説明

スプール・バルブ用アクチュエータ

バルブ閉鎖要素を制御するためのバルブ位置決め装置(10)が提供される。位置決め装置は、複数の流体流路を伴う位置決め装置ハウジングであって、流体流路は流体供給源およびバルブ閉鎖要素と流体連絡する位置決め装置ハウジングを備える。位置決め装置ハウジングは、着脱可能なスプール・マニフォールド・アセンブリ(14)を受け取るように構成されている。スプール・マニフォールド・アセンブリは、複数の流体流路に近接配置される。スプール・マニフォールド・アセンブリは、複数の流体流路から流体の流れを選択的に移すように構成された相互に移動可能なスプール(34)を備える。スプール・マニフォールド・アセンブリは、スプールにフレキシブル・シャフト(50)を介して接続されるダイアフラム(48)を備える。ダイアフラムは、ダイアフラムを膨張または収縮させることによってスプールを変位させる流体を受け取るために変換器と流体連絡している。フレキシブル・シャフトは、ダイアフラムとスプールとの間の軸方向のバックラッシュを最小限にするために径方向に弾力性がある。フレキシブル・シャフト構成によって、スプール・ストロークは最小限になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、流体の流れの制御に関し、より詳細には、流体回路内の流体の流れを調節するための高流量容量位置決め装置(high flow capacity positioner)に関する。本出願は、米国仮出願第11/011,035号明細書(2008年1月14日出願)に対する優先権を主張する。なおこの文献の開示は、本明細書において参照により取り入れられている。連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載には該当しない。
【背景技術】
【0002】
ガス、蒸気、水、または化合物などの流動流体の調節は、制御バルブによって行なわれる。アクチュエータを用いて制御バルブ内の流体の流れを調節するように使用される場合がある。アクチュエータは、バルブを開閉するための、したがってバルブ内の流体の流れを調節するための原動力を与える。
【0003】
バルブ位置決め装置は、アクチュエータに取り付けられる装置であり、バルブ位置決め装置と電気通信を行なうコントローラの出力によって決まる制御方針を実現する場合がある。コントローラは、可変の電流信号をバルブ位置決め装置に供給する。可変の電流信号はバルブ位置決め装置の状態に比例する。たとえば、バルブ位置決め装置は、4ミリアンペア(mA)の電流信号に応答してバルブを完全に開く場合があり、20mAの電流信号に応答してバルブを完全に閉じる場合がある。バルブ位置決め装置は、電流信号をアクチュエータの位置と比較して、アクチュエータを相応に動かすために必要な推進力を供給する。電流信号がアクチュエータの位置と異なる場合、バルブ位置決め装置は、アクチュエータを正しい位置に達するまで動かす。バルブ位置決め装置は、当該技術分野において良く知られている。2種類の良く知られた位置決め装置としては、単動式の空気圧式位置決め装置(レンジ・スプリング(range spring)と対向するアクチュエータの一方の側で空気を送り、かつ空気を排出する)と、複動式の空気圧式位置決め装置(アクチュエータの両側で空気を送り、かつ空気を排出する)とが挙げられる。バルブ位置決め装置は、デジタル装置を用いることによって非常に向上した。デジタル装置では、マイクロプロセッサを用いてアクチュエータの位置を決め、キー変数をモニタし、制御アルゴリズムを実行してデータを記録している。
【0004】
アクチュエータは、圧縮空気の形態のエネルギーを、直線または回転運動を含む動きに変換する。アクチュエータは、大流量の空気を受け取って、流体の流れを調節するために所望の位置まで変位するように構成されている。アクチュエータに対する推進力をもたらすために油圧技術ではなく圧縮空気を用いることには、良く知られた優位性がある。これらの優位性としては、大気中に油分ではなくて空気を排出することがある。圧縮空気を用いることは、過剰な力を吸収することにも、より適している。さらに、バルブ位置決め装置に対する電力が失われたときには、貯蔵空気を用いる場合がある。さらに加えて、圧縮空気を用いることに依存するアクチュエータに対する必要なメンテナンスは最小である。バルブ位置決め装置を用いたアクチュエータの動きの制御を、マイクロプロセッサ・ベースの電流(microprocessor-based current)を伝達することによって行なうことは、精度および効率の向上を得ることに対して広く知られている。アクチュエータをより正確かつ効率的に制御できるということは、主にバルブ位置決め装置のコントローラに起因する。前述したように、コントローラは、バルブ移動位置のフィードバックを受け取って、特定のプロセスを制御するための所望のアクチュエータ位置を表わす電流を調整することが知られている。バルブ位置決め装置は、コントローラから出力された電流信号を、定量化可能な量の圧縮空気をアクチュエータに供給するために用いる圧力信号に変換することが知られている。バルブ位置のフィードバックは、バルブ位置決め装置の動作にとって重要である。フィードバックがない場合、制御バルブは、デフォルトでそのフェイルセーフ位置またはランダム位置となるときがある。
【0005】
バルブ位置決め装置が流体回路内の流体の流量を精度良く調節することができるということは、重要な特性である。バルブ位置決め装置を用いてアクチュエータを動かす。アクチュエータは従来、シリンダ内に封止されたピストンから構成される。バルブ位置決め装置は、ピストンの移動を、強制的に圧縮空気をシリンダの一方の端部に入れると同時に、圧縮空気をシリンダの対向する端部から引き出すかまたは排出することによって行なう。バルブ位置決め装置は、ほとんどの場合、閉ループ・システムにおいて用いる。このシステムでは、アクチュエータの位置とバルブ位置決め装置内を流れる圧縮空気の速度および圧力の少なくとも一方とを、システム・フィードバック信号を生成するフィードバック装置により連続的にモニタする。コントローラは、システム・フィードバック信号を用いて電流信号を生成させる。電流信号をバルブ位置決め装置が受信して、ピストンの所望の位置とシリンダ内のピストンの実際の位置との間の誤差を最小限にする。
【0006】
バルブ位置決め装置には、一般的に、スプールが組み込まれている。スプールは、ハウジング内で回転するか軸方向にスライドして、圧縮空気流をアクチュエータに送るか、またはアクチュエータからの空気流を1以上の排出ポートに送る。しかし、バルブ位置決め装置システムが流体の高流量をもたらすことに適合するため、比較的大きなスプールを位置決め装置内に組み込む。スプールが大きくなると、比較的大きな慣性モーメントが必要となり、比較的高いトルク出力を有するステッパ・モータを使用する必要がある。電動モータを用いて大きなスプールを変位させることは、装置が別個の電源を必要とすることを意味する。ステッパ・モータを用いるバルブ位置決め装置では通常、スプールは開ループ方法で行なわれ、スプールを初期化しなければならない。開ループ・設計においてスプールを位置決めすることは、閉ループ・設計よりも遅延に対して敏感であり、精度および効率の向上を必要とする応用例に対しては推奨されない。初期化の間、スプールを、ステッパ・モータがスプールを所望の位置まで動かすことを開始する場合がある開始点または初期化位置まで移動させる。コントローラは、ステッパ・モータにスプールを動かすように命令を出して、コントローラが一連の電流信号を初期化位置から追跡して仮想のスプール位置をそのメモリに保持し得るようにする場合がある。ステッパ・モータがドライバ信号の順序を精度良く追跡する限り、アクチュエータのピストンの所望の位置と実際の位置との間の誤差は最小となる。ステッパ・モータを用いてスプールを変位させることには、良く知られた不利点がある。モータのトルクが、不要なスプール回転を発生させる場合がある。ステッパ・モータを用いてスプールを変位させることは、推力軸とスプール軸との間の位置合わせ不良の一因となる場合もあり、バルブ位置決め装置の精度に対して悪影響を及ぼす。
【0007】
バルブ位置決め装置内でスプールを動かすために用いられる別の良く知られた方法は、圧力応答ダイアフラムを用いることである。ダイアフラムは、圧縮空気の形態の流体圧力を受け取って、スプールに力を及ぼし、スプールを動かすことができる。また、ダイアフラムは、空気を放出して、スプールの動きの方向とは反対方向に力を及ぼすように構成されている。したがって、ダイアフラムを用いて、スプールが配置されたハウジングに対して双方向にスプールを動かす場合がある。しかし、ダイアフラムは、より高い流量容量が要求される場合には推奨されない。より高い流量容量になるほど、より大きいスプールが必要となり、スプールを動かすために、より力が必要となる。この状況の下では、圧力応答ダイアフラムを用いることは、実現可能ではない場合がある。このことは、流量容量を増加させるためにステッパ・モータを用いてより大きいスプールを変位させるかどうか、または圧力応答ダイアフラムを用いてより小さいサイズのスプールを変位させるかどうかのジレンマを示している。所望の流量容量は、ステッパ・モータを用いるか圧力応答ダイアフラムを用いるかに影響する場合がある。
【0008】
バルブ位置決め装置の性能は、流量容量に基づいて評価することができる。流量容量は流れ係数(CV)によって測定される。CVは、バルブ位置決め装置の流量容量に線形的に相関する。たとえば、CVの増加は流量容量の増加に対応する。装置の流れ係数は、流体回路内の流体の流れの装置に対応する効率の相対的な測定値である。CVは、流体回路内での圧力低下と、対応する流量との間の関係を記述する。CVは、バルブ内で1ポンド/平方インチ(psi)の圧力低下があるときに、バルブを通って1分間当たりに流れる水の体積(米ガロン)(華氏60度における)である。たとえば、CV=22は、22ガロンの水が華氏60度において、バルブ内で1psiの圧力低下があるときにバルブを通って流れることを意味する。CVを用いることによって、特定の業界において広く受け入れられている具体的な応用例に対して、バルブ容量を比較してバルブをサイズ決めする標準的な方法が得られる。
【0009】
多くの場合に、流量容量がより大きいバルブ位置決め装置が好ましい。なぜならば、より大きな量の流体を動かすことができるからである。しかし、流量容量が増加したバルブ位置決め装置システムは、より高価で製造が複雑である。流量容量の増加は、スプール・ストローク時間が速くなることに関連付けられる。スプール・ストローク時間が速くなるほど、アクチュエータの所望の位置への駆動を速くしなければならない。さらに加えて、スプール・ストローク時間が速くなることは、周波数応答が良好になることに関連付けられる。スプール・ストローク時間が速くなるということは、小さい電流信号変化に対する応答が良好になるということになる。あるいは、スプール・ストローク時間が遅くなるということは、流量容量定格が低くなるということに関連付けられる。スプールがある位置から別の位置へ動く時間が長くなるほど、アクチュエータを所望の位置へ駆動する時間が長くなる。スプール・ストローク時間が長くなると、周波数応答が低くなり、したがってコントローラからの電流信号のより小さい変化に応答する能力が低下する。スプールの可動範囲を最小限にすることは、スプール・ストローク時間を速くするために用いる場合がある1つの方法である。しかし、スプール・ストローク時間が速くなると、精度が低下する場合がある。したがって、精度がより重要である応用例の場合には、スプール位置決め精度をより良好にするためにスプール・ストローク時間を短くすることが望ましい場合がある。
【0010】
広範囲に渡って使用するようにバルブ位置決め装置システムを向上させるためには、種々の因子(たとえば、製造コスト、消費電力、および流量容量)に注意を払う必要がある。バルブ位置決め装置に関係する消費電力は通常、電流ループの電源(current loop source)に関係する。電流ループは、コントローラからバルブ位置決め装置へ信号を送信するために電圧の代わりに電流を用いる通信インターフェースである。一般的な広く用いられている業界標準には、4〜20mAの電流ループ範囲(current loop range)が含まれている。したがって、バルブ位置決め装置が4〜20mAの電流源の範囲内で効果的に機能することが重要である。
【0011】
バルブ位置決め装置の流量容量を増加させるためには、より速いスプール・ストローク時間を有する、より大きなスプールが必要である。より大きなスプールをより速く動かすために必要な力は大きくなる。特定の範囲のスプール動作に対してスプール・ストローク時間を速くするためには、より大きな推力が必要であり、その結果、より多くの力が必要となる。力を増加させることを、バルブ位置決め装置の消費電力を増加させることによって補償する場合がある。しかし、4〜20mAの電流ループによって考えられる消費電力を維持することも、これは業界において広く用いられているため、重要な検討事項である。消費電力が4〜20mAよりも大きな電流ループの電源を必要とするとき、バルブ位置決め装置は、標準的な4〜20mAに基づく特定の応用例に受け入れられない場合がある。したがって、バルブ位置決め装置システムの商業的成功は、業界標準である4〜20mAの電流ループ内に留まることにかかっている。
【0012】
高流量容量位置決め装置システムを特定のコストおよび消費電力の範囲内で設計することは、いくつかの点で制限されている。バルブ位置決め装置の流量容量を増加させるために用いられる良く知られた方法は、ブースターを用いることを含む。ブースターによって、アクチュエータに供給される空気の体積が増幅される。バルブ位置決め装置にブースターを取り付けることによって、Cv容量の増加が実現するが、不利益として制御品質の著しい低下をもたらす。この点に関して、ブースターは、固有の遅れ時間を伴う位置決め装置の流れによって駆動される機械空気圧の流量増幅器である。その結果、高い増幅比率では不安定性が生じ、低い増幅比率では動的性能要求を満足しないことが多い。ブースターを追加することには、配管および取り付け具を追加することも含まれ、コストおよび部品が増加することになる。追加の部品があることでメンテナンスが難しくなり、また動作不良および漏れの少なくとも1方の危険性が潜在的に増大することになる。さらに、ブースターは校正および調整をしなければならず、時間とお金がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、当該技術分野において、前述のまたは関連する1以上の不完全性に対処するバルブ位置決め装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、当該技術分野における前述した不完全性に具体的に対処して緩和する。この点に関して、本発明は、バルブ位置決め装置に有効に結合するためのスプール・マニフォールド・アセンブリに関する。スプール・マニフォールド・アセンブリは、バルブ閉鎖要素(たとえばアクチュエータ)との間で流体を流すように用いられる。スプール・マニフォールド・アセンブリは、複数の流体流通路から流れる空気を受け取って排出するための複数の開口部を有するハウジングを備える。ハウジング上の複数の開口部は、スプール・マニフォールド・アセンブリをバルブ位置決め装置に結合したときに、複数の流体流通路と実質的に位置合わせされる。管状スリーブは、ハウジング内に配置される。管状スリーブは、流体流通路のうちの対応する1つの流体流通路から流れてくる流体を受け取るように構成された複数の開口部を備える。スプール・マニフォールド・アセンブリは、また、管状スリーブ内に配置されたスプールを含む。スプールは、長手軸に沿って軸方向にスライドして、流体を流体流通路および排出ポートに流す。スプール・マニフォールド・アセンブリは、また、フレキシブル・シャフトを備えている。フレキシブル・シャフトは、不平衡位置と平衡(中立)位置との間のスプール変位を最小限にするように設計されている。不平衡スプール位置は、流体がアクチュエータまたはバルブ閉鎖要素に流れることに対応し、一方で、平衡スプール位置は、流体がスプール・マニフォールド・アセンブリから排出されるのを防ぐ。フレキシブル・シャフトは、2つの対向する端部を備えている。第1の端部はスプールに結合され、第2の端部はダイアフラムに結合されている。フレキシブル・シャフトの第2の端部は、長手軸に沿ってハウジングから離れるように延びている。ダイアフラム、フレキシブル・シャフト、およびスプールはすべて、長手軸に沿って位置合わせされている。ダイアフラムに対する流体圧力が増加すると、ダイアフラムは、拡張してフレキシブル・シャフトに推進力を及ぼし、スプールを所定の距離だけ変位させる。また、ダイアフラムに対する流体圧力が小さくなると、ダイアフラムは、収縮してスプールを反対方向に所定の距離だけ変位させる。
【0015】
一実施形態においては、スプールは、第1の直径である主ボディ部分を備える。スプールは、また、主ボディ部分から径方向に延びて等距離で離間配置された複数の円柱形状のローブを備える。ローブは、主ボディ部分の第1の直径よりも大きな第2の直径である。円柱形状のローブは、スプールのスプール位置に応じて、管状スリーブに付随する少なくとも1つの開口部への流体の流れを遮るかまたは防ぐように構成される。スプールは、スプールが不平衡位置にあるときに、少なくとも1つの流体流通路からの流体がアクチュエータへ流れることができるようにする働きをする。スプールは、また、長手軸に沿ってスプールの主ボディ部分内で軸方向に延びる穴を備えていても良い。穴は、フレキシブル・シャフトの第1の端部を受け取るようなサイズである。
【0016】
さらに別の実施形態においては、スプール・マニフォールド・アセンブリは、ダイアフラムとハウジングとの間に配置された付勢バネを備えている。付勢バネは、フレキシブル・シャフトの一部に近接配置しても良い。付勢バネは、ダイアフラムに力を及ぼすように構成されている。流体圧力がダイアフラムに及ぼす力が、付勢バネが及ぼす力に等しいときには、スプールは平衡または中立位置に留まる。しかし、ダイアフラムに対する圧力が増加または減少して、付勢バネが付勢過剰または付勢不足になる点に移ると、スプールは不平衡位置に移動する。一実施形態においては、フレキシブル・シャフトのかなりの部分が細長いスリーブ内に配置される。細長いスリーブは、フレキシブル・シャフトの横方向の変位を最小限にするように構成されている。フレキシブル・シャフトの第1の端部と第2の端部とによって、軸方向に硬い継手が規定される。フレキシブル・シャフトは、スプールが変位したときに軸方向のバックラッシュを最小限にするために、径方向に弾力性があるように設計されている。
【0017】
また本発明は、バルブ位置決め装置に関する。バルブ位置決め装置を用いてアクチュエータを制御し、流体回路内を流れる流体を調節する。バルブ位置決め装置は、位置決め装置ハウジングを備えている。位置決め装置マイクロプロセッサが、位置決め装置ハウジング内に配置されている。位置決め装置マイクロプロセッサは、アクチュエータ位置を表わす入力信号を受信するように構成されている。入力信号は、4mA〜20mAの範囲に渡る電流信号であっても良い。入力信号を、コントローラから位置決め装置マイクロプロセッサに送信しても良い。また複数の流体流路が、位置決め装置ハウジング内に配置されている。スプール・マニフォールド・アセンブリが、複数の流体流通路に近接する。スプール・マニフォールド・アセンブリは、流体の流れを流体流通路からアクチュエータへ選択的に流れるように構成された相互に移動可能なスプールを備えている。フレキシブル・シャフトを用いてスプールをダイアフラムに接続するように使用される。また変換器(transducer)が、位置決め装置のハウジング内に配置されている。変換器は、ダイアフラムと流体連絡し、マイクロプロセッサと電気通信している。変換器は、スプールを変位させるためにダイアフラムに供給される流体を調節する働きをする空気圧信号を受信するように構成されている。
【0018】
マイクロプロセッサは、一連の制御アルゴリズムを用いて入力信号をアクチュエータ位置と比較しても良い。マイクロプロセッサは、入力信号とアクチュエータ位置との間の差を最小化するように用いられる空気圧信号を生成する。位置決め装置ハウジング内に配置された複数の流体流路のそれぞれは、それらがスプール・マニフォールド・アセンブリに向かって延びるにつれて幅を徐々に狭くすることによって最適化されている。少なくとも1つの流体流通路は、加圧流体流供給源から流体の流れを受け取るように構成されている。加圧流体流供給源は、位置決め装置ハウジングの外部に配置しても良い。別の実施形態においては、加圧流体流供給源を位置決め装置ハウジング内に配置しても良い。位置決め装置ハウジングはまた、2つの排出ポートを備えていても良い。各排出ポートはまた、フレキシブル・ダイアフラムを備えていても良い。バルブ位置決め装置はまた、アクチュエータに結合されて位置決め装置マイクロプロセッサと電気通信するフィードバック・メカニズムを備えていても良い。フィードバック・メカニズムは、アクチュエータが発生させた荷重を吸収するためのシャフトを備えている。フィードバック・メカニズムはまた、アクチュエータが発生させた不要な荷重の吸収を防ぐために、弾力的に設置されてシャフトから独立しているセンサを備えている。フィードバック・メカニズムは、位置決め装置マイクロプロセッサにフィードバック信号を送信するように構成されている。フィードバック信号は、アクチュエータに付随する圧力変化または位置変化を表わしても良い。
【0019】
別の実施形態においては、流体回路内を流れる流体を調節するための方法が提供される。本方法は、位置決め装置内に配置された位置決め装置マイクロプロセッサ上で入力信号を受信することを含む。位置決め装置は、複数の流体流路を有する位置決め装置ハウジングと、ハウジング内に配置されたスプール・マニフォールド・アセンブリとを備える。スプール・マニフォールド・アセンブリは、流体の流れを複数の流体流路からアクチュエータへ選択的に移すためのスプールを備える。本方法では、入力信号をアクチュエータ位置と比較すること、および空気圧信号を発生させることが続く。空気圧信号を次に、ハウジング内に配置された変換器に送信する。次に、ダイアフラムに変換器からの流体を供給する。またダイアフラムはスプールと機械的に連絡している。本方法では、ダイアフラムに付随する圧力変化に応答してアクチュエータに対する流体の流れを調節するために、スプールをハウジングに対して変位させるが続く。アクチュエータ内の圧力差を表わすフィードバック信号が生成される。フィードバック信号を、アクチュエータに結合されて位置決め装置マイクロプロセッサと電気通信するフィードバック・メカニズムを用いて生成させる。本方法は、受信した入力信号にアクチュエータ位置が対応するまで、前述したステップを繰り返しても良い。
【0020】
本発明は、以下の詳細な説明を参照して、これを添付図面とともに読んだときに最良に理解される。
本明細書で開示した種々の実施形態のこれらのおよび他の特徴および優位性は、以下の説明および図面に関してより良好に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明により構成される位置決め装置システムの断面図である。
【図2】位置決め装置システムのスプール・マニフォールド・アセンブリを残りの部分から引き離した状態の位置決め装置システムの分解組立図である。
【図3】位置決め装置にはスプール・マニフォールド・アセンブリが含まれる本発明により構成される位置決め装置システムの位置決め装置の断面図である。
【図4】本発明により構成される位置決め装置システムの側面図である。
【図5】図2に示すスプール・マニフォールド・アセンブリの断面図であり、スプール・マニフォールド・アセンブリのスプールが中立位置にある状態を示す図である。
【図6】スプール・マニフォールド・アセンブリの一部の側立面図であり、フレキシブル・シャフトを介してスプールに連携されるダイアフラムを示す図である。
【図7】スプール・マニフォールド・アセンブリの部分断面図であり、そのダイアフラムおよびフレキシブル・シャフトを示す図である。
【図8】スプール・マニフォールド・アセンブリのフレキシブル・シャフトの拡大部分断面図である。
【図9】スプール・マニフォールド・アセンブリの断面図であり、そのスプールが流れ位置にある状態を示す図である。
【図10】スプール・マニフォールド・アセンブリの断面図であり、そのスプールが流れ位置にある状態を示す図である。
【図11】本発明に基づき構成される位置決め装置システムの内部機能を例示するブロック図である。
【図12】本発明に基づき構成される位置決め装置システムのフィードバック・メカニズムの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、図面(表示は、本発明の実施形態を例示することを目的としており、限定することは目的としていない)を参照して、図1は、本発明に基づき構成された位置決め装置10を例示している。位置決め装置10は、スプール・マニフォールド・アセンブリ14と、電気部品17が組み込まれたプリント回路基板(PCB)アセンブリ16とを備えている。位置決め装置10の役割は、アクチュエータ(図示せず)に機械的に接続された位置コントローラ(サーボ機構)の役割である。位置決め装置10は、アクチュエータに対するその出力を調整して、入力電流信号に比例してアクチュエータの所望の位置を維持するように構成されている。したがって、位置決め装置10は、アクチュエータが接続されているバルブを開閉するためにアクチュエータを所望の位置まで変位させるのに必要な推進力を提供するために用いられる。
【0023】
スプール・マニフォールド・アセンブリ14は、位置決め装置10に不可欠な部分である。スプール・マニフォールド・アセンブリ14は、圧縮空気の流れをアクチュエータに移す。スプール・マニフォールド・アセンブリ14は、アクチュエータから排出される空気を排出ポート18内に排出しても良い。スプール・マニフォールド・アセンブリ14は、圧縮空気の流れをアクチュエータに排出する一方で、同時に流体圧力を排出ポート18に排出しても良い。流体の流れは、詳細な説明の全体に渡って圧縮空気の流れを指す。しかし、流体の流れは圧縮空気以外の媒体(たとえば、ガスまたは他の任意の適用可能な流体)を指しても良いことが考えられる。詳細な説明の全体に渡って、圧縮空気を用いることは、本発明の一実施形態を表すだけであり、本発明とともに用いるべき流体の種類に何ら限定を課すものではない。位置決め装置10の排出ポート18は、アクチュエータから排出される圧縮空気を位置決め装置10の外部の大気に放出しても良い。
【0024】
PCBアセンブリ16には、位置決め装置10の電気部品17が搭載されている。PCBアセンブリ16をスプール・マニフォールド・アセンブリ14から分離することが考えられる。この点に関して、PCBアセンブリ16は、敏感な電気部品17を保護するために防水性のエンクロージャに収容されている。PCBアセンブリ16は、位置決め装置10の種々の出力を制御するように用いられる制御アルゴリズムを処理するためのマイクロプロセッサを備えていても良い。一実施形態においては、PCBアセンブリ16を保護シリコン・コーティングが施されたトレイに封入することが考えられる。
【0025】
次に、図2を簡単に参照して、スプール・マニフォールド・アセンブリ14は位置決め装置10から着脱可能である。この点に関して、スプール・マニフォールド・アセンブリ14を、位置決め装置10から取り外しても良い。スプール・マニフォールド・アセンブリ14は、スプール・マニフォールド・アセンブリ14およびその種々の部品の検査を行なうために位置決め装置10から取り外し可能である。これについては、後により詳細に説明する。検査の結果、スプール・マニフォールド・アセンブリ14を、過剰使用による磨耗が原因で交換しなければならないと判定される場合がある。検査によって、交換よりもむしろ日常的なメンテナンスが必要であることが明らかになる場合がある。スプール・マニフォールド・アセンブリ14を取り外せることによって、スプール・マニフォールド・アセンブリ14のクリーニングが可能になる。スプール・マニフォールド・アセンブリ14を位置決め装置10から取り外す選択肢は、費用対効果が高くて時間が節約される方法である。さらに加えて、スプール・マニフォールド・アセンブリ14は、位置決め装置システム10の精度および効率に対して不可欠である。スプール・マニフォールド・アセンブリ14内の極めて小さい量のゴミまたは磨耗でさえ、位置決め装置10の精度および効率に悪影響を与える場合がある。したがって、スプール・アセンブリ14を位置決め装置10から取り外すことが、位置決め装置10の全体をその動作環境から取り外すことなく可能となることが望ましい。
【0026】
図1を再び参照して、前述したように位置決め装置10は2つの排出ポート18を備えている。スプール・マニフォールド・アセンブリ14は、位置決め装置10からの流体の流れを大気中に放出するために、アクチュエータからの流体の流れを排出ポート18に移すように構成されている。フレキシブル・ダイアフラム・シート19を、各排出ポート18に結合しても良い。フレキシブル・ダイアフラム・シート19は、一般的に、水、ホコリ、および他の細片がスプール・マニフォールド・アセンブリ14または位置決め装置10の高感度領域に入ることを防ぐために、逆止弁と同様に機能する。本発明の環境保護特性に関しては、これは特に、熱帯降雨、ホコリおよび/または砂が存在する過酷な環境に設置される制御バルブとともに用いることに適している。ほとんどのバルブ位置決め装置システムは、その排出ポートに入る水に関して面倒な問題を抱えるが、位置決め装置10の内部部分に入る水は、位置決め装置10の安全性または機能性に対しては有害ではない。この点に関して、位置決め装置10は保護等級IP66を満足している。さらに加えて、位置決め装置10は、その内部に水が排出ポート18を通して入ることを防ぐか、または最小限にするように設計されている。フレキシブル・ダイアフラム・シート19を、水が排出ポート18に入ることを防ぐためのシールとして用いるが、依然として、空気または別の流体が排出ポート18から大気に自由放出できるようになっている。
【0027】
次に図3を参照して、位置決め装置10は、スプール・マニフォールド・アセンブリ14が内部に配置された位置決め装置ハウジング20を備えている。位置決め装置ハウジング20内には、複数の流体流路22、24、26が配置されている。3つの流体流路22、24、26がある。中央の流体流路24は、圧力供給源の形態の圧縮空気の供給源に接続されている。中央の流体流路24に接続された圧力供給源を、位置決め装置ハウジング20内に配置しても良い。別の実施形態においては、中央の流体流路24に接続された圧力供給源を、位置決め装置10の外部に配置する。流体流路22および26は、図4に示すアクチュエータ室接続ポート28、30に流体的に接続されている。このようなポート28、30自体は、アクチュエータに流体的に接続されている。より詳細には、アクチュエータ室接続ポート28、30は、流体流路22、26にそれぞれ流体的に接続されて、そこから圧縮空気を受け取るようになっている。あるいは、アクチュエータ室接続ポート28、30は、流体流路22、26の対応するものに、排出ポート18に送られるようにアクチュエータから排出された空気を供給するように構成されている。アクチュエータ室接続ポート28、30が、流体流路22、26に空気流を供給するか、または受け取ることができることは、スプール・マニフォールド・アセンブリ14のスプール・アセンブリ32の位置、特にスプール・アセンブリ32のスプール34の位置に依存する。スプール34は、空気の流れをアクチュエータ室接続ポート28、30または排出ポート18内に移すように構成されている。これについては、後により詳細に説明する。
【0028】
次に、図5、6、9、および10を参照して、スプール・アセンブリ32は流体流路22、24、26に効果的に連結されて、アクチュエータにしたがって流体回路内の流体の流れを操作するために、圧縮空気を所定の箇所に移す。スプール34は、スプール・アセンブリ32を通して所定の仕方で流体の流れを引き起こすために、必要に応じてスプール・アセンブリ32内で軸方向にスライドするように構成されている。スプール・アセンブリ32において、スプール34は、長手軸Aを規定する主ボディ部分37を備えている。主ボディ部分37から径方向外側に延びているのは、等距離に開けられた間隔で配置された3つの円柱形状のローブ(lobe)38である。この点に関して、主ボディ部分37は第1の直径であり、ローブ38はそれぞれ、第1の直径よりも長い第2の直径である。スプール34に加えて、スプール・アセンブリ32は、中空管状のスリーブ36を備えている。スプール・アセンブリ32において、スプール34は、スリーブ36内に同心円状に位置し、スリーブ36に対して所定の位置まで長手軸Aに沿ってスライド可能に移動可能である。図5、9、および10において分かるように、スリーブ36は、連続的な外壁を規定してはおらず、むしろ、スリーブ36が位置決め装置ハウジング20の内部に動作可能に取り付けられたときに、流体流路22、24、26の対応するものと位置合わせされる3つの別個の開口部を規定している。この点に関して、位置決め装置ハウジング20は内壁部分21を備えている。内壁部分21は、流体流路22、24、26を規定することに加えて、スリーブ36によって規定される開口部に隣接して開口部の間を延びるスリーブ36の部分に接触する壁セグメントをさらに規定している。図5、9、および10においてさらに分かるように、スリーブ36の開口部に隣接して開口部の間を延びるスリーブ36の部分はそれぞれ、シール部材(たとえばOリング40)に適合する外側の環状溝を備えている。Oリング40自体は、スリーブ36に接触する内壁部分21のセグメントと封止状態で嵌合している。
【0029】
スプール・アセンブリ32において、スプール34は、中立または平衡位置と、2つの別個の不平衡位置との間を選択的に移動可能である。図5では、スプール34をその中立位置に示している。図9では、スプール32を、その2つの不平衡位置の一方において示し、2つの不平衡位置の他方を図10に示す。スプール32がその不平衡位置のいずれかにあると、ローブ38は一般的に、流体流路22、24、26のうちの特定のものに位置合わせされて、流体がアクチュエータとの間で所定の仕方で選択的に流されるようになる。スプール34が図5に示すその平衡位置まで動かされると、アクチュエータの動きは無効化される。図5の中央の流体流路24に示す矢印は、圧力供給源によって供給される圧縮空気を表わしている。スプール34がその中立位置にあるとき、圧縮空気が駆動チャンバ・ポート28、30に流体流路22、26を介して流れることが阻まれる。なぜならば、スプール32の中央のローブ38によって、中央の流体流路24と連絡するスリーブ36の開口部が効果的に塞がれるからである。図5の流体流路22、26に示す矢印は、スプール34がその中立位置にあるときにアクチュエータから駆動チャンバ接続ポート28、30内に排出される空気を表わしている。また図5に示すような流体流路22、26を通る空気の流れは、位置決め装置ハウジング20の開かれた内部に流れ込んだ後に大気中に排出ポート18を介して出て行くことが、スプール34のローブ38の外側の対によって効果的に遮られる。より詳細には、図5において分かるように、排出空気は、流体流路22、26を通って、ローブ38の各隣接対の間に規定される空隙に流れ込むことができるが、ローブ38の外側の対によって、スリーブ36内の開口部が効果的に遮られる。この開口部は、遮られていなかったら、排出空気がスリーブ36から位置決め装置ハウジング20の開かれた内部に流れ込み、それから外側に向かって大気中に、排出ポート18とこれに動作可能に連結されたダイアフラム19とを介して出て行くことを可能にするものである。
【0030】
図9に示すようなその不平衡位置を取るために、スプール34は、長手軸Aに沿って、図5に示す中立位置から、図9に示す視点から見たときの左の方向に移動する。この特定の不平衡位置にあるときは、中央のローブ38は、流体流路24と連絡するスリーブ36の開口部を効果的に遮らないため、加圧空気または別の流体が、流体流路24から流体流路26へ、図9の流体流路24、26に含まれる矢印が示す仕方で流れることが可能になる。分かるように、流体流路24を通った後に流体流路26に流れ込む加圧流体は、アクチュエータ室接続ポート30に、そしてその後にアクチュエータに送られる。
【0031】
同時に、空気が、アクチュエータから排出されて、アクチュエータ室接続ポート28内に入り、その後に流体流路22内に入ると、一番左のローブ38に隣接するスリーブ36の今は遮られていない開口部を通って、位置決め装置ハウジング20の開かれた内部に効果的に送られる。これは、最終的に大気中に排出ポート18を介してやはり図9の矢印が示す仕方で放出される前に行なわれる。
【0032】
図10に示すようなその不平衡位置を取るために、スプール34は、長手軸Aに沿って、図5に示す中立位置から、図10に示す視点から見たときの右の方向に移動する。この特定の不平衡位置にあるときは、中央のローブ38は、流体流路24と連絡するスリーブ36の開口部を効果的に遮らないため、加圧空気または別の流体が、流体流路24から流体流路22へ、図10の流体流路22、24に含まれる矢印が示す仕方で流れることが可能になる。分かるように、流体流路24を通った後に流体流路22に流れ込む加圧流体は、アクチュエータ室接続ポート28に、そしてその後にアクチュエータに送られる。同時に、空気が、アクチュエータから排出されて、アクチュエータ室接続ポート30内に入り、その後に流体流路26内に入ると、一番右のローブ38に隣接するスリーブ36の今は遮られていない開口部を通って、位置決め装置ハウジング20の開かれた内部に効果的に送られる。これは、最終的に大気中に排出ポート18を介してやはり図10の矢印が示す仕方で放出される前に行なわれる。
【0033】
当業者であれば分かるように、中立位置と各不平衡位置(図5、9、および10の対応するものに示す)との間でのスプール34の動きは、アクチュエータの動きを所定の仕方で促進するために必要に応じてアクチュエータとの間で空気を効果的に移す働きをする。前述したように、アクチュエータ自体は、バルブ閉鎖要素に結合されて、流体回路における流体の流れを所定の仕方で調節するために、必要に応じてバルブ閉鎖要素を効果的に駆動するのに必要な推進力を与える。
【0034】
図3に最良に示し、また前述したように、位置決め装置ハウジング20の流体流路22、24、26は、位置決め装置10の流量容量を最大にすることに対して最適化されている。このような最適化は、流体流路22、24、26の形状に関係づけられる。特に、流体流路22、24、26の幅は、このような流体流路22、24、26がスプール34に接近するにつれて狭くなる。しかし、流体流路22、24、26は、空気流の供給源がそこに最初に導入されるところで、最大の幅となる。たとえば、流体流路22、26は、アクチュエータから排出された空気が流路22、26に、アクチュエータ室接続ポート28、30の対応するものから導入されるところで、幅がより広い。同様に、中央の流体流路24は、圧縮空気が流路24に圧力供給源から導入されるところで最も広い。流体流路22、24、26が狭くなること(通路22、24、26がスプール34に接近するにつれて起こる)によって、スプール34の必要とされるストローク範囲が効果的に小さくなる。このようにストローク範囲が小さくなることによって、スプール34は、中立(流れなし)位置と前述で強調した不平衡(流れ)位置のいずれかとの間での速いストローク時間を実現することができるようになる。スプール34の寸法も、流体流路22、24、26が狭くなる結果、小さくすることができる。さらに、流体流路22、24、26の幅が狭くなることによって、スプール・アセンブリ32内での圧力低下が最小限になる。スプール・アセンブリ32内での圧力低下が最小限になることによって、アクチュエータは、空気の受け取りまたは排出を迅速かつ効率的に行なうことができる。スプール34がその流れる不平衡位置の1つに動くときのアクチュエータに対する圧力供給源が大きくなるにつれて、アクチュエータのストローク時間が速くなる。アクチュエータのストローキングが速くなることによって、流体回路内の流体の流れを調節するためのバルブ閉鎖要素の開閉が速くなる。
【0035】
位置決め装置ハウジング20内に配置された最適化された流体流路22、24、26によって、高容量のスプール34の構造が補足される。スプール34の寸法は、ほとんどの厳しい条件の下での効率および精度に対して重要である。最適化された流体流路22、24、26が、スプール・アセンブリ32との接触面において狭くなっていない場合には、アクチュエータおよび排出ポート18への圧縮空気の流れを遮るか、または防ぐのに本来必要となるであろうスプール寸法34は、必然的にサイズがはるかに大きくなくてはならないだろう。しかし、このようにスプール34にしたがって対応するスプール・アセンブリ32の寸法が大きくなると、スプール34の質量が大きくなる。スプール34の質量が増えると、結果として、慣性の量が大きくなる。このように慣性の量が大きくなると、結果として、位置決め装置10が消費すべきパワーの量を増やす必要がある。したがって、わずかでもスプール34の寸法が大きくなることは望ましくない。むしろ、位置決め装置10の流れ係数を小さくすることなくスプール34の寸法を最大限小さくすることが好ましく、これは本発明によって実現される。前述したように、スプール34の寸法を小さくすることによって、その質量が効果的に小さくなる結果、そのストローク時間が長くなって、最大の流れ係数が最小のスプール34の動きで実現される固有の流れ特性が確実に達成される。
【0036】
スプール34は、その質量を最小限にする材料から作製する。前述したように、スプール34を変位させるために必要となる力は、スプール34の質量を最小限にすると小さくなる。その結果、スプール34を変位させるために必要となるパワーは小さくなる。スプール34は摩擦の小さい材料から作製しても良い。このように摩擦が小さいことは、スプール34が長手軸Aに沿って変位する間のスプール34の運動エネルギーにとって有益である。
【0037】
スプールは、スプール34とスプール34が同心円状に位置しているスリーブ36との間の任意の摩擦に打ち勝つのに必要とされる必要な力を小さくする材料から作製する。スプール34とスリーブ36との間の静止摩擦は、スプール・アセンブリ32における不感帯の主な原因となり得る。したがって、スプール34とスプール34がスライド可能に配置されるスリーブ36との間の摩擦を最小限にすることによって、不感帯の影響が小さくなる。単に一例として、限定ではなく、スプール34は、アルミニウム合金、ステンレス鋼、セラミック、またはポリマーから作製しても良い。これらはすべて、表面処理を施しても良いし施さなくても良い。また前述したように、スプール・アセンブリ32の構成ではスプール34に対して短いストロークが考えられる。一実施形態においては、スプール34のストロークの範囲は、ほぼ2ミリメートルである。その中立位置からその流れる不平衡位置のいずれかまでのスプール34に対するストローク範囲は、中央のスプールのローブ38の幅のほぼ1/2であることが考えられる。スプール34のストロークは短いが、位置決め装置10は高容量の流れ係数を維持することができる。効果的に、スプール・マニフォールド・アセンブリ14が、スプール・アセンブリ32を、最適化された流体流路22、24、26および他の要素と一緒に、位置決め装置ハウジング20内に備えていることが、スプール34が高周波の変化に応答できることを補足している。高周波応答は、スプール34を小圧力応答ダイアフラム48を用いて駆動するときには重要である。その固有の特性については、後でより詳細に説明する。一実施形態においては、スプール周波数応答はほぼ6Hzである。スプール34が小周波数変動に応答できることは、位置決め装置10の高流量容量の一因である。
【0038】
図3および5〜10において分かるように、スプール・マニフォールド・アセンブリ14はさらに、細長いフレキシブル・シャフト50を備えている。これは、スプール34を位置決め装置10の前述した圧力応答ダイアフラム48に動作可能に結合させるために用いるものである。フレキシブル・シャフト50の第1の端部は、スプール34によって規定される長手軸Aに沿ってスプール34の主ボディ部分37内を軸方向に延びる補足的な開口部内に受け取られて堅固に固定されている。スプール34に対するフレキシブル・シャフト50の硬い接触面によって、軸方向に硬い継手が規定される。スプール34内に進めていないシャフト50の部分のうち、その長さのかなりの部分が細長いスリーブ51内に配置されている。スリーブ51によって、シャフト50の横方向の変位が効果的に最小限になる。これについては、後により詳細に説明する。スリーブ51自体は、結合部材59を通して進めている。結合部材59自体は、位置決め装置ハウジング20の内部支持体表面またはスプール・マニフォールド・ブロック15に取り付けられている。結合部材59から突出しているスリーブ51の遠位部分を、ダイアフラム支持部材53の補足的な穴内に進めて、ダイアフラム支持部材53に堅固に固定させる。ダイアフラム支持部材53はまた、スリーブ51と同軸に位置合わせされて結合部材59の遠位部分に適合する空洞を規定している。またダイアフラム支持部材53に対してスリーブ51を介しているシャフト50の硬い接触面によって、軸方向に硬い継手が規定されている。
【0039】
さらに図3、5〜7、9および、10において分かるように、環状のバネ・ブッシング(spring bushing)57が結合部材59の外部に取り付けられている。ダイアフラム支持部材53とバネ・ブッシング57とに接触して両者の間を延びているのは、付勢部材、より詳細には螺旋状の付勢バネ55である。この点に関して、ダイアフラム支持部材53とバネ・ブッシング57とはそれぞれ、付勢バネ55を両者の間を延びるその動作位置に効果的に維持するように、具体的に構成されている。付勢バネ55は通常は、ダイアフラム支持部材53をダイアフラム48の方へ、したがってスプール34から離れるように付勢している。
【0040】
スプール34の、その中立位置とその流れる不平衡位置のそれぞれとの間での動きは、シャフト50の長手軸Aに沿っての動きによって駆動される。シャフト50の動き自体は、ダイアフラム48からダイアフラム支持部材53に及ぼされる圧力によって影響される。ダイアフラム支持部材53は、前述したように、シャフト50にスリーブ51を介して堅固に取り付けられている。ダイアフラム48からダイアフラム支持部材53に及ぼされる圧力がない場合、したがって、シャフト50に印加されるわずかな押す力もない場合には、スプール34は、図9に示すようなその不平衡位置を取る。この点に関して、スプール34は、付勢バネ55によってダイアフラム支持部材53に付勢力が及ぼされる結果、図9の視点から見たときにその有効ストロークの一番左の程度まで駆動される。図9に示す不平衡位置から図5に示す中立位置までのスプール34の動きは、ダイアフラム48に圧力を、図9に示す視点から見たときの右方向への支持部材53のわずかな増分の動きを促進するのに十分なレベルで印加することによって促進される。分かるように、この増分の動きを促進するためのダイアフラム48からダイアフラム支持部材53に及ぼされる圧力は、通常は付勢バネ55からダイアフラム支持部材53に及ぼされる付勢力に打ち勝ち、したがって、結果としての付勢バネ55の圧縮を引き起こすのに十分でなければならない。
【0041】
また当業者であれば分かるように、スプール34に図10に示す流れる不平衡位置を取らせるには、付勢バネ55によって及ぼされる付勢力に打ち勝って、図5に示す視点から見たときにその中立位置に対して右方向へスプール34がさらに動くことを達成するために、必要に応じてダイアフラム48からダイアフラム支持部材53に及ぼされる圧力の量を大きくする必要がある。ダイアフラム支持部材53に対する結合部材59の末端部の接触点は、不可欠な押力がシャフト50からスプール34に及ぼされたときにスプール34が図10に示す不平衡位置を取った後で、スプール34の右方向へのさらなる動きを制限する止め具となる。本発明のフレキシブル・シャフト50は、スプール34に対する駆動リンク機構構造に不可欠である。前述したように、シャフト50によって、スプール34は圧力応答ダイアフラム48に効果的に結合される。シャフト50によって、フレキシブルなスプール/ダイアフラム結合が提供される。
【0042】
シャフト50によって容易になるダイアフラム48へのスプール34のフレキシブルな結合によって、ダイアフラム48に圧力が及ぼされる結果としてスプール34が軸方向に所定の位置まで変位したときにスプール34とダイアフラム48との間に生じる比較的小さい位置合わせ不良によって発生する摩擦が最小限になる。スプール34の長手軸Aとダイアフラム48の推力軸との間に生じる小さい位置合わせ不良は、回避するのが難しい。しかし、前述の軸間にどんな位置合わせ不良が生じているにもかかわらず、スプール34を滑らかに駆動することは重要である。シャフト50によって容易になる径方向には弾力性があるが軸方向には硬い継手によって、スプール34とダイアフラム48とを連携または結合することによって、軸方向のバックラッシュまたは軸方向の遊びが防止されるかまたは最低限でも最小になることが考えられる。またこのような弾力性のある径方向の継手によって、最小の推力が小さくなり、その結果、軸方向のバックラッシュが小さくなる。フレキシブル・シャフト50がもたらす固有の弾性的な径方向の継手のせいで、長手軸Aに沿って直線変位が生じた場合に、推力が非常に小さくなり、軸方向のバックラッシュがなくなる。軸方向のバックラッシュは、装置の入力と出力との間の一時的な不連続によってもたらされ、装置の入力が方向を変えたときに生じる不感帯の形態である。機械的接続部のガタまたは緩みが典型的な例である。フレキシブル・シャフト50は、ダイアフラム48とスプール34との間のガタを最小限にするように設計されている。同時に、シャフト50の横方向の過剰な変位は、スリーブ51によって制限されている。スリーブ51によって容易になるシャフト50の横方向の最大変位が限定されることは、シャフト50の曲がりが防がれるため、優位であり望ましい。さらに、シャフト50の弾性特性によって、図8の参照番号52が示す自由歪み長さ(long free deflection length)を長くすることができる。シャフト50は、50ニュートン(N)を超える圧縮性推力に耐えることができる。これは、典型的な圧縮推力が、同等の位置決め装置に対して10N未満であることが非常に多いことを考慮すると、極めて高い容量である。
【0043】
またシャフト50は、スプール34をその中立かつ流れない平衡位置からその流れる不平衡位置の一方まで動かすために、長手軸Aに沿って直線的に変位させなければならない範囲を小さくするように、適合されている。スプール34の範囲を小さくすることによって、スプール34のストロークが短くなる。前述したように、スプール・ストロークが短くなることによってスプール・ストローク時間が最小になり、その結果、スプール周波数応答が向上する。位置決め装置10は、スプール34のストローク時間が最小のときに、周波数変動を伴う入力電流信号に対する応答が向上している。これは特に、入力信号の変位が最小のとき、したがって小さい周波数変動に対する感度を加える必要があるときに、重要である。
【0044】
前述したように、ダイアフラム48は、位置決め装置ハウジング20内に配置され、位置決め装置10の変換器(transducer)54から圧縮空気を受け取ることに応答してフレキシブル・シャフト50に力を伝えるフレキシブルな圧力応答要素である。変換器54は、圧力変換器に対する電流であり、位置決め装置ハウジング20の内部に規定される後方のダイアフラム隔室56に流体的に結合されていることが考えられる。分かるように、また図3に示すように、ダイアフラム48は、封止された流体密封の障壁を、隔室56とダイアフラム支持部材53との間に効果的に形成する。電流信号を受け取るとすぐに、変換器54は、隔室56に圧縮空気を供給する働きをする。隔室56内の空気圧が高まるにつれ、このような空気圧によってダイアフラム48に力が及ぼされて、付勢バネ55の対抗する力に打ち勝つ。前述したように、ダイアフラム48に及ぼされる力はダイアフラム支持部材53に移され、そして次に、フレキシブル・シャフト50にスリーブ51を介して移される。シャフト50に力が伝わることによって、長手軸Aに沿って軸通した動きまたは押すことが生じる結果、スプール34が、図5および10の対応するものに示す位置のいずれかに変位する。前述したように、隔室56内にわずかな空気圧もないことと、付勢バネ55の作用とが相まって、スプール34は図9に示す不平衡位置を取る。空気または他の流体圧力を隔室56内に第1のレベルで導入することによって、スプール34の図5に示すその中立位置までの動きが促進され、隔室内の圧力レベル56をさらに第1のレベルを超える第2のレベルまで増加させることによって、スプール34の図10に示すようなその他方の不平衡位置までのさらなる増分の動きが促進される。この場合もやはり、隔室56内の圧力レベルを第2のレベルを超えてさらにどれだけ増加させても、結合部材59とダイアフラム支持部材53との間に機械的止め具が形成されている結果、スプール34が図10に示す位置を超えてさらにわずかでも動くことは助長されない。
【0045】
位置決め装置10において、隔室56(とともにダイアフラム48)は、排出ポート18のどんな背圧の影響からも取り除かれるように、位置決め装置ハウジング20内に配置されている。この点に関して、位置決め装置ハウジング20内でのダイアフラム48の排出ポート18に対する位置は、ダイアフラム48に対する軸方向のわずかな荷重も防止するかまたは最小限にするように選択される。たとえば、排出ポート18から出てくる排気背圧の影響は6バールを超えることがあるが、位置決め装置ハウジング20内でのダイアフラム48の配置は、ダイアフラム48に及ぼされる圧力が通常は2バール未満となるようなものである。
【0046】
位置決め装置10の変換器54は、マイクロプロセッサ72から直接の電気入力信号を受け取ることができる。変換器54は、トルク・モータ、ノズル・フラッパー、および空気圧式リレーを用いて、電気的または電流信号を、比例する空気圧出力信号に変換しても良い。ノズル圧力は、リレーを動作させ、トルク・モータ・フィードバック・ベローズ(torque motor feedback bellow)に管で送られて入力信号とノズル圧力との間の比較をもたらす。
【0047】
変換器54を好ましくは、位置決め装置ハウジング20の内部に規定される防水性の封止された隔室58内に配置して、過酷な環境と排出ポート18の排出圧力の影響とから保護する。位置決め装置10を用いて、直線式および回転式取り付け部を伴う単動式および複動式のアクチュエータの両方の制御を容易にしても良い。従来の複動式アクチュエータは、スライディング封止プレートまたはピストンを備えている。これは、加圧保持シリンダの内部に配置されて複動式動作を実現するものである。複動式アクチュエータの場合、位置決め装置10からピストンの両側に空気が供給される。より詳細には、位置決め装置10は、ピストンの一方の側に圧縮空気を送出すると同時に、効果的に他方の側から空気が逃げられるようにすることを、ピストンの所定の位置に達するまで行なっても良い。バネを複動式アクチュエータのシリンダ内に含めて、フェイル・セーフ・メカニズムとして機能するようにしても良い。アクチュエータは、単動式であろうと複動式であろうと、直線または回転式バルブとともに用いることができる。直線構造(linear design)は効率的である。なぜならば、アクチュエータの全体の動きがバルブのバルブ軸に直接移されるからである。
【0048】
次に図11を参照して、位置決め装置10の内部機能を表わすブロック図である。位置決め装置10は、他の同様のサイズの位置決め装置と比べて、流量容量の増加および効率の増大を実現している。位置決め装置10は、マイクロプロセッサをベースにした電流対空気圧機器である。位置決め装置10は、バルブ位置およびアクチュエータ内圧力変化のフィードバックを受け取るように構成されている。したがって、位置決め装置10は、それ自体、バルブ、および位置決め装置10が取り付けられたアクチュエータを診断しても良い。位置決め装置10は、電力とバルブを配置すべき場所を示す設定点とを与える入力信号(電気信号)を受け取る。設定点は、制御しているプロセス変数の所望の値を表わす参照値である。入力信号は、アクチュエータの駆動にしたがってバルブの制御を行なうために位置決め装置10が用いる電流信号と言っても良い。位置決め装置10は、2線の4〜20mAの入力信号から電力を受け取る。入力信号は、パーセンテージとして定量化することができる。たとえば、0%の入力信号をバルブの閉位置と規定しても良く、100%の入力信号をバルブの開位置と規定することが考えられる。アナログ供給源を用いて、4〜20mAの信号をパーセンテージに変換する。ループ校正の間、0%および100%に対応する信号を規定する。たとえば、ループ校正によって、4mA=0%の入力信号および20mA=100%の電流信号を与えても良い。この例では、12mAは50%の電流信号を表わす。0%〜100%の範囲に渡る複数の入力信号が存在することに注意されたい。空気圧で動作するバルブは、位置決め装置10に依存して、コントローラから入力信号を受け取り、入力信号をバルブ変位に変換する。入力信号は、位置決め装置10に命令を出してアクチュエータを特定の位置まで変位させ、流体回路内の流体の流れを操作する。変換器54は、入力信号を位置決め装置マイクロプロセッサ72から受け取って、それを空気圧信号に変換する。
【0049】
位置決め装置10は、受信した入力信号をアクチュエータの位置と比較するように構成されている。信号とアクチュエータ位置とが異なる場合、位置決め装置10は、必要な推進力を圧縮空気を通して送り、アクチュエータを、正しい位置に達するまで変位させる。これは、負のフィードバックの原理として知られている。ここでは、制御入力と機械システムの実際の位置との比較を、出力においてフィードバック・メカニズムが測定したときに行なう。実際の値と必要な値との間の任意の差(「誤差信号」)を増幅して、スプール34を、誤差を減らすか、または無くすために必要な方向に駆動するために用いる。電空式位置決め装置は、電流信号を同等な空気圧信号に変換することができる。空気圧信号は次に、位置決め装置10のパイロット・バルブ66を動作させることができる。優位に、位置決め装置10は、スプールの動きを発生させるのに、入力信号と空気圧信号との間の固定した関係に基づいてはいない。空気圧信号は、パイロット・バルブ66を駆動する位置決め装置マイクロプロセッサ72が、特定のアルゴリズムによって発生させる。パイロット・バルブ66は、小さいバルブで、流れが制限された制御供給を、通常は高圧力または高流量供給を制御する別個のスプール・バルブ70に制御するものである。パイロット・バルブ66は有用である。なぜならば、パイロット・バルブ66によって、小さくて操作が容易な供給が、はるかに高い圧力または高い流量供給(本来は、操作にはるかに大きい力を必要とする)を制御することができる場合があるからである。位置決め装置10はさらに、スプール・バルブ70と連絡する空気圧インターフェース68を備えていても良い。空気圧インターフェース68は、圧縮空気をアクチュエータに送るためのスイッチである。空気圧インターフェース68は、位置決め装置10の位置決め装置マイクロプロセッサ72と空気圧システムとの間のインターフェースである。
【0050】
位置決め装置10は、圧力位置決め装置に対するアナログ電流と同様に機能する。位置決め装置10は、空気の代わりに電流(4〜2OmA)を入力信号として用いる。それは、電子信号変換がアナログではなくてデジタルという点で異なっている。
【0051】
位置決め装置10は、入力信号によって決定された制御方針を実行する位置決め装置マイクロプロセッサ72を備える。また位置決め装置マイクロプロセッサ72は、アクチュエータに対するその出力を自動的に調整して、入力信号に比例して所望の位置を維持するように構成されている。図11に示すように、位置決め装置マイクロプロセッサ72を、位置フィードバック・センサ65および圧力フィードバック・センサ67からフィードバックを受け取るように構成しても良い。
【0052】
位置決め装置10は、電源から設定点を受け取って、命令された場所にバルブを配置する。入力信号はPCBアセンブリ16に送られる。そこでは、マイクロプロセッサ72がデジタル制御アルゴリズムを実行し、その結果、変換器54への入力信号が発生する。変換器54は、供給圧力に接続され、入力信号を圧力出力信号に変換する。電流対圧力出力が、空気圧インターフェース68アセンブリに送られる。空気圧インターフェース68も、圧力供給に接続され、変換器54からの小さい空気圧信号を、単動式アクチュエータが用いる単一の大きい空気圧出力信号に増幅する。複動式アクチュエータの場合、空気圧インターフェース68は、変換器54から空気圧信号を受け入れて、2つの空気圧出力信号を出力する。アクチュエータに対する空気圧インターフェース68の出力圧力の変化によって、バルブが動く。バルブ位置が、フィードバック・メカニズムを通して、位置決め装置10のフィードバック・センサによって検知される。センサは、PCBアセンブリ16に電気的に接続され、制御アルゴリズムで用いるフィードバック信号を出力する。
【0053】
ブロック図は、本発明の位置決め装置10に関連する要素、機能、およびソフトウェア・ブロックを強調するために、単純化した形態で与えていることに注意されたい。
この点に関して、スプール34の閉ループ制御に関係する要素のみが含まれている。内部ループは、特定のハードウェアによって制御しても良い。内部ループをハードウェア制御すると、任意のソフトウェア関連の遅延が防止される。さらに加えて、スプール・バルブ70を、アクチュエータ内の圧力の目標変更によって制御しても良い。目標圧力変更は、デルタ圧力と言っても良い。
【0054】
次に図12を参照して、フィードバック・メカニズムを図示する。フィードバック・メカニズムは、極めて強力なフィードバック・シャフト・ガイド76を伴うフィードバック・センサ74を備えている。シャフト76は、どんな荷重も吸収するための長い耐荷重ガイドを備えている。フィードバック・センサ74およびフィードバック・シャフト・ガイド76は、アクチュエータに結合されている。フィードバック・センサ74は、位置決め装置10に関連する種々の重要な機能をもたらす。フィードバック・センサ74は、アクチュエータの位置を決定するように構成しても良い。しかし、フィードバック・センサ74が、横方向または軸方向の荷重を発生させる可能性があるどんな小さな位置合わせ不良も回避することが重要である。横方向または軸方向に荷重があると、フィードバック・センサ74の精度が乱れる場合がある。なぜならば、横方向または軸方向の荷重は、アクチュエータの位置またはアクチュエータ内の圧力変化に関係するからである。側面または軸方向の荷重を発生させる可能性がある小さな位置合わせ不良を回避するために、フィードバック・センサ74が弾力的に取り付けられてフィードバック・シャフト・ガイド76から独立している。そのため、吸収する荷重が最小になり、効率および精度の向上が図られる。フィードバック・センサ74とフィードバック・シャフト・ガイド76とを備えるフィードバック・メカニズムから、アクチュエータ位置およびアクチュエータ内の圧力変化の少なくとも1方が、マイクロプロセッサ72にフィードバック信号の形態で伝えられる。
【0055】
電流信号がアクチュエータ位置と比較される。わずかでもずれが存在する場合には、位置決め装置マイクロプロセッサ72から信号が内部ループ制御(スプール駆動)に送られて、ずれに応じてスプール34を相応に動かす。内部ループは、スプール34の位置を迅速に調整する。動きによって、電流信号とアクチュエータ位置との間のずれが小さくなる。このプロセスは、ずれがなくなるまで続いても良い。アクチュエータが所望の位置にあるとき、スプール34は、空気流がアクチュエータのいずれの側にも許可されないような位置になる。たとえば、位置決め装置10を、12mAがゼロずれに対応するように校正しても良い。この時点で、電流信号が12mAから16mAに変化すると、位置決め装置12は16mAを75%の入力信号と見る。したがって、ずれは75%(16mA)−50%(12mA)であり、25%に相当する。正のずれの場合、制御アルゴリズムに基づく位置決め装置マイクロプロセッサ72から電流信号から送られて、スプール34をその現在位置から動かす。スプール34が動くと、圧縮空気がアクチュエータに供給されて、空気がアクチュエータから排出される。アクチュエータ内のこの新しい圧力変化によって、アクチュエータは75%の所望の位置に向かって動き始める。アクチュエータが動くと、ずれは小さくなり始める。位置決め装置マイクロプロセッサ72が処理する制御アルゴリズムから位置決め装置10に指示が出て、不平衡位置へのスプール34の動きが小さくなる。このプロセスは、ずれがなくなるまで続く。その時点で、スプール34は平衡な中立位置にある。
【0056】
パーソナル・コンピュータ(PC)および診断ソフトウェア・アプリケーションを、位置決め装置10と連動するように設けても良い。ソフトウェア・アプリケーションから入力が位置決め装置マイクロプロセッサ72に与えられる。アプリケーションは、ハイウェイ・アドレス可能リモート・変換器(HART)またはトランジスタ・トランジスタ論理回路電気通信回路(たとえばTTL RS232)のいずれかと適合しても良い。アプリケーションによって、位置決め装置10に対するユーザ・インターフェースが与えられる。ソフトウェア・アプリケーションは、位置決め装置10から結果データを得て、結果をモニタまたは他の表示装置上に表示しても良い。種々のパラメータを、位置決め装置10を制御するためにインターフェースに入力しても良い。ソフトウェア・アプリケーションは、位置決め装置10に付随する複数のパラメータを設定する選択肢を提供しても良い。複数のパラメータには、以下のものが含まれていても良い。低限界パーセンテージ(low limit percentage)、高限界パーセンテージ(high limit percentage)、密閉鎖圧力(tight close pressure)、密開口圧力(tight open pressure)、チューニング、開口用比例ゲイン、閉鎖用比例ゲイン、開口用時間、閉鎖用時間、意図的な不感帯(intentional dead-band)、閉鎖速度限界、開口速度限界、速度ダンピング因子開口(velocity damping factor open)、速度ダンピング因子閉鎖(velocity damping factor close)、切り換え制御誤差閾値、掃引圧力、切り換え制御機能、アクチュエータ位置、所要アクチュエータ位置、ダイアフラム位置、電流入力、および圧力センサ校正。開示したパラメータは、一例としてであり、どんな種類の限定も意味していない。パラメータ(たとえばデルタ圧力)を、ソフトウェア・インターフェースに入力して、アクチュエータの位置決め装置10の構成に対するモニタ点として用いても良い。
【0057】
その結果、前述したことから明らかなように、位置決め装置10によって、高容量のスプール34および位置決め装置ハウジング20の構造、制御アルゴリズムおよびハードウェア、環境保護、荷重から保護される極めて強力なフィードバック・シャフト76およびフィードバック・センサ74、ならびにPCインターフェースおよび診断ツールの特徴が与えられる。これらの特徴を備える結果、位置決め装置10は、ブースターを用いることなくCv容量の増加を実現する働きをするが、依然として4〜20mAの標準消費電力に準拠する。特に制御アルゴリズムに関して、内部ループ(スプール駆動)は特定のハードウェアによって制御されるため、前述したようにソフトウェア関連の遅延が生じる可能性はない。また制御アルゴリズムによって、例外的な性能が可能になり、内部ループが「目標デルタ圧力」によってさらに制御される。これは、スプール位置または開ループ法を用いる場合とは対照的である。本発明は、同様のスプール・サイズを有する位置決め装置と比較したときに、小さい信号変化に対してより良好な周波数応答、より速いスプール・ストローク時間、より短いスプール・ストローク範囲、およびより大きな流量(Cv)容量が実現される。位置決め装置10は、これらの固有の特性を、装備したブースターを用いることを必要とせずに備える。本発明において不要なブースターを取り除くことによって、動的な性能の著しい向上が実現される。たとえば、小さい信号変化に対しては、非常に短い不感時間、大きな信号変化に対しては、不安定性を伴わない高速である。さらに、本発明において不要なブースターを取り除くことによって、動作不良および漏れの少なくとも1方に対する複数の原因である配管および取り付け具がなくなることは、前述の通りである。さらに加えて、ブースターならびに関連する配管、取り付け具、および配管設備がないことに起因するコスト節約は、著しい。また本発明の位置決め装置10は、現場またはバルブ箇所のいずれにおいても較正が容易であり、著しい時間節約、したがってコスト削減が実現される。なぜならば、関連してブースター調整を行なう必要がないからである。たとえ、位置決め装置の高流量によってブースターがほとんどの応用例に対して不要になったとしても、位置決め装置はブースターを駆動することができる。制御品質は、既存の低CVの位置決め装置と比べると、必要な増幅が小さいためにより良好である。
【0058】
前述した種々の実施形態は、単に実例として与えており、本発明を限定するものと解釈してはならない。当業者であれば容易に分かるように、本明細書において例示および説明した例示的実施形態および応用例に従うことなく、また本発明の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、種々の変更および変形を本発明に施しても良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ位置決め装置に結合するためのスプール・マニフォールド・アセンブリであって、
流体を受け取って排出するための複数の流体流路を有するハウジングと、
前記ハウジング内に配置される管状スリーブであって、前記流体流路から流体を受け取るための複数の開口部を規定する前記スリーブと、
前記スリーブ内に配置されるスプールであって、長手軸を規定し、長手軸に沿って軸方向にスライドして、流体を前記複数の流体流路に前記複数の開口部を介して流すように構成される前記スプールと、
長手軸に沿って延びるフレキシブル・シャフトであって、前記スプールに結合された第1の端部と、ダイアフラムに結合された第2の端部とを有し、前記ダイアフラムは、前記ハウジング内に配置され、前記スプールに付随する圧力変化に応答して前記スプールに推進力を及ぼすように構成される、前記フレキシブル・シャフトと、
前記フレキシブル・シャフトの周りに前記ダイアフラムと前記スプールとの間に配置された付勢バネであって、通常は前記スプールを所定の位置に付勢する働きをする前記付勢バネと、を備えるスプール・マニフォールド・アセンブリ。
【請求項2】
前記スプールは、中立位置と不平衡位置との間で選択的に移動可能であり、前記中立位置にあるときには、流体が流体流路からアクチュエータへ流れることを防ぐ働きをし、前記付勢バネは通常は前記スプールを前記不平衡位置に付勢する請求項1に記載のスプール・マニフォールド・アセンブリ。
【請求項3】
前記スプールは、前記不平衡位置にあるときには、流体を少なくとも1つの流体流路から前記アクチュエータへ流すことができるように構成される請求項2に記載のスプール・マニフォールド・アセンブリ。
【請求項4】
前記スプールは、長手軸に沿って軸方向に延びる穴であって、前記フレキシブル・シャフトを部分的に受け取るように構成された穴を備える請求項1に記載のスプール・マニフォールド・アセンブリ。
【請求項5】
前記フレキシブル・シャフトの一部は、細長いスリーブであって、圧縮力が前記フレキシブル・シャフトに及ぼされたときに前記フレキシブル・シャフトの横方向の変位を最小限にするようにサイズ取りおよび構成される、前記スリーブ内に配置される請求項1に記載のスプール・マニフォールド・アセンブリ。
【請求項6】
前記フレキシブル・シャフトの第1の端部と前記フレキシブル・シャフトの第2の端部とはそれぞれ、硬い継手を軸方向に規定する請求項1に記載のスプール・マニフォールド・アセンブリ。
【請求項7】
前記フレキシブル・シャフトは径方向に弾力性がある請求項1に記載のスプール・マニフォールド・アセンブリ。
【請求項8】
流体回路内を流れる流体を調節するようにアクチュエータを制御するためのバルブ位置決め装置であって、
複数の流体流路が配置された位置決め装置ハウジングと、
前記位置決め装置ハウジング内に配置される位置決め装置マイクロプロセッサであって、前記アクチュエータの位置を表わす入力信号を受け取るように構成された前記位置決め装置マイクロプロセッサと、
前記位置決め装置ハウジング内に、流体流路に隣接して配置されるスプール・マニフォールド・アセンブリであって、流体の流れを前記流体流路からアクチュエータへ選択的に移すように構成された相互に移動可能なスプールを有する前記スプール・マニフォールド・アセンブリと、
前記スプールに動作可能に結合され接続されたダイアフラムであって、前記ダイアフラムに及ぼされる圧力レベルに従って前記スプールを変位させるように構成された前記ダイアフラムと、
前記スプールと前記ダイアフラムとに接続され両者の間を延びるフレキシブル・シャフトと、
前記ダイアフラムと流体連絡する変換器であって、前記位置決め装置マイクロプロセッサと電気通信し、前記スプールを変位させるために前記ダイアフラムに供給される流体を調節する働きをする空気圧信号を受け取るように構成された前記変換器と、を備えるバルブ位置決め装置。
【請求項9】
前記位置決め装置マイクロプロセッサは、入力信号をアクチュエータの位置と比較して前記空気圧信号を生成させる働きをする一連の制御アルゴリズムを備える請求項8に記載のバルブ位置決め装置。
【請求項10】
前記複数の流体流路はそれぞれ、前記スプール・マニフォールド・アセンブリに向かって延びるにつれて幅が徐々に狭くなる請求項8に記載のバルブ位置決め装置。
【請求項11】
少なくとも1つの流体流路は、加圧流体流供給源から流体の流れを受け取るように構成される請求項8に記載のバルブ位置決め装置。
【請求項12】
位置決め装置ハウジング内に流体流路に近接配置された2つの排出ポートであって、前記位置決め装置ハウジングから流体を排出するように構成された前記2つの排出ポートをさらに備える請求項8に記載のバルブ位置決め装置。
【請求項13】
前記排出ポートはそれぞれ、フレキシブル・ダイアフラムによって囲まれている請求項12に記載のバルブ位置決め装置。
【請求項14】
前記アクチュエータに結合されたフィードバック・メカニズムをさらに備える請求項9に記載のバルブ位置決め装置。
【請求項15】
前記フィードバック・メカニズムは、
前記アクチュエータが発生させた荷重を吸収するためのシャフトと、
弾力的に取り付けられて前記シャフトから独立したセンサであって、前記アクチュエータが発生させたわずかな荷重も吸収しないように構成された前記センサと、を備える請求項14に記載のバルブ位置決め装置。
【請求項16】
前記フィードバック・メカニズムは、前記位置決め装置マイクロプロセッサと電気通信し、前記アクチュエータ内の圧力変化を表わすフィードバック信号を発生させる働きをする請求項15に記載のバルブ位置決め装置。
【請求項17】
前記位置決め装置マイクロプロセッサは、前記フィードバック・メカニズムから受け取った前記フィードバック信号を前記一連の制御アルゴリズムを用いて処理して、更新された空気圧信号を発生させる働きをする請求項16に記載のバルブ位置決め装置。
【請求項18】
前記位置決め装置マイクロプロセッサと通信状態にあるソフトウェア・インターフェースであって、前記位置決め装置マイクロプロセッサが前記空気圧信号を生成するための複数の所望変数の入力を受け入れるように適合された前記ソフトウェア・インターフェースをさらに備える請求項8に記載のバルブ位置決め装置。
【請求項19】
流体回路内を流れる流体を調節するための方法であって、
(a)位置決め装置内に配置された位置決め装置マイクロプロセッサ上で入力信号を受け取る工程であって、前記位置決め装置は、複数の流体流路を有する位置決め装置ハウジングと、前記位置決め装置ハウジング内に配置されたスプール・マニフォールド・アセンブリであって、流体の流れを前記流体流路からアクチュエータへ選択的に移すためのスプールを有する前記スプール・マニフォールド・アセンブリとを備える、工程と、
(b)入力信号を前記アクチュエータの位置と比較して、電気信号を生成させる工程と、
(c)前記電気信号を、前記位置決め装置マイクロプロセッサから、前記位置決め装置ハウジング内に配置された変換器へ送信する工程と、
(d)ダイアフラムに変換器からの流体を供給する工程であって、前記ダイアフラムは前記スプールに機械的に接続される、工程と、
(e)前記ダイアフラムに付随する圧力変化に応答して前記アクチュエータへの流体の流れを調節するために、前記スプールを前記位置決め装置ハウジングに対して変位させる工程と、
(f)前記アクチュエータ内の圧力差を表わすフィードバック信号を、前記アクチュエータに結合されたフィードバック・メカニズムを用いて発生させる工程であって、前記フィードバック・メカニズムは前記位置決め装置マイクロプロセッサと電気通信し、前記位置決め装置マイクロプロセッサは前記フィードバック信号を処理するように構成される、工程と、
(g)前記アクチュエータの位置が、受け取った前記入力信号に対応するまで、工程(b)〜(f)を繰り返す工程と、を含む方法。
【請求項20】
工程(a)は、コントローラから入力信号を受け取ることを含む請求項19に記載の本方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2011−510230(P2011−510230A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541867(P2010−541867)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【国際出願番号】PCT/IB2009/050036
【国際公開番号】WO2009/090569
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(510192879)エッセティイ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (1)
【氏名又は名称原語表記】STI Srl
【Fターム(参考)】