説明

タンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造

【課題】安全にバラスト水の処理を行うことができ、また、大幅な設計変更作業が必要なく、簡易な設計変更を可能とするタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造を提供する。
【解決手段】バラストタンク2内のバラスト水をバラストポンプで引き込み微生物の除去または殺菌等の所定のバラスト水処理を行わせしめるバラスト水処理装置4を有し、処理済みのバラスト水をバルブ、排水口を介して船外に排水し、船外から新たなバラスト水を取水するタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造において、前記バラスト水内の微生物の除去または殺菌等の処理に必要な装置の全てからなるバラスト水処理装置を、前記タンカーの安全区域内である上甲板9上であって、危険区域を避けた位置に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、環境の異なる国を往復する船舶によってバラスト水の注排水が行われると、バラスト水に含まれる微生物により沿岸生態系に悪影響を及ぼすことが懸念されている。そこで、この種の問題を解決するための技術として、例えば、特開2005−152799号公報に開示のものが知られている。
【0003】
特開2005−152799号公報の開示は、発明の名称「船舶用バラスト水の処理装置」に係り、「少ない時間と熱量で効率的にバラスト水に含まれる微生物を除去、死滅させることができ、港でのバラスト水の注排水に伴う環境の保全に十分に寄与することができる船舶用バラスト水の処理装置を提供する」ことを目的とし(同公報明細書段落番号0005参照)、この目的達成のために、「バラスト水を濾過するフィルタ濾過装置と、該フィルタ濾過装置のフィルタを高温水により加熱しながら逆洗浄する加熱逆洗装置とを備えた」構成とすることにより(同公報明細書段落番号0006参照)、「バラスト水の微生物をフィルタによって捕集するとともに、該フィルタを逆洗浄時に加熱し、微生物を周密に集めた状態で死滅させることができ、これにより、少ない時間と熱量で効率的かつ経済的にバラスト水に含まれる微生物を除去、死滅させることができ・・・・、効率的にバラスト水を濾過することができ・・・、バラスト水量をほぼ一定に保持しながらバラスト水に含まれる微生物を除去、死滅させることができるとともに、逆洗浄した水の排出を任意の時又は場所で行うことができる」等の効果を奏するものである(同公報明細書段落番号0009ないし0011参照)。
【0004】
図4は、上記特開2005−152799号公報に開示の船舶用バラスト水の処理装置の一実施例を示す船体とバラストタンクの配置(図2(a)(b))であり、図4(a)は船体の部分断面図、図4(b)は図4(a)のX−X 線断面図を示すものである。図4において、100は、船舶用バラスト水処理装置、101は、船体、102は、バラストタンク、103は、バラストポンプ、104は、フィルタ濾過装置、110は、シーチェストである。
【0005】
ところが、一般貨客を輸送する貨客船にあっては、上記の構成からなるバラスト水処理装置であっても特段問題を生じることはないが、石油精製品等の危険物を積載するタンカー等の船舶にあっては、積載するカーゴがバラスト水に紛れ込むおそれがあり、タンカー等の火災危険物を積載する船舶においては、船舶用バラスト水処理装置をエンジンルーム等の電気設備を備える区域内には設置することはできないこととされている。すなわち、タンカー等にあっては積載カーゴが船舶の航行中や停泊中に積載するカーゴ荷物である引火性のオイル等がバラスト水に混在してしまう可能性があり、バラスト水処理のバラストタンク102やバラストポンプ103であっても、それらのポンプ103等が電気駆動である限りは、混入する引火物に引火の危険等が免れず、それらの区域は危険区域として、バラストタンク102やバラストポンプ103であっても配置することが制限される。
【0006】
上記特開2005−152799号公報に開示の船舶用バラスト水処理装置100には、ポンプ用電動機や制御盤等の電気機器(図示外)が装備されており、同公報に開示の船舶用バラスト水処理装置100は、タンカー等にそのまま配置することは許されないこととなる。すなわち、危険区域として定められている区画内にあるバラスト水(図示外)であっても、オイル等が混在する可能性のあるバラスト水を火気が厳禁されるエンジンルーム105内等の危険区域に配管することは許されない。
したがって、図4(a)(b)に示されるように、船舶用バラスト水処理装置100をタンカー等のエンジンルーム105内に設置することは許されず、また、これを居住区(図示外)等へ設置した場合には、居住区配置の大幅な設計変更が必要となり、設計変更作業による大幅な改造が必要となるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−152799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は上記の問題点を解決するために、タンカー等の危険物を積載する船舶において、安全にバラスト水の処理を行うことができ、また、大幅な設計変更作業が必要なく、簡易な設計変更を可能とするタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために本願請求項1に係る発明は、バラストタンク内のバラスト水をバラストポンプで引き込み微生物の除去または殺菌等の所定のバラスト水処理を行わせしめるバラスト水処理装置を有し、処理済みのバラスト水をバルブ、排水口を介して船外に排水し、船外から新たなバラスト水を取水するタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造において、前記バラスト水処理装置のうち電気配電を必要とする機器類を、前記タンカーの安全区域内に配置し、前記バラスト水処理装置のうち電気配電を必要としない機器類を前記危険区域内に配置したことを特徴とする。
また、本願請求項2に係る発明は、前記請求項1に記載のタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造において、前記バラスト水処理装置のうち電気配電を必要とする機器類は、前記タンカーの上甲板上のデッキハウス内に配置し、前記バラスト水処理装置のうち電気配電を必要としない機器類は、前記危険区域内のポンプルームに配置したことを特徴とする。
また、本願請求項3に係る発明は、前記請求項2に記載のタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造において、前記バラスト水処理装置のうち電気配電を必要とする機器類または前記デッキハウスは、前記上甲板から高さ2.4m以上の位置に配置したことを特徴とする。
さたに、本願請求項4に係る発明は、前記請求項1に記載のタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造において、前記バラスト水処理装置のうち、(A)電気分解によるバラスト水殺菌による処理方法のものにあっては、(a)電解槽・制御盤、(B)電気分解に夜バラスト水殺菌とフィルターによる除去を併用する処理方法のものにあっては、(b)電解槽・制御盤、(C)遠心分離による除去と酸化作用による殺菌とフィルターによる除去を併用する処理方法のものにあっては、(c)遠心分離機・制御盤、(D)オゾン殺菌による処理方法のものにあっては、(d)酸素発生装置・制御盤、(E)紫外線による殺菌とフィルターによる除去を併用する処理方法のものにあっては、(e)紫外線発生装置・制御盤、(F)超音波による殺菌とフィルターによる除去の併用する処理方法のものにあっては、(f)超音波発生装置・制御盤、のうちの少なくとも一組を前記タンカーの安全区域内に配置したことを特徴とする。
また、本願請求項5に係る発明は、前記請求項1に記載のタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造において、前記(a)電解槽・制御盤、(b)電解槽・制御盤、(c)遠心分離機・制御盤、(d)酸素発生装置・制御盤、(e)紫外線発生装置・制御盤、(f)超音波発生装置・制御盤のうちの少なくとも一組は、前記タンカーの上甲板上の危険区画外に配置されたバラスト水処理電気設備室内に配置したことを特徴とする。
そして、本願請求項6に係る発明は、前記請求項1に記載のタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造において、前記排水口が、船側外板の喫水近傍上部に設けられていることを特徴とする。
さらに、本願請求項7に係る発明は、前記請求項1に記載のタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造において、前記危険区域内に配置される前記バラスト水処理装置のうち電気配電を必要としない機器類が油圧駆動バラストポンプであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、上述のとおり構成されているので、次に記載する効果を奏する。
(1)タンカー等の危険物を積載する船において、上甲板上の危険区画外にバラスト水処理装置を設置しているので、火災の危険を回避することができ、安全にバラスト水処理を行うことができる。
(2)当該上甲板上へのバラスト水処理装置の設置は、大幅な設計変更作業が必要とならず、簡易な設計変更で足るという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施例1に係るタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造1の船側からみた概略図、
【図2】図2は、本実施例1に係るタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造1の図1A−Aの右舷側概略図、
【図3】タンカー1の安全区域に電気配電を必要とする機器を設け、その余の電気配電を必要としない機器類をタンカー1の危険区域内に配置した本実施例2に係るタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造における配管例を示す概略図、
【図4】特開2005−152799号公報に開示の船舶用バラスト水の処理装置の一実施例である船体とバラストタンクの配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための最良の形態としてのタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造の一実施例を図面に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1、図2は、本発明を実施するための最良の形態である実施例1に係るタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造の概略を示す図であり、そのうち、図1は、実施例1に係るタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造1の船側からみた概略図であり、図2は、本実施例1に係るタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造1の図1A−Aの右舷側概略図である。図1、図2において、符号1は、タンカー、2は、バラストタンク、3は、デッキハウス、4は、バラスト水処理装置、5は、機関室(エンジンルーム)、6は、ポンプルーム、7は、カーゴオイルタンク、8は、居住区、9は、上甲板、10は、油圧駆動バラストポンプ、11は、取水口、12は、油圧駆動バルブ、13は、排水口、CLは、船体中心線を示す。
【0014】
また、この種のタンカー1においては、上述するように、積載するカーゴの種類によって船舶内の危険区域・安全区域が区別されており、図1、2において、網掛けで表示した部分は、この種のタンカーにおいて、危険区域を示し、網掛けで表示した以外の部分は、同安全区域を示す。
【0015】
上述するように、この種のタンカー1にあっては、上記危険区域には、発火源となる電気機器類の設置は許されず、たとえ、バラスト水処理装置4のような水処理装置であっても、積載カーゴがバラスト水に混在する可能性のある区域については、バラスト配管すら危険区域に配置することはできない。
【0016】
そこで、本実施例1に係るタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造におけるバラスト水処理は、前記バラストタンク2内のバラスト水を前記油圧駆動バラストポンプ10により、上甲板9上に配置された前記バラスト水処理装置4に送出し、当該バラスト水処理装置4において、所定の処理方法により、バラスト水内の微生物を除去・死滅させ、これらの微生物が含まれなくなった清浄な処理済みバラスト水とし、この処理済みバラスト水を前記油圧バルブ12及び排水口13を介して船外に排出するようにしたものである。また、バラスト水が不足して船外から取り込まなければならないときには、前記取水口11、前記油圧駆動バラストポンプ10により前記バラストタンク2に取り込むようにしたものである。
【0017】
なお、処理済みバラスト水を船外に排水するに際して、前記排水口13は、船側外板の喫水近傍上部に配置したので、船側外板の上甲板近傍に排水口13が設置されている場合に比し、船舶の停泊時の排水の際に岸壁に排水が掛かってしまう等の問題を回避することができ、船舶の停泊時に処理後のバラスト水を船外へ排水する際にも岸壁等に排水が掛かることがなくなる。
【0018】
すなわち、本実施例1に係るタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造においては、そのバラスト水処理装置4をタンカー1の安全区域内である上甲板9上であって、危険区域を避けた位置に、あるいは、例えば、上甲板から高さ2.4m以上の位置に設置するようにした。具体的には、図1に示すように、タンカー1の上甲板9上の危険区画外の例えばデッキハウス3内にバラスト水処理装置4を設置するようにした。
【0019】
このような配置構造とすることにより、本実施例1に係るタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造は、バラスト水処理装置4全体をタンカーの安全区域とされる上甲板9上であって、例えば、上甲板から高さ2.4m以上の位置に配置するようにしたので、バラスト水にカーゴオイル等が混入したとしても引火の危険がないバラスト水処理装置の配置構造とすることができる。
また、これらの設計変更は、タンカー1の上甲板上へバラスト水処理装置を設置するだけで済むので、大幅な設計変更作業が必要とならず、簡易な設計変更で足るものである。
【実施例2】
【0020】
ところで、この種のバラスト水処理としては、様々な処理方法が知られている。
【0021】
【表1】

【0022】
例えば、添付の表1は、A社〜F社の主なバラスト水処理装置概要を示すものであり、大きく分けて、上段に「処理方法」と、下段にその処理の際に使用される機器類のうち、「発火源となる可能性のある主な電気機器」をあげたものである。
【0023】
この表1によれは、上記「処理方法」は、大きく分けて、(A)電気分解によるバラスト水殺菌による処理方法のもの、(B)電気分解に夜バラスト水殺菌とフィルターによる除去を併用する処理方法のもの、(C)遠心分離による除去と酸化作用による殺菌とフィルターによる除去を併用する処理方法のもの、(D)オゾン殺菌による処理方法のもの、(E)紫外線による殺菌とフィルターによる除去を併用する処理方法のもの、(F)超音波による殺菌とフィルターによる除去の併用する処理方法のもの等種々の処理方法があることを示している。
【0024】
これらの処理方法は一長一短があり、いまだ、処理方法が確立されているとは言い難いが、しかしながら、これらの様々なバラスト水処理方法に限った場合にであっても、それらに使用される装置類のうち発火源となる電気駆動ないしは電気配電を必須とする主な電気機器は、上記表1の下段に示される次のものである。
【0025】
すなわち、(A)電気分解によるバラスト水殺菌による処理方法のものにあっては、(a)電解槽・制御盤、(B)電気分解に夜バラスト水殺菌とフィルターによる除去を併用する処理方法のものにあっては、(b)電解槽・制御盤、(C)遠心分離による除去と酸化作用による殺菌とフィルターによる除去を併用する処理方法のものにあっては、(c)遠心分離機・制御盤、(D)オゾン殺菌による処理方法のものにあっては、(d)酸素発生装置・制御盤、(E)紫外線による殺菌とフィルターによる除去を併用する処理方法のものにあっては、(e)紫外線発生装置・制御盤、(F)超音波による殺菌とフィルターによる除去の併用する処理方法のものにあっては、(f)超音波発生装置・制御盤等からなる。
【0026】
そこで、本実施例2に係るタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造においては、各種の機器からなる船舶用バラスト水処理装置のうち、(A)については、(a)電解槽・制御盤、(B)については、(b)電解槽・制御盤、(C)については、(c)遠心分離機・制御盤、(D)については、(d)酸素発生装置・制御盤、(E)については、(e)紫外線発生装置・制御盤、(F)については、(f)超音波発生装置・制御盤、をタンカー1の安全区域のバラスト水処理電気設備室41内に配置するようにし、その余の電気配電を必要としない機器類については、例えば、前記ポンプルーム6等の危険区域内に配置し、これらポンプルーム6、バラストタンク2、バラスト水処理電気設備室41間に渡ってバラスト配管するようにして、タンカー1の危険区域内における電気機器を発火源とする危険を回避するようにした。
【0027】
すなわち、本実施例2に係るタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造においては、例えば、上甲板9上または上甲板9から高さ2.4m以上の位置にバラスト水処理電気設備室41を配置し、当該バラスト水処理電気設備室41に少なくとも上記(a)電解槽・制御盤、(b)電解槽・制御盤、(c)遠心分離機・制御盤、(d)酸素発生装置・制御盤、(e)紫外線発生装置・制御盤、(f)超音波発生装置・制御盤、を配置するようにした。
【0028】
なお、本実施例2に係るバラスト水処理装置の配置構造におけるバラスト水処理電気設備室41は、実施例1に係るタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造を示す図1において、前記バラスト水処理装置4と同位置に配置するものとして、図1において、符号41として表記した。
【0029】
本実施例2に係るタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造においては、上甲板9上または上甲板9から高さ2.4m以上の位置にバラスト水処理電気設備室41を配置し、当該バラスト水処理電気設備室41に少なくとも上記(a)電解槽・制御盤、(b)電解槽・制御盤、(c)遠心分離機・制御盤、(d)酸素発生装置・制御盤、(e)紫外線発生装置・制御盤、(f)超音波発生装置・制御盤、を配置するようにし、その余の電気配電を必要としない機器類を前記ポンプルーム6等に配置し、これらポンプルーム6、バラストタンク2、バラスト水処理電気設備室41間をバラスト配管するようにした。
【0030】
図3は、タンカー1の安全区域に前記バラスト水処理電気設備室41を設け、当該バラスト水処理電気設備室41に少なくとも上記(a)電解槽・制御盤、(b)電解槽・制御盤、(c)遠心分離機・制御盤、(d)酸素発生装置・制御盤、(e)紫外線発生装置・制御盤、(f)超音波発生装置・制御盤、を配置し、その余の電気配電を必要としない機器類を前記ポンプルーム6等に配置した本実施例2に係るタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造における配管例を示す概略図である。
【0031】
図3において、符号14は、バラスト配管、15サクションウエル、16は、バルブ、17は、ストレーナー、18は、逆止弁、19、20、21、22、23、24、25はバルブであり、その余の符号については、図1、図2において示したものと同一のものは、図3においても同一の符号で示しものとし、その動作等の説明は省略する。
【0032】
本実施例2に係るタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造において、バラスト水を処理する場合は、各バルブ16及びバルブ19、22を操作して各サクションウエル15からバラストタンク2内のバラスト水を前記バラスト水処理電気設備室41荷送り込み、当該バラスト水処理電気設備室41に配置された上記(a)電解槽・制御盤、(b)電解槽・制御盤、(c)遠心分離機・制御盤、(d)酸素発生装置・制御盤、(e)紫外線発生装置・制御盤、(f)超音波発生装置・制御盤のいずれかにより、バラスト水を処理する。処理方法としては、前述したように、(a)電解槽・制御盤については、(A)電気分解によるバラスト水殺菌による処理を、(b)電解槽・制御盤については、(B)電気分解に夜バラスト水殺菌とフィルターによる除去を併用する処理を、(c)遠心分離機・制御盤については、(C)遠心分離による除去と酸化作用による殺菌とフィルターによる除去を併用する処理を、(d)酸素発生装置・制御盤については、(D)オゾン殺菌による処理を、(e)紫外線発生装置・制御盤については、(E)紫外線による殺菌とフィルターによる除去を併用する処理を、(f)超音波発生装置・制御盤については、(F)超音波による殺菌とフィルターによる除去の併用する処理をそれぞれ行わせしめ、それぞれの処理方法によってタンカーのバラスト水処理を行わせしめる。
【0033】
本実施例2に係るタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造においては、このように電気配電が必要な機器類については、タンカー1に安全区域内に配置し、電気配電が必要のない機器は危険区域内に配置するようにしたので、タンカー等のバラスト水処理において、カードオイル等がバラスト水に混入して、今夕したカーゴオイル等に電気機器が発火源となる危険を回避することができることとなると共に、重量や容量の大きい機器類については、タンカー1の危険区域内であっても配置することができ、機器類の配置の柔軟性を確保することができることとなる。
【0034】
そして、上記実施例1に係るタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造の場合と同様に、本実施例2に係るタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造の場合であっても、上記電気配電を必要とする機器類を作業が容易なタンカー1の上甲板9上に設置するだけで済むので、大幅な設計変更作業が必要とならず、簡易な設計変更で足ることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、引火性の高いカーゴを積載するタンカー等におけるバラスト水処理に利用できる。
【符号の説明】
【0036】
1 タンカー
2 バラストタンク
3 デッキハウス
4 バラスト水処理装置
5 機関室(エンジンルーム)
6 ポンプルーム
9 上甲板
10 油圧駆動バラストポンプ
11 取水口
12 油圧バルブ
13 排水口
14 バラスト配管
15 サクションウエル
16 バルブ
17 ストレーナー
18 逆止弁
19、20、21、22、23、24、25 バルブ
41 バラスト水処理電気設備室
100 船舶用バラスト水処理装置
102 バラストタンク
103 バラストポンプ
103 ポンプ
105 エンジンルーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バラストタンク内のバラスト水をバラストポンプで引き込み微生物の除去または殺菌等の所定のバラスト水処理を行わせしめるバラスト水処理装置を有し、処理済みのバラスト水をバルブ、排水口を介して船外に排水し、船外から新たなバラスト水を取水するタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造において、前記バラスト水処理装置のうち電気配電を必要とする機器類を、前記タンカーの安全区域内に配置し、前記バラスト水処理装置のうち電気配電を必要としない機器類を危険区域内に配置したことを特徴とするタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造。
【請求項2】
前記バラスト水処理装置のうち電気配電を必要とする機器類は、前記タンカーの上甲板上のデッキハウス内に配置し、前記バラスト水処理装置のうち電気配電を必要としない機器類は、前記危険区域内のポンプルームに配置したことを特徴とする請求項1に記載のタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造。
【請求項3】
前記バラスト水処理装置のうち電気配電を必要とする機器類または前記デッキハウスは、前記上甲板から高さ2.4m以上の位置に配置したことを特徴とする請求項2に記載のタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造。
【請求項4】
前記バラスト水処理装置のうち、(A)電気分解によるバラスト水殺菌による処理方法のものにあっては、(a)電解槽・制御盤、(B)電気分解に夜バラスト水殺菌とフィルターによる除去を併用する処理方法のものにあっては、(b)電解槽・制御盤、(C)遠心分離による除去と酸化作用による殺菌とフィルターによる除去を併用する処理方法のものにあっては、(c)遠心分離機・制御盤、(D)オゾン殺菌による処理方法のものにあっては、(d)酸素発生装置・制御盤、(E)紫外線による殺菌とフィルターによる除去を併用する処理方法のものにあっては、(e)紫外線発生装置・制御盤、(F)超音波による殺菌とフィルターによる除去の併用する処理方法のものにあっては、(f)超音波発生装置・制御盤、のうちの少なくとも一組を前記タンカーの安全区域内に配置したことを特徴とする請求項1に記載のタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造。
【請求項5】
前記(a)電解槽・制御盤、(b)電解槽・制御盤、(c)遠心分離機・制御盤、(d)酸素発生装置・制御盤、(e)紫外線発生装置・制御盤、(f)超音波発生装置・制御盤のうちの少なくとも一組は、前記タンカーの上甲板上の危険区画外に配置されたバラスト水処理電気設備室内に配置したことを特徴とする請求項1に記載のタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造。
【請求項6】
前記排水口が、船側外板の喫水近傍上部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造。
【請求項7】
前記危険区域内に配置される前記バラスト水処理装置のうち電気配電を必要としない機器類が油圧駆動バラストポンプであることを特徴とする請求項1に記載のタンカーにおけるバラスト水処理装置の配置構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−183999(P2012−183999A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−110696(P2012−110696)
【出願日】平成24年5月14日(2012.5.14)
【分割の表示】特願2009−207693(P2009−207693)の分割
【原出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(000146814)株式会社新来島どっく (101)