ハブ4の外周面に摺接させることにより、グリースの漏洩防止機能を確保している。
【0043】
さらに、詳しく説明すると、図7のシール装置12bは、それぞれが円輪状に形成された芯金216と弾性部材217とで構成される。このシール装置12bの芯金216は、低炭素鋼板等の金属板にプレス加工等の打ち抜き加工及び塑性加工を施すことにより、一体的に成形されている。この芯金216は、外方部材1の外端側部分の内周面に内嵌固定可能な外径側円筒部222と、この外径側円筒部222の外側縁(図7における左端縁)から径方向内方に折れ曲がった支持板部223とを備える。
【0044】
そして、芯金216を構成する支持板部223の外側面(図7における左側面)は、弾性部材217で全体が覆われ、この弾性部材217の外周縁部は、外径側円筒部222から連続する傾斜部227の外周面と外方部材1の内周面との間に挟持されている。このような構成により、芯金216と外方部材1との嵌合部が密封されている。
【0045】
外径側円筒部222の内側寄り(図7における右寄り)の大径部224の自由状態における外径は、外方部材1の外端側開口部の内径よりも僅かに大きくしてある。したがって、この大径部224は、外方部材1の外端側開口部に、締まり嵌めで内嵌固定自在とされている。また、支持板部223は、略S字形の断面形状を有し、径方向内方(図7における下方)に向かうにしたがって、軸受内部空間13内に配された転動体10に近づく方向(図7における右方向)に傾斜している。一方、芯金216とともにシール装置12bを構成する弾性部材217はゴム組成物で構成され、芯金216をインサート成形して接着剤等により接合されている。このような弾性部材217の外周縁部は、傾斜部227の外周面を覆っている。
【0046】
このような弾性部材217の一部で傾斜部227の外周面を覆っている部分の自由状態での外径は、外方部材1の外端側開口部の内径よりも少し大きくしてある。したがって、大径部224をこの外径側開口部に内嵌固定した状態では、弾性部材217の一部で傾斜部227の外周面を覆っている部分が、この傾斜部227の外周面と外端側開口部の内周面との間で弾性的に押圧され、当該部分の密封性が確保される。さらに、弾性部材217の基部226は、支持板部223の外側面(図7における左側面)を、全周にわたって完全に覆っている。そして、この基部226の外側面及び内周縁に、外径側,内径側の2本のサイドシールリップ218,219と、1本のラジアルシールリップ220とが形成されている。
【0047】
このような車輪支持用転がり軸受装置において、シール装置12a,12bの弾性部材107,217は、前述した第一実施形態と同様のゴム組成物で構成されており、デンドリマー,デンドロン,及びフラロデンドリマーのうち少なくとも1つを含有しているため、強度が優れている。そのため、シール装置25の密封性が優れているので、図5の車輪支持用転がり軸受装置は密封性が優れており、長寿命である。
【0048】
なお、この第二実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は第二実施形態に限定されるものではない。例えば、第二実施形態においては車輪支持用転がり軸受装置を例示して説明したが、本発明は、他の種類の様々な転がり軸受装置に対して適用することができる。例えば、図8に示すような転がり軸受装置や、図9の(a)〜(c)に示すようなフランジを有する転がり軸受装置である。なお、図9の(a)は外輪回転タイプの従動輪用転がり軸受装置であり、(b)は内輪回転タイプの従動輪用転がり軸受装置であり、(c)は内輪回転タイプの駆動輪用転がり軸受装置である。
【0049】
〔実施例〕
以下に、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
下記の各種材料(ゴム,補強性充填剤,添加剤,デンドリマー,デンドロン,及びフラロデンドリマー)を表1,2に示すような組成(単位は重量部である)で配合してなるゴム組成物からゴムシートを製造し、引張強度を評価した。
【0050】
・中高ニトリルゴム:日本ゼオン株式会社製の「Nipol 1052J」
・ステアリン酸:花王株式会社製の「Lunac S−35」
・亜鉛華(酸化亜鉛):堺化学工業株式会社製の「フランス法1号」
・可塑剤:旭電化工業株式会社製の「RS−735」
・老化防止剤A:大内新興化学工業株式会社製の「ノクラックCD」
・老化防止剤B:大内新興化学工業株式会社製の「サンノック」
・カーボンブラック:東海カーボン株式会社製の「シーストS」
・焼成クレー:土屋カオリン工業株式会社製の「SATINTONE No.5」
・カップリング剤:東芝シリコーン株式会社製の「TSL8380」
・加硫剤(硫黄):鶴見化学工業株式会社製の「Sulfax PMC」
・加硫促進剤A:大内新興化学工業株式会社製の「ノクセラーTT−P」
・加硫促進剤B:大内新興化学工業株式会社製の「ノクセラーTET−G」
・加硫促進剤C:大内新興化学工業株式会社製の「ノクセラーCZ−G」
【0051】
【表1】

【0052】
【表2】

【0053】
まず、ゴムシートの製造方法について説明する。加硫剤,加硫促進剤以外の材料をバンバリーミキサーに投入し、混練りを行った(第一混練工程)。混練りした材料をバンバリーミキサーから取り出し、2本ロールを有するゴム用混練ロール機に投入し、さらに加硫剤,加硫促進剤を投入して、均一になるまで切り返し操作を行った(第二混練工程)。そして、得られたゴム組成物を、厚さ2mm用のシート加硫金型を用いて加硫成形し、シート状にした。
【0054】
このようにして得られた加硫ゴムシートを、JISに規定されたダンベル状3号形試験片の形状に打ち抜き、JIS K6251に規定の引張試験を行って、引張破断強度を測定した。結果を表3〜5に示す。なお、表3〜5に示した引張強度の数値は、実施例1については、比較例1の引張強度を1とした場合の相対値で示してあり、実施例2については、比較例2の引張強度を1とした場合の相対値で示してあり、実施例3〜5については、比較例3の引張強度を1とした場合の相対値で示してある。
【0055】
【表3】

【0056】
【表4】

【0057】
【表5】

【0058】
次に、前述の各加硫ゴムシートを用いて、図4の深溝玉軸受に用いたシール装置25と同形状のシール装置を製造した。ここで、シール装置の製造方法について説明する。前述と同様にして製造したゴム組成物を、SPCC材製の芯金とともにシール成形用の加硫金型内に入れ、加熱及び加圧することにより加硫するとともにゴムシートと芯金とを一体化してシール装置を製造した。
【0059】
このシール装置を内径17mm、外径52mm、幅16mmの深溝玉軸受に装着し、さらに、この深溝玉軸受を日本精工株式会社製の軸受回転試験機に組み込んで、雰囲気温度80℃、回転速度10000rpmという条件下で1000時間回転試験を行った。深溝玉軸受内に封入したグリースは、エーテル油系の基油を含有するグリースである。そして、深溝玉軸受の振動が回転初期の2倍となった時点を寿命とした。結果を表3〜5に示す。なお、表3〜5に示した寿命の数値は、実施例1については、比較例1の寿命を1とした場合の相対値で示してあり、実施例2については、比較例2の寿命を1とした場合の相対値で示してあり、実施例3〜5については、比較例3の寿命を1とした場合の相対値で示してある。
【0060】
さらに、前述の各加硫ゴムシートを用いて、図5の車輪支持用転がり軸受装置に用いたシール装置12aと同形状のシール装置(内径は60mm)を製造した。そして、このシール装置を、日本精工株式会社製のシール単体回転試験機に組み込んで、泥水に浸漬した状態で回転試験を行った。すなわち、略円筒形のハウジングと、このハウジングに挿通された回転軸と、の間に形成された隙間の開口が、シール装置により密封されている。このシール装置は、回転軸の先端部外周面に摺接するようにハウジングに取り付けられていて、泥水がハウジング内に(回転軸の後端側に)侵入することを防いでいる。そして、シール装置よりも回転軸の後端側には漏電センサが設置されており、回転軸の回転時に泥水がハウジング内に侵入した場合には検知可能となっている。
【0061】
回転軸を、軸偏心(TIR:トータルインジケータリーディング)0.5mmという条件で回転させ、泥水の侵入が検知されるまでの時間(耐久時間)を測定した。なお、軸偏心(TIR)とは、偏心量,傾斜度等を含んだ全振れ量を意味する。また、泥水は、JISに規定された8種ダスト20質量%を水に混合したものである。さらに、シール装置の外側シールリップと中間シールリップとの間の空間、及び、中間シールリップと内側シールリップとの間の空間には、鉱油とウレア化合物とを含有するグリースを0.35g封入した。
【0062】
結果を表3〜5に示す。なお、表3〜5に示した耐久時間の数値は、実施例1については、比較例1の耐久時間を1とした場合の相対値で示してあり、実施例2については、比較例2の耐久時間を1とした場合の相対値で示してあり、実施例3〜5については、比較例3の耐久時間を1とした場合の相対値で示してある。
表3〜5の結果から分かるように、実施例1〜5のシール装置は、デンドリマー,デンドロン,及びフラロデンドリマーの特異な立体構造や末端官能基の効果により、比較例と比べて密封性が優れていた。そのため、転がり軸受は比較例と比べて長寿命であった。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明のシール装置は、厳しい条件下においても優れた密封性が要求される用途に好適である。例えば、厳しい条件下で使用される転がり軸受等の転動装置に好適に使用可能である。
また、本発明の転動装置は、高温,高速,高荷重条件下で、しかも水,塵埃等の異物が侵入しやすいような条件下での使用に好適である。例えば、本発明の転動装置は、自動車の電装部品、自動車のエンジン補機(オルタネータ,中間プーリ,カーエアコンディショナ用電磁クラッチ,水ポンプ,ハブユニット等)、ガスヒートポンプ用電磁クラッチ、コンプレッサ等に使用される転動装置として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】デンドリマーの一例を示す図である。
【図2】デンドロンの一例を示す図である。
【図3】フラロデンドリマーの一例を示す図である。
【図4】本発明に係る転動装置の一実施形態である深溝玉軸受の構造を示す部分縦断面図である。
【図5】本発明に係る転動装置の一実施形態である車輪支持用転がり軸受装置の構造を示す縦断面図である。
【図6】図5の車輪支持用転がり軸受装置の内端側に配されたシール装置の構造を示す部分縦断面図である。
【図7】図5の車輪支持用転がり軸受装置の外端側に配されたシール装置の構造を示す部分縦断面図である。
【図8】第二実施形態の変形例である転がり軸受装置の構造を示す縦断面図である。
【図9】第二実施形態の変形例である転がり軸受装置の構造を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0065】
1 外方部材
3 内方部材
4 ハブ
5 内輪
8 外輪軌道
9 内輪軌道
10 転動体
12a,12b シール装置
21 内輪
21a 軌道面
22 外輪
22a 軌道面
23 転動体
25 シール装置
32 弾性部材
107,217 弾性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手部材に滑り接触して密封を行う弾性部材を備えるシール装置において、前記弾性部材は、デンドリマー,デンドロン,及びフラロデンドリマーのうち少なくとも1つを含有するゴム組成物で構成されていることを特徴とするシール装置。
【請求項2】
外面に軌道面を有する内方部材と、該内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記両軌道面間に転動自在に配された複数の転動体と、前記内方部材及び前記外方部材のいずれか一方の部材に取り付けられ他方の部材に滑り接触するシール装置と、を備える転動装置において、
前記シール装置は、前記他方の部材に滑り接触する弾性部材を備え、この弾性部材は、デンドリマー,デンドロン,及びフラロデンドリマーのうち少なくとも1つを含有するゴム組成物で構成されていることを特徴とする転動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−118577(P2006−118577A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−306025(P2004−306025)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】