説明

スロットマシン

【課題】 スロットマシンにおいて、表示器と共に回路基板上に搭載されるコネクタに接続される制御部に対する不正行為を防止すること。
【解決手段】 回路基板70の封印構造として、表示器14〜16及びコネクタ60が搭載された回路基板70を枠体4及びカバー体50の両者で挟み込んだサンドイッチ構造を採用し、さらに回路基板70に半田付けされた被封印部材90の係合部92に封印部材としてのロックピン100を係合して、回路基板70とカバー体50とを分離不能とすることによって、表示器と共に回路基板70上に搭載されるコネクタに対して、マシン外部からアプローチできないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示窓の枠体の裏面側に表示器及びコネクタが搭載された回路基板が取付けられるスロットマシンに関し、特にその回路基板の封印構造に係る。
【背景技術】
【0002】
周知のように、パチスロと称されるスロットマシンには、外周面に複数種類の図柄が配置された3つのリールと、全リールの回転を開始させてリール図柄を変動表示させるための始動レバーと、各回転リールに対応して配置されており、リール毎にその回転を停止させてリール図柄の変動表示を停止表示させるための3つの停止ボタンとが備えられている。
【0003】
かかるスロットマシンにおける基本遊技の流れは、以下の通りである。
【0004】
遊技媒体(メダル及びコイン等を含む概念である)が投入されることにより、3つのリールを横切る賭けラインが有効化される(換言すると、賭け対象となる有効ラインが設定される)と共に始動レバーの操作が許容される。始動レバーが操作されると、マシン内部で役の成立に関する電子的な抽選(以下、単に「役抽選」という)が行われると共に設定された有効ラインを通過するようにリール図柄が変動表示される。この状態で停止ボタンが順次操作されると、変動表示されていたリール図柄が当該停止ボタンの操作順序に応じて停止表示される。全てのリールに属するリール図柄が停止表示された時点での有効ラインに沿って停止表示された3つのリール図柄の組合せが、予め設定された役の入賞を示す図柄の組合せ(以下、単に「入賞図柄」ともいう)と一致した場合には、入賞とされ、その入賞役の種類に応じた数の遊技媒体が配当として払い出される。
【0005】
上記役抽選で抽選の対象となる役は複数種類あり、これら役毎に入賞図柄が設定されている。役の一般例としては、ビッグボーナス(BB)役及びレギュラーボーナス(RB)等と称されるボーナス役、並びにリプレイ(RP)役等と称される役等がある。ボーナス役とは、その入賞により遊技者にとって有利なボーナス遊技を所定の期間行うことができ、この期間に大量の遊技媒体を獲得することができる役である。RP役とは、その入賞時に1度だけ遊技媒体の配当が得られる小役、さらには遊技媒体の配当は得られないが次回同じ有効ラインの設定状態において再遊技を行うことができる役である。
【0006】
このようなスロットマシンは、リール図柄の変動表示及び停止表示を遊技者に視認させるための表示窓を有しており、この表示窓の周囲に払出数表示器、ゲーム数表示器及びクレジット数表示器等の各種の表示器が配置されている。
【0007】
各種の表示器は、コネクタと共に回路基板上に搭載されるが、この表示器及びコネクタが搭載された回路基板は、例えば、特許文献1及び2に示されているように、表示窓が形成された枠体の裏面側にねじ止めにより取付けられるのが通常である。
【0008】
【特許文献1】特許第2554673号公報(図11参照)
【特許文献2】特開平6−254213号公報(図4参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1及び2に開示されているように、回路基板を枠体の裏面に対してねじ固定するだけでは、回路基板上に搭載されたコネクタが露出しており、当該コネクタとフラットケーブル等を介して接続されるスロットマシンの制御部に対して不正な行為がなされる可能性も少なくはない。
【0010】
そこで、不正行為を事前に防止するため、表示器及びコネクタが搭載される回路基板の有効な封印方法が望まれている。
【0011】
本発明は、上記技術的課題に鑑みなされたもので、表示器と共に回路基板上に搭載されるコネクタに対してマシン外部からアプローチできないようにし、もってコネクタに接続される制御部に対する不正行為を防止し得るスロットマシンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係るスロットマシンは、列毎に複数種類の図柄の変動表示及び停止表示を行なうための複数のリール体と、これら複数のリール体が内部に設置される筐体と、この筐体の前面側から前記複数のリール体の各リール図柄の一部が視認できるように表示窓が形成された枠体と、前記表示窓に沿って所定の状態で配置される表示器を少なくとも含む電子部品、及びコネクタが搭載され、前記枠体の裏面側にねじにより取り付けられる回路基板と、この回路基板を前記枠体に対して封印するように当該回路基板を覆うカバー体と、前記枠体と前記カバー体との間で前記回路基板を挟み込んで当該回路基板を封印するための封印部材と、この封印部材と係合する係合部が設けられた被封印部材と、を備えているスロットマシンであって、前記回路基板には、前記被封印部材が半田付けにて固定され、前記カバー体には、前記被封印部材の係合部と嵌合する嵌合部が設けられ、前記被封印部材の係合部を前記カバー体の嵌合部に嵌合させた状態で、前記封印部材の係合部に前記封印部材を係合させることによって、前記カバー体が前記回路基板に取付けられている。
【0013】
上記構成において、回路基板上に表示器及びコネクタを搭載する際に、回路基板に被封印部材が半田付けされる。この回路基板は、枠体の裏面側にねじ止めされる。そして、回路基板は、カバー体の嵌合部に被封印部材の係合部を嵌合させた状態でカバー体によって覆われる。このとき、回路基板は、枠体とカバー体との間で挟み込まれた(サンドイッチされた)状態で封印されることになる。さらに、回路基板は、上記半田付けされた被封印部材の係合部に封印部材を係合させることによってカバー体に対して分離不能に固定される。
【0014】
ある態様では、前記回路基板の前記枠体との対向面とは反対側の面には、そのコンタクトピンを半田付けすることによって前記コネクタが搭載され、このコネクタは、前記被封印部材として兼用される。
【0015】
この態様においては、回路基板の封印に関し、組立工程数や部品点数の削減に貢献する。
【0016】
上記スロットマシンにおいて、前記被封印部材は、その基部に前記係合部を一体的に設けてなり、この被封印部材の基部には、ねじを挿通するための挿通孔が形成され、この挿通孔に挿通されたねじによって前記枠体と前記回路基板とが螺合されていることが好ましい。
【0017】
この場合、枠体及びカバー体の両者の間でサンドイッチされる回路基板に対する固定力がより増強されることになる。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、回路基板の封印構造として、表示器及びコネクタが搭載された回路基板を枠体及びカバー体の両者で挟み込んだサンドイッチ構造を採用し、さらに回路基板に半田付けされた被封印部材の係合部に封印部材を係合しているので、回路基板とカバー体とは分離できなくなる。それゆえ、表示器と共に回路基板上に搭載されるコネクタに対しては、マシン外部からアプローチできないようになる。その結果、コネクタに接続される制御部に対する不正行為を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施の形態について、添付図面に基づき詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態1〜3においては、3個の回転リール式の図柄表示手段を備えたスロットマシンに対して本発明を適用した場合の例について示すが、本発明はこれに限られることなく、さらに多くの回転リールを用いたものや液晶リール式の図柄表示手段を備えたスロットマシンにも適用可能である。
【0020】
<実施の形態1>
[外観構成]
図1〜図4を参照して、本実施の形態1に係るスロットマシン1は、前面が開放している箱形の筐体2と、この筐体2に対して開閉自在に取り付けられている前扉3とを備えている。
【0021】
前扉3の中央部正面には、正面パネル4が装着されている。この正面パネル4の主要部には、表示窓5が形成されている。それゆえ、この正面パネル4は、表示窓5の枠体として機能する。なお、以下の説明においては、正面パネル4を「枠体4」と称することもある。
【0022】
表示窓5は、主として、筐体2内の3つの回転リール6L,6C,6Rを観察するためのものであって、各リール6L,6C,6Rの外周面には、それぞれ、ボーナス役図柄、小役図柄及びリプレイ役図柄を含む、複数種類の役図柄が周方向に沿って描かれている。これらの図柄は、表示窓5を通して3つずつ観察される。表示窓5及び各リール6L,6C,6Rの両者は、正面パネル4上において遊技者に対面している。
【0023】
表示窓5の左側には、5つの賭けライン表示ランプ7A,7B,7C,7D,7Eが設けられている。これら5つの賭けライン表示ランプ7A〜7Eは、1遊技における有効ラインを示すために点灯するランプである。他方、表示窓5の右側には、スタートランプ8、投入指示ランプ9、リプレイタイム告知ランプ10、アシストタイム(AT)告知ランプ11及びゲームオーバーランプ12が設けられている。スタートランプ8は、遊技が開始できる状態となった場合に点灯又は点滅するランプである。投入指示ランプ9は、メダルをスロットマシン1に投入できる状態である場合に点灯又は点滅するランプである。RT告知ランプ10は、遊技状態が高確率再遊技状態(以下、「RT」という)に移行した場合に点灯又は点滅するランプである。AT告知ランプ11は、遊技状態が画像や音などにより役の入賞を支援する情報が報知される状態に移行した場合に点灯又は点滅するランプである。ゲームオーバーランプ12は、遊技が終了したときに点灯又は点滅するランプである。これらランプ8〜12は、正面パネル4の上方から下方に向かってこの順で配置されている。
【0024】
ここに、「RT」とは、役の成立に関する抽選(役抽選)において、リプレイ(RP)役が高確率で当選する遊技状態のことであり、通常遊技状態においてハズレ(非当選)となる確率を減らし、RP役の入賞頻度を高くすることにより、遊技媒体であるメダルの減量を軽減ないし防止するようにした遊技状態をいう。
【0025】
表示窓5上には、当該表示窓5の窓面を通過する5本の賭けライン13A,13B,13C,13D,13Eが設けられている。具体的には、第1の賭けライン13Aは、表示窓5の中段において水平に延びており、この賭けライン13Aの左端に第1の賭けライン表示ランプ7Aが配置されている。第2の賭けライン13Bは、表示窓5の上段において水平に延びており、この賭けライン13Bの左端に第2の賭けライン表示ランプ7Bが配置されている。第3の賭けライン13Cは、表示窓5の下段において水平に延びており、この賭けライン13Cの左端には第3の賭けライン表示ランプ7Cが配置されている。第4の賭けライン13Dは、表示窓5の左上段から右下段に向かって斜め下方向に延びており、この賭けライン13Dの左端には第4の賭けライン表示ランプ7Dが配置されている。第5の賭けライン13Eは、表示窓5の左下段から右上段に向かって斜め上方向に延びており、この賭けライン13Eの左端には第5の賭けライン表示ランプ7Eが配置されている。
【0026】
表示窓5の下方には、払出数表示器14、ゲーム数表示器15及びクレジット数表示器16が設けられている。払出数表示器14は、入賞が発生した場合に遊技者に対して払い出されるメダル数を表示する表示器である。ゲーム数表示器15は、ボーナスゲーム中の小役ゲーム数及びJACゲーム数、RT中の残りゲーム数などを表示する表示器である。クレジット数表示器16は、遊技者が所有する有価価値としてスロットマシン1にクレジットされているメダル数を表示する表示器である。これら表示器14〜16は、7セグメント表示器であって、正面パネル4上で左から右に向かってこの順で配置されている。
【0027】
前扉3の上部には、上パネル17が装着されている。この上パネル17の中央部には、液晶表示装置(以下、「LCD」という)18が設けられている。このLCD18は、遊技に関する種々の演出などを表示により行うための手段であって、例えば遊技中の演出画像を各種遊技状態のとき毎に異なるものとして表示したり、ボーナス役が内部当選している旨を画像表示により告知したり、遊技にリンクした演出情報などを表示する。なお、代替的に、LED表示装置やEL表示装置を採用して上記遊技演出情報を表示するようにしてもよい。LCD18を挟んだ左右両側には、スピーカー19A,19Bが配置されており、この左右一対のスピーカー19A,19Bは、上パネル18に嵌め込まれている。これらのスピーカー19A,19Bは、LCD18に表示された演出画像に対応した演出音、遊技状態に応じた効果音等を出力するための手段である。他方、前扉3の下部には、下パネル20が装着されている。この下パネル20には、機種名及びイメージデザイン等が印刷されており、その下方には、メダル払出口21及びメダル受け皿22が設けられている。
【0028】
正面パネル4と下パネル20との間には、操作部23が設けられている。この操作部23には、メダル投入口24、ベットボタン25、始動レバー26、停止ボタン27L,27C,27R及び精算ボタン28が備えられている。メダル投入口24は、操作部23の上面の右側に配置されている。ベットボタン25は、投入口24から投入されたメダルを何枚賭けるかを設定する際に使用されるボタンであって、操作部23の上面において始動レバー26及び左停止ボタン27Lの両者の中間位置に配置されている。始動レバー26は、遊技を開始する際に使用されるレバーであり、他方停止ボタン27L,27C,27Rは、リール6L,6C,6Rの回転を停止させる際に使用されるボタンである。具体的には、左停止ボタン27Lを操作すると、左リール6Lの回転が停止する。中停止ボタン27Cを操作すると、中リール6Cの回転が停止する。右停止ボタン27Rを操作すると、右リール6Rの回転が停止する。これら停止ボタン27L,27C,27Rは、操作部23の正面中央部において各リール6L,6C,6Rに対応して配置されている。これに対して、始動レバー26は、操作部23の正面において停止ボタン27L,27C,27Rの左側に配置されている。精算ボタン28は、スロットマシン1にクレジットされたメダルを精算する際に使用されるボタンであって、操作部23の正面において始動レバー26の左側に配置されている。
【0029】
本スロットマシン1では、遊技はクレジットモードで進行される。すなわち、1遊技毎にベットボタン25が1回押されると、3枚のメダルが賭け対象となり、上記の5本の賭けライン13A〜13Eの全てが有効化される。このとき、上記の5つの賭けライン表示ランプ7A〜7Eが点灯する。
【0030】
かかるクレジットモードでは、上記有効化された賭けライン(有効ライン)13A〜13Eの何れかのライン上で入賞図柄の組合せが揃い、それによって入賞が成立した場合には、この入賞の発生に伴いクレジットの上限を超えない範囲で払い出されるメダル数がクレジットとしてスロットマシン1にストアーされる。クレジットの上限を超える場合には、その上限を超えた数のメダルが払出口21から受け皿22に払い出される。
【0031】
上記のクレジットモードの手順に則して賭け対象となるメダルの枚数が設定されると、図示しない制御部は、この設定された賭け枚数分のメダルを取り込む。このメダルの取り込みにより、遊技を開始する条件が整う。このとき、スタートランプ8が点灯又は点滅する。このスタートランプ8の作動状態において、始動レバー26が操作されると、制御部は、全てのリール6L,6C,6Rを一斉に回転させる。
【0032】
各停止ボタン27L,27C,27Rを押圧操作すると、その操作に対応するリールの回転が停止する。全リール6L,6C,6Rの回転が停止したときに、有効ライン上に入賞図柄の組合せの1つが停止表示する(揃う)と、制御部は、成立した入賞役の種類に従って、予め定められている枚数のメダルを上記メダルの入力モードに応じた態様で遊技者に払い出す。
【0033】
図2を参照して、LCD18の左側部領域とスピーカー19Aとの間、及びLCD18の右側部領域とスピーカー19Bとの間には、LCD18に表示される複数の遊技履歴画像のうち所望の遊技履歴画像に切り替え表示を行わせるための切り替えボタンK,Fが、各々上下方向に並ぶように、合計4個設けられている。このLCD18は、左右の側縁がスピーカー19A,19Bと隣接する程度に大きな横幅寸法を有すると共に、その上端縁が前扉3の上端縁に隣接し、且つ、その下端縁が表示窓5の上端縁に隣接する程度に大きな縦幅寸法を有する、非常に大きな表示面を備えている。そのため、LCD18では、一度に多くの表示内容が同時に表示される。具体的には、LCD18の3分の1の領域に種々の遊技履歴画像に切り替えるためのメニュー画面が表示され、残りの3分の2の領域にキャラクターなどを用いた演出画像などが表示される。上記遊技履歴画像のメニューとしては、ボーナス遊技における最高メダル獲得枚数や、1日のボーナス役入賞回数、前回のボーナス遊技から現在までの遊技回数、メダル払出枚数とメダル投入枚数との関係をグラフ化した表、或いは、遊技に関する説明などを例示することができる。これら例示したメニューが予めLCD18上に表示される。切り替えボタンKには、複数のメニューのうちから所望のメニューを選択できるように、表示画面上でカーソルを進む方向に移動させるための第1のカーソル移動ボタンK1と、表示画面上で同様にカーソルを戻す方向に移動させるための第2カーソル移動K2とが含まれている。他方、切り替えボタンFには、カーソル移動ボタンK1,K2によって移動したカーソルが示すメニュー内容の遊技履歴画像に切り替えるか否かを決定するための決定ボタンF1と、この切り替えられた遊技履歴画像を元の画像に戻すためのキャンセルボタンF2とが含まれている。
【0034】
[内部構成]
図5及び図6を参照して、筐体2内には、リール6L,6C,6R、各リール6L,6C,6Rの駆動源であるステッピングモーターSML,SMC,SMR、ホッパー30及び確率設定ボックス31が備えられている。
【0035】
リール6L,6C,6Rは、図5に示すように、筐体2内の中央部に配置されており、これらリール6L,6C,6Rを基準として、ホッパー30及び確率設定ボックス31の設置箇所が決定されている。図6に示すように、各リール6L,6C,6Rの回転軸61は、それぞれ、筐体2内のブラケット32に回転自在に支持されており、当該各回転軸61の端部が各ステッピングモーターSML,SMC,SMRの出力軸に結合されている。
【0036】
ホッパー30は、メダルの貯留・放出を行うための手段であって、図5に示すように、リール6L,6C,6Rの下方において、筐体2の底面に取り付けられている。他方、確率設定ボックス31は、ホッパー30の左側において、筐体2の底面に取り付けられている。
【0037】
また、前扉3に装着された表示窓5の枠体(即ち、上記の正面パネル)4の裏側には、図6に示すように、カバー体50が装着されている。このカバー体50は、上記の払出数表示器14、ゲーム数表示器15及びクレジット数表示器16並びにコネクタ60等が搭載される回路基板70を覆う。この状態は図7によく示されている。
【0038】
コネクタ60は、特に図示していないが、フラットケーブル等を介して、本スロットマシン1の制御中枢を司る上記の制御部に接続されている。
【0039】
上述したように、本発明では、有効な回路基板70の封印構造の提供をその目的としている。したがって、以下では、回路基板70の封印構造について詳細に述べる。
【0040】
[回路基板の封印構造]
図7〜図11を参照して、本実施の形態1では、回路基板70を有効に封印するために、左右にその封印機構80を備えている。
【0041】
これら封印機構80は、上記の表示窓5の枠体4及びカバー体50に加えて、被封印部材90及び封印部材としてのロックピン(以下、単に「ロックピン」という)100を含む。
【0042】
枠体4の下部の主要領域には、図7に示すように、払出数表示器14、ゲーム数表示器15及びクレジット数表示器16がそれぞれ挿入される第1の表示器挿入孔41、第2の表示器挿入孔42及び第3の表示器挿入孔43が形成されている。第1の表示器挿入孔41は、払出数表示器14を挿入するための孔であって、払出数表示器14のメダル払出数を表示するセグメント表示面が枠体4の表側に露出するように、枠体4の前後方向に沿って貫通して設けられている。第2の表示器挿入孔42は、ゲーム数表示器15を挿入するための孔であって、ゲーム数表示器15のゲーム数を表示するセグメント表示面が枠体4の表側に露出するように、枠体4の前後方向に沿って貫通して設けられている。第3の表示器挿入孔43は、クレジット数表示器16を挿入するための孔であって、クレジット数表示器16のクレジット数を表示するセグメント表示面が枠体4の表側に露出するように、枠体4の前後方向に沿って貫通して設けられている。これら第1〜第3の表示器挿入孔41,42,43は、枠体4の裏側から視て、右から左に向かってこの順に配置されている。
【0043】
また、枠体4の表示器挿入孔41〜43を挟んだ左右両側には、それぞれ、ねじ200によりカバー体50及び回路基板70の両者を枠体4の裏側から固定するためのねじ孔44が形成されている。
【0044】
カバー体50は、枠体4の下部の裏側に対して回路基板70を封印するように覆うための部材である。このカバー体50の平面形状は、枠体4の回路基板70の封印領域全体を覆うように左右方向に細長い長方形形状をなしている。カバー体50の上記枠体4のねじ孔44との対応位置には、ねじ200が挿通されるねじ挿通孔51が形成されている。
【0045】
また、カバー体50の左右の上隅部には、それぞれ、ロックピン100が挿通されるロックピン挿通孔52が形成されている。
【0046】
回路基板70は、カバー体50の内寸と略同寸の左右方向に細長い長方形形状を有している。この回路基板70の両面には、特に図示しないが、所定の回路設計に基づいて回路パターンが固着形成されている。枠体4との対向面側の回路パターン上には、払出数表示器14、ゲーム数表示器15及びクレジット数表示器16が半田付け又はダイボンドにより搭載される。他方、枠体4との対向面と反対側の面側の回路パターン上の右側端部には、そのコンタクトピンが半田付けされることによってコネクタ60が搭載される。
【0047】
また、回路基板70の上記枠体4のねじ孔44との対応位置には、上記カバー体50側のねじ挿通孔51と連通するように、上記のねじ200が挿入されるねじ挿通孔71が形成されている。
【0048】
(ロックピンの構成)
図12を参照して、ロックピン100は、枠体4とカバー体50との間で回路基板70を挟み込んで封印するためのピンであって、弾性変形可能な合成樹脂を素材として作製された一体成形品である。このロックピン100は、頭部101及び軸部102を備えている。軸部102の先端部には、笠103が形成されている。この笠103は、スリットにより2分割された羽根片からなり、これら羽根片が径方向に拡縮自在とされている。
【0049】
(被封印部材の構成)
図13を参照して、被封印部材90は、回路基板70の封印時にロックピン100に対する相手部材であって、アルミニウム等の軽金属を素材として作製された一体成形品である。この被封印部材90は、基部91及び係合部92を備えている。
【0050】
基部91は、その自由端部が先端に向かって漸次幅を狭くした角形形状の平板である。基部91の主要領域には、回路基板70を枠体4の裏面側に螺合するための図7及び図11に示すねじ300が挿通されるねじ挿通孔911が形成されている。これに対して、図11に示すように、回路基板70側では、上記基部91側のねじ挿通孔911と連通するように、上記のねじ300が挿通されるねじ挿通孔72が形成され、さらに枠体4側では、上記回路基板70側のねじ挿通孔72に連通するように、上記のねじ300が螺合されるねじ孔45が形成されている。加えて、基部91の自由端からは、短冊状の回り止め用の脚片912が下方に向かって延びている。この脚片912は、図11に示すように、回路基板70の側端面に当接される。
【0051】
係合部92は、天板921と、この天板921の左右両端部からそれぞれ下方に向かって折り曲げられた左右一対の側板922,923とから構成され、略コの字形形状を有している。この係合部92では、一方の側板922の下端が基部91の基端に結合され、他方の側板923が自由状態とされている。
【0052】
天板921の中央部には、ロックピン100が挿通されるロックピン挿通孔924が形成されている。これに対して、図11に示すように、カバー体50側では、その裏側に係合部92の上部が嵌め込まれる嵌合凹部53が形成されている。この嵌合凹部53には、上記枠体4側のロックピン挿通孔52が接続されている。なお、ロックピン挿通孔924の孔径は、ロックピン挿通孔52の孔径よりも若干小さく設定されている。
【0053】
自由側の側板923の下端からは、短冊状の半田付け用の脚片925が下方に向かって延びている。これに対して、図11に示すように、回路基板70側では、上記被封印部材90側の脚片925が挿通される貫通孔(スルーホール)73が形成されている。この脚片925は、貫通孔73に挿通されて回路基板70の枠体4の対向面とは反対側の面側の回路パターンのダミーパターン部に半田付けされる。このように、回路基板70に設けた貫通孔73に脚片925を差込んで半田付けを行うほうが、面実装により半田付けを行うよりも被封印部材90を回路基板70に対して強固に固着することができて好ましい。
【0054】
[回路基板の封印工程]
まず、回路基板70の両面の回路パターン上にそれぞれ表示器14〜16及びコネクタ60が搭載されるが、この際に被封印部材90も回路基板70の枠体4との対向面とは反対側の面に実装する。具体的には、被封印部材90の基部91を回路基板70の枠体4との対向面とは反対側の面に接触させた状態で、基部91の脚片912を回路基板70の側端面に引っ掛けると共に係合部92の脚片925を回路基板70の貫通孔73に挿通し、当該脚片925の先端部を回路基板70の枠体4との対向面側の回路パターンのダミーパターン部に半田付けにより固定する。このように、表示器14〜16及びコネクタ60と共に被封印部材90を半田付けにて回路基板70上に実装することにより、回路基板70の封印工程数を削減できる。
【0055】
次に、ねじ300を被封印部材90の基部91のねじ挿通孔911及び回路基板70のねじ挿通孔72の順に挿通して枠体4のねじ孔45に螺合させて回路基板70と枠体4とを固定する。このとき、ねじ300をねじ込む際に発生するトルクにより回路基板70上の被封印部材90がねじ300と共回りしようとするが、基部91の脚片912が回路基板70の側端面に当接するので、上記被封印部材90の共回りを防止する。これにより、係合部92の脚片925の先端部に周囲に形成された半田フィレットF(図11参照)が破壊されない。そのため、回路基板70に対する被封印部材90の半田固定は、上記のように係合部92の自由端部を回路基板70に対して線接触させた状態で係合部92の脚片925のみのピンポイントで済む。その結果、回路基板70の有効面積をあまり減らさずに回路基板70を封印することが可能となる。
【0056】
続いて、枠体4の裏側に対して回路基板70を封印するようにカバー体50を取り付ける。具体的には、ねじ200をカバー体50のねじ挿通孔51及び回路基板70のねじ挿通孔71の順に挿通して枠体4のねじ孔44に螺合させてカバー体50を枠体4の裏側に固定する。このとき、被封印部材90の係合部92がカバー体50の内面に形成された嵌合凹部53内に嵌まり込む。これにより、カバー体50のロックピン挿通孔52と被封印部材90の係合部92のロックピン挿通孔924との位置合せ作業が容易となる。
【0057】
最後に、ロックピン100を被封印部材90の係合部92に係合させることによって、回路基板70を枠体4とカバー体50との間で挟み込んだ状態で封印する。具体的には、ロックピン100の軸部102を押込みながらカバー体50のロックピン挿通孔52及び被封印部材90の係合部92のロックピン挿通孔924の順に挿通させる。このとき、軸部102の笠103は、上記ロックピン挿通孔52,924を通過する際に生じるロックピン100に対する押込み抵抗によりその羽根片が縮径し、被封印部材90側のロックピン挿通孔924を通過した際に上記ロックピン100に対する押込み抵抗から解放されその羽根片が拡径する。そうすると、笠103の自由端面が回路基板70と係合部92との間で区画される係合空間内において係合部92の天板921の内面に係合する。このように、ロックピン100を被封印部材90に係合させる際には、上記のようにカバー体50側の嵌合凹部53及び被封印部材90側の係合部92の両者が嵌合し、カバー体50側のロックピン挿通孔52及び被封印部材90側のロックピン挿通孔924の両者は既に位置決めされている。そのため、ロックピン100及び被封印部材90の両者の係合作業を容易に行なえることになる。
【0058】
上記の工程を経ることによって、図8及び図9に示すような状態で回路基板70の封印作業が終了する。
【0059】
[作用・効果]
本実施の形態1によると、以下の作用・効果を奏する。
【0060】
(1)回路基板70の封印構造として、表示器14〜16及びコネクタ60が搭載された回路基板70を枠体4及びカバー体50の両者で挟み込んだサンドイッチ構造を採用し、さらに回路基板70に半田付けされた被封印部材90の係合部92に封印部材としてのロックピン100を係合しているので、回路基板70とカバー体50とは分離できなくなる。それゆえ、表示器14〜16と共に回路基板70上に搭載されるコネクタ60に対しては、マシン外部からアプローチできないようになる。その結果、コネクタ60に接続される制御部に対する不正行為を防止することが可能となる。また、アッセンブリの方法に変更を特に加える必要がないため、従来の設計を十分に生かすことができる。
【0061】
(2)被封印部材90の基部91にねじ挿通孔911を形成し、このねじ挿通孔911に挿通されたねじ300によって枠体4と回路基板70とを螺合しているので、枠体4及びカバー体50の両者の間でサンドイッチされる回路基板70に対する固定力がより増強される。
【0062】
<実施の形態2>
図14を参照して、本実施の形態2の特徴は、封印部材として結束バンド500を、被封印部材600として側面形状が略L字形状をなす金具をそれぞれ使用して回路基板70を封印している点にあり、その他の構成は実施の形態1と略同様である。
【0063】
結束バンド500は、カバー体50と回路基板70とをまとめて緊締するためのインシュロック式のバンドであって、プラスチック等の合成樹脂を素材として作製された一体成形品である。この結束バンド500は、可撓性を有する長手のバンド体501、及びバンド体501が挿入される筒状の挿入部502等を備え、挿入部502にループを形成したバンド体501を挿入すると、バンド体501が抜けないように結合するように構成されている。
【0064】
バンド体501は、特に図示していないが、その主面上の所定領域に鋸歯状の係合爪群を有している。他方、挿入部502は、特に図示していないが、その内部に当該挿入部502に挿入されたバンド体501の引抜きを阻止するための係合爪等の連結機構が設けられている。
【0065】
被封印部材600は、基部601と、この基部601の基端から略直角に折り曲げられた係合部602とから構成されている。
【0066】
基部601は、その主要領域にねじ挿通孔603が形成された平板であり、回路基板70の枠体4との対抗面とは反対側の面の回路パターンのダミーパターン部上に半田付けにて固定される。このねじ挿通孔603は、回路基板70を枠体4の裏側に螺合させるためのねじ300を挿通させるための孔である。
【0067】
係合部602は、結束バンド500が係合される短冊状(縦長)の係合孔604が形成された平板である。この係合部602の高さ寸法は、回路基板70の封印時にその係合孔604の上部領域がカバー体50から露出するように設定されている。これに対して、カバー体50側では、係合部602用の嵌合孔55が形成されている。特に、嵌合孔55の入口側は、座ぐり56が加工されている。
【0068】
次に、本実施の形態2における回路基板70の封印手順について説明する。
【0069】
まず、回路基板70の両面の回路パターン上にそれぞれ表示器14〜16及びコネクタ60を搭載する際に、被封印部材600も回路基板70の枠体4との対向面とは反対側の面に実装する。具体的には、被封印部材600の基部601を回路基板70の枠体4との対向面とは反対側の面の回路パターンのダミーパターン部に半田付けにより固定する。
【0070】
次に、ねじ300を被封印部材600の基部601のねじ挿通孔603及び回路基板70のねじ挿通孔72の順に挿通して枠体4のねじ孔45に螺合させて回路基板70と枠体4とを固定する。ねじ300をねじ込む際に発生するトルクにより回路基板70上の被封印部材600がねじ300と共回りしようとするが、基部601を回路基板70上に面接触させて半田固定しているので、被封印部材600はねじ300と共回りせず、基部601の周囲に形成された半田フィレットFは破壊されない。そのため、回路基板70の有効面積を極力減らさずに回路基板70を封印することが可能となる。
【0071】
そして、枠体4の裏側に対して回路基板70を封印するようにカバー体50を取り付ける。具体的には、実施の形態1と同様に、ねじ200をカバー体50のねじ挿通孔51及び回路基板70のねじ挿通孔71の順に挿通して枠体4のねじ孔44に螺合させてカバー体50を枠体4の裏側に固定する。このとき、被封印部材600の係合部602がカバー体50に形成された嵌合孔55内に嵌まり込むと共に、係合部602の係合孔604の上部が嵌合孔55を通ってカバー体50から露呈する。これにより、カバー体50と被封印部材600の係合部602との位置合せ作業が容易となる。
【0072】
最後に、結束バンド500を被封印部材600の係合部602に係合させることによって、回路基板70を枠体4とカバー体50との間で挟み込んだ状態で封印する。具体的には、結束バンド500のバンド体501を湾曲させてその先端部を係合部602の係合孔604を通して挿入部502に挿通させる。そうすると、バンド体501によってループが形成され、挿入部502の係合爪がバンド体501の係合爪群に引抜き方向で係止する。このバンド体501の係止爪群と挿入部502の係止爪との連結作用によって、バンド体501を挿入部502から引抜くことができなくなる。その結果、カバー体50及び回路基板70の両者が緊締されることになる。このように、結束バンド500を被封印部材600に係合させる際には、上記のようにカバー体50の嵌合孔55と被封印部材600の係合部602とが嵌合し係合部602の係合孔604が露呈するように被封印部材600の係合部602はカバー体50に対して既に位置決めされ、しかもカバー体50の嵌合孔55の入口側には座ぐり56が形成されているため、結束バンド500及び被封印部材600の両者の係合作業を容易に行なえることになる。
【0073】
このように、本実施の形態2では、回路基板70の封印構造として、表示器14〜16及びコネクタ60が搭載された回路基板70を枠体4及びカバー体50の両者で挟み込んだサンドイッチ構造を採用し、さらに回路基板70に半田付けされた被封印部材600の係合部602に封印部材としての結束バンド500を係合することによって、回路基板70及びカバー体50の両者を分離不能としているので、上記実施の形態1の(1)と同様の作用・効果を奏する。
また、被封印部材600の基部601にねじ挿通孔603を形成し、このねじ挿通孔603に挿通されたねじ300によって枠体4及び回路基板70同士を螺合しているので、上記実施の形態1の(2)と同様の作用・効果を奏する。
【0074】
<実施の形態3>
図15及び図16を参照して、本実施の形態3の特徴は、封印部材としてロックピン100を使用し、コネクタ60にロックピン100が係合される被封印部材としての機能を兼ね備えさせて回路基板70を封印している点にあり、その他の構成は実施の形態1と略同様である。
【0075】
図17を参照して、コネクタ60は、コネクタハウジング61、及びコネクタハウジング61内にその先端部が突出するように収納された多数のコンタクトピン62を含む。
【0076】
コネクタハウジング61は、絶縁性を有する合成樹脂を素材として作製された一体成形品であり、ハウジング本体611、及び被封印部材として機能する左右一対の係合部612を備えてなる。
【0077】
ハウジング本体611は、コンタクトピン62を収納するためのピン収納部を有している。このハウジング本体611には、ピン収容部内に嵌め込まれたコンタクトピン62を挟んで左右一対のねじ挿通孔611Hが形成されている。このねじ挿通孔611Hは、図16に示すように、回路基板70を枠体4の裏側に固定するためのねじ500を挿通させるための孔である。これに対して、回路基板70側には、ねじ挿通孔611Hと連通するように、上記のねじ500が挿通される左右一対のねじ挿通孔75が形成され、さらに枠体4側には、回路基板70側のねじ挿通孔75と連通するように、上記のねじ500が螺合される左右一対のねじ孔48が形成されている。
【0078】
係合部612は、ハウジング本体611のピン収容部側の左右両端部からコンタクトピン62を挟み込むように前方に向かって突出しており、その天板には、ロックピン100が挿通されるロックピン挿通孔612Hが形成されている。この係合部612では、前方及び下方に向かって開口しており、その断面形状は、図16に示すように、略コ字形形状をなしている。これに対して、カバー体50側には、ロックピン100が挿通されるロックピン挿通孔58が形成され、さらにカバー体50の裏側に係合部612の上部が嵌め込まれる嵌合凹部59が形成されている。この嵌合凹部59には、ロックピン挿通孔58が連通接続されている。なお、ロックピン挿通孔612Hの孔径は、ロックピン挿通孔58の孔径より若干小さく設定されている。
【0079】
コンタクトピン62は、回路基板70に形成されたピン孔に嵌め込まれ、その先端部が回路基板70の枠体4との対向面の回路パターン上に半田付けされる。
【0080】
ここで、本実施の形態3における回路基板70の封印工程について説明する。
【0081】
まず、回路基板70の両面の回路パターン上にそれぞれ表示器14〜16及びコネクタ60を搭載する。
【0082】
次に、ねじ500をコネクタ60のねじ挿通孔611H及び回路基板70のねじ挿通孔611Hの順に挿通して枠体4のねじ孔48に螺合させて回路基板70と枠体4とを固定する。このとき、ねじ500をねじ込む際に発生するトルクにより回路基板70上のコネクタ60に対し回転モーメントがかかるが、コネクタ60は、その多数のコンタクトピン62が半田付けにて回路基板70に固定されているのでその影響を受けることはない。
【0083】
そして、枠体4の裏側に対して回路基板70を封印するようにカバー体50を取り付ける。具体的には、実施の形態1と同様に、ねじ200をカバー体50のねじ挿通孔51及び回路基板70のねじ挿通孔71の順に挿通して枠体4のねじ孔44に螺合させてカバー体50を枠体4の裏側に固定する。このとき、コネクタ60の係合部612がカバー体50の内面に形成された嵌合凹部59内に嵌まり込む。これにより、カバー体50のロックピン挿通孔58とコネクタ60の係合部612のロックピン挿通孔612Hとの位置合せ作業が容易となる。
【0084】
最後に、ロックピン100をコネクタ60の係合部612に係合させることによって、回路基板70を枠体4とカバー体50との間で挟み込んだ状態で封印する。具体的には、ロックピン100の軸部102を押込みながらカバー体50のロックピン挿通孔58及びコネクタ60の係合部612のロックピン挿通孔612Hの順に挿通させる。このとき、軸部102の笠103は、上記ロックピン挿通孔□を通過する際に生じるロックピン100に対する押込み抵抗によりその羽根片が縮径し、被封印部材を兼用するコネクタ60側のロックピン挿通孔612Hを通過した際に上記ロックピン100に対する押込み抵抗から解放されその羽根片が拡径する。そうすると、笠103の自由端面が回路基板70とコネクタ60の係合部612との間で区画される係合空間内において係合部612の天板の内面に係合する。このように、ロックピン100を被封印部材としての機能を兼ねたコネクタ60に係合させる際には、上記のようにカバー体50側の嵌合凹部59及びコネクタ60側の係合部612の両者が嵌合し、カバー体50側のロックピン挿通孔58及びコネクタ60側のロックピン挿通孔612Hの両者は既に位置決めされている。そのため、ロックピン100及びコネクタ60の両者の係合作業を容易に行なえることになる。また、コネクタ60の係合部612が前方に向かって開口しているので、ロックピン100とコネクタ60の係合部612との係合状態に関する視認性が良くなり、当該係合工程における作業性が向上する。
【0085】
以上の説明から明らかな通り、本実施の形態3によると、上記実施の形態1と同様の作用・効果を奏することに加えて、以下の作用・効果を奏する。
【0086】
コネクタ60を封印部材としてのロックピン100との対象相手となる被封印部材として兼用しているので、回路基板70の封印時の部品点数の削減に貢献することはもとより、従来通り、表示器14〜16及びコネクタ60を半田付けにて回路基板70上に実装するだけで、実質的には被封印部材を回路基板70上に実装したことになり、回路基板70の封印工程数の削減に大きく貢献すると共に、回路基板70の有効面積を減少させることなく回路基板70を封印できる。
【0087】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記実施の形態1において、ロックピンの相手となる被封印部材の半田付け用の脚片や回り止め用の脚片を排除し、その基部を回路基板に面接触させた状態で半田固定しても、本発明の目的は十分に達成し得る。また、上記実施の形態2において、結束バンドの相手となる被封印部材に脚片を設けてこの脚片を半田付け用のフックや回り止め用のフックとして機能させても構わない。その他、本明細書に添付の特許請求の範囲内での種々の設計変更及び修正を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明では、表示器と共に回路基板上に搭載されるコネクタに対してマシン外部からアプローチできないようにし、もってコネクタに接続される制御部に対する不正行為を防止し得るゆえ、表示窓の枠体の裏面側に表示器及びコネクタが搭載された回路基板が取付けられるスロットマシンの回路基板の封印構造として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施の形態1に係るスロットマシンの外観構成を示す斜視図である。
【図2】同スロットマシンの正面図である。
【図3】同スロットマシンの側面図である。
【図4】同スロットマシンの上面図である。
【図5】同スロットマシンの内部構成を示す斜視図であって、前扉を開けた状態を示す。
【図6】同スロットマシンの一部を切り欠いて示す側面図である。
【図7】同スロットマシンに適用される回路基板の封印構造を示す分解斜視図である。
【図8】同スロットマシンにおいて回路基板の封印が完了した状態を枠体の裏側から示す斜視図である。
【図9】同スロットマシンにおいて回路基板の封印は完了した状態を枠体の裏側から示す正面図である。
【図10】図9のA−A線に沿う断面図である。
【図11】図10のB部を拡大して示す図である。
【図12】封印部材としてのロックピンの構成を示す図であって、同図(A)は斜視図、同図(B)は正面図である。
【図13】被封印部材の構成を示す図であって、同図(A)は基部側から視た斜視図、同図(B)は係合部側から視た斜視図である。
【図14】本発明の実施の形態2に係るスロットマシンに適用される回路基板の封印構造を示す図であって、同図(A)は断面図、同図(B)は同図(A)のB部を拡大して示す図である。
【図15】本発明の実施の形態3に係るスロットマシンに適用される回路基板の封印構造を示す要部分解斜視図である。
【図16】同スロットマシンに適用される回路基板の封印構造を示す要部拡大断面図である。
【図17】コネクタの構成を示す図であって、同図(A)は表側から視た斜視図、同図(B)は裏側から視た斜視図である。
【符号の説明】
【0090】
1 スロットマシン
2 筐体
3 前扉
4 枠体(正面パネル)
5 表示窓
6L,6C,6R 回転リール
14〜16 表示器
50 カバー体
52,59 嵌合凹部
56 嵌合孔
60 コネクタ
61 コネクタハウジング
62 コンタクトピン
612 係合部(被封印部材)
90 被封印部材
91 基部
92 係合部
100 ロックピン(封印部材)
500 結束バンド(封印部材)
600 被封印部材
601 基部
602 係合部
200,300 ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
列毎に複数種類の図柄の変動表示及び停止表示を行なうための複数のリール体と、
これら複数のリール体が内部に設置される筐体と、
この筐体の前面側から前記複数のリール体の各リール図柄の一部が視認できるように表示窓が形成された枠体と、
前記表示窓に沿って所定の状態で配置される表示器を少なくとも含む電子部品、及びコネクタが搭載され、前記枠体の裏面側にねじにより取り付けられる回路基板と、
この回路基板を前記枠体に対して封印するように当該回路基板を覆うカバー体と、
前記枠体と前記カバー体との間で前記回路基板を挟み込んで当該回路基板を封印するための封印部材と、
この封印部材と係合する係合部が設けられた被封印部材と、を備えているスロットマシンであって、
前記回路基板の前記枠体との対向面とは反対側の面には、前記被封印部材が半田付けにて固定され、
前記カバー体には、前記被封印部材の係合部と嵌合する嵌合部が設けられ、
前記被封印部材の係合部を前記カバー体の嵌合部に嵌合させた状態で、前記封印部材の係合部に前記封印部材を係合させることによって、前記カバー体が前記回路基板に取付けられていることを特徴とするスロットマシン。
【請求項2】
前記回路基板の前記枠体との対向面とは反対側の面には、そのコンタクトピンを半田付けすることによって前記コネクタが搭載され、
このコネクタは、前記被封印部材として兼用されることを特徴とする請求項1に記載のスロットマシン。
【請求項3】
前記被封印部材は、その基部に前記係合部を一体的に設けてなり、
この被封印部材の基部には、ねじを挿通するための挿通孔が形成され、
この挿通孔に挿通されたねじによって前記枠体と前記回路基板とが螺合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスロットマシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−301990(P2008−301990A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−151336(P2007−151336)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(301073598)株式会社SNKプレイモア (116)
【Fターム(参考)】