説明

スロットマシン

【課題】 停止操作の操作順序の間違いを軽減するとともに、回転率を向上でき、興趣に富んだスロットマシンを提供する。
【解決手段】 複数の停止操作手段毎に、始動操作手段が操作されてから停止操作が有効となるまでの時間を設定できるようにすることで、指定された操作順序で複数の停止操作手段を操作させたい場合に、その操作順序に応じて時間をずらせて停止操作手段の操作を有効化していけば、遊技者に速やかに全ての停止操作手段の操作を行なわせることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシンに関し、特に、複数の回転リールの停止操作を行う複数の停止ボタンの操作を、異なるタイミングで順次有効化するようにしたスロットマシンに関する。さらには、入賞のための停止ボタンの押し順が指定されている場合の押し順ミスを防止するとともに、時間当たりの実行ゲーム回数(以下、「回転率」という)を低減させないスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、パチスロと称されるスロットマシンは、周面に複数種類の図柄が描かれた3つ又は4つの回転リールをそれぞれ回転及び停止させて3つ又は4つの図柄変動列において図柄の変動表示及び停止表示を行う図柄表示手段と、図柄表示手段による図柄の変動表示を開始させるための始動レバーと、図柄変動列に対応して配置されており、図柄表示手段による図柄の変動表示を停止表示させるための複数の停止ボタンとを備えている。このようなスロットマシンにおける基本(通常)遊技は、遊技媒体としてのメダルがメダル投入口から投入されることにより或いはクレジットされたメダルがベットスイッチの操作により投入されることにより、複数の図柄変動列を横切る有効ラインが設定されるとともに始動レバーの操作が許容され、始動レバーが操作されると役の成立に関する内部抽選(以下、単に「役抽選」という)が行われるとともに、設定された有効ライン上を図柄が変動表示され、この状態で停止ボタンが順次押圧操作されると、表示窓内で変動表示されていた図柄が押圧操作された順序に応じて停止表示され、全ての図柄変動列の図柄が停止表示されたときに前面側に設けられた表示窓内に設定された有効ライン上に停止表示された図柄の組合せが、予め設定された役の入賞図柄の組合せ(以下、単に「入賞図柄」ともいう)と一致した場合には、当該役の種類に応じた数のメダルが配当として払い出されるといったものであり、遊技者は、このような一連の遊技を繰り返し、できるだけ多くのメダルを獲得しようと楽しむものである。
【0003】
最もポピュラーな3つの回転リールを備えたスロットマシンでは、上記表示窓内に3×3のマトリクス状に9つの図柄が視認できるようになっている。表示窓内に設定される有効ライン数と投入される(賭けられる)メダル数との関係は、1遊技当たり、メダルの賭け枚数が最大3枚とされ、これにより最大5本の有効ラインが設定可能とされているものが大多数であり、より詳しくは、メダル1枚で1本の有効ラインが、メダル2枚で3本の有効ラインが、そしてメダル3枚で5本の有効ラインが設定されることになっている。
【0004】
他方、上記予め設定される役としては、ボーナス役、小役、リプレイ役などを挙げることができ、これら役は所定の当選確率で役抽選され、入賞確率が制御されている。小役とは、入賞した遊技において1回だけメダルの配当付与がなされるものであって、通常メダルの配当枚数の異なる複数種類のものが用意されている。また、ボーナス役とは、入賞すると遊技状態がボーナス遊技状態に移行し、当該ボーナス遊技状態において、高確率でメダルの配当付与を受けることができるボーナス遊技を複数回行うことができる、遊技者にとってより有利な入賞役である。かかるボーナス役としては、レギュラーボーナス(以下、「RB」という)役及びビッグボーナス(以下、「BB」という)役を挙げることができる。
【0005】
上記RB役は、その入賞が成立すると、RB遊技状態とされ、ボーナス遊技(所謂、JACゲーム)を所定回数連続して行える権利が与えられる。他方、上記BB役は、その入賞が成立すると、BB遊技状態が実行され、上記RB遊技状態を複数セット行える権利が与えられる。このボーナス遊技は、一般に、1遊技あたりメダルの賭け枚数及び有効ライン数が1とされ、JAC役の入賞を対象とした遊技で、高確率でJAC役が入賞するようにされている。また近年、このようなRB役及びBB役に代えて、ボーナス遊技によるメダルの払出数の上限を設けることで終了させるようにしたRB役及びBB役も登場してきている。なお、以下の説明において、「RB役」及び「BB役」を総称することきは「ボーナス役」と称し、「RB遊技状態」及び「BB遊技状態」を総称するときは「ボーナス遊技状態」或いは「ボーナスゲーム状態」と称する。
【0006】
また、上記リプレイ役とは、入賞すると、当該入賞したときの遊技と同じメダルの賭け数(有効ライン数)において再遊技できる役であり、リプレイ役の入賞が成立すると、自動的に同じ有効ライン数が設定され、始動レバーの操作が許容される。
【0007】
このような従来のスロットマシンにおいては、各小役に対応する入賞図柄の組合せを構成する図柄は1種類しかなく、この単一の図柄が有効ライン上に3つ並んで停止表示したときに入賞とされている。例えば、小役の一種であるベル役の場合には、ベルを模した図柄が1種類用意され、有効ライン上にこの図柄が3つ横並びになる図柄の組合せがベルの入賞図柄の組合せに相当し、他の小役のスイカ役の入賞図柄の組合せを構成する図柄も同様にスイカを模した図柄が1種類用意されている。
【0008】
近年、ボーナス遊技状態以外にも遊技者にとって有利となるアシストタイム(AT遊技状態)なる特定遊技状態を付加したスロットマシンが登場してきている。このAT遊技状態とは、内部当選した特定の小役の入賞を手助けする遊技状態であって、例えば3つの停止ボタンの操作順序(押し順)を報知し、報知された順序で停止ボタンを操作して回転リールを停止しさえすれば小役の入賞を獲得できるというものである。
【0009】
つまり、小役の入賞を狙うにあたっては、全ての回転リールを小役に応じた図柄の組合せで停止させる必要があるので、初心者はもとより熟練者であっても、その小役の入賞を狙うことが非常に困難である。このような小役の入賞を容易にするために、選択された停止ボタンの操作順序によって回転リールの停止操作を行えば、制御的に入賞図柄の組合せを有効ライン上に停止させ、入賞状態にするものであり、停止操作に際して予め停止ボタンの操作の順番を遊技者に報知するようにするのである。
【0010】
しかしながら、上記のような停止ボタンの操作順序を報知するAT遊技状態においても必ずしも報知した操作順序どおりに遊技者が操作するとは限らず、操作順を間違って操作してしまうことにより、メダルを獲得し損なうことがある。
【0011】
そこで、停止ボタンの操作順序を間違わないようにしたスロットマシンが提案されている。特許文献1のスロットマシンでは、停止ボタンが決められた操作順序とは異なる順番で操作された場合にはその停止操作を無効とし回転リールを停止させずにその回転を維持するようにしたもので、決められた操作順序で停止操作されたときに回転リールを停止させるというもので、機械的に停止操作順序を間違えることがないようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−254927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記のように機械的に停止操作順序を間違えないようにした場合、遊技者は最初に操作する停止ボタンがいずれかを予想しながら停止操作を行うために、停止操作に要する時間が長くなり、結果1回のゲームに要する時間が長くなり、回転率の低下を招くという危惧がある。また、停止操作順序を全く間違えないようにしてしまうと、その遊技状態の期間中、遊技者に何の緊張感もない興趣に欠けた遊技となってしまう。
【0014】
そこで、本発明は、停止操作の操作順序の間違いを軽減するとともに、回転率を向上でき、興趣に富んだスロットマシンを提供することを目的とする。また、本発明は、これまでにない新規な報知機能など新たな遊技機能を付加したスロットマシンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成すべく、本発明は以下の(1)〜(4)のスロットマシンを提供する。
【0016】
(1)複数の図柄変動列毎に複数種類の図柄の変動表示及び停止表示を行うための図柄表示手段と、上記図柄が停止表示されたときに、各図柄変動列の一部の図柄が横並びとして視認できるように設けられた表示窓と、上記表示窓内において複数の図柄変動列を横切る賭けラインのうち、投入された遊技媒体の数に応じた数の賭けラインを有効化して有効ラインを設定する有効ライン設定手段と、上記有効ラインが設定されていることを条件として上記図柄表示手段による図柄の変動表示を開始させるための始動操作手段と、上記始動操作手段が操作されることを契機として複数種類の役の成立に関する抽選を行うための役抽選手段と、上記複数の図柄変動列毎に対応して設けられ、上記図柄変動列による図柄の変動表示を停止表示させるための複数の停止操作手段と、上記停止操作手段が操作されることに応じて、該停止操作手段に対応する上記図柄変動列の図柄の停止表示を実行する停止制御手段と、上記役抽選手段による抽選で当選した役にかかる入賞図柄の組合せが、上記有効ライン上に停止表示されたときに入賞と判定し、入賞した役に応じた数の遊技媒体の払出を行う入賞判定手段と、上記始動操作手段が操作されることを契機として経過した時間を計測する計時手段と、を備えたスロットマシンにおいて、上記計時手段により計時される時間によって上記複数の停止操作手段毎にその停止操作を有効化することができる停止操作有効化手段を備えることを特徴とするスロットマシン。
【0017】
(1)のスロットマシンにおいて、「上記計時手段により計時される時間によって上記複数の停止操作手段毎にその停止操作を有効化する」とは、始動操作手段の操作を契機として計時手段により計時された時間が所定の時間に達したことを契機に、停止操作手段に対してなされる操作を有効なものとして図柄変動列の停止操作処理に供するようにするというもので、所定の時間が計時される以前に行われた停止操作手段に対する操作行為は無効として扱うということを意味し、上記所定の時間については、複数の停止操作手段ごとに任意に設定できるというものである。具体例としては、一の停止操作手段を始動操作手段が操作されると直ちに停止操作可能状態とし、別の1つの停止操作手段を始動操作手段が操作されてから、例えば5秒後に停止操作可能状態とするなどであり、この例の場合では、始動操作手段が操作されてから5秒後には上記2つの停止操作手段ともに停止操作が有効化されることになり、これら停止操作手段に対応する図柄変動列の変動表示を停止表示させることができることになる。なお、本発明は、停止操作手段の停止操作を有効化させる契機となる所定の時間を、複数の停止操作手段において全て異ならせる場合のほか、一部の停止操作手段において同じにする場合をも包含する。
【0018】
この(1)のスロットマシンによれば、複数の停止操作手段毎に、始動操作手段が操作されてから停止操作が有効となるまでの時間を設定できるので、例えば、指定された操作順序で複数の停止操作手段を操作させたい場合に、その操作順序に応じて時間をずらせて停止操作手段の操作を有効化していけば、遊技者は速やかに全ての停止操作手段の操作を行おうとする。つまり、最初に操作が有効化される停止操作手段は、次の停止操作手段が有効化される時間までは、その1つの停止操作手段のみしか停止操作ができないので、その時間内に全ての停止操作手段を操作すればいずれか1つの停止操作手段の操作が有効に作用し、1つの図柄変動列の変動表示を停止させることができる。ところが、最初に有効化された停止操作手段の操作が完了する前に2番目の停止操作手段が有効化されてしまえば、そのとき以降は、2つの停止操作手段の停止操作が有効になるために、上記指定された操作順序どおり停止操作がなされないケースが生じることになる。そこで、複数の停止操作手段を指定された操作順序で操作された場合に特典を付与したり、有意な情報を提供したりするなど、指定された操作順序で操作することに意味を持たせておけば、遊技者は短時間で停止操作を完了しようとし、所望に設定した時間内に全ての停止操作手段の停止操作を完了させる動機付けを遊技者に与えることができる。
【0019】
(2)上記(1)のスロットマシンにおいて、上記停止操作有効化手段により有効化される上記複数の停止操作手段の順序に関する情報を報知するための報知手段を備えることを特徴とするスロットマシン。
【0020】
上記(2)のスロットマシンによれば、遊技者の停止操作に際して、停止操作有効化手段により決定された複数の停止操作手段の有効化される順番を演出的に予め、正しく報知したり或いは間違って報知したりするようにすれば、報知どおり停止操作したときの結果により、報知が正しかったのか、間違っていたのかを図柄変動列の停止がなされるか否かにより判明するので、これを用いて遊技状況を遊技者に報知したり予測させたりすることができる。例えば役抽選手段による抽選でボーナス役などの特別役が内部成立したときや特殊な遊技状態に移行されたときに、停止操作手段の有効化される順番を正しく報知し、それ以外のときには間違った報知を行う、或いは逆に特別役が内部成立したときなどに間違った報知を行い、それ以外のときに正しい報知を行えば、遊技者は、停止操作を行った結果、その操作に対応する図柄変動列が停止するか否かによりボーナス報知や特殊な遊技状態への移行報知などを行うこともできる。つまり、報知された順番で停止操作手段の停止操作を行ったにもかかわらず、停止操作が行えない(対応する回転リールの回転が維持される)停止操作手段があったことを報知情報として利用できるのである。
【0021】
(3)上記(1)のスロットマシンにおいて、上記役抽選手段による抽選で所定の役が当選したときに、この所定の役の入賞図柄の組合せが上記有効ライン上に停止表示することを上記停止制御手段に許容させるための上記複数の停止操作手段の操作順序を決定する操作順序決定手段を備え、上記停止操作有効化手段は、上記操作順序決定手段により決定された操作順序に応じて上記複数の停止操作手段の停止操作を順次有効化することを特徴とするスロットマシン。
【0022】
上記(3)のスロットマシンによれば、所定の役(例えば、小役、特に後述する引込可能な小役)の入賞を獲得するための停止操作手段の操作順序を間違えないようにするために、遊技者に速やかな停止操作を行わせることができるとともに、所定の時間内に全ての停止操作手段の操作を順次完了すれば操作順序決定手段により決定された操作順序を間違えることがなく、ある時間を超えてしまうと操作順序を予測したうえで停止操作手段の操作しなければならなくなるという緊張感及び興趣を遊技者に与えることができる。
【0023】
(4)上記(3)のスロットマシンにおいて、上記操作順序決定手段により決定された上記複数の停止操作手段の操作順序を所定時間報知する報知手段を備えることを特徴とするスロットマシン。
【0024】
上記(4)のスロットマシンによれば、停止操作順序を遊技者に所定時間報知できるので、例えば、始動操作手段が操作されるとともに報知を開始するようにすれば、遊技者はよりスムーズに全ての停止操作手段を決定された操作順序で操作することができる。また、2番目の停止操作手段の操作が有効化される時間になっても最初に有効化された停止操作手段の停止操作を完了していない場合に報知を終了させたり、複数の停止操作手段の操作順序を間違えたときに報知を終了させたりすることで、遊技者に停止操作を急がせることができ、回転率を向上できる。さらに、始動操作手段が操作されるとともに短時間だけ報知するようにすれば、報知が終わり、停止操作が済んでいない複数の停止操作手段の停止操作が有効化された状態まで時間経過を待った後に停止操作をする場合であっても、報知された操作順序の記憶を頼りに停止操作を行う楽しみを付与できる。
【0025】
(5)上記(4)のスロットマシンにおいて、上記操作順序決定手段は、上記役抽選手段による抽選で上記所定の役とは別の特定の役が当選したときにも上記複数の停止操作手段の操作順序を決定し、上記報知手段は、上記役抽選手段による抽選で特定の役が成立したときに、上記操作順序決定手段により決定された上記複数の停止操作手段の操作順序とは異なった操作順序を報知することを特徴とするスロットマシン。
【0026】
上記(5)のスロットマシンによれば、報知された操作順序どおりに停止操作手段を操作したにもかかわらず、最初に操作した停止操作手段に対応する図柄変動列が停止しなかった場合には、特定の役(例えば、ボーナス役)が役抽選手段による抽選で内部当選していることになるので、特定の役の内部当選(例えば、ボーナス告知)の斬新な報知とし得る。また、遊技者は、操作順序が報知されたときに最初に操作する停止操作手段が有効化されていないことを期待して停止操作を行うという別の楽しみを付加することができる。
【0027】
(6)上記(1)〜(5)のいずれかのスロットマシンにおいて、上記停止操作有効化手段は、有効化した停止操作手段の停止操作が完了すると、この停止操作手段の次に有効化する停止操作手段を上記計時手段により計時される時間と関係なく、その停止操作を有効化することを特徴とするスロットマシン。
【0028】
上記(6)のスロットマシンによれば、所定の時間の経過を待つことなく次の停止操作手段の操作を有効化できるので、さらに遊技の進行を早め、回転率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明のスロットマシンによれば、新規な遊技性を備えた興趣に富んだスロットマシンを提供できる。また、停止操作順序に関連させた遊技性を有するものにおいて、停止操作の操作順序の間違いを軽減できるスロットマシンを提供することができる。さらに、遊技の進行の遅延を防止できて回転率を向上できるスロットマシンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態1に係るスロットマシン1の外観構成を示す斜視図である。
【図2】スロットマシン1の内部構成を示す斜視図であって、前扉を開けた状態を示す。
【図3】スロットマシン1の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態1におけるスロットマシンの全体の制御の流れを示すフローチャートである。
【図5】実施の形態1における押し順パターンを決める抽選テーブルの説明図である。
【図6】実施の形態1における停止操作有効化処理の制御の流れを示すフローチャートである。
【図7】実施の形態1における停止ボタンの操作(回転リールの停止)の許可、不許可の状態の説明図である。
【図8】実施の形態1におけるリール停止処理の制御の流れを示すフローチャートである。
【図9】実施の形態2におけるスロットマシンの全体の制御の流れを示すフローチャーである。
【図10】実施の形態2における停止操作有効化処理の制御の流れを示すフローチャートである。
【図11】実施の形態2における回転リールの回転開始時の報知表示の状態と停止ボタンの操作(回転リールの停止)の許可、不許可の状態との説明図である。
【図12】実施の形態2においてベル役又はRP役が内部当選している状態における報知表示の状態と停止ボタンの操作(回転リールの停止)の許可、不許可の状態との説明図である。
【図13】実施の形態3におけるスロットマシンの全体の制御の流れを示すフローチャーである。
【図14】実施の形態3における停止操作有効化処理の制御の流れを示すフローチャートである。
【図15】実施の形態3における停止ボタンの操作の有効化する順序パターンを決める抽選テーブルの説明図である。
【図16】実施の形態3における回転リールの回転開始時の報知表示の状態と停止ボタンの操作(回転リールの停止)の許可、不許可の状態との説明図である。
【図17】実施の形態3においてボーナス役が内部当選している状態における報知表示の状態と停止ボタンの操作(回転リールの停止)の許可、不許可の状態との説明図である。
【図18】実施の形態3におけるリール停止処理の制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を実施の形態について、添付図面に基づき詳細に説明する。なお、以下では、3つの回転リール(図柄変動列)を用いたスロットマシンに適用した場合について説明するが、本発明は、4リールなど2つ以上の図柄変動列を有するスロットマシンに好ましく適用することができる。
【0032】
<実施の形態1>
[外観構成]
図1を参照して、本実施の形態1に係るスロットマシン1は、前面が開放している箱形の筐体2と、この筐体2に対して開閉自在に取り付けられている前扉3とを備えている。
【0033】
前扉3の中央部正面には、正面パネル4が装着されている。この正面パネル4の主要部には、表示窓5が形成されている。それゆえ、この正面パネル4は、表示窓5の枠体として機能する。
【0034】
表示窓5は、主として、筐体2内の3つの回転リール6L,6C,6Rを観察するためのものであって、各リール6L,6C,6Rの外周面には、それぞれ、ボーナス役図柄、小役図柄及びリプレイ役図柄を含む、複数種類の役図柄が周方向に沿って描かれている。これらの図柄は、表示窓5を通して3つずつ観察される。表示窓5及び各リール6L,6C,6Rの両者は、正面パネル4上において遊技者に対面している。
【0035】
表示窓5の左側には、5つの賭けライン表示ランプ7A,7B,7C,7D,7Eが設けられている。これら5つの賭けライン表示ランプ7A〜7Eは、1遊技における有効ラインを示すために点灯するランプである。他方、表示窓5の右側には、スタートランプ8、投入指示ランプ9、リプレイタイム(RT)告知ランプ10、アシストタイム(AT)告知ランプ11及びゲームオーバーランプ12が設けられている。スタートランプ8は、遊技が開始できる状態となった場合に点灯又は点滅するランプである。投入指示ランプ9は、メダルをスロットマシン1に投入できる状態である場合に点灯又は点滅するランプである。RT告知ランプ10は、遊技状態が高確率再遊技状態(RT)に移行した場合に点灯又は点滅するランプである。AT告知ランプ11は、遊技状態が画像や音などにより役の入賞を支援する情報が報知される状態に移行した場合に点灯又は点滅するランプである。ゲームオーバーランプ12は、遊技が終了したときに点灯又は点滅するランプである。これらランプ8〜12は、正面パネル4の上方から下方に向かってこの順で配置されている。
【0036】
表示窓5上には、当該表示窓5の窓面を通過する5本の賭けライン13A〜13Eが設けられている。具体的には、第1の賭けライン13Aは、表示窓5の中段において水平に延びており、この賭けライン13Aの左端に第1の賭けライン表示ランプ7Aが配置されている。第2の賭けライン13Bは、表示窓5の上段において水平に延びており、この賭けライン13Bの左端に第2の賭けライン表示ランプ7Bが配置されている。第3の賭けライン13Cは、表示窓5の下段において水平に延びており、この賭けライン13Cの左端には第3の賭けライン表示ランプ7Cが配置されている。第4の賭けライン13Dは、表示窓5の左上段から右下段に向かって斜め下方向に延びており、この賭けライン13Dの左端には第4の賭けライン表示ランプ7Dが配置されている。第5の賭けライン13Eは、表示窓5の左下段から右上段に向かって斜め上方向に延びており、この賭けライン13Eの左端には第5の賭けライン表示ランプ7Eが配置されている。
【0037】
表示窓5の下方には、払出数表示器14及びクレジット数表示器15が設けられている。払出数表示器14は、入賞が発生した場合に遊技者に対して払い出されるメダル数を表示する表示器である。クレジット数表示器15は、遊技者が所有する有価価値としてスロットマシン1にクレジットされているメダル数を表示する表示器である。これら表示器14、15は、7セグメント表示器であって、正面パネル4上で左から右に向かってこの順で配置されている。
【0038】
前扉3の上部には、上パネルが装着されている。この上パネルの中央部には、液晶表示装置(以下、「LCD」という)18が設けられている。このLCD18は、遊技に関する種々の演出、他の情報などを表示により行うための手段であって、例えば遊技中の演出画像を各種遊技状態のとき毎に異なるものとして表示したり、連続的にストーリー性のある動画を表示したり、遊技店又は周辺地域の情報を表示したりする。LCD18を挟んだ左右両側には、スピーカー19A,19Bが配置されており、この左右一対のスピーカー19A,19Bは、上パネルに嵌め込まれている。これらのスピーカー19A,19Bは、LCD18に表示された演出画像等に対応した演出音、遊技状態に応じた効果音等を出力するための手段である。他方、前扉3の下部には、下パネル20が装着されている。この下パネル20には、機種名及びイメージデザイン等が印刷されており、その下方には、メダル払出口21及びメダル受け皿22が設けられている。
【0039】
正面パネル4と下パネル20との間には、操作部23が設けられている。この操作部23には、メダル投入口24、ベットボタン25、始動レバー26、停止ボタン27L,27C,27R及び精算ボタン28が備えられている。メダル投入口24は、操作部23の上面の右側に配置されている。ベットボタン25は、投入口24から投入されたメダルを何枚賭けるかを設定する際に使用されるボタンであって、操作部23の上面において始動レバー26及び左停止ボタン27Lの両者の中間位置に配置されている。始動レバー26は、遊技を開始する際に使用されるレバーであり、他方停止ボタン27L,27C,27Rは、リール6L,6C,6Rの回転を停止させる際に使用されるボタンである。具体的には、左停止ボタン27Lを操作すると、左リール6Lの回転が停止する。中停止ボタン27Cを操作すると、中リール6Cの回転が停止する。右停止ボタン27Rを操作すると、右リール6Rの回転が停止する。これら停止ボタン27L,27C,27Rは、操作部23の正面中央部において各リール6L,6C,6Rに対応して配置されている。これに対して、始動レバー26は、操作部23の正面において停止ボタン27L,27C,27Rの左側に配置されている。精算ボタン28は、スロットマシン1にクレジットされたメダルを精算する際に使用されるボタンであって、操作部23の正面において始動レバー26の左側に配置されている。
【0040】
本スロットマシン1では、例えば、遊技はクレジットモードで進行される。すなわち、1遊技毎にベットボタン25が1回押されると、3枚のメダルが賭け対象となり、上記の5本の賭けライン13A〜13Eの全てが有効化される。このとき、上記の5つの賭けライン表示ランプ7A〜7Eが点灯する。
【0041】
かかるクレジットモードでは、上記有効化された賭けライン(有効ライン)の何れかのライン上で入賞図柄の組合せが揃い、それによって入賞が成立した場合には、この入賞の発生に伴いクレジットの上限を超えない範囲で払い出されるメダル数がクレジットとしてスロットマシン1に貯留される。クレジットの上限を超える場合には、その上限を超えた数のメダルが払出口21から受け皿22に払い出される。
【0042】
上記のクレジットモードの手順に則して賭け対象となるメダルの枚数が設定されると、図示しない制御部は、この設定された賭け枚数分のメダルを取り込む。このメダルの取り込みにより、遊技を開始する条件が整う。このとき、スタートランプ8が点灯又は点滅する。このスタートランプ8の作動状態において、始動レバー26が操作されると、制御部は、全てのリール6L,6C,6Rを回転させる。
【0043】
全てのリール6L,6C,6Rの回転速度が所定の速度に達すると回転リールの停止操作が有効化(許容)され、この状態で各停止ボタン27L,27C,27Rが押圧操作されると、その操作に対応するリールの回転が停止する。
【0044】
そして、全リール6L,6C,6Rの回転が停止したときに、有効ライン上に入賞図柄の組合せの1つが停止表示する(揃う)と、制御部は、成立した入賞役の種類に従って、予め定められている枚数のメダルを上記メダルの入力モードに応じた態様で遊技者に払い出す。
【0045】
[内部構成]
図2を参照して、筐体2内には、リール6L,6C,6R、各リール6L,6C,6Rの駆動源であるステッピングモーター、ホッパー30及び確率設定ボックス31が備えられている。
【0046】
リール6L,6C,6Rは、筐体2内の中央部に配置されており、これらリール6L,6C,6Rを基準として、ホッパー30及び確率設定ボックス31の設置箇所が決定されている。各リール6L,6C,6Rの回転軸は、それぞれ、筐体2内のブラケットに回転自在に支持されており、当該各回転軸の端部が各ステッピングモーターSML,SMC,SMR(図3参照)の出力軸に結合されている。
【0047】
ホッパー30は、メダルの貯留・放出を行うための手段であって、リール6L,6C,6Rの下方において、筐体2の底面に取り付けられている。他方、確率設定ボックス31は、ホッパー30の左側において、筐体2の底面に取り付けられている。
【0048】
リール6L,6C,6Rの上方で筐体2の背面には、スロットマシン1の基本動作やリール制御などを司るプログラムが収められたCPU1001、RAM1002,ROM1003(共に図3参照)などが搭載されたメイン制御基板が収められた主基板ケース1000が取り付けられており、リール6L,6C,6Rを支持するブラケットの側面には、特に図示しないが、サブ制御基板が収められたサブ基板ケースが取り付けられている。
【0049】
また、前扉3に装着されたLCD18の裏側には、LCD18に表示する画像を制御するための映像表示基板が収められた映像表示基板ケース2000が取り付けられており、前扉3に装着された表示窓5の正面パネル4の裏側には、カバー体50が装着されている。このカバー体50は、上記の払出数表示器14及びクレジット数表示器15並びにコネクタ等が搭載される回路基板を覆う。
【0050】
[電気的構成]
図3を参照して、本スロットマシン1は、制御装置100を含む、この制御装置100は、マイクロコンピューターであって、CPU1001、RAM1002、ROM1003、クロックパルス発生回路1004、乱数発生器1005、モーター駆動制御回路1006、ランプ駆動制御回路1007、表示器駆動制御回路1008、LCD駆動制御回路1009、音出力制御回路10010及びホッパー駆動制御回路10011を備えている。
【0051】
CPU1001は、スロットマシン1の制御中枢を司るものであって、ROM1003に記憶されているプログラムに従って種々の制御を行う。このCPU1001の制御対象としては、ステッピングモーターSML,SMC,SMR、各種のランプ7A〜7E,8〜12、各種の表示器14,15、LCD18、スピーカー19A,19B及びホッパー30を挙げることができる。これら各制御要素に対する制御信号は、それぞれ、モーター駆動制御回路1006、ランプ駆動制御回路1007、表示駆動制御回路1008、LCD駆動制御回路1009、音出力制御回路1010及びホッパー駆動制御回路1011を介して、CPU1001から与えられる。
【0052】
CPU1001には、ベットボタン25、始動レバー26、停止ボタン27L,27C,27R及び精算ボタン28の各操作信号と、メダル投入検知センサー200及びメダル排出検知センサー300の各センシング出力と、回転位置検出回路400の回転位置検出信号と、キースイッチSW1、確率設定スイッチSW2及びリセットスイッチSW3の各スイッチング信号とが与えられる。
【0053】
停止ボタン27L,27C,27Rの操作信号は、リール停止信号処理回路500によって所定の処理が施された後、リール停止信号としてCPU1001に入力される。
【0054】
メダル投入検知センサー200は、メダル投入口24から投入されたメダルを検知するためのセンサーであって、メダル投入口24に関連して設けられている。他方、メダル排出検知センサー300は、ホッパー30のメダル放出位置に関連して設けられており、そのセンシング信号は、メダル排出完了信号処理回路600によって所定の処理が施された後、メダル排出完了信号としてCPU1001に入力される。
【0055】
回転位置検出回路400は、各リール6L,6C,6Rの回転位置を検知するための回路であって、各リール6L,6C,6Rに関連して設けられている光センサーや、各ステッピングモーターSML,SMC,SMRの近傍に設けられているロータリーエンコーダを含んでいる。各リール6L,6C,6Rの回転が停止したときに、CPU1001は、回転位置検出回路400の検出信号に基づいて、有効ライン上での当該各リール6L,6C,6Rの停止図柄の種類を特定する。
【0056】
キースイッチSW1、確率設定スイッチSW2及びリセットスイッチSW3は、確率設定ボックス31に内蔵されている。キースイッチSW1は、遊技モードと確率設定モードとを互いに切り替えるためのスイッチである。他方、確率設定スイッチSW2は、役抽選に関する当選確率の設定を切り替えるためのスイッチであって、そのスイッチング信号は、キースイッチSW1によって確率設定モードになっている場合に限り、CPU1001に入力が受け付けられる。
【0057】
遊技を開始するために、遊技者によって始動レバー26が操作され、その操作信号が入力されると、CPU1001は、リール6L,6C,6Rの回転を開始させるべく、モーター駆動制御回路1006を介してステッピングモーターSML,SMC,SMRに始動信号を出力する。その結果、表示窓5内においてリール6L,6C,6Rの図柄の変動表示が開始される。他方、リール6L,6C,6Rの回転を停止するために、遊技者によって停止ボタン27L,27C,27Rが押圧操作され、その操作信号が入力されると、CPU1001は、操作された停止ボタンに対応するリールの回転を停止させるべく、モーター駆動制御回路1006を介してステッピングモーターSML,SMC,SMRに停止信号を出力する。その結果、表示窓5内においてリール6L,6C,6Rの図柄の変動が順次停止表示される。
【0058】
RAM1002は、CPU1001と互いにインターフェイスをとっており、CPU1001のワーキングメモリとして機能する。したがって、RAM1002では、遊技や図柄変更の制御に必要なフラグや変数の値の書き込み及び読み出しなどが行われる。
【0059】
ROM1003には、スロットマシン1を制御して遊技を進行するための遊技プログラム、遊技プログラムで用いる変数の初期値、図柄の組合せと乱数との対応関係を示すデータ群などが格納されている。特に、ROM1003には、演出のための動画用の画像データ、当該画像データに対応する演出音用の音データが格納されている。
【0060】
クロックパルス発生回路1004は、基準クロックパルスを発生させるための回路であって、発生させた基準クロックパルスをCPU1001に供給する。
【0061】
乱数発生器1005は、上記の役の成立に関する電子抽選などをスロットマシン1内部で行う際に用いられる乱数を発生させ、この発生させた乱数の中から任意の乱数を抽出するための手段であって、抽出した乱数をCPU1001に供給する。例えば、役抽選を行うに際して乱数を発生させるコマンドが、CPU1001から乱数発生器1005に対して与えられると、乱数発生器1005は、所定の範囲の乱数を発生させ、その乱数の値を示す信号をCPU1001に出力する。
【0062】
ランプ駆動制御回路1007は、CPU1001からの指示信号に基づいてランプ駆動信号を生成し、この生成したランプ駆動信号を各種のランプ7A〜7E,8〜12に与える。その結果、各種のランプ7A〜7E,8〜12は、所定の事象を告知するために点灯又は点滅する。
【0063】
表示器駆動制御回路1008は、CPU1001からの指示信号に基づいて表示器駆動信号を生成し、この生成した表示器駆動信号を各種の表示器14、15に与える。その結果、各種の表示器14、15は、所定の事象を表示する。
【0064】
LCD駆動制御回路1009は、CPU1001からの指示信号に基づいてLCD駆動信号を生成し、この生成したLCD駆動信号をLCD18に与える。その結果、LCD18は、その表示面上に種々の遊技演出情報を表示する。
【0065】
音出力制御回路10010は、CPU1001からの指示信号に基づいて音出力信号を生成し、この生成した音出力信号をスピーカー19A,19Bに与える。その結果、スピーカー19A,19Bは、遊技状態に応じた効果音等を含む演出音を発する。
【0066】
ホッパー駆動制御回路10011は、CPU1001からの指示信号に基づいてホッパー駆動信号を生成し、この生成したホッパー駆動信号をホッパー30に与える。その結果、ホッパー30は、貯留しているメダルを受け皿22に放出する。
【0067】
[リール図柄の配列]
各リール6L、6C、6Rの周面に設けられた図柄の配列について説明する。各リール6L、6C、6Rには、2種類のボーナス役(BB役及びRB役)の入賞にかかる「7」図柄及び「BAR」図柄(BB役入賞図柄の組合せ:7−7−7、RB役入賞図柄の組合せ:7−7−BAR)、小役の入賞にかかる「ベル」図柄、(ベル役入賞図柄の組合せ:ベル−ベル−ベル)、「スイカ」図柄(スイカ役入賞図柄の組合せ:スイカ−スイカ−スイカ)及び「チェリー」図柄(チェリー役入賞図柄の組合せ:チェリー−ANY−ANY)、リプレイ(RP)役の入賞にかかる「RP」図柄(RP役入賞図柄の組合せ:RP−RP−RP)が所定の間隔及び数配設されている。なお、ベル役にかかる「ベル」図柄及びRP役にかかる「RP」図柄は、全てのリール6L、6C、6Rにおいて後述する引き込み最大コマ数である4コマずれた場合に有効ライン上に引き込み可能な5コマ以内の間隔で配置されており、所謂引込可能役とされている。
【0068】
上記各役の入賞にともない提供される特典として、BB役が入賞するとメダルの払出合計が345枚を超えると終了するBBゲーム状態に移行され、RB役が入賞するとメダルの払出合計が119枚を超えると終了するRBゲーム状態に移行される。また、ベル役(所定の役)が入賞すると10枚、スイカ役が入賞すると15枚、チェリー役が入賞すると2枚のメダルがそれぞれ配当として払出される。リプレイ役(所定の役)が入賞するとメダルをベットすることなく同じ条件のゲーム(再遊技)が提供される。なお、ボーナス役は役抽選で一旦当選し当選フラグが成立すると、入賞が成立するまで次遊技へとフラグが持ち越されるが、小役及びリプレイ役(RP役)の当選フラグは、成立したときの遊技においてのみ有効で、当該遊技で入賞できなかった場合には次遊技に当選フラグが持ち越されることはない。また、ボーナス役の当選フラグが持ち越されている状態における遊技の役抽選で小役又はRP役が当選した場合には、後述のリール停止制御において小役又はRP役の入賞図柄が優先されて有効ライン上に停止表示されるようになっている。
【0069】
[役抽選]
スロットマシン1における役抽選は、公知の乱数抽選により実行することができる。つまり、各役と乱数値の範囲とを対応付けたテーブルを用い、このテーブルと抽出した乱数値とを照合し、何れの役に対応する乱数値の範囲に属するかによって当選役を決定する。抽選対象となる役としては、上述したBB役、RB役、ベル役、スイカ役、チェリー役、RP役及び何れの役も当選していないハズレ役とされる。
【0070】
[リール停止制御]
スロットマシン1では、役抽選の抽選結果によって何らかの役が成立(内部当選)すると、当該当選役の当選フラグが立てられ、当選フラグが立っている役の入賞図柄が有効ライン上に揃いやくするための引き込み停止制御が実行される。他方、当選フラグが立っていない役の入賞図柄は、有効ライン上に揃わせないための蹴飛ばし停止制御が実行される。ただし、実施の形態1においては、ベル役及びRP役の当選フラグが立っている場合については、予め抽選で選択された所定の順番で停止ボタン27L,27C,27R(リール6L,6C,6R)の停止操作を行った場合に引き込み停止制御が実行され、操作の順番が異なる場合は蹴飛ばし停止制御が実行されるようになっている。また、小役とボーナス役の両方が内部的に成立している場合には、小役の入賞を優先し、該小役の入賞図柄を優先的に有効ライン上に揃えようとする引き込み停止制御が実行される。
【0071】
上記「引き込み停止制御」とは、リールの回転及び停止による図柄の変動状態及び停止状態を見るための表示窓5の領域を遊技者が視認しつつ3つの停止ボタン27L,27C,27Rを操作(目押し)したときに、その操作タイミングと、フラグ成立している当選役の入賞図柄が有効ライン上を通過するタイミングとの間にズレがあっても、所定の範囲内のズレであれば入賞図柄を有効ライン上に引き込んで(停止表示させるタイミングを遅延させることにより調節して)停止するようにするリールの停止制御である。具体的には、リール6L〜6Rに対応したカウンターが(図示せず)設けられており、CPU1001は、ステッピングモーターSML,SMC,SMRに駆動パルスを出力したときは対応するカウンターを駆動パルス数だけインクリメントするとともに、位置検出センサーがリール6L,6C,6Rの基準回転位置を検出したときはカウンターをリセットするようにしている。このようにして、CPU1001は、カウンターのカウント値に基づいてリール6L,6C,6Rの基準回転位置からの現在の回転位置を判断する。しかし、回転位置を判断できてもどの図柄で停止するかを判断できなければ、引き込み制御は実現できないため、このような図柄の判断のために各リール6L,6C,6Rにおける図柄の配列情報である図柄テーブルを利用する。つまり、リール停止信号処理回路500から、各停止ボタン27L,27C,27Rに対する操作信号がCPU1001に通知される。この通知を受けたCPU1001は、リール6L,6C,6Rの回転位置と図柄の種類との位置関係を記憶した図柄テーブルを利用して、入賞図柄を有効ライン上に停止させるための引き込みコマ数を設定し、モーター駆動制御回路1006から停止信号をステッピングモーターSML,SMC,SMRに送信してリールの引き込み停止動作を実行するのである。このように、リール6L,6C,6Rの外周のどの位置にどのような図柄が設けられているかを示す図柄テーブルを利用することによって、引き込み制御が実行できるのである。このような引き込み制御は、一般的に国内においてパチスロとも呼ばれるスロットマシンにおいて周知の技術である。なお、このような引き込み制御を行えるのは、目標とする図柄から所定の数以内のコマズレ、即ち引き込み最大コマ数(許容コマ数)以内であれば、どのようなタイミングで遊技者が停止操作を行ったとしてもフラグ成立している当選役の入賞を成立させるための図柄を停止表示することが可能となっている。
【0072】
一方、役抽選により当選していない役(当選フラグが成立していない役)の入賞図柄(の組合せ)が有効ライン上に揃うことを防止するために、何れの役の入賞図柄をも有効ライン上に揃わせないようにしたりするために蹴飛ばし停止制御(ハズレ図柄の組合せを有効ライン上に引き込んで停止表示させる引き込み停止制御)が利用される。つまり、上記「蹴飛ばし停止制御」とは、入賞が許容された入賞図柄以外の入賞図柄の組合せを有効ライン上に停止させないためのリール停止制御である。具体的には、遊技者による停止ボタン27L,27C,27Rの操作(目押し)タイミングと、当選役の入賞図柄が有効ライン上を通過するタイミングとにズレが生じなかったとしても、強制的に入賞図柄を有効ライン上からずらせて(はずして)リール停止させる制御である。このような蹴飛ばし制御も上記パチスロにおいて一般的に使用されるものである。なお、本実施の形態1のスロットマシン1では、上記の引き込み又は蹴飛ばし許容コマ数は、一般的な4コマに設定されているものとする。
【0073】
[制御の流れ]
(通常遊技全体の制御)
以下、実施の形態1に係るスロットマシン1を用いた遊技の一例について説明する。図4を参照して、まず、制御装置100内のCPU1001は、賭けラインが有効化されてベットが完了するのを待つ(ステップS1)。マニュアル投入モードでメダルを投入口24から投入したり、クレジットモードでベットボタン25を押してメダルをスロットマシン1に投入したりすることによって、賭けライン13A〜13Eが有効化されると、CPU1001は、ベットが完了したと判断し、始動レバー26が操作されるのを待つ(ステップS2)。このとき、スタートランプ8が点灯又は点滅する。
【0074】
始動レバー26が操作されると、CPU1001は、役の成立に関する内部抽選(役抽選)を行う(ステップS3)。このとき、何れかの役が当選すると、その当選した役の当選フラグがONされる。なお、小役及びRP役は当選フラグが成立(ON)した場合であってもそのゲームで入賞できないとその当選フラグはOFFされてしまい次ゲーム以降に持ち越されることはないが、ボーナス役の当選フラグは入賞が成立するまでそのON状態が以降のゲームに持ち越される。
【0075】
上記役抽選が終了すると、CPU1001は、全リール6L,6C,6Rの回転を開始させる(ステップS4)。その結果、表示窓5内においてリール6L,6C,6Rの図柄の変動が開始されるとともに、LCD18に演出画像が表示される。
【0076】
リール6L,6C,6Rの回転が開始されると、CPU1001は、リール6L,6C,6Rの回転を停止させる順序、すなわち停止ボタン27L,27C,27Rの停止操作順序(押し順)を抽選で決定する(ステップS5)。この押し順抽選は、例えば図5に示すテーブルT1のように、3つの停止ボタンの組合せからなる6通りの押し順パターン1〜6の中から乱数抽選により決定することができる。具体的には、左(停止ボタン27L)−中(停止ボタン27C)−右(停止ボタン27R)、左−右−中、中−左−右、中−右−左、右−左−中、右−中−左の順番の6通りである。また、ここで決定される押し順パターンは、この後に実行される停止操作有効化処理(ステップS6)及びリール停止処理(ステップS7)において用いられる。なお、停止操作有効化処理(ステップS6)及びリール停止処理(ステップS7)についての説明は後述する。
【0077】
ステップS7のリール停止処理が終了し、全てのリール6L,6C,6Rの回転が停止すると、CPU1001は、入賞判定を行う。有効ライン13上にボーナス役入賞図柄の組合せが揃い、ボーナス役の入賞が成立した場合には(ステップS8:YES)、CPU1001は、入賞したボーナス役の種類に応じたボーナスゲーム処理を実行し(ステップS9)、ボーナスゲーム処理終了後ボーナス役の当選フラグをOFFとし、処理をステップS1に戻す。なお、ボーナスゲーム処理は、公知のものと同様にして行うことができ、その説明は省略する。
【0078】
上記ステップS8において、ボーナス役の入賞が成立していない場合(ステップS8:NO)には、CPU1001は、小役の入賞が成立したか否かを判別する(ステップS10)。有効ライン13上に小役の入賞図柄の組合せが揃い、入賞が成立したと判断された場合には、CPU1001は、遊技者に配当をするために入賞した小役に対応した枚数のメダルの払出を行う(ステップS11)。その後、CPU1001は、小役の当選フラグをOFFとし、処理をステップS1に戻して再びベットの完了を待つ。一方、小役の入賞が成立していない場合(ステップS10:NO)には、CPU1001は、RP役の入賞が成立したか否かを判別する(ステップS12)。有効ライン13上にRP役の入賞図柄の組合せが揃い、RP役の入賞が成立したと判断された場合には、CPU1001は、RP役の当選フラグをOFFとし、処理をステップS2に戻して再遊技を開始すべく始動レバー26の操作を待つ。
【0079】
ステップS12において、RP役の入賞が成立していない場合(ステップS12:NO)には、CPU1001は、ボーナス役以外の役の当選フラグが成立していればそれをOFFとした後、直ちに処理をステップS1に戻して再びベットの完了を待つ。
【0080】
(停止操作有効化処理)
図6を参照して、上記ステップ6の停止操作有効化処理の制御の流れについて説明する。始動レバー26の操作が有効に実行されるか、この始動レバー26の操作を契機としてリール6L,6C,6Rの回転が開始されるか或いは押し順抽選が実行されると、CPU1001は、計時を開始し(ステップS21)、引込可能役であるベル役又はRP役が内部当選しているか否かを判定する(ステップS22)。なお、計時は、CPU1001の備える計時機能、タイマ割り込み機能により実行することができる。
【0081】
ステップS22においてベル役又はRP役の当選フラグが立って内部当選しているときは、ステップS5で決定された押し順に基づき第1(1番目)の停止ボタンの操作を有効化する(ステップS23)。例えば押し順パターン2(左−右−中の順)に決定された場合であれば、第1の停止ボタンが左停止ボタン27Lであるから、この左停止ボタン27Lの操作が有効化され、図7(A)に示すように、リール6L,6C,6Rの回転が開始されて間もなくは左停止ボタン27Lの停止操作のみが許可された状態でリール6Lの回転を停止することは可能であるが、他の停止ボタン27C,27Rを押圧しても対応するリール6C,6Rの回転を停止することはできない。
【0082】
他方、ステップS22においてベル役又はRP役が内部当選していないときには、CPU1001は、全ての停止ボタン27L,27C,27Rの停止操作を一挙に有効化し(ステップS24)、これにより3つの停止ボタンのいずれを最初に操作してもその停止ボタンに対応するリールの停止操作が可能となる。その後、CPU1001は、計時をリセット(ステップS31)し、本処理を終了する。
【0083】
ステップS23で第1の停止ボタンの有効化が行われると、CPU1001は、第1の停止ボタンの操作が行われるか、或いは計時開始から第1の時間(例えば、5秒)が経過するのを待つ(ステップS25,26)。第1の時間が経過する前に第1の停止ボタンが停止操作されるか、或いは第1の停止ボタンが停止操作される前に第1の時間が経過すると、CPU1001は、ステップS5で決定された押し順に基づき第2(2番目)の停止ボタンの操作を有効化する(ステップS27)。例えば押し順パターン2(左−右−中の順)に決定された場合であれば、第2の停止ボタンが右停止ボタン27Rであるから、この右停止ボタン27Rの操作が有効化され、リール6L,6C,6Rの回転が開示されてから(始動レバー26の操作が実行されてから、或いは第1の停止ボタンの操作が有効化されてから)5秒が経過した時点で第1の停止ボタンである左停止ボタン27Lの停止操作が完了していなければ、図7(B)(a)に示すように、回転中の左右のリール6L,6Rに対応する2つの停止ボタン27L,27Rの停止操作が有効化されてリール6L,6Rの回転停止が許可された状態となり、この時点で2つの停止ボタン27L,27Rのどちらを最初に操作したとしても、それに対応するリールの回転を停止でき、残された中停止ボタン27Cは押圧しても対応するリール6Cの回転を停止することはできない。また、第1の停止ボタン27Lが有効化されてから5秒が経過する前に、この停止ボタン27Lの操作が完了しリール6Lの停止が完了された場合には、第1の時間が経過することと関係なく、図7(B)(b)に示すように、残された2つの停止ボタン27C,27Rのうち右停止ボタン27Rの停止操作が有効化され対応するリール6Rの回転の停止操作が許可され、中停止ボタン27Cは押圧しても対応するリール6Cの回転を停止することはできない状態となる。
【0084】
ステップS27で第2の停止ボタンの有効化が行われると、CPU1001は、第2の停止ボタンの操作が行われるか、或いは計時開始から第2の時間(例えば、10秒)が経過するのを待つ(ステップS28,29)。第2の時間が経過する前に第2の停止ボタン操作が操作されるか、或いは第2の停止ボタンが操作される前に第2の時間が経過すると、CPU1001は、ステップS5で決定された押し順に基づき第3(3番目)の停止ボタンの操作を有効化する(ステップS30)。例えば押し順パターン2(左−右−中の順)に決定された場合であれば、第3の停止ボタンが中停止ボタン27Cであるから、この中停止ボタン27Cの操作が有効化され、第1の停止ボタン27Lが有効化されてから(リール6L,6C,6Rの回転が開示されてから)10秒が経過した時点で第1の停止ボタンである左停止ボタン27L及び第2の停止ボタンである右停止ボタン27Rのいずれもの停止操作が完了していなければ、図7(C)(a)に示すように、回転中の3つのリール6L,6C,6Rに対応する3つの停止ボタン27L,27C,27Rの停止操作が有効化されて全てのリール6L,6C,6Rの回転停止が許可された状態となる。また、第1の停止ボタン27Lが有効化されてから10秒が経過時点で、左停止ボタン27Lのみ操作が完了しリール6Lだけが停止されていた場合には、図7(C)(b)に示すように、残された2つの停止ボタン27C,27Rの停止操作が有効化され対応するリール6C,6Rの回転の停止操作が許可された状態となる。また、第1の停止ボタン27Lが有効化されてから10秒が経過する前に、右停止ボタン27Rのみの操作が完了しリール6Rのみが停止された場合には、図7(C)(c)に示すように、左と中の2つの停止ボタン27L,27Cの停止操作が有効化され対応するリール6L,6Cの回転の停止操作が許可された状態となる。さらに、第1の停止ボタン27Lが有効化されてから10秒が経過する前に、左停止ボタン27Lと右停止ボタン27Rの両方の操作が完了しリール6L,6Rが停止された場合には、図7(C)(d)に示すように、残りの中の停止ボタン27Cの停止操作が有効化され対応するリール6Cの回転の停止操作が許可された状態となる。
【0085】
ステップS30で第3の停止ボタンの停止操作が有効化されることで全ての停止ボタンが有効化されると、CPU1001は、計時をリセット(ステップS31)した後、本処理を終了する。
【0086】
(リール停止処理)
図8を参照して、上記ステップS7のリール停止処理の制御の流れについて説明する。リール6L,6C,6Rが所定の回転速度で回転すると、CPU1001は、停止ボタン27L,27C,27Rの操作が行われるのを待つ(ステップS41)。停止ボタン27L,27C,27Rが押圧されて操作されると、CPU1001は、操作された停止ボタンの停止操作が有効化(許可)されているかを判定する(ステップS42)。操作された停止ボタンが有効化されていないと判定した場合には、CPU1001は、その操作を無効とし、次に停止ボタン27L,27C,27Rの操作が行われるのを待つ。
【0087】
他方、ステップS42において操作された停止ボタンが有効化されていると判定した場合には、CPU1001は、ベル役またはRP役の当選フラグが成立しているかを判定する(ステップS43)。ベル役またはRP役の当選フラグが成立していると判定した場合、CPU1001は、当該停止ボタンの操作がステップS5で決定された押し順に合った操作順序であったかを判定する(ステップS44)。正しい押し順で操作されたと判断された場合には、CPU1001は、ベル役が内部当選しているときはベル図柄を、RP役が内部当選しているときにはRP図柄を有効ライン上に引き込んで操作された停止ボタンに対応するリールを停止させ(ステップS46)、処理をステップS48に移す。なお、ベル図柄及びRP図柄は、上述したように各リールにおける配置間隔と最大引き込みコマ数との関係から、引き込み停止制御により必ず有効ライン上に停止表示させることができる。
【0088】
上記ステップS43においてベル役又はRP役が内部当選していないと判定した場合には、CPU1001は、ベル役及びRP役以外の他の役(ボーナス役、スイカ役、チェリー役)が内部成立していないかを判定する(ステップS45)。他の役が内部成立していると判定した場合には、CPU1001は、内部成立している役に対応する入賞図柄を対象とした引き込み停止制御のもと操作された停止ボタンに対応するリールを停止させ(ステップS46)、処理をステップS48に移す。
【0089】
上記ステップS45において他の役が内部成立していないと判定した場合、すなわち何れの役も内部成立しない場合、或いはステップS44において押し順が間違っていた場合には、CPU1001は、何れの役の入賞も成立しないように蹴飛ばし停止制御によるリールの停止制御を行い(ステップS47)、その後処理をステップS48に移す。
【0090】
ステップS48に移って、CPU1001は、全てのリール6L,6C,6Rが停止したかを判定する。全停止ボタン27L,27C,27Rの停止操作が完了して全てのリール6L,6C,6Rが停止したと判定した場合には、CPU1001は、本リール停止制御を終了し、制御をステップS8に移し、入賞判定処理を行う。他方、未だ全リール6L,6C,6Rの停止が完了していないと判定した場合には、CPU1001は、処理をステップS41に戻し、回転している残りのリールに対応する停止ボタンの操作を待つ。
【0091】
[作用・効果]
以上実施の形態1について説明したが、実施の形態1では、始動レバーが操作されると直ちに1つの停止ボタン(第1の停止ボタン)操作が有効化され、この第1の停止ボタンが操作されずに5秒が経過すると、次にまた1つ停止ボタン(第2の停止ボタン)の操作が有効化され、これら第1および第2の停止ボタンが操作されずに更に5秒(始動レバーが操作されてから10秒)が経過すると、最後に残された停止ボタン(第3の停止ボタン)の操作が有効化されることになる。他方、上記時間が経過することなく有効化されている停止ボタンの操作が行われると、直ちに次に有効化する予定であった停止ボタンが有効化されることになる。
【0092】
また、ベル役又はRP役が内部当選している状態においては、停止ボタン27L,27C,27Rが選択された順番で停止操作されることを入賞条件とされるとともに、停止ボタン27L,27C,27Rは選択された順番で所定の時間経過に伴い順次停止操作が有効化されるために、リール6L,6C,6Rの回転が開始されて速やかに停止操作を行いさえすれば、最初間違った順番で操作したとしても操作し直すことにより上記選択された正しい順番で停止ボタン操作を必ず行うことができて入賞を獲得することができる。一方、ベル役及びRP役以外の役(ボーナス役、スイカ役、チェリー役)が内部当選している場合又はいずれの役も内部当選していない場合には、リール6L,6C,6Rの回転開始に伴い全ての停止ボタン27L,27C,27Rの停止操作が有効化されることにより、全てのリール6L,6C,6Rの停止が許可される。よって、リールの回転開始後速やかに停止操作を行ったとしても、見かけ上押し順ミスなくリールを停止させることになる。したがって、最初に押圧操作した停止ボタンに対応するリールが停止しなかった場合にはベル役又はRP役が内部当選していることになるが、最初に押圧操作した停止ボタンに対応するリールが停止した場合には、引き込み停止制御と相俟って、ベル役及びRP役の他に、当該リールの表示窓5内に停止表示された図柄のいずれかに対応する役(ボーナス役又はスイカ役)が内部当選している可能性があることになる。当然、いずれの役も内部当選していない可能性も含めてであるが。このようなことから、例えば、最初に停止したリールの有効ライン上にボーナス図柄「7」が停止した場合には、たとえいずれの役も内部当選していない場合や他の小役などが内部当選している場合であっても、ボーナス役の入賞の期待を高めることができる。
【0093】
なお、本実施の形態1では、本発明を通常の遊技に適用した例であるが、例えばリプレイタイムやアシストタイムなどの特殊な遊技に本発明を適用できることも勿論である。
【0094】
また、上記第1の時間及び第2の時間は、任意に設定すればよく、例えば、より短くしたり、不等間隔に設定したりでき、抽選により第1及び第2の時間を複数の選択肢のなかから決定することで、ゲーム毎に異ならせるようにすることもできる。
【0095】
<実施の形態2>
次に、実施の形態2について説明するが、この実施の形態2は、上記実施の形態1において決定された押し順を遊技者に画像で報知するようにしたときの一例であり、スロットマシンの構成については実施の形態1のものと同様とされ、以下同一の符号を用いて制御の流れについて説明する。
【0096】
[制御の流れ]
(通常遊技全体の制御)
図9を参照して、まず、制御装置100内のCPU1001は、LCD18に第1の表示内容を表示するとともに、賭けラインが有効化されてベットが完了するのを待つ(ステップS51、S52)。マニュアル投入モードでメダルを投入口24から投入したり、クレジットモードでベットボタン25を押してメダルをスロットマシン1に投入したりすることによって、賭けライン13A〜13Eが有効化されると、CPU1001は、ベットが完了したと判断し、始動レバー26が操作されるのを待つ(ステップS53)。上記第1の表示内容としては、一般的な遊技演出を行うための画像とし得る。
【0097】
始動レバー26が操作されると、CPU1001は、役の成立に関する内部抽選(役抽選)を行う(ステップS54)。このとき、何れかの役が当選すると、その当選した役の当選フラグがONされる。なお、小役及びRP役は当選フラグが成立(ON)した場合であってもそのゲームで入賞できないとその当選フラグはOFFされてしまい次ゲーム以降に持ち越されることはないが、ボーナス役の当選フラグは入賞が成立するまでそのON状態が以降のゲームに持ち越される。
【0098】
上記役抽選が終了すると、CPU1001は、全リール6L,6C,6Rの回転を開始させる(ステップS55)。その結果、表示窓5内においてリール6L,6C,6Rの図柄の変動が開始される。リール6L,6C,6Rの回転が開始されると、CPU1001は、停止ボタン27L,27C,27Rの停止操作順序(押し順)を抽選で決定する(ステップS56)。この押し順抽選は、実施の形態1におけるステップS5のときと同様に6通りの押し順パターン1〜6の中から決定することができる。押し順抽選が実行されると、次に停止操作有効化処理(ステップS57)及びリール停止処理(ステップS58)が実行される。なお、停止操作有効化処理については後述するが、リール停止処理については実施の形態1のときと同様に行うことができるのでその説明を省略する。
【0099】
ステップS58のリール停止処理が終了し、全てのリール6L,6C,6Rの回転が停止すると、CPU1001は、入賞判定を行う。有効ライン13上にボーナス役入賞図柄の組合せが揃い、ボーナス役の入賞が成立した場合には(ステップS59:YES)、CPU1001は、LCD18の表示内容をボーナス役が入賞したことを報知する演出画像である第6の表示内容に切り替え(ステップS60)、ボーナス役の種類に応じたボーナスゲーム処理を実行し(ステップS61)、ボーナスゲーム処理終了後ボーナス役の当選フラグをOFFとし、処理をステップS51に戻す。なお、ボーナスゲーム処理は、公知のものと同様にして行うことができ、その説明は省略する。
【0100】
上記ステップS59において、ボーナス役の入賞が成立していない場合(ステップS59:NO)には、CPU1001は、小役の入賞が成立したか否かを判別する(ステップS62)。有効ライン13上に小役の入賞図柄の組合せが揃い、入賞が成立したと判断された場合には、CPU1001は、LCD18の表示内容を小役が入賞したことを表す演出画像である第7の表示内容に切替るとともに(ステップS63)、遊技者に配当をするために入賞した小役に対応した枚数のメダルの払出を行う(ステップS64)。その後、CPU1001は、小役の当選フラグをOFFとし、処理をステップS51に戻してLCD18の表示内容を第1の表示内容に切り替えるとともに、再びベットの完了を待つ。一方、小役の入賞が成立していない場合(ステップS62:NO)には、CPU1001は、RP役の入賞が成立したか否かを判別する(ステップS65)。有効ライン13上にRP役の入賞図柄の組合せが揃い、RP役の入賞が成立したと判断された場合には、CPU1001は、RP役の当選フラグをOFFとし、LCD18の表示内容を第1の表示内容に切り替えるとともに(ステップS66)、処理をステップS53に戻して再遊技を開始すべく始動レバー26の操作を待つ。
【0101】
ステップS65において、RP役の入賞が成立していない場合(ステップS65:NO)には、CPU1001は、ボーナス役以外の役の当選フラグが成立していればそれをOFFとした後、直ちに処理をステップS51に戻す。
【0102】
(停止操作有効化処理)
図10を参照して、上記ステップ57の停止操作有効化処理の制御の流れについて説明する。始動レバー26の操作が有効に実行されるか、この始動レバー26の操作を契機としてリール6L,6C,6Rの回転が開始されるか或いは押し順抽選が実行されると、CPU1001は、計時を開始し(ステップS71)、引込可能役であるベル役又はRP役が内部当選しているか否かを判定する(ステップS72)。なお、計時は、CPU1001の備える計時機能、タイマ割り込み機能により実行することができる。
【0103】
ステップS72においてベル役又はRP役の当選フラグが立って内部当選しているときは、LCD18の表示内容をステップS56で決定された押し順を報知するための第2の表示内容に切り替えるとともに、当該押し順に基づく第1(1番目)の停止ボタンの操作を有効化する(ステップS73、S76)。例えば図5の押し順パターン2(左−右−中の順)に決定された場合であれば、図11(A)に示すように、LCD18を用いて、左停止ボタン27L(1番目(第1)の停止ボタン)、すなわちリール6Lの上に「1」、右停止ボタン27R(2番目(第2)の停止ボタン)、すなわちリール6Rの上に「2」、中停止ボタン27C(3番目(第3)の停止ボタン)、すなわちリール6Cの上に「3」という文字を表示し、左−右−中の順番で停止ボタンを操作してリールの回転を停止させることを遊技者に報知する。ベル役又はRP役が内部当選しているときは、押し順抽選で決定した押し順どおりの報知がなされるために、報知された順番で停止ボタン27L,27C,27Rの停止操作を行えば、ベル役又はRP役の入賞図柄を有効ライン上に引き込んで入賞が得られるようになる。
【0104】
他方、ステップS72においてベル役又はRP役が内部当選していないときには、CPU1001は、ボーナス役が内部当選していないかを判定する(ステップS74)。ボーナス役が内部当選しているときには、LCD18の表示内容をステップS56で決定された押し順とは異なる報知をするための第3の表示内容に切り替えるとともに、当該押し順に基づく第1(1番目)の停止ボタンの操作を有効化する(ステップS75、S76)。例えば図5の押し順パターン2(左−右−中の順)に決定された場合であれば、図11(B)に示すように、LCD18を用いて、例えば押し順抽選の結果とは逆の順序の報知を行うべく、左停止ボタン27L(1番目(第1)の停止ボタン)、すなわちリール6Lの上に「3」、右停止ボタン27R(2番目(第2)の停止ボタン)、すなわちリール6Rの上に「2」、中停止ボタン27C(3番目(第3)の停止ボタン)、すなわちリール6Cの上に「1」という文字を表示し、中−右−左の順番で停止ボタンを操作してリールの回転を停止させることを遊技者に報知する。ボーナス役が内部当選しているときは、押し順抽選で決定した押し順とは異なる報知がなされるために、報知内容に従って中停止ボタン27Cの停止操作を最初に行ったとしても、中停止ボタン27Cは、後述する第2の時間が経過されるまで停止操作が有効化されないため、それまでは中リール6Cを停止できないことになる。遊技者から見れば、押し順が報知されたにもかかわらず、所定の時間内にその押し順に従って最初の停止ボタンを操作したが、対応するリールの回転が停止されなかったことによって、ボーナス役が内部当選していることを知ることができる。なお、ステップS74のボーナス役が内部当選しているか否かの判定を、ステップS72のベル役又はRP役が内部当選しているか否かの判定の前に行ってもよい。
【0105】
ステップS76で第1の停止ボタンの有効化が行われると、CPU1001は、第1の停止ボタンの操作が行われるか、或いは計時開始から第1の時間(例えば、5秒)が経過するのを待つ(ステップS77,S80)。第1の時間が経過する前に第1の停止ボタンが停止操作されると(ステップS77:YES)、CPU1001は、ボーナス役が内部当選しているか否かを判定し(ステップS78)、ボーナス役が内部当選している場合には、LCD18の表示内容を、ボーナス役が内部当選している旨を示す第4の表示内容に切り替えた後(ステップS79)、処理をステップS82に移し、ボーナス役が内部当選していない場合にはそのまま処理をステップS82に移す。
【0106】
他方、第1の停止ボタンが停止操作される前に第1の時間が経過すると、CPU1001は、LCD18の表示内容を、図11(C)に示すような第5の表示内容に切り替えて押し順がわからないようにした後(ステップS81)、処理をステップS82に移す。
【0107】
ステップS82に移って、CPU1001は、ステップS56で決定された押し順に基づき第2(2番目)の停止ボタンの操作を有効化する。例えば図5の押し順パターン2(左−右−中の順)に決定された場合であれば、第2の停止ボタンが右停止ボタン27Rであるから、この右停止ボタン27Rの操作が有効化され、リール6L,6C,6Rの回転が開示されて5秒が経過した時点で第1の停止ボタンである左停止ボタン27Lの停止操作が完了していなければ、図12(A)(a)に示すように、回転中の左右のリール6L,6Rに対応する2つの停止ボタン27L,27Rの停止操作が有効化されてリール6L,6Rの回転停止が許可された状態となり、この時点で2つの停止ボタン27L,27Rのどちらを最初に操作したとしても、それに対応するリールの回転を停止でき、残された中停止ボタン27Cは押圧しても対応するリール6Cの回転を停止することはできない。また、第1の停止ボタン27Lが有効化されてから5秒が経過する前に、この停止ボタン27Lの操作が完了しリール6Lの停止が完了された場合には、図12(A)(b)に示すように、残された2つの停止ボタン27C,27Rのうち右停止ボタン27Rの停止操作が有効化され対応するリール6Rの回転の停止操作が許可され、中停止ボタン27Cは押圧しても対応するリール6Cの回転を停止することができない状態となる。
【0108】
ステップS82で第2の停止ボタンの有効化が行われると、CPU1001は、第2の停止ボタンの操作が行われるか、或いは計時開始から第2の時間(例えば、10秒)が経過するのを待つ(ステップS83,S84)。第2の時間が経過する前に第2の停止ボタン操作が操作された場合には、CPU1001は、そのまま処理をステップS86に移し、第2の停止ボタンが操作される前に第2の時間が経過した場合には、LCD18の表示内容を、図11(C)に示すような第5の表示内容に切り替えて押し順がわからないようにした後(ステップS85)、処理をステップS86に移す。
【0109】
ステップS86に移って、CPU1001は、ステップS56で決定された押し順に基づき第3(3番目)の停止ボタンの操作を有効化する。例えば図5の押し順パターン2(左−右−中の順)に決定された場合であれば、第3の停止ボタンが中停止ボタン27Cであるから、この中停止ボタン27Cの操作が有効化され、リール6L,6C,6Rの回転が開示されて10秒が経過した時点で第1の停止ボタンである左停止ボタン27L及び第2の停止ボタンである右停止ボタン27Rのいずれもの停止操作が完了していなければ、図12(B)(a)に示すように、回転中の3つのリール6L,6C,6Rに対応する3つの停止ボタン27L,27C,27Rの停止操作が有効化されて全てのリール6L,6C,6Rの回転停止が許可された状態となる。また、第1の停止ボタン27Lが有効化されてから10秒が経過時点で、左停止ボタン27Lのみ操作が完了しリール6Lだけが停止されていた場合には、図12(B)(b)に示すように、残された2つの停止ボタン27C,27Rの停止操作が有効化され対応するリール6C,6Rの回転の停止操作が許可された状態となる。また、第1の停止ボタン27Lが有効化されてから10秒が経過する前に、右停止ボタン27Rのみの操作が完了しリール6Rのみが停止された場合には、図12(B)(c)に示すように、左と中の2つの停止ボタン27L,27Cの停止操作が有効化され対応するリール6L,6Cの回転の停止操作が許可された状態となる。さらに、第1の停止ボタン27Lが有効化されてから10秒が経過する前に、左停止ボタン27Lと右停止ボタン27Rの両方の操作が完了しリール6L,6Rが停止された場合には、図12(B)(d)に示すように、残りの中停止ボタン27Cの停止操作が有効化され対応するリール6Cの回転の停止操作が許可された状態となる。
【0110】
ステップS86で第3の停止ボタンの停止操作が有効化されることで全ての停止ボタンが有効化されると、CPU1001は、計時をリセット(ステップS89)した後、本処理を終了する。
【0111】
上記ステップS74においてボーナス役が内部当選していないとき、すなわちベル役、RP役及びボーナス役以外の他の役か或いはいずれの役も内部当選していないときには、CPU1001は、図11(C)に示すように、LCD18の表示内容を第5の表示内容に切り替えて押し順がわからない演出を行うとともに(ステップS87)、直ちに全ての停止ボタン27L,27C,27Rの停止操作を一挙に有効化して(ステップS88)、3つの停止ボタンのいずれを最初に操作してもその停止ボタンに対応するリールの停止操作が可能となるようにした後、計時をリセット(ステップS89)し、本処理を終了する。
【0112】
[作用・効果]
以上実施の形態2について説明したが、本実施の形態2では、ベル役又はRP役が内部当選している状態においては、停止ボタン27L,27C,27Rが選択された順番で停止操作されることを入賞条件とされるとともに、その順番が報知され且つ停止ボタン27L,27C,27Rは選択された順番で所定の時間経過に伴い順次停止操作が有効化されるために、リール6L,6C,6Rの回転が開始されて速やかに停止操作を行いさえすれば、最初間違った順番で操作したとしても操作し直すことにより上記選択された正しい順番で停止ボタン操作を必ず行うことができて入賞を獲得することができる。一方、ボーナス役が内部当選している場合には、停止ボタン27L,27C,27Rは選択された順番で所定の時間経過に伴い順次停止操作が有効化される一方で、間違った押し順が報知されることになる。よって、リールの回転開始後速やかに停止操作を報知された順番で行った場合には、リールの回転停止が行われない。したがって、報知された押し順に示された最初の停止ボタンを押圧操作したにもかかわらず対応するリールが停止しなかった場合には、ボーナス役が内部当選していることを報知することになる。
【0113】
<実施の形態3>
上記実施の形態1,2では、3つの停止ボタンを所定の時間を経て順次1つずつ有効化する場合の例を示したが、実施の形態3では、始動レバー操作を契機にリールの回転が開始されて最初に3つの停止ボタンのうち2つの停止ボタンの停止操作を一挙に許可(有効化)し、その後所定の時間が経過したときに残りの1つの停止ボタンの停止操作を有効さする場合の一例について説明する。なお、スロットマシンの構成については実施の形態1のものと同様とされ、以下同一の符号を用いて制御の流れについて説明する。また、本発明において、始動レバー操作を契機に、最初に1つの停止ボタンの操作を許可した後、次に複数の停止ボタンの操作を有効化するようにしてもよいことは勿論である。
【0114】
[制御の流れ]
(通常遊技全体の制御)
図13を参照して、まず、制御装置100内のCPU1001は、LCD18に第1の表示内容を表示するとともに、賭けラインが有効化されてベットが完了するのを待つ(ステップS101、S102)。マニュアル投入モードでメダルを投入口24から投入したり、クレジットモードでベットボタン25を押してメダルをスロットマシン1に投入したりすることによって、賭けライン13A〜13Eが有効化されると、CPU1001は、ベットが完了したと判断し、始動レバー26が操作されるのを待つ(ステップS103)。上記第1の表示内容としては、一般的な遊技演出を行うための画像とし得る。
【0115】
始動レバー26が操作されると、CPU1001は、役の成立に関する内部抽選(役抽選)を行う(ステップS104)。このとき、何れかの役が当選すると、その当選した役の当選フラグがONされる。なお、小役及びRP役は当選フラグが成立(ON)した場合であってもそのゲームで入賞できないとその当選フラグはOFFされてしまい次ゲーム以降に持ち越されることはないが、ボーナス役の当選フラグは入賞が成立するまでそのON状態が以降のゲームに持ち越される。
【0116】
上記役抽選が終了すると、CPU1001は、全リール6L,6C,6Rの回転を開始させる(ステップS105)。その結果、表示窓5内においてリール6L,6C,6Rの図柄の変動が開始される。
【0117】
リール6L,6C,6Rの回転が開始されると、CPU1001は、停止操作有効化処理(ステップS106)及びリール停止処理(ステップS107)を実行する。なお、リール停止処理以降のステップS108〜S115については、実施の形態2におけるステップS59〜S66と同処理であり、説明は省略する。
【0118】
(停止操作有効化処理)
図14を参照して、上記ステップ106の停止操作有効化処理の制御の流れについて説明する。まず、停止ボタン27L,27C,27Rの停止操作を有効化する順序(有効化順)を抽選で決定する(ステップS121)。この有効化順抽選は、例えば図15に示すテーブルT2のように、3通りの有効化順パターン1〜3の中から乱数抽選により決定することができる。具体的には、最初に左(停止ボタン27L)中(停止ボタン27C)その後右(停止ボタン27R)、最初に左右その後中、最初に中右その後左の順番の3通りである。停止ボタンの有効化順抽選と前後して、始動レバー26の操作が有効に実行されるか、この始動レバー26の操作を契機としてリール6L,6C,6Rの回転が開始されるか或いは有効化順抽選が実行されると、CPU1001は、計時を開始し(ステップS122)、いずれかの役が内部当選しているか否かを判定する(ステップS123)。
【0119】
ステップS123においていずれかの役の当選フラグが成立しているときは、CPU1001は、LCD18の表示内容をステップS121で決定された有効化順(押し順)に従った報知するための第8の表示内容に切り替えるとともに、当該有効化順に基づく第1(1番目)の停止ボタン(本実施の形態3では2つの停止ボタン)の操作を有効化する(ステップS124、S126)。例えば図15の有効化順パターン2(左右−中の順)に決定された場合であれば、図16(A)に示すように、LCD18を用いて、有効化(許可)されている左停止ボタン27L(リール6L)又は右停止ボタン27R(リール6R)の上に「当」たりを表示し、それ以外の停止ボタン(リール)の上には「×」という文字を表示し、左又は右の停止ボタンを最初に押せば当選するイメージの報知を行うとともに、左右の停止ボタン27L,27Rの操作を有効化(許可)する。この時、遊技者に対して3つの停止ボタンのうちいずれかを押して選ばせるよう誘引する表示や選ばせる制限時間(例えば、後述する第1の時間(10秒)以内)を併せて表示するとより有効な報知となる。この第8の表示内容による報知は、いずれかの役が内部当選しているときであって、有効化順抽選で決定した有効化順(押し順)どおりの報知がなされるために、当たりが報知された停止ボタンを最初に押圧して停止操作を行えば、内部当選役の入賞図柄を有効ライン上に引き込もうとする停止制御により、対応するリールが停止することになる。よって、遊技者から見れば、報知内容に従って最初に停止させたリールに停止表示された図柄から内部当選している役を予測して残りのリールの停止操作を行うことができる。なお、上記制限時間の報知は、カウントダウン方式で表示するとより効果的な演出を行うことができる。
【0120】
他方、ステップS123においていずれの役も内部当選していないと判定されたときには、CPU1001は、LCD18の表示内容をステップS121で決定された有効化順(押し順)と逆の順番を報知するための第9の表示内容に切り替えるとともに、当該有効化順に基づく第1(1番目)の停止ボタンの操作を有効化する(ステップS126)。例えば図15の有効化順パターン2(左右−中の順)に決定された場合であれば、図16(B)に示すように、LCD18を用いて、有効化されていない(不許可)の中停止ボタン27C(リール6C)の上に「当」たりを表示し、それ以外の停止ボタン(リール)の上には「×」という文字を表示し、中央の停止ボタンを最初に押せば当選するイメージの報知を行うとともに、左右の停止ボタン27L,27Rの操作を有効化(許可)する。この時、遊技者に対して3つの停止ボタンのうちいずれかを押して選ばせるよう誘引する表示や選ばせる制限時間(例えば、後述する第1の時間(10秒)以内)を併せて表示するとより有効な報知となる。この第9の表示内容による報知は、いずれの役も内部当選していないときであって、有効化順抽選で決定した有効化順(押し順)とは異なる報知がなされるために、当たりが報知された停止ボタンを最初に押圧して停止操作を行ったとしても、対応するリールは、第1の時間が経過するまでは停止しないことになる。よって、遊技者から見れば、報知内容に従って最初に押した停止ボタンの操作が無効であったことにより、いずれの役も内部当選していないことを知ることができる。
【0121】
ステップS126で第1の停止ボタンである2つの停止ボタンの有効化が行われると、CPU1001は、第1の停止ボタンのうちいずれかの操作が行われるか、或いは計時開始から第1の時間(例えば、10秒)が経過するのを待つ(ステップS127,S130)。第1の時間が経過する前に第1の停止ボタンのいずれかが停止操作されると(ステップS127:YES)、CPU1001は、いずれかの役が内部当選しているか否かを判定し(ステップS128)、いずれかの役が内部当選している場合には、LCD18の表示内容を、いずれかの役が内部当選している旨を示す第10の表示内容に切り替えた後(ステップS129)、処理をステップS132に移し、いずれの役も内部当選していない場合にはそのまま処理をステップS132に移す。なお、上記第10の表示内容としては、例えば、内部当選している役を報知するような画像とすることができ、ボーナス役が内部当選している場合には、例えば図17(A)に示すような、「ボーナス役確定」の表示を行うようにすればよい。
【0122】
他方、第1の停止ボタンが停止操作される前に第1の時間が経過すると、CPU1001は、LCD18の表示内容を、図17(B)に示すような第11の表示内容に切り替えてどの停止ボタンが当たりかがわからないようにした後(ステップS131)、処理をステップS132に移す。
【0123】
ステップS132に移って、CPUは1001、残りの第2の停止ボタンの停止操作を有効化し、第2の停止ボタンの停止操作が有効化されることで全ての停止ボタンが有効化されると、CPU1001は、計時をリセット(ステップS133)した後、本処理を終了する。
【0124】
(リール停止処理)
図18を参照して、上記ステップS107のリール停止処理の制御の流れについて説明する。リール6L,6C,6Rが所定の回転速度で回転すると、CPU1001は、停止ボタン27L,27C,27Rの操作が行われるのを待つ(ステップS141)。停止ボタン27L,27C,27Rが押圧されて操作されると、CPU1001は、操作された停止ボタンの停止操作が有効化されているかを判定する(ステップS142)。操作された停止ボタンが有効化されていないと判定した場合には、CPU1001は、その操作を無効とし、次に停止ボタン27L,27C,27Rの操作が行われるのを待つ。
【0125】
他方、ステップS142において操作された停止ボタンが有効化されていると判定した場合には、CPU1001は、内部当選している役が存在しているか否かを判定する(ステップS143)。内部当選している役があると判定した場合、CPU1001は、内部当選している役を対象にした引き込み停止処理のもと操作された停止ボタンに対応するリールを停止させ(ステップS144)、処理をステップS146に移す。
【0126】
上記ステップS143において内部当選役が存在しないと判定された場合には、CPU1001は、何れの役の入賞も成立しないように蹴飛ばし停止制御によるリールの停止制御を行い(ステップS145)、その後処理をステップS146に移す。
【0127】
ステップS146に移って、CPU1001は、全てのリール6L,6C,6Rが停止したかを判定する。全停止ボタン27L,27C,27Rの停止操作が完了して全てのリール6L,6C,6Rが停止したと判定した場合には、CPU1001は、本リール停止制御を終了し、制御をステップS108に移し、入賞判定処理を行う。他方、未だ全リール6L,6C,6Rの停止が完了していないと判定した場合には、CPU1001は、処理をステップS141に戻し、残りのリールに対応する停止ボタンの操作を待つ。
【0128】
[作用・効果]
以上実施の形態3について説明したが、本実施の形態3では、始動レバー操作が行われると直ちに2つの停止ボタンの操作を有効化し、残り1つの停止ボタンの操作の有効化は保留される。これとほぼ同時に3つの停止ボタンのうち1つが当たりである旨の報知及び操作の制限時間に関する報知が行われる。この当たりに関する報知は、内部当選役が存在するときには、最初に有効化された停止ボタンが当たりであるという正しい報知とされ、内部当選役が存在しないときには、唯一有効化されていない停止ボタンを最初に押すと当たりという間違った報知とされる。そして、制限時間内に、報知内容に従って最初に停止操作した停止ボタンによる操作が有効なものであった場合には、いずれかの役が内部当選している状態であることを遊技者は知ることとなる。なお、本発明においては、上記とは逆に、内部当選役が存在するときに間違った報知をし、内部当選役が存在しないときに正しい報知を行うようにしてもよい。
【0129】
また、上記ステップS123において、特定の役(例えばボーナス役)が内部当選していることを判定するようにすれば、新規な報知機能(例えばボーナス告知)を遊技者に提供することができる。つまり、例えばボーナス役の内部当選状態に限って有効化順抽選で決定された有効化順を報知したり、逆にボーナス役の内部当選状態に限って有効化順抽選で決定された有効化順とは異なる報知をしたりするようにすれば、報知内容と停止操作とリール(図柄)停止との3つの要素による報知を行うことができる。
【符号の説明】
【0130】
1 スロットマシン
6L,6C,6R 回転リール
13A〜13E 有効ライン
25 ベットボタン
26 始動レバー
27L,27C,27R 停止ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の図柄変動列毎に複数種類の図柄の変動表示及び停止表示を行うための図柄表示手段と、
上記図柄が停止表示されたときに、各図柄変動列の一部の図柄が横並びとして視認できるように設けられた表示窓と、
上記表示窓内において複数の図柄変動列を横切る賭けラインのうち、投入された遊技媒体の数に応じた数の賭けラインを有効化して有効ラインを設定する有効ライン設定手段と、
上記有効ラインが設定されていることを条件として上記図柄表示手段による図柄の変動表示を開始させるための始動操作手段と、
上記始動操作手段が操作されることを契機として複数種類の役の成立に関する抽選を行うための役抽選手段と、
上記複数の図柄変動列毎に対応して設けられ、上記図柄変動列による図柄の変動表示を停止表示させるための複数の停止操作手段と、
上記停止操作手段が操作されることに応じて、該停止操作手段に対応する上記図柄変動列の図柄の停止表示を実行する停止制御手段と、
上記役抽選手段による抽選で当選した役にかかる入賞図柄の組合せが、上記有効ライン上に停止表示されたときに入賞と判定し、入賞した役に応じた数の遊技媒体の払出を行う入賞判定手段と、
上記始動操作手段が操作されることを契機として経過した時間を計測する計時手段と、を備えたスロットマシンにおいて、
上記計時手段により計時される時間によって上記複数の停止操作手段毎にその停止操作を有効化することができる停止操作有効化手段を備えることを特徴とするスロットマシン。
【請求項2】
上記停止操作有効化手段により有効化される上記複数の停止操作手段の順序に関する情報を報知するための報知手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のスロットマシン。
【請求項3】
上記役抽選手段による抽選で所定の役が当選したときに、この所定の役の入賞図柄の組合せが上記有効ライン上に停止表示することを上記停止制御手段に許容させるための上記複数の停止操作手段の操作順序を決定する操作順序決定手段を備え、
上記停止操作有効化手段は、上記操作順序決定手段により決定された操作順序に応じて上記複数の停止操作手段の停止操作を順次有効化することを特徴とする請求項1に記載のスロットマシン。
【請求項4】
上記操作順序決定手段により決定された上記複数の停止操作手段の操作順序を所定時間報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項3に記載のスロットマシン。
【請求項5】
上記操作順序決定手段は、上記役抽選手段による抽選で上記所定の役とは別の特定の役が当選したときにも上記複数の停止操作手段の操作順序を決定し、
上記報知手段は、上記役抽選手段による抽選で特定の役が成立したときに、上記操作順序決定手段により決定された上記複数の停止操作手段の操作順序とは異なった操作順序を報知することを特徴とする請求項4に記載のスロットマシン。
【請求項6】
上記停止操作有効化手段は、有効化した停止操作手段の停止操作が完了すると、この停止操作手段の次に有効化する停止操作手段を上記計時手段により計時される時間と関係なく、その停止操作を有効化することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のスロットマシン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2010−233817(P2010−233817A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−85140(P2009−85140)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(301073598)株式会社SNKプレイモア (116)
【Fターム(参考)】