説明

タグトークファースト(TTF)プロトコルを用いた印刷無線周波数識別(RFID)タグ

【課題】TTF衝突防止スキームを用いたマルチタグ読み取りの応用に適したEAS、HF、UHF、及びRFIDの設計のための方法、アルゴリズム、アーキテクチャ、回路、及び/又はシステムを提供する。
【解決手段】リーダと無線通信するためのタグを、(i)識別子を有し、少なくとも一つの印刷層を有するメモリ部と、(ii)その後にサイレント期間が続くビット列の提供を行う回路であって、該ビット列は上記識別子に関連する、該回路と、を備えるように構成する。タグは、予めプログラムされたメモリビット(例えば、その値が印刷によってプログラムされたビット)、或いは、旧来のフォトリソグラフィによって形成され、識別子を形成するために印刷技術を用いて作られた接続を有するメモリビットを含む。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2005年12月7日に出願された米国特許仮出願第60/748,973号、及び2006年10月6日に出願された米国特許出願第11/544,366号の優先権、及び利益を主張するものであり、これら出願を参照することによって本明細書に組み込む。
【発明の分野】
【0002】
本発明は、広く、電子商品監視(EAS)、短波(HF)、超極短波(UHF)、無線周波数(RF)、及び/又はRF識別(RFID)用のタグ、並びに、デバイスの分野に関連するものである。より詳細には、本発明の実施の形態は、EAS、HF、UHF、RF、及び/又はRFIDの構造、並びに、加工及び/又は製造の方法に関するものである。
【背景の説明】
【0003】
低コストのRFIDシステムは、通常、質問機、即ち「リーダ」と、電子ラベル、即ち「タグ」とを含んでおり、ごくわずかの例としては、小売、サプライチェインマネージメント、物流、図書館管理、手荷物引渡システム、といった種々の応用に望ましいものとなっている。他の新規の応用には、車両料金追跡及び/又は管理が含まれる。従来のバーコード及び磁気メディア型のシステムに対するRFIDシステムの一つの利点は、RFIDシステムが多数の電子ラベルを同時に読み取るように構成されていることである。このようなマルチタグ能力は、より高速な自動のデータキャプチャ及び識別を可能にし、ひいては、例えば、より高速且つより効率的な在庫追跡、仕分け、及び処理オペレーションを、可能にする。
【0004】
ここで図1を参照する。図1は、リーダが一度に一つのタグのみと交信する従来のRFIDタグシステムを示すブロック図であり、当該TFIDタグシステムは、大まかに参照符号100によって特定されている。コンピュータ102は、質問源104に接続することが可能であり、質問源104は、タグ110とアンテナ106を介して通信することが可能である。タグ110は、情報を無線でアンテナ106に提供することが可能であり、当該情報は、次いで、検出器108によって捕捉されて、コンピュータ102に返される。タグ110は、例えば、単純なビット列をコンピュータに提供することが可能である。例えば、小売での応用においては、タグ110は、コンピュータに、特定の品目が購入されたか否かを伝達することが可能である。多くの応用では、102、104、106、及び108の幾つか又は全てが、共通の物理的要素へと結合されて、通常は、「リーダ」と呼ばれている。
【0005】
次に図2を参照する。図2は、多数のタグを同時に読み取るための従来のタグシステムの応用を示すものであり、当該タグシステムは、大まかに参照符号200によって特定されている。料金所206は、タグシステムを用いて、通過車両が道路を使用するための支払い手続きを行ったか否かを決定することが可能であり、各車両が料金所において人に支払いを行うために立ち止まることの代替手段としている。通過する各車両は、当該車両に取り付けられた対応のタグ(例えば、タグ202−0、202−1、及び202−2)を有している。印加される電磁界は、質問機/リーダ204と、タグ202−0、202−1、及び202−2のそれぞれの間で情報を渡すためのRF波208を含み得る。他のこのようなマルチタグ読み取りの応用は、例えば、小売、図書館又は在庫の管理、セキュリティ、及び動物(例えば、ペット)の識別を含む。
【0006】
普及している典型的なRFIDであって、マルチタグ読取能力をサポートするものでは、衝突防止ブロック及び/又はアルゴリズムを、質問機、及び電子ラベル、即ちタグに採用することが可能である。衝突防止のスキームの二つの一般的なスキームは、「タグトークファースト」(TTF)、及び「リーダトークファースト」(RFT)である。TTFの手法では、電子ラベルが、質問機の持続電磁場内にある限り、断続的にブロードキャストを行うことが可能である。この電磁場は、断続的に繰り返されるラベルの応答間の時間間隔より大きな期間用に維持しなければならない。RTFスキームでは、質問機、及び読み取られる電子ラベルは、通信リンクを構築しなければならず、これにより、電子ラベルは、質問機からのコマンド、及び調停(arbitration)スキームに基づいて、解釈及び送信を行うことが可能である。RTFの手法は、一般的には、質問機及びラベルの両者の設計(例えば、ラベル回路におけるトランジスタの数)に関して、より複雑である。その結果、この手法の欠点は、相対的に高コストであることであり、予期される多くの応用では、非常に高価なものとなる。
【0007】
一方、TTF手法を使用する質問機及び電子ラベル回路の設計は、一般的に単純であり、従って、システム全体のコストを低くすることが可能である。最近の従来の電子ラベルにおけるTTFの実装形態は、一般的に、メッセージ間隔回路を必要とする。このメッセージ間隔回路は、製造時に内容が決定されるか、使用時にプログラム可能なものであるか、又は、動作時に再プログラム可能なものである。しかしながら、電子ラベル回路を製造する典型的な方法は、一般的に、従来のフォトリソグラフィを使用する。一般的な処理は、ウェハにおけるバリエーションを低減するという目的を有しているので、このような従来のリソグラフィ技術では、実際には、マルチタグ読み取りの応用におけるメッセージ間隔回路の設計に、十分なバリエーションを得ることができない。
【0008】
メッセージ間隔回路の設計における不十分なバリエーションを克服する従来の一方法は、擬似乱数発生回路を使用するものである。擬似乱数をラベルの設計に使用して、同一の質問機と通信する多数のタグ間におけるメッセージ間隔に、十分な差を作り出すことが可能である。しかしながら、このような擬似乱数発生回路は、ラベルの設計にとっては比較的複雑なものであり、多くの予期されるEAS及び/又はRFIDシステムでの応用において使用するには、非常に高いコストをもたらす。したがって、単純且つコスト効率の良い手法が必要とされており、EAS及び/又はRFIDシステムを、TTF衝突防止スキームを使用するマルチタグ読み取りでの応用に適するものとする手法が必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本発明の実施の形態は、EAS、HF、UHF、及び/又はRFIDの設計用の方法、アルゴリズム、アーキテクチャ、回路、及び/又はシステムに関するものであり、TTF衝突防止スキームを使用するマルチタグ読み取りでの応用に適したものである。
【0010】
一実施の形態では、リーダと無線通信するためのタグは、(i)識別子を有し、少なくとも印刷層を有するメモリ部と、(ii)所定のサイレント期間が続くビット列の提供を行う回路であって、当該ビット列が上記識別子に関連するものである、当該回路と、を備え得るものである。タグ又はデバイスは、例えば、予めプログラムされたメモリビット(例えば、その値が印刷によってプログラムされたビット)、又は、代わりに、従来のフォトリソグラフィによって形成され、上記識別子を形成するために印刷技術を使用して作られた接続を有するメモリビットを含むことが可能である。所与の組の動作条件の下でシステムにおいて使用される各タグ又はデバイス用の固有の識別子は、リーダが、例えば、ビット列の長さ及び/又は値に基づいて、多数のタグを識別することを可能にする。
【0011】
他の実施の形態では、識別タグ又はデバイスを無線通信システムで動作させる方法が、(i)タグにおける識別子を、印刷技術を使用してプログラムする工程と、(ii)タグが動作するために十分なパワー及び周波数を有する電磁場内にある場合に、識別子に基づくビット列をリーダに送信する工程と、(iii)タグを所定の期間においてサイレント状態とする工程と、を含み得る。上記の印刷技術は、レーザ印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、インクジェット加工、グラビア印刷、レーザ描画、及び/又はレーザ高精細技術を含み、恐らくは金属ナノ粒子及び/又は液体シランベースのインクを使用するものである。
【0012】
他の実施の形態では、識別タグ又はデバイスを無線通信システムにおいて動作させる方法が、(i)タグにおける識別子を、印刷技術を使用してプログラムする工程と、(ii)タグが動作するために十分なパワー及び周波数を有する電磁場にある場合に、識別子に基づくビット列をリーダに送信する工程と、(iii)タグに対して、タグを所定の期間においてサイレント状態とする工程と、を含み得る。一般的には、「サイレント期間」は、種々の環境及び物理的な変量に依存するものであり、例えば、タグが利用可能な電力と、タグ内の電子部品の機能及び/又はプログラムにおけるバリエーションとに依存する。加えて、「固有の」期間は、或る時間に或る点に位置するリーダの検出及び/又は応答の範囲内に存在することが合理的に起こり得る所与の組のタグ、即ちタグの集団において、何れのタグも、(リーダの検出限界内で)同一の期間、サイレント状態とならない確率を指す。
【0013】
他の実施の形態では、無線識別システムが、(i)印刷技術を用いて内部にプログラムされた第1の識別子を有する第1のタグであって、電磁場が与えられているときに、所定のアルゴリズムによって第1の識別子に基づいて決定される第1の長さ及び/又は値の第1のビット列を提供する、当該第1のタグと、(ii)印刷技術を用いて内部にプログラムされた第2の識別子を有する第2のタグであって、電磁場が与えられているときに、上記アルゴリズムによって第2の識別子に基づいて決定される第2の長さ及び/又は値の第2のビット列を提供する、当該第2のタグと、(iii)第1及び第2のビット列を、電磁場が与えられているときに受信するリーダであって、第1の長さ及び/又は値と第2の長さ及び/又は値とを識別することが可能な、当該リーダと、を備え得る。
【0014】
本発明の実施の形態は、有益なことに、TTF衝突スキームを用いてマルチタグ読み取りが可能なEAS、HF、UHF、及びRFIDシステムに対して、信頼性のある単純な手法を提供することが可能である。さらに、本発明の実施の形態は、有益なことに、印刷技術を用いて実装可能である。本発明におけるこれらの及び他の利点は、以下の好適な実施の形態の詳細な説明から容易に明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】単一のタグでの応用のための従来のRF識別(RFID)タグシステムを示すブロック図である。
【図2】多数のタグを同時に読み取る従来のタグシステムの応用を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る例示のタグのレイアウトを示すレイアウト図である。
【図4A】本発明の実施の形態に係るHFタグの設計を示す例示の概略的なブロック図である。
【図4B】本発明の実施の形態に係るUHFタグの設計を示す例示の概略的なブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態に係り、好適に使用可能なRIFDの設計を示す例示の概略的なブロック図である。
【図6A】本発明の実施の形態に係る種々のタグの設計を示す例示の概略的なブロック図である。
【図6B】本発明の実施の形態に係る種々のタグの設計を示す例示の概略的なブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るタグの動作の例示の方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施の形態を詳細に参照する。実施の形態の例は、添付の図面に示されている。本発明を、好適な実施の形態を用いて説明するが、これら実施の形態は、本発明を限定することを意図しないものであることを理解されたい。逆に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって規定されるように、本発明の精神及び範囲内に含まれる代替、変更、及び均等のものを保護することを意図している。さらに、以下の本発明の詳細な説明では、本発明の完全な理解を可能にするために、多くの具体的な詳細について説明する。しかしながら、当業者には、本発明がこれらの具体的な詳細が無くとも実施可能であることが容易に理解されよう。他の例では、公知の方法、手順、部品、及び回路は、本発明の側面を不必要に不明確としないよう、詳細には説明しない。
【0017】
以下の詳細な説明の幾つかの部分は、プロセス、手順、ロジックブロック、機能ブロック、処理、並びに、コンピュータ、プロセッサ、コントローラ、及び/又はメモリ内のコード、データビット、及びデータストリーム又は波形を用いた他のシンボル表示で表現する。これらの説明及び表示は、データ処理技術の当業者によって、彼らの仕事の実態を効果的に他の当業者に伝達するために、広く使用されているものである。プロセス、手順、ロジックブロック、機能、プロセス等は、本明細書において、及び一般的に、所望の及び/又は期待された結果を導く、自己一貫性のあるステップ又は命令のシーケンスであると考えられるものである。これらステップは、物理量の物理的操作を含むものである。通常は、必ずしも必要ではないが、これら量は、格納、転送、結合、比較、及び、コンピュータ又はデータ処理システムにおける他の操作が可能な電子的、磁気的、光学的、又は量子的な信号の形態を採る。時には、主として一般的な使用における理由のために、これらの信号をビット、波、波形、ストリーム、値、エレメント、シンボル、文字、用語、数等として参照し、コンピュータプログラム又はソフトウェアにおけるこれらの表現をコード(オブジェクトコード、ソースコード、またはバイナリコード)として参照することが便利であると分かっている。
【0018】
しかしながら、これら又は類似の用語の全ては、適切な物理量及び/又は信号に関連付けられており、これらの量及び/又は信号に適用された便利なラベルに過ぎないことに留意されたい。特に別途述べない限り、及び/又は以下の説明から明らかなように、本出願において、「処理」、「動作」、「演算」、「計算」、「判定」、「操作」、「変換」等といった用語を使用する論議は、コンピュータ又はデータ処理システム、若しくは同様の処理デバイス(例えば、電子、光学、又は量子の計算又は処理デバイス、又は回路)の動作及びプロセスを指し、物理(例えば電子の)量として表現されたデータを操作又は変換するものを指すことを理解されたい。これら用語は、回路、システム又はアーキテクチャの部品(例えば、レジスタ、メモリ、他のこのような情報格納、伝送、又は表示デバイス、等)内の物理量を、同様又は異なるシステム又はアーキテクチャの他の部品における物理用として同様に表現される他のデータへと操作又は変換する処理デバイスの動作及びプロセスを指すものである。
【0019】
さらに、本出願に関連して、「ワイヤ」、「配線」、「ライン」、「信号」、「導体」、及び「バス」といった用語が、信号を回路における一つの地点から他の地点へと物理的に伝送する任意の知られた構造、構成、配置、技術、方法、及び/又はプロセスを示す。また、その使用に関連して本明細書中で別に示されない限り、「知られた」、「固定の」、「所与の」、「ある」、「所定の」といった用語は、値、量、パラメータ、制約、条件、状態、プロセス、手順、方法、実施、又はこれらの結合であって、理論上は、変数であり、通常は、前もって設定されてその後は使用時に変化しないものを指す。
【0020】
同様に、利便性及び簡単化のため、「クロック」、「時間」、「タイミング」、「レート」、「期間」、「周波数」との用語は、一般的に、互いに置き換え可能であり、本明細書においても、同様の意味で使用することがあるが、通常は当該分野で認識された意味が与えられている。また、利便性及び簡単化のため、「データ」、「データストリーム」、「ビット」、「ビット列」、「波形」及び「情報」との語は、「に接続され」、「と結合され」、「に結合され」、及び「と通信して」との語が使用されるときに、同じ意味で使用されることがある。しかし、これらの語は、一般的には、当該分野において認識されている意味が本明細書においても与えられている。さらに、「タグ」は、単一のデバイス、若しくはシート及び/又はスプールを指し、複数の付属構造を備え、電子商品監視(EAS)、短波(HF)、極超短波(UHF)、無線周波数(RF)、及び/又はRF識別(RFID)の目的並びに/若しくは応用に適したものを指す。
【0021】
本発明の実施の形態は、EAS及び/又はRFIDの設計のための方法、アルゴリズム、アーキテクチャ、回路、及び/又はシステムに関連するものであり、TTF衝突防止スキームを使用するマルチタグ読み取りの応用に好適なものである。例えば、リーダと無線通信するためのタグは、(i)識別子を有し、少なくとも一つの印刷層を有するメモリ部と、(ii)その後にサイレント期間が続くビット列の提供を行うための回路と、を備え、上記ビット列は、上記識別子に関連するものである。タグ又はデバイスは、例えば、予めプログラムされたメモリビット(例えば、その値が印刷によってプログラムされ得るビット)を有することが可能であり、或いは、従来のフォトリソグラフィによって形成されており、識別子を形成するために印刷技術を用いて作られた接続を有するメモリビットを、有することが可能である。所与の組の動作条件下でシステムにおいて使用される各タグ又はデバイス用の固有の識別子は、例えば、ビット列の長さ及び/又は値に基づいて、リーダが多数のタグを識別することを可能にする。
【0022】
本発明の他の側面では、識別タグ又はデバイスを無線通信システムにおいて動作させる方法及び/又はアルゴリズムが、(i)識別子をタグ内に印刷技術を用いてプログラムする工程と、(ii)タグが動作するのに十分なパワー及び周波数を有する電磁場内に存在するときに、識別子に基づくビット列をリーダに送信する工程と、(iii)タグを所定の期間、サイレント状態にする工程と、を含むことができる。印刷技術は、レーザ印刷、インクジェット加工、グラビア印刷、レーザ描画、及び/又はレーザ高精細技術を含み、恐らくは、金属ナノ粒子及び/又は液体シランベースのインクを使用するものである。
【0023】
本発明の他の側面では、識別タグ又はデバイスを無線通信システムで動作させる方法及び/又はアルゴリズムが、(i)識別子をタグ内に印刷技術を用いてプログラムする工程と、(ii)タグが動作するのに十分なパワー及び周波数を有する電磁場内に存在するときに、識別子に基づくビット列をリーダに送信する工程と、(iii)タグを、タグに対して所定の期間、サイレント状態にする工程と、を含むことができる。一般的に、この「サイレント期間」は、種々の環境または物理的パラメータ、例えばタグに伝達される電力、温度、電磁妨害(EMI)等におけるバリエーション、並びに、タグ回路の種々の部品のプログラム及び/又は電気的な性能におけるバリエーションによって決定されるものである。印刷技術は、レーザ印刷、インクジェット加工、グラビア印刷、レーザ描画、及び/又はレーザ高精細技術を含み、恐らくは、金属ナノ粒子及び/又は液体シランベースのインクを使用するものである。
【0024】
本発明の他の側面では、無線識別システムが、(i)印刷技術を用いて内部にプログラムされた第1の識別子を有する第1のタグであって、電磁場が与えられているときに、第1の長さ及び/又は値の第1のビット列を、その後にサイレント期間が続くように繰り返してブロードキャストし、当該第1の長さ及び/又は値が、所定のアルゴリズムによって第1の識別子に基づいて決定される、当該第1のタグと、(ii)印刷技術を用いて内部にプログラムされた第2の識別子を有する第2のタグであって、電磁場が与えられているときに、第2の長さ及び/又は値の第2のビット列を、その後に第2のサイレント期間が続くように提供し、当該第2の長さ及び/又は値が上記アルゴリズムによって第2の識別子に基づいて決定される、当該第2のタグと、(iii)第1及び第2のビット列を、電磁場があたえられているときに受信するリーダであって、第1の長さ及び/又は値と第2の長さ及び/又は値とを識別することが可能な、当該リーダと、を備えることができる。
【0025】
本発明は、更に、本アーキテクチャ、方法、及び回路のマルチタグシステムでの実装に関するものである。本発明の実施の形態は、有益なことに、TTF衝突防止スキームを使用してマルチタグ読み取り可能なEAS、HF、UHF、及びRFIDシステム用の信頼性のある簡単化された手法を提供することが可能である。さらに、本発明の実施の形態は、有益なことに、印刷技術を用いて実装することが可能である。以下、本発明を、その種々の側面について、例示の実施の形態に関連して説明する。
【0026】
本発明の種々の実施の形態によれば、マルチタグ読み取り可能なEAS、HF、UHF、及びRFIDシステムを実現するアーキテクチャ又は回路が、比較的単純なタグトークファースト(TTF)衝突防止スキームを採用する印刷回路を備えることができる。さらに、本回路は、比較的容易に印刷することが可能であり、その利用に基づいて固有のメッセージ間隔を有するタグ又は電子ラベルを提供し得る。また、関連の質問機、即ちリーダデバイスの設計も、比較的簡単なものとすることが可能である。本発明の実施の形態は、リーダ及び電子ラベルが通信リンクを形成し、典型的なリーダ−タグ間のコマンド構造及び衝突防止調停スキーム(例えば、上述したように、RTFの手法で必要とされているように)を処理するのに十分な時間を有していない比較的高速な読み取り時間における応用に特に好適なものである。
【0027】
本発明の実施の形態によれば、比較的低コストの製造方法、例えば、レーザ印刷、インクジェット加工、グラビア印刷、レーザ描画、並びに/若しくは金属ナノ粒子及び/又は液体シランベースのインクを使用するレーザ高精細技術といった、簡易な印刷技術を含む製造方法を使用を使用してもよい(例えば、2005年7月8日に代理人整理番号ITD0501として出願された米国特許仮出願第60/697,599号、それぞれ、2005年10月11日、2005年10月6日、2005年10月3日、2005年8月11日、2005年4月11日、2005年3月18日、2004年10月1日、2004年9月24日、2004年9月24日、2004年7月6日、2004年2月27日、2003年12月31日、2003年11月24日に出願された米国特許出願第11/249,167号、第11/246,014号、第11/243,460号、第11/203,563号、第11/104,375号、第11/084,448号、第10/956,714号、第10/950,373号、第10/949,013号、第10/885,283号、第10/789,317号、第10/749,876号、及び/又は第10/722,255号を参照のこと)。例えば、半導体層(例えば、ドーピングされた及び/又は非ドープのシリコン又はシリコンゲルマニウムを含有するもの)を、シリコン及び/又はゲルマニウムのナノ粒子、並びに/若しくは、好適な溶媒内の液相のシラン、ゲルマン、及び/又はシラゲルマンを含むインクから印刷することが可能である。例えば、シラン、ゲルマン、又はシラゲルマンは、Aの組成を有し得るものであり、Aは、単独でSi又はGe(好ましくはSi)であり、xは、x≧10又は20でありyがxから(2x+2)まで(好ましくは2x)である場合に、3〜1000(好ましくは4〜20、又は5〜10)であり、また、xは、シラン、ゲルマン、及び/又はシラゲルマンの平均分子量から導出され得るものである。金属層を、適当な溶媒中に金属(例えば、銀、同、金、パラジウム、モジブデン、アルミニウム等)のナノ粒子を含むインクから印刷してもよい。好適な溶媒は、シクロヘキサン、シクロオクタン、デカリン等といったシクロアルカンを含む。
【0028】
一般的には、本発明の実施の形態に係る印刷回路は、アンテナ部、パワーアップ回路、クロック副回路、カウンタ、メモリ部、デコーダ、ループリセット回路、及び出力ステージを含むことが可能である。このような回路部の全ては、全システムのコストを削減するために、印刷することが可能である。その結果、個別のタグを製造プロセス中に「オンザフライ」(on-the-fly)でカスタマイズすることが、可能になる。
【0029】
本発明の実施の形態に係る印刷回路の代替の実施の形態は、アンテナ部、パワーアップ回路、クロック副回路、メモリ部、メモリ内の特定のビットを選択する巡回カウンタ、可変の遅延をもつ回路、及び出力ステージを含むことが可能である。かかる回路部の全てを、システム全体のコストを低減するために印刷することが可能である。その結果、個別のタグを製造プロセス中に「オンザフライ」でカスタマイズすることが可能になる。
【0030】
本発明の実施の形態に基づいて動作するタグは、一般的に、(i)初期の電源投入後に、(メモリ内にプログラムされている)ビット列を送信する工程と、(ii)所定の期間、当該タグをサイレント状態にする工程(この期間の長さは、メモリ内にレーザによってプログラムされてもよく、又は種々の環境及び物理パラメータによって決定されてもよい)と、(iii)上記ビット列を再ブロードキャストする工程と、を実行することが可能である。一般的に、ビット列送信のプロセス、当該ビット列の再送がその後に続くサイレント期間は、タグが適切な電磁場内に存在する限り(例えば、タグ受信電力)、継続することが可能である。
【0031】
[例示のRFIDタグ構造]
例示のRFIDタグ構造、及びデバイスは、一般的には、(i)アンテナ、(ii)無線周波数−直流変換部、(iii)クロック及びデータ信号の復調部、(iv)制御及び読み出し(I/O)機能を実行するロジック、(v)メモリ、及び(vi)変調部といった機能ブロックを備えることができる。以下、これら及び他の機能のブロック並びにレイアウト構成に関連する特定の例を、より詳細に説明する。
【0032】
図3は、タグ又はデバイス300用の例示のレイアウトを示し、デバイス300は、ロジック領域310、アンテナ領域320及び325、電荷ポンプ領域330を有する。デバイス300は、5〜25mm、好ましくは5〜20mmの長さを有し、1〜5mm、好ましくは1〜3mmの幅を有し、5〜100mm、好ましくは10〜50mmの全面積を有する。一例においては、デバイスは、2mm×12.5mmのサイズである。図4A〜図4Bに関連してより詳細に説明するように、ロジック領域310は、更に、入力/出力制御部、メモリ又は情報格納部、及び/又は情報/信号変調部、を有していてもよい。
【0033】
アンテナ領域320は、電荷ポンプ領域330にL型のバス322によって接続されている。電荷ポンプ領域330の一部は、アンテナ領域325と重なっている。電荷ポンプ領域330は、旧来のように、アンテナ領域320及び325に、キャパシタ、ダイオード、及び/又は相互接続によって接続されている。例えば、電荷ポンプ領域330は、複数のステージ(特定の例では、8ステージ)を有していてもよく、その内部のキャパシタが、アンテナ重複部(即ち、バス又はアンテナ領域325の何れかに重なる電荷ポンプ330の部分)当たり、100〜400平方ミクロンの面積を有していてもよい。
【0034】
短波(HF)領域のタグの設計のブロック図を図4Aに示し(大まかに参照符号400で示す)、極超短波(UHF)領域のタグの設計を図4Bに示す(大まかに参照符号400’)で示す。HFタグ設計(400)は、アンテナ410、クロック復元ブロック420、HF−直流変換ブロック430、変調ブロック440、ロジック及びI/O制御ブロック450、並びに、メモリ460を備えている。UHFタグ設計(400’)は、ダイポールアンテナ455、クロック復元ブロック470、UHF−直流変換ブロック480、変調ブロック440’、ロジック及びI/O制御ブロック450、並びに、メモリ460を備えている。
【0035】
HFでのアンテナ構造は、それに結合された共振タンクキャパシタ(例えば、図3における電荷ポンプ領域330内にある)を有する平面スパイラル形状のインダクタコイルの場合に、最も安価に実装される。高品質(高電圧/電力抽出)LCコイルに対する低抵抗の要件によって、金属フォイル、又は厚い印刷膜の使用が必要となる。UHFでは、アンテナは、通常、全波又は半波のダイポール又はダイポール派生の形態を採っており、AC波の伝送(及び繰り返し)を、コイルにおけるような著しいDCの伝導又は長距離の伝導無しにサポートする。アンテナにおける励振の表皮深さは、UHFにおいては、より浅い。この理由のために、UHFアンテナを、薄い金属フォイル、又はAgペーストといった材料による印刷導体膜とすることが可能である。ある設計の実施の形態では、HF又はUHFアンテナは、集積回路用の下位の金属基板に直接形成することができ、又はこの基板が、次には外部アンテナに取り付けることのできる、中間サイズ(例えば、フルアンテナのサイズと、半導体デバイスを含む集積回路領域のサイズとの間)のインターポーザ又はストラップ(例えば、後のシリコンベースのデバイスの形成用の基板となる薄いプラスチック又はガラスシート)を形成することが可能である。
【0036】
RF−直流変換は、整流器(通常は、倍電圧構成のもの)、若しくは、UHF又はHFではSiインクから形成される薄膜ダイオード構造を用いて実現することが可能である。HFでは、ダイオード接続TFT(即ち、同じトランジスタのソース又はドレインに接続されたゲートを有するもの)を用いることも可能である。ダイオードの移動方向において10cm/vsより大きい移動度を有し、1017〜1020cm−3の範囲でドーピングされ、10〜5ohm−cmのオーダーの接触抵抗を有するSiインク層に基づく薄膜デバイスのモデル化は、RFID回路に電力を供給するに十分な効率のGHzでの整流をサポートする。直流へのGHzの整流、及び2nsecより小さいゲート遅延を、本明細書に記載されているように形成した縦型の薄膜Siインクダイオード構造、及び自己整合TFT構造のそれぞれについて、実験的に実証した。
【0037】
クロック信号及びデータ信号は、副搬送波として、又は搬送波RF信号における副搬送波変調として、符号化してもよい。最適な信号の抽出は、フィルタリング、及び調整されたキャパシタの使用を必要とすることがある。
【0038】
必要な制御及び読み出し(I/O)機能を実行するロクッジは、CMOS又はNMOS技術のTFTを用い、本明細書に説明したような材料を用いて、実現することが可能である。CMOSは、電力効率に関して顕著な利点を有するが、NMOSと比較して追加の製造工程が必要である。
【0039】
メモリ構造は、製造プロセス中に画成されるデジタル抵抗網によって提供される単純なリードオンリーメモリ(ROM)を含むことが可能である。ワンタイムプログラマブル(OTP)ROMは、旧来のヒューズ又はアンチヒューズ構造を有していてもよく、薄膜形態の不揮発性のEEPROMは、その内部に浮遊ゲートを有するTFTを構成していてもよい。プログラミング及び消去回路(並びに、プログラミング電圧及び消去電圧に耐えるように構成されたデバイス)を、旧来のように設計し、本明細書に記載されたように製造することも可能である。
【0040】
HFの領域では、変調は、通常、共振キャパシタと平行に設けられたシャントトランジスタを用いる負荷変調によってなされる。シランインク組成から作られるエンハンスモードの変調器TFTでは、トランジスタがオンのときに、タグのアンテナを形成するLCコイルが短絡される。これによって、回路のQ値、及びリーダコイルとの結合係数が激減する。TFTが十分に「オフ」に切り替えられている場合には、LCコイルのQ値が回復される。このように、変調信号をタグからリーダへと渡すことが可能である。UHFでは、同様の効果が、アンテナの散乱断面積を変化させ、リーダへの後方散乱信号を変調する。これは、アンテナのインピーダンス、したがって後方散乱信号を変化させる変調負荷TFTによってなすことが可能である。潜在的な電力ロスのために、バラクタベースの変調を使用することが有利であることがある。このバラクタベースの変調は、UHFアンテナのインピーダンスの虚部を、MOSキャパシタデバイス、又はバラクタダイオードの何れかを用いて変化させるものである。これらデバイス及びダイオードは、ロジックTFT用の、並びに整流器及び/又は復調器ダイオード用の、本明細書に記載されたTFT及びダイオードプロセスを用いて形成することが可能である。
【0041】
ロジック及びメモリ用に構成された薄膜トランジスタのレイアウトを、本発明に従い、8μm及び2μmの設計ルールを用いて、設計した。8μmのルール(較正及び位置合わせにおける変動用に、±2μmを仮定する)の下では、平均のトランジスタの面積は、約9776μmであり、単位mm当たり約100個のトランジスタを配置することが可能である。2μmのルールの下では、平均のトランジスタの面積は約3264μmであり、単位mm当たり約300個のトランジスタを配置することが可能である。
【0042】
通常、RFIDタグの動作は、タグに電力を供給するのに必要な最小限のRF領域(及び電力)によって制限される。タグがパワーアップされて必要な電圧が維持されると、タグとリーダ間の通信が可能になる。
【0043】
次に、図5を参照する。本発明の実施の形態に従う使用に適したRFIDの設計を示す例示のブロック概略図が、大まかに参照符号500によって示されている。電磁場を、端子Coil1及びCoil2に取り付けられた外部コイルとキャパシタCRに誘導することが可能である。コイルにおけるAC電圧を全波整流器502によって整流して、端子VDD/VSSと供給キャパシタンスCSにおいてDC供給を形成することが可能である。
【0044】
クロック抽出器504は、ロジッククロックをシーケンサ506用に生成することが可能である。メモリアレイ508は、シーケンサ506から生成された信号によってアクセスされ、シリアルデータをデータエンコーダ510に提供することが可能である。変調制御信号は、データエンコーダ510から生成して、リーダへの出力のためのデータ変調器512に提供することが可能である。
【0045】
[例示のタグ]
リーダとの無線通信のための例示のタグは、(i)識別子を有し、少なくとも印刷層を有するメモリ部と、(ii)その後に所定のサイレント期間が続くビット列の提供を行うための回路であって、当該ビット列が上記識別子に関連する、当該回路と、を備えることが可能である。タグは、例えば、予めプログラムされたメモリビット(例えば、その値が印刷によってプログラムされたビット)を有することが可能であり、或いは、従来のフォトリソグラフィによって形成され、識別子を形成するための印刷技術を用いて作られた接続を有するメモリビットを、有することが可能である。システムにおいて所定の組の動作条件の下で使用される各タグ又はデバイス用の固有の識別子は、リーダが、多数のタグを、ビット列の長さ及び/又は値に基づいて識別することを可能とする。
【0046】
ここで、図6Aを参照する。本発明の実施の形態によるタグの設計を示す例示のブロック概略図が、大まかに参照符号600で示されている。一般的に、本発明の実施の形態による印刷回路は、アンテナ部(例えば、602)、パワーアップ回路(例えば、604)、クロック副回路(例えば、606)、カウンタ(例えば、608)、メモリ部(例えば、612)、デコーダ(例えば、610)、ループリセット回路(例えば、614)、及び出力ステージ(例えば、616)を備えることが可能である。このような回路部の幾つかの部分又は全てを、システム全体のコストを削減するために印刷することが可能である。さらに、製造プロセス中に個々のタグの「オンザフライ」のカスタマイズを、本発明の実施の形態に基づいて行うことも可能である。
【0047】
アンテナは、例えば、13.56MHzで使用するための共振LC回路を用いて実装可能である。或いは、アンテナは、ダイポール、又は900MHz又は2.4GHzでの動作のためのアンテナと同様のものを用いて、実装可能である。一般的に、アンテナを使用して、タグ回路の動作のための電力を供給してもよく、タグからリーダ、即ち質問機へ情報を提供してもよい。パワーアップ回路604を使用すると、電力を、アンテナ602によって集められたRF信号を整流し、得られた電荷を蓄電キャパシタに蓄積することによって、抽出することが可能である。したがって、タグが近傍のリーダから送信された十分な電磁場を有する空間領域に入ると、キャパシタが充電を開始し、これによってキャパシタにおける電圧が増加する。電圧が十分な値に至ると、「イネーブル」信号を生成することができ、このイネーブル信号(例えば、EN)を使用して回路の動作を(例えば、クロック606とカウンタ608に結合することによって)開始することが可能である。
【0048】
例示のクロック副回路(例えば、606)では、クロック信号を生成して、関連の回路(例えば、カウンタ608)を同調して動作させることが可能である。このクロック信号は、アンテナ602によって受信される入射RF信号を分周することによって、オンチップの発振器を用いてローカルなクロック信号を生成することによって、又は、リーダ供給のクロック信号を受信RF信号から復調することによって、得ることができるものである。このクロック信号を使用してカウンタ608を駆動し、当該カウンタ608は、例えば、タグ回路600がイネーブル状態になると直ぐに、リセット状態からカウント演算を開始する。
【0049】
カウンタ値が増加するにつれて、カウンタ出力を使用してメモリ部612の特定のビットを逐次的に選択することが可能である。本発明の実施の形態に従うこのようなメモリアレイは、上述したように、タグの1、2、又はそれより多い層に対しマスク不要のプロセス技術(例えば印刷プロセス)を用いてカスタマイズし得るものである。代替の実施の形態では、メモリ612を形成するメモリビットを、旧来のフォトリソグラフィ技術を用いて製造してもよく、その出力は、カスタマイズされたビットシーケンスを生成するために、マスク不要の処理(例えば、本明細書に列挙された印刷、及び又はレーザ描画/高精細プロセスのうち一以上)を用いて接続可能である。かかるカスタマイズされたメモリは、シフトレジスタ及び/又は擬似ランダム発生器の上述のスキームによって生成されるメモリビットと比較して、消費するデバイス面積がより少ない。
【0050】
タグ又はデバイス600におけるメモリ612から提供されるビットは、リーダ、即ち質問機への情報(例えばビット列の形態で)の伝送のための出力ステージ616に渡される。この情報の転送は、例えば、タグのインピーダンス変調によって、達成することができる。或いは、他の一般的な変調スキーム、例えば、振幅偏移変調、及び/又は周波数偏移変調を、本発明の実施の形態に基づいて、使用してもよい。
【0051】
動作においては、カウンタ608がそのカウント計算シーケンスを行うにつれて、予め定められたビット列の種々のビット又は部分を、リーダに転送することが可能である。同時に、ループリセット614が、カウンタ608の状態を監視することが可能である。適切な長さの完全なビット列がリーダに送信された後、タグ600は、「サイレント状態に移行する」ことが可能であり、カウンタの状態が特定の値に至るまで、サイレント状態に留まることが可能である。ループリセット614は、次いで、カウンタ値を、例えば、レーザヒューズを用いて製造時にプログラムされる値と比較することが可能である。カウンタ値とプログラムされた値とが論理的に等しい場合には(即ち、各値の各ビットが整合する場合)、ループリセット回路614は、カウンタをリセットすることができ、全プロセスを繰り返すことができる。
【0052】
所定の期間(例えば、1秒)内に、X個のタグがブロードキャストを行って、旧来のRFIDシステム及び/又は技術によって読み取り/識別することが可能である。「X」は、例えば、10、12、20、又はそれより多い整数個のデバイスであってもよい。さらに、追加の技術的利点は、ビット列におけるビットの数の増加に加えて、ブロードキャストの場合に、2N個のタグ又はデバイスを識別することを可能にすることである。ここで、「N」は、例えば、5、8、10又はそれより多い整数である。
【0053】
さらに、固有のタグ識別番号を、各タグ又はデバイス用の対応の固有の遅延を生成するためのメカニズムとして使用することが可能である。旧来のソフトウェア及び/又はアルゴリズム的な手法を使用して、固有のタグ識別番号のそれぞれを、異なる長さのビットシーケンスに変換することができる。例えば、ビットシーケンスの長さは、7〜16の範囲であることが可能であり、二つのランダムなタグ又はデバイス間の遅延に関して十分な区別をもたらすことが可能である。従って、任意の二つのタグを、検出条件の実際の設定の下で、それらの内部にプログラムされた固有のタグ識別番号(例えば、値及び/又は長さ)から得られる異なるビットシーケンスによって、識別することが可能である。
【0054】
[第2の例示のタグ]
リーダと無線通信するための他の例示のタグは、(i)識別子を有し、少なくとも一つの印刷層を有するメモリ部と、(ii)その後に所定のサイレント期間が続くビット列の提供を行うための回路であって、当該ビット列は上記識別子に関連するものである、当該回路と、を備えることが可能である。タグは、例えば、予めプログラムされたメモリビット(例えば、その値が印刷によってプログラムされ得るビット)を有することが可能であり、或いは、従来のフォトリソグラフィによって形成されるが、識別子を形成するために印刷技術を用いて作られた接続を有するメモリビットを、有することが可能である。所与の組の動作条件下でシステムに使用される各タグ又はデバイス用の固有の識別子は、リーダが多数のタグを、例えば、ビット列の長さ及び/又は値に基づいて識別することを、可能にする。
【0055】
ここで、図6Bを参照する。本発明の実施の形態によるタグの設計を示す例示のブロック概略図が、大まかに参照符号600’によって示されている。一般的に、本発明の実施の形態に係る印刷回路は、アンテナ部(例えば、652)、パワーアップ回路(例えば、654)、クロック副回路(例えば、656)、巡回シフトレジスタ(例えば、658及び660)、メモリ部(例えば、662)、遅延/リセット回路(例えば、664)、及び出力ステージ(例えば、666)を備えることが可能である。このような回路部の幾つかの部分又は全てを、システム全体のコストを低減するために印刷することが可能である。さらに、製造プロセス中に個々のタグの「オンザフライ」でのカスタマイズを、本発明の実施の形態に基づいて、行うことが可能である。
【0056】
アンテナは、例えば、13.56MHzでの使用のための共振LC回路を用いて実装してもよい。或いは、アンテナは、ダイポール、若しくは、900MHz又は2.4GHzでの動作のためのアンテナのような類似のものを用いて実装してもよい。一般的には、アンテナを使用して、タグ回路の動作のための電力を提供してもよく、タグからリーダ、即ち質問機へ、情報を提供してもよい。パワーアップ回路654を使用すると、電力を、アンテナ652によって集められたRF信号を整流し、得られた電荷を蓄電キャパシタ内に蓄積することによって、抽出することが可能である。従って、タグが、近傍のリーダから送信される十分な電磁場を有する空間領域に入るとき、キャパシタは充電を開始し、これによって、キャパシタにおける電圧が増加する。電圧が十分な値に至ると、「イネーブル」信号を生成することが可能であり、このイネーブル信号(例えば、EN)を使用して回路の動作を(例えば、クロック656、巡回シフトレジスタ658及び660、並びに、遅延/リセット回路664を結合することによって)開始することができる。
【0057】
例示のクロック副回路(例えば、656)では、クロック信号を生成して、関連の回路(例えば、巡回シフトレジスタ658及び660)を同調して動作させることが可能である。このクロック信号は、アンテナ652によって受信される入射RF信号を分周することによって、オンチップの発振器を用いてローカルのクロック信号を生成することによって、又は、リーダ提供のクロック信号を受信したRF信号から復調することによって生成することが可能である。このクロック信号を使用して、巡回シフトレジスタ658を駆動し、当該レジスタ658が、メモリをアドレス指定する全ての行を通して、単一の所定の状態(例えば、バイナリの「ハイ(High)」状態のビット)をシフトすることを開始し、これによってメモリの一つの行を一時に選択してもよい。次いで、レジスタ658の出力を使用して、第2の巡回レジスタ660にクロックを送って、メモリをアドレス指定する全ての行を通して、単一のハイ状態のビットをシフトし、これによって、一時に、メモリの単一の行を選択してもよい。本発明の実施の形態に係るメモリアレイは、上述したようにマスク不要のプロセス技術を用いて、1、2、又はそれより多い層のタグ用にカスタマイズしてもよい。代替の実施の形態では、メモリ662を形成するメモリビットを、従来のフォトリソグラフィ技術を用いて作成してもよく、その出力を、マスク不要の処理(例えば、本明細書に列挙した印刷、及び/又はレーザ描画/高精細プロセスのうちの一以上)を用いて、カスタマイズされたビットシーケンスを生成するために、接続することが可能である。このようなカスタマイズされたメモリは、シフトレジスタ及び/又は擬似ランダム発生器の上述したスキームによって生成されるメモリビットと比較して、消費するデバイスの面積がより少ない。
【0058】
タグ又はデバイス600’内のメモリ662から提供されるビットを、リーダ、即ち質問機に情報を(例えば、ビット列の形態で)転送するための出力ステージ66に提供してもよい。この情報の転送は、例えば、タグのインピーダンス変調によって実現することが可能である。或いは、他の一般的な変調スキーム、例えば、振幅偏移変調、及び又は周波数偏移変調を、本発明の実施の形態に従って、用いてもよい。
【0059】
動作においては、巡回シフトレジスタ658及び660が、それらのシーケンスを行うにつれて、所定のビット列の種々のビット又は幾つかの部分を、リーダに転送することが可能である。シーケンスの最後には、遅延/リセット回路664をレジスタ660の出力によってトリガして、タグ600’を「サイレント状態に移行」させ、遅延/リセット回路664によって決定される期間においてこのサイレント状態に留まらせる。この期間は、順に、所定の値になってもよく、温度、タグに伝達される電力、及び/又は遅延回路内の種々の部品の電子的性能といった種々の環境、又は物理的パラメータに基づいて決定されてもよい。遅延回路がそのサイクルを完了すると、当該遅延回路は、シフトレジスタ658及び660をリセットすることが可能であり、全プロセスを繰り返すことが可能である。
【0060】
ある期間(例えば、1秒)内に、X個のタグがブロードキャストして、従来のRFIDシステム及び/又は技術によって読み取り/識別することが可能である。「X」は、例えば、10、12、20又はそれより多い整数のデバイスであることが可能である。さらに、追加の技術的利点は、ビット列におけるビット数の増加に加えて、2N個のタグ又はデバイスを、ブロードキャストしたときに識別可能とすることである。ここで、「N」は、例えば、5、8、10、又はそれより多い整数であることが可能である。
【0061】
さらに、固有のタグ識別番号を、各タグ又はデバイス用の対応の固有の遅延を生成するためのメカニズムとして、これらを遅延/リセット回路への入力として提供することによって、使用することが可能である。従来のソフトウェア及び/又はアルゴリズム的な手法を使用して、固有のタグ識別番号のそれぞれを、異なる長さのビットシーケンスへと変換することも可能である。例えば、ビットシーケンス長は、7〜16の範囲にあることが可能であり、二つのランダムなタグ又はデバイス間の遅延に関して十分な区別をもたらすことが可能である。従って、検出条件の実際の設定の下にある任意の二つのタグを、その内部にプログラムされた固有のタグ識別番号(例えば、値、及び/又は長さ)から得られる異なるビットシーケンスによって、識別することが可能である。
【0062】
[タグを動作させる例示の方法]
識別タグ又はデバイスを無線通信システムにおいて動作させる例示の方法は、(i)識別子をタグ内に印刷技術を用いてプログラムする工程と、(ii)タグが動作するのに十分な周波数を有する電磁場内にあるときに、上記識別子に基づくビット列をリーダに送信する工程と、(iii)タグを、或る期間においてサイレント状態とする工程と、を含むことが可能である。印刷技術は、レーザ印刷、インクジェット加工、グラビア印刷、レーザ描画、及び/又はレーザ高精細技術を含むことが可能であり、好ましくは、金属ナノ粒子及び/又は液体シランベースのインクを使用するものである。
【0063】
ここで、図7を参照する。本発明の実施の形態に係る例示のタグの動作方法を示す流れ図が、大まかに参照符号700で示されている。フローは、(702)で開始し、そして、タグをプログラムすることが可能である(704)。上述したように、このようなタグのプログラムは、固有の識別子を、印刷技術を用いて形成することを含むことが可能である。例えば、タグは、予めプログラムされたメモリビット(例えば、その値が印刷によってプログラムされているビット)を有することが可能であり、或いは、従来のフォトリソグラフィ技術によって形成されるが、識別子を形成するために印刷技術を用いて作成された接続を有するメモリビットを有することが可能である。
【0064】
電磁(EM)場が与えられていない場合(706)には、タグは、如何なる情報もリーダに返さず、フローは完了する(712)。しかしながら、EM場が印加されている限り(706)、タグはビット列をリーダに送信することができ(708)、タグは次いで所定の期間においてサイレント状態に留まることができる(710)。その後にサイレント期間が続くビット列の送信は、EM場がもはや印加されなくなるまで繰り返すことが可能である。さらに、上述したように、システム内の異なるタグが、それぞれ固有の識別子及び送信ビット列(例えば、固有のビット列の長さ及び/又は値)を有することが可能であり、これらは、上記のタグを関連のリーダによって区別するために使用することが可能である。従って、一般的な又は従来のリーダが、異なるタグを、各タグからのビット列を監視することによって区別することが可能である。なお、かかるビット列の長さ/又は値は、印刷技術を用いて予め決定されている。
【0065】
[例示の無線識別システム]
例示の無線識別システムは、(i)印刷技術を用いて内部にプログラムされた第1の識別子を有する第1のタグであって、第1の長さ及び/又は値を有し、第1のビット列を、その後にサイレント期間(例えば、タグが第1の期間においてサイレント状態に留まる)が続くように、(繰り返し)提供又は送信するように構成されており、当該第1のビット列の第1の長さ及び/又は値、並びに/若しくは第1のサイレント期間は、所定のアルゴリズムによって第1の識別子に基づいて決定される、当該第1のタグと、(ii)印刷技術を用いて内部にプログラムされた第2の識別子を有する第2のタグであって、第2の長さ及び/又は値を有し、その後にサイレント期間(例えば、タグが第2の期間においてサイレント状態に留まる)が続くように、第2のビット列を(繰り返し)提供又は送信するように構成されており、当該第2のビット列の第2の長さ及び/又は値、並びに/若しくは第2のサイレント期間は、上記アルゴリズムによって第2の識別子に基づいて決定される、当該第2のタグと、(iii)電磁場が与えられているときに、第1及び第2のビット列を受信するためのリーダであって、第1のタグと第2のタグとを、第1の長さ及び/又は値と第2の長さ及び/又は値、並びに/若しくは、第1のサイレント期間と第2のサイレント期間に基づいて区別することができる、当該リーダと、を備えることが可能である。したがって、ビット列及びサイレント期間の一方又は両者は、所与のグループのタグにおける大多数のタグに対して(又は各タグに対して)固有のものである。
【0066】
ビット列の長さ及び/又は値は、監視され、特定され、又は検出されるべき特定のタイプの製品の指定を含むことが可能である。この情報を、リーダ、即ち質問機に結合されたホストコンピュータにおける後続の処理に使用することも可能である。例えば、タグシステムを使用して、料金所を通過する車両が道路を通過するための支払い手続をとったか否かを決定することを可能とする上述の応用では、各車両におけるタグは、固有のビット列及び/又は値を、ホストコンピュータにリーダを介して提供してもよい。ホストコンピュータは、次いで、この情報を処理して、例えば、車両の通過を許可するか、又は許可しないことが可能である。このような後続の処理の応用は、本発明の実施の形態に係るTTF衝突防止スキームを使用するマルチタグ読み取り可能なEAS、HF、UHF、及びRFIDシステムのための手法に組み込むことが可能である。
【0067】
上記の例はタグ回路の特定の実装を含むものであるが、当業者は、他の技術を実施の形態に基づいて使用してもよいことを理解するであろう。さらに、当業者は、信号伝送、及び/又は制御の他の形態を、本発明の実施の形態に基づいて使用してもよいことを理解するであろう。
【0068】
本発明の特定の実施の形態の上述の説明は、例示及び説明のために提供されたものである。これらは、包括的なものであること、又は説明した明確な形態に本発明を制限することを意図しておらず、多くの変更、及び変形が、上述の教示の下に成し得ることは明白である。本実施の形態は、本発明の原理及びその実際の応用を最も良く説明するために、選択して、説明したものであり、これによって、他の当業者が、本発明、及び、種々の実施の形態を、想定される特定の使用に適合するように種々の変更と共に、最良の形で活用することを可能にするものである。本発明の範囲は、本明細書に添付の特許請求の範囲及びそれらの均等の範囲によって規定されることを意図している。
【符号の説明】
【0069】
400,400’…タグ、410…アンテナ、420,470…クロック復元ブロック、430:HF−直流変換ブロック、440、440’…変調ブロック、450…ロジック及びI/O制御ブロック、455…ダイポールアンテナ、460…メモリ、480…UHF−直流変換ブロック。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
TTF衝突防止スキームを用いたマルチタグ読み取り可能なシステムにおけるリーダと無線通信するよう構成されたタグであって、
a)前記タグのための識別子を符号化した複数のメモリビットを格納するメモリ構造を有するメモリ部であって、前記識別子を符号化した前記複数のメモリビットを格納する前記メモリ構造の少なくとも一部は印刷されている、該メモリ部と、
b)(i)前記メモリ部からリーダへ前記複数のメモリビットをビット列の形態で送信し、(ii)前記タグに、前記ビット列の送信を完了した後に続く固有のサイレント期間においてサイレント状態に留まらせ、(iii)前記固有のサイレント期間が経過した後に前記ビット列を再送する、よう構成された回路であって、前記ビット列は前記識別子に関連し、前記固有のサイレント期間は、前記識別子によって予めセットされるか、又は、前記メモリ構造の前記印刷された一部に含まれる前記タグの物理的パラメータにおけるバリエーションによって、及び、所望により、環境パラメータ、及び/又は、前記タグ内の部品の電気的な性能によって決定され、該回路は、複数の薄膜トランジスタ(TFT)を含む制御及び読み出しロジックを有する、該回路と、
を備えるタグ。
【請求項2】
前記メモリ構造の前記印刷された一部が、所定の組のリーダ動作条件下で、前記ビット列として送信された前記複数のメモリビットを一意的に接続するように構成されている、請求項1記載のタグ。
【請求項3】
前記回路は、更に、前記リーダから無線周波数(RF)信号を受信するよう構成されているアンテナに接続されたパワーアップ回路であって、前記RF信号が受信されるときに、イネーブル信号の提供を行うよう構成された該パワーアップ回路を有し、前記リーダによって提供される電磁場内に存在するときに、前記リーダとの前記無線通信を開始する、請求項1記載のタグ。
【請求項4】
前記固有のサイレント期間が、前記メモリ部内にプログラムされている、請求項1記載のタグ。
【請求項5】
TTF衝突防止スキームを用いたマルチタグ読み取り可能なシステムにおけるリーダと無線通信するためのタグを製造する方法であって、
a)前記タグの少なくとも一部を印刷することによって、前記タグのための識別子を符号化した複数のメモリビットを格納するメモリ構造を有するメモリ部を形成する工程であって、前記識別子を符号化した前記複数のメモリビットを格納する前記メモリ構造の少なくとも一部は印刷されている、該工程と、
b)(i)前記メモリ部から前記複数のメモリビットをビット列の形態で送信し、(ii)前記タグに、前記ビット列の送信を完了した後に続く固有のサイレント期間においてサイレント状態に留まらせる、よう構成された前記タグ上の回路を製造する工程であって、前記ビット列は前記識別子に関連し、前記固有のサイレント期間は、前記識別子によって予めセットされるか、又は、前記メモリ構造の前記印刷された一部に含まれる前記タグの物理的パラメータにおけるバリエーションによって、及び、所望により、環境パラメータ、及び/又は、前記タグ内の部品の電気的な性能によって決定され、該回路は、複数の薄膜トランジスタ(TFT)を含む制御及び読み出しロジックを有する、該工程と、
を含む方法。
【請求項6】
金属ナノ粒子及び/又は液体シランベースのインクのインクジェット加工を含むプロセスによって、前記メモリ構造の前記印刷された一部を形成する工程と、前記インクを乾かす工程とを更に含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
金属ナノ粒子に基づくインク、有機金属に基づくインク、及び/又は、液体シランに基づくインクを用いるレーザ描画、又はレーザ高精細技術によって、前記メモリ構造の前記印刷された一部を形成する工程を更に含む、請求項5記載の方法。
【請求項8】
請求項1記載のタグを動作させる方法であって、
a)前記タグが前記リーダによって供給される電磁場内に存在するときに、前記識別子に関連する前記ビット列を前記リーダに送信する工程と、
b)前記タグを固有のサイレント期間において、サイレント状態とする工程と、
を含む方法。
【請求項9】
TTF衝突防止スキームを用いたマルチタグ読み取りアプリケーションのための無線識別システムであって、
a)リーダと、
b)第1の複数のメモリビットを格納するメモリ構造を有し、前記第1の複数のメモリビットによって符号化された第1の識別子を有する第1のメモリを有する第1のタグであって、前記第1の識別子を符号化した前記第1の複数のメモリビットを格納する前記第1のメモリ構造の少なくとも一部は印刷されており、該第1のタグは、(i)電磁場が与えられているときに、前記リーダへ前記第1の複数のメモリビットを第1のビット列の形態で送信し、(ii)前記第1のタグに、前記第1のビット列の送信を完了した後に続く第1の固有の期間においてサイレント状態に留まらせ、(iii)前記第1の固有の期間が経過した後に前記第1のビット列を再送する、ように構成された第1の回路を含み、該第1のビット列は前記第1の識別子に関連し、前記第1の固有の期間は、前記第1の識別子によって予めセットされるか、又は、前記第1のメモリ構造の前記印刷された一部に含まれる前記タグの物理的パラメータにおけるバリエーションによって、及び、所望により、環境パラメータ、及び/又は、前記タグ内の部品の電気的な性能によって決定される、該第1のタグと、
c)第2の複数のメモリビットを蓄積するメモリ構造を有し、前記第2の複数のメモリビットによって符号化された第2の識別子を有する第2のメモリを有する第2のタグであって、前記第2の識別子を符号化した前記第2の複数のメモリビットを格納する前記第2のメモリ構造の少なくとも一部は印刷されており、該第2のタグは、(i)前記電磁場が与えられているときに、前記リーダへ前記第2の複数のメモリビットを第2のビット列の形態で送信し、(ii)前記第2のタグに、前記第2のビット列の送信を完了した後に続く第2の固有の期間においてサイレント状態に留まらせ、(iii)前記第2の固有の期間が経過した後に前記第2のビット列を再送する、ように構成された第2の回路を含み、該第2のビット列は前記第2の識別子に関連し、前記第2の固有の期間は、前記第2の識別子によって予めセットされるか、又は、前記第2のメモリ構造の前記印刷された一部に含まれる前記タグの物理的パラメータにおけるバリエーションによって、及び、所望により、環境パラメータ、及び/又は、前記タグ内の部品の電気的な性能によって決定される、該第2のタグと、
を備え、
前記リーダは、前記第1のタグ及び前記第2のタグからの通信の受信を行い、前記第1の長さ及び/又は値と前記第2の長さ及び/又は値とに基づいて、前記第1のタグと前記第2のタグを識別するように構成されており、
前記第1及び第2のタグの前記回路は、複数の薄膜トランジスタ(TFT)を含む制御及び読み出しロジックを有する、
無線識別システム。
【請求項10】
TTF衝突防止スキームを用いたマルチタグ読み取り可能なシステムにおけるリーダと無線通信するように構成されたタグのグループであって、該グループにおけるそれぞれのタグが、
a)前記タグのための識別子を符号化した複数のメモリビットを格納するメモリ構造を有するメモリ部であって、前記識別子を符号化した前記複数のメモリビットを格納する前記メモリ構造の少なくとも一部は印刷されている、該メモリ部と、
b)(i)前記メモリ部から前記複数のメモリビットをビット列の形態で送信し、(ii)前記タグに、前記ビット列の送信を完了した後に続く固有のサイレント期間においてサイレント状態に留まらせ、(iii)前記固有のサイレント期間が経過した後に前記ビット列を再送する、ように構成された回路であって、前記ビット列が前記識別子に関連し、前記固有のサイレント期間は、前記識別子によって予めセットされるか、又は、前記メモリ構造の前記印刷された一部に含まれる前記タグの物理的パラメータにおけるバリエーションによって、及び、所望により、環境パラメータ、及び/又は、前記タグ内の部品の電気的な性能によって決定され、前記回路は、複数の薄膜トランジスタ(TFT)を含む制御及び読み出しロジックを有する、該回路と、
を備えるグループ。
【請求項11】
前記メモリ構造の前記印刷された一部が、所定の組のリーダの動作条件の下で、前記ビット列として送信された前記グループにおける各タグの前記複数のメモリビットを一意的に接続するように構成されている、請求項10記載のグループ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−185834(P2012−185834A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−95811(P2012−95811)
【出願日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【分割の表示】特願2006−307059(P2006−307059)の分割
【原出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(504263587)コヴィオ インコーポレイテッド (25)
【Fターム(参考)】