ソルダペースト印刷用マスクの洗浄方法およびソルダペースト印刷機
【課題】ソルダペースト印刷用マスクを用いてソルダペーストを印刷した後に残留するソルダペーストを効率よく洗浄して除去することが可能なソルダペースト印刷用マスクの洗浄方法およびソルダペースト印刷機を提供する。
【解決手段】ソルダペースト印刷機に配設され、印刷後の印刷用マスクをソルダペースト印刷機から取り外すことなく自動で洗浄するように構成された洗浄機構により、ソルダペースト印刷後のソルダペーストが付着した印刷用マスクを洗浄するにあたって、アルコール系溶剤とエチレングリコール系溶剤を含有する洗浄液で印刷用マスクを湿式洗浄するとともに、洗浄後の洗浄液の付着した印刷用マスクに対してブロー処理と、吸引処理の少なくとも一方を実施する。
洗浄液中のエチレングリコール系溶剤の割合を10〜90体積%とする。
【解決手段】ソルダペースト印刷機に配設され、印刷後の印刷用マスクをソルダペースト印刷機から取り外すことなく自動で洗浄するように構成された洗浄機構により、ソルダペースト印刷後のソルダペーストが付着した印刷用マスクを洗浄するにあたって、アルコール系溶剤とエチレングリコール系溶剤を含有する洗浄液で印刷用マスクを湿式洗浄するとともに、洗浄後の洗浄液の付着した印刷用マスクに対してブロー処理と、吸引処理の少なくとも一方を実施する。
洗浄液中のエチレングリコール系溶剤の割合を10〜90体積%とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ソルダペースト印刷機に設けられた洗浄機構により、ソルダペーストを印刷した後のソルダペースト印刷用マスクを洗浄する方法、および、ソルダペースト印刷用マスクを洗浄するための洗浄機構を備えたソルダペースト印刷機に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の製造工程では、はんだ付けのためのソルダペーストを、ソルダペースト印刷機を用いて印刷することが広く行われている。
【0003】
このソルダペースト印刷機を用いた方法は、例えば、基板(半導体装置、配線基板、電子部品装置など)上に配設された電極パッド上に、印刷用マスクに形成された開口部(開口パターン)を対向させるように配置・接触させ、印刷用マスク上に供給したソルダペーストを、スキージを移動させることにより開口パターン内に充填し、基板と印刷用マスクを版離れさせることによってソルダペーストを電極上に供給する方法である。
【0004】
ところで、ソルダペースト印刷用マスクを用いてソルダペーストの印刷を行う場合、寸法精度や形状精度の高い印刷パターンを得るためには、ソルダペーストを印刷した後に、ソルダペースト印刷用マスクに残留するソルダペーストを洗浄して除去することが必要になる。
【0005】
そして、ペースト印刷用マスクの洗浄方法として、洗浄液(溶剤)を用いて湿式洗浄(や溶剤の吹き付け)を行った後、ペースト印刷用マスクに拭き取り材を通して吸引ノズルで吸引するか、気体を吹き付けて洗浄液(溶剤)および残留したソルダペーストを除去する方法が一般的に用いられている。
【0006】
そして、上記一般的なペースト印刷用マスクの洗浄方法の一つに、図11に示すように、溶剤吹き付けノズル63から溶剤を吹き付けて清浄シート51に含浸させた後、印刷用スクリーン52の第1面52aに空気吹き付けノズル64から空気を吹き付け、かつ、該第1面52aの反対面である第2面52b側に配設された、空気吸引部65の空気吸引孔66から空気を吸引しつつ、清浄シート51の溶剤含浸部分を印刷用スクリーン52の第2面52bに接触させて印刷用スクリーン52に付着した印刷用ペースト53を除去する方法が提案されている(特許文献1)。
【0007】
また、図12に示すように、拭き取り材71とクリーニングスキージ72による拭き取りクリーニングをベースとして、エアブローノズル73によるエア吹き付け、吸引ノズル74による吸引、溶剤塗布ノズル75による溶剤塗布を併用することにより、スクリーン76の清掃を行う方法(装置)が提案されている(特許文献2)。
【0008】
そして、上記特許文献1および特許文献2の方法においては、洗浄液(溶剤)として、例えばイソプロピルアルコールのようなアルコール系溶剤が用いられている。
【0009】
しかしながら、アルコール系溶剤を単独で洗浄液として使用した場合、印刷ペーストがソルダペーストである場合に、ソルダペーストに含まれるフラックス成分(特にロジン)を十分に溶解して除去することができず、洗浄後にもソルダペーストが印刷マスクに残留するという問題点がある。
【0010】
そして、洗浄液に溶解せずに残留した粘着性のあるロジンがマスクの壁面に付着すると、特に、印刷ペーストを通過させる開口パターンに微細な孔が形成された印刷マスクが用いられている場合には、印刷性の悪化が顕著になるという問題点がある。
【特許文献1】特開平6−122190号公報
【特許文献2】特開平10−180981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本願発明は、上記課題を解決するものであり、ソルダペースト印刷機に設けられた洗浄機構により、ソルダペーストを印刷した後のソルダペースト印刷用マスクを取り外すことなく自動的に、しかも効率よく洗浄することが可能なソルダペースト印刷用マスクの洗浄方法、および、ソルダペースト印刷用マスクを取り外すことなく自動的に、しかも効率よく洗浄することが可能な洗浄機構を備えたソルダペースト印刷機に関する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本願発明(請求項1)のソルダペースト印刷用マスクの洗浄方法は、
ソルダペースト印刷機に配設され、印刷後の印刷用マスクをソルダペースト印刷機から取り外すことなく自動的に洗浄するように構成された洗浄機構により、ソルダペースト印刷後のソルダペーストが付着した印刷用マスクを洗浄する方法であって、
アルコール系溶剤とエチレングリコール系溶剤を含有する洗浄液を用いて印刷用マスクを湿式洗浄する洗浄工程と、
前記洗浄工程で洗浄された印刷用マスクに対して、気体を吹き付けるブロー処理、および、印刷用マスクの周辺の気体を吸引する吸引処理の少なくとも一方を実施して、湿式洗浄後に残留したソルダペーストと洗浄液とを除去する洗浄液除去工程と
を具備することを特徴としている。
【0013】
また、請求項2のソルダペースト印刷用マスクの洗浄方法は、前記洗浄液中のエチレングリコール系溶剤の割合が10〜90体積%であることを特徴としている。
【0014】
また、本願発明(請求項3)のソルダペースト印刷機は、
印刷用マスクを用いてソルダペーストを印刷対象物に印刷する印刷機構と、
アルコール系溶剤とエチレングリコール系溶剤を含有する洗浄液を用いて、ソルダペーストを印刷した後の印刷用マスクを湿式洗浄する洗浄工程と、印刷用マスクに気体を吹き付けるブロー処理、および、印刷用マスクの周辺の気体を吸引する吸引処理の少なくとも一方を実施して印刷用マスクに付着した、湿式洗浄後に残留したソルダペーストと洗浄液とを除去する洗浄液除去工程とを、印刷用マスクをソルダペースト印刷機から取り外すことなく自動的に実施する洗浄機構と
を具備することを特徴としている。
【0015】
また、請求項4のソルダペースト印刷機は、
前記洗浄機構が、
印刷用マスクの下面側に配設され、少なくとも前記湿式洗浄時に印刷用マスクの下面と当接する洗浄ヘッドと、前記洗浄ヘッドに洗浄液を供給して印刷用マスクが洗浄ヘッドにより湿式洗浄されるようにする洗浄液供給部とを備えた湿式洗浄部と、
印刷用マスクの下面側から気体を吹き付けるブロー処理を行うブロー手段と、
印刷用マスクの下面側から印刷用マスクの周辺の気体を吸引する吸引手段と
を一体に備えており、かつ、
前記洗浄機構が、印刷用マスクの下面と略平行に所定方向に移動し、印刷用マスクの湿式洗浄と、ブロー処理および吸引処理の少なくとも一方を、印刷用マスクをソルダペースト印刷機から取り外すことなく自動的に実施することができるように構成されていること
を特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本願発明(請求項1)のソルダペースト印刷用マスクの洗浄方法は、ソルダペースト印刷機に配設され、印刷後の印刷用マスクをソルダペースト印刷機から取り外すことなく自動的に洗浄するように構成された洗浄機構により、ソルダペースト印刷後のソルダペーストが付着した印刷用マスクを洗浄する場合において、洗浄液として、アルコール系溶剤とエチレングリコール系溶剤を含有する洗浄液を用いて印刷用マスクを湿式洗浄するようにしているので、フラックスを含むソルダペーストを洗浄する場合にも、洗浄工程でソルダペースト(特にレジンなどを含むフラックス)を効率よく溶解して、ソルダペースト印刷用マスクを十分に洗浄することが可能になる。
そして、洗浄工程で洗浄された印刷用マスクに対し、気体を吹き付けるブロー処理と、印刷用マスクの周辺の気体を吸引する吸引処理の少なくとも一方を実施することにより、マスクに付着した、湿式洗浄後に残留したソルダペーストと、ソルダペースト成分が溶解した洗浄液とを効率よく除去することが可能になり、ソルダペースト印刷用マスクを清浄に保って良好な印刷性を維持することが可能になる。
【0017】
すなわち、洗浄液として、アルコール系溶剤とエチレングリコール系溶剤の混合液を使用することにより、ソルダペーストに含まれるフラックス成分を十分に溶解した状態とし、その後、ブロー処理または吸引処理の少なくとも一つを実施することにより、印刷用マスクの開口部(開口パターン)内に残留したソルダペーストを効率よく除去することが可能になる。
また、ソルダペースト印刷機によりソルダペーストを印刷した後に、印刷用マスクをソルダペースト印刷機から取り外すことなく自動的に洗浄するようにしているので、ソルダペースト印刷用マスクの洗浄に要する工程時間を短縮して、生産性を向上させることが可能になる。
【0018】
なお、本願発明において、「洗浄液を用いて印刷用マスクを湿式洗浄する」とは、例えば、洗浄液を印刷用マスクに吹き付けることにより、印刷用マスクと洗浄液と直接に接触させて洗浄する場合や、洗浄液をしみ込ませた洗浄パッド(洗浄用媒体)などを用いて、印刷用マスクに付着したソルダペーストをふき取るようにして洗浄する場合などを含む広い概念である。
【0019】
また、本願発明において洗浄液の構成成分として用いることが可能なエチレングリコール系溶剤としては、例えば、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノノルマルブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートをはじめ、その他の種々のエチレングリコール系溶剤を用いることが可能である。
また、本願発明において洗浄液の構成成分として用いることが可能なアルコール系溶剤としては、例えば、イソプロピルコール、エタノール、メタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、その他の種々のアルコール系溶剤を用いることが可能である。
なお、本願発明は、金属板に開口部(開口パターン)を設けたメタルマスクや、メッシュ材料を用いて形成したメッシュスクリーンマスクなど、種々の印刷用マスクを洗浄する場合に広く適用することが可能である。
【0020】
また、請求項2のソルダペースト印刷用マスクの洗浄方法のように、洗浄液中のエチレングリコール系溶剤の割合を10〜90体積%とすることにより、フラックスを含むソルダペーストが付着したソルダペースト印刷用マスクを洗浄する場合にも、効率よく洗浄することが可能になり、本願発明をさらに実効あらしめることが可能になる。
なお、エチレングリコール系溶剤の割合を10〜90体積%の範囲としたのは、エチレングリコール系溶剤の割合が10体積%未満になるとソルダペースト中のフラックスを十分に溶解させることが困難になり、また、エチレングリコール系溶剤の割合が90体積%を超えると、有機材料・複合材料などへのアタック性が強くなり、ソルダペースト印刷機の洗浄機構に用いられている部材を構成する材料(例えば、洗浄液を収容する洗浄液タンクや洗浄液を供給するための配管部材などの構成材料)などが制約されるため、設備コスト(材料コスト)の増大を招く場合があることによる。
【0021】
また、本願発明(請求項3)のソルダペースト印刷機は、印刷用マスクを用いてソルダペーストを印刷対象物に印刷する印刷機構と、アルコール系溶剤とエチレングリコール系溶剤を含有する洗浄液を用いて、ソルダペーストを印刷した後の印刷用マスクを湿式洗浄する洗浄工程と、印刷用マスクに気体を吹き付けるブロー処理、および、印刷用マスクの周辺の気体を吸引する吸引処理の少なくとも一方を実施して印刷用マスクに付着した、湿式洗浄後に残留したソルダペーストと洗浄液とを除去する洗浄液除去工程とを、印刷用マスクをソルダペースト印刷機から取り外すことなく自動的に実施する洗浄機構とを備えているので、ソルダペーストを印刷した後に、印刷用マスクに残留するソルダペーストを確実に除去して、ソルダペースト印刷機によるソルダペーストの印刷性を良好に維持することが可能になり、生産性を向上させることが可能になる。
【0022】
また、請求項4のソルダペースト印刷機は、洗浄機構が、印刷用マスクの下面側に配設され、湿式洗浄時に印刷用マスクの下面と当接する洗浄ヘッドと、洗浄ヘッドに洗浄液を供給して印刷用マスクが洗浄ヘッドにより湿式洗浄されるようにする洗浄液供給部とを備えた湿式洗浄部と、印刷用マスクの下面側から気体を吹き付けるブロー処理を行うブロー手段と、印刷用マスクの下面側から印刷用マスクの周辺の気体を吸引する吸引手段とを一体に備えており、かつ、洗浄機構が、印刷用マスクの下面と略平行に所定方向に移動し、印刷用マスクの湿式洗浄と、ブロー処理および吸引処理の少なくとも一方を、印刷用マスクをソルダペースト印刷機から取り外すことなく自動的に実施することができるように構成されているので、ソルダペーストを印刷した後に、印刷用マスクに残留するソルダペーストを、洗浄機構により、さらに効率よく、しかも確実に洗浄することが可能になり、本願発明をさらに実効あらしめることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に本願発明の実施例を示して、本願発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【実施例】
【0024】
図1は本願発明のソルダペースト印刷用マスクの洗浄方法が実施される、本願発明の一実施例にかかるソルダペースト印刷機1の構成を示す図、図2はソルダペースト印刷機1を用いてソルダペーストを印刷している状態を示す図である。
【0025】
このソルダペースト印刷機1は、ステージ7に載置された基板(例えば、半導体装置、配線基板、電子部品装置など)2上に形成された電極パッド8(図2)上に、印刷用マスク3に形成された開口部(開口パターン)4(図2)が電極パッド8と対向するように印刷用マスク3を配置し、印刷用マスク3上に供給したソルダペースト5を、スキージ6を移動させることにより開口パターン4(図2)内に充填し、図2に示すように、基板2と印刷用マスク3を版離れさせることによってソルダペースト5を電極パッド8上に供給することができるように構成されている。
【0026】
そして、このソルダペースト印刷機1には、ソルダペースト5を印刷した後の、残留ソルダペーストが付着した印刷用マスク3を洗浄する洗浄工程と、洗浄された印刷用マスク3に、気体を吹き付けるブロー処理、および、印刷用マスク3の周辺の気体を吸引する吸引処理の少なくとも一方を実施して、印刷用マスク3に付着した、湿式洗浄後に残留したソルダペーストと洗浄液とを除去する洗浄液除去工程を自動的に実施するための洗浄機構11を備えている。
【0027】
このソルダペースト印刷機1の洗浄機構11は、ソルダペースト5を印刷した後の印刷用マスク3をソルダペースト印刷機1から取り外すことなく、洗浄液を用いた湿式洗浄と、洗浄後の印刷用マスクに付着した、湿式洗浄後に残留したソルダペーストと洗浄液の除去を自動的に行うことができるように構成されている。
具体的には、ソルダペースト印刷機1の洗浄機構11は、印刷用マスク3の下面側に配設され、洗浄時に印刷用マスク3の下面と当接して、印刷用マスク3の洗浄を行う洗浄ヘッド12と、洗浄ヘッド12を印刷用マスク3の下面に当接させた状態で洗浄液を供給して印刷用マスク3を洗浄液で洗浄することができるようにする洗浄液供給部13と、印刷用マスク3の洗浄が終了した後で、洗浄ヘッド12を介して、印刷用マスク3の下面側から気体を吹き付けるブロー処理を行うブロー手段(ブローノズル)14と、ブロー処理を行った後に、洗浄された印刷用マスク3の下面側から、印刷用マスク3の周辺の気体を吸引する吸引手段(吸引ノズル)15とを備えている。
【0028】
そして、この洗浄機構11は、上下方向に移動させることができるように構成されているとともに、印刷用マスク3の下面に当接させた状態、および、印刷用マスク3の下面から所定の間隔をおいた状態で、図5の矢印AおよびBの方向に移動させることができるように構成されている。
【0029】
また、この実施例において、洗浄機構11を構成する洗浄ヘッド12には、コットン製のシート(クリーニングシート)が用いられており、図5に示すように、洗浄液供給部13を洗浄ヘッド12の下面に当接させた状態で、洗浄液供給部13から洗浄液を供給することにより洗浄液がしみ込んだ洗浄ヘッド12を、矢印AおよびBの方向に移動させることにより、印刷用マスク3を洗浄液がしみ込んだ洗浄ヘッド(クリーニングシート)12により湿式洗浄することができるように構成されている。
【0030】
また、ブロー手段(ブローノズル)14は、図6に示すように、印刷用マスク3の湿式洗浄が終了した後、洗浄ヘッド12を印刷用マスク3の下面から離した状態で、洗浄機構11を矢印AおよびBの方向に移動させながら、印刷用マスク3の下面側から気体(この実施例では空気)を吹き付けてブロー処理を行い、印刷用マスク3に付着した、湿式洗浄後に残留したソルダペーストと、ソルダペースト成分の溶解した洗浄液の主要部を吹き飛ばして除去することができるように構成されている。
【0031】
また、吸引手段(吸引ノズル)15は、上記ブロー処理を行った後、図7に示すように、洗浄ヘッド(クリーニングシート)12の、洗浄液が滲み込んでいない部分を印刷用マスク3の下面に当接させた状態で、洗浄機構11を、矢印AおよびBの方向に移動させながら印刷用マスク3の下面側から周辺の気体を吸引して、印刷用マスク3に付着した、残留したソルダペーストと洗浄液とを吸引除去するとともに、印刷用マスク3の下面をふき取ることができるように構成されている。
なお、洗浄ヘッド(クリーニングシート)12の、洗浄液がしみ込んでいない部分で印刷用マスク3の下面をふき取るようにするにあたっては、例えば、洗浄ヘッド(クリーニングシート)12を巻き取り式にして、洗浄液がしみ込んでいない部分で印刷用マスク3の下面をふき取ることができるようにすることが可能である。
【0032】
次に、上記ソルダペースト印刷機1を用いて印刷用マスク3を洗浄する方法について説明する。
【0033】
(1)まず、図1に示すような印刷前の状態から、図3に示すように、スキージ6を移動させて、印刷用マスク3上に供給したソルダペースト5を、印刷用マスク3の開口パターン4(図2)内に充填する。
なお、この実施例では、印刷用マスク3として、厚みが50μmの金属板に、寸法が80×200μmの長方形状の開口パターン4を所定の位置に複数配設することにより形成されたメタルマスクを用いた。
また、ソルダペーストとしては、平均粒径10μmのはんだ粉末をフラックスなどと混練することにより作製したソルダペーストを用いた。
【0034】
(2)それから、図2および図4に示すように、基板2と印刷用マスク3を版離れさせることにより、ソルダペースト5を電極パッド8上に供給(印刷)する。
【0035】
(3)次いで、図5に示すように、洗浄機構11を上昇させ、洗浄ヘッド12を印刷用マスク3の下面に押し付けた状態で、洗浄液供給部13から洗浄液を供給し、洗浄機構11を、矢印AおよびBの方向に移動させることにより、洗浄液がしみ込んだ洗浄ヘッド(クリーニングシート)12により印刷用マスク3の下面側を湿式洗浄する。このとき、印刷用マスク3に付着したソルダペーストは洗浄液に溶解した状態となる。
なお、この実施例では、洗浄液としてアルコール系溶剤であるイソプロピルアルコール75体積%とエチレングリコール系溶剤であるジエチレングリコール25体積%を混合した溶剤を用いた。
【0036】
(4)それから、図6に示すように、洗浄ヘッド12を印刷用マスク3の下面から離した状態で、洗浄機構11を、矢印AおよびBの方向に移動させながら、洗浄機構11を構成するブロー手段(ブローノズル)14より、印刷用マスク3の下面側から気体を吹き付けてブロー処理を行い、印刷用マスク3に付着した、湿式洗浄で残留したソルダペーストと洗浄液の主要部を吹き飛ばして除去する。
【0037】
(5)その後、図7に示すように、洗浄ヘッド(クリーニングシート)12の、洗浄液が滲み込んでいない部分を印刷用マスク3の下面に当接させた状態で、洗浄機構11を矢印AおよびBの方向に移動させながら、吸引手段(吸引ノズル)15により、印刷用マスク3の下面側から周辺の気体を吸引して、印刷用マスク3に付着した、湿式洗浄で残留したソルダペーストと洗浄液とを吸引するとともに、印刷用マスク3の下面をふき取る。
上記の工程を順に実施することにより、ソルダペーストの印刷後の印刷用マスク3の洗浄が確実に行われる。
【0038】
なお、上記実施例では、洗浄液として、イソプロピルアルコール75体積%とエチレングリコール系溶剤であるジエチレングリコール25体積%を混合した溶剤を用いているので、ソルダペーストに含まれるフラックスを十分に溶解して除去することができる。したがって、エチレングリコール系溶剤を含まないアルコール系溶剤を用いる従来の洗浄方法ではフラックスを十分に溶解することができずに洗浄不良を生じやすいが、本願発明ではソルダペーストを印刷した後の印刷用マスクを効率よく洗浄することが可能になる。
【0039】
図8は上記実施例の方法で洗浄を行った印刷用マスクの顕微鏡写真であり、図9はエチレングリコール系溶剤を含まないアルコール系溶剤を用いて、上記実施例と同じ方法により洗浄を行った印刷用マスクの顕微鏡写真である。
【0040】
図8に示すように、本願発明の方法で洗浄を行った印刷用マスクにおいては、開口部(開口パターン)にソルダペーストの残留がほとんど認められず、開口部(開口パターン)の形状が長方形になっていることがわかる。
これに対し、従来のエチレングリコール系溶剤を含まないアルコール系溶剤を用いて洗浄を行った印刷用マスクの場合には、開口部(開口パターン)にソルダペーストが残留し、開口部(開口パターン)の形状が長方形に回復していないことがわかる。
【0041】
なお、上記実施例では、気体を吹き付けるブロー処理と印刷用マスクの周辺の気体を吸引する吸引処理の両方を実施するようにしているが、場合によってはブロー処理と吸引処理のいずれか一方のみを実施するように構成することも可能である。また、上記実施例では、ブロー処理の後に吸引処理を行ったが、場合によっては、吸引処理の後にブロー処理を行ってもよい。
【0042】
また、洗浄液を構成するイソプロピルアルコールとジエチレングリコールの混合比率が洗浄効率に与える影響を調べるため、印刷用マスクの開口部(開口パターン)に残留するはんだ粒子の個数の関係を調べた。
【0043】
なお、試験は、洗浄液を構成するイソプロピルアルコールとジエチレングリコールの混合比率のみを変更し、その他はすべて同じ条件として、上記実施例の方法と同じ方法で、ソルダペースト印刷機の洗浄機構により印刷用マスクを自動的に洗浄して、洗浄後の印刷用マスクの一つの開口部(開口パターン)内に残留しているはんだ粒子数をカウントすることにより行った。その結果を図10に示す。
【0044】
図10より、印刷用マスクの開口部(開口パターン)内のはんだ粒子数をほぼ0個にするためには、ジエチレングリコールの割合が10体積%以上であることが必要であり、ジエチレングリコールの割合が5体積%になると、はんだ粒子の印刷用マスクの開口部(開口パターン)への残留個数が増加することがわかる。これは、ジエチレングリコールの割合が5体積%になると、ソルダペーストのフラックス成分が完全に除去できないことによるものである。
【0045】
なお、ジエチレングリコールの割合が5体積%の洗浄液で洗浄した場合には、次の印刷工程における印刷性が悪化することが確認されている。
また、洗浄効率の点からは、エチレングリコール系溶剤の混合比率に上限はないが、エチレングリコール系溶剤の割合が90体積%を超えると、有機材料・複合材料などへのアタック性が強くなり、ソルダペースト印刷機の洗浄機構に用いられている部材を構成する材料(例えば、洗浄液を収容する洗浄液タンクや洗浄液を供給するための配管部材などの構成材料)などが制約され、設備コスト(材料コスト)の増大を招く場合があるため、洗浄液中のエチレングリコール系溶剤の割合は90体積%以下とすることが望ましい。
【0046】
なお、上記実施例では、ソルダペーストとして、平均粒径10μmのはんだ粉末をロジンを含むフラックスなどと混練して作製したソルダペーストを用いた場合を例にとって説明したが、本願発明においてソルダペーストの種類に特別の制約はなく、他の種類のソルダペーストを用いることも可能である。
【0047】
また、上記実施例では印刷用マスクの開口部(開口パターン)の形状が長方形である場合を例にとって説明したが、本願発明において、印刷用マスクの開口部(開口パターン)の形状やその配設態様などに特別の制約はなく、種々の開口パターンを備えた印刷用マスクを洗浄する場合に広く適用することが可能である。
【0048】
また、上記実施例では、印刷用マスクがメタルマスクである場合を例にとって説明したが、本願発明はメッシュ材料を用いて作製したスクリーンメッシュマスクなどの種々の印刷用マスクを洗浄する場合に広く適用することが可能である。
【0049】
本願発明はさらにその他の点においても上記実施例に限定されるものではなく、洗浄ヘッドや洗浄液供給部、ブロー手段や吸引手段の具体的な構成などに関し、発明の範囲内において種々の応用、変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
上述のように、本願発明の印刷用マスクの洗浄方法およびソルダペースト印刷機によれば、ソルダペースト印刷用マスクを用いてソルダペーストを印刷した後に残留するソルダペーストを効率よく洗浄して除去することが可能で、安定して良好なソルダペーストの印刷性を維持することが可能になる。
したがって、本願発明は、印刷用マスクを用いたソルダペースト印刷機によりソルダペーストを印刷する工程を含む電子部品の製造工程などに広く利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本願発明のソルダペースト印刷用マスクの洗浄方法が実施される、本願発明の一実施例にかかるソルダペースト印刷機の構成を示す図である。
【図2】本願発明の一実施例にかかるソルダペースト印刷機を用いてソルダペーストを印刷している状態を示す図である。
【図3】本願発明の一実施例にかかるソルダペースト印刷機を用いてソルダペーストを印刷する場合の一工程(スキージによる印刷工程)を示す図である。
【図4】本願発明の一実施例にかかるソルダペースト印刷機を用いてソルダペーストを印刷する場合の他の一工程(版離れ工程)を示す図である。
【図5】ソルダペーストを印刷した後の印刷用マスクを本願発明の一実施例にかかる洗浄方法により洗浄する場合の一工程(湿式洗浄工程)を示す図である。
【図6】ソルダペーストを印刷した後の印刷用マスクを本願発明の一実施例にかかる洗浄方法により洗浄する場合の他の工程(ブロー処理工程)を示す図である。
【図7】ソルダペーストを印刷した後の印刷用マスクを本願発明の一実施例にかかる洗浄方法により洗浄する場合のさらに他の工程(吸引処理工程)を示す図である。
【図8】本願発明の一実施例にかかる洗浄方法により洗浄を行った印刷用マスクの顕微鏡写真である。
【図9】エチレングリコール系溶剤を含まないアルコール系溶剤を用いた従来の洗浄方法で洗浄を行った印刷用マスクの顕微鏡写真である。
【図10】イソプロピルアルコールとジエチレングリコールの混合比率と、印刷用マスクの開口部(開口パターン)へのはんだ粒子の残留個数の関係を示す線図である。
【図11】従来の印刷マスクの洗浄方法を示す図である。
【図12】従来の他の印刷マスクの洗浄方法を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1 ソルダペースト印刷機
2 基板
3 印刷用マスク
4 開口部(開口パターン)
5 ソルダペースト
6 スキージ
7 ステージ
8 電極パッド
11 洗浄機構
12 洗浄ヘッド(クリーニングシート)
13 洗浄液供給部
14 ブロー手段(ブローノズル)
15 吸引手段(吸引ノズル)
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ソルダペースト印刷機に設けられた洗浄機構により、ソルダペーストを印刷した後のソルダペースト印刷用マスクを洗浄する方法、および、ソルダペースト印刷用マスクを洗浄するための洗浄機構を備えたソルダペースト印刷機に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の製造工程では、はんだ付けのためのソルダペーストを、ソルダペースト印刷機を用いて印刷することが広く行われている。
【0003】
このソルダペースト印刷機を用いた方法は、例えば、基板(半導体装置、配線基板、電子部品装置など)上に配設された電極パッド上に、印刷用マスクに形成された開口部(開口パターン)を対向させるように配置・接触させ、印刷用マスク上に供給したソルダペーストを、スキージを移動させることにより開口パターン内に充填し、基板と印刷用マスクを版離れさせることによってソルダペーストを電極上に供給する方法である。
【0004】
ところで、ソルダペースト印刷用マスクを用いてソルダペーストの印刷を行う場合、寸法精度や形状精度の高い印刷パターンを得るためには、ソルダペーストを印刷した後に、ソルダペースト印刷用マスクに残留するソルダペーストを洗浄して除去することが必要になる。
【0005】
そして、ペースト印刷用マスクの洗浄方法として、洗浄液(溶剤)を用いて湿式洗浄(や溶剤の吹き付け)を行った後、ペースト印刷用マスクに拭き取り材を通して吸引ノズルで吸引するか、気体を吹き付けて洗浄液(溶剤)および残留したソルダペーストを除去する方法が一般的に用いられている。
【0006】
そして、上記一般的なペースト印刷用マスクの洗浄方法の一つに、図11に示すように、溶剤吹き付けノズル63から溶剤を吹き付けて清浄シート51に含浸させた後、印刷用スクリーン52の第1面52aに空気吹き付けノズル64から空気を吹き付け、かつ、該第1面52aの反対面である第2面52b側に配設された、空気吸引部65の空気吸引孔66から空気を吸引しつつ、清浄シート51の溶剤含浸部分を印刷用スクリーン52の第2面52bに接触させて印刷用スクリーン52に付着した印刷用ペースト53を除去する方法が提案されている(特許文献1)。
【0007】
また、図12に示すように、拭き取り材71とクリーニングスキージ72による拭き取りクリーニングをベースとして、エアブローノズル73によるエア吹き付け、吸引ノズル74による吸引、溶剤塗布ノズル75による溶剤塗布を併用することにより、スクリーン76の清掃を行う方法(装置)が提案されている(特許文献2)。
【0008】
そして、上記特許文献1および特許文献2の方法においては、洗浄液(溶剤)として、例えばイソプロピルアルコールのようなアルコール系溶剤が用いられている。
【0009】
しかしながら、アルコール系溶剤を単独で洗浄液として使用した場合、印刷ペーストがソルダペーストである場合に、ソルダペーストに含まれるフラックス成分(特にロジン)を十分に溶解して除去することができず、洗浄後にもソルダペーストが印刷マスクに残留するという問題点がある。
【0010】
そして、洗浄液に溶解せずに残留した粘着性のあるロジンがマスクの壁面に付着すると、特に、印刷ペーストを通過させる開口パターンに微細な孔が形成された印刷マスクが用いられている場合には、印刷性の悪化が顕著になるという問題点がある。
【特許文献1】特開平6−122190号公報
【特許文献2】特開平10−180981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本願発明は、上記課題を解決するものであり、ソルダペースト印刷機に設けられた洗浄機構により、ソルダペーストを印刷した後のソルダペースト印刷用マスクを取り外すことなく自動的に、しかも効率よく洗浄することが可能なソルダペースト印刷用マスクの洗浄方法、および、ソルダペースト印刷用マスクを取り外すことなく自動的に、しかも効率よく洗浄することが可能な洗浄機構を備えたソルダペースト印刷機に関する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本願発明(請求項1)のソルダペースト印刷用マスクの洗浄方法は、
ソルダペースト印刷機に配設され、印刷後の印刷用マスクをソルダペースト印刷機から取り外すことなく自動的に洗浄するように構成された洗浄機構により、ソルダペースト印刷後のソルダペーストが付着した印刷用マスクを洗浄する方法であって、
アルコール系溶剤とエチレングリコール系溶剤を含有する洗浄液を用いて印刷用マスクを湿式洗浄する洗浄工程と、
前記洗浄工程で洗浄された印刷用マスクに対して、気体を吹き付けるブロー処理、および、印刷用マスクの周辺の気体を吸引する吸引処理の少なくとも一方を実施して、湿式洗浄後に残留したソルダペーストと洗浄液とを除去する洗浄液除去工程と
を具備することを特徴としている。
【0013】
また、請求項2のソルダペースト印刷用マスクの洗浄方法は、前記洗浄液中のエチレングリコール系溶剤の割合が10〜90体積%であることを特徴としている。
【0014】
また、本願発明(請求項3)のソルダペースト印刷機は、
印刷用マスクを用いてソルダペーストを印刷対象物に印刷する印刷機構と、
アルコール系溶剤とエチレングリコール系溶剤を含有する洗浄液を用いて、ソルダペーストを印刷した後の印刷用マスクを湿式洗浄する洗浄工程と、印刷用マスクに気体を吹き付けるブロー処理、および、印刷用マスクの周辺の気体を吸引する吸引処理の少なくとも一方を実施して印刷用マスクに付着した、湿式洗浄後に残留したソルダペーストと洗浄液とを除去する洗浄液除去工程とを、印刷用マスクをソルダペースト印刷機から取り外すことなく自動的に実施する洗浄機構と
を具備することを特徴としている。
【0015】
また、請求項4のソルダペースト印刷機は、
前記洗浄機構が、
印刷用マスクの下面側に配設され、少なくとも前記湿式洗浄時に印刷用マスクの下面と当接する洗浄ヘッドと、前記洗浄ヘッドに洗浄液を供給して印刷用マスクが洗浄ヘッドにより湿式洗浄されるようにする洗浄液供給部とを備えた湿式洗浄部と、
印刷用マスクの下面側から気体を吹き付けるブロー処理を行うブロー手段と、
印刷用マスクの下面側から印刷用マスクの周辺の気体を吸引する吸引手段と
を一体に備えており、かつ、
前記洗浄機構が、印刷用マスクの下面と略平行に所定方向に移動し、印刷用マスクの湿式洗浄と、ブロー処理および吸引処理の少なくとも一方を、印刷用マスクをソルダペースト印刷機から取り外すことなく自動的に実施することができるように構成されていること
を特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本願発明(請求項1)のソルダペースト印刷用マスクの洗浄方法は、ソルダペースト印刷機に配設され、印刷後の印刷用マスクをソルダペースト印刷機から取り外すことなく自動的に洗浄するように構成された洗浄機構により、ソルダペースト印刷後のソルダペーストが付着した印刷用マスクを洗浄する場合において、洗浄液として、アルコール系溶剤とエチレングリコール系溶剤を含有する洗浄液を用いて印刷用マスクを湿式洗浄するようにしているので、フラックスを含むソルダペーストを洗浄する場合にも、洗浄工程でソルダペースト(特にレジンなどを含むフラックス)を効率よく溶解して、ソルダペースト印刷用マスクを十分に洗浄することが可能になる。
そして、洗浄工程で洗浄された印刷用マスクに対し、気体を吹き付けるブロー処理と、印刷用マスクの周辺の気体を吸引する吸引処理の少なくとも一方を実施することにより、マスクに付着した、湿式洗浄後に残留したソルダペーストと、ソルダペースト成分が溶解した洗浄液とを効率よく除去することが可能になり、ソルダペースト印刷用マスクを清浄に保って良好な印刷性を維持することが可能になる。
【0017】
すなわち、洗浄液として、アルコール系溶剤とエチレングリコール系溶剤の混合液を使用することにより、ソルダペーストに含まれるフラックス成分を十分に溶解した状態とし、その後、ブロー処理または吸引処理の少なくとも一つを実施することにより、印刷用マスクの開口部(開口パターン)内に残留したソルダペーストを効率よく除去することが可能になる。
また、ソルダペースト印刷機によりソルダペーストを印刷した後に、印刷用マスクをソルダペースト印刷機から取り外すことなく自動的に洗浄するようにしているので、ソルダペースト印刷用マスクの洗浄に要する工程時間を短縮して、生産性を向上させることが可能になる。
【0018】
なお、本願発明において、「洗浄液を用いて印刷用マスクを湿式洗浄する」とは、例えば、洗浄液を印刷用マスクに吹き付けることにより、印刷用マスクと洗浄液と直接に接触させて洗浄する場合や、洗浄液をしみ込ませた洗浄パッド(洗浄用媒体)などを用いて、印刷用マスクに付着したソルダペーストをふき取るようにして洗浄する場合などを含む広い概念である。
【0019】
また、本願発明において洗浄液の構成成分として用いることが可能なエチレングリコール系溶剤としては、例えば、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノノルマルブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートをはじめ、その他の種々のエチレングリコール系溶剤を用いることが可能である。
また、本願発明において洗浄液の構成成分として用いることが可能なアルコール系溶剤としては、例えば、イソプロピルコール、エタノール、メタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、その他の種々のアルコール系溶剤を用いることが可能である。
なお、本願発明は、金属板に開口部(開口パターン)を設けたメタルマスクや、メッシュ材料を用いて形成したメッシュスクリーンマスクなど、種々の印刷用マスクを洗浄する場合に広く適用することが可能である。
【0020】
また、請求項2のソルダペースト印刷用マスクの洗浄方法のように、洗浄液中のエチレングリコール系溶剤の割合を10〜90体積%とすることにより、フラックスを含むソルダペーストが付着したソルダペースト印刷用マスクを洗浄する場合にも、効率よく洗浄することが可能になり、本願発明をさらに実効あらしめることが可能になる。
なお、エチレングリコール系溶剤の割合を10〜90体積%の範囲としたのは、エチレングリコール系溶剤の割合が10体積%未満になるとソルダペースト中のフラックスを十分に溶解させることが困難になり、また、エチレングリコール系溶剤の割合が90体積%を超えると、有機材料・複合材料などへのアタック性が強くなり、ソルダペースト印刷機の洗浄機構に用いられている部材を構成する材料(例えば、洗浄液を収容する洗浄液タンクや洗浄液を供給するための配管部材などの構成材料)などが制約されるため、設備コスト(材料コスト)の増大を招く場合があることによる。
【0021】
また、本願発明(請求項3)のソルダペースト印刷機は、印刷用マスクを用いてソルダペーストを印刷対象物に印刷する印刷機構と、アルコール系溶剤とエチレングリコール系溶剤を含有する洗浄液を用いて、ソルダペーストを印刷した後の印刷用マスクを湿式洗浄する洗浄工程と、印刷用マスクに気体を吹き付けるブロー処理、および、印刷用マスクの周辺の気体を吸引する吸引処理の少なくとも一方を実施して印刷用マスクに付着した、湿式洗浄後に残留したソルダペーストと洗浄液とを除去する洗浄液除去工程とを、印刷用マスクをソルダペースト印刷機から取り外すことなく自動的に実施する洗浄機構とを備えているので、ソルダペーストを印刷した後に、印刷用マスクに残留するソルダペーストを確実に除去して、ソルダペースト印刷機によるソルダペーストの印刷性を良好に維持することが可能になり、生産性を向上させることが可能になる。
【0022】
また、請求項4のソルダペースト印刷機は、洗浄機構が、印刷用マスクの下面側に配設され、湿式洗浄時に印刷用マスクの下面と当接する洗浄ヘッドと、洗浄ヘッドに洗浄液を供給して印刷用マスクが洗浄ヘッドにより湿式洗浄されるようにする洗浄液供給部とを備えた湿式洗浄部と、印刷用マスクの下面側から気体を吹き付けるブロー処理を行うブロー手段と、印刷用マスクの下面側から印刷用マスクの周辺の気体を吸引する吸引手段とを一体に備えており、かつ、洗浄機構が、印刷用マスクの下面と略平行に所定方向に移動し、印刷用マスクの湿式洗浄と、ブロー処理および吸引処理の少なくとも一方を、印刷用マスクをソルダペースト印刷機から取り外すことなく自動的に実施することができるように構成されているので、ソルダペーストを印刷した後に、印刷用マスクに残留するソルダペーストを、洗浄機構により、さらに効率よく、しかも確実に洗浄することが可能になり、本願発明をさらに実効あらしめることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に本願発明の実施例を示して、本願発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【実施例】
【0024】
図1は本願発明のソルダペースト印刷用マスクの洗浄方法が実施される、本願発明の一実施例にかかるソルダペースト印刷機1の構成を示す図、図2はソルダペースト印刷機1を用いてソルダペーストを印刷している状態を示す図である。
【0025】
このソルダペースト印刷機1は、ステージ7に載置された基板(例えば、半導体装置、配線基板、電子部品装置など)2上に形成された電極パッド8(図2)上に、印刷用マスク3に形成された開口部(開口パターン)4(図2)が電極パッド8と対向するように印刷用マスク3を配置し、印刷用マスク3上に供給したソルダペースト5を、スキージ6を移動させることにより開口パターン4(図2)内に充填し、図2に示すように、基板2と印刷用マスク3を版離れさせることによってソルダペースト5を電極パッド8上に供給することができるように構成されている。
【0026】
そして、このソルダペースト印刷機1には、ソルダペースト5を印刷した後の、残留ソルダペーストが付着した印刷用マスク3を洗浄する洗浄工程と、洗浄された印刷用マスク3に、気体を吹き付けるブロー処理、および、印刷用マスク3の周辺の気体を吸引する吸引処理の少なくとも一方を実施して、印刷用マスク3に付着した、湿式洗浄後に残留したソルダペーストと洗浄液とを除去する洗浄液除去工程を自動的に実施するための洗浄機構11を備えている。
【0027】
このソルダペースト印刷機1の洗浄機構11は、ソルダペースト5を印刷した後の印刷用マスク3をソルダペースト印刷機1から取り外すことなく、洗浄液を用いた湿式洗浄と、洗浄後の印刷用マスクに付着した、湿式洗浄後に残留したソルダペーストと洗浄液の除去を自動的に行うことができるように構成されている。
具体的には、ソルダペースト印刷機1の洗浄機構11は、印刷用マスク3の下面側に配設され、洗浄時に印刷用マスク3の下面と当接して、印刷用マスク3の洗浄を行う洗浄ヘッド12と、洗浄ヘッド12を印刷用マスク3の下面に当接させた状態で洗浄液を供給して印刷用マスク3を洗浄液で洗浄することができるようにする洗浄液供給部13と、印刷用マスク3の洗浄が終了した後で、洗浄ヘッド12を介して、印刷用マスク3の下面側から気体を吹き付けるブロー処理を行うブロー手段(ブローノズル)14と、ブロー処理を行った後に、洗浄された印刷用マスク3の下面側から、印刷用マスク3の周辺の気体を吸引する吸引手段(吸引ノズル)15とを備えている。
【0028】
そして、この洗浄機構11は、上下方向に移動させることができるように構成されているとともに、印刷用マスク3の下面に当接させた状態、および、印刷用マスク3の下面から所定の間隔をおいた状態で、図5の矢印AおよびBの方向に移動させることができるように構成されている。
【0029】
また、この実施例において、洗浄機構11を構成する洗浄ヘッド12には、コットン製のシート(クリーニングシート)が用いられており、図5に示すように、洗浄液供給部13を洗浄ヘッド12の下面に当接させた状態で、洗浄液供給部13から洗浄液を供給することにより洗浄液がしみ込んだ洗浄ヘッド12を、矢印AおよびBの方向に移動させることにより、印刷用マスク3を洗浄液がしみ込んだ洗浄ヘッド(クリーニングシート)12により湿式洗浄することができるように構成されている。
【0030】
また、ブロー手段(ブローノズル)14は、図6に示すように、印刷用マスク3の湿式洗浄が終了した後、洗浄ヘッド12を印刷用マスク3の下面から離した状態で、洗浄機構11を矢印AおよびBの方向に移動させながら、印刷用マスク3の下面側から気体(この実施例では空気)を吹き付けてブロー処理を行い、印刷用マスク3に付着した、湿式洗浄後に残留したソルダペーストと、ソルダペースト成分の溶解した洗浄液の主要部を吹き飛ばして除去することができるように構成されている。
【0031】
また、吸引手段(吸引ノズル)15は、上記ブロー処理を行った後、図7に示すように、洗浄ヘッド(クリーニングシート)12の、洗浄液が滲み込んでいない部分を印刷用マスク3の下面に当接させた状態で、洗浄機構11を、矢印AおよびBの方向に移動させながら印刷用マスク3の下面側から周辺の気体を吸引して、印刷用マスク3に付着した、残留したソルダペーストと洗浄液とを吸引除去するとともに、印刷用マスク3の下面をふき取ることができるように構成されている。
なお、洗浄ヘッド(クリーニングシート)12の、洗浄液がしみ込んでいない部分で印刷用マスク3の下面をふき取るようにするにあたっては、例えば、洗浄ヘッド(クリーニングシート)12を巻き取り式にして、洗浄液がしみ込んでいない部分で印刷用マスク3の下面をふき取ることができるようにすることが可能である。
【0032】
次に、上記ソルダペースト印刷機1を用いて印刷用マスク3を洗浄する方法について説明する。
【0033】
(1)まず、図1に示すような印刷前の状態から、図3に示すように、スキージ6を移動させて、印刷用マスク3上に供給したソルダペースト5を、印刷用マスク3の開口パターン4(図2)内に充填する。
なお、この実施例では、印刷用マスク3として、厚みが50μmの金属板に、寸法が80×200μmの長方形状の開口パターン4を所定の位置に複数配設することにより形成されたメタルマスクを用いた。
また、ソルダペーストとしては、平均粒径10μmのはんだ粉末をフラックスなどと混練することにより作製したソルダペーストを用いた。
【0034】
(2)それから、図2および図4に示すように、基板2と印刷用マスク3を版離れさせることにより、ソルダペースト5を電極パッド8上に供給(印刷)する。
【0035】
(3)次いで、図5に示すように、洗浄機構11を上昇させ、洗浄ヘッド12を印刷用マスク3の下面に押し付けた状態で、洗浄液供給部13から洗浄液を供給し、洗浄機構11を、矢印AおよびBの方向に移動させることにより、洗浄液がしみ込んだ洗浄ヘッド(クリーニングシート)12により印刷用マスク3の下面側を湿式洗浄する。このとき、印刷用マスク3に付着したソルダペーストは洗浄液に溶解した状態となる。
なお、この実施例では、洗浄液としてアルコール系溶剤であるイソプロピルアルコール75体積%とエチレングリコール系溶剤であるジエチレングリコール25体積%を混合した溶剤を用いた。
【0036】
(4)それから、図6に示すように、洗浄ヘッド12を印刷用マスク3の下面から離した状態で、洗浄機構11を、矢印AおよびBの方向に移動させながら、洗浄機構11を構成するブロー手段(ブローノズル)14より、印刷用マスク3の下面側から気体を吹き付けてブロー処理を行い、印刷用マスク3に付着した、湿式洗浄で残留したソルダペーストと洗浄液の主要部を吹き飛ばして除去する。
【0037】
(5)その後、図7に示すように、洗浄ヘッド(クリーニングシート)12の、洗浄液が滲み込んでいない部分を印刷用マスク3の下面に当接させた状態で、洗浄機構11を矢印AおよびBの方向に移動させながら、吸引手段(吸引ノズル)15により、印刷用マスク3の下面側から周辺の気体を吸引して、印刷用マスク3に付着した、湿式洗浄で残留したソルダペーストと洗浄液とを吸引するとともに、印刷用マスク3の下面をふき取る。
上記の工程を順に実施することにより、ソルダペーストの印刷後の印刷用マスク3の洗浄が確実に行われる。
【0038】
なお、上記実施例では、洗浄液として、イソプロピルアルコール75体積%とエチレングリコール系溶剤であるジエチレングリコール25体積%を混合した溶剤を用いているので、ソルダペーストに含まれるフラックスを十分に溶解して除去することができる。したがって、エチレングリコール系溶剤を含まないアルコール系溶剤を用いる従来の洗浄方法ではフラックスを十分に溶解することができずに洗浄不良を生じやすいが、本願発明ではソルダペーストを印刷した後の印刷用マスクを効率よく洗浄することが可能になる。
【0039】
図8は上記実施例の方法で洗浄を行った印刷用マスクの顕微鏡写真であり、図9はエチレングリコール系溶剤を含まないアルコール系溶剤を用いて、上記実施例と同じ方法により洗浄を行った印刷用マスクの顕微鏡写真である。
【0040】
図8に示すように、本願発明の方法で洗浄を行った印刷用マスクにおいては、開口部(開口パターン)にソルダペーストの残留がほとんど認められず、開口部(開口パターン)の形状が長方形になっていることがわかる。
これに対し、従来のエチレングリコール系溶剤を含まないアルコール系溶剤を用いて洗浄を行った印刷用マスクの場合には、開口部(開口パターン)にソルダペーストが残留し、開口部(開口パターン)の形状が長方形に回復していないことがわかる。
【0041】
なお、上記実施例では、気体を吹き付けるブロー処理と印刷用マスクの周辺の気体を吸引する吸引処理の両方を実施するようにしているが、場合によってはブロー処理と吸引処理のいずれか一方のみを実施するように構成することも可能である。また、上記実施例では、ブロー処理の後に吸引処理を行ったが、場合によっては、吸引処理の後にブロー処理を行ってもよい。
【0042】
また、洗浄液を構成するイソプロピルアルコールとジエチレングリコールの混合比率が洗浄効率に与える影響を調べるため、印刷用マスクの開口部(開口パターン)に残留するはんだ粒子の個数の関係を調べた。
【0043】
なお、試験は、洗浄液を構成するイソプロピルアルコールとジエチレングリコールの混合比率のみを変更し、その他はすべて同じ条件として、上記実施例の方法と同じ方法で、ソルダペースト印刷機の洗浄機構により印刷用マスクを自動的に洗浄して、洗浄後の印刷用マスクの一つの開口部(開口パターン)内に残留しているはんだ粒子数をカウントすることにより行った。その結果を図10に示す。
【0044】
図10より、印刷用マスクの開口部(開口パターン)内のはんだ粒子数をほぼ0個にするためには、ジエチレングリコールの割合が10体積%以上であることが必要であり、ジエチレングリコールの割合が5体積%になると、はんだ粒子の印刷用マスクの開口部(開口パターン)への残留個数が増加することがわかる。これは、ジエチレングリコールの割合が5体積%になると、ソルダペーストのフラックス成分が完全に除去できないことによるものである。
【0045】
なお、ジエチレングリコールの割合が5体積%の洗浄液で洗浄した場合には、次の印刷工程における印刷性が悪化することが確認されている。
また、洗浄効率の点からは、エチレングリコール系溶剤の混合比率に上限はないが、エチレングリコール系溶剤の割合が90体積%を超えると、有機材料・複合材料などへのアタック性が強くなり、ソルダペースト印刷機の洗浄機構に用いられている部材を構成する材料(例えば、洗浄液を収容する洗浄液タンクや洗浄液を供給するための配管部材などの構成材料)などが制約され、設備コスト(材料コスト)の増大を招く場合があるため、洗浄液中のエチレングリコール系溶剤の割合は90体積%以下とすることが望ましい。
【0046】
なお、上記実施例では、ソルダペーストとして、平均粒径10μmのはんだ粉末をロジンを含むフラックスなどと混練して作製したソルダペーストを用いた場合を例にとって説明したが、本願発明においてソルダペーストの種類に特別の制約はなく、他の種類のソルダペーストを用いることも可能である。
【0047】
また、上記実施例では印刷用マスクの開口部(開口パターン)の形状が長方形である場合を例にとって説明したが、本願発明において、印刷用マスクの開口部(開口パターン)の形状やその配設態様などに特別の制約はなく、種々の開口パターンを備えた印刷用マスクを洗浄する場合に広く適用することが可能である。
【0048】
また、上記実施例では、印刷用マスクがメタルマスクである場合を例にとって説明したが、本願発明はメッシュ材料を用いて作製したスクリーンメッシュマスクなどの種々の印刷用マスクを洗浄する場合に広く適用することが可能である。
【0049】
本願発明はさらにその他の点においても上記実施例に限定されるものではなく、洗浄ヘッドや洗浄液供給部、ブロー手段や吸引手段の具体的な構成などに関し、発明の範囲内において種々の応用、変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
上述のように、本願発明の印刷用マスクの洗浄方法およびソルダペースト印刷機によれば、ソルダペースト印刷用マスクを用いてソルダペーストを印刷した後に残留するソルダペーストを効率よく洗浄して除去することが可能で、安定して良好なソルダペーストの印刷性を維持することが可能になる。
したがって、本願発明は、印刷用マスクを用いたソルダペースト印刷機によりソルダペーストを印刷する工程を含む電子部品の製造工程などに広く利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本願発明のソルダペースト印刷用マスクの洗浄方法が実施される、本願発明の一実施例にかかるソルダペースト印刷機の構成を示す図である。
【図2】本願発明の一実施例にかかるソルダペースト印刷機を用いてソルダペーストを印刷している状態を示す図である。
【図3】本願発明の一実施例にかかるソルダペースト印刷機を用いてソルダペーストを印刷する場合の一工程(スキージによる印刷工程)を示す図である。
【図4】本願発明の一実施例にかかるソルダペースト印刷機を用いてソルダペーストを印刷する場合の他の一工程(版離れ工程)を示す図である。
【図5】ソルダペーストを印刷した後の印刷用マスクを本願発明の一実施例にかかる洗浄方法により洗浄する場合の一工程(湿式洗浄工程)を示す図である。
【図6】ソルダペーストを印刷した後の印刷用マスクを本願発明の一実施例にかかる洗浄方法により洗浄する場合の他の工程(ブロー処理工程)を示す図である。
【図7】ソルダペーストを印刷した後の印刷用マスクを本願発明の一実施例にかかる洗浄方法により洗浄する場合のさらに他の工程(吸引処理工程)を示す図である。
【図8】本願発明の一実施例にかかる洗浄方法により洗浄を行った印刷用マスクの顕微鏡写真である。
【図9】エチレングリコール系溶剤を含まないアルコール系溶剤を用いた従来の洗浄方法で洗浄を行った印刷用マスクの顕微鏡写真である。
【図10】イソプロピルアルコールとジエチレングリコールの混合比率と、印刷用マスクの開口部(開口パターン)へのはんだ粒子の残留個数の関係を示す線図である。
【図11】従来の印刷マスクの洗浄方法を示す図である。
【図12】従来の他の印刷マスクの洗浄方法を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1 ソルダペースト印刷機
2 基板
3 印刷用マスク
4 開口部(開口パターン)
5 ソルダペースト
6 スキージ
7 ステージ
8 電極パッド
11 洗浄機構
12 洗浄ヘッド(クリーニングシート)
13 洗浄液供給部
14 ブロー手段(ブローノズル)
15 吸引手段(吸引ノズル)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソルダペースト印刷機に配設され、印刷後の印刷用マスクをソルダペースト印刷機から取り外すことなく自動的に洗浄するように構成された洗浄機構により、ソルダペースト印刷後のソルダペーストが付着した印刷用マスクを洗浄する方法であって、
アルコール系溶剤とエチレングリコール系溶剤を含有する洗浄液を用いて印刷用マスクを湿式洗浄する洗浄工程と、
前記洗浄工程で洗浄された印刷用マスクに対して、気体を吹き付けるブロー処理、および、印刷用マスクの周辺の気体を吸引する吸引処理の少なくとも一方を実施して、湿式洗浄後に残留したソルダペーストと洗浄液とを除去する洗浄液除去工程と
を具備することを特徴とするソルダペースト印刷用マスクの洗浄方法。
【請求項2】
前記洗浄液中のエチレングリコール系溶剤の割合が10〜90体積%であることを特徴とする請求項1記載のソルダペースト印刷用マスクの洗浄方法。
【請求項3】
印刷用マスクを用いてソルダペーストを印刷対象物に印刷する印刷機構と、
アルコール系溶剤とエチレングリコール系溶剤を含有する洗浄液を用いて、ソルダペーストを印刷した後の印刷用マスクを湿式洗浄する洗浄工程と、印刷用マスクに気体を吹き付けるブロー処理、および、印刷用マスクの周辺の気体を吸引する吸引処理の少なくとも一方を実施して印刷用マスクに付着した、湿式洗浄後に残留したソルダペーストと洗浄液とを除去する洗浄液除去工程とを、印刷用マスクをソルダペースト印刷機から取り外すことなく自動的に実施する洗浄機構と
を具備することを特徴とするソルダペースト印刷機。
【請求項4】
前記洗浄機構が、
印刷用マスクの下面側に配設され、少なくとも前記湿式洗浄時に印刷用マスクの下面と当接する洗浄ヘッドと、前記洗浄ヘッドに洗浄液を供給して印刷用マスクが洗浄ヘッドにより湿式洗浄されるようにする洗浄液供給部とを備えた湿式洗浄部と、
印刷用マスクの下面側から気体を吹き付けるブロー処理を行うブロー手段と、
印刷用マスクの下面側から印刷用マスクの周辺の気体を吸引する吸引手段と
を一体に備えており、かつ、
前記洗浄機構が、印刷用マスクの下面と略平行に所定方向に移動し、印刷用マスクの湿式洗浄と、ブロー処理および吸引処理の少なくとも一方を、印刷用マスクをソルダペースト印刷機から取り外すことなく自動的に実施することができるように構成されていること
を特徴とする請求項3記載のソルダペースト印刷機。
【請求項1】
ソルダペースト印刷機に配設され、印刷後の印刷用マスクをソルダペースト印刷機から取り外すことなく自動的に洗浄するように構成された洗浄機構により、ソルダペースト印刷後のソルダペーストが付着した印刷用マスクを洗浄する方法であって、
アルコール系溶剤とエチレングリコール系溶剤を含有する洗浄液を用いて印刷用マスクを湿式洗浄する洗浄工程と、
前記洗浄工程で洗浄された印刷用マスクに対して、気体を吹き付けるブロー処理、および、印刷用マスクの周辺の気体を吸引する吸引処理の少なくとも一方を実施して、湿式洗浄後に残留したソルダペーストと洗浄液とを除去する洗浄液除去工程と
を具備することを特徴とするソルダペースト印刷用マスクの洗浄方法。
【請求項2】
前記洗浄液中のエチレングリコール系溶剤の割合が10〜90体積%であることを特徴とする請求項1記載のソルダペースト印刷用マスクの洗浄方法。
【請求項3】
印刷用マスクを用いてソルダペーストを印刷対象物に印刷する印刷機構と、
アルコール系溶剤とエチレングリコール系溶剤を含有する洗浄液を用いて、ソルダペーストを印刷した後の印刷用マスクを湿式洗浄する洗浄工程と、印刷用マスクに気体を吹き付けるブロー処理、および、印刷用マスクの周辺の気体を吸引する吸引処理の少なくとも一方を実施して印刷用マスクに付着した、湿式洗浄後に残留したソルダペーストと洗浄液とを除去する洗浄液除去工程とを、印刷用マスクをソルダペースト印刷機から取り外すことなく自動的に実施する洗浄機構と
を具備することを特徴とするソルダペースト印刷機。
【請求項4】
前記洗浄機構が、
印刷用マスクの下面側に配設され、少なくとも前記湿式洗浄時に印刷用マスクの下面と当接する洗浄ヘッドと、前記洗浄ヘッドに洗浄液を供給して印刷用マスクが洗浄ヘッドにより湿式洗浄されるようにする洗浄液供給部とを備えた湿式洗浄部と、
印刷用マスクの下面側から気体を吹き付けるブロー処理を行うブロー手段と、
印刷用マスクの下面側から印刷用マスクの周辺の気体を吸引する吸引手段と
を一体に備えており、かつ、
前記洗浄機構が、印刷用マスクの下面と略平行に所定方向に移動し、印刷用マスクの湿式洗浄と、ブロー処理および吸引処理の少なくとも一方を、印刷用マスクをソルダペースト印刷機から取り外すことなく自動的に実施することができるように構成されていること
を特徴とする請求項3記載のソルダペースト印刷機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−168230(P2006−168230A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−364965(P2004−364965)
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]