説明

スクリーン印刷装置及びその印刷方法

【課題】印刷バンプの微細化に対しても半田ペーストの廃棄作業をメンテナンスフリーで対応でき、半田コスト及び生産性の向上を可能としたスクリーン印刷装置及びその方法を提供する。
【解決手段】スクリーン印刷装置1は、ノズル42を有する印刷ヘッド4を上下に昇降するヘッド上下駆動部5が、スクリーンマスクS面へのノズル42の押付け力F1を調整するノズル押付け力調整機構7と、スクリーンマスク面を見切るための掻き取り機構9とを、また印刷ヘッド4がノズルからの半田ペーストPの吐出力F2を調整する吐出力調整機構8を各々有していて、ノズルとスクリーンマスクとの密着力F3を任意に調整できるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半田ペースト等をスクリーンマスクを介して基板に印刷するスクリーン印刷装置及びその印刷方法に係り、特に高密度・高多層基板のスクリーン印刷を得るのに好適なスクリーン印刷装置及びその印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にプリント基板と半導体チップを接続する技術としてフリップチップ(FC)方式と呼ばれる半田バンプ(微細な半田の突起物)を使用して接合する方式が採用されている。この方式は、平面的に半田バンプを配置することで数千から数万の接続点数を一度に接続できるため、IT化の進展によって益々高機能化する半導体チップの接続条件は微細・高密度・高点数化が急速に進んでいる。この近年の半導体の高機能化、高集積化の流れから、パッケージ基板の半田バンプにおいても、印刷バンプの益々の微細化が求められている。
【0003】
半田バンプの印刷装置は印刷パターンに合わせて穴S1が開けられたスクリーンマスクをワーク上に載せ、印刷ヘッドにより半田ペーストをマスク穴S1に充填することで印刷を行う装置であり、従来では図5に示すようなスクリーン印刷装置が用いられている。このスクリーン印刷装置1は、ワーク(基板)Wの位置決めを行うワークアライメント部2、スクリーンマスクSを上下に昇降するマスク上下駆動部3、印刷ヘッド4、該印刷ヘッド4を上下に昇降するヘッド上下駆動部5及び該印刷ヘッド4を左右に往復移動するヘッド往復駆動部6等より基本的に構成されている。この印刷装置1では、ワークWをワークアライメント部2のテーブル上に載置した後、ワークWの位置決めを行い、次いで半田印刷装置でマスク上下駆動部6によりスクリーンマスクSをワークW上に重ね、ヘッド往復駆動部6及びヘッド上下駆動部5によって印刷ヘッド4を移動して半田ペーストPをスクリーンマスクSを介してワークW上に塗布することによって、ワークW上に半田バンプBを印刷している。
【0004】
この従来の印刷装置1では、印刷ヘッド4として一般に図6に示されるスキージ型印刷ヘッドか又は図7に示される密閉型印刷ヘッドが使用されている。スキージ型印刷ヘッド4は、半田ペーストPをスキージ41で挟んでスクリーンマスクS上を移動してワークW上にバンプ印刷を行うものであり、一方、密閉型印刷ヘッド4は、その先端にノズル42を有していて、半田ペーストPを吐出するノズル42をスクリーンマスクSに接触した状態でこの上を移動させてワークW上にバンプ印刷を行うものである。
【0005】
近年、印刷バンプの微細化に応じてスクリーンマスクSのマスク穴S1も微細化し、半田ペーストPも印刷だれ防止のために高粘度化していることから、従来のスキージ型印刷ヘッドのスキージ41による印圧ではペーストのマスク穴S1への充填が難しくなり、高圧で充填可能な密閉型印刷ヘッドが主流になりつつある。しかしながら、スキージ型印刷ヘッドに比べ、密閉型印刷ヘッドではノズル42先端の半田ペーストPが固着して印刷不良を起こすという問題がある。
【0006】
図8は、(a)ノズル先端に半田ペーストPの固着が発生する前と(b)固着が発生した後の状態とを説明する図である。即ち、半田ペーストPは、固体の半田粒子とフラックス溶剤の混合物であり、図8(a)に示すように半田粒子間がフラックス溶剤で満たされているため、半田ペーストPは流動性を保っている。この点、スキージ型ヘッドでは図6に示すように印刷動作により半田ペーストPは全体に流動・撹拌するため凝集が防止され流動性を維持するが、密閉型ヘッドでは半田ペーストPはノズル42内に拘束されるため、印刷動作により流動することも無く特にノズル先端付近の半田粒子はほとんど流動せず、液体のフラックス溶剤のみがノズル42とスクリーンマスクSとの密着面やスクリーンマスクSとワークWとの間隙gから流れ出るため、図8(b)に示すように半田粒子同士が凝集・固着し流動性を失う。流動性を失った半田ペーストPは印刷の際にスクリーンマスクSのマスク穴S1の中に十分に流入せず、バンプ欠け不良の原因になる。
【0007】
上記の問題に対し従来のスクリーン印刷装置では、定期的にノズル先端に固着した半田ペーストPを掻き出して廃棄する方法で対処してきたが、現状でも50回の印刷作業毎にこの廃棄作業が必要であり、更に微細バンプに対応した小型印刷ヘッドでは10回の印刷毎に廃棄作業が必要となり、著しく生産性を低下させている。今後、更にバンプの微細化が進むことから半田ペーストPの半田粒子の微細化・高機能化が要求されており、廃棄作業による従来の固着対応方法における半田コスト及び生産性の低下が問題となっているため、廃棄作業が不要でより高生産性・省資源な半田バンプの印刷方法が求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、定期的に印刷ヘッドのノズル先端の固着した半田ペーストを掻き出して廃棄する従来の廃棄作業を必要とせず、印刷バンプの微細化に対してもメンテナンスフリーで対応でき、半田コスト及び生産性の向上を可能としたスクリーン印刷装置及びその印刷方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の各請求項に記載のスクリーン印刷装置及びスクリーン印刷方法を提供する。
請求項1に記載のスクリーン印刷装置は、ノズル42を有する印刷ヘッド4を上下に昇降するヘッド上下駆動部5が、スクリーンマスク面へのノズル42の押付け力F1を調整するノズル押付け力調整機構7を、また印刷ヘッド4が、ノズル42からの半田ペーストPの吐出力F2を調整する吐出力調整機構8をそれぞれ有していて、ノズル42とスクリーンマスクSとの密着力F3を任意に制御できるようにしたものである。これにより、印刷するときには、ノズル42の先端をスクリーンマスク面にぴったりと密着させるようにして通常印刷動作を行え、ノズル先端に半田が凝集した際のノズル42のクリーニング時には、ノズル先端とスクリーンマスク面との間に間隙gを形成することで凝集した半田ペーストPを流出させることができ、メンテナンスフリーで印刷不良が生じずに100回以上の連続印刷が可能となる。
【0010】
請求項2の該印刷装置は、ヘッド上下駆動部5がスクリーンマスク面を見切るための掻き取り機構9を更に有しているものであり、これにより、スクリーンマスク面に付着した余剰半田を除去することができる。
請求項3の該印刷装置は、ノズルクリーニング時においては、ノズル42の先端とスクリーンマスク面との間に間隙gを形成するようにしたものであり、これにより、この隙間からフラックスが減少し、凝集した半田ペーストPを流出させることができる。
【0011】
請求項4に記載のスクリーン印刷装置は、印刷時には、印刷ヘッド4のノズル42をスクリーンマスク面に押し付ける押付け力F1が、ノズル42から半田ペーストPを吐出する吐出力F2よりも大きくなるようにして、ノズル先端をスクリーンマスク面に密着させることで印刷を行い、またノズルクリーニング時には、ノズル42のスクリーンマスク面への押付け力F1が半田ペーストPの吐出力F2よりも小さくなるようにして、ノズル42の先端とスクリーンマスク面との間に間隙gを生じさせることで、フラックスが減少した半田ペーストPを間隙から流出させるようにしたものであり、請求項1の装置発明を方法発明にしたものであり、請求項1と同様の作用効果を奏する。
請求項5の該印刷方法は、掻き取り機構によってスクリーンマスク面を見切ることにより、スクリーンマスク面に付着した余剰半田を除去するようにしたものであり、請求項2の装置発明を方法発明にしたものであり、請求項2と同様の作用効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に従って本発明の実施の形態のスクリーン印刷装置及びその印刷方法について説明する。図1は、本発明の実施の形態のスクリーン印刷装置の全体構成を示す図である。本発明のスクリーン印刷装置1は、基本的に、テーブル21上に載置した、パッケージ基板であるワークWをX軸、Y軸及びθ方向に位置決めするワークアライメント部2、スクリーンマスクS(以下、「スクリーン」と称す)を上下に昇降するマスク上下駆動部3、半田ペーストPを吐出する印刷ヘッド4、この印刷ヘッド4を上下に昇降するヘッド上下駆動部5及び印刷ヘッド4を横方向(左右方向)に往復移動するヘッド往復駆動部6等より構成されている。
【0013】
ワークアライメント部2は、ワークWを載置して保持するテーブル21、X軸方向に移動するX方向移動台22、Y軸方向に移動するY方向移動台23及びθ方向に回動する回動台24とより構成されていて、これらが一緒に組み合わされて印刷装置1の基台11上に設置されている。テーブル21の上面は、多数の吸引孔(図示せず)を有する吸着面であって、ワークWを載せた状態でこれを吸着して位置決めすることができる。これら吸引孔は図示されない真空ポンプに接続している。テーブル21は、X方向移動台22上に支持され、X方向移動台22はY方向移動台23上に支持され、更にY方向移動台23が回動台24上に支持されている。これによって、テーブル21上のワークWの位置がX軸、Y軸及びθ方向に修正できるようになっている。なお、X軸、Y軸方向の移動及びθ方向の回動は、サーボモータ25によってそれぞれ行われる。
【0014】
スクリーンSとは、マスクの表面に所定のパターン(マスク穴S1)が形成されているもの、例えば、メタルマスクや、狭義のスクリーンマスクを含む概念である。このスクリーンSは、マスク上下駆動部3によって上下に昇降することが可能である。即ち、マスク上下駆動部3は、基台11上に立設された昇降ガイド体12に取り付けられた昇降用シリンダ31と、昇降用シリンダ31内を摺動するピストン体32と、このピストン体32に固定されている昇降部材33及びこの昇降部材33に結合されている、スクリーンSを両側で保持する保持部材34より構成されており、昇降部材33を上下動させることによって、保持部材34により保持されたスクリーンSが上下に昇降する。昇降部材33は、例えば昇降用シリンダ31内に導入される流体によって作動される。
【0015】
印刷装置1の基台11上に立設された左右の昇降ガイド体12間を架設して横架体13が設けられている。この横架体13には、これに平行に横方向のガイド体14が設けられている。ガイド体14には、ガイド体14に沿って横方向に往復摺動可能な往復移動部材15が嵌合していて、この往復移動部材15にヘッド上下駆動部5が取り付けられている。また、横架体13上にはヘッド往復駆動部6が設置されており、このヘッド往復駆動部6の往復動部材61の先端にヘッド上下駆動部5が取り付けられている。図1では、ヘッド往復駆動部6としてボールネジ機構が採用されている。したがって、ヘッド往復駆動部6の作動による往復動部材61の横方向の前進/後退に従って、ヘッド上下駆動部5も横方向に移動する。
【0016】
ヘッド上下駆動部5は、往復動部材61の先端に固着されたシリンダ部51と、このシリンダ部51内を摺動するピストン部52とから構成され、このピストン部52の先端部位に本発明の特徴であり、後に詳述するノズル押付け力調整機構7、掻き取り機構9及び吐出力調整機構8を有する印刷ヘッド4等が設けられている。このようにして、印刷ヘッド4は、横方向への往復移動及び上下方向への昇降の動きが可能である。なお説明においては、マスク上下駆動部3及びヘッド上下駆動部5をピストン−シリンダ機構とし、ヘッド往復駆動部6をボールネジ機構として説明しているが、これらの駆動部3,5,6として直線往復動機構であれば、ピストン−シリンダ機構、ボールネジ機構、ラック−ピニオン機構、リニアモータ機構等の適宜の機構が採用可能である。
【0017】
次に本発明の特徴であるノズル押付け力調整機構7、吐出力調整機構8及び掻き取り機構9について説明する。ヘッド上下駆動部5のピストン部52におけるロッドの先端には、ノズル押付け力調整機構7及び掻き取り機構9を支持する第1支持部材53が取り付けられている。ノズル押付け力調整機構7は、第1シリンダ71と、この第1シリンダ71内を摺動する第1ピストン72と、第1ピストン72のロッド先端に固定された第2支持部材73とより構成されていて、第1シリンダ71内に導入される作動流体によって第1ピストン72、即ち第2支持部材73を上下動する。そしてノズル押付け力調整機構7の第1シリンダ71が第1支持部材53上に載置され保持されている。
【0018】
同様に掻き取り機構9も、第2シリンダ91と、この第2シリンダ91内を摺動する第2ピストン92と、第2ピストン92のロッド先端に取り付けられた、ゴムスキージ、金属ブレード等の掻き取り部93とから構成されていて、第2シリンダ91内に導入される作動流体によって第2ピストン92、即ち掻き取り部93を上下動する。そして、掻き取り機構9の第2シリンダもまた第1支持部材53上に載置され保持されている。
【0019】
ノズル押付け力調整機構7の第2支持部材73には、印刷ヘッド4が取り付けられている。印刷ヘッド4は、円筒状のシリンダ部43、このシリンダ部43内を摺動するピストン部44及びシリンダ部43に連通するノズル42とより構成されており、シリンダ部43が第2支持部材73に固定されている。したがって、上下駆動部5の作動は、ノズル押付け力調整機構7を介して印刷ヘッド4を上下に昇降する。
【0020】
印刷ヘッド4のシリンダ部43上には、半田ペーストPの吐出力F2を調整する吐出力調整機構8が設けられている。吐出力調整機構8は、シリンダ部43上に載置され、固定された第3シリンダ81と、この第3シリンダ81内を摺動する第3ピストン82とより構成されている。この吐出力調整機構8の第3ピストン82と、印刷ヘッド4のピストン部44とは、シリンダ部43及び第3シリンダ81とを貫通するロッド83によって連結されていて、バーベル形状を形成している。第3シリンダ81内には作動流体が導入されるようになっており、印刷ヘッド4のシリンダ部43には半田ペーストPが導入されるようになっている。従って、第3シリンダ81内に作動流体が導入されることによって、第3ピストン82が下降して印刷ヘッド4のシリンダ部43に接続するノズル42から半田ペーストPが吐出されるようになっている。
【0021】
上記構成よりなる本実施形態のスクリーン印刷装置1の動作(印刷方法)について説明する。図2は、実施形態のスクリーン印刷装置の印刷動作を説明する部分拡大図であり、図3は、実施形態のスクリーン印刷装置のノズルクリーニング(廃棄)動作を説明する部分拡大図であり、図4は、印刷動作時とノズルクリーニング時の制御方法を示すグラフである。なお、本発明のスクリーン印刷装置1においても通常と同様のワークWのアライメント操作が行われ、マスク上下駆動部3の作動によってスクリーンSが下降し、ワークW上に密着配置される。
【0022】
印刷時においては、ヘッド上下駆動部5を作動させ、印刷ヘッド4を下降させてノズル42をスクリーンSの上面に接触させる。この場合、ノズル押付け力調整機構7によってノズル42のスクリーンS面への押付け力(ノズル加圧力)F1が調整される。また、印刷ヘッド4のノズル42から吐出される半田ペーストPの吐出力F2も吐出力調整機構8により調整される。この印刷時では、図2及び図4のノズル42の押付け力F1が半田ペーストPの吐出力F2よりも大きくなるように制御される。これによって、ノズル42とスクリーンSとの密着力F3が高くなり、ノズル42とスクリーンS面とはしっかりと密着する。この状態でヘッド往復駆動部6を作動して、スクリーンS面上を印刷ヘッド4が繰り返えし往復移動することで、バンプ印刷が行われる。ノズル42とスクリーンS面とはしっかりと密着しているので、印刷動作に伴なうノズル42とスクリーンSとの隙間からフラックスのみが流出する。
【0023】
次にノズルクリーニング(廃棄)時の動作について説明する。このノズルクリーニングは所定の回数の印刷動作によってフラックスが流出し、ノズル42内の半田粒子の凝集が高まる回数毎に行われるものである。この場合、図4に示すようにノズル42から吐出される半田ペーストPの吐出力F2は、印刷時と同じ吐出力F2にしておき、ノズル押付け力調整機構7によってノズル42のスクリーンS面への押付け力F1を半田ペーストPの吐出力F2よりも小さくなるように制御する。これにより、図3に示すような力のバランスに切り替わり、ノズル42が半田ペーストPの吐出の反力によってノズル42とスクリーンSとの密着力F3が低下し、ノズル42の先端とスクリーンSの上面との間に隙間gが生じ、この隙間gから半田ペーストPが一部流出する。またこのノズルクリーニング時においては、掻き取り機構9が作動され、掻き取り部93が下降して、スクリーンSの上面に接触する位置に配置される。この状態でヘッド往復駆動部6を作動して、スクリーンS面上を印刷ヘッド4が往復移動すると共に、この印刷ヘッド4の動きに追随して掻き取り部93もスクリーンS面上を掻き取り動作しながら往復移動する。これにより、スクリーンS上に流出した半田ペーストPを除去できるので、印刷を停止することなくノズルクリーニングを行える。
【0024】
以上の印刷動作とノズルクリーニング動作とをノズル42における半田凝集状況に合わせて組み合わせることで、ノズル42の先端部での半田ペーストPの状態を維持することができる。また、スクリーンS上に付着した余剰半田は、スクリーンS面を見切るための掻き取り機構9の掻き取り部91によって除去されるため、スクリーンSの清掃も同時に行われ、乾燥によって発生した異物の除去も行う構成となっている。
【0025】
以上説明したように、本発明では、通常の印刷時には図2に示すように印刷ヘッド4のノズル42とスクリーンSとが密着することからフラックスのみが流出し、印刷面半田のフラックスが減少するが、ノズルクリーニング動作として定期的に図3に示すようにノズル42とスクリーンSとの間に間隙gを生じさせることで、フラックスが減少した印刷面半田を流出させることができる。ノズルクリーニング動作を数回の通常印刷動作毎に実施することで印刷面半田のフラックス濃度のアンバランスを防ぎ、印刷不良を防止することができる。
具体的には従来では、印刷を約10回程度実施するとノズル印刷面の半田ペーストが固着し、印刷不良が発生するのに対し、本発明の方法により6回毎にノズルクリーニング動作を行うことで印刷不良が生じずにメンテナンスフリーで100回以上の連続印刷が可能となる。
【0026】
また、本発明の構成ではスクリーン面を見切るために掻き取り機構9により、余剰な半田を除去することができるため、ノズルクリーニング動作時もバンプ印刷には支障なく良好な印刷ができるため、ノズルクリーニング(廃棄)のために従来のように装置を停止する必要がなく、半田ペーストが尽きるまで連続印刷が可能となり、高い生産性が維持できる。
更に、従来の印刷装置はスクリーン上に流出したフラックスが乾燥して、汚れとなってスクリーンのマスク穴の目詰まりや印刷不良の原因となっていたが、本発明の構成では、ノズルクリーニング動作による余剰半田の除去動作によってフラックスの乾燥と異物との除去が行われ、スクリーン面の清浄度を維持することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態のスクリーン印刷装置の全体構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態のスクリーン印刷装置の印刷動作を説明する部分拡大図である。
【図3】本発明の実施の形態のスクリーン印刷装置のノズルクリーニング動作を説明する部分拡大図である。
【図4】本発明のスクリーン印刷装置による印刷方法(制御方法)を説明するグラフである。
【図5】従来のスクリーン印刷装置の全体構成図である。
【図6】従来のスキージ型印刷ヘッドを説明する図である。
【図7】従来の密閉型印刷ヘッドを説明する図である。
【図8】従来の密閉型印刷ヘッド内部の半田ペーストとその印刷状態を、(a)固着発生前と(b)固着発生後で説明する図である。
【符号の説明】
【0028】
1 スクリーン印刷装置
14 ガイド体
15 往復移動部材
2 ワークアライメント部
21 テーブル
3 マスク上下駆動部
4 印刷ヘッド
42 ノズル
43 シリンダ部
5 ヘッド上下駆動部
53 第1支持部材
6 ヘッド往復駆動部
7 ノズル押付け力調整機構
71 第1シリンダ
72 第1ピストン
73 第2支持部材
8 吐出力調整機構
81 第3シリンダ
82 第3ピストン
83 ロッド
9 掻き取り機構
91 第2シリンダ
92 第2ピストン
93 掻き取り部
W ワーク
S スクリーンマスク(スクリーン)
P 半田ペースト
g 間隙
1 押付け力
2 吐出力
3 密着力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク(W)を載置し、その位置決めを行うワークアライメント部(2)と、
スクリーンマスク(S)を上下に昇降するマスク上下駆動部(3)と、
半田ペースト(P)をワーク(W)上に印刷するノズル(42)を有する印刷ヘッド(4)と、
前記印刷ヘッド(4)を横方向に往復移動するヘッド往復駆動部(6)と、
前記印刷ヘッド(4)を上下に昇降するヘッド上下駆動部(5)と、
を具備していて、所定のパターンが印刷されるワーク(W)に所定のパターンが形成された前記スクリーンマスク(S)を重ね、前記スクリーンマスク(S)を介して半田ペースト(P)をワーク(W)上に印刷するスクリーン印刷装置において、
前記ヘッド上下駆動部(5)は、前記スクリーンマスク面への前記ノズル(42)の押付け力(F1)を調整するノズル押付け力調整機構(7)を、かつ前記印刷ヘッド(4)は、前記ノズル(42)からの半田ペースト(P)の吐出力(F2)を調整する吐出力調整機構(8)をそれぞれ有していて、
前記ノズル(42)と前記スクリーンマスク(S)との密着力(F3)が任意に制御できるようになっていることを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項2】
前記ヘッド上下駆動部(5)が、スクリーンマスク面を見切るための掻き取り機構(9)を更に有していることを特徴とする請求項1に記載されたスクリーン印刷装置。
【請求項3】
ノズルクリーニング時においては、前記ノズル(42)の先端とスクリーンマスク面との間に隙間を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項4】
所定のパターンが印刷されるワーク(W)に所定のパターンが形成されたスクリーンマスク(S)を重ね、該スクリーンマスク(S)を介して半田ペースト(P)をワーク(W)上に印刷するスクリーン印刷方法において、
印刷時には、印刷ヘッド(4)のノズル(42)をスクリーンマスク面に押し付ける押付け力(F1)が、前記ノズル(42)から半田ペースト(P)を吐出する(F2)吐出力よりも大きくなるようにして、前記ノズル(42)の先端をスクリーンマスク面に密着させることで印刷を行い、また
ノズルクリーニング時には、前記ノズル(42)のスクリーンマスク面への押付け力(F1)が半田ペースト(P)の吐出力(F2)よりも小さくなるようにして、前記ノズル(42)の先端とスクリーンマスク面との間に間隙(g)を生じさせることで、フラックスが減少した半田ペースト(P)を前記隙間から流出させることを特徴とするスクリーン印刷方法。
【請求項5】
更に、掻き取り機構(9)によってスクリーンマスク面を見切ることにより、スクリーンマスク面に付着した余剰半田を除去することを特徴とする請求項4に記載のスクリーン印刷方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−326308(P2007−326308A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−159977(P2006−159977)
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】