説明

ジッタ測定装置

【課題】 ジッタを高い精度で広い範囲にわたって測定できるようにする。
【解決手段】 動作範囲判定回路23は、第1の低域通過フィルタ14から出力される誤差信号Erが位相周波数比較器13の直線動作範囲Lに対応する第1の電圧範囲±V1を越えたときに動作範囲外と判定する。また、第2の低域通過フィルタ22は、誤差信号に含まれる直流成分を測定対象のジッタの周波数帯域Fjの信号成分より大きい電圧に増幅し、同期判定回路24は、第2の低域通過フィルタ22の出力信号が、位相周波数比較器13の直線動作範囲に対応する第1の電圧範囲±V1より広く設定された第2の電圧範囲±V4を越えたときに同期外れと判定する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、信号のジッタ(位相揺らぎ)を測定するジッタ測定装置において、高い精度で広い測定範囲を実現するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、ディジタル信号を伝送するディジタル伝送路では、ディジタル信号を再生して出力する中継器によって伝送路を延長しているが、このような中継器では、入力信号の位相の揺らぎ(ジッタ)が大きくなると元の信号を再生することができなくなる。
【0003】このため、中継器のジッタに対する耐力や、中継器自身によって発生するジッタ量を予め測定しておく必要がある。
【0004】このような測定を行うために従来からジッタ測定装置が用いられている。図7は、従来のジッタ測定装置10の構成を示している。
【0005】このジッタ測定装置10は、被測定信号Sを分周比Nの分周器11によって分周し、この分周信号S′と水晶発振型の電圧制御発振器12から制御信号Cの電圧に応じた周波数で出力される参照信号Rとをディジタル型の位相周波数比較器13で比較し、その出力信号から分周信号S′および参照信号Rの成分を第1の低域通過フィルタ14で除去して測定対象のジッタの周波数帯域を含む信号成分を誤差信号Erとして抽出し、誤差信号Erから第2の低域通過フィルタ15によって直流分を抽出して制御信号Cとして電圧制御発振器12に入力する。
【0006】このPLLループの引き込み制御により分周信号S′に参照信号Rが同期した状態では、第2の低域通過フィルタ15からは、参照信号Rの位相を分周信号S′の中心位相にロックさせるように電圧が変化する制御信号Cが出力される。
【0007】したがって、同期状態では分周信号S′に位相揺らぎに追従して誤差信号Erの電圧が変化することになり、誤差信号Erの振幅を検出すれば分周信号S′のジッタ量を検出することができる。
【0008】なお、分周信号S′は、被測定信号Sを分周比Nの分周器11で分周したものであるから、被測定信号Sのジッタ量は、分周信号S′のジッタ量をN倍したものである。よって分周信号S′のジッタ量と分周器11の分周比Nから、被測定信号Sのジッタ量を算出することができる。
【0009】ジッタ量検出回路16は、誤差信号Erの振幅を分周信号S′のジッタ量として検出し、この検出したジッタ量に分周比Nを乗じた値を被測定信号Sのジッタ量としてジッタ量表示器17に出力する。
【0010】ところで、このようなジッタ測定装置10では、PLL構成を用いていることによる2つの誤差要因がある。
【0011】その一方は位相周波数比較器13の位相比較器としての動作範囲に起因するものであり、他方はループの同期外れに起因するものである。
【0012】即ち、ディジタル型の位相周波数比較器13の位相比較器としての動作範囲は一般に±2πであり、これ以上の位相差があると、位相差に対する出力電圧の関係が1対1でなくなる。したがって、位相周波数比較器13に入力される信号の位相差が±2πを越えた状態では正確なジッタ量は測定できない。また、実際の位相周波数比較器13では、図8に示すように、入力信号の位相差が±2πの手前で非直線動作になることが多い。したがって、分周信号S′と参照信号Rの位相差が、位相周波数比較器13の直線動作範囲Lを越えているときに検出したジッタ量は正確でない。
【0013】また、同期外れ状態、即ち、分周信号S′の周波数fs′と参照信号Rの周波数frとが異なっている状態では、その差の周波数の信号成分の影響により、分周信号S′の位相の位相揺らぎに誤差信号Erの電圧が追従せず、この状態で検出したジッタ量も正確ではない。
【0014】この2つの誤差要因から逃れるために、分周信号S′と参照信号Rの位相差が周波数位相比較器13の直線動作範囲Lにあるか否かおよび同期が外れているか否かを判定して、その判定結果に応じてジッタ量の検出や表示を規制したり、エラー表示する必要がある。
【0015】分周信号S′と参照信号Rの位相差が周波数位相比較器13の直線動作範囲Lにあるか否かは、誤差信号Erの電圧が前記図8の直線動作範囲Lに対応した電圧範囲±V1を越えているか否かを判定することによって実現できる。
【0016】一方、同期外れ状態における位相周波数比較器13の周波数比較器としての特性は、図9に示すように、分周信号S′と参照信号Rとの間に周波数差がある範囲で電圧V2または電圧−V2に沿った平坦なものとなる。
【0017】したがって、電圧V2より僅かに低い電圧をV3、電圧−V2より僅かに高い電圧を−V3とし、誤差信号Erがこの電圧範囲±V3を越えているか否かを判定することによって、ループが同期しているか否かを判定することができる。
【0018】ところが、電圧範囲±V1は電圧範囲±V2より広いため、電圧範囲が広い方の動作範囲の判定を行うとすれば、電圧範囲が狭い方の同期判定を行うことはできない。
【0019】このため、従来のジッタ測定装置10では、電圧範囲が狭い方の同期判定を優先することで動作範囲の判定を省略している。即ち、図7に示しているように、同期判定回路18によって誤差信号Erと電圧±V3とを比較し、誤差信号Erが電圧範囲±V3を越えているときに同期外れ信号Eを制御回路19に出力し、同期外れ信号Eを受けた制御回路19からジッタ量表示器17に規制信号Kを出力して、ジッタ量の表示を規制している。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記のように同期判定を優先した場合、位相周波数比較器13の位相比較器としての直線動作範囲Lのほぼ半分(±π)しか利用することができず、PLL側でのジッタの測定範囲が狭くなるという問題があった。
【0021】これを解決するために、分周器11の分周比Nを大きくして装置全体としてのジッタの測定範囲を広げることも可能であるが、分周器11の分周比Nを大きくすると、位相周波数比較器13の検出感度が低下し、測定分解能が低くなるという新たな問題が生じてしまう。
【0022】本発明は、これらの問題を解決し、測定分解能を低下させることなく、広い範囲にわたってジッタを測定できるジッタ測定装置を提供することを目的としている。
【0023】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、本発明の請求項1のジッタ測定装置は、制御電圧に応じた周波数の参照信号を出力する電圧制御発振器(12)と、前記参照信号と被測定信号との間の周波数および位相を比較するディジタル型の位相周波数比較器(13)と、前記位相周波数比較器の出力信号から測定対象のジッタの周波数帯域以下の信号成分を誤差信号として抽出する第1の低域通過フィルタ(14)と、前記誤差信号から被測定信号のジッタ量を検出するジッタ量検出手段(16)と、前記誤差信号に含まれる直流成分を、該誤差信号に含まれる前記測定対象のジッタの周波数帯域の信号成分より大きな電圧に増幅し、該増幅した信号を制御信号として前記電圧制御発振器に出力するアクティブ型の第2の低域通過フィルタ(22)と、前記誤差信号が前記位相周波数比較器の直線動作範囲に対応する第1の電圧範囲を越えているか否かを判定する動作範囲判定手段(23)と、前記第2の低域通過フィルタの出力信号が前記第1の電圧範囲より広く設定された第2の電圧範囲を越えているか否かを判定することによって被測定信号に対して参照信号が同期しているか否かを判定する同期判定手段(24)とを備えている。
【0024】また、本発明の請求項2のジッタ測定装置は、制御電圧に応じた周波数の参照信号を出力する電圧制御発振器(12)と、前記参照信号と被測定信号との間の周波数および位相を比較するディジタル型の位相周波数比較器(13)と、前記位相周波数比較器の出力信号から測定対象のジッタの周波数帯域以下の信号成分を誤差信号として抽出する第1の低域通過フィルタ(14)と、前記誤差信号から被測定信号のジッタ量を検出するジッタ量検出手段(16)と、前記誤差信号に含まれる直流成分を抽出し、該抽出した信号を制御信号として前記電圧制御発振器に出力する第2の低域通過フィルタ(15)と、前記誤差信号に含まれる直流成分を、該誤差信号に含まれる前記測定対象のジッタの周波数帯域の信号成分より大きな電圧に増幅して出力するアクティブ型の第3の低域通過フィルタ(41)と、前記誤差信号が前記位相周波数比較器の直線動作範囲に対応する第1の電圧範囲を越えているか否かを判定する動作範囲判定手段(23)と、前記第3の低域通過フィルタの出力信号が前記第1の電圧範囲より広く設定された第2の電圧範囲を越えているか否かを判定することによって被測定信号に対して参照信号が同期しているか否かを判定する同期判定手段(24)とを備えている。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の実施形態のジッタ測定装置20の構成を示している。なお、図1において、前記図7に示した構成と同一のものについては同一符号を付して説明する。
【0026】このジッタ測定装置20では、前記ジッタ測定装置10と同様に、被測定信号Sを分周器11によってN分周した分周信号S′と、水晶発振型の電圧制御発振器12から制御信号Cの電圧に応じた周波数で出力された参照信号Rとを、ディジタル型の位相周波数比較器13に入力する。
【0027】位相周波数比較器13の出力は第1の低域通過フィルタ14に入力される。第1の低域通過フィルタ14は、図2に示す周波数特性Pを有しており、位相周波数比較器13の出力信号から分周信号S′の周波数fs′および参照信号Rの周波数fr以上の信号成分を除去し、分周信号S′のジッタ信号の周波数帯域Fj(fa〜fb)以下の信号成分を抽出し、この抽出した信号を電圧制御発振器12に与える制御信号Cの基になる誤差信号Erとして、第2の低域通過フィルタ22、ジッタ量検出回路16および動作範囲判定回路23に出力する。
【0028】第2の低域通過フィルタ22は、例えば図3R>3に示すように、演算増幅器22aと抵抗22b、22cおよびコンデンサ22dからなるアクティブ型のフィルタであり、図4に示す周波数特性Qを有している。この周波数特性Qは、測定対象のジッタの周波数帯域Fj(fa〜fb)については低利得(例えば0dB)、周波数帯域Fjより低い直流を含む領域では高利得(直流で数10dB)となるように設定されている。
【0029】このため、誤差信号Erに含まれる直流成分が測定対象のジッタの周波数帯域Fjの信号成分より大きな電圧に増幅されて出力される。
【0030】第2の低域通過フィルタ22の出力信号は、参照信号Rを分周信号S′に同期させるための制御信号Cとして電圧制御発振器12に入力される。
【0031】ジッタ量検出回路16は、誤差信号Erの振幅を分周信号S′のジッタ量として検出し、このジッタ量に分周器11の分周比Nを乗じた値を被測定信号Sのジッタ量Jとしてジッタ量表示器17に出力する。
【0032】ジッタ量表示器17は、ジッタ量検出回路16から出力される被測定信号Sのジッタ量Jを数字やバーコード等で表示するが、後述する制御回路25からの規制信号Kを受けている間はこの表示を消す。
【0033】なお、制御回路25からの規制信号Kをジッタ量検出回路16に出力して、ジッタ量の検出動作を規制してもよい。
【0034】動作範囲判定回路23は、誤差信号Erと位相周波数比較器13の直線動作範囲Lに対応した電圧±V1(図8参照)と比較して、誤差信号Erが位相周波数比較器13の直線動作範囲Lに対応した電圧範囲±V1(第1の電圧範囲)を越えているときには、分周信号S′と参照信号Rの位相差が、位相周波数比較器13の直線動作範囲Lを越えたものとして動作範囲外信号Dを制御回路25に出力する。
【0035】一方、同期判定回路24は、第2の低域通過フィルタ22から出力される制御信号Cを所定の電圧±V4と比較し、制御信号Cの電圧が電圧範囲±V4(第2の電圧範囲)を越えているときに、同期外れ信号Eを制御回路25に出力する。
【0036】ここで、第2の低域通過フィルタ22の出力から同期外れを検出できる理由について説明する。
【0037】図9で説明したように、ループの同期が外れている状態では、誤差信号Erの出力電圧は、分周信号S′の周波数fc′が参照信号Rの周波数frより高いときに電圧V2に保持され、分周信号S′の周波数fc′が参照信号Rの周波数frより低いときには電圧−V2に保持される。
【0038】この一定電圧に保持された直流成分に対し第2の低域通過フィルタ22は前記したように非常に高い利得を有しているため、この直流成分が入力されると第2の低域通過フィルタ22は飽和状態となり、その出力電圧は、図5のように、分周信号S′の周波数fc′が参照信号Rの周波数frより高いときには電源電圧Vbとほぼ等しくなり、分周信号S′の周波数fc′が参照信号Rの周波数frより低いときには電源電圧−Vbとほぼ等しくなる(なお、第2の低域通過フィルタ22の出力に対して電圧制限回路を設けて出力電圧を電源電圧Vbより低い電圧Vb′または電源電圧−Vbより高い電圧−Vb′に制限する場合もある)。
【0039】一方、測定対象のジッタの周波数帯域Fjの信号成分に対する第2の低域通過フィルタ22の利得は低く、これを例えば0dBとすれば、第1の低域通過フィルタ14から入力されるジッタの周波数帯域Fjの信号は、そのまま第2の低域通過フィルタ22から出力されることになる。
【0040】つまり、ジッタの周波数帯域Fjの信号成分に対する第2の低域通過フィルタ22の出力電圧範囲は前記した電圧範囲±V1となり、この電圧範囲±V1は、直流成分に対する第2の低域通過フィルタ22の出力電圧範囲±Vb(または制限電圧範囲±Vb′)より狭い。
【0041】したがって、同期判定回路24において、図5に示しているように、電圧V4を電圧V1と電源電圧Vb(または制限電圧Vb′)の間に設定し、電圧−V4を電圧−V1と電源電圧−Vb(または制限電圧−Vb′)の間に設定し、第2の低域通過フィルタ22の出力信号が電圧範囲±V4を越えているか否かを判定することにより、同期外れを確実に検出することができる。
【0042】動作範囲判定回路23からの動作範囲外信号Dおよび同期判定回路24からの同期外れ信号Eは、制御回路25に入力される。
【0043】制御回路25は、動作範囲外信号Dまたは同期外れ信号Eを受けている間、ジッタ量表示器17に規制信号Kを出力して、歪による誤差を含むジッタ量あるいは同期外れ状態に検出したジッタ量の表示を消させて、同期状態で且つ分周信号S′と参照信号Rの位相差が位相周波数比較器13の直線動作範囲L内にあるときに検出された正確なジッタ量のみを表示させる。
【0044】以上のように、このジッタ測定装置20では、第1の低域通過フィルタ14から出力される誤差信号Erが位相周波数比較器13の直線動作範囲Lに対応する第1の電圧範囲±V1を越えたときに動作範囲外と判定し、誤差信号Erに含まれる直流成分をアクティブ型の第2の低域通過フィルタ22によって測定対象のジッタの周波数帯域Fjの信号成分より大きい電圧に増幅し、その出力信号が、周波数帯域Fjの信号成分の電圧範囲(即ち、位相周波数比較器13の直線動作範囲に対応する第1の電圧範囲±V1)より広く設定された第2の電圧範囲±V4を越えたときに同期外れと判定している。
【0045】このため、位相周波数比較器13が直線動作範囲で動作しているか否かおよび同期しているか否かをそれぞれ独立に判定できる。
【0046】したがって、位相周波数比較器13の位相比較器としての直線動作範囲Lの全域をジッタの測定範囲として使用することができ、広い測定範囲を確保できる。また、位相周波数比較器側の測定範囲が拡大したことにより、分周器11の分周比Nを従来のほぼ1/2にしても従来と同じ測定範囲が得られるので、位相周波数比較器13の検出感度が高くなり、測定分解能が高くなる。
【0047】なお、このジッタ測定装置20では、誤差信号Erに含まれる直流成分に対して高い増幅度を有しているので、PLLのループゲインが直流成分に対して非常に大きくなり、同期外れ状態における引き込み動作を高速化できる。
【0048】また、第2の低域通過フィルタ22の特性は、直流成分に対する増幅度をGd、周波数帯域Fjの信号に対する増幅度をGjとすると、次の関係、Gd・V2>Gj・V1を満たせばよい。
【0049】つまり、同期外れ状態に第1の低域通過フィルタ14から出力される直流電圧V2をGd倍した電圧が、同期状態におけるジッタの最大電圧V1をGj倍した電圧より大きければよく、この電圧間に同期外れ判定用の電圧V4を設定すればよい。
【0050】また、この実施形態では、被測定信号Sを分周器11によって分周し、分周信号S′と参照信号Rとを位相周波数比較器13に入力していたが、分周器11を省略して(あるいは分周器11の分周比Nを1として)、被測定信号Sを位相周波数比較器13に直接入力してもよい。
【0051】また、この実施形態では、動作範囲判定回路23で動作範囲外と判定されたとき、または同期判定回路24で同期外れと判定されたときにジッタ量の表示を規制するようにしていたが、前記したように、動作範囲外または同期外れと判定されたときにジッタ量検出回路16による検出動作そのものを規制してもよく、また、このような規制を行わずに、単に動作範囲外や同期外れと判定されたときに、制御回路25によってブザーやランプを駆動して音や光で報知してもよい。
【0052】また、前記実施形態では、誤差信号から制御信号を抽出するための第2の低域通過フィルタ22の直流に対する利得を大きくし、この第2の低域通過フィルタ22の出力電圧に基づいて同期外れを判定していたが、図6に示すジッタ測定装置40のように、第1の低域通過フィルタ14から出力される誤差信号を第2の低域通過フィルタ15と、アクティブ型の第3の低域通過フィルタ41に入力し、第2の低域通過フィルタ15によって誤差信号Erから制御信号Cを抽出して電圧制御発振器12に入力してPLLのループを形成させ、第3の低域通過フィルタ41によって誤差信号Erの直流成分を誤差信号に含まれるジッタの周波数帯域の信号成分より大きな電圧に増幅して同期判定回路24に入力して、同期外れを検出してもよい。
【0053】この場合、第3の低域通過フィルタ41の特性は、図4の破線で示す特性Iのようにジッタの周波数帯域Fjにおける利得を0dBより小さくしてもよい。
【0054】このように周波数帯域Fjを減衰させることで第2の低域通過フィルタ41の出力に現れるジッタ信号成分を小さくでき、同期判定のための電圧V4、−V4の設定の自由度が大きくなり、同期外れの検出がより容易になる。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のジッタ測定装置は、誤差信号が位相周波数比較器の直線動作範囲Lに対応する第1の電圧範囲±V1を越えたときに動作範囲外と判定するとともに、アクティブ型の第2の低域通過フィルタまたはアクティブ型の第3の低域通過フィルタによって誤差信号に含まれる直流成分を測定対象のジッタの周波数帯域の信号成分より大きい電圧に増幅し、この出力が位相周波数比較器の直線動作範囲に対応する第1の電圧範囲より広く設定された第2の電圧範囲を越えたときに同期外れと判定している。
【0056】このため、動作範囲の判定と同期判定とをそれぞれ独立に行うことができ、位相周波数比較器の位相比較器としての直線動作範囲の全域をジッタの測定範囲として使用することができ、広い測定範囲を確保できる。また、位相周波数比較器側の測定範囲が拡大したことにより、被測定信号を分周して位相周波数比較器に入力する場合でも、その分周比を従来のほぼ1/2にすることができ、位相周波数比較器の検出感度が高くなり、測定分解能が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の構成を示すブロック図
【図2】実施形態の要部の特性図
【図3】実施形態の要部の回路例
【図4】実施形態の要部の特性図
【図5】実施形態の要部の出力電圧特性
【図6】他の実施形態の構成を示すブロック図
【図7】従来装置の構成を示すブロック図
【図8】ディジタル型の位相周波数比較器の位相比較器としての特性図
【図9】ディジタル型の位相周波数比較器の周波数比較器としての特性図
【符号の説明】
11 分周器
12 電圧制御発振器
13 位相周波数比較器
16 ジッタ量検出回路
17 ジッタ量表示器
21 第1の低域通過フィルタ
22 第2の低域通過フィルタ
23 動作範囲判定回路
24 同期判定回路
25 制御回路
41 第3の低域通過フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】制御電圧に応じた周波数の参照信号を出力する電圧制御発振器(12)と、前記参照信号と被測定信号との間の周波数および位相を比較するディジタル型の位相周波数比較器(13)と、前記位相周波数比較器の出力信号から測定対象のジッタの周波数帯域以下の信号成分を誤差信号として抽出する第1の低域通過フィルタ(14)と、前記誤差信号から被測定信号のジッタ量を検出するジッタ量検出手段(16)と、前記誤差信号に含まれる直流成分を、該誤差信号に含まれる前記測定対象のジッタの周波数帯域の信号成分より大きな電圧に増幅し、該増幅した信号を制御信号として前記電圧制御発振器に出力するアクティブ型の第2の低域通過フィルタ(22)と、前記誤差信号が前記位相周波数比較器の直線動作範囲に対応する第1の電圧範囲を越えているか否かを判定する動作範囲判定手段(23)と、前記第2の低域通過フィルタの出力信号が前記第1の電圧範囲より広く設定された第2の電圧範囲を越えているか否かを判定することによって被測定信号に対して参照信号が同期しているか否かを判定する同期判定手段(24)とを備えたジッタ測定装置。
【請求項2】制御電圧に応じた周波数の参照信号を出力する電圧制御発振器(12)と、前記参照信号と被測定信号との間の周波数および位相を比較するディジタル型の位相周波数比較器(13)と、前記位相周波数比較器の出力信号から測定対象のジッタの周波数帯域以下の信号成分を誤差信号として抽出する第1の低域通過フィルタ(14)と、前記誤差信号から被測定信号のジッタ量を検出するジッタ量検出手段(16)と、前記誤差信号に含まれる直流成分を抽出し、該抽出した信号を制御信号として前記電圧制御発振器に出力する第2の低域通過フィルタ(16)と、前記誤差信号に含まれる直流成分を、該誤差信号に含まれる前記測定対象のジッタの周波数帯域の信号成分より大きな電圧に増幅して出力するアクティブ型の第3の低域通過フィルタ(41)と、前記誤差信号が前記位相周波数比較器の直線動作範囲に対応する第1の電圧範囲を越えているか否かを判定する動作範囲判定手段(23)と、前記第3の低域通過フィルタの出力信号が前記第1の電圧範囲より広く設定された第2の電圧範囲を越えているか否かを判定することによって被測定信号に対して参照信号が同期しているか否かを判定する同期判定手段(24)とを備えたジッタ測定装置。

【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図8】
image rotate


【図9】
image rotate


【図1】
image rotate


【図5】
image rotate


【図7】
image rotate


【図6】
image rotate