説明

スイング逆止弁

【課題】弁体の開閉動作の速度を制御して、弁体が弁座に激しく衝突するのを確実に防止し得るスイング逆止弁を提供する。
【解決手段】スイング逆止弁3の弁箱9の外壁にシリンダー装置20を付設し、弁体を開状態と閉状態に揺動可能に支持する弁棒11とシリンダー装置20のピストン22を連結機構で連結し、弁体の開閉動作とピストン22の往復移動が連動するようにする。さらに、シリンダー装置20のシリンダー室25内に流出入する流体の流路となる連通管28に流量調整弁26を介装して、流量を適宜に設定する。シリンダー室25内に流出入する流体の流量を調整することで、ピストン22の移動が緩慢となって弁体の開閉動作のブレーキとして作用し、弁体を緩慢に動作させることができる。弁体の開動作と連動するピストン22の移動により容積を拡大させるシリンダー室25を連通管28により弁体の上流側に連通しても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路内の流体を一方向にのみ流して逆流を阻止するために流路に設けられるスイング逆止弁において、急激な弁体の開閉動作を防止するようにしたスイング逆止弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のスイング逆止弁の一例を図9を参照して説明する。図9は、従来のスイング逆止弁の一例の構造を示す縦断面図である。図9において、スイング逆止弁3は、弁箱9内に弁体10が弁棒11により揺動自在に支持され、実線で示したように、流体を流す方向と反対方向に弁体10が自重により揺動して弁座12に密着当接して閉状態となるように構成されている。そして、破線で示したように、弁体10は自重の力に抗して押し開けられて流体を流す方向に揺動されて開状態となるように構成されている。かかる構成で、上流側の流体の圧力が下流側より高ければ、その圧力差で弁体10は流体を流す方向に揺動して弁座12から離れ、流体の通過を許容する。そして、下流側の流体の圧力が上流側より高ければ、その圧力差および弁体10の自重で、弁体10は流体を流す方向とは逆方向に揺動して弁座12に密着当接して、流体の逆方向の通過を阻止する。
【0003】
上述の従来のスイング逆止弁3では、上流側が下流側より高い圧力である際に、その圧力差で弁体10が押し開けられて開状態となるために、圧力差が小さいと、弁体10の自重が閉方向に作用しているために、弁体10を押し開ける力が小さくて全開位置まで開成できず、弁体10は中途の開度で保持される。すると、弁体10により流路面積が狭搾されて流路抵抗が大きくなり、それだけ圧力損失を生ずるという問題があった。また、上流側が下流側より低い圧力による圧力差で弁体10が弁座12に押し付けられて密着して閉状態となって逆流の阻止がなされるが、その圧力差が小さいと、弁体10を弁座12に当接させる力が小さく、逆流方向の漏れを生ずる問題があった。
【0004】
これらの不具合を改善する技術が、特開昭56−134675号公報に示されている。この公報に示された技術は、以下のごときものである。スイング逆止弁の弁箱内にシリンダー装置を配設し、弁体を開状態と閉状態とに揺動自在に支持する弁棒とシリンダー装置のピストンを連結機構で連結して、弁体の開閉動作とピストンの往復移動が連動するようになされる。さらに、弁体の開動作と連動するピストンの移動により容積を拡大させるシリンダー室内を弁体の上流側に連通させ、弁体の閉動作と連動するピストンの移動により容積を拡大する他方のシリンダー室内を弁体の下流側に連通させている。
【特許文献1】特開昭56−134675号公報
【0005】
かかる構成にあっては、上流側が下流側より高い圧力であれば、その圧力差で弁体が押し開けられて開状態とする力が作用するのとともに、上流側の高い圧力の流体がシリンダー室内に流入してその容積を拡大してピストンを移動させて弁体を開状態とす力が作用する。もって、小さな圧力差であっても、弁体を完全開状態とすることができ、流路抵抗を小さくできて圧力損失を生ずることがない。また、上流側が下流側より低い圧力であれば、その圧力差で弁体が弁座に押し付けられて閉状態とする力が作用するとともに、下流側の高い圧力の流体が他方のシリンダー室内に流入してその容積を拡大してピストンを反対方向に移動させて弁体を閉状態とす力が作用する。もって、小さな圧力差であっても、弁体を弁座に確実に密着当接させて完全閉状態とすることができ、逆流方向の漏れを確実に阻止することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の図9に示す構造の従来のスイング逆止弁3および特開昭56−134675号公報に示されたスイング逆止弁のいずれにあっても、弁体10が開閉動作する速度を制御する機構は何ら設けられていない。そこで、上流側より下流側の圧力が一時的に急激に高くなった場合等には、その圧力差と弁体10の自重により、弁体10が急激に閉方向に揺動されて弁座12に激しく衝突し、弁体10および弁座12に損傷を生ずる場合があった。
【0007】
例えば、図10に示すごとく、複数台の曝気ブロア1、1が、スイング逆止弁3、3とその下流側に送気弁5、5をそれぞれに介して集合管7に連通され、この集合管7の他端が分岐されて散気装置8、8、8、8に連通された構成にあっては、1台の曝気ブロワ1が停止され、他方の曝気ブロワ1の運転が継続された場合に、曝気ブロワ1が停止された際に、それに連通するスイング逆止弁3は、下流側に運転が継続される他方の曝気ブロワ1の圧力が加わり、上流側が下流側より急激に低い圧力となり、上述のごとき弁体10が弁座12に衝突する等の不具合が生ずる。
【0008】
また、弁体10が弁座12に近づき、流路内を流れる流体の流量が減少して行くと、ある流量の際に急に流路内の圧力と流れ速度に激しい脈動と振動を起こすサージングと称される現象が生ずる虞があることが知られている。しかし、このサージングの現象については、その要因が十分には未だ解明されておらず確実な対策がなされていない現状にある。そして、サージングが起こると、弁体10が前後に激しく揺動され、弁体10が弁座12に繰り返して激しく衝突し、異常騒音を発するとともに弁体10および弁座12に損傷を生じさせる。
【0009】
本発明は、上述のごとき事情に鑑みてなされたもので、弁体の開閉動作の速度を制御することで、弁体が弁座に激しく衝突するのを確実に防止し得るようにしたスイング逆止弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上述のごとき問題点を解決するためになされたもので、本発明のスイング逆止弁は、流路内の流体を一方向にのみ流して逆流を阻止するために前記流路に設けられるスイング逆止弁において、弁箱の外壁にシリンダー装置を付設し、前記スイング逆止弁の弁体を開状態と閉状態に揺動可能に支持する弁棒と前記シリンダー装置のピストンを連結機構で連結して、前記弁体の開閉動作と前記ピストンの往復移動が連動するようになし、前記シリンダー装置のシリンダー室内に流出入する流体の流路に流量調整手段を設けて構成されている。
【0011】
そして、本発明のスイング逆止弁は、流路内の流体を一方向にのみ流して逆流を阻止するために前記流路に設けられるスイング逆止弁において、弁箱の外壁にシリンダー装置を付設し、前記スイング逆止弁の弁体を開状態と閉状態に揺動可能に支持する弁棒と前記シリンダー装置のピストンを連結機構で連結して、前記弁体の開閉動作と前記ピストンの往復移動が連動するようになし、前記弁体の開動作と連動する前記ピストンの移動により容積を拡大させる前記シリンダー装置のシリンダー室を前記弁体の上流側に連通し、その連通流路に流量調整手段を設けて構成しても良い。
【0012】
また、本発明のスイング逆止弁は、流路内の流体を一方向にのみ流して逆流を阻止するために前記流路に設けられるスイング逆止弁において、弁箱の外壁にシリンダー装置を付設し、前記スイング逆止弁の弁体を開状態と閉状態に揺動可能に支持する弁棒と前記シリンダー装置のピストンを連結機構で連結して、前記弁体の開閉動作と前記ピストンの往復移動が連動するようになし、前記弁体の閉動作と連動する前記ピストンの移動により容積を拡大させる前記シリンダー装置のシリンダー室を前記弁体の下流側に連通し、その連通流路に流量調整手段を設けて構成することもできる。
【0013】
さらに、本発明のスイング逆止弁は、流路内の流体を一方向にのみ流して逆流を阻止するために前記流路に設けられるスイング逆止弁において、弁箱の外壁にシリンダー装置を付設し、前記スイング逆止弁の弁体を開状態と閉状態に揺動可能に支持する弁棒と前記シリンダー装置のピストンを連結機構で連結して、前記弁体の開閉動作と前記ピストンの往復移動が連動するようになし、前記弁体の開動作と連動する前記ピストンの移動により容積を拡大させる前記シリンダー装置のシリンダー室を前記弁体の上流側に連通し、前記弁体の閉動作と連動する前記ピストンの移動により容積を拡大させる前記シリンダー装置の他方のシリンダー室を前記弁体の下流側に連通し、前記シリンダー室内にそれぞれ連通する連通流路のいずれか一方または双方に流量調整手段を設けて構成することも可能である。
【0014】
そしてまた、自重により前記弁体が閉方向に揺動する力を減殺するように、前記弁棒にバランス調整手段を設けて構成しても良い。
【0015】
そしてさらに、前記流量調整手段を前記シリンダー室への流体の流入と流出とで異なる流量調整に設定し得るように構成しても良い。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載のスイング逆止弁にあっては、弁体を揺動自在に支持する弁棒とシリンダー装置のピストンを連結機構で連結し、シリンダー室内に流出入する流体の流路に流量調整手段を設けているので、シリンダー室内に流出入する流体の流量が制御されて瞬時に流体が流出入することができず、設定された流量で徐々に流出入なされ、このシリンダー装置のピストンの緩慢な動作が弁体の揺動に対してブレーキとして作用し、弁体の揺動が緩慢なものとなる。そこで、上流側より下流側の圧力が一時的に急激に高くなっても、弁体が弁座に激しく衝突するようなことがない。また、サージングの現象が起きた場合にあっても、弁体はサージングの脈動と振動に対応して揺動できず、弁体が前後に激しく揺動されることがなく、弁体が弁座に繰り返して激しく衝突するようなこともない。
【0017】
そして、請求項2記載のスイング逆止弁にあっては、弁体の開動作と連動するピストンの移動により容積を拡大させるシリンダー装置のシリンダー室を弁体の上流側に連通したので、上流側が下流側よりも高い圧力の場合に、高い圧力の上流側の流体がシリンダー室内に流入してその容積を拡大させてピストンを移動させ、このピストンの移動により弁体が完全開状態となって流路抵抗を小さくできる。
【0018】
また、請求項3記載のスイング逆止弁にあっては、弁体の閉動作と連動するピストンの移動により容積を拡大させるシリンダー装置のシリンダー室を弁体の下流側に連通したので、上流側が下流側よりも低い圧力の場合に、高い圧力の下流側の流体がシリンダー室内に流入してその容積を拡大させてピストンを移動させ、このピストンの移動により弁体は弁座に確実に密着当接されて完全閉状態となり、もって逆流方向の漏れを確実に阻止できる。
【0019】
さらに、請求項4記載のスイング逆止弁にあっては、弁体の開動作と連動するピストンの移動により容積を拡大させるシリンダー装置のシリンダー室を弁体の上流側に連通し、弁体の閉動作と連動するピストンの移動により容積を拡大させるシリンダー装置の他方のシリンダー室を弁体の下流側に連通したので、上流側が下流側よりも高い圧力の場合に、高い圧力の上流側の流体がシリンダー室内に流入してその容積を拡大させてピストンを移動させ、このピストンの移動により弁体が完全開状態となって流路抵抗を小さくでき、また上流側が下流側よりも低い圧力の場合に、高い圧力の下流側の流体が他方のシリンダー室内に流入してその容積を拡大させてピストンを移動させ、このピストンの移動により弁体は弁座に確実に密着当接されて完全閉状態となり、もって逆流方向の漏れを確実に阻止できる。
【0020】
そしてまた、請求項5記載のスイング逆止弁にあっては、自重による弁体を閉方向に揺動する力を減殺するように、弁棒にバランス調整手段を設けたので、上流側が下流側より高い圧力の場合に、弁体を小さな圧力差でも確実に押し開けることができ、弁体により流路が狭搾されることがない。
【0021】
そしてさらに、請求項6記載のスイング逆止弁にあっては、流量調整手段をシリンダー室への流体の流入と流出とで異なる流量調整に設定し得るようにしたので、シリンダー装置によるブレーキ作用を弁体の開動作と閉動作とで相違させて設定できる。そこで、弁体の開動作と閉動作の速度を相違させて適宜に設定し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の第1実施例を図1および図2を参照して説明する。図1は、本発明のスイング逆止弁の第1実施例の構造を示す図である。図2は、シリンダー装置の配管図であり、(a)はシリンダー室内が流量調整弁を介装した連通管の先端が大気に連通した構造を示す図であり、(b)はシリンダー室内が流量調整弁とチェック弁を並列に介装した連通管の先端が液体中に没するように連通した別の構造を示す図である。
【0023】
まず、スイング逆止弁3本体は、図9に示す従来例と全く同じである。そして、弁箱9の外壁にシリンダー装置20が付設され、ピストン22の連接棒23がクランクアーム24を介して弁棒11に連結される。この弁棒11は、弁箱9の外壁を適宜な気密状態で貫通して外方に突出されている。そして、クランクアーム24は、弁棒11に対して相対的に回転しないように固定されればよい。これらの連接棒23とクランクアーム24からなる連結機構により、弁体10の開閉動作とピストン22の往復移動が連動するようになされる。さらに、ピストン22の移動によりその容積を拡大および縮小させるシリンダー装置20のシリンダー室25が流量調整手段としての流量調整弁26を介装した流路としての連通管28で大気に連通される。この配管構造が、図2(a)に示される。
【0024】
かかる構成において、弁体10の閉状態で、スイング逆止弁3の上流側が下流側よりも圧力が高くなると、その圧力差により弁体10が自重に抗して開状態となる方向に揺動されて押し開けられる。この際、弁体10の開方向への揺動に伴いピストン22が移動してシリンダー装置20のシリンダー室25の容積を拡大しようとするが、流量調整弁26によりシリンダー室25に流入できる流量が設定されており、急激には流入できず、ブレーキとして作用し、弁体10の開動作の速度が緩慢なものとなる。また、弁体10の開状態で、スイング逆止弁3の上流側が下流側よりも圧力が低くなると、その圧力差および弁体10の自重により弁体10が閉状態となる方向に揺動される。この際、弁体10の閉方向への揺動に伴いピストン22が移動してシリンダー装置20のシリンダー室25の容積を縮小しようとするが、流量調整弁26によりシリンダー室25から流出できる流量が設定されており、急激には流出できず、ブレーキとして作用し、弁体10の閉動作の速度が緩慢なものとなる。したがって、弁体10は急激に開閉動作することがなく、弁体10が弁座12に急激に衝突して破損を生ずるようなことがない。しかも、弁体10の開閉動作が緩慢となるために、サージングの現象に対してもその脈動と振動に対応して動作することがなく、弁体10が弁座12に繰り返して衝突するようなこともない。また、弁箱9の外壁にシリンダー装置20を付設し、弁箱9の外部で弁棒11とピストン22を連結機構で連結しているので、スイング逆止弁3自体は図9に示すごとき従来の構造と同様なものを用いることができる。
【0025】
ところで、図2(a)に示す配管構造では、弁体10の開動作と閉動作とで、シリンダー装置20と流量調整弁26によるブレーキとして作用する力は同じである。しかし、図2(b)に示す配管構造では、弁体10の開動作と閉動作とで、ブレーキとして作用させる力を相違させることができ、一方の動作を他方の動作より早くするように設定することができる。しかも、そのブレーキ作用をより大きなものとすることができる。図2(b)の配管構造にあっては、シリンダー室25が、流量調整手段として流量調整弁26とチェック弁30が並列に介装して連通管28に連通され、この連通管28の先端が液体32中に没するようになされている。この図2(b)の配管構造では、シリンダー室25の容積を拡大する弁体10の開動作に対してチェック弁30が順方向に設定されているので流入する流量は規制されずブレーキとしての作用が小さなものとなり、またシリンダー室25の容積を縮小する弁体10の閉動作に対してチェック弁30が逆方向に設定されているので流出する流量は規制されてブレーキとしての作用が大きなものとなる。よって、弁体10の動作方向により、ブレーキの作用が相違することとなる。しかも、シリンダー室25に流出入する流体を、大気よりも粘性の大きな液体32とすることで、より大きなブレーキとしての作用が得られる。
【0026】
なお、上記の第1実施例において、弁体10の開動作で容積が拡大されるシリンダー室25に流体を流出入させているが、これに限られず、弁体10の開動作で容積が縮小される他方のシリンダー室に流体を流出入させても良いことは容易に理解されるであろう。そして、弁体10の開動作で容積が拡大されるシリンダー室25と容積が縮小される他方のシリンダー室の双方に、流体を流出入させても良いことは勿論である。さらに、流量調整手段は、図2(a)に示すごとく1つの流量調整弁26による構成や、図2(b)に示すごとく流量調整弁26とチェック弁30の並列回路による構成に限られず、流量調整弁26とチェック弁30の並列回路に第2の流量調整弁が直列に接続されても良く、また第2の流量調整弁とチェック弁30の直列回路に流量調整弁26が並列に接続されても良い。しかも、弁体10の開動作および閉動作のいずれに対してブレーキ作用が大きくなるように設定するかは、チェック弁30を接続する方向を適宜に設定すれば良いことは容易に理解し得るであろう。
【0027】
次に、本発明の第2実施例を図3および図4を参照して説明する。図3は、本発明のスイング逆止弁の第2実施例の構造を示す図である。図4は、図3のシリンダー装置の配管図である。図3および図4において、図1および図2と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0028】
第2実施例において、第1実施例と相違するところは、連通流路としての連通管28の先端が、弁体10より上流側の上流側弁箱フランジ34に穿設されて流路に連通する連通孔に接続されたことにある。また、弁棒11に固定連結されるクランクアーム24は、連接棒23と連結されるのと反対側に大きく伸ばされ、その反対側に大きく伸びた部分にバランス調整手段としての重り36が配設されたことにある。なお、ピストン22に対してシリンダー室25と反対側にある他方のシリンダー室38は大気に連通されている。
【0029】
かかる構成において、弁体10をその自重により閉方向に揺動させるように作用する力に対して、重り36により反対方向に揺動させる力を作用させて、相互に打ち消し合わせ、弁体10の自重による影響を排除することができる。そこで、上流側が下流側よりも僅かに圧力が高いだけでも、その圧力差により弁体10を開状態となる方向に十分に揺動させて押し開けることができる。そして、連通管28の先端を弁体10の上流側に連通することで、上流側の高い圧力の流体がシリンダー室25に流入してピストン22を移動させ、このピストン22に連接棒23とクランクアーム24により連結される弁体10を開方向に揺動させる。もって、弁体10を完全開状態とすることができる。なお、第1実施例と同様に、弁体10の開閉動作の速度は、流量調整弁26により緩慢なものとなることは勿論である。
【0030】
そして、本発明の第3実施例を図5および図6を参照して説明する。図5は、本発明のスイング逆止弁の第3実施例の構造を示す図である。図6は、図5のシリンダー装置の配管図である。図5および図6において、図1ないし図4と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0031】
第3実施例において、第1実施例と相違するところは、シリンダー装置20の他方のシリンダー室38(ピストン22に対してシリンダー室25と反対側にあり、弁体10の開動作でその容積が縮小される)が、流量調整弁40を介装して連通流路としての連通管42の先端が、弁体10より下流側の下流側弁箱フランジ44に穿設されて流路に連通する連通孔に接続されたことにある。また、弁棒11に固定連結されるクランクアーム24は、連接棒23と連結される先端部がバランス調整手段としてのコイルバネ46により弁体10を開方向に揺動させるように弾性付勢されていることにある。なお、シリンダー室25は大気に連通されている。
【0032】
かかる構成において、弁体10をその自重により閉方向に揺動させるように作用する力に対して、コイルバネ46の弾力により打ち消し、弁体10の動作がその自重にり影響されないようにされている。そして、連通管42の先端を弁体10の下流側に連通することで、下流側の高い圧力の流体が他方のシリンダー室38に流入してピストン22を移動させ、このピストン22の移動により弁体10を閉方向に揺動させる。もって、弁体10を弁座12に確実に密着当接させて完全閉状態とすることができる。なお、第1実施例と同様に、弁体10の開閉動作の速度は、流量調整弁40により緩慢なものとなることは勿論である。
【0033】
さらに、本発明の第4実施例を図7および図8を参照して説明する。図7は、本発明のスイング逆止弁の第4実施例の構造を示す図である。図8は、図7のシリンダー装置の配管図である。図7および図8において、図1ないし図6と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0034】
第4実施例において、第1実施例と相違するところは、連通管28の先端が、弁体10より上流側の上流側弁箱フランジ34に穿設されて流路に連通する連通孔に接続されるとともに、シリンダー装置20の他方のシリンダー室38が、流量調整弁40を介装した連通管42の先端が、弁体10より下流側の下流側弁箱フランジ44に穿設されて流路に連通する連通孔に接続されたことにある。
【0035】
かかる構成において、連通管28の先端を弁体10の上流側に連通することで、上流側の高い圧力の流体がシリンダー室25に流入してピストン22を移動させ、このピストン22に連接棒23とクランクアーム24により連結される弁体10を開方向に揺動させる。もって、弁体10を完全開状態とすることができる。また、他方のシリンダー室38を流量調整弁40を介して連通管42の先端を弁体10の下流側に連通することで、下流側の高い圧力の流体が他方のシリンダー室38に流入してピストン22を移動させ、このピストン22の移動により弁体10を閉方向に揺動させる。もって、弁体10を弁座12に確実に密着当接させて完全閉状態とすることができる。
【0036】
なお、上記実施例において、本発明のスイング逆止弁は、流路内に気体が流れるものに限られず、流路内に液体が流れるものに適用することもできる。そして、第2ないし第4実施例において、連通管28、42の先端が上流側弁箱フランジ34、下流側弁箱フランジ44に穿設した連通孔に接続されるものに限られず、弁箱9に弁体10よりも上流側または下流側で流路に連通するように穿設された連通孔に接続されても良い。また、第4実施例にあっては、連通管28、42に流量調整弁26、40がそれぞれに介装されているが、いずれか一方の連通管にのみ介装させても良い。さらに、シリンダー装置20のピストン22の移動に対するシリンダー室25と他方のシリンダー室38の容積変化が同じであるようにしても良く、また上記実施例とは逆に、ピストン22の移動に対してシリンダー室25の容積変化が他方のシリンダー室38の容積変化よりも小さくなるように設定しても良い。そしてまた、バランス調整手段は、第2および第3実施例のものに限られず、弁体10の自重による閉方向へ揺動させる力を減殺させるいかなる手段が用いられていても良く、そのバランス調整手段を設ける箇所は、上記実施例に限られるものでない。そしてさらに、弁棒11とピストン22を連結する連結機構は、上記実施例のものに限られず、弁体10の開閉動作とピストン22の往復移動が連結されるならば、いかなる構造の連結機構であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明のスイング逆止弁の第1実施例の構造を示す図である。
【図2】シリンダー装置の配管図であり、(a)はシリンダー室内が流量調整弁を介装した連通管の先端が大気に連通した構造を示す図であり、(b)はシリンダー室内が流量調整弁とチェック弁を並列に介装した連通管の先端が液体中に没するように連通した別の構造を示す図である。
【図3】本発明のスイング逆止弁の第2実施例の構造を示す図である。
【図4】図3のシリンダー装置の配管図である。
【図5】本発明のスイング逆止弁の第3実施例の構造を示す図である。
【図6】図5のシリンダー装置の配管図である。
【図7】本発明のスイング逆止弁の第4実施例の構造を示す図である。
【図8】図7のシリンダー装置の配管図である。
【図9】従来のスイング逆止弁の一例の構造を示す縦断面図である。
【図10】複数台の曝気ブロアがスイング逆止弁をそれぞれに介して集合管に連通された一例の配管図である。
【符号の説明】
【0038】
1 曝気ブロワ
3 スイング逆止弁
5 送気管
7 集合管
8 散気装置
9 弁箱
10 弁体
11 弁棒
12 弁座
20 シリンダー装置
22 ピストン
23 連接棒
24 クランクアーム
25 シリンダー室
26、40 流量調整弁
28、42 連通管
30 チェック弁
32 液体
34 上流側弁箱フランジ
36 重り
38 他方のシリンダー室
44 下流側弁箱フランジ
46 コイルバネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路内の流体を一方向にのみ流して逆流を阻止するために前記流路に設けられるスイング逆止弁において、弁箱の外壁にシリンダー装置を付設し、前記スイング逆止弁の弁体を開状態と閉状態に揺動可能に支持する弁棒と前記シリンダー装置のピストンを連結機構で連結して、前記弁体の開閉動作と前記ピストンの往復移動が連動するようになし、前記シリンダー装置のシリンダー室内に流出入する流体の流路に流量調整手段を設けて構成したことを特徴とするスイング逆止弁。
【請求項2】
流路内の流体を一方向にのみ流して逆流を阻止するために前記流路に設けられるスイング逆止弁において、弁箱の外壁にシリンダー装置を付設し、前記スイング逆止弁の弁体を開状態と閉状態に揺動可能に支持する弁棒と前記シリンダー装置のピストンを連結機構で連結して、前記弁体の開閉動作と前記ピストンの往復移動が連動するようになし、前記弁体の開動作と連動する前記ピストンの移動により容積を拡大させる前記シリンダー装置のシリンダー室を前記弁体の上流側に連通し、その連通流路に流量調整手段を設けて構成したことを特徴とするスイング逆止弁。
【請求項3】
流路内の流体を一方向にのみ流して逆流を阻止するために前記流路に設けられるスイング逆止弁において、弁箱の外壁にシリンダー装置を付設し、前記スイング逆止弁の弁体を開状態と閉状態に揺動可能に支持する弁棒と前記シリンダー装置のピストンを連結機構で連結して、前記弁体の開閉動作と前記ピストンの往復移動が連動するようになし、前記弁体の閉動作と連動する前記ピストンの移動により容積を拡大させる前記シリンダー装置のシリンダー室を前記弁体の下流側に連通し、その連通流路に流量調整手段を設けて構成したことを特徴とするスイング逆止弁。
【請求項4】
流路内の流体を一方向にのみ流して逆流を阻止するために前記流路に設けられるスイング逆止弁において、弁箱の外壁にシリンダー装置を付設し、前記スイング逆止弁の弁体を開状態と閉状態に揺動可能に支持する弁棒と前記シリンダー装置のピストンを連結機構で連結して、前記弁体の開閉動作と前記ピストンの往復移動が連動するようになし、前記弁体の開動作と連動する前記ピストンの移動により容積を拡大させる前記シリンダー装置のシリンダー室を前記弁体の上流側に連通し、前記弁体の閉動作と連動する前記ピストンの移動により容積を拡大させる前記シリンダー装置の他方のシリンダー室を前記弁体の下流側に連通し、前記シリンダー室内にそれぞれ連通する連通流路のいずれか一方または双方に流量調整手段を設けて構成したことを特徴とするスイング逆止弁。
【請求項5】
請求項1ないし4記載のいずれかのスイング逆止弁において、自重により前記弁体が閉方向に揺動する力を減殺するように、前記弁棒にバランス調整手段を設けて構成したことを特徴とするスイング逆止弁。
【請求項6】
請求項1ないし4記載のいずれかのスイング逆止弁において、前記流量調整手段を前記シリンダー室への流体の流入と流出とで異なる流量調整に設定し得るように構成したことを特徴とするスイング逆止弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−266416(P2006−266416A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−86701(P2005−86701)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(000151058)株式会社電業社機械製作所 (21)
【Fターム(参考)】