スーパーキャパシタ及びその製造方法
【課題】本発明は、電極の表面積を一般フィルムより広く製造して、電子を受け入れられる空間が広くなることにより、静電容量、動力、及びエネルギーを増加させることができる。
【解決手段】本発明によるスーパーキャパシタ及びその製造方法は、所定間隔離隔して複数のフィルタ10を配置する段階(a)と、フィルタ10の一端部を連結する第1メッキ層20を形成する段階(b)と、第1メッキ層20からフィルタ10に沿って延長される第2メッキ層22を形成する段階(c)と、第2メッキ層22の間に導電性高分子層30を形成するように重合する段階(d)と、フィルタ10を除去する段階(f)と、を含むことを特徴とする。
【解決手段】本発明によるスーパーキャパシタ及びその製造方法は、所定間隔離隔して複数のフィルタ10を配置する段階(a)と、フィルタ10の一端部を連結する第1メッキ層20を形成する段階(b)と、第1メッキ層20からフィルタ10に沿って延長される第2メッキ層22を形成する段階(c)と、第2メッキ層22の間に導電性高分子層30を形成するように重合する段階(d)と、フィルタ10を除去する段階(f)と、を含むことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーキャパシタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、電子産業の技術発達に伴い、軽薄短小及びユビキタスへの実現に関する消費者の欲求が強くなり、多様な分野での技術の結合が盛んである。
【0003】
このような技術的欲求に応えるために、電気、電子、通信技術、電子素材及び部品における多様な技術発展は、個別的発達と市場展望に基づいた研究開発とをベースにして、多様な分野で個別的、あるいは統合的に行われている。
【0004】
これらの多様な技術中、特に、軽薄短小化される電子製品において、先端機能の発現とともに、その設計の基本的なベースとなる先端素材の電子部品化に対する現実化を可能とさせる方法の一例として、近年のデジタルIC(integrated circuit)チップが挙げられる。これは、動作周波数がさらに高周波化され、動作電圧は低くなったため、安定した電源を供給することができる。
【0005】
また、スイッチングノイズ(Switching noise)を除去するための低インピーダンス(impedance)のデカップリングキャパシタ(decoupling capacitor)に対する必要性が高まっている。
【0006】
デカップリングキャパシタは、ICチップに近接するほど、インピーダンスを低めることができるため、IC上にこれらキャパシタを形成する技術に関する報告が多数出ている。
【0007】
また、最近、短時間内に大きい出力(power)が求められる電気自動車のような電気を用いた運送手段に関する開発が多く行われいて、スーパーキャパシタ(supercapacitor)と知られた電気化学的キャパシタへの関心が高まっている。
【0008】
スーパーキャパシタの開発に伴い、導電性高分子を電極として活用しようとする試みが増加しており、多くの導電性高分子の中でポリピロール(polypyrrole;PPy)に関する研究が活発に行われている。PPyは、多孔性、良い伝導度、及び速やかなドーピング・非ドーピングシステムのため、スーパーキャパシタの電極として重要に使用されている。また、イオン拡散を最大化するためには、PPyを薄くて均一に製作することが重要である。
【0009】
一方、電気化学的工程は電極の表面で行われるため、イオンの移動量を増加させるためには広い表面積が求められる。スーパーキャパシタの広い表面積と大きい多孔性とを有するナノサイズの構造は、電極として非常に優れた役割を果たす。
【0010】
近年、CNT(carbon nano tube)の広い表面積と多孔性との長所から、PPyとCNTとの複合材料を用いた研究が盛んである。PPyとCNTとを用いたナノサイズの電極は、既存の純粋なPPyフィルムのような材料に比べて、より高い電気容量(capacitance)を有すると報告されている。しかし、CNTそのものの性質のため、CNTの分散及びPPy/CNT電極の製造が困難であるという短所がある。また、ナノサイズの導電性高分子を電極に重合させる際に、抵抗が大きくなるという問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
こうした従来技術の問題点を解決するために、本発明は、ナノサイズの導電性高分子を用いた電極の製造において、電極の製造が容易し、かつ、高い静電容量を得るために、表面積が広くて厚さが薄い、改善されたスーパーキャパシタ及びその製造方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態によれば、所定間隔離隔して複数のフィルタを配置する段階と、フィルタの一端部を連結する第1メッキ層を形成する段階と、第1メッキ層からフィルタに沿って延長される第2メッキ層を形成する段階と、第2メッキ層の間に導電性高分子層を形成するように重合する段階と、フィルタを除去する段階と、を含むスーパーキャパシタの製造方法が提供される。
【0013】
フィルタは、陽極酸化アルミニウム(anodized aluminum oxide、以下AAOという。)からなることができる。また、第1メッキ層または第2メッキ層の少なくとも一つは、Au、Ag、Ni、Cu、及びPtからなる群より選ばれる何れか一つを含むことができる。第1メッキ層の形成段階は、170〜190Aの電流で10〜50分間行われることができ、第2メッキ層の長さは、フィルタの長さより短いことがよい。
【0014】
重合段階は、0.025〜0.200Mのピロール及び0.1〜0.5MのLiClO4をアセトニトリル(acetonitrile)に溶解させた溶液を形成する段階と、溶液を第2メッキ層の間に充填する段階と、溶液に所定の電圧を加えて導電性高分子層を形成する段階と、を含むことができる。導電性高分子層の形成の後に、反応せずに残っている微量の導電性高分子モノマー(monomer)を除去するためには、フィルタ、第1メッキ層、第2メッキ層、及び導電性高分子層を1〜3M硫酸水溶液に0.5〜1時間含浸させて除去すればよい。導電性高分子層は、ポリアニリン(polyaniline)、ポリピロール、ポリチオフェン(polythiophene)からなる群より選ばれる少なくとも何れか一つを含むことができる。
【0015】
重合段階後に、第1メッキ層の下部に支持層を形成する段階をさらに含むことができ、支持層の形成段階は、塩素化ポリプロピレン(polypropylene chlorinated)100重量部に対してキシレン(xylene)150〜300重量部を含む混合物を形成する段階と、混合物を70〜135℃の温度で溶融させる段階と、溶融させた混合物を第1メッキ層の下部に付着する段階と、を含むことができる。フィルタの除去段階は、フィルタ、第1メッキ層、第2メッキ層、及び導電性高分子層を5〜10wt%水酸化ナトリウム水溶液に0.5〜12時間含浸させて行われることができる。
【0016】
本発明の他の実施形態によれば、第1金属層と、第1金属層の一面に突出形成される複数の第2金属層と、複数の第2金属層の間に互いに離隔されるように充填される導電性高分子層と、を含むスーパーキャパシタが提供される。ここで、第1金属層または第2金属層の少なくとも一つは、Au、Ag、Ni、Cu、及びPtからなる群より選ばれる何れか一つを含むことができる。導電性高分子層は、ポリアニリン、ポリピロール、及びポリチオフェンからなる群より選ばれる少なくとも何れか一つを含むことができ、T字状であってもよい。また、第1金属層の他面に形成される支持層をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によるスーパーキャパシタ及びその製造方法は、PPy/Au素子の表面積を一般フィルムに比べ広く製造することにより、電子を受け入れる空間が広くなるため、静電容量(capacitance、C)、動力(power、kW)、及びエネルギー(energy、E)を増加させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は多様な変換を加えることができ、様々な実施形態を有することができるため、本願では特定実施形態を図面に例示し、詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変換、均等物及び代替物を含むものとして理解されるべきである。本発明を説明するに当たって、係る公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨をかえって不明にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0019】
「第1」、「第2」などの用語は、多様な構成要素を説明するのに用いることに過ぎなく、前記構成要素が前記用語により限定されるものではない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素と区別する目的にだけ用いられる。
【0020】
本願で用いた用語は、ただ特定の実施形態を説明するために用いたものであって、本発明を限定するものではない。単数の表現は、文の中で明らかに表現しない限り、複数の表現を含む。本願において、「含む」または「有する」などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在を指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除するものではないと理解しなければならない。
【0021】
以下、本発明の実施形態を添付した図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態によるスーパーキャパシタの製造方法を示すフローチャートであり、図2は、本発明の一実施形態によるスーパーキャパシタの製造方法を示す工程図である。図2を参照すると、フィルタ10、第1メッキ層20、第2メッキ層22、導電性高分子層30、及び支持層40が示されている。
【0022】
本実施形態では、導電性高分子のPPyを電極とし、AAOを用いて、スーパーキャパシタに使用可能なナノサイズのPPy/Au素子電極を製造することにより、表面積が広くて厚さが薄いスーパーキャパシタを提供する。
【0023】
先ず、段階S10で、図2の(a)に示すように、所定間隔離隔して複数のフィルタ10を配置する。ここで、フィルタ10はAAOからなることができ、電気が通じない多孔性の形状で具現されることができる。
【0024】
また、AAOフィルタ10のそのものは電気が通じない不導体であるため、フィルタ10中に後述する金とピロール(pyrrole)とを電気重合させるために、フィルタ10の一面に電流が流れるようにしなければならない。
【0025】
このために、段階S20で、図2の(b)に示すように、フィルタ10の一端部を連結する第1メッキ層20を形成する。段階S22で、第1メッキ層20は、170〜190Aの電流で10〜50分間メッキすることにより形成される。このとき、第1メッキ層20は、Au、Ag、Ni、Cu及びPtのうち何れか一つでメッキされることができる。
【0026】
ここで、第1メッキ層20のメッキ条件において、電流が170A未満で、メッキ時間が10分未満であると、メッキ層が形成されないという問題点があり、電流が190Aを超過し、メッキ時間が50分を超過すると、高電流によりメッキが不可能になるおそれがある。
【0027】
このため、フィルタ10の一端部に第1メッキ層20を真空蒸着させることにより、電流が流れるフィルタ10を製造することができる。
【0028】
次に、段階S30で、図2の(c)示すように、第1メッキ層20からフィルタ10に沿って延長される第2メッキ層22を形成することができる。複数のフィルタ10の間に第2メッキ層22を電解メッキすることにより、後述する導電性高分子層30のPPyがフィルタ10の間に重合されるときに、第2メッキ層22とPPy30との間の界面接着力を向上できるようになる。
【0029】
このとき、第2メッキ層22は、第1メッキ層20と同様に、Au、Ag、Ni、Cu、及びPtのうち何れか一つで電解メッキされることができる。本実施形態の第2メッキ層22は金(Au)であると定義する。電解メッキは、酸性の純金メッキ液を使用してメッキすることができ、−0.9Vという一定の定電圧を印加して3Cの電荷が流れるまで行うことができる。
【0030】
図3は、本発明の一実施形態による第2メッキ層の電解メッキに関するグラフである。図3を見ると、経時的に電荷量が一定に増加することを分かるが、これは、AAO/Au電極の中に金の第2メッキ層22が一定の成長をすることを意味する。
【0031】
図4は本発明の一実施形態による第2メッキ層の写真であり、図5は、図4の本発明の一実施形態による第2メッキ層をさらに拡大した写真である。
【0032】
図4を見ると、第2メッキ層22の金が約2μmほど成長したことが分かる。図5を見ると、金がAAOの側面に沿って成長し、中空のチューブ状の形態に形成されたことが分かる。
【0033】
また、第2メッキ層22の長さはフィルタ10の長さに比べて短く形成されて、フィルタ10の両面に第2メッキ層22の段差が形成され得る。前記構成は、フィルタ10が除去される際に露出する、後述する導電性高分子層30の表面積を広げるので、静電容量を増加させることができる。
【0034】
次に、段階S40で、図2の(d)に示すように、第2メッキ層22の間に導電性高分子層30が形成されるように重合させる。このとき、重合は、段階S42で、0.025〜0.200Mのピロールと0.1〜0.5MのLiClO4とをアセトニトリルに溶解させた溶液を製造し、段階S44で、当該溶液を複数の第2メッキ層22の間に充填し、段階S46で、溶液に所定の電圧を加えてモノマーをポリマー(polymer)に重合することにより、導電性高分子層30を形成することができる。
【0035】
本実施形態において、モノマーはピロールであり、電気重合されたポリマーはポリピロールであると定義する。0.8Vの定電圧を用いてAAO/Au電極内でピロールを重合させ、1Cの電荷が流れるまで電圧を印加する。
【0036】
図6は、本発明の一実施形態による導電性高分子層の電気重合に関するグラフである。図6に示すように、約1000秒の後から経時的にクーロンの増加が減少することが分かる。
【0037】
1000秒の前までは、図5に示すようにAAOの側面に沿って中空のチューブ状の形態に形成された金の内に、ピロールが重合される際の電荷の増加を示している。1000秒後からは、ピロールがチューブ状の金の内をすべて満たし、その上、重合されて電荷が増加するようになる。このようにして、チューブ状の金内にピロールがさらに速やかに満たされることが分かる。
【0038】
図7は、本発明の一実施形態による導電性高分子層を拡大した写真である。図7に示すように、第2メッキ層22の金が約2μmほど成長し、その上にピロールが一定に重合されたことが分かる。重合されたピロールであるポリピロールの重さは0.25〜0.30mg/cm2である。
【0039】
このとき、導電性高分子層30は、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンからなる群より選ばれる少なくとも何れか一つを含むことができる。
【0040】
また、導電性高分子層の形成後に、反応せずに残っている微量の導電性高分子モノマーのピロールを除去するために、フィルタ10、第1メッキ層20、第2メッキ層22、及び導電性高分子層30を、1〜3Mの硫酸水溶液に0.5〜1時間含浸させて除去することができる。
【0041】
その次、段階S50で、図2の(e)に示すように、第1メッキ層22の下部に支持層40を形成する。したがって、ポリピロールと金素子のフィルタを除去すると、機械的物性が向上できる。
【0042】
段階S52で、支持層40は、塩素化ポリプロピレン(polypropylene chlorinated)100重量部に対してキシレン150〜300重量部を含む混合物を製造し、段階S54で、その混合物を70〜135℃の温度で溶融させてゲル状にし、段階S56で、溶融させたゲル状の混合物を第1メッキ層20の下部に付着することにより形成できる。
【0043】
混合物の温度が70℃未満であると、混合物を溶融させることができないし、135℃を超過すると、キシレンが蒸発するという問題点が発生し得る。
【0044】
支持層40の形成方法について、より具体的には、PPy/Au素子とゲルとの間にニッケル線を挿入することにより、素子に電流が流れるようにし、12時間の間にゲルを室温乾燥させることができる。
【0045】
図8は、本発明の一実施形態による支持層を拡大した写真である。図8に示すように、AAOを除去する前に、第1メッキ層20に支持層40を形成する。
【0046】
支持層40を形成するためのゲル状の混合物が乾燥固化されたら、段階S60で、図2の(f)に示すように、フィルタ10を除去することにより、比表面積の広いPPy/Au素子の電極を製造することができる。
【0047】
フィルタ10の除去は、段階S62で、フィルタ10、第1メッキ層20、第2メッキ層22、及び導電性高分子層30を5〜10wt%水酸化ナトリウム水溶液に0.5〜12時間含浸させることにより行われることができる。製造されたPPy/Au素子は、蒸留水で充分に洗浄すればよい。
【0048】
このとき、水酸化ナトリウムが前記範囲から外れると、作業環境が危険に露出されて試験が容易ではないという問題点が発生し得る。
【0049】
図9〜図13は、本発明の一実施形態による、フィルタを除去した写真である。図9〜図13に示されているように、AAOが除去された後、PPy/Auが一定のサイズの間隔で均一に配列されていることが分かる。
【0050】
PPy/Auの長さは約3μm程度であり、金が約2μmほど成長し、その上にピロールが約1μmの長さで重合されていることが分かる。
【0051】
図12〜図13を見ると、ピロールが、内側が満たされている棒状の形態に成長していることが分かり、その直径は約300〜350nmであり、横縦の比率は約8.6〜10である。SEM写真から分かるように、本発明により製作されたPPy/Au素子は、表面積が一般フィルムに比べてずっと広いことが分かる。したがって、電子を受け入れられる空間も広くなり、そのため、静電容量(capacitance、C)、動力(power、kW)、及びエネルギー(energy、E)が増加することができる。
【0052】
図14は、本発明の一実施形態によるスーパーキャパシタの断面図である。図14を参照すると、第1金属層20、第2金属層22、導電性高分子層30、及び支持層40が示されている。
【0053】
本実施形態において、第1金属層20は前述した第1メッキ層20と意味が同じであり、第2金属層22は前述した第2メッキ層22と同じ形状で、同じ効果を示す。
【0054】
前述したように、第1金属層20または第2金属層22の少なくとも一つは、Au、Ag、Ni、Cu、及びPtからなる群より選ばれる何れか一つを含むことができる。
【0055】
また、導電性高分子層30は、ポリアニリン、ポリピロール、及びポリチオフェンからなる群より選ばれる少なくとも何れか一つを含むことができ、T字状に製造されて、一般フィルムに比べて露出表面積が広い。したがって、電子を受け入れられる空間も広くなり、そのため、静電容量(capacitance、C)、動力(power、kW)、及びエネルギー(energy、E)を増加させることができる。
【0056】
図15は、本発明の一実施形態によるPPy/Au素子のcyclic voltammogram特性を示すグラフである。10、20、及び50mV/sの速度に電圧を変化させて、蓄電器からのみ現される長方形のCV特性が得られた。
【0057】
cyclic voltammogram特性のグラフにより、数1に基づいて静電容量(capacitance、C)を測定することができるが、本発明により製作されたPPy/Au素子の静電容量は、56〜90mF/cm2、190〜300F/g(比蓄電容量)の値を有する。
【数1】
【0058】
数1中、Cは静電容量、Iは電流、Sは電圧の変化速度(V/s)を示す。電圧の変化速度が小さいほど長方形に近くなり、変化速度が大きいほど長方形の形状に変化が生じた。これは、電圧の変化速度が大きくなるほど導電性高分子のPPy/Au素子が酸化を起こすからである。
【0059】
次に、一定の電流を持続的に加えて、引くことを繰り返すことのガルバノスタット(galvanostat;高電圧電池から一定の電流をひき出す装置)方法を用いてPPy/Au素子の蓄電器的特性を把握することができる。
【数2】
【0060】
数2中、Cは静電容量、iは印加された定電流、Δt(dt)は、ΔV(dt)ほどの電圧が変わるときの所要時間である。
【0061】
また、下記の数3に基づいて、印加時間と引くときにかかる時間を用いてクーロン効率(coulombic efficiency)(η)を求めることができる。
【数3】
【0062】
数3中、tcは印加時間で、tdは引くときの所要時間である。ピロールで製造された蓄電器は、通常、クーロン効率(coulombic efficiency)(η)が100%近くになる。
【0063】
数2を用いて静電容量を算出すると、59〜99mF/cm2、183〜306F/gになる。数3に基づいてクーロン効率(coulombic efficiency)(η)を算出すると、92〜96%になって、100%近くになることが分かる。動力(power、kW)及びエネルギー(energy、E)を算出すると、それぞれ41〜69Wh/kg、3.5〜10.6kW/kgという高い動力及びエネルギーが得られることが確認できた。
【0064】
以上、本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更させることができることを理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施形態によるスーパーキャパシタの製造方法を示すフローチャートである。
【図2】本発明の一実施形態によるスーパーキャパシタの製造方法を示す工程図である。
【図3】本発明の一実施形態による第2メッキ層の電解メッキに関するグラフである。
【図4】本発明の一実施形態による第2メッキ層を拡大した写真である。
【図5】本発明の一実施形態による第2メッキ層を拡大した写真である。
【図6】本発明の一実施形態による導電性高分子層の電気重合に関するグラフである。
【図7】本発明の一実施形態による導電性高分子層を拡大した写真である。
【図8】本発明の一実施形態による支持層を拡大した写真である。
【図9】本発明の一実施形態によるフィルタを除去した写真である。
【図10】本発明の一実施形態によるフィルタを除去した写真である。
【図11】本発明の一実施形態によるフィルタを除去した写真である。
【図12】本発明の一実施形態によるフィルタを除去した写真である。
【図13】本発明の一実施形態によるフィルタを除去した写真である。
【図14】本発明の一実施形態によるスーパーキャパシタの断面図である。
【図15】本発明の一実施形態によるPPy/Au素子のcyclic voltammogram特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0066】
10 フィルタ
20 第1メッキ層、第1金属層
22 第2メッキ層、第2金属層
30 導電性高分子層
40 支持層
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーキャパシタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、電子産業の技術発達に伴い、軽薄短小及びユビキタスへの実現に関する消費者の欲求が強くなり、多様な分野での技術の結合が盛んである。
【0003】
このような技術的欲求に応えるために、電気、電子、通信技術、電子素材及び部品における多様な技術発展は、個別的発達と市場展望に基づいた研究開発とをベースにして、多様な分野で個別的、あるいは統合的に行われている。
【0004】
これらの多様な技術中、特に、軽薄短小化される電子製品において、先端機能の発現とともに、その設計の基本的なベースとなる先端素材の電子部品化に対する現実化を可能とさせる方法の一例として、近年のデジタルIC(integrated circuit)チップが挙げられる。これは、動作周波数がさらに高周波化され、動作電圧は低くなったため、安定した電源を供給することができる。
【0005】
また、スイッチングノイズ(Switching noise)を除去するための低インピーダンス(impedance)のデカップリングキャパシタ(decoupling capacitor)に対する必要性が高まっている。
【0006】
デカップリングキャパシタは、ICチップに近接するほど、インピーダンスを低めることができるため、IC上にこれらキャパシタを形成する技術に関する報告が多数出ている。
【0007】
また、最近、短時間内に大きい出力(power)が求められる電気自動車のような電気を用いた運送手段に関する開発が多く行われいて、スーパーキャパシタ(supercapacitor)と知られた電気化学的キャパシタへの関心が高まっている。
【0008】
スーパーキャパシタの開発に伴い、導電性高分子を電極として活用しようとする試みが増加しており、多くの導電性高分子の中でポリピロール(polypyrrole;PPy)に関する研究が活発に行われている。PPyは、多孔性、良い伝導度、及び速やかなドーピング・非ドーピングシステムのため、スーパーキャパシタの電極として重要に使用されている。また、イオン拡散を最大化するためには、PPyを薄くて均一に製作することが重要である。
【0009】
一方、電気化学的工程は電極の表面で行われるため、イオンの移動量を増加させるためには広い表面積が求められる。スーパーキャパシタの広い表面積と大きい多孔性とを有するナノサイズの構造は、電極として非常に優れた役割を果たす。
【0010】
近年、CNT(carbon nano tube)の広い表面積と多孔性との長所から、PPyとCNTとの複合材料を用いた研究が盛んである。PPyとCNTとを用いたナノサイズの電極は、既存の純粋なPPyフィルムのような材料に比べて、より高い電気容量(capacitance)を有すると報告されている。しかし、CNTそのものの性質のため、CNTの分散及びPPy/CNT電極の製造が困難であるという短所がある。また、ナノサイズの導電性高分子を電極に重合させる際に、抵抗が大きくなるという問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
こうした従来技術の問題点を解決するために、本発明は、ナノサイズの導電性高分子を用いた電極の製造において、電極の製造が容易し、かつ、高い静電容量を得るために、表面積が広くて厚さが薄い、改善されたスーパーキャパシタ及びその製造方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態によれば、所定間隔離隔して複数のフィルタを配置する段階と、フィルタの一端部を連結する第1メッキ層を形成する段階と、第1メッキ層からフィルタに沿って延長される第2メッキ層を形成する段階と、第2メッキ層の間に導電性高分子層を形成するように重合する段階と、フィルタを除去する段階と、を含むスーパーキャパシタの製造方法が提供される。
【0013】
フィルタは、陽極酸化アルミニウム(anodized aluminum oxide、以下AAOという。)からなることができる。また、第1メッキ層または第2メッキ層の少なくとも一つは、Au、Ag、Ni、Cu、及びPtからなる群より選ばれる何れか一つを含むことができる。第1メッキ層の形成段階は、170〜190Aの電流で10〜50分間行われることができ、第2メッキ層の長さは、フィルタの長さより短いことがよい。
【0014】
重合段階は、0.025〜0.200Mのピロール及び0.1〜0.5MのLiClO4をアセトニトリル(acetonitrile)に溶解させた溶液を形成する段階と、溶液を第2メッキ層の間に充填する段階と、溶液に所定の電圧を加えて導電性高分子層を形成する段階と、を含むことができる。導電性高分子層の形成の後に、反応せずに残っている微量の導電性高分子モノマー(monomer)を除去するためには、フィルタ、第1メッキ層、第2メッキ層、及び導電性高分子層を1〜3M硫酸水溶液に0.5〜1時間含浸させて除去すればよい。導電性高分子層は、ポリアニリン(polyaniline)、ポリピロール、ポリチオフェン(polythiophene)からなる群より選ばれる少なくとも何れか一つを含むことができる。
【0015】
重合段階後に、第1メッキ層の下部に支持層を形成する段階をさらに含むことができ、支持層の形成段階は、塩素化ポリプロピレン(polypropylene chlorinated)100重量部に対してキシレン(xylene)150〜300重量部を含む混合物を形成する段階と、混合物を70〜135℃の温度で溶融させる段階と、溶融させた混合物を第1メッキ層の下部に付着する段階と、を含むことができる。フィルタの除去段階は、フィルタ、第1メッキ層、第2メッキ層、及び導電性高分子層を5〜10wt%水酸化ナトリウム水溶液に0.5〜12時間含浸させて行われることができる。
【0016】
本発明の他の実施形態によれば、第1金属層と、第1金属層の一面に突出形成される複数の第2金属層と、複数の第2金属層の間に互いに離隔されるように充填される導電性高分子層と、を含むスーパーキャパシタが提供される。ここで、第1金属層または第2金属層の少なくとも一つは、Au、Ag、Ni、Cu、及びPtからなる群より選ばれる何れか一つを含むことができる。導電性高分子層は、ポリアニリン、ポリピロール、及びポリチオフェンからなる群より選ばれる少なくとも何れか一つを含むことができ、T字状であってもよい。また、第1金属層の他面に形成される支持層をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によるスーパーキャパシタ及びその製造方法は、PPy/Au素子の表面積を一般フィルムに比べ広く製造することにより、電子を受け入れる空間が広くなるため、静電容量(capacitance、C)、動力(power、kW)、及びエネルギー(energy、E)を増加させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は多様な変換を加えることができ、様々な実施形態を有することができるため、本願では特定実施形態を図面に例示し、詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変換、均等物及び代替物を含むものとして理解されるべきである。本発明を説明するに当たって、係る公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨をかえって不明にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0019】
「第1」、「第2」などの用語は、多様な構成要素を説明するのに用いることに過ぎなく、前記構成要素が前記用語により限定されるものではない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素と区別する目的にだけ用いられる。
【0020】
本願で用いた用語は、ただ特定の実施形態を説明するために用いたものであって、本発明を限定するものではない。単数の表現は、文の中で明らかに表現しない限り、複数の表現を含む。本願において、「含む」または「有する」などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在を指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除するものではないと理解しなければならない。
【0021】
以下、本発明の実施形態を添付した図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態によるスーパーキャパシタの製造方法を示すフローチャートであり、図2は、本発明の一実施形態によるスーパーキャパシタの製造方法を示す工程図である。図2を参照すると、フィルタ10、第1メッキ層20、第2メッキ層22、導電性高分子層30、及び支持層40が示されている。
【0022】
本実施形態では、導電性高分子のPPyを電極とし、AAOを用いて、スーパーキャパシタに使用可能なナノサイズのPPy/Au素子電極を製造することにより、表面積が広くて厚さが薄いスーパーキャパシタを提供する。
【0023】
先ず、段階S10で、図2の(a)に示すように、所定間隔離隔して複数のフィルタ10を配置する。ここで、フィルタ10はAAOからなることができ、電気が通じない多孔性の形状で具現されることができる。
【0024】
また、AAOフィルタ10のそのものは電気が通じない不導体であるため、フィルタ10中に後述する金とピロール(pyrrole)とを電気重合させるために、フィルタ10の一面に電流が流れるようにしなければならない。
【0025】
このために、段階S20で、図2の(b)に示すように、フィルタ10の一端部を連結する第1メッキ層20を形成する。段階S22で、第1メッキ層20は、170〜190Aの電流で10〜50分間メッキすることにより形成される。このとき、第1メッキ層20は、Au、Ag、Ni、Cu及びPtのうち何れか一つでメッキされることができる。
【0026】
ここで、第1メッキ層20のメッキ条件において、電流が170A未満で、メッキ時間が10分未満であると、メッキ層が形成されないという問題点があり、電流が190Aを超過し、メッキ時間が50分を超過すると、高電流によりメッキが不可能になるおそれがある。
【0027】
このため、フィルタ10の一端部に第1メッキ層20を真空蒸着させることにより、電流が流れるフィルタ10を製造することができる。
【0028】
次に、段階S30で、図2の(c)示すように、第1メッキ層20からフィルタ10に沿って延長される第2メッキ層22を形成することができる。複数のフィルタ10の間に第2メッキ層22を電解メッキすることにより、後述する導電性高分子層30のPPyがフィルタ10の間に重合されるときに、第2メッキ層22とPPy30との間の界面接着力を向上できるようになる。
【0029】
このとき、第2メッキ層22は、第1メッキ層20と同様に、Au、Ag、Ni、Cu、及びPtのうち何れか一つで電解メッキされることができる。本実施形態の第2メッキ層22は金(Au)であると定義する。電解メッキは、酸性の純金メッキ液を使用してメッキすることができ、−0.9Vという一定の定電圧を印加して3Cの電荷が流れるまで行うことができる。
【0030】
図3は、本発明の一実施形態による第2メッキ層の電解メッキに関するグラフである。図3を見ると、経時的に電荷量が一定に増加することを分かるが、これは、AAO/Au電極の中に金の第2メッキ層22が一定の成長をすることを意味する。
【0031】
図4は本発明の一実施形態による第2メッキ層の写真であり、図5は、図4の本発明の一実施形態による第2メッキ層をさらに拡大した写真である。
【0032】
図4を見ると、第2メッキ層22の金が約2μmほど成長したことが分かる。図5を見ると、金がAAOの側面に沿って成長し、中空のチューブ状の形態に形成されたことが分かる。
【0033】
また、第2メッキ層22の長さはフィルタ10の長さに比べて短く形成されて、フィルタ10の両面に第2メッキ層22の段差が形成され得る。前記構成は、フィルタ10が除去される際に露出する、後述する導電性高分子層30の表面積を広げるので、静電容量を増加させることができる。
【0034】
次に、段階S40で、図2の(d)に示すように、第2メッキ層22の間に導電性高分子層30が形成されるように重合させる。このとき、重合は、段階S42で、0.025〜0.200Mのピロールと0.1〜0.5MのLiClO4とをアセトニトリルに溶解させた溶液を製造し、段階S44で、当該溶液を複数の第2メッキ層22の間に充填し、段階S46で、溶液に所定の電圧を加えてモノマーをポリマー(polymer)に重合することにより、導電性高分子層30を形成することができる。
【0035】
本実施形態において、モノマーはピロールであり、電気重合されたポリマーはポリピロールであると定義する。0.8Vの定電圧を用いてAAO/Au電極内でピロールを重合させ、1Cの電荷が流れるまで電圧を印加する。
【0036】
図6は、本発明の一実施形態による導電性高分子層の電気重合に関するグラフである。図6に示すように、約1000秒の後から経時的にクーロンの増加が減少することが分かる。
【0037】
1000秒の前までは、図5に示すようにAAOの側面に沿って中空のチューブ状の形態に形成された金の内に、ピロールが重合される際の電荷の増加を示している。1000秒後からは、ピロールがチューブ状の金の内をすべて満たし、その上、重合されて電荷が増加するようになる。このようにして、チューブ状の金内にピロールがさらに速やかに満たされることが分かる。
【0038】
図7は、本発明の一実施形態による導電性高分子層を拡大した写真である。図7に示すように、第2メッキ層22の金が約2μmほど成長し、その上にピロールが一定に重合されたことが分かる。重合されたピロールであるポリピロールの重さは0.25〜0.30mg/cm2である。
【0039】
このとき、導電性高分子層30は、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンからなる群より選ばれる少なくとも何れか一つを含むことができる。
【0040】
また、導電性高分子層の形成後に、反応せずに残っている微量の導電性高分子モノマーのピロールを除去するために、フィルタ10、第1メッキ層20、第2メッキ層22、及び導電性高分子層30を、1〜3Mの硫酸水溶液に0.5〜1時間含浸させて除去することができる。
【0041】
その次、段階S50で、図2の(e)に示すように、第1メッキ層22の下部に支持層40を形成する。したがって、ポリピロールと金素子のフィルタを除去すると、機械的物性が向上できる。
【0042】
段階S52で、支持層40は、塩素化ポリプロピレン(polypropylene chlorinated)100重量部に対してキシレン150〜300重量部を含む混合物を製造し、段階S54で、その混合物を70〜135℃の温度で溶融させてゲル状にし、段階S56で、溶融させたゲル状の混合物を第1メッキ層20の下部に付着することにより形成できる。
【0043】
混合物の温度が70℃未満であると、混合物を溶融させることができないし、135℃を超過すると、キシレンが蒸発するという問題点が発生し得る。
【0044】
支持層40の形成方法について、より具体的には、PPy/Au素子とゲルとの間にニッケル線を挿入することにより、素子に電流が流れるようにし、12時間の間にゲルを室温乾燥させることができる。
【0045】
図8は、本発明の一実施形態による支持層を拡大した写真である。図8に示すように、AAOを除去する前に、第1メッキ層20に支持層40を形成する。
【0046】
支持層40を形成するためのゲル状の混合物が乾燥固化されたら、段階S60で、図2の(f)に示すように、フィルタ10を除去することにより、比表面積の広いPPy/Au素子の電極を製造することができる。
【0047】
フィルタ10の除去は、段階S62で、フィルタ10、第1メッキ層20、第2メッキ層22、及び導電性高分子層30を5〜10wt%水酸化ナトリウム水溶液に0.5〜12時間含浸させることにより行われることができる。製造されたPPy/Au素子は、蒸留水で充分に洗浄すればよい。
【0048】
このとき、水酸化ナトリウムが前記範囲から外れると、作業環境が危険に露出されて試験が容易ではないという問題点が発生し得る。
【0049】
図9〜図13は、本発明の一実施形態による、フィルタを除去した写真である。図9〜図13に示されているように、AAOが除去された後、PPy/Auが一定のサイズの間隔で均一に配列されていることが分かる。
【0050】
PPy/Auの長さは約3μm程度であり、金が約2μmほど成長し、その上にピロールが約1μmの長さで重合されていることが分かる。
【0051】
図12〜図13を見ると、ピロールが、内側が満たされている棒状の形態に成長していることが分かり、その直径は約300〜350nmであり、横縦の比率は約8.6〜10である。SEM写真から分かるように、本発明により製作されたPPy/Au素子は、表面積が一般フィルムに比べてずっと広いことが分かる。したがって、電子を受け入れられる空間も広くなり、そのため、静電容量(capacitance、C)、動力(power、kW)、及びエネルギー(energy、E)が増加することができる。
【0052】
図14は、本発明の一実施形態によるスーパーキャパシタの断面図である。図14を参照すると、第1金属層20、第2金属層22、導電性高分子層30、及び支持層40が示されている。
【0053】
本実施形態において、第1金属層20は前述した第1メッキ層20と意味が同じであり、第2金属層22は前述した第2メッキ層22と同じ形状で、同じ効果を示す。
【0054】
前述したように、第1金属層20または第2金属層22の少なくとも一つは、Au、Ag、Ni、Cu、及びPtからなる群より選ばれる何れか一つを含むことができる。
【0055】
また、導電性高分子層30は、ポリアニリン、ポリピロール、及びポリチオフェンからなる群より選ばれる少なくとも何れか一つを含むことができ、T字状に製造されて、一般フィルムに比べて露出表面積が広い。したがって、電子を受け入れられる空間も広くなり、そのため、静電容量(capacitance、C)、動力(power、kW)、及びエネルギー(energy、E)を増加させることができる。
【0056】
図15は、本発明の一実施形態によるPPy/Au素子のcyclic voltammogram特性を示すグラフである。10、20、及び50mV/sの速度に電圧を変化させて、蓄電器からのみ現される長方形のCV特性が得られた。
【0057】
cyclic voltammogram特性のグラフにより、数1に基づいて静電容量(capacitance、C)を測定することができるが、本発明により製作されたPPy/Au素子の静電容量は、56〜90mF/cm2、190〜300F/g(比蓄電容量)の値を有する。
【数1】
【0058】
数1中、Cは静電容量、Iは電流、Sは電圧の変化速度(V/s)を示す。電圧の変化速度が小さいほど長方形に近くなり、変化速度が大きいほど長方形の形状に変化が生じた。これは、電圧の変化速度が大きくなるほど導電性高分子のPPy/Au素子が酸化を起こすからである。
【0059】
次に、一定の電流を持続的に加えて、引くことを繰り返すことのガルバノスタット(galvanostat;高電圧電池から一定の電流をひき出す装置)方法を用いてPPy/Au素子の蓄電器的特性を把握することができる。
【数2】
【0060】
数2中、Cは静電容量、iは印加された定電流、Δt(dt)は、ΔV(dt)ほどの電圧が変わるときの所要時間である。
【0061】
また、下記の数3に基づいて、印加時間と引くときにかかる時間を用いてクーロン効率(coulombic efficiency)(η)を求めることができる。
【数3】
【0062】
数3中、tcは印加時間で、tdは引くときの所要時間である。ピロールで製造された蓄電器は、通常、クーロン効率(coulombic efficiency)(η)が100%近くになる。
【0063】
数2を用いて静電容量を算出すると、59〜99mF/cm2、183〜306F/gになる。数3に基づいてクーロン効率(coulombic efficiency)(η)を算出すると、92〜96%になって、100%近くになることが分かる。動力(power、kW)及びエネルギー(energy、E)を算出すると、それぞれ41〜69Wh/kg、3.5〜10.6kW/kgという高い動力及びエネルギーが得られることが確認できた。
【0064】
以上、本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更させることができることを理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施形態によるスーパーキャパシタの製造方法を示すフローチャートである。
【図2】本発明の一実施形態によるスーパーキャパシタの製造方法を示す工程図である。
【図3】本発明の一実施形態による第2メッキ層の電解メッキに関するグラフである。
【図4】本発明の一実施形態による第2メッキ層を拡大した写真である。
【図5】本発明の一実施形態による第2メッキ層を拡大した写真である。
【図6】本発明の一実施形態による導電性高分子層の電気重合に関するグラフである。
【図7】本発明の一実施形態による導電性高分子層を拡大した写真である。
【図8】本発明の一実施形態による支持層を拡大した写真である。
【図9】本発明の一実施形態によるフィルタを除去した写真である。
【図10】本発明の一実施形態によるフィルタを除去した写真である。
【図11】本発明の一実施形態によるフィルタを除去した写真である。
【図12】本発明の一実施形態によるフィルタを除去した写真である。
【図13】本発明の一実施形態によるフィルタを除去した写真である。
【図14】本発明の一実施形態によるスーパーキャパシタの断面図である。
【図15】本発明の一実施形態によるPPy/Au素子のcyclic voltammogram特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0066】
10 フィルタ
20 第1メッキ層、第1金属層
22 第2メッキ層、第2金属層
30 導電性高分子層
40 支持層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔離隔して複数のフィルタを配置する段階と、
前記フィルタの一端部を連結する第1メッキ層を形成する段階と、
前記第1メッキ層から前記フィルタに沿って延長される第2メッキ層を形成する段階と、
前記第2メッキ層の間に導電性高分子層を形成するように重合する段階と、
前記フィルタを除去する段階と、
を含むことを特徴とするスーパーキャパシタの製造方法。
【請求項2】
前記フィルタが、陽極酸化アルミニウム(AAO;anodized aluminum oxide)からなることを特徴とする請求項1に記載のスーパーキャパシタの製造方法。
【請求項3】
前記第1メッキ層または前記第2メッキ層の少なくとも一つは、Au、Ag、Ni、Cu、及びPtからなる群より選ばれる何れか一つを含むことを特徴とする請求項1に記載のスーパーキャパシタの製造方法。
【請求項4】
前記第1メッキ層の形成段階が、170〜190Aの電流で10〜50分間行われることを特徴とする請求項3に記載のスーパーキャパシタの製造方法。
【請求項5】
前記第2メッキ層の長さが、前記フィルタの長さより短いことを特徴とする請求項1に記載のスーパーキャパシタの製造方法。
【請求項6】
前記重合段階が、0.025〜0.200Mのピロール及び0.1〜0.5MのLiClO4がアセトニトリルに溶解された溶液を製造する段階と、
前記溶液を前記第2メッキ層の間に充填する段階と、
前記溶液に所定の電圧を加えて前記導電性高分子層を形成する段階と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のスーパーキャパシタの製造方法。
【請求項7】
前記導電性高分子層の形成段階後に、前記フィルタ、前記第1メッキ層、前記第2メッキ層、及び前記導電性高分子層を1〜3M濃度の硫酸水溶液に0.5〜1時間含浸させる段階をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載のスーパーキャパシタの製造方法。
【請求項8】
前記導電性高分子層が、ポリアニリン(polyaniline)、ポリピロール(polypyrrole)、及びポリチオフェン(polythiophene)からなる群より選ばれる少なくとも何れか一つを含むことを特徴とする請求項1に記載のスーパーキャパシタの製造方法。
【請求項9】
前記重合段階後に、前記第1メッキ層の下部に支持層を形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のスーパーキャパシタの製造方法。
【請求項10】
支持層の形成段階が、
塩素化ポリプロピレン(polypropylene chlorinated)100重量部に対してキシレン(xylene)150〜300重量部を含む混合物を形成する段階と、
前記混合物を70〜135℃の温度で溶融させる段階と、
前記溶融させた混合物を第1メッキ層の下部に付着する段階と、
を含むことを特徴とする請求項9に記載のスーパーキャパシタの製造方法。
【請求項11】
前記フィルタの除去段階が、前記フィルタ、前記第1メッキ層、前記第2メッキ層、及び前記導電性高分子層を5〜10wt%水酸化ナトリウム水溶液に0.5〜12時間含浸させて行われることを特徴とする請求項1に記載のスーパーキャパシタの製造方法。
【請求項12】
第1金属層と、
前記第1金属層の一面に突出形成される複数の第2金属層と、
前記複数の第2金属層の間に、互いに離隔されるように充填される導電性高分子層と、
を含むことを特徴とするスーパーキャパシタ。
【請求項13】
前記第1金属層または前記第2金属層の少なくとも一つは、Au、Ag、Ni、Cu、及びPtからなる群より選ばれる何れか一つを含むことを特徴とする請求項12に記載のスーパーキャパシタ。
【請求項14】
前記導電性高分子層は、ポリアニリン、ポリピロール、及びポリチオフェンからなる群より選ばれる少なくとも何れか一つを含むことを特徴とする請求項12に記載のスーパーキャパシタ。
【請求項15】
前記導電性高分子層が、T字状であることを特徴とする請求項12に記載のスーパーキャパシタ。
【請求項16】
前記第1金属層の他面に形成される支持層をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載のスーパーキャパシタ。
【請求項1】
所定間隔離隔して複数のフィルタを配置する段階と、
前記フィルタの一端部を連結する第1メッキ層を形成する段階と、
前記第1メッキ層から前記フィルタに沿って延長される第2メッキ層を形成する段階と、
前記第2メッキ層の間に導電性高分子層を形成するように重合する段階と、
前記フィルタを除去する段階と、
を含むことを特徴とするスーパーキャパシタの製造方法。
【請求項2】
前記フィルタが、陽極酸化アルミニウム(AAO;anodized aluminum oxide)からなることを特徴とする請求項1に記載のスーパーキャパシタの製造方法。
【請求項3】
前記第1メッキ層または前記第2メッキ層の少なくとも一つは、Au、Ag、Ni、Cu、及びPtからなる群より選ばれる何れか一つを含むことを特徴とする請求項1に記載のスーパーキャパシタの製造方法。
【請求項4】
前記第1メッキ層の形成段階が、170〜190Aの電流で10〜50分間行われることを特徴とする請求項3に記載のスーパーキャパシタの製造方法。
【請求項5】
前記第2メッキ層の長さが、前記フィルタの長さより短いことを特徴とする請求項1に記載のスーパーキャパシタの製造方法。
【請求項6】
前記重合段階が、0.025〜0.200Mのピロール及び0.1〜0.5MのLiClO4がアセトニトリルに溶解された溶液を製造する段階と、
前記溶液を前記第2メッキ層の間に充填する段階と、
前記溶液に所定の電圧を加えて前記導電性高分子層を形成する段階と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のスーパーキャパシタの製造方法。
【請求項7】
前記導電性高分子層の形成段階後に、前記フィルタ、前記第1メッキ層、前記第2メッキ層、及び前記導電性高分子層を1〜3M濃度の硫酸水溶液に0.5〜1時間含浸させる段階をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載のスーパーキャパシタの製造方法。
【請求項8】
前記導電性高分子層が、ポリアニリン(polyaniline)、ポリピロール(polypyrrole)、及びポリチオフェン(polythiophene)からなる群より選ばれる少なくとも何れか一つを含むことを特徴とする請求項1に記載のスーパーキャパシタの製造方法。
【請求項9】
前記重合段階後に、前記第1メッキ層の下部に支持層を形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のスーパーキャパシタの製造方法。
【請求項10】
支持層の形成段階が、
塩素化ポリプロピレン(polypropylene chlorinated)100重量部に対してキシレン(xylene)150〜300重量部を含む混合物を形成する段階と、
前記混合物を70〜135℃の温度で溶融させる段階と、
前記溶融させた混合物を第1メッキ層の下部に付着する段階と、
を含むことを特徴とする請求項9に記載のスーパーキャパシタの製造方法。
【請求項11】
前記フィルタの除去段階が、前記フィルタ、前記第1メッキ層、前記第2メッキ層、及び前記導電性高分子層を5〜10wt%水酸化ナトリウム水溶液に0.5〜12時間含浸させて行われることを特徴とする請求項1に記載のスーパーキャパシタの製造方法。
【請求項12】
第1金属層と、
前記第1金属層の一面に突出形成される複数の第2金属層と、
前記複数の第2金属層の間に、互いに離隔されるように充填される導電性高分子層と、
を含むことを特徴とするスーパーキャパシタ。
【請求項13】
前記第1金属層または前記第2金属層の少なくとも一つは、Au、Ag、Ni、Cu、及びPtからなる群より選ばれる何れか一つを含むことを特徴とする請求項12に記載のスーパーキャパシタ。
【請求項14】
前記導電性高分子層は、ポリアニリン、ポリピロール、及びポリチオフェンからなる群より選ばれる少なくとも何れか一つを含むことを特徴とする請求項12に記載のスーパーキャパシタ。
【請求項15】
前記導電性高分子層が、T字状であることを特徴とする請求項12に記載のスーパーキャパシタ。
【請求項16】
前記第1金属層の他面に形成される支持層をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載のスーパーキャパシタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図6】
【図14】
【図15】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図6】
【図14】
【図15】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−27147(P2009−27147A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−139158(P2008−139158)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(591003770)三星電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(591003770)三星電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】
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