説明

センサ内蔵無線通信デバイスおよびそれを備えた画像表示装置

【課題】デバイスの種類や配置構成に制限されない設計の自由度の高いセンサネットワークを構成できるセンサ内蔵無線通信デバイスおよびそれを備えた画像表示装置を提案する。
【解決手段】外部環境をセンシングして外部情報を取得するセンサ部20と、無線通信により外部情報を含む所定情報を送受信可能な通信部21と、センサ部20及び通信部21を制御する制御部22とを具備してなり、無線ネットワークに接続されたセンサネットワーク1を構成するセンサ内蔵無線通信デバイス2において、通信部21は、近距離無線通信により他のセンサ内蔵無線通信デバイス2との間で通信可能な第一通信部21aと、広域無線通信により広域通信ネットワークに接続された外部装置3と通信可能な第二通信部21bと、短距離無線通信により外部端末装置4との間で通信可能な第三通信部21cと、を具備してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ内蔵無線通信デバイスおよびそれを備えた画像表示装置の技術に関し、より詳細には、外部環境をセンシングして外部情報を取得するセンサ部と、無線通信により前記外部情報を含む所定情報を送受信可能な通信部とを具備してなり、無線ネットワークに接続されたセンサネットワークを構成するセンサ内蔵無線通信デバイスおよびそれを備えた画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、防災、防犯、セキュリティ、環境計測、医療、農業生産、構造物管理、及び施設制御などの分野では、センシング技術と無線ネットワーク技術とを組み合わせ、複数のセンサをネットワークに接続するとともに、センサ間で関連付けや同期などを行いながら、センサ群として特定或いは複数の目的に応じて必要な機能(例えば、センサが検知した情報を伝達・収集したり、センサ群を制御したりするなど)を提供するセンサネットワークの技術が開発されている。センサネットワークでは、センシングにより各種の外部情報を取得し、無線通信により外部情報を送信可能なセンサ内蔵無線通信デバイス(センサノード)が施設内の多数箇所に配置されて、無線ネットワークにより接続されたセンサ群が構成される。そして、かかるセンサ群がインターネットなどの広域通信ネットワークに接続された外部装置と通信可能とされ、外部装置によりセンサ群からの外部情報を収集して解析したり、センサ群を遠隔制御したりすることができる。
【0003】
センサ内蔵無線通信デバイスは、上述したセンサネットワークを構成する重要なデバイスの一つであり、通常、センシング機能と無線通信機能を備えたハードデバイスとして構成されている。従来のセンサ内蔵無線通信デバイスとしては、例えば、特許文献1又は特許文献2に開示されるように、外部環境をセンシングして外部情報を取得するセンサ部、無線通信により外部デバイスとの間で通信可能な通信部、及びセンサ部や通信部等を制御するための制御部などで構成される。
【0004】
センサ内蔵無線通信デバイスを構成するセンサ部としては、物理量や化学量を認識・計測・感知してこれを電気量に変換して出力可能な構成とされ、通常は、熱、温度、煙、水、湿度、音、光、磁気、風、振動、圧力、加速度、方向、位置、人間感知などを検出するセンサや、人の体温、血圧、脈拍、心拍数、血糖値、心電、筋電などを測ったり、特定の化学物質・反応を検知したりするセンサなどが用いられる。
【0005】
ところで、今日知られている無線ネットワーク技術としては、その通信距離に応じておおよそ次のように区別される。(1)無線WAN(Wide Area Network):携帯電話網などの広域網の範囲、(2)無線MAN(Metropolitan Area Network):数十〜百km四方の範囲、(3)無線LAN(Local Area Network):約100m四方の範囲、(4)無線PAN(Personal Area Network):約十m四方の範囲、(5)無線PANよりさらに狭い範囲。このうち無線WAN及び無線MANが広域無線ネットワークと呼ばれ、無線LAN及び無線PANが近距離無線ネットワークと呼ばれている。
【0006】
そして、センサ内蔵無線通信デバイスを構成する通信部としては、無線により通信を行うインターフェースを備えた通信モジュールとして構成される。
例えば、広域無線ネットワークを構成する場合には、携帯電話網やPHS網、又はIEEE802.16等に準拠したプロトコルにより無線通信を行うWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)と呼ばれる通信技術により無線通信を行うものが用いられる。
また、近距離無線ネットワークを構成する場合には、IEEE802.11に準拠したプロトコル(例えば、IEEE802.11b等)に従って無線通信を行うものや、IEEE802.15に準拠したプロトコル(例えば、Bluetooth、ZigBee等)に従って無線通信を行うものなどが用いられる。
そして、短距離無線ネットワークを構成する場合には、NFC(Near Field Communication)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)、RF−ID(Radio Frequency IDentification)などの通信技術により無線通信を行うものが用いられる。
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1又は特許文献2に開示されるように、従来のセンサ内蔵無線通信デバイスは、通信部として近距離無線通信を行う通信モジュールや短距離無線通信を行う通信モジュールの両方若しくはいずれか一方が設けられていたが、センサ群をインターネットなどの広域通信ネットワークに繋ぐゲートウェイ機能を有していなかった。そのため、従来のセンサネットワークは、複数のセンサ内蔵無線通信デバイス(センサ群)にて構成される無線ネットワーク(非IPネットワーク)を、インターネット等のIPネットワークに繋ぐために、センサ内蔵無線通信デバイスとは別に、広域無線通信を行う通信モジュールを備えたセンササーバと呼ばれる通信デバイスが別途設けられていた。
【0008】
このように、従来のセンサ内蔵無線通信デバイスの構成では、センサネットワークを構築するために別途ゲートウェイ機能を有するセンササーバを用意する必要があったため、ネットワークを形成する際には、かかるセンササーバを中心とした配置構成となってしまい、ネットワークデバイスの設置場所やネットワークトポロジーの自由度が制限され、既存施設へのセンサネットワークの導入が妨げられていたのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−169888号公報
【特許文献2】特開2005−316533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明では、センサ内蔵無線通信デバイスおよびそれを備えた画像表示装置に関し、前記従来の課題を解決するもので、デバイスの種類や配置構成に制限されない設計の自由度の高いセンサネットワークを構成できるセンサ内蔵無線通信デバイスおよびそれを備えた画像表示装置を提案することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0012】
すなわち、請求項1においては、外部環境をセンシングして外部情報を取得するセンサ部と、無線通信により前記外部情報を含む所定情報を送受信可能な通信部と、前記センサ部及び前記通信部を制御する制御部とを具備してなり、無線ネットワークに接続されたセンサネットワークを構成するセンサ内蔵無線通信デバイスにおいて、前記通信部は、近距離無線通信により他のセンサ内蔵無線通信デバイスとの間で通信可能な第一通信部と、広域無線通信により広域通信ネットワークに接続された外部装置と通信可能な第二通信部と、短距離無線通信により外部端末装置との間で通信可能な第三通信部と、が設けられるものである。
【0013】
請求項2においては、前記制御部は、前記第一通信部を、他の全てのセンサ内蔵無線通信デバイスとの間で前記所定情報を送受信する通信方式、又は所定のセンサ内蔵無線通信デバイスを介してのみ他のセンサ内蔵無線通信デバイスとの間で前記所定情報を送受信する通信方式で通信可能に制御するものである。
【0014】
請求項3においては、前記制御部は、前記第二通信部を、所定のセンサ内蔵無線通信デバイスにおいてのみ前記外部装置との間で前記所定情報を送受信する通信方式で通信可能に制御するものである。
【0015】
請求項4においては、前記第一通信部は、IEEE802.15に準拠したプロトコルに従って無線通信を行う通信モジュールとして構成されるものである。
【0016】
請求項5においては、前記第三通信部は、RF−IDにより無線通信を行う通信モジュールとして構成されるものである。
【0017】
請求項6においては、独立電源モジュールとして構成される電源部を具備してなるものである。
【0018】
請求項7においては、前記請求項1乃至請求項6に記載のセンサ内蔵無線通信デバイスを備えた画像表示装置であって、前記センサ内蔵無線通信デバイスは、所定の画像情報を出力する出力部を具備してなるものである。
【0019】
請求項8においては、施設内の多数箇所に設置される避難誘導標識装置として構成されるものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の効果として、センサ機能と無線通信機能に加えてゲートウェイ機能を有するため、デバイスの種類や配置構成に制限されない設計の自由度の高いセンサネットワークを構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施例に係るセンサネットワークの全体的な構成を示した機能ブロック図である。
【図2】本実施例のセンサ内蔵無線通信デバイスの構成を示した機能ブロック図である。
【図3】センサ内蔵無線通信デバイスにより構成されるネットワークの通信経路を示した図である。
【図4】同じくセンサ内蔵無線通信デバイスにより構成されるネットワークの通信経路を示した図である。
【図5】本実施例のセンサ内蔵無線通信デバイスを用いた災害検知及び避難誘導システムの構成を示した図である。
【図6】センサ内蔵無線通信デバイスが取り付けられる避難誘導標識の構成を示した機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、発明を実施するための形態を説明する。
まず、本実施例のセンサネットワーク1の全体構成について、以下に概説する。
図1に示すように、本実施例のセンサネットワーク1は、外部環境をセンシングして外部情報を取得し、無線通信により外部情報を含む所定情報を送受信可能なセンサ内蔵無線通信デバイス2と、広域無線通信によりセンサ内蔵無線通信デバイス2との間で通信可能な外部装置3と、短距離無線通信によりセンサ内蔵無線通信デバイス2との間で通信可能な外部端末装置4と、多数個所に配置されたセンサ内蔵無線通信デバイス2・2・・・により無線ネットワークに接続されたネットワークNW1と、ネットワークNW1と接続されるインターネットなどの広域通信ネットワークとしてのネットワークNW2等とで構成される。
【0023】
なお、本実施例のセンサネットワーク1において、センサ内蔵無線通信デバイス2によりネットワークNW1・NW2を介して送受信される所定情報としては、センサ内蔵無線通信デバイス2のセンサ部20(図2参照)にて取得された外部環境の測定値や取得時間などの外部情報の他に、センサ内蔵無線通信デバイス2ごとに予め設定された個体識別情報や、センサ内蔵無線通信デバイス2の設置位置を表す位置情報や、センサ内蔵無線通信デバイス2のエラー履歴やメンテナンス履歴を表す履歴情報や、避難可能な出口や非常口等の避難口と避難経路等を記録した避難情報や、地域イベント等の地域関連情報などが含まれる。
【0024】
<センサ内蔵無線通信デバイス2の構成>
図1及び図2に示すように、本実施例のセンサ内蔵無線通信デバイス2は、センサネットワーク1におけるセンサノードとしてセンシング機能及び無線通信機能を備えるとともに、ネットワークNW1とネットワークNW2とを繋ぐゲートウェイ機能を有している。具体的には、外部環境をセンシングして外部情報を取得するセンサ部20と、無線通信により外部情報を送受信可能な通信部21と、センサ部20及び通信部21等を制御する制御部22と、各部へ電力を供給する電源部23と、液晶パネル等の画像表示部に所定の画像情報を出力する出力端末としての出力部24等とで構成されている。そして、センサ内蔵無線通信デバイス2が他のセンサ内蔵無線通信デバイス2と無線通信可能に接続されることで、上述したネットワークNW1が構成されるとともに、所定のセンサ内蔵無線通信デバイス2を介して、ネットワークNW1がネットワークNW2に接続される。
【0025】
センサ部20は、物理量や化学量を認識・計測・感知してこれを電気量に変換して出力可能な構成とされ、その構成については特に限定されない。通常は、熱、温度、煙、水、湿度、音、光、磁気、風、振動、圧力、加速度、方向、位置、人間感知などを検出するセンサや、人の体温、血圧、脈拍、心拍数、血糖値、心電、筋電などを測ったり、特定の化学物質・反応を検知したりするセンサなどが用いられる。本実施例では、例えば、温湿度、照度、空気流、微粒子などを検出して外部環境や災害時の危険度などを計測できる環境センサや、音響や音声を検出して破壊音や悲鳴、叫び声、騒乱音などを計測できるサウンドセンサや、赤外反射を検出して、外部環境の混雑量(人の通行量)や災害時の温度変化などを計測できる赤外線センサや、画像処理により外部環境の混雑量(人の通行量)やその属性などを測定できる画像センサなどが好ましく用いられる。
【0026】
通信部21は、近距離無線通信により他のセンサ内蔵無線通信デバイス2との間で通信可能な第一通信部21aと、広域無線通信によりネットワークNW2に接続された外部装置3との間で通信可能な第二通信部21bと、短距離無線通信により外部端末装置4との間で通信可能な第三通信部21cとで構成されている。本実施例の通信部21は、無線により通信を行う表面実装アンテナ型やCFカード型などのインターフェースを備え、かかるインターフェースが後述する制御部22に接続された通信モジュールとして構成されている。
【0027】
第一通信部21aは、近距離無線通信により通信を行うインターフェースを備え、他のセンサ内蔵無線通信デバイス2の第一通信部21aと通信可能とされる。近距離無線通信とは、通信距離が約100m四方の範囲の無線LANや約十m四方の範囲の無線PANなどの近距離無線ネットワークを構成する無線通信技術のことである。本実施例では、例えば、IEEE802.11に準拠したプロトコル(例えば、IEEE802.11b等)を用いた通信技術や、IEEE802.15に準拠したプロトコル(例えば、Bluetooth、ZigBee等)を用いた通信技術などが採用されて無線通信が行われる。特に、本実施例の第一通信部21aとしては、簡易な構成で容易にネットワークを構築可能であり、また低消費電力で小型化が容易であるなどの点から、IEEE802.15に準拠したZigBeeプロトコルで無線通信を行う通信モジュールとして好ましく構成される。
【0028】
第二通信部21bは、広域無線通信により通信を行うインターフェースを備え、ネットワークNW2を介して、ネットワークNW2に接続された外部装置3との間で通信可能とされる。広域無線通信とは、携帯電話網などの広域網としての無線WANや通信距離が数十〜百km四方の範囲の無線MANなどの広域無線ネットワークを構成する無線通信技術のことである。本実施例では、例えば、携帯電話網又はPHS網で採用される通信技術や、IEEE802.16等に準拠したプロトコルにより無線通信を行うWiMAXを用いた通信技術などが採用されて無線通信が行われる。
【0029】
第三通信部21cは、短距離無線通信により通信を行うインターフェースを備え、外部端末装置4と通信可能とされる。短距離無線通信とは、通信距離が約十m四方の範囲の無線PANやさらに狭いエリアで短距離無線ネットワークを構成する無線通信技術のことである。本実施例では、例えば、NFC、DSRC、RF−IDなどの通信技術により無線通信を行うものが用いられる。特に、本実施例の第三通信部21cとしては、標準化されたインターフェースで、デバイスの小型軽量が容易であり、また繰返しの読み書きと書き込みが可能などの点から、RF−IDで無線通信を行う通信モジュールとして好ましく構成される。
【0030】
なお、第三通信部21cがRF−IDにより無線通信を行うように構成される場合には、後述する制御部22の構成とは別に、第三通信部21cにおいて、外部端末装置4との無線を送受信するアンテナと情報を記憶するICチップ(メモリ)等とで構成される。また、反射型RF−IDやアクティブ型RF−ID等、その種類も特に限定されない。
【0031】
制御部22は、センサ部20や通信部21の無線通信を制御するマイクロプロセッサであって、上述したセンサ部20、通信部21、電源部23、及び出力部24等が接続されている。制御部22としては、全体を制御するCPUや、プログラムが格納されるROMや、作業用メモリとしてのRAMや、センサ部20により取得された外部情報を一時的に記憶する不揮発性メモリ等とで構成されており、ワンチップに構成されるLSIの他に、複数のチップを搭載した基板や複数のチップをパッケージ内に封入したものなど、その構成は限定されない。制御部22においては、予め記憶されているプログラム又は外部装置3から配布されるプログラムや、外部装置3又は外部端末装置4からの指示信号に基づいて、通信部21や他の回路が制御される。
【0032】
電源部23は、センサ内蔵無線通信デバイス2の構成デバイスそれぞれ電力を供給するための独立電源モジュールとして構成され、例えば、一次電池、充電可能な二次電池、及び太陽光発電素子等の発電素子を備えたコンデンサや二次電池、燃料電池等が用いられる。
【0033】
特に、本実施例のセンサ内蔵無線通信デバイス2は、第一通信部21aにおける他のセンサ内蔵無線通信デバイス2との通信方式において、制御部22により、他の全てのセンサ内蔵無線通信デバイス2との間で所定情報を送受信する通信方式(以下、直接通信方式という)、又は所定のセンサ内蔵無線通信デバイス2を介してのみ他のセンサ内蔵無線通信デバイス2との間で所定情報を送受信する通信方式(以下、間接通信方式という)で通信可能に制御される。
【0034】
この第一通信部21aの通信方式は、通信モジュールにおいて物理デバイスや理論デバイスとして予め規格化されて設定されているものや、センサ内蔵無線通信デバイス2に予め組み込まれたプログラム又は外部装置3より送信された指示信号やプログラムによって設定変更可能なものとして構成される。なお、後者の場合は、最適な通信方式は、通信されるデータ量や、消費電力量、残存電力量などに基づいて設定変更可能とされる。
【0035】
また、第二通信部21bの通信方式において、制御部22により、所定のセンサ内蔵無線通信デバイス2においてのみ外部装置3との間で所定情報を送受信する通信方式で通信可能に制御される。この「所定のセンサ内蔵無線通信デバイス2」とは、上述した他のセンサ内蔵無線通信デバイス2との間で前記所定情報を送受信する通信方式(直接通信方式)で通信可能なセンサ内蔵無線通信デバイス2の中から特定される一又は複数のセンサ内蔵無線通信デバイス2のことである。
【0036】
一例として、図3に示すネットワークNW1を参照しながら、第一通信部21aにおいて上述した通信方式が物理デバイスとして予め規格化されている場合について説明する。
かかる実施例では、第一通信部21aは、ZigBeeプロトコルで無線通信を行う通信モジュールとして構成され、物理デバイスとして、全てのネットワークトポロジーに対応した機能を有し、全てのRFD、FFDと通信可能なFFD(Full Function Device)と、末端デバイスとしてのみ動作してネットワーク制御機能を有さず、FFDとのみ通信可能であり、最小限のリソースとメモリ容量で構成可能なRFD(Reduced Function Device)とが用いられる。
【0037】
図3に示すネットワークNW1では、それぞれ3種類のセンサ内蔵無線通信デバイス2a・2b・2cを用いて構成されている。センサ内蔵無線通信デバイス2aは、直接通信方式で通信可能に制御され、他のデバイスのネットワークNW1への接続・切断を制御する機能を有するFFDである。センサ内蔵無線通信デバイス2bは、同じく直接通信方式で通信可能に制御され、マルチホッピングによりネットワークNW1のメッシュ・ツリーを構成するFFDである。センサ内蔵無線通信デバイス2cは、間接通信方式で通信可能に制御され、他のデバイスへのメッセージルーティング機能を有しないRFDである。また、センサ内蔵無線通信デバイス2aにおいてのみ、第二通信部21bにてネットワークNW2に接続された外部装置3との間で所定情報を送受信可能とされている。
【0038】
かかるネットワークNW1では、センサ内蔵無線通信デバイス2aを中心として、近距離無線通信により各センサ内蔵無線通信デバイス2a〜2cの間で所定情報が送受信されるとともに、センサ内蔵無線通信デバイス2aにおいてのみ広域無線通信によりネットワークNW2に接続された外部装置3等と所定情報が送受信される。また、外部装置3より送信される指示情報は、センサ内蔵無線通信デバイス2aを介して他のセンサ内蔵無線通信デバイス2b・2cに転送される。
【0039】
また、他の例として、図4示すネットワークNW1を参照しながら、第一通信部21aにおいて上述した通信方式がセンサ内蔵無線通信デバイス2の制御部22に予め組み込まれたプログラム等によって設定変更可能な場合について説明する。かかる実施例も、第一通信部21aがZigBeeプロトコルで無線通信を行う通信モジュールとして構成されている。
【0040】
図4に示すネットワークNW1では、それぞれ同様のFFDとして構成されたセンサ内蔵無線通信デバイス2d・2e・2f・2gを用いて構成されている。通常は、センサ内蔵無線通信デバイス2dが、他の全てのセンサ内蔵無線通信デバイス2との間で所定情報を送受信する直接通信方式で通信可能に制御され、他のセンサ内蔵無線通信デバイス2e〜2gが、センサ内蔵無線通信デバイス2dを介してのみ他のセンサ内蔵無線通信デバイス2e〜2gとの間で所定情報を送受信する間接通信方式で通信可能に制御される(図4(a))。また、直接通信方式に設定されたセンサ内蔵無線通信デバイス2dにおいてのみ、第二通信部21bにてネットワークNW2に接続された外部装置3との間で所定情報を送受信可能に制御されている。
【0041】
かかるネットワークNW1では、通常は、センサ内蔵無線通信デバイス2dを中心として、近距離無線通信により各センサ内蔵無線通信デバイス2d〜2gの間で所定情報が送受信されるとともに、センサ内蔵無線通信デバイス2dにおいてのみ広域無線通信によりネットワークNW2に接続された外部装置3と所定情報が送受信される。また、外部装置3より送信される指示情報は、センサ内蔵無線通信デバイス2dを介して他のセンサ内蔵無線通信デバイス2e〜2gに転送される。
【0042】
かかる構成において、例えば、センサ内蔵無線通信デバイス2gが設置された外部環境に大きな変化が起こった場合には、センサ内蔵無線通信デバイス2gのセンサ部20により取得される外部情報は大きなデータ量となる。そうすると、データ量の大きな外部情報が他のセンサ内蔵無線通信デバイス2d〜2fを介して送受信されると、他のセンサ内蔵無線通信デバイス2d〜2fにおいて所定情報の転送効率やネットワーク効率が低減し、また、その消費電力が大きくなってしまう。そのため、かかる場合には、センサ内蔵無線通信デバイス2g又はその近くのセンサ内蔵無線通信デバイス2e・2fの通信方式が間接通信方式から直接通信方式に設定変更されるとともに、センサ内蔵無線通信デバイス2dが直接通信方式から間接通信方式に設定変更される(図4(b))。なお、かかる場合には、直接通信モードに設定されたセンサ内蔵無線通信デバイス2g等が、第二通信部21bにおいて外部装置3との間で所定情報を送受信可能とされる。
【0043】
<外部装置3の構成>
図1に戻って、外部装置3は、ネットワークNW2に接続された専用サーバやパーソナル・コンピュータ等のシステム制御装置である。外部装置3は、センサ内蔵無線通信デバイス2から所定情報を受信するとともに、所定のセンサ内蔵無線通信デバイス2やセンサネットワーク1全体を制御するための指示信号を送信するアプリケーションシステム30と、各種の所定情報が格納される管理データベース31とで構成される。
【0044】
アプリケーションシステム30としては、無線通信可能な通信部や、通信部などを制御するための制御部等とで構成され、センサ内蔵無線通信デバイス2を介してセンサネットワーク1を管理するとともに、センサ内蔵無線通信デバイス2により取得された外部情報を解析し、かかる解析結果に基づいて各センサ内蔵無線通信デバイス2に指示信号を送信してセンサ内蔵無線通信デバイス2を制御する。
【0045】
また、管理データベース31に構成されるデータベースの詳細としては、例えば、センサ内蔵無線通信デバイス2のセンサ部20にて取得された測定値や取得時間などの外部情報を記憶する外部情報データベースや、センサ内蔵無線通信デバイス2の個体識別情報・位置情報・履歴情報などを記憶するデバイス情報データベースや、災害発生時に個体識別情報ごとに対応した避難可能な出口や非常口等の避難口と避難経路等を記録した避難情報データベースや、地域イベント等の地域関連情報等を記録した提供情報データベースなどが含まれる。
【0046】
なお、外部装置3の構成としては、専用サーバやパーソナル・コンピュータとしてそれぞれ別体の複数のシステム制御装置として構成されてもよく、またパーソナル・コンピュータにアプリケーションシステム30が組み込まれるとともに、別体としての専用サーバに管理データベース31が組み込まれるように構成され、パーソナル・コンピュータと専用サーバとがネットワークNW2にそれぞれアクセス可能に接続されてもよい。
【0047】
<外部端末装置4の構成>
外部端末装置4は、携帯電話などの携帯型の情報端末であって、無線通信によりセンサ内蔵無線通信デバイス2の通信部21(第三通信部21c)と通信可能であって、さらに携帯電話網などを介してネットワークNW2に接続可能に構成される。上述したように、第三通信部21cにおいてRF−IDにより無線通信を行う構成とされる場合には、RF−IDリーダ/ライタが組み込まれ、短距離無線通信により外部端末装置4とセンサ内蔵無線通信デバイス2との間で無線通信が可能とされる。
【0048】
外部端末装置4は、主にセンサネットワーク1のメンテナンスを行う管理者や通行人等の一般ユーザにより所有され、かかる管理者や一般ユーザにおいて外部端末装置4を介して無線通信によりセンサ内蔵無線通信デバイス2から所定情報(外部情報など)を入手できるとともに、入手した所定情報(個体識別情報など)に基づいてネットワークNW2に接続された外部装置3(管理サーバ等)に直接アクセスして、任意の所定情報(災害情報や地域関連情報など)を入手できるように構成される。
【0049】
次に、本実施例のセンサ内蔵無線通信デバイス2を用いたセンサネットワーク1の適用例として、災害検知及び避難誘導システム101について、以下に概説する。
図5及び図6に示すように、災害検知及び避難誘導システム101は、施設100内で火災、地震、浸水などの災害が発生した際に、その場の災害状況を把握して事実に基づいた適切な災害対策を可能とするものであり、施設100内の多数箇所に設置された避難誘導標識105に取り付けられたセンサ内蔵無線通信デバイス102により外部環境をセンシングして外部情報を取得し、かかる取得された外部情報に基づいて施設内の人間に適時に避難誘導情報を提供するものである。
【0050】
具体的には、施設100内の多数箇所に設置される避難誘導標識105に取り付けられたセンサ内蔵無線通信デバイス102と、広域無線通信によりセンサ内蔵無線通信デバイス102との間で通信可能な外部装置103としての制御センタ130a及び管理サーバ130bと、短距離無線通信によりセンサ内蔵無線通信デバイス102との間で通信可能な携帯端末104と、センサ内蔵無線通信デバイス102により無線ネットワークに接続されたネットワークNW101と、ネットワークNW101と接続されるインターネットとしてのネットワークNW102等とで構成される。
【0051】
施設100としては、地下鉄、地下街、地下駐車場、大型総合ビル等の内部空間であって、店舗(図5において斜線で区画された部分)の壁面により空間が所定形状に区画されて通路が形成されている。
【0052】
図6に示すように、避難誘導標識105は、施設100における防災対策として、災害時に外界へ脱出するための出口や非常口を案内表示する標識のことであり、センサ内蔵無線通信デバイス102が取り付けられた状態で、施設100内の通路に面した壁面の多数個所に所定の離間を有して設置されている。本実施例の避難誘導標識105は、非常口の場所の方向などを示す誘導標識が表示される誘導表示部105aと、固有の個体番号が表示される識別番号表示部105bと、所定の画像情報を表示する画像表示部105c等が設けられており、センサ内蔵無線通信デバイス102が取り付けられることで画像表示部105cに所定の画像を出力表示可能な画像表示装置が構成されている。
【0053】
画像表示部105cとしては、液晶モニタ、電子ペーパ、又は有機ELモニタ等により構成され、センサ内蔵無線通信デバイス102より出力部124を介して所定の画像情報が出力可能とされている。所定の画像情報としては、例えば、センサ内蔵無線通信デバイス102のセンサ部120により取得された外部情報に基づく災害情報を示す画像情報や、後述する制御センタ130aにより解析された最適な避難経路や緊急の誘導標識を示す画像情報や、地域イベント等の地域関連情報を示す画像情報などが含まれる。なお、画像表示部105cにおいて、避難誘導標識105の設置に協賛した企業等の協賛者を示す企業ロゴ等の画像情報が表示されてもよい。
【0054】
また、避難誘導標識105は、個体ごとに予め設定される固有の個体識別情報の他に、施設の場所を示す場所情報や、施設100内における設置位置を示す位置情報(緯度・経度・高さの三次元情報として特定される)などが設定されている。これらの情報は、避難誘導標識105ごとに取り付けられるセンサ内蔵無線通信デバイス102に管理情報として記憶されるとともに、管理サーバ130bに接続された管理データベース131に記憶される。
【0055】
本実施例のセンサ内蔵無線通信デバイス102は、センサ部120において、施設100内の外部環境をセンシングして災害内容を検出する各種センサが用いられる。施設100内における災害の多くは、火災であるが、ガス漏れ、水漏れ、犯罪、又は事故など緊急避難をすべき外部環境の変化がセンサ部120にて検出されると、通信部121の第一通信部121aにより外部情報が他のセンサ内蔵無線通信デバイス102に送信され、又は第二通信部121bにより制御センタ130a又は管理サーバ130bに送信される。
【0056】
センサ内蔵無線通信デバイス102は、基本的なデバイス構成が全て同一のものを用いることができるが、本実施例では、第一通信部121aがZigBeeプロトコルで無線通信を行う通信モジュールとして構成され、第一通信部121aの通信方式が予め設定されているものが用いられる。具体的には、制御部122により、他の全てのセンサ内蔵無線通信デバイス102との間で所定情報を送受信する直接通信方式で通信可能に制御されるセンサ内蔵無線通信デバイス102a(102c)と、所定のセンサ内蔵無線通信デバイス102を介してのみ他のセンサ内蔵無線通信デバイス2との間で所定情報を送受信する間接通信方式で通信可能に制御されるセンサ内蔵無線通信デバイス102bとで構成されている。また、センサ内蔵無線通信デバイス102aの中でも、一のセンサ内蔵無線通信デバイス102cは、外部装置3との間で所定情報を送受信する通信方式で通信可能に制御される。
【0057】
ネットワークNW101は、上述した複数のセンサ内蔵無線通信デバイス102a・102b・102cにて構成され、センサ内蔵無線通信デバイス102cから、センサ内蔵無線通信デバイス102aを経由してセンサ内蔵無線通信デバイス102bに至る複数の通信経路が確保されている。特に、センサ内蔵無線通信デバイス102cが通信可能な領域には、一以上のセンサ内蔵無線通信デバイス102a・102bが配置され、センサ内蔵無線通信デバイス102cを介して、全てのセンサ内蔵無線通信デバイス102a及びセンサ内蔵無線通信デバイス102bが接続された通信経路(無線ネットワーク)が構成されている。
【0058】
なお、センサ内蔵無線通信デバイス102cは、第二通信部121bによりPHS網を利用してネットワークNW102に接続され、ネットワークNW102に接続された制御センタ130a又は管理サーバ130bと通信可能とされている。
【0059】
また、センサ内蔵無線通信デバイス102a〜102cにおいては、第三通信部121cにて、システムや各デバイスのメンテナンスを行う管理者や通行人等の一般ユーザにより所有される携帯端末104と無線通信可能とされる。管理者や通行人等においては、センサ内蔵無線通信デバイス2から外部情報や履歴情報などを入手し、かつかかる履歴情報を上書きして(書き換えて)記憶させることができる。また、入手した個体識別情報などに基づいてネットワークNW102に接続された管理サーバ130bに直接アクセスすることで、管理データベース131から避難情報や地域関連情報などを入手できる。
【0060】
制御センタ130aは、施設100内に隔離された別室に載置された据置型のパーソナル・コンピュータとして構成され、管理サーバ130bとアクセス可能に接続されている。また、この制御センタ130aには平常時の制御プログラム、災害判定プログラム、及び災害対策制御プログラムが格納されている。なお、制御センタ130aとしては、据置型のパーソナル・コンピュータとは別に移動式の携帯型の端末として構成されてもよい。
【0061】
管理サーバ130bに付随する管理データベース131には、予めセンサ内蔵無線通信デバイス102a〜102cに関する個体識別情報が格納される。例えば、センサ内蔵無線通信デバイス102a〜102cに設置されるセンサ部120の種別、センサ内蔵無線通信デバイス102a〜102cの通信方式、固有の識別番号、位置情報などである。なお、これらの情報は、災害検知及び避難誘導システム101のネットワーク構築時に、手入力又は無線通信により自動取得して格納される。
【0062】
以上のように構成される災害検知及び避難誘導システム101では、平常時には、制御部122により制御されて、センサ内蔵無線通信デバイス102a〜102cの各センサ部120にて外部情報が取得され、センサ内蔵無線通信デバイス102cを介して制御センタ130aに送信され、制御センタ130aにて送信された外部情報が解析されるとともに、管理サーバ130bの管理データベース131にかかる外部情報が格納される。また、制御センタ130aによりセンサ内蔵無線通信デバイス102cに指示信号が送信されて、制御部122により制御されて、各センサ内蔵無線通信デバイス102a〜102cを介して避難誘導標識105の画像表示部105cに、地域イベント等の地域関連情報などの画像情報などが表示される。
【0063】
そして、災害時、すなわち、あるセンサ内蔵無線通信デバイス102a〜102cのセンサ部120において、設定値以上の検知温度を検出したり、煙を検知したり、設定値以上の検知加速度を検出したり、通信が途絶えたりすると、異常が検知された外部情報を受信した制御センタ130aにおいて、平常時の制御プログラムが災害判定プログラムに切り替えられ、災害発生の有無が判定される。なお、制御センタ130aにおける判定は、例えば、ある閾値以上の複数のセンサ内蔵無線通信デバイス102a〜102cで異常が検知された場合などには施設100内の所定箇所で何らかの災害が発生したものと判断される。
【0064】
制御センタ130aにおいて災害が発生したと判断された場合には、災害判定プログラムが災害対策制御プログラムに切り替えられる。災害対策制御プログラムでは、例えば、フロア内に火災警報を発したり、施設100内の各人に火災警報信号を送信したりして災害発生が通知される。このとき、制御部122により制御されて、センサ内蔵無線通信デバイス102a〜102cにより避難誘導標識105の画像表示部105cに災害発生を示す画像が表示される。さらに、同時にスプリンクラーの作動、防火シャッターの作動と連動させれば、火災拡大防止にもなる。
【0065】
制御センタ130aでは、予め組み込まれた施設100の避難経路や、異常が検知された外部情報を送信したセンサ内蔵無線通信デバイス102a〜102cの位置情報により特定された災害発生箇所に基づいて、各センサ内蔵無線通信デバイス102a〜102cの設置場所から危険箇所を避けながら最適な出口までの最適な避難経路が探索される。そして、かかる探索結果に基づいて、センサ内蔵無線通信デバイス102cを介して、各センサ内蔵無線通信デバイス102a〜102cに指示信号が送信され、制御部122により制御されて、最適な出口への避難方向を示す画像が避難誘導標識105の誘導表示部105aに表示される。
【0066】
以上の実施例では、本実施例のセンサ内蔵無線通信デバイス2を用いた災害検知及び避難誘導システム101の一実施例を説明した。本実施例の災害検知及び避難誘導システム101によれば、災害の発生位置、状況を的確に検知することができるとともに、避難誘導の経路を人々の所在地に応じて個別に指示することができる。
【0067】
なお、上述した実施例(図5参照)のセンサ内蔵無線通信デバイス102では、所定のセンサ内蔵無線通信デバイス102cのみが、第二通信部121bによりネットワークNW102に接続された制御センタ130a又は管理サーバ130bと通信可能とされているが、かかる所定のセンサ内蔵無線通信デバイス102cは、制御センタ130aにより他のセンサ内蔵無線通信デバイス102aに変更可能である。所定のセンサ内蔵無線通信デバイス102cが変更された場合には、ネットワークNW101の通信経路が再構築される。
【0068】
以上のように、本実施例のセンサ内蔵無線通信デバイス2は、外部環境をセンシングして外部情報を取得するセンサ部20と、無線通信により外部情報を含む所定情報を送受信可能な通信部21と、センサ部20及び通信部21を制御する制御部22とを具備してなり、無線ネットワークに接続されたセンサネットワーク1を構成するセンサ内蔵無線通信デバイス2において、通信部21は、近距離無線通信により他のセンサ内蔵無線通信デバイス2との間で通信可能な第一通信部21aと、広域無線通信により広域通信ネットワークに接続された外部装置3と通信可能な第二通信部21bと、短距離無線通信により外部端末装置4との間で通信可能な第三通信部21cと、が設けられるため、デバイスの種類や配置構成に制限されない設計の自由度の高いセンサネットワーク1を構成できる。
【0069】
すなわち、本実施例のセンサ内蔵無線通信デバイス2は、通信部21において、無線通信により所定のデバイスとの間で通信可能な第一通信部21a・第二通信部21b・第三通信部21cが設けられているため、通常のセンシング機能及び無線通信機能に加えて、バックエンドのネットワークNW1(無線ネットワーク)をフロントエンドのネットワークNW2(広域通信ネットワーク)に接続するゲートウェイ機能を有している。そのため、センサネットワーク1を構成する際に、いわゆるセンササーバ等のその他のデバイスが不要であり、設置する施設の形状等に合わせてセンサ内蔵無線通信デバイス2を配置するだけで、スター、メッシュ、又はクラスターツリーなどのネットワークトポロジーを自在に構成することができる。
【0070】
特に、本実施例のセンサ内蔵無線通信デバイス2は、制御部22により、第一通信部21aが、他の全てのセンサ内蔵無線通信デバイス2との間で所定情報を送受信する通信方式、又は所定のセンサ内蔵無線通信デバイス2を介してのみ他のセンサ内蔵無線通信デバイス2との間で所定情報を送受信する通信方式で通信可能に制御されるとともに、第二通信部21bが、所定のセンサ内蔵無線通信デバイス2においてのみ外部装置3との間で所定情報を送受信する通信方式で通信可能に制御されるため、構成されるネットワークトポロジーに応じて、第一通信部21aや第二通信部21bの通信方式を変更するだけで、ネットワークでの所定情報の転送効率やネットワーク効率を向上できるとともに、各センサ内蔵無線通信デバイス2の消費電力を低減できる。
【0071】
以上において説明した実施例のセンサ内蔵無線通信デバイス2の構成としては、上述した実施例に限定されず、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0072】
すなわち、上述した実施例のセンサ内蔵無線通信デバイス2では、センサ部20がセンサ内蔵無線通信デバイス2に一体に組み付けられた構成について説明したが、センサ部20は、センサ内蔵無線通信デバイス2と別体に構成して、制御部22と有線接続又は無線接続されるように構成されてもよい。
【0073】
また、上述した実施例では、センサ内蔵無線通信デバイス2を用いたセンサネットワーク1の適用例として、災害検知及び避難誘導システム101について説明したが、例えば、センサ内蔵無線通信デバイス2を用いて施設内の通行量をセンシングしてモニタリングするシュミレーションシステムや、センサ部20としての電子トリアージを用いたバイタルセンシング技術を応用して、施設内のバイタルサイン情報をセンシングして救急医療を支援する救急医療支援システムとして適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 センサネットワーク
2 センサ内蔵無線通信デバイス
3 外部装置
4 外部端末装置
20 センサ部
21 通信部
21a 第一通信部
21b 第二通信部
21c 第三通信部
22 制御部
23 電源部
24 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部環境をセンシングして外部情報を取得するセンサ部と、無線通信により前記外部情報を含む所定情報を送受信可能な通信部と、前記センサ部及び前記通信部を制御する制御部とを具備してなり、無線ネットワークに接続されたセンサネットワークを構成するセンサ内蔵無線通信デバイスにおいて、
前記通信部は、
近距離無線通信により他のセンサ内蔵無線通信デバイスとの間で通信可能な第一通信部と、
広域無線通信により広域通信ネットワークに接続された外部装置と通信可能な第二通信部と、
短距離無線通信により外部端末装置との間で通信可能な第三通信部と、
が設けられることを特徴とするセンサ内蔵無線通信デバイス。
【請求項2】
前記制御部は、前記第一通信部を、他の全てのセンサ内蔵無線通信デバイスとの間で前記所定情報を送受信する通信方式、又は所定のセンサ内蔵無線通信デバイスを介してのみ他のセンサ内蔵無線通信デバイスとの間で前記所定情報を送受信する通信方式で通信可能に制御することを特徴とする請求項1に記載のセンサ内蔵無線通信デバイス。
【請求項3】
前記制御部は、前記第二通信部を、所定のセンサ内蔵無線通信デバイスにおいてのみ前記外部装置との間で前記所定情報を送受信する通信方式で通信可能に制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセンサ内蔵無線通信デバイス。
【請求項4】
前記第一通信部は、IEEE802.15に準拠したプロトコルに従って無線通信を行う通信モジュールとして構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のセンサ内蔵無線通信デバイス。
【請求項5】
前記第三通信部は、RF−IDにより無線通信を行う通信モジュールとして構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のセンサ内蔵無線通信デバイス。
【請求項6】
独立電源モジュールとして構成される電源部を具備してなることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のセンサ内蔵無線通信デバイス。
【請求項7】
前記請求項1乃至請求項6に記載のセンサ内蔵無線通信デバイスを備えた画像表示装置であって、
前記センサ内蔵無線通信デバイスは、所定の画像情報を出力する出力部を具備してなることを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
施設内の多数箇所に設置される避難誘導標識装置として構成されることを特徴とする請求項7に記載の画像表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−64181(P2012−64181A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210294(P2010−210294)
【出願日】平成22年9月20日(2010.9.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.ZIGBEE
【出願人】(000167820)広島化成株式会社 (65)
【Fターム(参考)】