説明

ターボチャージャ

【課題】タービンハウジング内に更にタービンホイールを囲むようにしてインナーハウジングを配設し、このインナーハウジングにタービンハウジングを取り付けるようにしたターボチャージャにおいて、その剛性を高くして、これの排気の熱による変形を抑制する。
【解決手段】インナーハウジング11には、ロータシャフト6の周方向に延びる複数の排気導入口15が支柱部16を挟む状態で形成される。インナーハウジング11とベアリングハウジング4は、インナーハウジング11の外周部に形成されるフランジ13の周方向に沿って複数形成されるボルト孔にスペーサ20を介してボルト21が締め付けられることにより組み付けられる。スペーサ20は、支柱部16のうちロータシャフト6の周方向において隣り合う支柱部16とそれぞれ対応するフランジ13の各部位の一方から他方の間に位置しロータシャフト6の周方向に沿って円弧状に延びるように配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のターボチャージャに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関には、吸気を強制的に燃焼室へ送り込んでその充填効率を高めることを目的として、ターボチャージャが搭載されている。このターボチャージャは、排気通路の途中に設けられてタービンホイールを収容したタービンハウジングと、吸気通路の途中に設けられてコンプレッサホイールを収容したコンプレッサハウジングと、上記タービンホイールとコンプレッサホイールとを連結するロータシャフトとを備えている。排気が吹き付けられることによってタービンホイールが回転すると、この回転に伴ってロータシャフトとともにコンプレッサホイールが回転し、このコンプレッサホイールの回転によって吸気通路の吸気が強制的に燃焼室へ送り込まれるようになる。
【0003】
ところで、排気通路においてターボチャージャの下流側には、排気を浄化する排気浄化触媒が設けられており、タービンハウジングから排出された排気は、この排気浄化触媒により浄化された後、大気中に放出される。また、この排気浄化触媒は、その温度が所定の温度範囲内、すなわち触媒が活性化する温度範囲内にある場合に、排気を効率よく浄化することができる。しかし、冷間始動時など、タービンハウジングの温度が低い場合には、排気の熱がタービンハウジングに吸収されることにより、排気の温度が低下してしまう。このような場合は、排気浄化触媒の温度上昇が遅れるようになり、排気を排気浄化触媒により効率よく浄化することが困難なものとなる。そこで、タービンハウジングの肉厚を薄くして、排気の熱がタービンハウジングに吸収されることを抑制することにより、排気の温度の低下を抑制するタービンハウジングを有するターボチャージャが提案され、実用化されるに至っている。
【0004】
しかし、肉厚が薄いタービンハウジングは、その剛性が低いため、内燃機関の運転時に高温の排気が流れることにより、変形してしまうおそれがある。そこで、このようなタービンハウジングの強度を確保して変形を抑制することを目的として、タービンハウジング内に更にタービンホイールを囲むようにしてインナーハウジングを配設し、このインナーハウジングにタービンハウジングを取り付けるようにしたターボチャージャが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
以下、このようなインナーハウジングが配設されたターボチャージャについて、図5〜図8を参照して説明する。まず、インナーハウジング11の形状について図5を参照して説明する。同図5に示されるように、インナーハウジング11はロータシャフト6(図7参照)の軸線Cに沿って延びる円筒部12と、同円筒部12に接続される有蓋円筒状の接続部17と、この接続部17の端部から外方に延びるフランジ13とを備えている。
【0006】
図6は図5のA−A線に沿った断面を示す断面図である。図5及び図6に示されるように、接続部17にはその周方向に等角度間隔をおいて径方向に開口する4つの排気導入口15が形成されている。これら排気導入口15は図6に示すように接続部17においてその周方向に延びる長孔状に形成されている。また、各排気導入口15の間にはロータシャフト6の軸線Cに沿って延びる支柱部16が形成されている。また、図5及び図6に示されるように、フランジ13にはその周方向に所定間隔をおいて複数のボルト孔13aが形成されている。
【0007】
次に、このようなインナーハウジング11がその内部に配設されたターボチャージャの断面構造について図7を参照して説明する。同図7に示されるように、このインナーハウジング11のフランジ13及び円筒部12には、タービンハウジング2が固定されている。そして、インナーハウジング11とタービンハウジング2とによって区画形成される空間により、排気通路から導入された排気が流れるスクロール通路3が形成されている。そして、このスクロール通路3を流れる排気は、排気導入口15を通じてその内部に導かれ、タービンホイール1に吹きつけられる。これにより、タービンホイール1が回転するようになる。
【0008】
一方、ロータシャフト6を収容するベアリングハウジング4がインナーハウジング11に取り付けられることにより、タービンハウジング2がベアリングハウジング4に取り付けられている。図8は図7のB−B線に沿った断面を示す断面図である。図7及び図8に併せ示されるように、フランジ13に形成された各ボルト孔13aにはスペーサ20を介してボルト21がそれぞれ螺合されている。なお、スペーサ20にはボルト21が挿通されるボルト孔20dが形成されている。そしてこれらボルト21を締め付けてベアリングハウジング4の外周部をスペーサ20及びフランジ13によって挟掴することによりインナーハウジング11がタービンハウジング2とともにベアリングハウジング4に組み付けられている。また、図8に示されるように、このタービンハウジング2は、排気マニホールド32に連結されるとともに固定部材31によって内燃機関(図示略)に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−121470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、インナーハウジング11において、排気導入口15の近傍は、そのロータシャフト6に直交する方向の剛性が支柱部16のそれよりも低い。さらに、この排気導入口15は、高温の排気が流れるため、熱膨張により変形しやすい。このような理由により、インナーハウジング11における排気導入口15の近傍が変形して膨張すると、タービンハウジング2もこれに伴って変形してしまうおそれがある。
【0011】
このようにタービンハウジング2及びインナーハウジング11が変形すると、スクロール通路3の形状が変化して過給性能が低下したり、同インナーハウジング11とベアリングハウジング4との締結部において、排気漏れが生じたりしてしまう。この排気漏れは、局所的な高温の原因となり、ひいてはこの部分における亀裂の原因ともなりうる。
【0012】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、タービンハウジング内に更にタービンホイールを囲むようにしてインナーハウジングを配設し、このインナーハウジングにタービンハウジングを取り付けるようにしたターボチャージャにおいて、その剛性を高くして、これの排気の熱による変形を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、ロータシャフトを回転軸として回転するタービンホイールを収容するタービンハウジングと、同タービンハウジング内に位置して同タービンハウジングに取り付けられ同タービンハウジングとともにスクロール通路を区画形成するインナーハウジングと、前記ロータシャフトを軸支するベアリングハウジングとを備え、前記インナーハウジングには前記ロータシャフトの周方向に延びる開口を有して前記スクロール通路から前記タービンホイールに向けて排気を導く複数の排気導入口が支柱部を挟む状態で前記ロータシャフトの周方向に沿って形成されるとともに前記ベアリングハウジングの外周部に外嵌される環状のフランジが形成され、同フランジの周方向に沿って複数形成されるボルト孔にスペーサを介してボルトを螺合し、同ボルトを締め付けて前記ベアリングハウジングの外周部を前記スペーサ及び前記フランジによって挟掴することにより前記インナーハウジングが前記タービンハウジングとともに前記ベアリングハウジングに組み付けられるターボチャージャにおいて、前記スペーサは、前記支柱部のうち前記ロータシャフトの周方向において隣り合う各支柱部とそれぞれ対応する前記フランジの各部位の一方から他方の間に位置し前記ロータシャフトの周方向に沿って円弧状に延びるように配設され、少なくともその両端部には前記ボルトがそれぞれ配設されるスペーサを含むことを要旨とする。
【0014】
同構成によれば、スペーサは、インナーハウジングのフランジのうち、ロータシャフトの周方向において隣り合う各支柱部の一方から他方の間、すなわちこれら各支柱部に挟まれて排気導入口が形成される部位に対応して配設されるようになる。ところで、このフランジのうち、排気導入口に対応する部位は、支柱部に対応する部位と比較して、ロータシャフトに直交する方向の剛性が低い。しかし、これらスペーサが、この排気導入口に対応する部位に、上述のようにボルトによって締め付けられて配設されることによって、この排気導入口に対応する部位の当該方向に対する剛性は高くなる。このため、タービンハウジング内に更にタービンホイールを囲むようにしてインナーハウジングを配設し、このインナーハウジングにタービンハウジングを取り付けるようにしたターボチャージャにあって、その剛性を高くすることができるようになり、これの排気の熱による変形を抑制することができるようになる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、前記タービンハウジングはその排気流入部が排気マニホールドに連結されるとともに固定部材を介して内燃機関に取り付けられるものであり、前記固定部材は前記ロータシャフトの軸心を挟んで前記排気流入部と対向する位置にて前記タービンハウジングに固定されることを要旨とする。
【0016】
タービンハウジングが排気マニホールドに連結される部分と、固定部材に取り付けられる部分とが、ロータシャフトの軸心を挟んで対向するように位置する場合は、これが排気の熱により膨張すると、これらの部材により押し付けられるかたちとなり、同タービンハウジングが楕円形状に変形するおそれがある。この点、同構成によれば、スペーサが配設されることによってタービンハウジングのロータシャフトに直交する方向の剛性が高くなる結果、このようなタービンハウジングの変形を抑制することができるようになる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、前記スペーサは前記タービンハウジングに形成された排気流入部から前記スクロール通路における排気の流れ方向及びその逆方向の双方向に延びる円弧状を呈し、少なくともその両端部には前記ボルトがそれぞれ配設されるスペーサを更に含むことを要旨とする。
【0018】
排気マニホールドからタービンハウジングに導入された排気の一部は、タービンハウジングと排気マニホールドとの連結部分である排気流入部に滞留するようになる。このため、この排気流入部を中心とする部位は、排気の熱により他の部位よりも高温となりやすい。そして、このように高温となる部位は、その熱によって変形しやすいものとなる。この点、同構成によれば、排気流入部から排気の流れ方向及びその逆方向の双方向に延びるようにスペーサが配設されるため、排気流入部を中心とするこの部位の当該方向の剛性を高くすることができる。したがって、この部位におけるタービンハウジングの熱変形を抑制することもできるようになる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、ロータシャフトを回転軸として回転するタービンホイールを収容するタービンハウジングと、同タービンハウジング内に位置して同タービンハウジングに取り付けられ同タービンハウジングとともにスクロール通路を区画形成するインナーハウジングと、前記ロータシャフトを軸支するベアリングハウジングとを備え、前記インナーハウジングには前記スクロール通路から前記タービンホイールに向けて排気を導く複数の排気導入口が形成されるとともに前記ベアリングハウジングの外周部に外嵌される環状のフランジが形成され、同フランジの周方向に沿って複数形成されるボルト孔にスペーサを介してボルトを螺合し、同ボルトを締め付けて前記ベアリングハウジングの外周部を前記スペーサ及び前記フランジによって挟掴することにより前記インナーハウジングが前記タービンハウジングとともに前記ベアリングハウジングに組み付けられるターボチャージャにおいて、前記スペーサは前記タービンハウジングに形成されて排気マニホールドに連結される排気流入部から前記スクロール通路における排気の流れ方向に延びる円弧状の第1のスペーサと、前記ロータシャフトの軸心を挟んで前記第1のスペーサと対向する位置に配設される円弧状の第2のスペーサとを含み、それら第1のスペーサ及び第2のスペーサは少なくともその両端部に前記ボルトがそれぞれ配設されることを要旨とする。
【0020】
排気流入部からスクロール通路における排気の流れ方向に沿って延伸する部位は、排気マニホールドにより導入された排気の熱により他の部位よりも高温となる。そして、このように高温となる部位は、熱変形しやすいものとなる。この点、同構成によれば、この排気流入部からスクロール通路における排気の流れ方向に延びるように第1のスペーサが配設されるため、この部位の当該方向の剛性を高くすることができるようになる。したがって、タービンハウジング内に更にタービンホイールを囲むようにしてインナーハウジングを配設し、このインナーハウジングにタービンハウジングを取り付けるようにしたターボチャージャにあって、その剛性を高くすることができるようになり、これの排気の熱による変形を抑制することができるようになる。
【0021】
なお、スペーサの配設方法の具体例としては、請求項5に記載されるように、固定部材による固定位置が第1のスペーサ及び第2のスペーサの各端部によりロータシャフトの周方向において挟まれるようにこれらスペーサを配設する構成を採用することができる。また、スペーサの形状の具体例としては、請求項6に記載の発明によるように、第1のスペーサは半円弧状の形状を呈する構成を採用することができる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、ロータシャフトを回転軸として回転するタービンホイールを収容するタービンハウジングと、同タービンハウジング内に位置して同タービンハウジングに取り付けられ同タービンハウジングとともにスクロール通路を区画形成するインナーハウジングと、前記ロータシャフトを軸支するベアリングハウジングとを備え、前記インナーハウジングには前記スクロール通路から前記タービンホイールに向けて排気を導く複数の排気導入口が形成されるとともに前記ベアリングハウジングの外周部に外嵌される環状のフランジが形成され、同フランジの周方向に沿って複数形成されるボルト孔にスペーサを介してボルトを螺合し、同ボルトを締め付けて前記ベアリングハウジングの外周部を前記スペーサ及び前記フランジによって挟掴することにより前記インナーハウジングが前記タービンハウジングとともに前記ベアリングハウジングに組み付けられるターボチャージャにおいて、前記タービンハウジングはその排気流入部が排気マニホールドに連結されるとともに固定部材を介して内燃機関に取り付けられるものであり、前記固定部材は前記ロータシャフトの軸心を挟んで前記排気流入部と対向する固定位置にて前記タービンハウジングに固定され、前記スペーサは前記排気流入部と前記固定位置とを結ぶ仮想線を挟むようにしてその両側にそれぞれ離間して配設され前記フランジの周方向に延びて複数のボルトに共通のスペーサとなる第1及び第2のスペーサからなり、それら第1及び第2のスペーサは前記ボルトが挿通される部分を接続する部分の剛性が、同ボルトが挿通される部分の剛性よりも低く設定されることを要旨とする。
【0023】
第1のスペーサと第2のスペーサが排気流入部と固定位置を結ぶ仮想線を挟むように配設される場合には、排気の熱に起因してインナーハウジングが膨張すると、タービンハウジングはこの仮想線を軸として折れ曲がるように変形する。タービンハウジングがこのように変形すると、スペーサの中央部に対応するインナーハウジングの部位に応力が集中してインナーハウジングが損傷してしまうおそれがある。この点、同構成によれば、これらスペーサは、ボルトが挿通される部分を接続する部分の剛性が、これらボルトが挿通される部分の剛性よりも低く設定されるため、インナーハウジングが変形した場合には、このボルトが挿通される部分を接続する部分が変形するようになる。このため、インナーハウジングが膨張した場合であっても、スペーサの中央部に対応するインナーハウジングの変形を抑制することができるようになる。従って、タービンハウジング内に更にタービンホイールを囲むようにしてインナーハウジングを配設し、このインナーハウジングにタービンハウジングを取り付けるようにしたターボチャージャにあって、その剛性を高くすることができるようになり、これの排気の熱による変形を抑制することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1の実施形態にかかるターボチャージャの断面図。
【図2】第2の実施形態にかかるターボチャージャの断面図。
【図3】第3の実施形態にかかるターボチャージャの断面図。
【図4】他の実施形態にかかるターボチャージャの断面図。
【図5】従来のインナーハウジングの斜視図。
【図6】従来のインナーハウジングの断面図。
【図7】従来のターボチャージャの断面図。
【図8】図7のB−B線に沿った断面を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1の実施形態)
以下、この発明にかかるターボチャージャを具体化した第1の実施形態について、図1を参照して説明する。なお、本発明はインナーハウジングをタービンハウジングとともにベアリングハウジングに締結するためのスペーサの形状及びその配設態様にその特徴を有するものであり、インナーハウジングの形状(ボルト孔の形成位置を除く)、タービンハウジングやベアリングハウジングの内部構造等々については図5〜図8に示す従来のターボチャージャと同様であるためその説明を割愛する。
【0026】
図1に本実施形態にかかるターボチャージャについて、ロータシャフト6に直交する方向に沿った断面の構造を示す。同図1に示されるように、タービンハウジング2の上部には、排気マニホールド32に連通する排気流入部33が形成されている。この排気マニホールド32の内部には、排気通路(図示せず)が形成されており、内燃機関から排出された排気はこの排気通路に排出された後、排気流入部33を通じてスクロール通路3(図7参照)に導入される。
【0027】
一方、ロータシャフト6の軸心を挟んで排気流入部33と対向する位置には、タービンハウジング2を支持する固定部材31が取付けられている。この固定部材31は、その他端が内燃機関に固定されており、これによりタービンハウジング2は内燃機関に固定されている。
【0028】
タービンハウジング2内には、支柱部16及び排気導入口15が形成されるインナーハウジング11が配設されている。このインナーハウジング11は、同図1に示されるように、2つの支柱部16が排気流入部33と近接する部位に位置するとともに、1つの支柱部が固定部材31に近接する部位に位置するように配設される。
【0029】
そして、このインナーハウジング11の外周部に形成される環状のフランジ13には、その周方向に沿って複数のボルト孔13aがそれぞれ等角度間隔に形成されており、このボルト孔13aには、スペーサ20を介してボルト21がそれぞれ螺合されている。また、これらスペーサ20の両端部にはフランジ13のボルト孔の形成位置に対応してボルト21が挿通するボルト孔(図示略)が形成されている。そして、このボルト21を締め付けることによって、ベアリングハウジング4の外周部がスペーサ20及びフランジ13によって挟掴される。これにより、インナーハウジング11のフランジ13がタービンハウジング2とともにベアリングハウジング4に組み付けられている。
【0030】
このスペーサ20は、隣り合う各支柱部16とそれぞれ対応するフランジ13の各部位の一方から他方の間に位置し、ロータシャフト6の周方向に沿って円弧状に延びるように配設されている。本実施形態においては、支柱部16はインナーハウジング11の周方向に等角度間隔となるように4箇所に形成されており、スペーサ20はこれら隣り合う各支柱部16とそれぞれ対応するフランジ13の各部位の一方から他方の間に1枚ずつ配設される。
【0031】
また、これらスペーサ20は、それぞれの両端部にボルト21が挿通されることにより、フランジ13及びベアリングハウジング4に締め付けられている。上述のように、インナーハウジング11には、支柱部16を挟む状態で排気導入口15が形成されている。このため、スペーサ20がロータシャフト6の周方向に沿って隣り合う各支柱部16とそれぞれ対応する各フランジ13の各部位の一方から他方の間に位置して配設されると、これらスペーサ20は、この排気導入口15にそれぞれ対応するフランジ13の各部位に配設されるようになる。
【0032】
そしてこのように、スペーサ20は、ボルト21によってフランジ13及びベアリングハウジング4に締め付けられるため、フランジ13の周方向において、スペーサ20が配設される部位は、これが配設されない部位よりも、そのロータシャフト6に直交する方向の剛性が高くなる。
【0033】
以上説明した本実施形態によれば、以下に記載する作用効果を奏することができる。
(1)スペーサ20は、インナーハウジング11のフランジ13のうち、ロータシャフト6の周方向において隣り合う各支柱部16の一方から他方の間、すなわちこれら各支柱部16に挟まれて排気導入口15が形成される部位に対応して配設される。ここで、このフランジ13のうち、排気導入口15に対応する部位は、支柱部16に対応する部位と比較して、ロータシャフト6に直交する方向の剛性が低い。しかし、これらスペーサ20が、この排気導入口15に対応する部位に、上述のようにボルト21によって締め付けられて配設されるため、フランジ13のうち排気導入口15に近接する部位の当該方向に対する剛性は高くなる。このため、タービンハウジング2内に更にタービンホイール1を囲むようにしてインナーハウジング11を配設し、このインナーハウジング11にタービンハウジング2を取り付けるようにしたターボチャージャにあって、その剛性を高くすることができるようになり、これの排気の熱による変形を抑制することができるようになる。また、こうした変形が抑制されることにより、インナーハウジング11とベアリングハウジング4との締結部分における排気漏れについても好適に抑制することができるようになる。
【0034】
(2)タービンハウジング2が排気マニホールド32に連結される部分と、固定部材31に取り付けられる部分とが、ロータシャフト6の軸心を挟んで対向するように位置している。このため、インナーハウジング11が排気の熱により膨張すると、これらの部材により押し付けられるかたちとなり、図1に二点鎖線で示されるように、タービンハウジング2が楕円形状に変形するおそれがある。本実施形態によれば、スペーサ20が配設されることによってタービンハウジング2のロータシャフト6に直交する方向の剛性が高くなる結果、このようなインナーハウジング11やタービンハウジング2の変形を抑制することができるようになる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態にかかるターボチャージャについて図2を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同等の部材には同一の番号を付して、その説明を割愛する。
【0035】
図2に、本実施形態にかかるターボチャージャについて、ロータシャフト6に直交する方向に沿った断面の構造を示す。同図2に示されるように、フランジ13の周方向においてスクロール通路3(図7参照)における排気流入部33からの排気の流れ方向(図2における矢印方向)に対応する部位に、半円弧状の第1のスペーサ20aが配設されている。この第1のスペーサ20aには、その両端部を含めてフランジ13のボルト孔13aの形成位置に対応するようにしてボルト21が挿通するボルト孔(図示略)が形成されている。また、この第1のスペーサ20aとロータシャフト6の軸心を挟んで対向する部位に、1/4円弧状の第2のスペーサ20bが配設される。この第2のスペーサ20bの両端部には、フランジ13のボルト孔の形成位置に対応するようにしてボルト21が挿通するボルト孔(図示略)が形成されている。そして、これらボルト孔を介してボルト21を締め付けることによって、ベアリングハウジング4の外周部がスペーサ20及びフランジ13によって挟掴される。また、フランジ13の周方向において、これら第1のスペーサ20a及び第2のスペーサ20bの各端部により挟まれる位置に固定部材31が配設されている。
【0036】
排気流入部33から導入された排気は、スクロール通路3を流れる間に冷却されるため、その温度はこの排気流入部33において最も高く、スクロール通路3を流れるに従って低下する。したがって、排気流入部33からの排気の流れ方向に対応する部位は、他の部位よりも高温となりやすい。そして、このように高温となる部位においては、インナーハウジング11が熱変形しやすいものとなる。
【0037】
そこで、本実施形態においては、スクロール通路3における排気流入部33からの排気の流れ方向に円弧状に延びるように第1のスペーサ20aを配設することにより、この部位に対応するインナーハウジング11のロータシャフト6に直交する方向の剛性を高くするようにしている。これにより、この部位におけるインナーハウジング11の熱変形に起因するタービンハウジング2の変形を抑制することができるようになる。また、第1のスペーサ20aをフランジ13の周方向に長く延びる半円弧形状とすることにより、このような高温となる部位に対応して単一のスペーサが配設されるようになるため、タービンハウジング2の変形を好適に抑制することができるようになる。
【0038】
以上説明した本実施形態によれば、以下に記載する作用効果を奏することができる。
(3)排気流入部33からスクロール通路3における排気の流れ方向に沿って延伸する部位は、排気マニホールド32により導入された排気の熱により他の部位よりも高温となり、熱変形しやすいものとなる。本実施形態によれば、この排気流入部33からスクロール通路3における排気の流れ方向に延びるように第1のスペーサ20aが配設されるため、この部位の剛性を高くすることができるようになる。したがって、タービンハウジング2内に更にタービンホイール1を囲むようにしてインナーハウジング11を配設し、このインナーハウジング11にタービンハウジング2を取り付けるようにしたターボチャージャにあって、その剛性を高くすることができるようになり、これの排気の熱による変形を抑制することができるようになる。また、こうした変形が抑制されることにより、インナーハウジング11とベアリングハウジング4との締結部分における排気漏れについても好適に抑制することができるようになる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態にかかるターボチャージャについて図3を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同等の部材には同一の番号を付して、その説明を割愛する。
【0039】
図3に、本実施形態にかかるターボチャージャについて、ロータシャフト6に直交する方向の断面の構造を示す。同図3に示されるように、本実施形態においては、インナーハウジング11のフランジ13の周方向に延びる半円弧状の第1のスペーサ20a及び第2のスペーサ20bが配設される。これら第1のスペーサ20a及び第2のスペーサ20bは、それぞれ排気マニホールド32と固定部材31を結ぶ仮想線Dを挟むように離間して、この仮想線Dに線対称となるように配設されている。
【0040】
これら第1のスペーサ20a及び第2のスペーサ20bには、その両端部を含めてフランジ13のボルト孔13aの形成位置に対応するようにしてボルト21が挿通する3つのボルト孔(図示略)が形成されている。そして、3本のボルト21がフランジ13に形成されたボルト孔の周方向において等角度間隔となる位置に挿通されている。そして、第1のスペーサ20a及び第2のスペーサ20bのうち、ボルト21が挿通される部分(図3におけるA)は、ボルト21が挿通される部分を接続する部分(図3におけるB)よりもロータシャフト6の軸方向から見たときの面積が大きくなるように形成されている。このため、ボルト21が挿通される部分は、これらボルト21が挿通される部分を接続する部分よりも曲げ剛性が高くなっている。
【0041】
以上説明した本実施形態によれば、以下に記載する作用効果を奏することができる。
(4)第1のスペーサ20aと第2のスペーサ20bが排気流入部33と固定部材31を結ぶ仮想線Dを挟むように配設されるため、排気の熱に起因してインナーハウジング11が膨張すると、タービンハウジング2はこの仮想線Dを軸として折れ曲がるように変形する。タービンハウジング2がこのように変形すると、第1のスペーサ20a及び第2のスペーサ20bの中央部に対応するインナーハウジング11の部位に応力が集中してインナーハウジング11が損傷してしまうおそれがある。本実施形態によれば、これら第1のスペーサ20a及び第2のスペーサ20bは、ボルト21が挿通される部分を接続する部分の剛性が、これらボルト21が挿通される部分の剛性よりも低く設定されるため、インナーハウジング11が変形した場合には、このボルト21が挿通される部分を接続する部分が変形するようになる。このため、インナーハウジング11が膨張した場合であっても、第1のスペーサ20a及び第2のスペーサ20bの中央部に対応するインナーハウジング11の変形を抑制することができるようになる。従って、タービンハウジング2内に更にタービンホイール1を囲むようにしてインナーハウジング11を配設し、このインナーハウジング11にタービンハウジング2を取り付けるようにしたターボチャージャにあって、その剛性を高くすることができるようになり、これの排気の熱による変形を抑制することができるようになる。また、こうした変形が抑制されることにより、インナーハウジング11とベアリングハウジング4との締結部分における排気漏れについても好適に抑制することができるようになる。
【0042】
さらに、第1のスペーサ20a及び第2のスペーサ20bにおいて、ボルト21が挿通される部分を接続する部分を、ボルト21が挿通される部分よりもロータシャフト6の軸方向から見たときの面積が小さくなるように形成しているため、第1のスペーサ20a及び第2のスペーサ20bを通じたタービンハウジング2からベアリングハウジング4への入熱量を減少させることができる。このため、ベアリングハウジング4の熱応力を低減させることができるようになる。
【0043】
なお、以上説明した実施形態は次のようにその形態を適宜変更した態様にて実施することができる。
・第1の実施形態では、4枚のスペーサ20を配設するようにしたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、図4に示されるように、タービンハウジング2に形成された排気流入部33からスクロール通路3における排気の流れ方向及びその逆方向の双方向に延びる円弧状のスペーサ20を更に含むようにしてもよい。すなわち、排気流入部33が中心となるように、半円弧状のスペーサ20を配設するようにしてもよい。排気マニホールド32からタービンハウジング2に導入された排気の一部は、タービンハウジング2と排気マニホールド32との連結部分である排気流入部33の近傍に滞留するようになる。このため、この排気流入部33を中心とする部位は、排気の熱により他の部位よりも高温となりやすい。そして、このように高温となる部位は、その熱によって変形しやすいものとなる。この点、本実施形態によれば、排気流入部33から排気の流れ方向及びその逆方向の双方向に延びるようにスペーサ20が配設されるため、排気流入部33を中心とするこの部位の当該方向の剛性を高くすることができる。したがって、この部位におけるインナーハウジング11の熱変形に起因するタービンハウジング2の変形を抑制することができるようになる。
【0044】
・第1の実施形態では、支柱部16を4箇所に形成するようにしたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、支柱部16が互いに等角度間隔になるよう3箇所に形成するとともに、隣り合う各支柱部16とそれぞれ対応するフランジ13の各部位の一方から他方の間に位置するように、3枚のスペーサ20を配設するようにしてもよい。本実施形態においても、上記作用効果に準じた作用効果を奏することができるようになる。
【0045】
・第3の実施形態では、第1のスペーサ20a及び第2のスペーサ20bにおいて、ボルト21が挿通される部分を、ボルト21が挿通される部分を接続する部分よりも、ロータシャフト6の軸方向から見たときの面積が大きくなるように形成するようにしたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、ボルト21が挿通される部分の材質と、ボルト21が挿通される部分を接続する部分の材質が異なるようにして、ボルト21が挿通される部分を接続する部分の剛性が、ボルト21が挿通される部分の剛性よりも低くなるようにすることもできる。本実施形態においても、上記(4)に準じた作用効果を奏することができるようになる。
【0046】
・上記実施形態においては、排気流入部33と固定部材31が、ロータシャフト6の軸心を挟んで互いに対向するように位置するようにしたが、本発明はこれに限られるものではない。固定部材31の取付け位置を変更しても、上記(1)、(3)、(4)に準じた作用効果を奏することができるようになる。
【符号の説明】
【0047】
1…タービンホイール、2…タービンハウジング、3…スクロール通路、4…ベアリングハウジング、6…ロータシャフト、11…インナーハウジング、12…円筒部、13…フランジ、13a…ボルト孔、15…排気導入口、16…支柱部、17…接続部、20…スペーサ、20a…第1のスペーサ、20b…第2のスペーサ、20d…ボルト孔、21…ボルト、31…固定部材、32…排気マニホールド、33…排気流入部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータシャフトを回転軸として回転するタービンホイールを収容するタービンハウジングと、同タービンハウジング内に位置して同タービンハウジングに取り付けられ同タービンハウジングとともにスクロール通路を区画形成するインナーハウジングと、前記ロータシャフトを軸支するベアリングハウジングとを備え、前記インナーハウジングには前記ロータシャフトの周方向に延びる開口を有して前記スクロール通路から前記タービンホイールに向けて排気を導く複数の排気導入口が支柱部を挟む状態で前記ロータシャフトの周方向に沿って形成されるとともに前記ベアリングハウジングの外周部に外嵌される環状のフランジが形成され、同フランジの周方向に沿って複数形成されるボルト孔にスペーサを介してボルトを螺合し、同ボルトを締め付けて前記ベアリングハウジングの外周部を前記スペーサ及び前記フランジによって挟掴することにより前記インナーハウジングが前記タービンハウジングとともに前記ベアリングハウジングに組み付けられるターボチャージャにおいて、
前記スペーサは、前記支柱部のうち前記ロータシャフトの周方向において隣り合う各支柱部とそれぞれ対応する前記フランジの各部位の一方から他方の間に位置し前記ロータシャフトの周方向に沿って円弧状に延びるように配設され、少なくともその両端部には前記ボルトがそれぞれ配設されるスペーサを含む
ことを特徴とするターボチャージャ。
【請求項2】
前記タービンハウジングはその排気流入部が排気マニホールドに連結されるとともに固定部材を介して内燃機関に取り付けられるものであり、前記固定部材は前記ロータシャフトの軸心を挟んで前記排気流入部と対向する位置にて前記タービンハウジングに固定される
請求項1に記載のターボチャージャ。
【請求項3】
前記スペーサは前記タービンハウジングに形成された排気流入部から前記スクロール通路における排気の流れ方向及びその逆方向の双方向に延びる円弧状を呈し、少なくともその両端部には前記ボルトがそれぞれ配設されるスペーサを更に含む
請求項1または2に記載のターボチャージャ。
【請求項4】
ロータシャフトを回転軸として回転するタービンホイールを収容するタービンハウジングと、同タービンハウジング内に位置して同タービンハウジングに取り付けられ同タービンハウジングとともにスクロール通路を区画形成するインナーハウジングと、前記ロータシャフトを軸支するベアリングハウジングとを備え、前記インナーハウジングには前記スクロール通路から前記タービンホイールに向けて排気を導く複数の排気導入口が形成されるとともに前記ベアリングハウジングの外周部に外嵌される環状のフランジが形成され、同フランジの周方向に沿って複数形成されるボルト孔にスペーサを介してボルトを螺合し、同ボルトを締め付けて前記ベアリングハウジングの外周部を前記スペーサ及び前記フランジによって挟掴することにより前記インナーハウジングが前記タービンハウジングとともに前記ベアリングハウジングに組み付けられるターボチャージャにおいて、
前記スペーサは前記タービンハウジングに形成されて排気マニホールドに連結される排気流入部から前記スクロール通路における排気の流れ方向に延びる円弧状の第1のスペーサと、前記ロータシャフトの軸心を挟んで前記第1のスペーサと対向する位置に配設される円弧状の第2のスペーサとを含み、それら第1のスペーサ及び第2のスペーサは少なくともその両端部に前記ボルトがそれぞれ配設される
ことを特徴とするターボチャージャ。
【請求項5】
前記タービンハウジングは固定部材を介して内燃機関に取り付けられるものであり、前記固定部材は前記ロータシャフトの軸心を挟んで前記排気流入部と対向する位置にて前記タービンハウジングに固定され、その固定位置が前記第1のスペーサ及び第2のスペーサの各端部により前記ロータシャフトの周方向において挟まれるように前記第1のスペーサ及び第2のスペーサが配設される
請求項4に記載のターボチャージャ。
【請求項6】
前記第1のスペーサは、半円弧状の形状を呈してなる
請求項4または5に記載のターボチャージャ。
【請求項7】
ロータシャフトを回転軸として回転するタービンホイールを収容するタービンハウジングと、同タービンハウジング内に位置して同タービンハウジングに取り付けられ同タービンハウジングとともにスクロール通路を区画形成するインナーハウジングと、前記ロータシャフトを軸支するベアリングハウジングとを備え、前記インナーハウジングには前記スクロール通路から前記タービンホイールに向けて排気を導く複数の排気導入口が形成されるとともに前記ベアリングハウジングの外周部に外嵌される環状のフランジが形成され、同フランジの周方向に沿って複数形成されるボルト孔にスペーサを介してボルトを螺合し、同ボルトを締め付けて前記ベアリングハウジングの外周部を前記スペーサ及び前記フランジによって挟掴することにより前記インナーハウジングが前記タービンハウジングとともに前記ベアリングハウジングに組み付けられるターボチャージャにおいて、
前記タービンハウジングはその排気流入部が排気マニホールドに連結されるとともに固定部材を介して内燃機関に取り付けられるものであり、前記固定部材は前記ロータシャフトの軸心を挟んで前記排気流入部と対向する固定位置にて前記タービンハウジングに固定され、
前記スペーサは前記排気流入部と前記固定位置とを結ぶ仮想線を挟むようにしてその両側にそれぞれ離間して配設され前記フランジの周方向に延びて複数のボルトに共通のスペーサとなる第1及び第2のスペーサからなり、それら第1及び第2のスペーサは前記ボルトが挿通される部分を接続する部分の剛性が、同ボルトが挿通される部分の剛性よりも低く設定される
ことを特徴とするターボチャージャ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−21573(P2011−21573A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169056(P2009−169056)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000100805)アイシン高丘株式会社 (202)
【Fターム(参考)】