説明

ステージ装置、露光装置、及びデバイス製造方法

【課題】基板の変形を抑制できるステージ装置を提供する。
【解決手段】ステージ装置は、上面に基板が載置される保持部材と、保持部材の下面の一部を支持する支持部材と、一端が支持部材に接続され、保持部材の下面のうち支持部材の外側に張り出した張出領域と対向するように配置されるアーム部材と、アーム部材の他端に配置され、張出領域と接触する接触部を有し、接触部を介して張出領域に力を加える力発生機構とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステージ装置、露光装置、及びデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばフラットパネルディスプレイ等の電子デバイスの製造工程において、基板を露光光で露光する露光装置が使用される。例えば下記特許文献に開示されているように、露光装置は、基板を保持して移動可能なステージ装置を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−347184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ステージ装置において、基板が載置される保持部材が変形すると、基板の表面も変形してしまう可能性がある。その結果、例えば投影光学系の像面に対して所望の位置に基板の表面を配置することができず、露光不良が発生したり、不良デバイスが発生したりする可能性がある。
【0005】
本発明の態様は、基板の変形を抑制できるステージ装置を提供することを目的とする。また本発明の態様は、露光不良の発生を抑制できる露光装置を提供することを目的とする。また本発明の態様は、不良デバイスの発生を抑制できるデバイス製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に従えば、上面に基板が載置される保持部材と、前記保持部材の下面の一部を支持する支持部材と、一端が前記支持部材に接続され、前記保持部材の下面のうち前記支持部材の外側に張り出した張出領域と対向するように配置されるアーム部材と、前記アーム部材の他端に配置され、前記張出領域と接触する接触部を有し、前記接触部を介して前記張出領域に力を加える力発生機構と、を備えるステージ装置が提供される。
【0007】
本発明の第2の態様に従えば、基板を露光光で露光する露光装置であって、前記露光光を射出する光学系と、前記光学系からの前記露光光が照射可能な位置に対して前記基板を保持して移動可能な第1の態様のステージ装置と、を備える露光装置が提供される。
【0008】
本発明の第3の態様に従えば、第2の態様の露光装置を用いて基板を露光することと、露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の態様によれば、基板の変形を抑制できるステージ装置が提供される。また本発明の態様によれば、露光不良の発生を抑制できる露光装置が提供される。また本発明の態様によれば、不良デバイスの発生を抑制できるデバイス製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態に係る露光装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】第1実施形態に係る露光装置の一例を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る基板ステージの一例を下方から見た図である。
【図4】第1実施形態に係る基板ステージの側面図である。
【図5】第1実施形態に係る基板ステージの一部を拡大した図である。
【図6】第1実施形態に係る基板ステージの一部を拡大した図である。
【図7】第2実施形態に係る基板ステージの一部を拡大した図である。
【図8】第2実施形態に係る基板ステージの一例を下方から見た図である。
【図9】デバイスの製造工程の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
【0012】
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る露光装置EXの一例を示す概略構成図、図2は、斜視図である。図1及び図2において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージ1と、基板Pを保持して移動可能な基板ステージ2と、マスクステージ1を移動する駆動システム3と、基板ステージ2を移動する駆動システム4と、マスクMを露光光ELで照明する照明システムISと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板Pに投影する投影システムPSと、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置5とを備えている。
【0013】
マスクMは、基板Pに投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。基板Pは、例えばガラス基板からなる基材と、その基材上に形成された感光膜(塗布された感光剤)とを含む。本実施形態において、基板Pは、大型のガラスプレートを含み、露光光ELが照射される外径は、例えば500mm以上である。本実施形態において、基板Pは、矩形であり、その基板Pの一辺のサイズは、500mm以上である。なお、基板Pの対角線のサイズが、500mm以上でもよい。本実施形態においては、基板Pの基材として、一辺が約3000mmの矩形のガラス基板を用いる。
【0014】
また、本実施形態の露光装置EXは、マスクステージ1及び基板ステージ2の位置を計測する干渉計システム6と、マスクMの表面(下面、パターン形成面)の位置を検出する第1検出システム7と、基板Pの表面(露光面、感光面)の位置を検出する第2検出システム8とを備えている。
【0015】
また、露光装置EXは、ボディ13を備えている。ボディ13は、例えばクリーンルーム内の支持面(例えば床面)FL上に防振台BLを介して配置されたベースプレート10と、ベースプレート10上に配置された第1コラム11と、第1コラム11上に配置された第2コラム12とを有する。本実施形態において、ボディ13は、投影システムPS、マスクステージ1、及び基板ステージ2のそれぞれを支持する。本実施形態において、投影システムPSは、定盤14を介して、第1コラム11に支持される。マスクステージ1は、第2コラム12に対して移動可能に支持される。基板ステージ2は、ベースプレート10に対して移動可能に支持される。
【0016】
本実施形態において、投影システムPSは、複数の投影光学系PLを有する。照明システムISは、複数の投影光学系PLに対応する複数の照明モジュールILを有する。また、本実施形態の露光装置EXは、マスクMと基板Pとを所定の走査方向に同期移動しながら、マスクMのパターンの像を基板Pに投影する。すなわち、本実施形態の露光装置EXは、所謂、マルチレンズ型スキャン露光装置である。
【0017】
照明システムISは、露光光ELを射出可能であり、所定の照明領域に露光光ELを照射可能である。照明領域は、各照明モジュールから射出される露光光ELが照射可能な位置を含む。照明システムISは、異なる複数の照明領域のそれぞれを露光光ELで照明する。照明システムISは、マスクMのうち照明領域に配置された部分を、均一な照度分布の露光光ELで照明する。本実施形態においては、照明システムISから射出される露光光ELとして、例えば水銀ランプ17から射出される輝線(g線、h線、i線)を用いる。
【0018】
マスクステージ1は、照明領域に対してマスクMを保持して移動可能である。マスクステージ1は、マスクMの下面(パターン形成面)とXY平面とがほぼ平行となるように、マスクMを保持する。駆動システム3は、例えばリニアモータを含み、第2コラム12のガイド面12G上においてマスクステージ1を移動可能である。ガイド面12Gは、XY平面とほぼ平行である。本実施形態において、マスクステージ1は、駆動システム3の作動により、マスクMを保持した状態で、ガイド面12G上を、X軸、Y軸、及びθZ方向の3つの方向に移動可能である。
【0019】
投影システムPSは、露光光ELを射出可能であり、所定の投影領域に露光光ELを照射可能である。投影領域は、各投影光学系PLから射出される露光光ELが照射可能な位置を含む。本実施形態において、投影システムPSは、異なる複数の投影領域のそれぞれにパターンの像を投影する。投影システムPSは、基板Pのうち投影領域に配置された部分に、マスクMのパターンの像を所定の投影倍率で投影する。
【0020】
基板ステージ2は、投影領域PRに対して基板Pを保持して移動可能である。基板ステージ2は、基板Pの表面(露光面)とXY平面とがほぼ平行となるように、基板Pを保持する。駆動システム4は、例えばリニアモータを含み、ベースプレート10のガイド面10G上において基板ステージ2を移動可能である。ガイド面10Gは、XY平面とほぼ平行である。本実施形態において、基板ステージ2は、駆動システム4の作動により、基板Pを保持した状態で、ガイド面10G上を、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。
【0021】
図3は、本実施形態に係る基板ステージ2の一部を下方から見た平面図、図4は、側面図である。図3及び図4において、基板ステージ2は、上面に基板Pが載置される保持部材21と、保持部材21の下面の一部を支持する支持部材22と、一端が支持部材22に接続され、保持部材21の下面のうち支持部材22の外側に張り出した張出領域23と対向するように配置されるアーム部材24と、アーム部材24の他端に配置され、張出領域23と接触する接触部25を有し、接触部25を介して張出領域23に力を加える力発生機構30とを備えている。駆動システム4は、支持部材22を、ガイド面10G上において、XY平面内で移動可能である。
【0022】
アーム部材24は、他端が保持部材21の周縁部における張出領域23と対向するように配置される。アーム部材24は、支持部材22に複数設けられている。本実施形態において、アーム部材24は、支持部材22の周囲に10本配置されている。力発生機構30は、張出領域23の複数の位置に接触するように複数のアーム部材24のそれぞれに設けられる。
【0023】
図5及び図6は、力発生機構30の一例を示す図である。本実施形態において、力発生機構30は、アーム部材24に対して可動であり、接触部25を有する第1部材31と、第1部材31の下方に配置され、アーム部材24に対して位置が固定される第2部材32と、第1部材31及び第2部材32と接触するように第1部材31と第2部材32との間に配置されたばね部材33とを有する。
【0024】
第1部材31は、張出領域23と対向可能な上面を有する。接触部25は、第1部材31の上面に配置されている。
【0025】
第2部材32は、内部空間34を有する。第1部材31の少なくとも一部は、内部空間34に配置される。
【0026】
本実施形態において、第1部材31は、接触部25を有するパッド部材31Aと、パッド部材31Aの下面側に配置されたボール部材31Bと、パッド部材31Aとの間でボール部材31Bを保持する保持部材31Cとを含む。パッド部材31Aは、下面に溝31AVを有する。保持部材31Cは、上面に溝31CVを有する。ボール部材31Bは、溝31AVと溝31CVとの間に保持される。また、保持部材31Cの少なくとも一部は、スラストベアリング37によって構成される。本実施形態において、パッド部材31Aの下部、ボール部材31B、及び保持部材31Cが、内部空間34に配置されている。
【0027】
本実施形態において、第2部材32は、筒状部材32Aと、少なくとも一部が筒状部材32Aの内側に配置可能なロック部材32Bと含む。筒状部材32Aは、内面に雌ねじ溝を有する。ロック部材32Bは、外面に雄ねじ溝を有する。雄ねじ溝と雌ねじ溝とを噛み合わせた状態で、筒状部材32Aに対してロック部材32Bを回転させることによって、筒状部材32Aに対してロック部材32Bの位置を調整することができる。筒状部材32Aは、アーム部材24に固定されている。
【0028】
保持部材31Cは、ばね部材33の上端を支持する支持面35を有する。ロック部材32Bは、ばね部材33の下端を支持する支持面36を有する。筒状部材32Aに対してロック部材32Bを回転させることによって、支持面35と支持面36との距離を調整することができる。これにより、支持面35と支持面36との間において、ばね部材33を伸縮させることができる。
【0029】
図5は、シャフト部材38によって、保持部材31Cとロック部材32Bとの位置が固定されている状態を示す。図6は、シャフト部材38がなく、第1部材31は、ばね部材33によって揺動可能に支持される。基板Pの露光においては、図6に示すように、シャフト部材38が力発生機構30から外される。
【0030】
本実施形態によれば、複数の力発生機構30が設けられているので、張出領域23を有する保持部材21が重力の作用(自重)により撓むことが抑制される。これにより、基板Pを支持する保持部材21の上面が変形することが抑制される。
【0031】
次に、本実施形態に係る、基板Pの露光時における露光装置EXの動作の一例について説明する。制御装置5は、マスクステージ1及び基板ステージ2を制御して、マスクM及び基板Pを、露光光ELの光路と交差するXY平面内の所定の走査方向に移動する。本実施形態においては、基板Pの走査方向(同期移動方向)をX軸方向とし、マスクMの走査方向(同期移動方向)もX軸方向とする。制御装置5は、基板ステージ2によって、投影システムPSの投影領域に対して基板PをX軸方向に移動するとともに、その基板PのX軸方向への移動と同期して、マスクステージ1によって、照明システムISの照明領域に対してマスクMをX軸方向に移動しながら、投影システムPSを介して基板Pに露光光ELを照射する。これにより、マスクMのパターンの像が基板Pに投影され、基板Pが露光光ELで露光される。
【0032】
以上説明したように、本実施形態によれば、張出領域23を力発生機構30で支持しているので、保持部材21の変形、及び基板Pの変形を抑制することができる。したがって、露光不良の発生を抑制することができる。
【0033】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の第1実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0034】
図7は、第2実施形態に係る力発生機構40の一例を示す図、図7は、第2実施形態に係る基板ステージ2Bの一部を下方から見た平面図である。
【0035】
図7及び図8において、力発生機構40は、少なくとも一部がアーム部材24に固定され、供給される動力によって作動して、接触部25を有する第1部材31を移動可能なアクチュエータ41を有する。
【0036】
アクチュエータ41は、少なくとも一部が流体で満たされる内部空間42を有し、アーム部材24に固定されるシリンダ部材43と、シリンダ部材43に対して可動であり、内部空間42の圧力に応じて、第1部材31を移動可能なピストン部材44と、内部空間42の圧力を調整可能な圧力調整装置45とを有する。本実施形態において、圧力調整装置45は、レギュレータ装置を含み、気体供給源から内部空間42に供給される気体の量を調整して、内部空間42の圧力を調整する。なお、本実施形態において、内部空間42に満たされる流体は、気体であるが、液体でもよい。
【0037】
また、本実施形態においては、保持部材21の上面の形状を検出可能な検出装置50が設けられている。検出装置50は、保持部材21の上面の複数の位置において、その上面のZ軸方向の位置を検出可能である。検出装置50の検出結果は、制御装置5に出力される。制御装置5は、検出装置50の検出結果に基づいて、アクチュエータ41を制御する。
【0038】
図8に示すように、アクチュエータ41を含む力発生機構40は、複数設けられている。また、圧力調整装置45は、複数のアクチュエータ41に対応して、複数設けられている。制御装置5は、検出装置50の検出結果に基づいて、保持部材21の上面が所望の形状になるように(例えば平坦になるように)、圧力調整装置45を用いて、力発生機構40のアクチュエータ41を制御する。
【0039】
本実施形態においても、保持部材21の上面の変形を抑制することができる。したがって、露光不良の発生を抑制することができる。
【0040】
なお、本実施形態において、力発生機構が、アクチュエータとして、圧電素子を用いてもよい。
【0041】
なお、上述の第1,第2実施形態の基板Pとしては、ディスプレイデバイス用のガラス基板のみならず、半導体デバイス製造用の半導体ウエハ、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
【0042】
なお、露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを介した露光光ELで基板Pを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
【0043】
また、本発明は、米国特許第6341007号明細書、米国特許第6208407号明細書、米国特許第6262796号明細書等に開示されているような、複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。
【0044】
また、本発明は、米国特許第6897963号明細書、欧州特許出願公開第1713113号明細書等に開示されているような、基板を保持する基板ステージと、基板を保持せずに、基準マークが形成された基準部材及び/又は各種の光電センサを搭載した計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。また、複数の基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置を採用することができる。
【0045】
露光装置EXの種類としては、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置に限られず、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
【0046】
なお、上述の各実施形態においては、レーザ干渉計を含む干渉計システムを用いて各ステージの位置情報を計測するものとしたが、これに限らず、例えば各ステージに設けられるスケール(回折格子)を検出するエンコーダシステムを用いてもよい。
【0047】
なお、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6778257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する可変成形マスク(電子マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれる)を用いてもよい。また、非発光型画像表示素子を備える可変成形マスクに代えて、自発光型画像表示素子を含むパターン形成装置を備えるようにしても良い。
【0048】
上述の実施形態の露光装置EXは、本願請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0049】
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図9に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、上述の実施形態に従って、マスクのパターンを用いて露光光で基板を露光すること、及び露光された基板(感光剤)を現像することを含む基板処理(露光処理)を含む基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。なお、ステップ204では、感光剤を現像することで、マスクのパターンに対応する露光パターン層(現像された感光剤の層)を形成し、この露光パターン層を介して基板を加工することが含まれる。
【0050】
なお、上述の実施形態においては、基板ステージ2が露光装置EXに設けられることとしたが、各種のデバイス製造装置に、基板ステージ2を適用することができる。例えば、基板にインクの滴を供給して、その基板上にデバイスパターンを形成するインクジェット装置に、上述の実施形態で説明した基板ステージを適用してもよい。
【0051】
なお、上述の実施形態及び変形例の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態及び変形例で引用した露光装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【符号の説明】
【0052】
1…マスクステージ、2…基板ステージ、4…駆動システム、5…制御装置、21…保持部材、22…支持部材、23…張出領域、24…アーム部材、25…接触部、30…力発生機構、31…第1部材、32…第2部材、33…ばね部材、41…アクチュエータ、42…内部空間、43…シリンダ部材、44…ピストン部材、45…圧力調整装置、EL…露光光、EX…露光装置、IS…照明システム、M…マスク、P…基板、PS…投影システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に基板が載置される保持部材と、
前記保持部材の下面の一部を支持する支持部材と、
一端が前記支持部材に接続され、前記保持部材の下面のうち前記支持部材の外側に張り出した張出領域と対向するように配置されるアーム部材と、
前記アーム部材の他端に配置され、前記張出領域と接触する接触部を有し、前記接触部を介して前記張出領域に力を加える力発生機構と、を備えるステージ装置。
【請求項2】
前記アーム部材は、前記他端が前記保持部材の周縁部における前記張出領域と対向するように配置される請求項1記載のステージ装置。
【請求項3】
前記アーム部材は、前記支持部材に複数設けられ、
前記力発生機構は、前記張出領域の複数の位置に接触するように複数の前記アーム部材のそれぞれに設けられる請求項1又は2記載のステージ装置。
【請求項4】
前記力発生機構は、前記アーム部材に対して可動であり、前記接触部を有する第1部材と、前記第1部材の下方に配置され、前記アーム部材に対して位置が固定される第2部材と、前記第1部材及び前記第2部材と接触するように前記第1部材と前記第2部材との間に配置されたばね部材とを有する請求項1〜3のいずれか一項記載のステージ装置。
【請求項5】
前記力発生機構は、少なくとも一部が前記アーム部材に固定され、供給される動力によって作動して、前記接触部を有する第1部材を移動可能なアクチュエータを含む請求項1〜3のいずれか一項記載のステージ装置。
【請求項6】
前記アクチュエータは、少なくとも一部が流体で満たされる内部空間を有し、前記アーム部材に固定されるシリンダ部材と、前記シリンダ部材に対して可動であり、前記内部空間の圧力に応じて、前記第1部材を移動可能なピストン部材と、前記内部空間の圧力を調整可能な圧力調整装置とを有する請求項5記載のステージ装置。
【請求項7】
前記アクチュエータは、圧電素子を含む請求項5記載のステージ装置。
【請求項8】
前記上面の形状を検出可能な検出装置と、
前記検出装置の検出結果に基づいて、前記アクチュエータを制御する制御装置とを備える請求項5〜7のいずれか一項記載のステージ装置。
【請求項9】
前記支持部材を前記上面とほぼ平行な所定面内で移動する駆動システムを備える請求項1〜8のいずれか一項記載のステージ装置。
【請求項10】
前記基板は、露光光が照射される外径が500mm以上のガラス基板である請求項1〜11のいずれか一項記載のステージ装置。
【請求項11】
基板を露光光で露光する露光装置であって、
前記露光光を射出する光学系と、
前記光学系からの前記露光光が照射可能な位置に対して前記基板を保持して移動可能な請求項1〜10のいずれか一項記載のステージ装置と、を備える露光装置。
【請求項12】
請求項11記載の露光装置を用いて基板を露光することと、
露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−266688(P2010−266688A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−117923(P2009−117923)
【出願日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】