説明

ソフトモールド及びそれを用いた液晶表示装置の製造方法

【課題】ソフトモールド、及びフォトリソグラフィ技術の代わりに、このソフトモールドを用いたソフトリソグラフィ技術によって液晶表示装置を製造する方法を提供する。
【解決手段】ソフトモールドは、96wt%以上の親水性液状プレポリマーと、1〜3wt%の光開始剤と、0.01〜1wt%の界面活性剤とを含む樹脂組成物を硬化させたものである。親水性液状プレポリマーは、親水性アクリレートプレポリマーであることが好ましく、HEA、EGDMA、HPA及びHPPAの少なくとも1つを含むことが更に好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置の製造方法に関し、より詳しくは、ソフトリソグラフィに用いられるソフトモールド及びそれを用いた液晶表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、ディスプレイ装置は、視覚情報伝達媒体としてその重要性が一層高まっており、競争力のある様々なディスプレイ装置が多く開発されている。このような様々なディスプレイ装置の中で今後主要な位置を占めるためには、低消費電力化、薄型化、軽量化、高画質化などの要件を満たさなければならない。
【0003】
現在、フラットパネルディスプレイ(FPD)の主力製品である液晶表示装置(LCD)は、このようなディスプレイ装置の条件を満たす性能だけでなく、量産性をも備えているため、大型テレビやコンピュータモニタなどの様々な応用分野に広く使用されており、既存の陰極線管(CRT)が支配していた市場を代替することのできる核心ディスプレイ装置として定着している。
一般に、液晶表示装置は、マトリクス状に配列された液晶セルに画像情報によるデータ信号を個別に供給して、前記各液晶セルの光透過率を調節することにより、所望の画像を表示できるようにした表示装置である。
【0004】
以下、一般的な液晶表示装置の構成について図5を参照して詳細に説明する。
図5は一般的な液晶表示装置の構成を示す分解斜視図である。
図5に示すように、一般的な液晶表示装置は、上板であるカラーフィルタ基板113と、下板である薄膜トランジスタアレイ基板101と、カラーフィルタ基板113と薄膜トランジスタアレイ基板101との間に形成された液晶層109とから構成される。
カラーフィルタ基板113は、赤(R)、緑(G)、青(B)の色を実現する複数のサブカラーフィルタで構成されたカラーフィルタ117と、サブカラーフィルタを区分して液晶層109を透過する光を遮断するブラックマトリクス115と、液晶層109に電圧を印加する透明な共通電極111とからなる。
また、薄膜トランジスタアレイ基板101は、縦横に配列されて複数の画素領域Pを定義する複数のゲートライン103及びデータライン105と、ゲートライン103とデータライン105との交差領域に形成されたスイッチング素子である薄膜トランジスタTFTと、各画素領域Pに形成された画素電極107とからなる。
【0005】
前述した液晶表示装置を含む大部分のフラットパネルディスプレイの製造方法において基板上に積層される薄膜物質は、フォトリソグラフィ工程によりパターニングされる。
以下、フォトリソグラフィによるパターニング方法について説明する。
まず、所定のパターンを形成しようとする薄膜上に感光物質であるフォトレジストを塗布した後、パターンが形成されたフォトマスクを整列して露光工程を行う。ここで、フォトマスクは所定の透過領域と遮断領域とからなり、前記透過領域を通過した光は前記フォトレジストを化学的に変化させる。
前記フォトレジストの化学的変化は、フォトレジストの種類によって異なるが、ポジ型フォトレジストの場合は、受光した部分が現像液により溶解される性質に変化し、逆に、ネガ型フォトレジストの場合は、受光した部分が現像液により溶解されない性質に変化する。ここでは前記ポジ型フォトレジストを使用した場合を例に挙げて説明する。
前記露光工程に引き続き、前記フォトレジストの露光された部分を現像液により除去すると、前記薄膜上に所定のフォトレジストパターンが形成される。
次に、前記薄膜を前記フォトレジストパターンの形状にエッチングし、残ったフォトレジストパターンを除去すると、所定形状の薄膜パターンが形成される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、前述したフォトリソグラフィ工程は、高価なフォトマスクを必要とし、露光及び現像などの複雑な工程が要求されるため、工程コストが高くて歩留まりが低いという問題があった。
本発明は、このような技術の問題を解決するためになされたもので、ソフトモールド、及びフォトリソグラフィ技術の代わりに、このソフトモールドを用いたソフトリソグラフィ技術によって液晶表示装置を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明によるソフトモールドは、96wt%以上の親水性液状プレポリマーと、1〜3wt%の光開始剤と、0.01〜1wt%の界面活性剤とを含む樹脂組成物を硬化させたものである。
また、本発明による液晶表示装置の製造方法は、第1基板及び第2基板を提供する段階と、前記第1基板上にブラックマトリクスを形成する段階と、前記ブラックマトリクス上にカラーフィルタを形成する段階と、親水性を有するソフトモールドを利用して、前記カラーフィルタ上に柱状スペーサを含むオーバーコート層を形成する段階と、前記第2基板上にゲート電極を形成する段階と、前記ゲート電極上にゲート絶縁膜を形成する段階と、前記第2基板上にソース電極、ドレイン電極、及びアクティブパターンを含む薄膜トランジスタを形成する段階と、前記第2基板上に保護層を形成する段階と、前記第2基板上に画素電極を形成する段階と、前記第1基板と前記第2基板との間に液晶層を形成する段階と、前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる段階とを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明による液晶表示装置の製造方法は、フォトリソグラフィ技術の代わりにソフトリソグラフィ技術を用いることにより、コストを低減することができ、生産歩留まりを増加させることができるという効果がある。
また、本発明によるソフトモールドは、親水性を有しており、エッチレジストとの接触性がよいため、パターン形成時に不良を減少させることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明によるソフトモールド及びそれを用いた液晶表示装置の製造方法の好ましい実施形態について詳細に説明する。
図1A〜図1Cは、本発明の実施形態による薄膜パターニング方法を工程順に概略的に示した断面図である。この薄膜パターニング方法では、フォトリソグラフィ工程を用いることなくパターンを形成できる方法であるソフトリソグラフィを用いる。
図1Aに示すように、基板201上に所定の薄膜203aを形成し、その上に液状樹脂などでエッチレジスト205aを形成する。
次に、薄膜203a及びエッチレジスト205aが形成された基板201の上部から、凸パターン(embossed pattern)A及び凹パターン(depressed pattern)Bからなる本実施形態のソフトモールド207aをエッチレジスト205aの表面に接触させる。ここで、ソフトモールド207aは、ソフトモールド用樹脂組成物を硬化させて製造できる。
【0010】
パターンが形成される部分に対応するように、ソフトモールド207aをエッチレジスト205aの表面に接触させると、エッチレジスト205aが液状樹脂であるので、毛細管力及びソフトモールド207aの高い表面エネルギーにより、所定のエッチレジスト205aがソフトモールド207aの凹パターンBに移動する。ここで、必要に応じて、ソフトモールド207aをエッチレジスト205aの表面に接触させると同時に加圧する過程を行う。
【0011】
次に、所定時間経過後、ソフトモールド207aを基板201から分離させると、図1Bに示すように、凹パターンBの形状と同一の所定形状を有するエッチレジストパターン206aが薄膜203a上に残る。ここで、所定のエッチレジストがエッチレジストパターン206a以外の部分に残っていることがあり、この場合は、残っているエッチレジストを除去するためのアッシング工程を行う。
【0012】
次に、図1Cに示すように、エッチレジストパターン206aをマスクにして薄膜203aを選択的にエッチングした後、エッチレジストパターン206aを除去すると、薄膜パターン203が形成される。
【0013】
前述したように、本発明の実施形態によるソフトリソグラフィ工程は、ソフトモールドをエッチレジストに接触させてエッチレジストパターンを形成する段階を含むことを特徴とする。ここで、エッチレジストは、ソフトモールドの凹パターンに移動して、その凹パターンに対応するエッチレジストパターンを形成する。
しかし、エッチレジストとソフトモールドの表面間の反発力が大きい場合、すなわち、ソフトモールドの表面エネルギーが低いためにエッチレジストとソフトモールド間の接着力が弱い場合は、エッチレジストがソフトモールドの凹パターンに十分に移動しないため、エッチレジストパターンの形成が難しくなる。この状態で後工程を行った場合、パターンが正しく形成されない不良が発生する可能性がある。
従って、良質のパターンを形成するためには、エッチレジストとソフトモールド間の接着力を向上させることにより、両物質間のコンタクトを良好にしなければならない。
【0014】
このように、接触する2つの物質間の接着力及び拡散性は表面エネルギーに依存し、ソフトモールドの表面エネルギーが大きいほどエッチレジストとの接着力及び拡散性がよくなる。また、2つの物質間の接着力は2つの物質の親水性に依存するが、親水性が大きい物質であるほど接着力が大きくなり、疎水性が大きい物質であるほど接着力が小さくなる傾向がある。
【0015】
そこで、本発明は、光硬化性材料(紫外線硬化材料)を利用して親水性を有し且つ表面エネルギーの高いソフトモールドを形成し、これを用いて液晶表示装置を製造する方法を提供する。
【0016】
図2A〜図2Eは、本発明の第1実施形態によるソフトモールド製造方法を工程順に示す断面図である。
図2Aに示すように、基板301にソフトモールドを形成するためのソフトモールド用樹脂組成物305を塗布する。ここで、ソフトモールド用樹脂組成物305は、パターンを形成するための光硬化性液状物質からなり、基板301は、ガラス又はPET(polyethylene terephthalate)などで形成することができる。
【0017】
次に、図2B及び図2Cに示すように、ソフトモールドのパターンに対応する所定のパターンが形成されたマスター基板307を準備し、ソフトモールド用樹脂組成物305の上部表面に接触させる。必要な場合、圧力又は熱を加えてソフトモールド用樹脂組成物305の移動性を増加させることもできる。
ここで、マスター基板307は、マスター基板307上に形成された所定の凹パターン又は凸パターンを含む。マスター基板307としては、ガラス板又はガラス板上に金属が積層されたものを使用してもよく、プラスチックなどのフレキシブル基板又はフレキシブル基板上に金属が積層されたものを使用してもよい。
また、前記所定のパターンを構成する物質としては、金属、酸化シリコン、窒化シリコン、フォトレジスト、ワックスのいずれか1つを使用することができる。
マスター基板307がソフトモールド用樹脂組成物305に接触すると、ソフトモールド用樹脂組成物305は液状であるのでマスター基板307の凹部に移動する。
【0018】
次に、図2Dに示すように、ソフトモールド用樹脂組成物305からソフトモールドを形成するために光を利用して硬化させる。
ここで、本発明の第1実施形態によるソフトモールド用樹脂組成物305は、光の照射により硬化する物質からなる。特に、紫外線(UV)領域の光によりソフトモールド用樹脂組成物305を硬化させる場合は、300〜500nmの光を使用することが好ましい。
【0019】
次に、図2Eに示すように、ソフトモールド用樹脂組成物305が硬化してソフトモールド305´が形成されると、基板301からマスター基板307を分離する。
【0020】
図3A〜図3Eは、本発明の第2実施形態によるソフトモールド製造方法を工程順に示す断面図である。
まず、図3Aに示すように、ソフトモールドのパターンに対応する所定のパターンが形成されたマスター基板407を準備する。
前述したように、マスター基板407は、マスター基板407上に形成された所定の凹パターン又は凸パターンを含み、マスター基板407としては、ガラス板又はガラス板上に金属が積層されたものを使用してもよく、プラスチックなどのフレキシブル基板又はフレキシブル基板上に金属が積層されたものを使用してもよい。
また、前記所定のパターンを構成する物質としては、金属、酸化シリコン、窒化シリコン、フォトレジスト、ワックスのいずれか1つを使用することができる。
【0021】
次に、図3Bに示すように、スピンコートなどの方式を用いて、マスター基板407上にソフトモールドを形成するための樹脂組成物層405を塗布する。ここで、樹脂組成物層405は、パターンを形成するための光硬化性液状物質からなる。
次に、図3Cに示すように、樹脂組成物層405の上部表面に所定の基板(バックプレーン)401を接触させる。ここで、基板401はガラス又はPETなどで形成することができる。必要な場合、樹脂組成物層405と基板401との間には所定の接着物質(図示せず)を介在させることができる。
次に、図3Dに示すように、基板401を介して所定の光を照射することにより、樹脂組成物層405が硬化して所定のソフトモールド405’が形成される。
ここで、本発明の第2実施形態による樹脂組成物層405としては、前記第1実施形態と同様に、光の照射により硬化する物質からなり、紫外線領域の光により樹脂組成物層405を硬化させる場合は、300〜500nmの光を使用することが好ましい。
次に、図3Eに示すように、樹脂組成物層405が硬化してソフトモールド405’が形成されると、基板401からマスター基板407を分離する。
【0022】
前述したように、本発明によるソフトモールド用樹脂組成物は、光硬化性を有する液状であることが好ましい。また、後の液晶表示装置などのパターン形成時にエッチレジストとの接触性をよくするために、親水性を有することが好ましい。
【0023】
これにより、本発明によるソフトモールドの材料、すなわち、ソフトモールド用樹脂組成物は、96wt%以上の光硬化型親水性液状プレポリマーと、約1〜3wt%の光開始剤と、約0.01〜1wt%の界面活性剤とを含み、光の照射により硬化する物質からなることを特徴とする。例えば、前記光硬化型親水性液状プレポリマーは98wt%、前記光開始剤は1.5wt%、前記界面活性剤は0.5wt%にすることができる。
【0024】
前記親水性液状プレポリマーは、光硬化が可能なプレポリマーであり、アクリレートプレポリマー(acrylate prepolymer)を含む。前記アクリレートプレポリマーとしては、HEA(2-hydroxyethyl acrylate)、EGDMA(ethyleneglycol dimethacrylate)、EGPEA(ethyleneglycol phenyletheracrylate)、HPA(hydroxypropyl acrylate)、HPPA(hydroxyphenoxypropyl acrylate)などを挙げることができ、光硬化が可能な親水性アクリレートプレポリマーを含む。
前記親水性液状プレポリマーとしては、必要に応じて、前述したプレポリマーのいずれか1つのみを使用してもよく、2つ以上を混合して使用してもよい。
【0025】
前記光開始剤は、光の照射によりラジカルを形成して高分子化(polymerization)を開始させる物質であり、Irgacure 369、Irgacure 184、Irgacure 819などの光硬化が可能な開始剤を含む。前記光開始剤としては、必要に応じて、前述した開始剤のいずれか1つのみを使用してもよく、2つ以上を混合して使用してもよい。
【0026】
前記界面活性剤は、表面張力又は表面エネルギーを変化させるために添加するもので、デュポン社のFSO−100などを使用することができる。
【0027】
前述した本発明によるソフトモールド用樹脂組成物は、光が照射されると光開始剤による光反応によりラジカルが形成されて高分子化して硬化する。特に、UV領域の光の照射により硬化して成形されることを特徴とし、前記ソフトモールド用樹脂組成物の硬化には、前記UV領域のうち300〜500nmの光を使用することができる。
【0028】
このようなソフトモールド用樹脂組成物を用いた薄膜パターニング方法は、液晶表示装置のゲート電極、アクティブパターン、ソース/ドレイン電極、画素電極、カラーフィルタ、ブラックマトリクス、又は柱状スペーサを含むオーバーコート層の形成段階などで用いることができる。
また、前記ソフトモールド用樹脂組成物を用いた薄膜パターニング方法は、液晶表示装置だけでなく、OLED(Organic Light Emitting Diode)やその他のフラットパネルディスプレイを製造する過程で用いることができる。
【0029】
以下、前述した本発明によるソフトモールド及びソフトモールド製造方法を用いた液晶表示装置の製造方法について説明する。
液晶表示装置の製造工程は、下部のアレイ基板に駆動素子を形成する駆動素子アレイ工程と、上部のカラーフィルタ基板にカラーフィルタを形成するカラーフィルタ工程と、セル工程とに区分される。
まず、駆動素子アレイ工程により、アレイ基板に配列されて画素領域を画定する複数のゲートライン及び複数のデータラインを形成し、前記画素領域のそれぞれに前記ゲートライン及び前記データラインに接続される駆動素子である薄膜トランジスタを形成する。そして、前記駆動素子アレイ工程により、前記薄膜トランジスタに接続されて、前記薄膜トランジスタを介して信号が供給されることによって液晶層を駆動する画素電極を形成する。
【0030】
また、図4A〜図4Cに示すように、カラーフィルタ基板411には、カラーフィルタ工程により、サブカラーフィルタを区分して液晶層を透過する光を遮断するブラックマトリクス412、及び赤、緑、青の色を実現する複数のサブカラーフィルタで構成されたカラーフィルタ413を形成する。さらに、ブラックマトリクス412及びカラーフィルタ413上には、柱状スペーサ416を含むオーバーコート層415を形成する。
【0031】
ここで、前記カラーフィルタ工程における柱状スペーサ416を含むオーバーコート層415などのパターンは、前述した本発明によるソフトモールド405’及びソフトモールド製造方法を用いて形成することができる。
例えば、カラーフィルタ基板411に柱状スペーサ416を含むオーバーコート層415などのパターンを形成するために、形成しようとするパターンに対応する所定のパターンが形成されたマスター基板(図示せず)を準備する。
次に、スピンコートなどの方式を用いて、前記マスター基板上にソフトモールド405’を形成するための樹脂組成物層などの所定の薄膜を形成する。ここで、ソフトモールド405’を形成するための樹脂組成物層は光硬化性液状物質からなる。
次に、前記樹脂組成物層の表面に、ブラックマトリクス412及びカラーフィルタ413が形成されたカラーフィルタ基板411を接触させる。必要な場合、前記樹脂組成物層とカラーフィルタ基板411との間には所定の接着物質(図示せず)を介在させることができる。
次に、カラーフィルタ基板411を介して所定の光を照射することにより、前記樹脂組成物層を硬化させて所定のソフトモールド405’を形成する。
次に、前記樹脂組成物層が硬化してソフトモールド405’が形成された後、カラーフィルタ基板411から前記マスター基板を分離すると、カラーフィルタ基板411上に柱状スペーサ416を含むオーバーコート層415層が形成される。
【0032】
次に、前記アレイ基板及び前記カラーフィルタ基板にそれぞれ配向膜を塗布した後、前記アレイ基板と前記カラーフィルタ基板との間に形成される液晶層の液晶分子に配向規制力又は表面固定力(すなわち、プレチルト角及び配向方向)を提供するために、前記配向膜を配向処理する。
【0033】
次に、前記配向処理を施した後、前記アレイ基板又は前記カラーフィルタ基板にセルギャップを一定に維持するためのスペーサを形成し、前記カラーフィルタ基板の外郭部にシール材を塗布した後、前記アレイ基板と前記カラーフィルタ基板とを加圧して貼り合わせる。
【0034】
前記アレイ基板及び前記カラーフィルタ基板は、大面積の母基板からなる。言い換えれば、前記大面積の母基板に複数のパネル領域が形成され、前記パネル領域のそれぞれに駆動素子である薄膜トランジスタ及びカラーフィルタ層が形成されるため、個々の液晶表示パネルを製造するためには、前記母基板を切断及び加工しなければならない。
【0035】
次に、前記加工された個々の液晶表示パネルに液晶注入口から液晶を注入し、前記液晶注入口を封止して液晶層を形成した後、それぞれの液晶表示パネルを検査することにより、液晶表示パネルを製造する。
ここで、前記液晶の注入のためには圧力差を利用した真空注入方式を用いる。前記真空注入方式は、所定の真空度に設定されたチャンバ内で、大面積の母基板から分離された単位液晶表示パネルの液晶注入口を液晶が充填された容器に浸液した後、真空度を変化させることにより、前記液晶表示パネルの内部と外部との圧力差により前記液晶表示パネルの内部に液晶を注入する方式である。このように液晶が液晶表示パネルの内部に充填されると、液晶注入口を密封して液晶表示パネルの液晶層を形成する。従って、前記液晶表示パネルに真空注入方式により液晶層を形成する場合は、シールパターンの一部が開放されるように形成して、液晶注入口の機能を持たせる。
【0036】
一方、液晶層の形成において滴下方式を用いる場合は、前記配向処理を施した後、前記カラーフィルタ基板にシーラントで所定のシールパターンを形成すると共に、前記アレイ基板に液晶を滴下する。
前記滴下方式は、ディスペンサを利用して、複数のアレイ基板が配置された大面積の第1母基板、又は複数のカラーフィルタ基板が配置された第2母基板の画像表示領域に液晶を滴下及び分配し、前記第1母基板と前記第2母基板とを貼り合わせる圧力により前記画像表示領域全体に液晶を均一に分布させて液晶層を形成する方式である。
【0037】
従って、前記液晶表示パネルに滴下方式により液晶層を形成する場合は、液晶が画像表示領域の外部に漏洩することを防止できるように、シールパターンを前記画像表示領域の外郭を取り囲む閉鎖された形状に形成する。
前記滴下方式は、前記真空注入方式に比べて短時間で液晶を滴下することができ、液晶表示パネルが大型化する場合も液晶層を非常に迅速に形成することができる。
また、基板上に必要量の液晶のみ滴下するため、前記真空注入方式のような高価な液晶の廃棄による液晶表示パネルのコスト上昇を防止し、製品の価格競争力を向上させる。
【0038】
次に、前記アレイ基板と前記カラーフィルタ基板とを整列した状態で加圧して、前記シール材により前記アレイ基板と前記カラーフィルタ基板とを貼り合わせると共に、滴下された液晶が液晶表示パネル全体にわたって均一に広がるようにする。このような工程により、貼り合わせられた大面積の第1及び第2母基板には、液晶層が形成された複数の液晶表示パネルが形成され、貼り合わせられた第1及び第2母基板を加工、切断して複数の液晶表示パネルに分離し、それぞれの液晶表示パネルを検査することにより、液晶表示パネルを製造する。
【0039】
以上の説明に多くの事項が具体的に記載されているが、これは発明の範囲を限定するものではなく、好ましい実施形態の例示として解釈されるべきである。従って、本発明の範囲は、前述した実施形態によって定められるのでなく、特許請求の範囲とその均等物によって定められなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1A】本発明の実施形態による薄膜パターニング方法を示す断面図である。
【図1B】図1Aに続く工程の断面図である。
【図1C】図1Bに続く工程の断面図である。
【図2A】本発明の第1実施形態によるソフトモールド製造方法を示す断面図である。
【図2B】図2Aに続く工程の断面図である。
【図2C】図2Bに続く工程の断面図である。
【図2D】図2Cに続く工程の断面図である。
【図2E】図2Dに続く工程の断面図である。
【図3A】本発明の第2実施形態によるソフトモールド製造方法を示す断面図である。
【図3B】図3Aに続く工程の断面図である。
【図3C】図3Bに続く工程の断面図である。
【図3D】図3Cに続く工程の断面図である。
【図3E】図3Dに続く工程の断面図である。
【図4A】本発明の第2実施形態によるソフトモールドを利用して柱状スペーサを含むオーバーコート層を形成する工程を示す断面図である。
【図4B】図4Aに続く工程の断面図である。
【図4C】図4Bに続く工程の断面図である。
【図5】一般的な液晶表示装置の構成を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
101 薄膜トランジスタアレイ基板、103 ゲートライン、105 データライン、107 画素電極、109 液晶層、113,411 カラーフィルタ基板、111 共通電極、115,412 ブラックマトリクス、201,301,401 基板、203a 薄膜、203 薄膜パターン、205a エッチレジスト、206a エッチレジストパターン、207a,305’,405’ ソフトモールド、305 ソフトモールド用樹脂組成物、307,407 マスター基板、405 樹脂組成物層、413 カラーフィルタ、415 オーバーコート層、416 柱状スペーサ、A 凸パターン、B 凹パターン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
96wt%以上の親水性液状プレポリマーと、
1〜3wt%の光開始剤と、
0.01〜1wt%の界面活性剤と
を含む樹脂組成物を硬化させてなることを特徴とするソフトモールド。
【請求項2】
前記プレポリマーが、親水性アクリレートプレポリマーであることを特徴とする請求項1に記載のソフトモールド。
【請求項3】
前記アクリレートプレポリマーが、HEA(2-hydroxyethyl acrylate)、EGDMA(ethyleneglycol dimethacrylate)、EGPEA(ethyleneglycol phenyletheracrylate)、HPA(hydroxypropyl acrylate)及びHPPA(hydroxyphenoxypropyl acrylate)の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項2に記載のソフトモールド。
【請求項4】
前記ソフトモールドが親水性であることを特徴とする請求項1に記載のソフトモールド。
【請求項5】
凹パターン又は凸パターンを有するマスター基板を提供する段階と、
前記マスター基板に、96wt%以上の親水性液状プレポリマー、1〜3wt%の光開始剤、及び0.01〜1wt%の界面活性剤を含む樹脂組成物層を形成する段階と、
前記樹脂組成物層にUV光を照射して前記樹脂組成物層を硬化させる段階と、
前記硬化した樹脂組成物層を前記マスター基板から分離する段階とを含み、
前記硬化した樹脂組成物層がソフトモールドを含むことを特徴とするソフトモールド製造方法。
【請求項6】
前記プレポリマーが、親水性アクリレートプレポリマーであることを特徴とする請求項5に記載のソフトモールド製造方法。
【請求項7】
前記アクリレートプレポリマーが、HEA(2-hydroxyethyl acrylate)、EGDMA(ethyleneglycol dimethacrylate)、EGPEA(ethyleneglycol phenyletheracrylate)、HPA(hydroxypropyl acrylate)及びHPPA(hydroxyphenoxypropyl acrylate)の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項6に記載のソフトモールド製造方法。
【請求項8】
前記UV光が300nm〜500nmの波長を有することを特徴とする請求項5に記載のソフトモールド製造方法。
【請求項9】
前記マスター基板に前記樹脂組成物層を形成した後、前記樹脂組成物層に接着物質を含む基板(バックプレーン)を貼り合わせる段階をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載のソフトモールド製造方法。
【請求項10】
前記ソフトモールドが親水性であることを特徴とする請求項5に記載のソフトモールド製造方法。
【請求項11】
基板上に薄膜を形成する段階と、
前記基板の薄膜上にレジストを形成する段階と、
前記レジスト上に親水性を有し且つ少なくとも1つの凹パターンを有するソフトモールドを配置する段階と、
前記基板から前記ソフトモールドを除去して、前記基板上に少なくとも1つのパターンを形成する段階と
を含むことを特徴とするソフトモールドを利用したパターン形成方法。
【請求項12】
前記親水性を有するソフトモールドは、
96wt%以上の親水性液状プレポリマーと、
1〜3wt%の光開始剤と、
0.01〜1wt%の界面活性剤と
を含む樹脂組成物を硬化させてなることを特徴とする請求項11に記載のソフトモールドを利用したパターン形成方法。
【請求項13】
前記プレポリマーが、親水性アクリレートプレポリマーであることを特徴とする請求項12に記載のソフトモールドを利用したパターン形成方法。
【請求項14】
前記アクリレートプレポリマーが、HEA(2-hydroxyethyl acrylate)、EGDMA(ethyleneglycol dimethacrylate)、EGPEA(ethyleneglycol phenyletheracrylate)、HPA(hydroxypropyl acrylate)及びHPPA(hydroxyphenoxypropyl acrylate)の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項13に記載のソフトモールドを利用したパターン形成方法。
【請求項15】
光を利用して前記レジストを硬化させることにより、前記少なくとも1つの凹パターンに対応する少なくとも1つのレジストパターンを形成する段階と、
前記少なくとも1つのレジストパターンをマスクにして前記薄膜をパターニングすることにより、前記少なくとも1つのレジストパターンに対応する少なくとも1つの薄膜パターンを形成する段階と、
前記少なくとも1つのレジストパターンを除去することにより、前記基板上に少なくとも1つのパターンを形成する段階と
をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載のソフトモールドを利用したパターン形成方法。
【請求項16】
前記基板の少なくとも1つのパターンが、柱状スペーサとオーバーコート層とを含むことを特徴とする請求項15に記載のソフトモールドを利用したパターン形成方法。
【請求項17】
前記柱状スペーサと前記オーバーコート層とが1つの構造からなることを特徴とする請求項15に記載のソフトモールドを利用したパターン形成方法。
【請求項18】
第1基板及び第2基板を提供する段階と、
前記第1基板上にブラックマトリクスを形成する段階と、
前記ブラックマトリクス上にカラーフィルタを形成する段階と、
親水性を有するソフトモールドを利用して、前記カラーフィルタ上に柱状スペーサを含むオーバーコート層を形成する段階と、
前記第2基板上にゲート電極を形成する段階と、
前記ゲート電極上にゲート絶縁膜を形成する段階と、
前記第2基板上にソース電極、ドレイン電極、及びアクティブパターンを含む薄膜トランジスタを形成する段階と、
前記第2基板上に保護層を形成する段階と、
前記第2基板上に画素電極を形成する段階と、
前記第1基板と前記第2基板との間に液晶層を形成する段階と、
前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせる段階と
を含むことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項19】
前記親水性を有するソフトモールドは、
96wt%以上の親水性液状プレポリマーと、
1〜3wt%の光開始剤と、
0.01〜1wt%の界面活性剤と
を含む樹脂組成物を硬化させてなることを特徴とする請求項18に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項20】
前記プレポリマーが、HEA(2-hydroxyethyl acrylate)、EGDMA(ethyleneglycol dimethacrylate)、EGPEA(ethyleneglycol phenyletheracrylate)、HPA(hydroxypropyl acrylate)及びHPPA(hydroxyphenoxypropyl acrylate)の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項19に記載の液晶表示装置の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−6821(P2008−6821A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−171037(P2007−171037)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(599127667)エルジー フィリップス エルシーディー カンパニー リミテッド (279)
【Fターム(参考)】