説明

スクリーン印刷装置

【課題】デュアル搬送型の部品実装装置に適合可能な高い生産効率を保持しつつ、冗長性の少ない低廉で小型のスクリーン印刷装置を提供すること。
【解決手段】特定方向Yに沿って並置された一対の基板支持テーブル10A、10Bを設け、両基板支持テーブル10A、10Bが共有可能な共有エリアにて、同一の印刷実行部20により交互にスクリーン印刷を施す。その際、一対の基板支持テーブル10A、10Bのうち、印刷位置にある基板支持テーブル10A(10B)が当該印刷位置から退出を開始した時点で他方の基板支持テーブル10B(10A)が印刷位置への進入を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷装置に関し、特に、プリント配線板(Printed Wiring Board: PWB)等の基板に電子部品を実装するための前処理として、当該基板にクリーム半田や導電性ペースト等をスクリーン印刷するスクリーン印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷装置は、プリント回路板(Printed Circuit Board: PCB)の製造ラインに組み込まれ、上流側から搬送されてくる基板に導電性ペースト等のスクリーン印刷を施して下流側の部品実装装置に送り出すものである。生産効率を向上するため、例えば、特許文献1に開示されるように、装置内に基板の搬送方向と直交する水平方向に並置された一対の基板支持テーブルを設け、これら基板支持テーブル毎に印刷実行部を設けたものが開発されている。これは、2つの基板搬送ラインをもち、かつ各搬送ラインで部品実装を同時進行(並行)させる所謂デュアル搬送型の部品実装装置に対応して開発されたもので、これらのスクリーン印刷装置と部品実装装置とを連結することで、部品実装処理の速度向上に対応して印刷工程の効率化を図ることが狙いである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-70867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、各印刷実行部が徒に冗長な構成となり、無駄が多くなっていた。すなわち、同種の基板を連続して生産するような場合、同一の開口パターンを配したスクリーンマスクを二つ作成する必要があり、スクリーンマスクのコストが嵩んでいた。また、それぞれのスクリーンマスクに半田を段取りする必要があったので、段取りに必要な半田量が過剰となり、生産後の半田の処理(廃棄、保管など)においてもそれだけコストが必要となっていた。また、左右に同一の印刷実行部を組み合わせた冗長構成となるため、各印刷実行部を配置するためのスペースを確保する必要が生じる結果、装置自体やそれに付随する基板振り分け装置などのコンベア類も肥大化する傾向にあった。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、デュアル搬送型の部品実装装置に適合可能な高い生産効率を保持しつつ、冗長性の少ない低廉で小型のスクリーン印刷装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、印刷対象となる基板を保持するために設けられ、当該基板の搬送方向と直交する特定方向に沿って並置された一対の基板支持テーブルと、前記特定方向において前記一対の基板支持テーブルが何れも移動可能な共有エリアに設定される印刷位置で、当該基板支持テーブルに担持された基板に対し交互に印刷工程を実施する印刷実行部と、前記特定方向に沿って前記一対の基板支持テーブルを個別に駆動する基板支持テーブル駆動機構と、印刷工程に移行する基板支持テーブルが、前記特定方向に沿って相手側の基板支持テーブルに近接する方向に移動することにより前記印刷位置に進入するとともに、前記印刷位置で印刷工程を終了した基板支持テーブルが、前記特定方向に沿って相手側の基板支持テーブルから離反する方向に移動することにより前記印刷位置から退出するように、前記基板支持テーブル駆動機構を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記一対の基板支持テーブルのうち、前記印刷位置にある一方の基板支持テーブルが当該印刷位置から退出を完了した後、他方の基板支持テーブルが前記印刷位置への進入を完了させるとともに、前記一方の基板支持テーブルが当該印刷位置から退出の期間と前記他方の基板支持テーブルが前記印刷位置への進入の期間について、互いに少なくとも一部が重なるように前記基板支持テーブル駆動機構を制御するものであることを特徴とするスクリーン印刷装置である。この態様では、一つの印刷実行部を一対の基板支持テーブルで共有し、交互にスクリーン印刷を施すことができるので、印刷実行部の冗長性を避けることが可能になる。このため、両基板支持テーブルで同種の基板を連続して生産するような場合は、単一のスクリーンマスクを共用することができ、スクリーンマスクのコストを半減することが可能になる。また、単一のスクリーンマスクを共用できるので、段取りに必要な半田も必要充分な量に留まる。そのため、生産後の半田の処理(廃棄、保管など)においてもコスト低減を図ることが可能となる。また、印刷実行部の冗長性が排除され、印刷実行部の印刷位置を一対の基板支持テーブルの共有エリアとしているので、各基板支持テーブルの特定方向における移動距離を共有エリア分だけ重複させることができる結果、印刷実行部を配置するためのスペースや、基板支持テーブルの移動領域をコンパクトにまとめることができ、装置自体やそれに付随するコンベア類も小型化することが可能となる。しかも印刷工程を交互に繰り返す過程では、一対の基板支持テーブルのうち、印刷位置にある一方の基板支持テーブルが当該印刷位置から退出を完了した後、他方の基板支持テーブルが前記印刷位置への進入を完了させるとともに、一方の基板支持テーブルが当該印刷位置から退出の期間と他方の基板支持テーブルが前記印刷位置への進入の期間について、互いに少なくとも一部が重なるように前記基板支持テーブル駆動機構を制御するので、基板支持テーブルの切換動作も可及的に迅速になり、処理効率が向上する。
【0007】
好ましい態様において、前記制御手段は、前記印刷位置から退出した基板支持テーブルが印刷済の基板を搬出した後、次の印刷工程に移行するまでの間、予め設定された干渉リミットまで印刷位置にある相手側の基板支持テーブルに近接するように前記基板支持テーブル駆動機構を制御するものである。ここで「干渉リミット」とは、一対の基板支持テーブルが干渉しない範囲で近接できる最短距離をいう。この態様では、印刷位置から退出した基板支持テーブルが、その退出後に相手側の基板支持テーブルに近接しているので、次の印刷工程で再び印刷位置に進入する際、進入完了までの時間を可及的に短縮することができる。その結果、全体の処理時間を一層短くし、処理効率を高めることができる。
【0008】
好ましい態様において、前記制御手段は、前記印刷位置に進入する基板支持テーブルと前記印刷位置から退出する基板支持テーブルとの干渉回避を要するか否かを判定する干渉回避要否判定手段と、前記干渉回避要否判定手段が干渉回避を必要と判定した場合に、両基板支持テーブルの干渉を規制する規制手段とを備えている。この態様では、一対の基板支持テーブルが干渉しないように両基板支持テーブルの移動を並行させることができるので、より短時間で一方の基板支持テーブルから他方の基板支持テーブルへの印刷工程の切換を実現することができる。
【0009】
好ましい態様において、前記規制手段は、前記印刷位置に進入する基板支持テーブルの移動速度と前記印刷位置から退出する基板支持テーブルの移動速度との差に応じて前記印刷位置に進入する基板支持テーブルの移動速度を決定するものである。この態様では、基板支持テーブル駆動機構の制御系やセンサ系から容易に取得できる移動速度に基づいて基板支持テーブル同士の干渉回避を実現することができる。
【0010】
好ましい態様において、前記規制手段は、前記印刷位置に進入する基板支持テーブルと前記印刷位置から退出する基板支持テーブルの対向間隔に応じて前記印刷位置に進入する基板支持テーブルの移動速度を決定するものである。この態様では、対向間隔に基づいて基板支持テーブル同士の干渉回避を実現することができる。ここで、「対向間隔」は、定数とは限らず、両基板支持テーブルの移動速度の差に基づいて設定される動的な値であることが好ましい。その場合には、両基板支持テーブルの移動状況に応じて、必要充分な対向間隔をしきい値として設け、干渉回避を図ることができる。
【0011】
好ましい態様において、前記規制手段は、印刷工程が終了した基板支持テーブルが退出を開始してから干渉を回避可能な位置に移動するまでの退出時間と、次の印刷工程に移行する基板支持テーブルが進入を開始してから干渉が生じ得る位置に移動するまでの進入時間とを演算し、前記退出時間と前記進入時間との差分時間経過後に印刷位置に進入する基板支持テーブルの移動を開始させるものである。この態様では、例えば、印刷位置に進入する基板支持テーブルが印刷位置から退出する基板支持テーブルよりも速く移動する場合、両者の対向間隔は、時間の経過とともに短くなり、移動開始後、所定時間経過後に0となる。そのような場合であっても、印刷工程が終了した基板支持テーブルが退出を開始してから干渉を回避可能な位置に移動するまでの退出時間と、次の印刷工程に移行する基板支持テーブルが進入を開始してから干渉が生じ得る位置に移動するまでの進入時間とを演算し、退出時間と進入時間との差分時間経過後に印刷位置に進入する基板支持テーブルの移動を開始させることにより、両基板支持テーブルの干渉を回避しつつ、印刷位置に進入する基板支持テーブルを可及的に印刷位置から退出する基板支持テーブルに近接させることができる。この結果、干渉を回避しつつ、印刷工程が終了した基板支持テーブルから次の印刷工程に移行する基板支持テーブルへの印刷工程の切換を迅速にすることが可能になる。
【0012】
好ましい態様において、前記制御手段は、印刷工程が終了した基板支持テーブルが退出を開始してから退出を完了するまでの退出時間と、次の印刷工程に移行する基板支持テーブルが進入を開始してから前記印刷位置への進入を完了するまでの進入時間とを演算し、一方の基板支持テーブルが退出を開始してから、前記退出時間と前記進入時間との差分時間経過後に他方の基板支持テーブルの進入を開始させるものである。この態様では、例えば、印刷位置に進入する基板支持テーブルが印刷位置から退出する基板支持テーブルよりも速く移動する場合、両者の対向間隔は、時間の経過とともに短くなり、移動開始後、所定時間経過後に0となる。そのような場合であっても、印刷工程が終了した基板支持テーブルが退出を開始してから退出を完了する(すなわち、干渉を回避可能な位置に移動完了する)までの退出時間と、次の印刷工程に移行する他方の基板支持テーブルが進入を開始してから前記印刷位置への進入を完了するまでの進入時間とを演算し、前記一方の基板支持テーブルが退出を開始してから、退出時間と進入時間との差分時間経過後に前記他方の基板支持テーブルの進入を開始させることにより、両基板支持テーブルの干渉を回避しつつ、印刷位置に進入する基板支持テーブルを可及的に印刷位置から退出する基板支持テーブルに近接させることができる。この結果、干渉を回避しつつ、印刷工程が終了した基板支持テーブルから次の印刷工程に移行する基板支持テーブルへの印刷工程の切換を迅速にすることが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、一対の基板支持テーブルが一つの印刷実行部を共有するので、一対の基板支持テーブルに対し、一つのスクリーンマスクを必要とするだけで不必要なスクリーンマスクを作成する必要がなくなり、なおかつ、生産に使用される半田のロスを減らすことができ、コストを抑えることができる。また、二つの基板支持テーブルが共有し得るエリアを有していることで、印刷位置を共有エリアとしてラップさせることができ、装置の小型化が期待できる。しかも印刷工程を交互に繰り返す過程では、一方の基板支持テーブルが当該印刷位置から退出の期間と他方の基板支持テーブルが前記印刷位置への進入の期間について、互いに少なくとも一部が重なるので、基板支持テーブルの切換動作も可及的に迅速になり、処理効率が向上する。従って、本発明によれば、デュアル搬送型の部品実装装置に適合可能な高い生産効率を保持しつつ、冗長性の少ない低廉で小型のスクリーン印刷装置を提供することができるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の一形態に係るスクリーン印刷装置の平面略図である。
【図2】図1のスクリーン印刷装置の側面略図である。
【図3】図1のスクリーン印刷装置の要部を示すブロック図である。
【図4】図1のスクリーン印刷装置の印刷工程を示すフローチャートである。
【図5】図4のフローチャートに基づく交互印刷の動作手順を示す図である。
【図6】図4のフローチャートに基づく交互印刷のタイミングチャートである。
【図7】図4のフローチャートにおける共有エリア進入サブルーチンを示すフローチャートである。
【図8】図7のフローチャートにおける干渉判定処理サブルーチンを示すフローチャートである。
【図9】図7のフローチャートにおける干渉規制処理サブルーチンの一態様(速度制御)を示すフローチャートである。
【図10】図7のフローチャートにおける干渉規制処理サブルーチンの別の態様(間隔制御)を示すフローチャートである。
【図11】図7のフローチャートにおける干渉規制処理サブルーチンのさらに別の態様(時間制御)を示すフローチャートである。
【図12】図4の変形例を示すフローチャートである。
【図13】図12のフローチャートに基づく交互印刷の動作手順を示す図である。
【図14】図12のフローチャートに基づく交互印刷のタイミングチャートである。
【図15】干渉チェックのための一態様を示す側面略図である。
【図16】干渉チェックのための別の態様を示す側面略図である。
【図17】本発明の別の実施形態を示す平面略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施すための最良の形態について説明する。
【0016】
図1および図2を参照して、本実施形態に係るスクリーン印刷装置1は、その下流側にデュアル搬送型の部品実装装置Mtを連結した状態でプリント回路板(PCB)の製造ラインに組み込まれるものである。図示の例では、スクリーン印刷装置1は、並列に配置された2台のローダL1、L2(第1ローダL1、第2ローダL2という)と、1台の部品実装装置Mtとの間に介設されており、上流側の各ローダL1、L2から繰り出されてくる基板Wにスクリーン印刷を施して、下流側の部品実装装置Mtに送り出す構成になっている。
【0017】
なお、以下の説明では、製造ラインにおける基板Wの搬送方向をX軸方向、水平面上でX軸方向と直交する方向をY軸方向、これらX軸、Y軸の両方向に直交する方向(鉛直方向)をZ軸方向としてスクリーン印刷装置1の説明を行う。本実施形態において、Y軸方向は、本発明の「特定方向」の一例である。
【0018】
スクリーン印刷装置1は、X軸方向上流側の端部に2つの基板搬入部En1、En2(第1基板搬入部En1、第2基板搬入部En2という)を有する一方、これらに対応する2つの基板搬出部Ex1、Ex2(第1基板搬出部Ex1、第2基板搬出部Ex2という)を他方側の端部(基板搬送方向における下流側の端部)に有しており、第1ローダL1から繰り出される基板Wを第1基板搬入部En1から装置内に搬入してスクリーン印刷を施し、当該印刷工程後の基板Wを第1基板搬出部Ex1から部品実装装置Mtの第1ベルトコンベア対CM1に搬出する一方で、第2ローダL2から繰り出される基板Wを第2基板搬入部En2から装置内に搬入してスクリーン印刷を施し、当該印刷工程後の基板Wを第2基板搬出部Ex2から部品実装装置Mtの第2ベルトコンベア対CM2に搬出するように構成されている。
【0019】
第1、第2ローダL1、L2には、それぞれ第1、第2ベルトコンベア対CL1、CL2が設けられている。他方、部品実装装置Mtには、第1、第2ベルトコンベア対CL1、CL2に対応して基板搬送ラインを構成する2台のベルトコンベア対CM1、CM2(第1ベルトコンベア対CM1、第2ベルトコンベア対CM2という)が設けられている。基板Wは、これらベルトコンベア対CL1、CL2、CM1、CM2に沿って搬送される。
【0020】
スクリーン印刷装置1は、その基台2上に、基板Wを支持するための2つの基板支持テーブル10A、10Bと、これら基板支持テーブル10A、10Bをそれぞれ交互にY軸方向に移動することにより、当該基台2の上方所定位置(図示の例では、略中央)に設定される印刷位置SPで各基板支持テーブル10A、10Bに支持された基板Wに個別にスクリーン印刷を施す1台の印刷実行部20とを備えている。
【0021】
本実施形態においては、印刷位置SPが定位置に設定されており、第1基板搬入部En1および第1基板搬出部Ex1が基板支持テーブル10Aに、第2基板搬入部En2および第2基板搬出部Ex2が基板支持テーブル10Bにそれぞれ設けられている。印刷位置SPは、図2に示すように、Y軸方向において、基板支持テーブル10A、10Bが何れも基台2上で移動可能な共有エリアの適所(図示の例では、基台2の略中央部分)に設定されている。
【0022】
基板支持テーブル10A、10B(第1基板支持テーブル10A、第2基板支持テーブル10Bという。)は、第1ローダL1、第2ローダL2から繰り出される基板Wを受け取り、前記基板搬入部En1、En2から搬送される基板Wをスクリーン印刷が可能となるように基板支持テーブル10A、10Bの各中央部で支持するとともに、印刷工程後の基板Wを対応する基板搬出部Ex1、Ex2から送り出すものである。これらのうち、第1基板支持テーブル10Aは、第1基板搬入部En1から搬送されてくる基板Wを受け取って、印刷実行部20によりスクリーン印刷が可能となるように基板Wを支持した後、印刷位置SPに移動する。他方、第2基板支持テーブル10Bは、第2基板搬入部En2から搬送されてくる基板Wを受け取って、印刷実行部20によりスクリーン印刷が可能となるように基板Wを支持した後、印刷位置SPに移動するように構成されている。
【0023】
各基板支持テーブル10A、10Bは、X軸方向に細長の平面視略長方形の形状を有しており、ねじ軸4A、4B、モータ5A、5B等によって具体化される基板支持テーブル駆動機構により、個別にY軸方向に移動するように構成されている。すなわち、各基板支持テーブル10A、10Bは、基台2上に設けられたY軸方向に延びる共通の固定レール3上に移動自在に支持されており、それぞれねじ軸4A、4Bを介してモータ5A、5Bにより駆動されるように構成されている。そして、後述する制御ユニット60によるモータ制御に基づき、第1基板支持テーブル10Aは、第1ローダL1から繰り出される基板Wを第1基板搬入部En1で受け取り可能な受取位置と、基板Wを第1基板搬出部Ex1から下流側の部品実装装置Mtのコンベア対CM1に送り出し可能な送出位置と、印刷工程においてスクリーン印刷が施される印刷位置SPとの間で移動する。第2基板支持テーブル10Bは、第2ローダL2から繰り出される基板Wを第2基板搬入部En2で受け取り可能な受取位置と、基板Wを第1基板搬出部Ex2から下流側の部品実装装置Mtのコンベア対CM2に送り出し可能な送出位置と、印刷工程においてスクリーン印刷が施される印刷位置SPとの間で移動するようになっている。加えて、第1基板支持テーブル10A及び第2基板支持テーブル10Bは、予め設定された順序で択一的に、印刷位置SPに配置されるよう、Y軸方向に沿って一方が他方に近接し、他方が一方に対して離反する。ねじ軸4A、4Bには、ロータリエンコーダが取り付けられており、後述する制御ユニット60は、ロータリエンコーダの検出値に基づいて、対応する基板支持テーブル10A、10Bの位置情報と速度情報を取得できるようになっている。
【0024】
各基板支持テーブル10A、10Bは、X軸方向に延びるベルトコンベア対12A、12Bと、このベルトコンベア対12A、12B上の基板Wを印刷可能に保持するクランプユニット14と、このクランプユニット14をベルトコンベア対12A、12Bに沿ってX軸方向に移動させるためのクランプユニット駆動機構等とを備える。
【0025】
上記ベルトコンベア対12A、12Bは、ベルトコンベアからなり、基板支持テーブル10AにおいてX軸方向上流側の端部が基板搬入部En1、X軸方向下流側の端部が基板搬出部Ex1となり、基板支持テーブル10BにおいてX軸方向上流側の端部が基板搬入部En2、X軸方向下流側の端部が基板搬出部Ex2となる。ベルトコンベアは、第1ローダL1、第2ローダL2から繰り出される基板Wを基板搬入部En1、En2で受け取り、基板搬入部En1、En2から基板支持テーブル10A、10B上に設定される所定の位置まで搬送する(以上を基板の搬入と言う)とともに、印刷工程後の基板Wを基板搬出部Ex1、Ex2まで搬送し、さらに基板搬出部Ex1、Ex2から部品実装装置Mtの第1、第2ベルトコンベア対CL1、CL2へ搬送する(以上を基板の搬出と言う)ものである。
【0026】
図2を参照して、基板支持テーブル10A、10Bの各ベース部材140は固定レール3上にY軸方向に移動可能に支持され、各ベース部材140上には
ベース部材140に対してX軸方向に移動可能にXプレート141が設けられている。Xプレート141のY方向両端部には、それぞれベルトコンベア12A(12B)を支持するアーム部材161,161が設けられている。
【0027】
上記クランプユニット14は、両アーム部材161の中間においてXプレート141上に設けられ、ベルトコンベア対12A、12Bから基板Wを持ち上げて支持するバックアップ機構と、アーム部材161,161に設けられ、バックアップ機構によりリフトアップされた基板Wを固定するクランプ機構とを備える。
【0028】
バックアップ機構は、所定配列の複数本のバックアップピン151を備え、かつボールネジ機構等を介して上記Xプレート141上に昇降可能に支持されるバックアップテーブル150と、ボールネジ機構等の駆動用のモータ152等とを含み、このモータ152の駆動によりボールネジ機構等が作動し、バックアップテーブル150が所定の解放位置とこの位置から上昇した作動位置とに変位するように構成されている。ここで、解放位置は、バックアップピン151の先端位置がベルトコンベア対12A、12Bに支持された基板Wの下面より低くなる位置(図2の右側の基板支持テーブル10Bにおいて示す位置)であり、作動位置は、同基板Wの下面よりバックアップピン151の先端位置が高くなる位置(図2の左側の基板支持テーブル10Aにおいて示す位置)である。従って、このバックアップ機構は、図2の左側に示すように、バックアップテーブル150が作動位置に配置されたときに基板Wをベルトコンベア対12A、12Bから持ち上げる。
【0029】
クランプ機構は、ベルトコンベア対12A、12Bの上方位置においてアーム部材161,161に配置されて、X軸方向に互いに平行に延びる一対のクランプ部材160と、クランプ部材駆動用のアクチュエータ、例えば二方向型のエアシリンダ162とを含む。両クランプ部材160のうち一方側のものは、アーム部材161に対してY軸方向に変位可能に組付けられており、前記エアシリンダ162の駆動により、Y軸方向に沿って解放位置とクランプ位置とに変位する。つまり、クランプ機構は、一方側のクランプ部材160が解放位置からクランプ位置に変位することにより、前記バックアップ機構により持ち上げられた基板Wを他方側のクランプ部材160と共にY軸方向に挟み込んでクランプし、クランプ位置から解放位置に変位することにより、クランプした基板Wを解放するように構成されている。
【0030】
なお、印刷工程では、このようにクランプユニット14によりベルトコンベア対12A、12Bから持ち上げられてクランプ部材160にクランプされた状態の基板Wに対して後記スクリーンマスク21を重装して印刷工程を行うようになっており、従って、クランプユニット14は、前記印刷実行部20によるスクリーン印刷が可能となる状態に基板をベルトコンベア対12A、12Bからリフトアップさせて保持する。
【0031】
各アーム部材161は、ベルトコンベア対12A、12Bを外側(Y軸方向における外側)から抱え込むように形成された上で、一方のアーム部材161はXプレート141上一方端部に固定され、他方のアーム部材161はXプレート141上Y軸方向に固定された固定レール164に沿ってスライド可能に設けられている。他方のアーム部材161のスライド量を調整することで、ベルトコンベア対12A、12Bのコンベア幅を調整し、各種のY方向基板幅の基板Wに対応可能としている。さらに、Y方向基板幅に対応させたベルトコンベア対12A、12Bのコンベア幅によらず、ベルトコンベア対12A、12Bと各クランプ部材160とのY軸方向の相対位置が一定に保持することで、基板WのY方向基板幅によらず基板Wを正確にクランプ可能としている。
【0032】
図2を参照して、印刷実行部20は、門型に形成された装置フレーム6によって、基台2の所定位置(図示の例では、基台2の略中央部分)に配置されており、スクリーンマスク保持機構と、スキージユニット保持機構40と、スキージユニット保持機構40に保持されるスキージユニット41と、このスキージユニット41を所定の方向に移動させるスキージ駆動機構(Y’軸駆動機構)等とを備えている。
【0033】
上記スクリーンマスク保持機構は、本体と、スクリーンマスク21と、マスク固定部材22と、マスク固定部材22を昇降させるための第1の昇降駆動機構と、スクリーンマスク保持機構の本体をマスク固定部材22とともにZ軸回りのR方向に回転させる回転駆動機構と、スキージユニット41をスキージユニット保持機構40に対し昇降させるための第2の昇降駆動機構とを含む。なお、印刷実行部20のスクリーンマスク保持機構は、以下に説明するように、各基板支持テーブル10A、10BのXY軸座標に対して、Z軸回りのR方向に相対的に位相が変更されるものであるから、以下の説明では、この相対的に位相が異なる直交座標を「X’Y’」で表すこととする。
【0034】
上記スクリーンマスク保持機構の本体は、基台2に固定配置される不図示のフレームに対し、Z軸回りのR方向に移動可能に設けられ、スクリーンマスク21とスキージユニット保持機構40を保持するための構造体である。スクリーンマスク21とスクリーンマスク21が着脱可能に組付けられた矩形のマスク固定部材22は、スクリーンマスク保持機構の本体に対し、Z軸方向に昇降可能に設けられている。
【0035】
上記スクリーンマスク21は、基板Wに印刷される回路パターンに対応する孔が形成された印刷エリアを備えている。
【0036】
上記マスク固定部材22は、中央にスクリーン印刷用の開口部22aが形成された矩形の枠体で具体化されており、予めマスク固定部材22に組付けられたスクリーンマスク21が当該開口部22aを塞ぐようにこのマスク固定部材22に固定されるようになっている。
【0037】
上記第1の昇降駆動機構は、印刷工程時にマスク固定部材22が上下方向(Z軸方向)に移動し、スクリーンマスク21が、基板支持テーブル10A、10Bにクランプ保持された基板Wと重装する重装位置と、この重装位置よりも上方の解放位置とに変位する機能を奏するようになっている。
【0038】
上記回転駆動機構は、図略のサーボモータや動力伝達機構を備え、上述のように、スクリーンマスク保持機構の本体をマスク固定部材22とともにZ軸回りにR方向に回転させるものである。この回転駆動機構により、基板支持テーブル10A(10B)に保持された基板Wに対し、スクリーンマスク21のR方向の位相を微調整することができる。
【0039】
上記第2の昇降駆動機構は、ボールねじ機構や、サーボモータ等で具体化され、スキージ42がスクリーンマスク21に摺接する印刷位置と、この印刷位置よりも上方の解放位置とにスキージ42を昇降させるためのものである。上記スクリーンマスク保持機構は、スキージユニット保持機構40を介してスキージユニット41を上下に保持するとともに、上記第2の昇降機構によって、スキージ42を印刷位置と解放位置との間で昇降させる。
【0040】
スキージユニット保持機構40は、上記スクリーンマスク保持機構の本体上部に対してY’軸方向(スクリーンマスク保持機構の本体に設定された座標系におけるものであり、スクリーンマスク保持機構の本体のR方向の回動量が0の場合、基台2上に設定された座標系のY軸方向と一致する)に移動可能に配置されて、スキージユニット41をZ軸方向に昇降可能に保持している。
【0041】
上記スキージユニット41は、スキージユニット保持機構40に対し、Z軸方向に昇降可能に設けられ、クリーム半田、導電ペースト等のペーストをスクリーンマスク21上でローリング(混練)しながら拡張するスキージ42と、スクリーンマスク21に対するスキージ42の傾き方向および傾き角度を変更するための図外のスキージ角度可変機構等とを備えている。
【0042】
スキージ42は、例えば硬質ウレタン、あるいはステンレスからなるX軸方向に細長い長方形の板状部材であり、スキージユニット41に組み付けられている。
【0043】
上記Y’軸駆動機構は、モータ46(図3参照)と、このモータ46に回動されることによって、スキージユニット保持機構40をY’軸方向に往復移動させるねじ送り機構等とにより構成されており、これらの機構によって、スキージユニット41をスキージユニット保持機構40ごとY’軸方向に駆動するものである。
【0044】
印刷実行部20には、撮像ユニット50が併設されている。撮像ユニット50は、スクリーンマスク21と基板Wとの相対的な位置関係を画像認識するためのものであり、スクリーンマスク21の下面に記されるマークや記号等の複数の標識を下側から撮像する2個のマスク認識カメラ50Aと、基板支持テーブル10A、10Bに支持されている基板Wのマークや記号等の複数の標識を上側から撮像する2個の基板認識カメラ50Bからなる。各マスク認識カメラ50Aは、スクリーンマスク保持機構の本体にX’軸方向、Y’軸方向(スクリーンマスク保持機構の本体に設定されたX’Y’座標系の各座標軸方向)に移動可能に配置され、各基板認識カメラ50Bは、スクリーンマスク保持機構の本体に固定配置されている。各マスク認識カメラ50Aは、図外のX’−Y’ロボットに連結されることにより水平方向に二次元的に移動可能に設けられており、後述する制御ユニット60によるX’−Y’ロボットの制御に基づき、スクリーンマスク21段取り時等にスクリーンマスク21の下側に進入してスクリーンマスク21下面の上記各標識を撮像する。一方、各基板認識カメラ50Bは、基板支持テーブル10A(10B)が印刷実行部20に搬送された時、基板W上記各標識を撮像する。両カメラ50A,50Bにより認識されたスクリーンマスク21の2つの標識(フィデューシャルマーク)位置と基板上の2つの標識(フィデューシャルマーク)位置は、スクリーンマスク21の基板WとのR方向位置合わせを前提としたR方向角度に基づき、X’Y’座標系から基台2上のX−Y座標系に座標変換された後、スクリーンマスク21のR方向位置調整と、基板WのXY位置調整が実施される。
【0045】
図3に示すように、制御ユニット60(本発明の制御手段の一例である)は、マイクロプロセッサ等で構成される演算処理部61と、印刷処理のためのトランザクションデータ等を記憶する印刷プログラム記憶部62と、制御に要するマスタデータ等を記憶するデータ記憶部63と、前記モータ5A、5B等のアクチュエータ類を駆動するアクチュエータ制御部64と、種々のインターフェース等で構成される外部入出力部65と、キャプチャーボード等で構成される画像処理部66とを有しており、各アクチュエータ類や、マスク認識カメラ17等のカメラ類は、全てこの制御ユニット60によって制御可能に電気的に接続されている。従って、前記基板支持テーブル10A、10Bおよび印刷実行部20による一連の印刷処理動作、つまり前記基板搬入部En1、En2での第1ローダL1、第2ローダL2から繰り出される基板Wの受け取り、基板Wへのスクリーン印刷および基板搬出部Ex1、Ex2からの基板Wの搬出の一連の動作は、この制御ユニット60により統括的に制御される。また制御ユニット60には、処理状態をGUI等で表示可能な表示ユニット70と、ポインティングディバイス等で構成される図略の入力装置とが接続されており、オペレータの操作によって、トランザクション用のデータ入力や、制御処理を実現するプログラムの設定や変更等ができるようになっている。なお、印刷プログラム記憶部62とデータ記憶部63とは、何れもROM、RAM、補助記憶装置等を組み合わせて実現される論理的な概念である。
【0046】
次に、この制御ユニット60の制御に基づくスクリーン印刷装置1の印刷工程について説明する。
【0047】
図4を参照して、制御ユニット60は、第1基板支持テーブル10Aと、第2基板支持テーブル10Bとをそれぞれ独立して作動させ、それぞれにおいて、基板の搬入(ステップS1A、S1B)と、マーク認識(ステップS2A、S2B)と、共有エリアへの基板支持テーブル10A、10Bの進入サブルーチン(ステップS3A、S3B)と、版合わせ(Xテーブル141のX方向位置調整による基板WのX方向位置調整、基板支持テーブル10A、10Bのモータ5A、5Bによる基板WのY方向位置調整、スクリーンマスク保持機構の回転駆動機構によるスクリーンマスク保持機構の本体のR方向位置調整によるスクリーンマスク21のR方向位置調整)(ステップS4A、S4B)と、クリーム半田を掻き取る掻取動作(ステップS5A、S5B)と、版離れ(ステップS6A、S6B)と、共有エリアからの基板支持テーブル10A、10Bの退出動作(ステップS7A、S7B)と、退出後に印刷済の基板Wを搬出する搬出動作(ステップS8A、S8B)とを生産枚数分だけ繰り返し実行する。各ステップのうち、進入サブルーチン(ステップS3A、S3B)から退出動作(ステップS7A、S7B)までが狭義の印刷工程となる。また、各ステップのうち、マーク認識(ステップS2A、S2B)には、例えば、基板Wの標識を認識する「マーク認識」、部品実装後に分割される多面取りの基板Wのいくつかに設定された不良マークを認識する「バッドマーク認識」、さらに基板W上に付着した異物を検査する「異物検査」等の工程が含まれる。
【0048】
本実施形態においては、二つの基板支持テーブル10A、10Bが単一の印刷実行部20を共有し、共有エリアに設定された印刷位置SPに交互に進退する必要があることから、図5(A)〜(C)並びに図6に示したように、何れか一方の基板支持テーブル10A(10B)が、所定の進入速度Vsで印刷位置SPに向け進入する動作を、予め設定された条件下で他方の基板支持テーブル10B(10A)が所定の退出速度Vpで印刷位置SPから退出する動作と同期させ、基板支持テーブル10A、10Bの切換動作の効率化を図っている。
【0049】
図6を参照して、本実施形態では、一方の基板支持テーブル10A(10B)が印刷位置SPに向け進入する動作と他方の基板支持テーブル10B(10A)が印刷位置SPから退出する動作とを「並行」して実行し、両基板支持テーブル10A、10Bが一定の距離を維持して干渉しないように、図4のステップS3A(またはS3B)が、ステップS7B(またはステップS7A)と同期される。これにより、図6に示したように、極めて効率的に両基板支持テーブル10A、10Bの切換動作が効率化される。ここで、上記「並行」は、一対の基板支持テーブルのうち、一方の基板支持テーブル10A(10B)が印刷位置SPへ進入する期間と、他方の基板支持テーブル10B(10A)が当該印刷位置から退出する期間について、互いに少なくとも一部が重複していればよい。すなわち、進入を開始するタイミングが、必ずしも退出を開始するタイミングと同期している必要はない。
【0050】
次に、図4のフローチャートにおける共有エリア進入サブルーチンS3について説明する。
【0051】
図7を参照して、共有エリア進入サブルーチンS3は、図5(A)〜(C)並びに図6に示した動作を実現するためのものである。制御ユニット60は、受取位置から印刷位置SPに到達するまでに、干渉判定処理を実行し(ステップS30)、次いで干渉回避が必要か否かを判定する(ステップS31)。仮に干渉回避が必要な場合、制御ユニット60は、干渉規制処理を実行し(ステップS40)、その後、Y軸方向への移動(軸移動ともいう)を実行する(ステップS32)。軸移動では、受取位置から印刷位置SPまでの距離に基づいて、対応する基板支持テーブル10A、10Bの進入速度Vsを設定し、ねじ軸4A(4B)のモータ5A(5B)の回転速度を決定して駆動する。これにより、2台の基板支持テーブル10A、10Bを効率よく交互に受取位置から印刷位置SPに搬送し、印刷工程を施すことが可能である。なお、基板支持テーブル10A、10BをY軸方向に搬送する基板支持テーブル駆動機構は、同一仕様のねじ軸4A、4B並びにモータ5A、5Bを採用しているため、所定間隔を隔てた状態で同時に進入と退出を同一の速度で実行すれば、両者が干渉することはない。しかしながら、何らかの原因で、それぞれの移動速度が異なる場合や、対向間隔が変化する場合があるので、本実施形態では、そのような場合にステップS30の干渉判定処理を実行して、干渉回避の要否を判定し(ステップS31)、必要に応じて、ステップS40の干渉規制処理を実行することとしている。なお、軸移動を継続中に印刷位置SPに到達したか否かの判断を行い(ステップS33)、到達していなければ再びステップS30の干渉判定処理に進み、到達していれば、メインフローに移行して、図4の版合わせ(ステップS4A,S4B)に戻る。
【0052】
図8を参照して、ステップS30の干渉判定処理を実行するサブルーチンにおいて、制御ユニット60は、まず、印刷位置SPから退出する基板支持テーブル10A(10B)の現在位置を取得し(ステップS301)、当該基板支持テーブル10A(10B)が干渉し得るエリア内にあるか否かを判定する(ステップS302)。
【0053】
仮に退出する基板支持テーブル10A(10B)が干渉し得るエリア内にある場合、制御ユニット60は、さらに、退出する基板支持テーブル10A(10B)の退出速度Vpと、印刷位置SPに向け進入する基板支持テーブル10B(10A)の進入速度Vsとを取得し(ステップS303、S304)、両者を比較する(ステップS305)。仮に進入速度Vsが退出速度Vpよりも速い場合、制御ユニット60は、干渉回避が必要であると判定し(ステップS306)、進入速度Vsが退出速度Vp以下の場合、制御ユニット60は、干渉回避が不要であると判定する(ステップS307)。また、ステップS302の判定において、退出する基板支持テーブル10A(10B)が干渉し得るエリア内にない場合にも、制御ユニット60は、干渉回避が不要であると判定する(ステップS307)。ここで、「干渉し得るエリア」とは、印刷位置SPを占める領域において、両基板支持テーブル10A、10Bの移動速度差と対向間隔に基づき動的に設定される領域であり、制御ユニット60のデータ記憶部63には、「干渉し得るエリア」を決定する計算式またはマップが事前に記憶されている。
【0054】
以上の処理を経て、干渉回避の要否判定を下し、制御ユニット60は、図7の共有エリア進入サブルーチンS3に復帰する。
【0055】
次に、共有エリア進入サブルーチンS3の干渉規制処理サブルーチンS40について説明する。この干渉規制処理サブルーチンS40は、いくつかの態様で実現することが可能である。
【0056】
第1の態様は、速度制御によって、干渉を回避する方法である。
【0057】
図9を参照して、速度制御によって干渉を回避する場合、制御ユニット60は、印刷位置SPに進入する基板支持テーブル10B(10A)の進入速度Vsを低減し(ステップS401)、印刷位置SPから退出する基板支持テーブル10A(10B)の退出速度Vp以下に制御する(ステップS402)。この制御方法により、印刷位置SPに進入する基板支持テーブル10B(10A)が印刷位置SPから退出する基板支持テーブル10A(10B)と干渉することを防止することができる。
【0058】
第2の態様は、対向間隔を制御する方法である。
【0059】
図10を参照して、対向間隔を制御する場合には、予め対向間隔のしきい値Ltを定め、データ記憶部63に保存しておく。その上で、両基板支持テーブル10A、10Bの対向間隔を取得(演算)し(ステップS410)、しきい値Ltと対向間隔との大小関係を比較する(ステップS411)。しきい値Ltは、定数であってもよいが、進入速度Vsと退出速度Vpに基づいて変更される変数であってもよい。特に、進入速度Vsと退出速度Vpの相対的な関係によっては、対向間隔が狭まる時間も変化する(進入速度Vsから退出速度Vpを差し引いた速度差が大きい程、当該時間が短くなる)ので、その変化率、或いはイナーシャに対する安全率等を見越した値を設定することが好ましい(当該時間が短くなる程、しきい値Ltを大きく設定する)。
【0060】
仮に対向間隔がしきい値Lt以上である場合には、印刷位置SPに進行する基板支持テーブル10B(10A)の進入速度Vsを維持する(ステップS412)。他方、対向間隔がしきい値Lt以下の場合には、印刷位置SPに進行する基板支持テーブル10B(10A)の進入速度Vsを低減する(ステップS413)。進入速度Vsを減速する度合は、対向間隔としきい値Ltとの差に応じて変更してもよく(対向間隔としきい値Ltとの差が小さい程、減速度合を大きくする)、或いは、一律に設定していてもよい。何れの場合においても、進入速度Vsを0にする、すなわち、停止する態様を含めていてもよい。このように、対向間隔をしきい値Ltと比較することにより、印刷位置SPに進入する基板支持テーブル10B(10A)が印刷位置SPから退出する基板支持テーブル10A(10B)と干渉することを防止することができる。
【0061】
第3の態様は、移動タイミングを制御する方法である。
【0062】
図11を参照して、移動タイミングを制御する場合には、まず、印刷位置SPにある基板支持テーブル10A(10B)が退出を開始してから干渉回避可能な位置に退出するまでの時間Tpと、次の印刷工程を待機している基板支持テーブル10B(10A)が進入を開始してから干渉し得る位置に到達するまでの時間Tmを演算する(ステップS421、S422)。ここで、「干渉回避可能な位置」は、原則として、退出する基板支持テーブル10A(10B)が印刷位置SPから退出した位置をいう。尤も、両基板支持テーブル10A、10Bの退出速度Vp、進入速度Vsを考慮すれば、必ずしも印刷位置SPから退出した位置である必要はなく、例えば、退出速度Vp、進入速度Vsに応じて「印刷位置SPのエリアからn%退出したエリア」というように、動的に設定してもよい。同様に、「干渉し得る位置」も、印刷位置SP内の全てのエリアに限らず、進入速度Vs、退出速度Vpに応じて「印刷位置SPにm%進入したエリア」というように、動的且つ限定的に設定してもよい。
【0063】
次いで、両時間Tp、Tmの差Tsを演算し(ステップS423)、印刷位置SPにある基板支持テーブル10A(10B)が退出を開始してから差Tsが経過するまで待機する(移動タイミングをずらす)(ステップS424)。進入と退出の各期間を完全に一致させる完全同期ではなく、各期間の一部において進入と退出を並行して実施することになるこの態様によっても、基板印刷の効率化(所定時間内に何枚の基板Wを、印刷を実行し印刷スクリーン印刷装置1から下流機の部品実装装置Mtに搬出できるかのスループット値を大きくする)とともに、印刷位置SPに進入する基板支持テーブル10B(10A)が印刷位置SPから退出する基板支持テーブル10A(10B)と干渉することを防止することができる。
【0064】
図9〜図11の各サブルーチンは、スクリーン印刷装置1の機種、運転条件
等に応じて選択される。或いは、予め全てのサブルーチンを制御ユニット60に記憶しておき、スクリーン印刷装置1の設置時、または運転時に自動または手動で切り換えることができるようにしておいてもよい。
【0065】
他方、2台の基板支持テーブル10A、10Bの対向間隔が充分に広い場合には、干渉が生じにくい代わりに一方の印刷工程から他方の印刷工程に切り換えるための時間が余分にかかる恐れがある。そこで、スクリーン印刷装置1の態様によっては、図4の制御に代えて、図12の制御を採用してもよい。
【0066】
図12を参照して、同図に示す制御態様では、マーク認識動作(ステップS2A、S2B)と、共有エリア進入動作(ステップS3A、S3B)の間に、干渉リミットまで印刷工程を待機している基板支持テーブル10B(10A)を印刷位置SPにある基板支持テーブル10A(10B)に近接させる干渉リミット近接動作(ステップS30A、S30B)を実行することとしている。
【0067】
図13を参照して、干渉リミットLiとは、2台の基板支持テーブル10A、10Bが干渉しない範囲で近接できる最短距離をいう。この態様を採用した場合には、図14に示すように、基板Wの搬入を終了し、印刷工程を待機している基板支持テーブル10B(10A)が印刷待機中に印刷中の基板支持テーブル10A(10B)に可及的に近接した状態で待機しているので、印刷工程を終了した基板支持テーブル10A(10B)の退出が開始されてから、印刷工程に移行する基板支持テーブル10B(10A)を並行して進入させた場合、両基板支持テーブル10A、10Bの対向間隔を干渉リミットLiに維持したまま並行動作させることが可能になる。この結果、退出が始まってから次の印刷工程に移行するタイミングを極限まで短縮し、極めて短い時間で効率的に両基板支持テーブル10A、10Bでの交互印刷を実現することが可能になる。なおこの場合、基板支持テーブル10A、10Bの一方の受取位置から印刷位置SPに向けての進入期間の一部を他方における印刷と並行して実施することになり、これも基板印刷の効率化に寄与している。
【0068】
図12〜図14で示した態様においても、図7の共有エリア進入サブルーチンS3や、干渉判定処理サブルーチンS30を用いて、干渉を回避しつつ、退出動作と進入動作を並行することが可能である。また、干渉回避のための具体的な手法として、図9、図11に示した干渉規制処理サブルーチンS40を採用することが可能である。さらに、しきい値Ltを干渉リミットLiとすることにより、図10に示した干渉規制処理サブルーチンS40を採用することも可能である。
【0069】
以上説明したように、本実施形態は、一つの印刷実行部20を一対の基板支持テーブル10A、10Bで共有し、交互にスクリーン印刷を施すことができるので、印刷実行部20の冗長性を避けることが可能になる。このため、両基板支持テーブル10A、10Bで同種の基板Wを連続して生産するような場合は、単一のスクリーンマスク21を共用することができ、スクリーンマスク21のコストを半減することが可能になる。また、単一のスクリーンマスク21を共用できるので、段取りに必要な半田も必要充分な量に留まる。そのため、生産後の半田の処理(廃棄、保管など)においてもコスト低減を図ることが可能となる。また、印刷実行部20の冗長性が排除され、印刷実行部20の印刷位置SPを一対の基板支持テーブル10A、10Bの共有エリアとしているので、各基板支持テーブル10A、10BのY軸方向における移動距離を共有エリア分だけ重複させることができる結果、印刷実行部20を配置するためのスペースや、基板支持テーブル10A、10Bの移動領域をコンパクトにまとめることができ、装置自体やそれに付随するコンベア類も小型化することが可能となる。しかも印刷工程を交互に繰り返す過程では、一対の基板支持テーブル10A、10Bのうち、印刷位置SPにある基板支持テーブル10A、10B
が印刷工程を終了して当該印刷位置SPから退出を開始した時点で、待機中の基板支持テーブル10A、10Bが前記印刷位置SPへの進入を開始するので、基板支持テーブル10A、10Bの切換動作も可及的に迅速になり、処理効率が向上する(前記したスループット値が大きくなる)。
【0070】
また本実施形態では、前記制御ユニット60は、前記印刷位置SPから退出した基板支持テーブル10A、10Bが印刷済の基板Wを搬出した後、次の印刷工程に移行するまでの間、予め設定された干渉リミットまで印刷位置SPにある相手側の基板支持テーブル10A、10Bに近接するように前記基板支持テーブル駆動機構を制御するものである。このため本実施形態では、印刷位置SPから退出した基板支持テーブル10A、10Bが、その退出後に相手側の基板支持テーブル10A、10Bに近接しているので、次の印刷工程で再び印刷位置SPに進入する際、進入完了までの時間を可及的に短縮することができる。その結果、全体の処理時間を一層短くし、処理効率を高めることができる。
【0071】
また本実施形態では、前記制御ユニット60は、前記印刷位置SPに進入する基板支持テーブル10B(10A)が前記印刷位置SPから退出する基板支持テーブル10A(10B)と干渉回避を要するか否かを判定する干渉回避要否判定手段と、前記干渉回避要否判定手段が干渉回避を必要と判定した場合に、両基板支持テーブル10A、10Bの干渉を規制する規制手段と論理的に備えている。このため本実施形態では、一対の基板支持テーブル10A、10Bが干渉しないように両基板支持テーブル10A、10Bの移動を並行させることができるので、より短時間で一方の基板支持テーブル10A(10B)から他方の基板支持テーブル10B(10A)への印刷工程の切換を実現することができる。
【0072】
また本実施形態の一態様では、前記規制手段としての制御ユニット60は、前記印刷位置SPに進入する基板支持テーブル10B(10A)の進入速度Vsと前記印刷位置SPから退出する基板支持テーブル10A(10B)の退出速度Vpとの差に応じて前記印刷位置SPに進入する基板支持テーブル10B(10A)の移動速度を決定する。このため本実施形態では、基板支持テーブル駆動機構の制御系やセンサ系から容易に取得できる移動速度に基づいて基板支持テーブル10A、10B同士の干渉回避を実現することができる。
【0073】
また、本実施形態において、規制手段を構成する制御ユニット60は、印刷位置SPに進入する基板支持テーブル10B(10A)と印刷位置SPから退出する基板支持テーブル10A(10B)の対向間隔に応じて印刷位置SPに進入する基板支持テーブル10B(10A)の進入速度(移動速度)Vsを決定するものである。このため本実施形態では、対向間隔に基づいて基板支持テーブル同士の干渉回避を実現することができる。また「対向間隔」も、定数とは限らず、基板支持テーブル10A、10Bの進入速度Vs、退出速度Vpの差に基づいて設定される動的な値であることが好ましい。その場合には、両基板支持テーブル10A、10Bの移動状況に応じて、進入速度Vs、退出速度Vpの差が大きい程、より大きい必要充分な対向間隔をしきい値Ltとして設け、干渉回避を図ることができる。
【0074】
また本実施形態の一態様では、前記規制手段としての制御ユニット60は、印刷工程が終了した基板支持テーブル10A(10B)が退出を開始してから干渉を回避可能な位置に移動するまでの退出時間Tpと、次の印刷工程に移行する基板支持テーブル10B(10A)が進入を開始してから干渉が生じ得る位置に移動するまでの進入時間Tmとを演算し、前記退出時間Tpと前記進入時間Tmとの差分時間Ts経過後に、印刷位置SPに進入する基板支持テーブル10B(10A)の移動を開始させるものである。このため本実施形態では、両基板支持テーブル10A、10Bの干渉を回避しつつ、印刷位置SPに進入する基板支持テーブル10B(10A)を可及的に印刷位置SPから退出する基板支持テーブル10A(10B)に近接させることができる。この結果、干渉を回避しつつ、印刷工程が終了した基板支持テーブル10A、10Bから次の印刷工程に移行する基板支持テーブル10A、10Bへの印刷工程の切換を迅速にすることが可能になる。すなわち、基板支持テーブル10A、10Bの一方の印刷工程が終了する前に、他方における受取位置から印刷位置SPに向けての進入を開始することで、処理効率を高めることができる。
【0075】
上述したスクリーン印刷装置1は、本発明の好ましい実施形態の例示であって、その具体的な構成は本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0076】
例えば、移動タイミングを制御する場合、印刷工程が終了した基板支持テーブル10A(10B)が印刷位置SPから退出を開始してから退出を完了するまでの時間を退出時間とし、次の印刷工程に移行する基板支持テーブル10B(10A)が進入を開始してから印刷位置SPの進入を完了するまでの時間を進入時間として演算し、一方の基板支持テーブル10A(10B)が退出を開始してから、前記退出時間と前記進入時間との差分時間経過後に、他方の基板支持テーブル10B(10A)の進入を開始させるようにしてもよい。その場合においても、印刷工程が終了した基板支持テーブル10A(10B)が退出を開始してから退出を完了する(すなわち、干渉を回避可能な位置に移動完了する)までの退出時間と、次の印刷工程に移行する基板支持テーブルが進入を開始してから印刷位置SPへの進入を完了するまでの進入時間とを演算し、一方の基板支持テーブル10A(10B)が退出を開始してから、退出時間と進入時間との差分時間経過後に、他方の基板支持テーブル10B(10A)の進入を開始させることにより、両基板支持テーブル10A、10Bの干渉を確実に回避しつつ、印刷位置SPに進入する基板支持テーブル10B(10A)を可及的に印刷位置SPから退出する基板支持テーブルに近接させることができる。この結果、干渉を回避しつつ、印刷工程が終了した基板支持テーブルから次の印刷工程に移行する基板支持テーブルへの印刷工程の切換を迅速にすることが可能になる。
【0077】
また、上述した実施形態と併用して、または、上述した実施形態とは別に、干渉チェックをモニタする態様を採用してもよい。その場合、干渉チェックの方法としては、下記に例示する態様を採用することができる。
【0078】
図15を参照して、第1の態様は、各基板支持テーブル10A、10Bの原点(A原点、B原点という)間の間隔Loが既知の場合に、この間隔Loに基づいて、干渉をチェックする方法である。具体的には、Y軸方向において、各基板支持テーブル10A、10Bが互いに最も離反しているときの中心位置をそれぞれA原点、B原点として設定する。A原点とB原点のY軸方向の間隔Loが既知であり、基板支持テーブル10A、10Bが干渉し得る間隔Lも既知であるので、これらのデータを事前にデータ記憶部63に登録しておき、現時点での移動間隔Ca、Cbの和の絶対値|Ca+Cb|と、間隔Loと間隔Lの差とを比較する。仮に、絶対値|Ca+Cb|が間隔Loと間隔Lとの差以上である場合には、干渉すると判定し、絶対値|Ca+Cb|が間隔Loと間隔Lとの差未満である場合には、干渉しないと判定する。間隔Lは、図8のフローチャートにおける「干渉し得るエリア」と同様に、各基板支持テーブル10A、10Bの機種や、移動速度によって動的に設定される値であってもよい。
【0079】
他方、A原点とB原点のY軸方向の間隔Lo、或いは上記間隔Lが分からない場合もある。その場合には、次のような方法を採用する。
【0080】
図16を参照して、A原点とB原点のY軸方向の間隔Loが分からない場合は、同図(A)に示すように、一旦、A原点とB原点の座標を求めた上で、両基板支持テーブル10A、10Bを干渉リミットまで近接させる。次いで、両基板支持テーブル10A、10Bが干渉リミットに近接しているときのY軸方向における第1の基板支持テーブル10Aの移動量Laと、Y軸方向における第2の基板支持テーブル10Bの移動量Lbとを取得する。さらに、両移動量La、Lbの差の絶対値|Lb−La|を演算し、その演算結果をLcとする。そして、この演算結果Lcを事前にデータ記憶部63に登録しておき、現時点でのY軸方向における第1の基板支持テーブル10Aの移動間隔Caと、第2の基板支持テーブル10Bの移動間隔Cbとを求めて、これら移動間隔Ca、Cbの和の絶対値|Ca+Cb|を事前に登録した演算結果Lcと比較する。仮に、絶対値|Ca+Cb|が演算結果Lc以上である場合には、干渉すると判定し、絶対値|Ca+Cb|が演算結果Lc未満である場合には、干渉しないと判定する。
【0081】
図15、図16の方法を採用することにより、所望のタイミングで、干渉が生じるか否かをチェックすることが可能になる。
【0082】
また、基板Wをスクリーン印刷装置1に搬入または搬出する態様としては、図17に示すように、基台2上に第1基板搬入部En1、第2基板搬入部En2となる受け取り用のベルトコンベア対170A、170Bを設けた構成を採用してもよい。その場合には、第1ローダL1、第2ローダL2の各ベルトコンベア対CL1、CL2と第1、第2基板支持テーブル10A、20Aの対応するベルトコンベア対12A、12Bとの位置決めが機械的に決定されるので、制御が容易になるという利点がある。
【0083】
同様に、基台2上に第1基板搬出部Ex1、第2基板搬出部Ex2となる受け渡し用のベルトコンベア対171A、171Bを設けた構成を採用してもよい。
【0084】
また、具体的には図示していないが、基板搬入部と基板搬出部の何れか一方となる受け渡しコンベアのみを設けてもよい。
【0085】
また、基板支持テーブル10A、10B等における基板Wの具体的な支持構造、印刷実行部20等における具体的なスクリーンマスク21の保持構造、あるいはスキージユニット40の具体的な構造等は、必ずしも上記実施形態のスクリーン印刷装置1のものに限定されるものではなく、適宜変更可能であることは、いうまでもない。
【符号の説明】
【0086】
1 スクリーン印刷装置
10A 第1の基板支持テーブル
10B 第2の基板支持テーブル
20 印刷実行部
60 制御ユニット
Vs 進入速度(移動速度)
Vp 退出速度(移動速度)
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象となる基板を保持するために設けられ、当該基板の搬送方向と直交する特定方向に沿って並置された一対の基板支持テーブルと、
前記特定方向において前記一対の基板支持テーブルが何れも移動可能な共有エリアに設定される印刷位置で、当該基板支持テーブルに担持された基板に対し交互に印刷工程を実施する印刷実行部と、
前記特定方向に沿って前記一対の基板支持テーブルを個別に駆動する基板支持テーブル駆動機構と、
印刷工程に移行する基板支持テーブルが、前記特定方向に沿って相手側の基板支持テーブルに近接する方向に移動することにより前記印刷位置に進入するとともに、前記印刷位置で印刷工程を終了した基板支持テーブルが、前記特定方向に沿って相手側の基板支持テーブルから離反する方向に移動することにより前記印刷位置から退出するように、前記基板支持テーブル駆動機構を制御する制御手段と
を備え、
前記制御手段は、前記一対の基板支持テーブルのうち、前記印刷位置にある一方の基板支持テーブルが当該印刷位置から退出を完了した後、他方の基板支持テーブルが前記印刷位置への進入を完了させるとともに、前記一方の基板支持テーブルが当該印刷位置から退出の期間と前記他方の基板支持テーブルが前記印刷位置への進入の期間について、互いに少なくとも一部が重なるように前記基板支持テーブル駆動機構を制御するものである
ことを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項2】
請求項1記載のスクリーン印刷装置において、
前記制御手段は、前記印刷位置から退出した基板支持テーブルが印刷済の基板を搬出した後、次の印刷工程に移行するまでの間、予め設定された干渉リミットまで印刷位置にある相手側の基板支持テーブルに近接するように前記基板支持テーブル駆動機構を制御するものである
ことを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のスクリーン印刷装置において、
前記制御手段は、前記印刷位置に進入する基板支持テーブルと前記印刷位置から退出する基板支持テーブルとの干渉回避を要するか否かを判定する干渉回避要否判定手段と、
前記干渉回避要否判定手段が干渉回避を必要と判定した場合に、両基板支持テーブルの干渉を規制する規制手段と
を備えていることを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項4】
請求項3記載のスクリーン印刷装置において、
前記規制手段は、前記印刷位置に進入する基板支持テーブルの移動速度と前記印刷位置から退出する基板支持テーブルの移動速度との差に応じて前記印刷位置に進入する基板支持テーブルの移動速度を決定するものである
ことを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項5】
請求項4記載のスクリーン印刷装置において、
前記規制手段は、前記印刷位置に進入する基板支持テーブルと前記印刷位置から退出する基板支持テーブルの対向間隔に応じて前記印刷位置に進入する基板支持テーブルの移動速度を決定するものである
ことを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項6】
請求項3記載のスクリーン印刷装置において、
前記規制手段は、印刷工程が終了した基板支持テーブルが退出を開始してから干渉を回避可能な位置に移動するまでの退出時間と、次の印刷工程に移行する基板支持テーブルが進入を開始してから干渉が生じ得る位置に移動するまでの進入時間とを演算し、前記退出時間と前記進入時間との差分時間経過後に印刷位置に進入する基板支持テーブルの移動を開始させるものである
ことを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項7】
請求項1記載のスクリーン印刷装置において、
前記制御手段は、印刷工程が終了した基板支持テーブルが退出を開始してから退出を完了するまでの退出時間と、次の印刷工程に移行する基板支持テーブルが進入を開始してから前記印刷位置への進入を完了するまでの進入時間とを演算し、一方の基板支持テーブルが退出を開始してから、前記退出時間と前記進入時間との差分時間経過後に他方の基板支持テーブルの進入を開始させるものである
ことを特徴とするスクリーン印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−250375(P2012−250375A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122925(P2011−122925)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】