説明

ダイレクト蒸着用熱可塑性樹脂組成物、成形品およびランプ

【課題】ダイレクト蒸着後の光輝性、耐熱性、流動性のいずれもが優れ、実用可能な程度の耐衝撃性を有するダイレクト蒸着用熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】本発明のダイレクト蒸着用熱可塑性樹脂組成物は、粒子状のジエン系ゴム状重合体(G)に、芳香族ビニル系単量体75〜60質量%およびシアン化ビニル系単量体25〜40質量%を含むビニル系単量体混合物(V)をグラフト重合してなるグラフト重合体(A)1〜50質量部と、イミド化共重合体(I)50〜99質量部((A)と(I)の合計は100質量部である。)とを含有するダイレクト蒸着用熱可塑性樹脂組成物であって、グラフト重合体(A)のグラフト密度が0.3×10−10〜1.5×10−10(mol/cm)であり、ジエン系ゴム状重合体(G)は、質量平均粒子径が100〜300nmであり、かつ、粒子径500nm以上の粒子の割合が10質量%未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に金属膜を直接形成させることができるダイレクト蒸着用熱可塑性樹脂組成物およびそれを用いた成形品に関する。また、車両等に取り付けられるランプに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車部品や各種電気機器筐体用の熱可塑性樹脂成形品の表面に、意匠性やその他の機能性を高めるために、銅やクロム、ニッケル等の金属膜を形成するメッキ表面処理を施すことがある。また、熱可塑性樹脂成形品の表面に、真空蒸着法やスパッタリング法等によりアルミニウムやクロム等の金属膜(厚み数十nm〜数百nm)を形成する金属化処理を施すことがある。
後者の金属化処理では、光輝性を高くすることを目的として、金属化処理を施す前にあらかじめ塗装やプラズマ重合処理によりアンダーコート処理層を形成するのが一般的であった。さらに、金属化処理により得られた金属膜を保護するために、シリコン系等のトップコート層を形成することが一般的であった。
【0003】
このように、従来の金属化処理は多数の工程と専用の装置、高コストの処理剤を必要とするものであったが、最近になってアンダーコート処理層の形成工程を省いた、いわゆる「ダイレクト(直接)蒸着法」が採用されるようになってきている。このダイレクト蒸着法により得られる成形品の意匠性は、樹脂材料の種類や成形品の表面状態によって変動しやすいため、表面曇りのない美麗な光輝外観を安定して得ることが重要な課題の一つであった。
【0004】
ダイレクト蒸着に適した樹脂材料としては、特許文献1に、特定の粒子径分布を有するゴム状重合体にビニル系単量体をグラフト重合してなるゴム含有グラフト共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物が開示されている。また、特許文献2に、ゴム状重合体の質量平均粒子径とその成分の割合(質量%)が特定の関係を満たす熱可塑性樹脂組成物が開示されている。
【0005】
ところで、近年、自動車用テールランプやストップランプ、ヘッドランプ等は、そのデザインがより複雑化する傾向にある。そのため、ランプハウジングに美麗な蒸着外観だけでなく、ランプの熱による劣化を防止できる高い耐熱性が求められるようになってきている。
耐熱性に優れた樹脂材料としては、特定のマレイミド系共重合体と小粒子径ゴム含有グラフト共重合体とポリカーボネートとを特定比率で含有する熱可塑性樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献3を参照)。
【特許文献1】特開2001−002869号公報
【特許文献2】特開2002−133916号公報
【特許文献3】特開2002−020572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている熱可塑性樹脂組成物では、近年の高い光輝性に対する要求レベルを十分に満足させることはできなかった。また、特許文献2には、熱可塑性樹脂組成物の耐熱性に関して何も言及されていない。
また、特許文献3に記載の熱可塑性樹脂組成物は、高い耐熱性と耐衝撃性を有するものの、ポリカーボネートを含有しているために、近年の光輝外観に対する高い要求レベルを十分に満足させることはできなかった。
さらに、ダイレクト蒸着用熱可塑性樹脂組成物においては、生産性の点から、流動性が高いことが求められ、また、実用可能な程度の耐衝撃性が求められる。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、ダイレクト蒸着後の光輝性、耐熱性、流動性のいずれもが優れ、実用可能な程度の耐衝撃性を有するダイレクト蒸着用熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、ダイレクト蒸着後の光輝性、耐熱性が共に優れ、実用可能な程度の耐衝撃性を有する成形品を提供することを目的とする。また、光輝性および耐熱性が共に優れたランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のダイレクト蒸着用熱可塑性樹脂組成物は、粒子状のジエン系ゴム状重合体(G)に、芳香族ビニル系単量体75〜60質量%およびシアン化ビニル系単量体25〜40質量%を含むビニル系単量体混合物(V)をグラフト重合してなるグラフト重合体(A)1〜50質量部と、イミド化共重合体(I)50〜99質量部((A)と(I)の合計は100質量部である。)とを含有するダイレクト蒸着用熱可塑性樹脂組成物であって、
グラフト重合体(A)のグラフト密度が0.3×10−10〜1.5×10−10(mol/cm)であり、
ジエン系ゴム状重合体(G)は、質量平均粒子径が100〜300nmであり、かつ、粒子径500nm以上の粒子の割合が10質量%未満であることを特徴とする。
本発明のダイレクト蒸着用熱可塑性樹脂組成物においては、ビニル系(共)重合体(B)を、0質量部を超え30質量部以下((A)と(I)と(B)との合計は100質量部である。)の範囲で含有することが好ましい。
【0008】
本発明の成形品は、上述したダイレクト蒸着用熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品本体と、成形品本体表面にダイレクト蒸着により形成された金属膜とを有することを特徴とする。
本発明のランプは、上述した成形品からなるランプハウジングと、ランプハウジングに取り付けられたレンズとが一体化されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のダイレクト蒸着用熱可塑性樹脂組成物は、ダイレクト蒸着後の光輝性、耐熱性、流動性のいずれもが優れ、実用可能な程度の耐衝撃性を有するものである。
本発明の成形品は、ダイレクト蒸着後の光輝性、耐熱性が共に優れ、実用可能な程度の耐衝撃性を有するものである。特にダイレクト蒸着後の光輝性と、耐熱性のバランスは、従来知られている熱可塑性樹脂組成物では得られないほど非常に高いレベルであり、各種工業用材料としての利用価値は極めて高い。
本発明のランプは、光輝性および耐熱性が共に優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
(ダイレクト蒸着用熱可塑性樹脂組成物)
<グラフト共重合体(A)>
グラフト共重合体(A)は、ジエン系ゴム状重合体(G)にビニル系単量体混合物(V)をグラフト重合してなるものである。
【0011】
[ジエン系ゴム状重合体(G)]
グラフト共重合体(A)を構成するジエン系ゴム状重合体(G)としては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−スチレン共重合体、イソプレン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−イソプレン−スチレン共重合体、ポリクロロプレンなどのジエン系ゴムなどが挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0012】
ジエン系ゴム状重合体(G)の質量平均粒子径は、得られるダイレクト蒸着用熱可塑性樹脂組成物(以下、熱可塑性樹脂組成物と略す。)のダイレクト蒸着後の光輝性が優れることから、質量平均粒子径が100〜300nmであり、120〜280nmであることが好ましく、150〜250nmであることがより好ましい。ジエン系ゴム状重合体(G)の質量平均粒子径が100nm未満であっても、300nmを超えても、ダイレクト蒸着後の光輝性は低下する。
また、ジエン系ゴム状重合体(G)は、ダイレクト蒸着後の光輝性が優れることから、粒子径500nm以上の粒子の含有割合が10質量%未満であり、5質量%未満であることがより好ましい。
【0013】
ジエン系ゴム状重合体(G)の製造方法としては、例えば、乳化剤濃度や攪拌翼の回転数を適宜選択した上で、ジエン系単量体を乳化重合する方法が挙げられる。乳化重合によりジエン系ゴム状重合体(G)を製造すれば、質量平均粒子径および粒子径500nm以上の粒子の含有割合を容易に調整できる。乳化重合の際には、公知の乳化剤、重合開始剤、連鎖移動剤を使用できる。
また、ジエン系ゴム状重合体(G)は、予め小粒子径のジエン系ゴム状重合体を製造し、これを適当な酸(例えば、酢酸、メタクリル酸等)によって上記粒子径に肥大化させる方法を適用することもできる。
【0014】
[ビニル系単量体混合物(V)]
ジエン系ゴム状重合体(G)にグラフト重合させるビニル系単量体混合物(V)は芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体を必須成分として含有する。
芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
これらの中でも、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性がより優れる点で、スチレンとアクリロニトリルとの混合物が好ましい。
【0015】
ビニル系単量体混合物(V)の組成は、得られる熱可塑性樹脂組成物のダイレクト蒸着後の光輝性および流動性に優れることから、芳香族ビニル系単量体が75〜60質量%、シアン化ビニル系単量体が25〜40質量%であり、好ましくは芳香族ビニル系単量体が74〜68質量%、シアン化ビニル系単量体が26〜32質量%である。シアン化ビニル系単量体が40質量%を超えると、ダイレクト蒸着後の光輝性および流動性が低下し、25質量%未満であると耐熱性が低下する。
【0016】
また、ビニル系単量体混合物(V)には、芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体のほかに、任意成分として、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステルなどが含まれていてもよい。
不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられる。
不飽和カルボン酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル等が挙げられる。
これらは、1種または2種以上を使用できる。
【0017】
グラフト共重合体(A)は、下記式(1)で求められるグラフト密度(Gd)が、ダイレクト蒸着後の高い光輝性を確保できる上に、流動性が高くなることから、0.3×10−10〜1.5×10−10(mol/cm)であり、0.6×10−10〜0.9×10−10(mol/cm)であることが好ましい。グラフト密度(Gd)が0.3×10−10(mol/cm)未満であると、ダイレクト蒸着後の光輝性が低くなり、流動性も低下する。また、グラフト密度(Gd)が1.5×10−10(mol/cm)を超えてもダイレクト蒸着後の光輝性が低下する。
グラフト密度(Gd)(mol/cm)={(グラフト率(%)/100)×(ジエン系ゴム状重合体の比重)×(ジエン系ゴム状重合体の質量平均粒子径(cm))/(3×グラフト鎖の質量平均分子量) (1)
ここで、グラフト率は、下記式(2)より求められる。
グラフト率(%)=〔(Y−X×ゴム分率)/X×ゴム分率〕×100 (2)
式(2)におけるYは、グラフト共重合体(A)のアセトン不溶分、XはYを求める際に使用したグラフト共重合体(A)の全質量、ゴム分率はグラフト共重合体(A)中のゴム含有割合である。
【0018】
グラフト共重合体(A)のグラフト密度(Gd)を調整する方法としては、後述するグラフト共重合体(A)の製造方法において、グラフト重合温度、ビニル系単量体混合物(V)の供給方法、連鎖移動剤や重合開始剤の種類や量を適宜選択する方法などが挙げられる。例えば、グラフト重合温度を向上させること、ビニル系単量体混合物(V)の供給時間を長くさせることなどによってグラフト密度(Gd)を向上させることができる。
また、グラフト密度を調整するためには、上記条件を複合的に組み合わせることが好ましい。
【0019】
グラフト共重合体(A)の製造方法は特に限定されないが、ジエン系ゴム状重合体(G)が乳化重合で製造された場合には、製造工程が簡便になることから、乳化グラフト重合法により製造することが好ましい。
乳化グラフト重合法としては、例えば、乳化剤の存在下、ジエン系ゴム状重合体にビニル系単量体混合物(V)を、ラジカル重合開始剤を用いてラジカル重合する方法などが挙げられる。
【0020】
その際に使用されるラジカル重合開始剤としては、過酸化物、アゾ系開始剤または酸化剤・還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤を用いることができる。レドックス系開始剤の中でも、特に、硫酸第一鉄・ピロリン酸ナトリウム・ブドウ糖・ハイドロパーオキサイド、あるいは、硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・ロンガリット・ハイドロパーオキサイドを組み合わせたレドックス系開始剤が好ましい。
【0021】
乳化剤としては特に制限はないが、乳化重合時のラテックスの安定性が優れ、重合率が高められることから、サルコシン酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、脂肪酸ナトリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム、ロジン酸石鹸等の各種カルボン酸塩、アルキル硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウムなどのアニオン系乳化剤が好ましい。これらは目的に応じて使い分けられる。また、ジエン系ゴム状重合体(G)の製造に用いた乳化剤をそのまま利用し、乳化グラフト重合時に追添加しなくても構わない。
【0022】
また、重合に際しては、グラフト率、グラフト鎖の分子量、還元粘度を調整するために、例えば、メルカプタン系化合物、テルペン系化合物、α−メチルスチレン二量体などの各種連鎖移動剤を添加することができる。
【0023】
乳化グラフト重合で得られたグラフト共重合体(A)ラテックスからグラフト共重合体(A)を回収する方法としては、例えば、(a)凝固剤を溶解させた熱水中にグラフト共重合体(A)ラテックスを投入してスラリー状態に凝析する湿式法、(b)加熱雰囲気の中にグラフト共重合体(A)ラテックスを噴霧し、乾燥させて、半直接的にグラフト共重合体(A)を回収するスプレードライ法などが挙げられる。
【0024】
上記湿式法に用いる凝固剤としては、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸等の無機酸や、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の金属塩などが挙げられる。凝固剤は重合で用いた乳化剤に応じて選定される。すなわち、脂肪酸石鹸やロジン酸石鹸等のカルボン酸石鹸のみが使用されていた場合にはどのような凝固剤を用いても回収可能であるが、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムのような酸性領域でも安定な乳化力を示す乳化剤が含まれている場合には上記無機酸では不十分であり、金属塩を用いる必要がある。
上記湿式法により得られたスラリー状のグラフト共重合体(A)から乾燥状態のグラフト共重合体(A)を得るためには、まず残存する乳化剤残渣を水中に溶出させ、洗浄した後に、このスラリーを遠心もしくはプレス脱水機で脱水し、次いで、気流乾燥機等で乾燥する方法が挙げられる。また、圧搾脱水機や押出機等で脱水と乾燥を同時に実施し、乾燥したグラフト共重合体(A)を粉体または粒子状で得る方法が挙げられる。この際、圧搾脱水機や押出機から排出されたものを直接、熱可塑性樹脂組成物を製造する押出機や成形機に送って成形品を製造しても構わない。
【0025】
グラフト共重合体(A)は、1種類を使用しても構わないし、2種以上を併用しても構わない。用途によって任意に選択すればよい。
【0026】
<イミド化共重合体(I)>
イミド化共重合体(I)は、マレイミド系単量体単位と、芳香族ビニル系単量体単位および/またはシアン化ビニル系単量体単位とを含む共重合体である。
マレイミド系単量体としては、例えば、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。マレイミド系単量体は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
イミド化共重合体(I)中のマレイミド系単量体単位の含有量は10〜55質量%であることが好ましい。マレイミド系単量体単位の含有量が10質量%未満であると、熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が低くなる傾向にあり、55質量%を超えると、熱可塑性樹脂組成物の流動性が低下する上に、耐衝撃性が著しく低下する傾向にある。
【0027】
芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。
イミド化共重合体(I)中の芳香族ビニル系単量体単位の含有量は35〜80質量%であることが好ましい。芳香族ビニル系単量体単位の含有量が35質量%未満であると、熱可塑性樹脂組成物の流動性が低下する傾向にあり、ダイレクト蒸着後の光輝性も低下する傾向にある。一方、80質量%を超えると、マレイミド系単量体単位あるいはシアン化ビニル系単量体単位の含有量が相対的に少なくなるため、熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が低下することがあり、また、耐衝撃性が損なわれることもある。
【0028】
シアン化ビニル系単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
イミド化共重合体(I)中のシアン化ビニル系単量体単位の含有量は、10〜55質量%であることが好ましい。シアン化ビニル系単量体単位の含有量が10質量%未満であると、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が低くなり、55質量%を超えると熱着色が起こることがある。
【0029】
さらにイミド化共重合体(I)は、残存マレイミド系単量体の含有量が0.1質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましい。残存マレイミド系単量体の量が0.1質量%を超えると熱可塑性樹脂組成物を得る際に着色したり、また成形加工時の熱着色やブリードアウトなどが起こることがある。
【0030】
イミド化共重合体(I)は、公知の重合方法によって製造されるが、組成分布が小さくなり、耐熱性がより高くなることから、溶液重合法が好ましい。
【0031】
<ビニル系(共)重合体(B)>
ビニル系(共)重合体(B)を構成する単量体単位としては特に限定されないが、好ましくは、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステルからなる群より選ばれる1種以上の単量体単位が挙げられる。芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステルとしては、ビニル系単量体混合物(V)と同様のものが挙げられる。
【0032】
好ましいビニル系(共)重合体(B)としては、アクリロニトリル−スチレン共重合体(SAN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、スチレン−メチルメタクリレート共重合体(MS)、アクリロニトリル−αメチルスチレン共重合体(αSAN)、ポリスチレンおよびアクリロニトリル−スチレン−メチルメタクリレート三元共重合体等の硬質樹脂が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
さらに、これら中でも、得られる熱可塑性樹脂組成物の流動性およびダイレクト蒸着後の光輝性が共により高くなることから、アクリロニトリル−スチレン共重合体(SAN)、アクリロニトリル−αメチルスチレン共重合体(αSAN)からなる群より選ばれる1種または2種がより好ましい。
【0033】
ビニル系(共)重合体(B)は、通常、ラジカル重合法であって、乳化重合法、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法などの重合法によって製造される。
【0034】
<熱可塑性樹脂組成物>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ダイレクト蒸着後の光輝性、耐熱性、流動性のいずれもが優れ、実用可能な程度の耐衝撃性を有することから、グラフト共重合体(A)が1〜50質量部、イミド化共重合体(I)が50〜99質量部であり、好ましくは、グラフト共重合体(A)が1〜50質量部、イミド化共重合体(I)が50〜99質量部、ビニル系(共)重合体(B)が0質量部を超え30質量部以下であり、より好ましくは、グラフト共重合体(A)が30〜45質量部、イミド化共重合体(I)が55〜65質量部、ビニル系(共)重合体(B)が0質量部を超え15質量部以下である。ここで、グラフト共重合体(A)とイミド化共重合体(I)とビニル系(共)重合体(B)との合計は100質量部である。
グラフト共重合体(A)の配合量が1質量部未満であると、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が著しく低くなる。またイミド化共重合体(I)の配合量が50質量部未満であると、熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が低下し、一方、99質量部を超えるとグラフト共重合体(A)の配合量が少なくなるため、著しく耐衝撃性が低下する。
また、ビニル系(共)重合体(B)の配合量が30質量部を超えるとグラフト共重合体(A)あるいはイミド化共重合体(I)の配合量が相対的に少なくなり、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性あるいは耐熱性が損なわれることがある。
【0035】
熱可塑性樹脂組成物は、例えば、グラフト共重合体(A)とイミド化共重合体(I)と、必要に応じて、ビニル系(共)重合体(B)とをV型ブレンダやヘンシェルミキサ等により混合分散させ、これにより得られた混合物を押出機、バンバリーミキサ、加圧ニーダ、ロール等の混練機等を用いて溶融混練することにより製造される。
熱可塑性樹脂組成物はそのままで、または、必要に応じて染料、顔料、安定剤、補強剤、充填材、難燃剤、発泡剤、滑剤、可塑剤等の添加剤を混練時に配合して、成形品の製造原料として使用できる。
【0036】
以上説明した熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(A)とイミド化共重合体(I)とが特定組成で含有され、グラフト共重合体(A)が特定のジエン系ゴム状重合体(G)に特定組成のビニル系単量体混合物(V)をグラフト重合させてなり、かつ、特定のグラフト密度のものである。このような熱可塑性樹脂組成物は、ダイレクト蒸着後の光輝性、耐熱性、流動性のいずれもが優れ、実用可能な程度の耐衝撃性を有するものである。
【0037】
(成形品)
本発明の成形品は、上述した熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品本体と、成形品本体表面にダイレクト蒸着により形成された金属膜とを有するものである。
熱可塑性樹脂組成物の成形方法としては、例えば、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、圧縮成形法、カレンダー成形法、インフレーション成形法などが挙げられる。成形品本体の形状に特に制限はない。
成形品本体表面にダイレクト蒸着する方法としては、例えば、真空蒸着やスパッタリング処理などが挙げられる。その際に使用する金属としては、例えば、アルミニウム、クロムなどが挙げられる。
成形品には、埃等によるキズの発生から保護するために、シリコン系塗料を塗装したり、シリカ等を蒸着させたりして被膜を形成させるトップコート処理が施されてもよい。
【0038】
本発明の成形品は、成形品本体が上述した熱可塑性樹脂組成物からなるため、ダイレクト蒸着後の光輝性、耐熱性が共に優れ、実用可能な程度の耐衝撃性を有する。しかも、本発明の成形品は、アンダーコート等の特殊な前処理を施さずに、ダイレクト蒸着により金属膜を形成できるものであり、多数の工程と専用の装置、高コストの処理剤を使用しなくても得られるものである。
本発明の成形品の工業的な用途例としては、車両部品、特にヘッドランプやテールランプ、指示灯、フォグランプ等の車両用ランプハウジング、照明機器ハウジング等の家電部品、OA機器ハウジング、インテリア部材等が挙げられる。
これらの中でも、ダイレクト蒸着後の光輝性、耐熱性が共に優れるという効果が特に活かされる点では、車両用ランプハウジングが好適である。
【0039】
(ランプ)
本発明のランプは、成形品からなるランプハウジングと、ランプハウジングに取り付けられたレンズとが一体化されたものである。
レンズの材質としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートなどが挙げられる。
本発明のランプは、上述した熱可塑性樹脂組成物を成形してなるランプハウジングを有するものであるから、光輝性、耐熱性に優れたものである。
【実施例】
【0040】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の例中の「%」および「部」は明記しない限りは質量基準である。
【0041】
[製造例1]ジエン系ゴム状重合体の製造
下記の乳化重合により、下記のジエン系ゴム状重合体ラテックスを得た。
攪拌機を備えた耐圧容器に脱イオン水150部、ブタジエンモノマー100部、硬化脂肪酸カリウム3.0部、ピロリン酸ナトリウム0.3部、ターシャルドデシルメルカプタン0.2部、過硫酸カリウム0.3部、及び水酸化カリウム0.14部を仕込んだ。次いで、窒素雰囲気下で攪拌しながら温度を60℃に上げて重合を開始し、重合率65%のときに、過硫酸カリウム0.1部を溶解した脱イオン水5部を上記耐圧容器に添加した。その後、重合温度を70℃に上げ、反応時間13時間、重合転化率95%で重合を完結した。得られたポリブタジエンラテックスは、質量平均粒子径80nm、固形分52.0%であった。
次に、このポリブタジエンラテックスを酢酸による肥大化操作を行って、PBD−1〜6の6種類のポリブタジエンを得た。
PBD−1〜3は、12%の酢酸水溶液を、酢酸として1.75部(PBD−1)、1.5部(PBD−2)、2.0部(PBD−3)をそれぞれ添加して得たものである。また、PBD−4は、20%の酢酸水溶液を、酢酸として2.5部添加して得たものである。PBD−5は、14%の酢酸水溶液を、酢酸として2.2部添加して得たものである。また、PBD−6は、20%の酢酸水溶液を、酢酸として1.75部添加して得たものである。それぞれのジエン系ゴム状重合体の粒子径を、MICROTRAC UPA150にて測定した。
【0042】
得られたジエン系ゴム状重合体の質量平均粒子径、粒子径500nm以上の粒子の割合を示す。
PBD−1:質量平均粒子径;200nm、粒子径500nm以上の粒子の含有割合;2%。
PBD−2:質量平均粒子径;150nm、粒子径500nm以上の粒子の含有割合;1%。
PBD−3:質量平均粒子径;260nm、粒子径500nm以上の粒子の含有割合;8%。
PBD−4:質量平均粒子径;400nm、粒子径500nm以上の粒子の含有割合;15%。
PBD−5:質量平均粒子径;320nm、粒子径500nm以上の粒子の含有割合;8%。
PBD−6:質量平均粒子径;280nm、粒子径500nm以上の粒子の含有割合;12%。
【0043】
[製造例2]グラフト共重合体の製造
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置を備えた反応器内に、イオン交換水200部(ポリブタジエンラテックス中の水も含む)、不均化ロジン酸カリウム0.3部(固形分)、硫酸第一鉄七水塩0.01部、ピロリン酸ナトリウム0.2部、結晶ブドウ糖0.5部を仕込み、完全に溶解した後に、表1または表2に示す量のポリブタジエンラテックスを添加、混合した。
反応器内の内容物を攪拌しながら65℃まで昇温させ、表1または表2に示す量のアクリロニトリル(表中では、ANと表記する。)およびスチレン(表中では、STと表記する。)からなるビニル系単量体混合物と連鎖移動剤であるターシャリードデシルメルカプタン(表中では、TDMと表記する。)と重合開始剤であるクメンハイドロパーオキサイド(表中では、CHPと表記する。)とを、同じく表1または表2に示す時間で連続的に滴下、供給してグラフト重合させた。その間、反応器の内温を65℃に保つようにジャケット温度を制御した。なお、連鎖移動剤と重合開始剤はグラフト率調整の役割を果たす。
滴下終了後70℃まで昇温させ、さらに1時間保ってグラフト重合反応を完結させた。冷却後、酸化防止剤(ジラウリルチオジプロピオネート)を添加し、グラフト共重合体のラテックスを得た。
得られたグラフト共重合体ラテックスを、その1倍量の2.5%硫酸水溶液(80℃)中に攪拌下で投入し、さらに90℃で5分間保持して凝固させてグラフト共重合体のスラリーを得た。そして、そのスラリーの水洗と脱水を2度繰り返した後、一晩70℃で静置し、乾燥して乳白色粉末のグラフト共重合体(A−1)〜(A−6)、(a−7)〜(a−12)を得た。
【0044】
【表1】

【0045】
【表2】

【0046】
得られたグラフト共重合体についてグラフト密度を測定した。
グラフト密度を求めるために、まず、グラフト率を測定した。グラフト率の測定では、赤外線吸収分析装置により、グラフト共重合体中のゴム含有量(ゴム分率)を求めておき、そのグラフト共重合体2.5gを80mlのアセトンに添加し、65〜70℃にて3時間還流して懸濁アセトン溶液を得た。その懸濁アセトン溶液を14000rpmにて30分間遠心分離して、沈殿成分と上澄み溶液(アセトン溶液)とをそれぞれ分取した。そして、沈殿成分を十分に乾燥させてその質量(Y(g))を測定した。そして、式(3)に代入してグラフト率を求めた。
グラフト率(%)=〔(Y−2.5×ゴム分率)/2.5×ゴム分率〕×100 (3)
【0047】
また、上記沈殿成分をジクロロエタン中でオゾン分解し、その可溶分を濃縮、メタノールにより再沈殿することによって、グラフト鎖であったアクリロニトリル−スチレン共重合体を得た。そのアクリロニトリル−スチレン共重合体の質量平均分子量Mwをゲルパーミエーションクロマトグラフィ(東ソー製HLC8020、溶媒;テトラヒドロフラン)にて測定した。
そして、上記式(1)に、グラフト率、ポリブタジエンの比重、ポリブタジエンの質量平均粒子径、グラフト鎖の質量平均分子量を代入してグラフト密度(Gd)を求めた。その結果を表1,2に示す。
なお、ポリブタジエンの比重は0.9とした(J. Brandrup、E. H. Immergutら著、「POLYMER HANDBOOK」参照)。
【0048】
[製造例3]イミド化共重合体(I−1)の製造
アクリロニトリル14部とスチレン55部とN−フェニルマレイミド31部とを、連続溶液重合により重合して、N,N−ジメチルホルムアミド溶液により25℃で測定した還元粘度が0.61dl/gのアクリロニトリル−スチレン−N−フェニルマレイミド三元共重合体(I−1)を得た。
【0049】
[製造例4]イミド化共重合体(I−2)の製造
アクリロニトリル21部とスチレン56部とN−フェニルマレイミド23部とを、連続溶液重合により重合して、N,N−ジメチルホルムアミド溶液により25℃で測定した還元粘度が0.65dl/gのアクリロニトリル−スチレン−N−フェニルマレイミド三元共重合体(I−2)を得た。
【0050】
[製造例5]ビニル系共重合体(B−1)の製造
アクリロニトリル27部とスチレン73部とを懸濁重合により重合して、N,N−ジメチルホルムアミド溶液により25℃で測定した還元粘度が0.88dl/gのアクリロニトリル−スチレン共重合体(B−1)を得た。
【0051】
[実施例1〜8および比較例1〜8]
製造例1〜5で製造したグラフト共重合体(A−1)〜(A−6)、(a−7)〜(a−12)、イミド化共重合体(I−1)〜(I−2)、ビニル系共重合体(B−1)を表3〜4に示す割合で配合した。さらに樹脂成分100部に対し、滑剤としてエチレンビスステアリルアミド0.3部を添加し、ヘンシェルミキサを用いて混合した。そして、これにより得られた混合物をバレル温度260℃に加熱した脱気式押出機((株)日本製鋼所製TEX−30α型二軸押出機)に供給し、溶融混練して、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
得られた熱可塑性樹脂組成物を下記のように評価した。評価結果を表3〜4に示す。
【0052】
【表3】

【0053】
【表4】

【0054】
(i)流動性:東洋精機製作所製メルトインデクサーP−111を用い、ISO1133に準じて260℃、5kg荷重の条件でのメルトボリュームレート(MVR)を測定した。
(ii)ダイレクト蒸着後の光輝性
東芝機械(株)製射出成形機「IS80FP」を用い、シリンダー設定温度230℃、金型温度70℃、インジェクションスピード99%の条件で、熱可塑性樹脂組成物を100mm×100mm×3mmの板状に成形した。次いで、得られた成形品本体の表面に、真空蒸着法により、真空到達度1×10−6Torr、電流値400mA、成膜速度1.5nm/秒の条件で、膜厚約50nmのアルミニウム蒸着膜(金属膜)を成膜した。そして、このアルミニウム蒸着膜上に、さらにSiOからなるトップコート層を真空蒸着した。
以上のようにして得た成形品について、反射率計((株)村上色彩技術研究所「HR−100」)にて拡散反射率(%)を測定して、光輝性を評価した。なお、拡散反射率の値が低いほど、光輝性が高い。
(iii)耐熱性(VST)
東芝機械製射出成形機IS55FP−1.5Aを用い、ISO 3167に準拠して試験片を作製し、ISO 306の方法に準拠して測定した。
【0055】
実施例および比較例より、次のことが明らかとなった。
(1)グラフト共重合体(A−1)〜(A−6)を含む実施例1〜実施例8の熱可塑性樹脂組成物は、流動性および耐熱性に優れ、さらにダイレクト蒸着後の拡散反射率が低く光輝性にも優れていた。また、成形した際には充分な耐衝撃性を有していた。
(2)一方、ジエン系ゴム状重合体(G)の質量平均粒子径が300nmを超えており(具体的には400nmであった)、かつ粒子径500nm以上の粒子の含有割合が10%を超えていた(具体的には15%であった)比較例1の熱可塑性樹脂組成物は、ダイレクト蒸着後の光輝性が低かった。
(3)ジエン系ゴム状重合体(G)の質量平均粒子径が300nmを超えており(具体的には320nmであり)、かつグラフト共重合体(A)のグラフト密度が1.5×10−10(mol/cm)を超えていた(具体的には2.18×10−10(mol/cm)であった)比較例2の熱可塑性樹脂組成物は、ダイレクト蒸着後の光輝性が低かった。
(4)ジエン系ゴム状重合体(G)が、粒子径500nm以上の粒子の含有割合が10%を超えていた(具体的には12%であった)比較例3の熱可塑性樹脂組成物は、ダイレクト蒸着後の光輝性が低かった。
(5)グラフト共重合体(A)を製造する際のビニル系単量体混合物(V)中のシアン化ビニル系単量体の割合が25%に満たなかった(具体的には20%であった)比較例4の熱可塑性樹脂組成物は、耐熱性が低かった。
(6)グラフト共重合体(A)を製造する際のビニル系単量体混合物(V)中のシアン化ビニル系単量体の割合が40%を超えていた(具体的には45%であった)比較例5の熱可塑性樹脂組成物は、流動性およびダイレクト蒸着後の光輝性が低かった。
(7)グラフト共重合体(A)のグラフト密度が0.3×10−10(mol/cm)に満たなかった(具体的には0.21×10−10(mol/cm)であった)比較例6の熱可塑性樹脂組成物は、流動性およびダイレクト蒸着後の光輝性が低かった。
(8)熱可塑性樹脂組成物中のイミド化共重合体(I)の含有率が50%に満たなかった(具体的には30%であった)比較例7の熱可塑性樹脂組成物は、耐熱性が低かった。
(9)熱可塑性樹脂組成物中のグラフト共重合体(A)の含有率が50%を超えており(具体的には55%)、なおかつイミド化共重合体(I)の含有率が50%未満(具体的には45%)であった比較例8の熱可塑性樹脂組成物は、流動性および耐熱性が低かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子状のジエン系ゴム状重合体(G)に、芳香族ビニル系単量体75〜60質量%およびシアン化ビニル系単量体25〜40質量%を含むビニル系単量体混合物(V)をグラフト重合してなるグラフト重合体(A)1〜50質量部と、イミド化共重合体(I)50〜99質量部((A)と(I)の合計は100質量部である。)とを含有するダイレクト蒸着用熱可塑性樹脂組成物であって、
グラフト重合体(A)のグラフト密度が0.3×10−10〜1.5×10−10(mol/cm)であり、
ジエン系ゴム状重合体(G)は、質量平均粒子径が100〜300nmであり、かつ、粒子径500nm以上の粒子の割合が10質量%未満であることを特徴とするダイレクト蒸着用熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
ビニル系(共)重合体(B)を、0質量部を超え30質量部以下((A)と(I)と(B)との合計は100質量部である。)の範囲で含有することを特徴とする請求項1に記載のダイレクト蒸着用熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載のダイレクト蒸着用熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品本体と、成形品本体表面にダイレクト蒸着により形成された金属膜とを有することを特徴とする成形品。
【請求項4】
請求項3に記載の成形品からなるランプハウジングと、ランプハウジングに取り付けられたレンズとが一体化されたことを特徴とするランプ。

【公開番号】特開2007−284469(P2007−284469A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−109712(P2006−109712)
【出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【出願人】(502163421)ユーエムジー・エービーエス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】