説明

タンク孔開け装置

【課題】シリンダ等の作動部材を設けることなく、下穴内への挿入により支持アームを拡径して切断片を保持可能にすることができ、構造を簡易化すると共に小型化する。回転する切断刃による孔が形成された際に拡径した支持アームにより切断片を保持してタンク内へ落下するのを回避する。
【解決手段】ホルダ(25)に軸線方向へ移動可能に設けられたスライド盤(41)に対して先端部が上記軸体に形成された被係合凹部(23c)に係合可能な係合爪部(47)を圧縮ばね(49)の弾性力により軸線直交方向へ付勢された移動するように設けると共にホルダ(25)に設けられた係合解除カム(43)により被係合凹部(23c)に係合した係合爪部(47)を係合解除方向へ移動して軸体(23)に対してホルダ(25)を軸線方向へ移動可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタンク、特に車両用燃料タンクにゲージやセンサ等の各種部品を取付けるための孔を形成するタンク孔開け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タンク、特に車両用燃料タンクにゲージやセンサ等の各種部品を取付けるための孔を形成する際に、切断片がタンク内に落下して汚れるのを防止するため、孔開け作業の終了後に切断片をタンク外へ取出す必要があり、切断片の取出し作業によりタンクの製造効率が悪くなっている。
【0003】
切断作業の終了時に切断片を取出すことが可能なタンク孔開け装置としては、例えば特許文献1に示すタンク孔開け装置が知られている。該タンク孔開け装置はタンクの所定個所に各種部品を装着するための孔を開穿するドリルユニットに、スピンドルを回転中心として所定距離を隔ててカッタ刃を装着すると共にスピンドルの下方部に、スピンドルの軸心に沿って上下動するピストン、該ピストンの下部に固設されたピストンロッド、該ピストンロッドを囲繞するように下向き且つ等間隔で枢着された複数のアームからなり、アームには枢着部近傍の内側に突起部を突設すると共に該アームの下端部を外側に突設して爪部が形成され、更に、前記ピストンロッドにカム溝を設けて前記アームの突起部をこのカム溝に係合し、前記ピストンの上下動によりアームの突起部が押し上げ若しくは押し下げられて、アームの下端部が縮径若しくは拡径する膨拡機構部を設け、予め前記タンクの所定位置に開穿されている下孔に膨拡機構部を挿入して貫通させると共に膨拡機構部を拡径して該下孔の下面部を支持し、スピンドルと一体に回転するカッタ刃をタンクの表面に当接して所定径の孔を開穿し、更に前記カッタ刃が切り抜いた切断片を前記膨拡機構部にて保持するように構成される。
【0004】
上記したタンク孔開け装置の膨拡機構部にあっては貫通孔の下面部を支持するアームを拡径または縮径する部材として、ピストン及びピストンロッドにより構成されるシリンダを設け、スピンドルに遊嵌されたエアーパイプから圧縮空気を供給して作動するように構成される。
【0005】
しかし、上記孔開け装置にあっては膨拡機構部の構造が複雑化して大型化するため、ある程度の大きさの貫通孔が形成されたタンクにしか孔を形成することができなかった。即ち、タンクに小径の孔を形成するには形成される孔に応じて貫通孔も小径になるが、大型化した膨拡機構部を小径の貫通孔内に挿入することができず、従って所望の大きさの孔を形成できなかった。
【0006】
また、上記膨拡機構部のエアーパイプはスピンドルに遊嵌され、スピンドルの回転時には回転しないように構成する必要がある。このため、上記孔開け装置の膨拡機構部は、タンクの貫通孔内に挿入して貫通させた後にアームを拡径作動して貫通孔の下面部に当接して回転抵抗を与え、この状態でスピンドルを回転して孔開け動作を実行しても、エアーパイプが回転しないように構成している。
【0007】
このため、タンクに孔を形成するのに先立って貫通孔に対する膨拡機構部を挿入するための動作及び膨拡機構部を作動してアームを拡径して下面部を当接させる動作をそれぞれ行う必要があり、挿入後に直ちに孔開け作業を行うことができず、作業効率が悪かった。
【0008】
更に、上記アームは回転するカッタ刃による孔の開穿時には下穴の下面を支持して切断片がタンク内に抜け落ちるのを防止しているが、特に切断終期においては、切断片外周箇所が肉薄になって強度が弱くなっている。この状態で切断を継続すると、切断片外周に対してカッタ刃が不規則に作用して孔を高い精度で形成できないと共にカッタ刃が折損し易くなる問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許3618693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする問題点は、従来のタンク孔開け装置の膨拡機構部にあっては、アームを拡径動作させるシリンダ等の作動部材を必要とするため、膨拡機構部が複雑化して大型化し、小径の孔を形成することが困難な点にある。また、回転するカッタ刃により孔の形成する際にはドリルユニットのスピンドルに対して膨拡機構部を回転止めする必要があり、孔形成に先立って膨拡機構部のアームを貫通孔周縁の下面部に支持させなければならず、孔形成に時間がかかり、作業効率が悪い点にある。更に、切断の終期においては切断片外周箇所が肉薄になって強度が弱くなり、切断片外周に対してカッタ刃が不規則に作用して孔を高い精度で形成できないと共にカッタ刃が折損し易くなる点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、回転駆動されるスピンドルの軸線から軸線直交方向に所要の距離をおいて設けられる切断刃を、上記スピンドルを中心に回動してタンクの部品取付け部に孔を形成するタンク孔開け装置において、上記スピンドルの軸端部に対して基端部が遊転可能に軸支され、先端部にカム面が設けられた軸体と、上記軸体に対して軸線方向へ所定のストロークで移動可能で、かつ回り止めされた状態で挿嵌され、部品取付け部に予め穿設された貫通孔に挿入可能な外径の小径軸部及び貫通孔周縁に当接する外径の大径軸部を有し、軸体が挿嵌される軸孔と連通し、大径軸部及び小径軸部にわたる軸線長さからなる少なくとも2個の収容間隙が形成されたホルダと、上記ホルダの各収容間隙内にて搖動可能に軸支されると共に上記カム面及び軸体の外周面に摺接可能で、貫通孔周縁の下面に係合可能な保持部を有した少なくとも2本の保持アームと、上記ホルダに対して軸線方向へ移動可能に設けられたスライド盤に対して軸線直交方向へ移動可能に設けられ、先端部が上記軸体に形成された被係合凹部に係合可能な係合爪部と、該係合爪部を被係合凹部に係合する方向へ付勢する弾性部材と、
上記ホルダに設けられ、被係合凹部に係合した係合爪部のテーパ面に摺接して係合爪部を係合解除方向へ移動させる係合解除カムと、上記軸体に対して上記ホルダを基端側へ移動するように付勢する引張り弾性部材とを備えたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、シリンダ等の作動部材を設けることなく、下穴内への挿入により支持アームを拡径して切断片を保持可能にすることができ、構造を簡易化すると共に小型化することができる。また、回転する切断刃による孔が形成された際に拡径した支持アームにより切断片を保持してタンク内へ落下するのを回避することができる。切断終期においては切断される箇所が不安定になるのを防止し、孔を高い精度で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】タンク孔開け装置により孔が形成されるタンクの部品取付け部を示す部分斜視図である。
【図2】タンク孔開け装置の全体斜視図である。
【図3】タンク孔開け装置の中央縦断面図である。
【図4】貫通孔にタンク孔開け装置のホルダを挿入した状態を示す断面説明図である。
【図5】ロック解除カムによる係合爪部の係合解除作用を示す断面説明図である。
【図6】切断時におけるタンク孔開け装置を示す断面説明図である。
【図7】切断終了時における切断片の保持状態を示す断面説明図である。
【図8】タンク孔開け装置から切断片の取り外し状態を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ホルダに軸線方向へ移動可能に設けられたスライド盤に対して先端部が上記軸体に形成された被係合凹部に係合可能な係合爪部を弾性部材の弾性力により軸線直交方向へ付勢された移動するように設けると共にホルダに設けられた係合解除カムにより被係合凹部に係合した係合爪部を係合解除方向へ移動して軸体に対してホルダを軸線方向へ移動可能にすることを最良の実施形態とする。
【実施例1】
【0015】
以下、実施例を示す図に従って本発明を説明する。
先ず、本発明に係るタンク孔開け装置1により孔が形成されるタンクとしての車輛用燃料タンク5を説明すると、図1に示すように車輛用燃料タンク5は異なる複数枚の合成樹脂シートを積層接着又は積層融着した合成樹脂製で、その上面には該車輛用燃料タンク5に装着される、例えばゲージや各種センサ、燃料ポンプ等の各種部品に応じた個数の部品取付け部3が一体に形成される。
【0016】
上記部品取付け部3は所要の外径及び高さで外周面に雄ねじ3aが旋設され、上面が上面板3bで閉鎖された筒状部3cとして形成される。そして上記上面板3bの中央部には所要深さで、中央部に後述するホルダ25の小径軸部25aが挿入可能な内径の貫通孔3dが予め形成された凹所3eが設けられる。そして孔としての開口7は上記上面板3bを筒状部3cの内周面に沿って切除して形成される。
【0017】
図2及び図3に示すように、上記上面板3bに開口7を形成するタンク孔開け装置1は、例えば少なくとも三次元方向へ移動制御される産業用ロボットのアーム(いずれも図示せず)の先端部に取付けられ、アームを移動制御して部品取付け部3に開口7を自動的に形成する。
【0018】
上記タンク孔開け装置1の本体(図示せず)にはスピンドル9が回転可能に軸支され、該スピンドル9には本体に設けられた電動モータ11の回転軸が駆動連結される。上記スピンドル9は電動モータ11の駆動により所要の回転数で回転される。
【0019】
上記スピンドル9には回転体13が固定され、該回転体13にはスピンドル9を回転中心として放射方向へ延出する刃物取付けアーム15が設けられる。該刃物取付けアーム15の先端部には上記スピンドル9の軸線と一致する図示する下方へ延出する刃先を有した切断刃17が取付けられる。
【0020】
なお、上記刃物取付けアーム15と反対側の回転体13にはバランサ部材13aが取付けられ、スピンドル9を中心に刃物取付けアーム15側と反対側の重量が一致するように調整される。
【0021】
上記回転体13の中心部にはスピンドル9に一致する軸線を有した連結回転体19の軸部19aが軸受21を介して回転可能に軸支される。該軸受21としてはスラスト方向及びラジアル方向の双方の荷重を受けるアンギュラ軸受が適している。
【0022】
上記連結回転体19の下部には所要の軸線長さで軸線方向へ延出する軸体23の基端部が固定され、該軸体23の先端部(図示する下端側)には先端に向かって徐々に小径になるカム面23aが形成される。また、上記軸体23の軸線方向中間部には軸線方向へ延びる長孔23bが形成される。該長孔23bは軸体23に対する後述するホルダ25の軸線方向への移動量に応じた軸線長さに設定される。更に、上記長孔23bの下部に応じた軸体23の外周面には被係合凹部23cが形成される。
【0023】
上記軸体23はホルダ25の軸孔25c内に対して軸線方向へ摺動するように挿入支持する。該ホルダ25は上記凹所3e内に挿入されて貫通孔3d周縁の底面に当接可能な外径の大径軸部25b及び該大径軸部25bの下部に一体形成され、上記貫通孔3d内に挿入可能な外径の小径軸部25aにより構成される。
【0024】
上記大径軸部25bには上記軸体23の軸線と直交する方向に軸線を有し、上記長孔23b内に挿入されて軸線方向へ移動可能に支持される支持軸27の軸両端部が固定される。該支持軸27は軸体23に対してホルダ25を回り止めさせる。また、上記ホルダ25には軸線方向へ延出する3個の収容間隙25dが軸線周りに等しい間隔をおき、上記大径軸部25bの下部から小径軸部25aの下部に亘る軸線長さで形成される。
【0025】
また、上記ホルダ25の各収容間隙25d内には保持部材としての保持アーム29がホルダ25の上部に設けられた軸25fを中心に搖動可能にそれぞれ支持される。各保持アーム29の先端部(図示する下部)には貫通孔3d周縁の凹所3e下面に係合可能な爪部29aが設けられる。また、各保持アーム29は上記大径軸部25bに形成されたばね装着孔25g内に装着された圧縮ばね等の圧縮弾性部材31の弾性力により上記爪部29aが互いに近づいて収容間隙25d内に位置する縮径方向へ搖動される。
【0026】
なお、本発明において上記した圧縮弾性部材31は、必ずしも必要ではなく、ホルダ25に対して各保持アーム29を、その自重で爪部29aが互いに近づく縮径方向へ揺動するように揺動中心を設定して軸支する構成であればよい。
【0027】
上記ホルダ25の上面には中央部に上記軸体23が挿通される貫通孔33aが形成された固定盤33が固定され、該固定盤33上の外周側には図示する上下方向に軸線を有し、所要の長さからなる3本の軸35が軸線周りに等しい間隔をおいて取付けられる。各軸35の上端部には軸体23及び後述する引張り弾性部材37を挿通する開口部39aが形成された抜止め盤39が固定されている。また、各軸35にはスライド盤41が固定盤33及び抜止め盤39の間で軸線方向へ摺動するように支持されている。
【0028】
なお、上記引張り弾性部材37の弾性力は固定盤33、抜止め盤39及びスライド盤41を含むホルダ25全体の重量を受承してバランスさせる値に設定される。
【0029】
被係合凹部23cに一致する固定盤33上にはロック解除カム43が取り付けられている。該ロック解除カム43は先端が上記軸体23の外周面に沿って起立し、先端から下部に至るに従って徐々に幅が広くなるカム面が形成されている。
【0030】
また、上記ロック解除カム43に一致するスライド盤41には放射方向へ延出する軸線を有した支持軸45が放射方向へ摺動するように支持され、該支持軸45の先端部(軸体23側)には被係合凹部23cに係合する係合爪部47が取り付けられている。上記ロック解除カム43のカム面に相対する係合爪部47の下面には該カム面に対向するテーパ面が形成されている。また、上記係合爪部47は上記支持軸45に装着された圧縮ばね49により被係合凹部23cへ係合するように付勢されている。
【0031】
更に、上記スライド盤41には一端が軸体23の上部に掛け止めされ、周方向へ等間隔で配置された複数本(本例においては3本)の引張りばね等の引張り弾性部材37の他端が開口部39aを挿通してそれぞれ掛け止めされ、軸体23に対して固定盤33、抜止め盤39及びスライド盤41を含むホルダ25が軸線上方へ移動するように引張り弾性部材37の弾性力により付勢される。
【0032】
次に、上記のように構成されたタンク孔開け装置1による開口7の形成作用を説明する。
先ず、タンク孔開け装置1の初期状態に付いて説明すると、軸体23に対して固定盤33、抜止め盤39及びスライド盤41を含むホルダ25を引張り弾性部材37の弾性力に抗して軸線下方へ移動して圧縮ばね49の弾性力により付勢された係合爪部47を被係合凹部23cに係合して移動状態を保持させる。このとき、各保持アーム29は圧縮弾性部材31の弾性力により保持部29aが互いに近づく方向へ移動して収容間隙25d内に位置して軸体23のカム面23aに当接する縮径方向へ搖動される。また、ロック解除カム43はそのカム面が係合爪部47のテーパ面に相対して近接されている。(図3参照)
【0033】
次に、上記したタンク孔開け装置1により部品取付け部3の上面板3bに開口7を形成するには、作業ロボットのアームを移動制御してタンク孔開け装置1を、ホルダ25の小径軸部25aが凹所3eの貫通孔3d内に挿通して車輛用燃料タンク5内へ突出させると共に大径軸部25bの下面が凹所3eの底面に当接するように移動させる。このとき、切断刃17はその刃先が上面板3bの上面に対して所要の間隔をおいて離間している。(図4参照)
【0034】
次に、上記状態にて車輛用燃料タンク5に対してタンク孔開け装置1を更に軸線下方へ移動させると、凹所3eの底面に対する大径軸部25bの当接によりホルダ25を軸線上方へ移動させる。このとき、ホルダ25と一体に軸線上方へ移動する固定盤33に設けられたロック解除カム43のカム面が係合爪部47のテーパ面に圧接して係合爪部47を圧縮ばね49の弾性力に抗して放射方向へ移動して被係合凹部23cに対する係合を解除させる。
【0035】
これにより固定盤33、抜止め盤39及びスライド盤41を含むホルダ25は引張り弾性部材37の弾性力により軸線上方へ移動し、各保持アーム29を圧縮弾性部材31の弾性力に抗して互いに遠ざかる方向へ揺動してそれぞれの保持部29aを収容間隙25dから外側へ突出して貫通孔3d周縁の凹所3eの下面に対して係合可能な拡径位置側へ移動させる。(図5参照)
【0036】
なお、上記したように引張り弾性部材37の弾性力が固定盤33、抜止め盤39及びスライド盤41を含むホルダ25全体に重量を受承する値に設定されているため、該引張り弾性部材37の弾性力により固定盤33、抜止め盤39及びスライド盤41を含むホルダ25が軸線上方へ移動させられることがない。これにより各保持アーム29の保持部27aは貫通孔3d周縁の凹所3eの下面に対して所要の間隔をおいて係合可能な非当接状態に保たれる。
【0037】
上記状態にてタンク孔開け装置1を更に軸線下方へ所要のストロークで移動しながら電動モータ11の駆動によりスピンドル9を中心に回転する切断刃17を上面板3bに圧接して切断する。この切断時においては、各保持アーム29はホルダ25に対して軸線下方へ移動する軸体23により拡径方向への搖動状態に保たれると共に各保持部29aは貫通孔3d周縁の凹所3eの下面に対して所要の間隔をおいて係合可能な非当接状態に保たれる。(図6参照)
【0038】
なお、上記切断刃17による上面板3bの切断時においては、回転するスピンドル9に対して遊転するように支持された軸体23は凹所3e底面に対する大径軸部25bの圧接による摩擦力によりスピンドル9と一体に回転することが規制される。
【0039】
そして上記切断作用により上面板3bに開口7が形成されると、上面板3bから切離された切断片3fは軸体23の小径軸部25aに対して自重により軸線下方へ移動し、拡径位置側へ移動した各保持部29aが貫通孔3dの凹所3eの下面に係合して抜け止めされて保持される。(図7参照)
【0040】
上記した作用により部品取付け部3に開口7が形成された後においては、作業ロボットのアームを移動制御してタンク孔開け装置1を部品取付け部3から離脱させて切断片3fの排出位置へ移動させた後、軸体23の軸線上方へ移動したホルダ25の抜止め盤39の上面に対して平面ほぼU字型の取外し治具51の腕部51aを当接した状態でタンク孔開け装置1を取外し治具51から離間する方向へ移動制御し、軸体23に対して固定盤33、抜止め盤39及びスライド盤41を含むホルダ25を引張り弾性部材37の弾性力に抗して軸線下方へ移動して被係合凹部23cに圧縮ばね49により付勢された係合爪部47を係合させる。(図8参照)
【0041】
上記動作によりホルダ25に対して軸体23が軸線上方へ移動することにより圧縮弾性部材31の弾性力により付勢された各保持アーム29を、それぞれの保持部29が収容間隙25d内に位置する縮径方向へ搖動し、各保持部29aによる切断片3fの保持を解除させる。なお、各保持部29aによる保持が解除された切断片3fはその自重によりホルダ25の小径軸部25aから抜け出して取出される。
【0042】
本実施例は、切断時においては拡径方向へ搖動する各保持アーム29の保持部29aを貫通孔3d周縁の凹所3e下面へ移動して係合可能な状態にさせて回転する切断刃17により上面板3bから切断された切断片3fを保持可能にさせることにより車輛用燃料タンク5内へ落下するのを防止することができる。
【0043】
また、切断に際して凹所3eの貫通孔3d内にホルダ25の小径軸部25aを挿入する際に被係合凹部23cに係合する係合爪部47により軸体23に対するホルダ25の移動状態を確実に保って挿入を確実に行うことができる。そして貫通孔3d内に小径軸部25aが挿入された後においては、ロック解除カム43により被係合凹部23cに対する係合爪部47の係合を確実に解除して軸体23に対するホルダ25の移動を可能にして各保持アーム29を拡径位置側へ揺動させることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 タンク孔開け装置
3 部品取付け部
3a 雄ねじ
3b 上面板
3c 筒状部
3d 貫通孔
3e 凹所
3f 切断片
5 タンクとしての車輛用燃料タンク
7 開口
9 スピンドル
11 電動モータ
13 回転体
13a バランサ部材
15 刃物取付けアーム
17 切断刃
19 連結回転体
19a 軸部
21 軸受
23 軸体
23a カム面
23b 長孔
23c 被係合凹部
25 ホルダ
25a 小径軸部
25b 大径軸部
25c 軸孔
25d 収容間隙
25f 軸
25g ばね装着孔
27 支持軸
29 保持部材としての保持アーム
29a 保持部
31 圧縮弾性部材
33 固定盤
33a 貫通孔
35 軸
37 引張り弾性部材
39 抜止め盤
39a 開口部
41 スライド盤
43 ロック解除カム
45 支持軸
47 係合爪部
49 圧縮ばね
51 取外し治具
51a 腕部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動されるスピンドルの軸線から軸線直交方向に所要の距離をおいて設けられる切断刃を、上記スピンドルを中心に回動してタンクの部品取付け部に孔を形成するタンク孔開け装置において、
上記スピンドルの軸端部に対して基端部が遊転可能に軸支され、先端部にカム面が設けられた軸体と、
上記軸体に対して軸線方向へ所定のストロークで移動可能で、かつ回り止めされた状態で挿嵌され、部品取付け部に予め穿設された貫通孔に挿入可能な外径の小径軸部及び貫通孔周縁に当接する外径の大径軸部を有し、軸体が挿嵌される軸孔と連通し、大径軸部及び小径軸部にわたる軸線長さからなる少なくとも2個の収容間隙が形成されたホルダと、
上記ホルダの各収容間隙内にて搖動可能に軸支されると共に上記カム面及び軸体の外周面に摺接可能で、貫通孔周縁の下面に係合可能な保持部を有した少なくとも2本の保持アームと、
上記ホルダに対して軸線方向へ移動可能に設けられたスライド盤に対して軸線直交方向へ移動可能に設けられ、先端部が上記軸体に形成された被係合凹部に係合可能な係合爪部と、
該係合爪部を被係合凹部に係合する方向へ付勢する弾性部材と、
上記ホルダに設けられ、被係合凹部に係合した係合爪部のテーパ面に摺接して係合爪部を係合解除方向へ移動させる係合解除カムと、
上記軸体に対して上記ホルダを基端側へ移動するように付勢する引張り弾性部材と、
を備えたタンク孔開け装置。
【請求項2】
請求項1において、スライド盤は、上記ホルダに軸線方向と一致する方向に軸線を有して固定された軸に対して軸線方向へ移動可能に支持され、上記係合爪部は、上記スライド盤に対して軸線直交方向へ移動可能に支持されたタンク孔開け装置。
【請求項3】
請求項1において、ホルダは、上記軸線と直交する方向に軸線を有し、軸体に形成された長孔内を軸線方向へ摺動するように支持された支持軸の軸端部が固定され、軸体に対してホルダを回り止めした状態で軸線方向へ移動可能に支持するタンク孔開け装置。
【請求項4】
請求項1において、各保持アームは、圧縮弾性部材の弾性力によりホルダに対してそれぞれの保持部が互いに近づく縮径方向側へ揺動するように付勢されたタンク孔開け装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−157912(P2012−157912A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17723(P2011−17723)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(506329292)スターテクノ株式会社 (45)
【Fターム(参考)】