説明

スペーサ

【課題】 キャビネットが設置される床面に滴着した水滴が吸収されるのを確実に防止することができる低廉なスペーサを提供する。
【解決手段】 木製キャビネットの床面と当接する下辺部に取り付けられるスペーサを、床面に付着した水滴を吸収しない高さを有して形成すると共に、該スペーサの平面形状が略凹字状となるように形成した。スペーサの高さ寸法は、少なくとも8mm以上で、かつ、凹部のへこみ寸法は2mm以上とし、該スペーサを、前記キャビネット両側板の前端部と後端部に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、木製洗面キャビネット等に用いられるスペーサに係り、特に、該キャビネットが設置される床面に滴着した水滴を吸収してキャビネットが膨潤するのを防止するために用いられるスペーサに関する。
【背景技術】
【0002】
木質材を使用したキャビネットは、水などを使用する洗面所などに設置した場合、側板やケコミ板の下面から水分を吸収し、時間の経過により側板・ケコミ板の下面から腐ってくるという問題や吸水した木質材料付近にカビなどが繁殖する問題を有していた。
【0003】
このような問題を解決するため、従来、例えば特許文献1に示す技術が公知である。
【0004】
【特許文献1】特開2004−81530号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1に示す技術は、耐水性に優れた台輪をキャビネットと床面との間に介在させる技術であるが、この台輪を用いた場合、床面に水が滞留する箇所ができ、上記問題の抜本的な解決にはならない、という問題を有していた。
【0006】
この発明は、かかる現状に鑑み創案されたものであって、その目的とするところは、キャビネットが設置される床面に滴着した水滴が吸収されるのを確実に防止することができる低廉なスペーサを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明にあっては、木製キャビネットの床面と当接する下辺部に取り付けられるスペーサを、床面に付着した水滴を吸収しない高さを有して形成すると共に、該スペーサの平面形状が略凹字状となるように形成したことを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項2に記載の発明にあっては、請求項1に記載のスペーサを技術的前提とし、前記スペーサの高さ寸法を、少なくとも8mm以上で、かつ、凹部のへこみ寸法は2mm以上としたことを特徴とするものである。
【0009】
さらに、請求項3に記載の発明にあっては、請求項1又は請求項2に記載のスペーサを技術的前提とし、前記スペーサを、前記キャビネット両側板の前端部と後端部に配置したことを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項4に記載の発明にあっては、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のスペーサを技術的前提とし、前記スペーサの前端部を、前記キャビネットの側板の幅寸法と同じ幅寸法に形成したことを特徴とするものである。
【0011】
さらに、請求項5に記載の発明にあっては、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のスペーサを技術的前提とし、前記スペーサの前端部を、曲面形状としたことを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項6に記載の発明にあっては、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のスペーサを技術的前提とし、前記スペーサを軟質材で形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
それ故、請求項1に記載の発明にあっては、木製キャビネットの床面と当接する下辺部に取り付けられるスペーサを、床面に付着した水滴を吸収しない高さを有して形成すると共に、該スペーサの平面形状が略凹字状となるように形成したので、キャビネットが設置される床面に滴着した水滴が吸収されるのを確実に防止することができ、しかも低廉に提供することができる。
【0014】
また、請求項2に記載の発明にあっては、前記スペーサの高さ寸法を、圧縮変形前の寸法で少なくとも8mm以上で、かつ、凹部のへこみ寸法は2mm以上としたので、床面上の水が表面張力により形成する水滴の高さより高い位置にキャビネットの側板等の下端があれば、該側板等が水分を吸収せず、しかも、洗面室の床材が、硬いフローリングであっても、CFシートのような軟質な材質でキャビネットが沈み込む材質であっても、8mm以上の高さを有していれば、水分吸収を確実に防止することができる。また、キャビネットの側板を伝って流下する水滴に対して、側板等の外面から2mm以上内側にへこんで形成されているので、該水滴が側板下端とスペーサとの間に滞留しないので、該部分から腐ったりカビなどが発生する心配もない。
【0015】
さらに、請求項3に記載の発明にあっては、前記スペーサを、前記キャビネット両側板の前端部と後端部に配置したので、足の指が床とキャビネットの下端との間に入るのを防止することができ、安全である。
【0016】
また、請求項4に記載の発明にあっては、前記スペーサの幅がキャビネットの側板より2mm以上小さいままだと、側板の角が露出してしまうが、スペーサの前端部を、前記キャビネットの側板の幅寸法と同じ幅寸法に形成することで、上記角を覆うことができ、危険性を防止することができる。
【0017】
さらに、請求項5に記載の発明にあっては、前記スペーサの前端部を、曲面形状(R形状)としたことで。足が衝突して怪我するのを防止することができる。
【0018】
また、請求項6に記載の発明にあっては、前記スペーサをスポンジなどのように内部に気泡を有さず、かつ、表面の凹凸で毛細現象による水滴の付着の少ない表面が滑らかな軟質材で形成することで、足が衝突して怪我するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面に示す一実施形態例に基づき、この発明を詳細に説明する。
【0020】
図1は、この発明の一実施形態例に係るスペーサが適用される洗面キャビネットの斜視図を、図2は同洗面キャビネットの側面図を、図3はこの発明の一実施形態例に係るスペーサの構成を示すキャビネットの内側から見た斜視図を、図4は同スペーサのキャビネット外側から見た斜視図を、図5は同スペーサの装着状態を示す正面図を、図6は同スペーサの装着した状態における凹部分の図をそれぞれ示している。
【0021】
本発明に係るスペーサが適用される洗面キャビネットは、その本体が木質材で組構されており、上記スペーサ10は、キャビネット1の両側板2,2の下辺部の各前端部と後端部に装着される。これにより、足の指が床とキャビネット1の下端との間に入るのを防止することができ、安全性が向上する。
【0022】
この各スペーサ10は、合成樹脂で形成されており、図3と図4に示すように、平面形状が略凹字状の略箱状体で形成されており、高さ寸法は、少なくとも8mm以上で形成されている。
【0023】
これにより、床面上の水が表面張力により形成する水滴の高さより高い位置にキャビネット1の側板2,2の下端を保持することができるので、該側板2,2が水分を吸収せず、しかも、洗面室の床材が、硬いフローリングであっても、CFシートのような軟質な材質でキャビネット1が沈み込む材質であっても、8mm以上の高さを有していれば、水分吸収を確実に防止することができる。
【0024】
また、上記スペーサ10の凹部11は、キャビネット1の側板2の外面よりも2mm以上内側にへこませて形成されているので、キャビネット1の側板2を伝って流下する水滴水滴が側板2の下端とスペーサ10との間に滞留しないので、該部分から腐ったりカビなどが発生する心配もない。
【0025】
尚、図中符号12は取付金具を示しており、該取付金具12は、キャビネット1の側板2の下端内側にビス止め固定される。
【0026】
また、上記スペーサ10の前端部は、前記キャビネットの側板の幅寸法と同じ幅寸法に形成し、かつ、同スペーサ10の前端部を曲面形状(R形状)に形成されているので、前記スペーサ10の幅がキャビネット1の側板2より2mm以上小さいままだと、側板の角が露出してしまうが、スペーサの前端部を、前記キャビネットの側板の幅寸法と同じ幅寸法に形成することで、上記角を覆うことができ、また、足が衝突して怪我するのを防止することができ、危険性を防止することができる。
【0027】
尚、上記形態例で、スペーサ10を合成樹脂で形成した場合を例にとり説明したが、ゴム等の軟質材で形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明の一実施形態例に係るスペーサが適用される洗面キャビネットの斜視図である。
【図2】同洗面キャビネットの側面図である。
【図3】この発明の一実施形態例に係るスペーサの構成を示す、キャビネットの内側から見た斜視図である。
【図4】同スペーサのキャビネット外側から見た斜視図である。
【図5】同スペーサの装着状態を示す正面図である。
【図6】同スペーサの装着した状態における凹部分の縦断面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 キャビネット
2 側板
10 スペーサ
11 凹部
12 取付金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木製キャビネットの床面と当接する下辺部に取り付けられるスペーサを、床面に付着した水滴を吸収しない高さを有して形成すると共に、該スペーサの平面形状が略凹字状となるように形成したことを特徴とするスペーサ。
【請求項2】
前記スペーサの高さ寸法は、少なくとも8mm以上で、かつ、凹部のへこみ寸法は2mm以上としたことを特徴とする請求項1に記載のスペーサ。
【請求項3】
前記スペーサを、前記キャビネット両側板の前端部と後端部に配置したことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のスペーサ。
【請求項4】
前記スペーサの前端部を、前記キャビネットの側板の幅寸法と同じ幅寸法に形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のスペーサ。
【請求項5】
前記スペーサの前端部を、曲面形状としたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のスペーサ。
【請求項6】
前記スペーサを軟質材で形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のスペーサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−148679(P2010−148679A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330283(P2008−330283)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000002222)サンウエーブ工業株式会社 (196)
【Fターム(参考)】