説明

チェック弁

【課題】チェック弁において、流通抵抗を低減させることで流体を円滑に流通させると共に小型化を図る。
【解決手段】チェック弁10は、上流側に設けられる第1ボディ14と、該第1ボディ14に連結され下流側に設けられる第2ボディ18とを備え、前記第1ボディ14の内部に形成された連通室42に弁体20が変位自在に設けられる。弁体20には、その本体部62を弁座面46に着座させる方向に付勢するスカート部64を有し、該スカート部64の弾発力によって本体部62が前記弁座面46に着座している。そして、第1ボディ14に圧力流体が供給されることで、弁体20がスカート部64の弾発力に抗して変位し、第1ボディ14の内部と第2ボディ18の内部とが連通し、圧力流体が流通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路に沿って一方向にのみ圧力流体を流通させ、反対方向への流通を阻止することが可能なチェック弁に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、ボディと、該ボディの両端側に対向して設けられ、流体圧機器に着脱自在に接続される一組の継手部とを有し、一方の流体圧機器からの圧力流体の流通のみを許容し、他方の流体圧機器からの圧力流体の流通を阻止するチェック弁を提案している(特許文献1参照)。
【0003】
このようなチェック弁は、例えば、特許文献2に開示されているように、バルブ本体が、上流側本体と下流側本体とから形成され、前記上流側本体と下流側本体とが連結されると共に、前記バルブ本体の内部には、弁体と、合成樹脂から圧縮コイルバネの形状に成形されたスプリングとが収納され、前記スプリングの弾発作用下に弁体を弁座部に着座させる構成としている。そして、上流側本体の内部に圧力流体が供給されることで、弁体がスプリングの弾発力に抗して弁座部から離間し、前記圧力流体が下流側本体の内部へと流通する。一方、下流側本体に圧力流体が供給された場合には、弁体がスプリングの弾発力によって弁座部に着座した状態で移動することがないため、前記圧力流体が下流側本体から上流側本体側へと流通することが阻止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−322264号公報
【特許文献2】特許第3369523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に係るチェック弁では、弁体を弁座部側に向かって付勢するために圧縮コイルバネであるスプリングを用いているが、このスプリングは、樹脂製であるため製造が非常に難しく、それに伴って製造コストが高騰してしまうという問題がある。また、弁体が弁開状態となった際には、スプリングが弁体によって圧縮された状態となり、螺旋状に形成されたスプリングの線材間が狭くなり、圧力流体が流通する際の流路抵抗となる。その結果、上流側本体から下流側本体へと流通する圧力流体の流量が減少してしまうという問題がある。
【0006】
さらに、圧力流体がスプリングの内部を通過するように流通することで、該スプリングに対して偏荷重が付与され、前記スプリングの破損を招くことが懸念される。
【0007】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、流通抵抗を低減させることで流体を円滑に流通させると共に、小型化を図ることが可能なチェック弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明は、圧力流体の供給される第1ポートを有する第1ボディと、
前記第1ボディに連結され、前記圧力流体の排出される第2ポートを有する第2ボディと、
前記第1及び第2ボディの内部に設けられ、前記圧力流体の流通する流路の連通状態を切り換える弁体と、
前記第1ボディに形成された弁座部側に向かって前記弁体を付勢し、該弁体を前記弁座部に着座させる弾発手段と、
を備え、
前記弾発手段は、前記第2ボディに保持される保持部と、前記保持部に接合され前記弁体を前記第2ボディから離間する方向に向かって付勢するシート状の弾発部とを有し、前記弾発部には、前記圧力流体の流通する孔部が形成されることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、第1ボディと第2ボディとが連結され、その内部に圧力流体の流通する流路の連通状態を切り換える弁体を前記第1及び第2ボディの内部に備えるチェック弁において、前記第1ボディに形成された弁座部側に向かって前記弁体を付勢し、該弁体を前記弁座部に着座させる弾発手段を備え、前記弾発手段は、その保持部が前記第2ボディに保持されると共に、前記保持部に接合されるシート状の弾発部が、前記圧力流体の流通する孔部を有し、前記弁体を前記第2ボディから離間する方向に向かって付勢する。
【0010】
従って、弁体を着座させる際の力を付勢するために樹脂製の圧縮コイルバネからなるスプリングを設ける代わりに、弾発力を有したシート状の弾発部を設けて弁体を付勢することで、構成の簡素化を図ることでき、それに伴って、小型化を図ることが可能となる。また、弾発部には孔部が設けられているため、弁体が弁座部から離間した圧力流体の流通状態においても、該圧力流体が前記孔部を通じて確実且つ好適に下流側へと流通できるため、従来技術に係るチェック弁のような流通抵抗を生じることがなく前記圧力流体を円滑に流通させることができる。
【0011】
さらに、弾発部を、弁体と一体的に形成することにより、第1及び第2ボディに対して弁体を組み付けることで同時に弾発部を組み付けることが可能となり、組付工数の削減を図ることができると共に、部品点数の削減を図ることも可能となる。
【0012】
さらにまた、弾発手段を、弁体とは別体で、該弁体に対して着脱自在に設けるとよい。これにより、弁体と弾発部とをそれぞれ別個に製造することができるため、その製造が容易となり、それに伴って、製造コストの削減を図ることが可能となるため、安価なチェック弁を製造することができる。
【0013】
またさらに、ボディ、弁体及び弾発部を、それぞれ樹脂製材料で形成するとよい。
【0014】
また、第1ボディと第2ボディとが、それぞれに形成されたねじ部を互いに螺合させることにより連結され、前記ねじ部を台形ねじで形成するとよい。これにより、第1ボディと第2ボディとの連結を確実且つ強固なものとすることができ、しかも、台形ねじを採用することでねじ部同士の緩みを抑制することができる。
【0015】
さらに、第1ボディと第2ボディとの連結部位には、該第1及び第2ボディの軸線と直交方向に挿入され係合された係止ピンを設けるとよい。これにより、第1ボディと第2ボディとが連結された際、その軸線と直交方向に係止ピンを挿入して係合させることで前記第1ボディと第2ボディとの軸方向への相対変位を確実に阻止することができる。その結果、例えば、チェック弁が振動等の生じる環境下で用いられる場合でも、第1ボディと第2ボディとの連結が緩んでしまうことなく好適である。
【0016】
さらにまた、第1ボディ又は第2ボディのいずれか一方の端部外周面には、半径外方向に突出した突起部が形成され、前記突起部を有した前記第1ボディ又は第2ボディのいずれか一方とは反対となる前記第2ボディ又は第1ボディに、前記端部の圧入される溝部を形成するとよい。これにより、第1ボディと第2ボディとを連結する際、端部の先端部が圧入溝に圧入されると共に、端部外周面の突起部が前記圧入溝に摺接して押し潰されるため、前記第1ボディと第2ボディとをより一層確実且つ強固に連結できると共に、前記第1ボディと第2ボディとの間のシールを確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0018】
すなわち、弁体を着座させる際の力を付勢するために樹脂製の圧縮コイルバネからなるスプリングを設ける代わりに、弾発力を有したシート状の弾発部を設けて弁体を付勢することで、構成の簡素化を図ることでき、それに伴って、小型化を図ることが可能となる。また、弾発部には孔部が設けられているため、弁体が弁座部から離間した圧力流体の流通状態においても、該圧力流体が前記孔部を通じて確実且つ好適に下流側へと流通できるため、従来技術に係るチェック弁のような流通抵抗が生じることがなく前記圧力流体を円滑に流通させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るチェック弁の全体断面図である。
【図2】図1のチェック弁の分解斜視図である。
【図3】図3Aは、第1ボディにおける第1連結部の先端部を示す拡大断面図であり、図3Bは、図3Aに示す第1連結部が第2ボディの第2連結部と連結された状態を示す拡大断面図である。
【図4】図4Aは、図1に示すチェック弁の弁体近傍の拡大断面図であり、図4Bは、図4Aに示す弁体が弁座面から離間した弁開状態を示す拡大断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るチェック弁の全体断面図である。
【図6】図5に示すチェック弁の分解斜視図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係るチェック弁の全体断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係るチェック弁について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0021】
図1において、参照符号10は、本発明の第1の実施の形態に係るチェック弁を示す。
【0022】
このチェック弁10は、図1及び図2に示されるように、圧力流体の供給される第1ポート12を有した第1ボディ14と、前記第1ボディ14に接続され前記圧力流体の排出される第2ポート16を有した第2ボディ18と、前記第1及び第2ボディ14、18の内部に設けられる弁体20と、前記弁体20に近接して設けられるストッパ22とを備える。すなわち、第1ボディ14が圧力流体の供給される上流側(矢印A方向)となり、第2ボディ18が前記第1ボディ14を通過した前記圧力流体が排出される下流側(矢印B方向)となる。
【0023】
この第1ボディ14は、例えば、樹脂製材料から円筒状に形成され、一端部に形成されチューブ30aの接続される第1継手部24と、他端部に形成され第2ボディ18の連結される第1連結部26とを備える。
【0024】
この第1継手部24の端部には、第1ポート12の外周側に第1ボディ14の軸方向(矢印A、B方向)に沿ったチューブ溝28aが形成され、前記端部に挿通されたチューブ30aの端部がチューブ溝28aに挿入され係止される。また、第1継手部24の外周面には、チューブ溝28aに近接するようにねじ32aが刻設されている。
【0025】
一方、第1継手部24の内部には、第1ポート12と連通し、該第1ポート12と略同一径で軸方向(矢印A、B方向)に沿って延在する第1流路34が形成される。
【0026】
そして、第1継手部24には、チューブ30aがチューブ溝28aに挿入された状態で、外周側に円筒状の締結プラグ36aが挿通されてねじ32aに対して螺合される。これにより、チューブ30aが、締結プラグ36aと第1継手部24との間に挟持され固定される。そして、チューブ30aから供給される圧力流体が第1継手部24の第1流路34を通じて第1ボディ14の内部へと流通する。
【0027】
第1連結部26は、その外周面にねじが刻設された雄ねじ部38が形成され、後述する第2ボディ18の第2連結部52が外周側に螺合される。この雄ねじ部38は、例えば、断面台形状のねじ山を有する台形ねじで形成される。一方、第1連結部26の内部には、第1流路34から徐々に拡径した第2流路40と、該第2流路40に対して拡径した連通室42と、該連通室42に対してさらに拡径したストッパ装着部44とを備える。
【0028】
連通室42は、第2流路40に対して段付状に形成され、且つ、略一定径で第1ボディ14の他端部側(矢印B方向)に向かって所定長さで形成される。この連通室42には、第1及び第2流路34、40の延在方向と直交し、前記第2流路40との境界となる位置に、環状の弁座面(弁座部)46が形成される。
【0029】
また、ストッパ装着部44は、第1ボディ14において最も他端部側(矢印B方向)に設けられ、略一定径の環状に形成される。
【0030】
第1連結部26の先端部26aには、図3A及び図3Bに示されるように、その外周面に環状に膨出した突起部48が形成され、第2ボディ18が外周側に装着された際、前記突起部48が前記第2ボディ18における第2連結部52(後述する)の内周面に摺接して押し潰される。これにより、第1ボディ14の外周面と第2ボディ18の内周面との間の気密が突起部48によって確実に保持される(図3B参照)。
【0031】
第2ボディ18は、第1ボディ14と同様に、例えば、樹脂製材料から円筒状に形成され、一端部に形成されチューブ30bの接続される第2継手部50と、他端部に形成され第1ボディ14の連結される第2連結部52とを備える。
【0032】
第2継手部50の端部には、第2ボディ18の軸方向(矢印A、B方向)に沿ったチューブ溝28bが形成され、前記端部に挿通されたチューブ30bの端部がチューブ溝28bに挿入され係止される。また、第2継手部50の外周面には、チューブ溝28bに近接するようにねじ32bが刻設されている。
【0033】
一方、第2継手部50の内部には、略同一径で軸方向に沿って所定長さだけ延在した後、第2連結部52に向かって徐々に拡径する第3流路54が形成される。
【0034】
そして、第2継手部50には、チューブ30bがチューブ溝28bに挿入された状態で、外周側に円筒状の締結プラグ36bが挿通されてねじ32bに対して螺合される。これにより、チューブ30bが、締結プラグ36bと第2継手部50との間に挟持され固定される。そして、第2ボディ18の第3流路54を流通する圧力流体が第2連結部52を通じてチューブ30bへと流通する。
【0035】
第2連結部52は、その内周面にねじが刻設された雌ねじ部56が形成され、第1ボディ14の第1連結部26に形成された雄ねじ部38に螺合されることで第1ボディ14と第2ボディ18とが一体的に連結される。この際、第2ボディ18の他端部は、第1ボディ14の外周側に形成された環状のフランジ58に当接することで軸方向(矢印A方向)へのさらなる変位が規制される。なお、雌ねじ部56は、雄ねじ部38と同様に、例えば、断面台形状のねじ山を有する台形ねじで形成される。
【0036】
また、第2連結部52には、第1ボディ14と第2ボディ18とが連結された際、第1連結部26の先端部26aが圧入される圧入溝60が設けられ、前記圧入溝60は、第1ボディ14から離間する方向(矢印B方向)に向かって先細状となるように形成される。
【0037】
弁体20は、図1、図2、図4A及び図4Bに示されるように、例えば、樹脂製材料から形成され、第1ボディ14の連通室42に配設される円盤状の本体部62と、該本体部62の中央から半径外方向に向かって拡径したスカート部(弾発部)64と、前記スカート部64の外縁部に形成され後述するストッパ22に当接する脚部66とからなる。
【0038】
本体部62は、連通室42の内部において軸方向(矢印A、B方向)に沿って変位自在に設けられ、その一端部には、環状に突出した着座部68が形成され、前記着座部68が連通室42の弁座面46に当接する。すなわち、着座部68の直径は、第2流路40の直径より大きく設定される。
【0039】
また、本体部62の他端部には、中央に突出した円柱状の膨出部70が形成され、該膨出部70の外周面からスカート部64が半径外方向へと延在している。
【0040】
スカート部64は、薄膜状(シート状)に形成され弾性を有すると共に、同心円上に中心を有した複数(例えば、4個)の第1孔部(孔部)72が形成される。この第1孔部72は、スカート部64を貫通するように形成されると共に、その周方向に沿って互いに等間隔離間して配置される。
【0041】
さらに、スカート部64は、本体部62が弁座面46に着座した弁閉状態において、膨出部70と脚部66とを接続する断面湾曲形状で形成される。
【0042】
一方、本体部62の外周面は、周方向に沿って等間隔で、直線状に切り欠かれた切欠部74が複数形成され、円弧状に形成された円弧部76と切欠部74とが交互となるように配置される。そして、本体部62は、その円弧部76が連通室42の内周面と略同一直径で形成され、切欠部74と前記内周面との間には間隙が形成される。
【0043】
脚部66は、環状で弁体20の軸方向に沿った所定高さで形成され、その外周面が連通室42の内周面に当接すると共に、端部がストッパ22の端面に当接している。そして、弁体20では、スカート部64が脚部66を支点として本体部62を該脚部66から離間する方向(矢印A方向)に付勢する弾発力を有しており、前記本体部62は常に連通室42の弁座面46に当接するように押圧されている。すなわち、スカート部64は、本体部62を弁座面46に着座させる方向に付勢する弾発部として機能する。
【0044】
ストッパ22は、例えば、樹脂製材料から所定厚さで円盤状に形成され、同心円上に中心を有した複数(例えば、4個)の第2孔部78が形成される。この第2孔部78は、ストッパ22を貫通するように形成されると共に、その周方向に沿って互いに等間隔離間して配置される。
【0045】
そして、ストッパ22は、第1ボディ14のストッパ装着部44に装着され、該ストッパ装着部44の端面に係止されることで、該第1ボディ14における軸方向への位置決めがなされると共に、前記第1ボディ14に対して第2ボディ18を連結した際、第2ボディ18の段付部80に当接することで前記ストッパ装着部44との間に挟持され固定される。
【0046】
このストッパ22には、複数の第2孔部78が貫通しているため、連通室42と第3流路54とが常に該第2孔部78を通じて連通している状態となる。
【0047】
本発明の第1の実施の形態に係るチェック弁10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。なお、チェック弁10を構成する第1ボディ14には、図示しない圧力流体供給源に対して接続されたチューブ30aが接続され、第2ボディ18には、圧力流体の供給作用下に駆動可能な流体圧機器(図示せず)に接続されたチューブ30bが予め接続された状態としておく。
【0048】
先ず、図1及び図4Aに示される弁体20の着座部68が弁座面46に対して着座し、第1ボディ14の第1及び第2流路34、40と、第2ボディ18の第3流路54との連通が遮断された弁閉状態において、上流側となるチューブ30aから第1ボディ14に対して圧力流体が供給されると、該圧力流体が第1流路34、第2流路40へと流通した後、弁体20の本体部62を第2ボディ18側(矢印B方向)に向かって押圧する。これにより、弁体20がスカート部64の弾発力に抗してストッパ22側(矢印B方向)へと移動し、着座部68が弁座面46から離間する。これにより、圧力流体が第2流路40から弁体20の切欠部74と連通室42との間の間隙を通じて該連通室42の内部へと流入する。この際、弁体20は、図4Bに示されるように、膨出部70の端面がストッパ22に当接することで変位が規制される。
【0049】
そして、圧力流体は、連通室42の内部からスカート部64の第1孔部72、ストッパ22の第2孔部78を通じて第2ボディ18の第3流路54へと流通した後、第2継手部50に接続されたチューブ30bを通じて図示しない圧力流体へと供給される。
【0050】
次に、何らかの理由で第2ボディ18から第1ボディ14側(矢印A方向)へと圧力流体が逆流しようとした場合について説明する。なお、この場合、第1ボディ14の第1及び第2流路34、40には、圧力流体が供給されておらず大気開放状態にあるものとする。例えば、下流側のチューブ30bから第2ボディ18の第3流路54へと圧力流体が供給されると、前記圧力流体は、ストッパ22の第2孔部78、弁体20におけるスカート部64の第1孔部72を通じて連通室42へと流入する。
【0051】
この際、弁体20は、スカート部64の弾発力によって本体部62が第1ボディ14側(矢印A方向)へと押圧されると共に、圧力流体によっても同様に第1ボディ14側(矢印A方向)へと押圧される。これにより、弁体20の着座部68が弁座面46に対して着座し、連通室42と第1ボディ14の第2流路40との連通が遮断された弁閉状態で維持される(図1、図4A参照)。
【0052】
その結果、第2ボディ18から圧力流体が供給された場合でも、弁体20がスカート部64の弾発力によって確実に弁閉状態となるため、前記圧力流体が第1ボディ14の第1及び第2流路34、40へと流通することが阻止される。
【0053】
以上のように、第1の実施の形態では、弁体20を着座させる際に押圧力を付勢するために樹脂製で圧縮コイルバネからなるスプリングを設ける代わりに、樹脂製材料からなり弾発力を有したスカート部64を弁体20の本体部62に対して一体的に設けることで、該スカート部64の弾発力を本体部62に対して確実且つ好適に付勢し、前記本体部62の着座部68を弁座面46に対して着座させることができる。その結果、樹脂製のスプリングを設け、その弾発力を利用して弁体20を着座させていた従来のチェック弁と比較し、その構成を簡素化できるため小型化を図ることができると共に、製造コストの削減を図ることが可能となる。
【0054】
また、スカート部64には、複数の第1孔部72が設けられているため、弁体20が弁座面46から離間した弁開状態においても、圧力流体が前記第1孔部72を通じて下流側へと確実に流通できるため、従来技術に係るチェック弁のように前記圧力流体の流量が低下してしまうことがなく、該圧力流体を所望の流量で円滑に流通させることができる。
【0055】
さらに、第1ボディ14の第1連結部26に形成された雄ねじ部38と、第2ボディ18の第2連結部52に形成された雌ねじ部56とが、それぞれ台形ねじで形成されているため、前記第1連結部26と第2連結部52とを螺合させ連結した際に、その連結を確実且つ強固なものとすることができ、しかも、前記雄ねじ部38と雌ねじ部56との緩みを抑制することができる。
【0056】
さらにまた、第1ボディ14における第1連結部26の先端部26aに、環状に膨出した突起部48を外周面に設けると共に、第2ボディ18の第2連結部52には、前記先端部26aの圧入される圧入溝60を設けることで、前記第1ボディ14と第2ボディ18とを螺合させ連結する際に、突起部48が第2連結部52の内周面に摺接して押し潰され、一方、第1連結部26の先端部26aが圧入溝60に圧入され押し潰されるため、前記第1連結部26と第2連結部52とをより一層確実且つ強固に連結できると共に、前記第1連結部26と第2連結部52との間のシールがなされ、第1ボディ14と第2ボディ18との連結部位から圧力流体が外部に漏出することが防止される。
【0057】
なお、上述した第1の実施の形態においては、第1ボディ14の第1連結部26の先端部26aが、第2ボディ18の圧入溝60に圧入される構成としているが、これに限定されるものではなく、例えば、前記第1連結部26に圧入溝を設け、前記第2ボディ18における第2連結部52の先端部に突起部を設けることで、前記先端部を前記圧入溝に圧入してシールを行うようにしてもよい。
【0058】
また、弾発部として機能するスカート部64を弁体20と一体的に形成することにより、第1及び第2ボディ14、18に対して前記弁体20を組み付けることで同時に前記スカート部64(弾発部)を組み付けることが可能となり、組付工数の削減を図ることができると共に、部品点数の削減を図ることも可能となる。
【0059】
次に、第2の実施の形態に係るチェック弁100を図5及び図6に示す。なお、上述した第1の実施の形態に係るチェック弁10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0060】
この第2の実施の形態に係るチェック弁100では、図5及び図6に示されるように、円盤状の本体部102と、該本体部102とは別体で形成され前記本体部102に連結される弾発部104とから弁体106を構成している点で、第1の実施の形態に係るチェック弁10と相違している。
【0061】
このチェック弁100を構成する弁体106は、環状の着座部68を有する本体部102と、前記本体部102の膨出部108に形成された嵌合穴110に嵌合される弾発部104とを備え、前記弾発部104は、該弾発部104の中央に設けられ嵌合穴110に嵌合される嵌合部112と、該嵌合部112の外周面から半径外方向に拡径したスカート部64と、前記スカート部64の外縁部に形成された脚部66とを備える。
【0062】
嵌合穴110は、膨出部108の端面から所定深さで形成され、該嵌合穴110に対して略同一径又は若干だけ大径で形成された軸状の嵌合部112が挿入されることで本体部102に対して弾発部104が一体的に連結される。
【0063】
そして、第1ボディ14に供給された圧力流体によって弁体106の本体部102が第2ボディ18側へと押圧され、該本体部102が弾発部104の弾発力に抗して弁座面46から離間する方向に移動することで、第1ボディ14の第1及び第2流路34、40と第2ボディ18の第3流路54とが連通室42を通じて連通する。
【0064】
以上のように、第2の実施の形態では、弁体106を本体部102と弾発部104とからそれぞれ別個に形成し、互いに組み合わせる構成とすることで、前記本体部102及び弾発部104を一体で形成する場合と比較し、その製造が容易となり、それに伴って、製造コストの削減を図ることが可能となり、安価なチェック弁100を製造することができる。また、弁体106において、本体部102と弾発部104とを別個の構成とすることで、前記本体部102と弾発部104とを異なる材質で形成することが可能となるため、例えば、流通する圧力流体の種類に応じて材質を変更することが容易となる。
【0065】
次に、第3の実施の形態に係るチェック弁150を図7に示す。なお、上述した第2の実施の形態に係るチェック弁100と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0066】
この第3の実施の形態に係るチェック弁150では、図7に示されるように、第1ボディ14の第1連結部26と、第2ボディ154の第2連結部156との連結を行う際、互いを螺合させるだけではなく、緩み止め防止機構152を用いて連結している点で、第2の実施の形態に係るチェック弁100と相違している。
【0067】
このチェック弁150に用いられる緩み止め防止機構152は、第2ボディ154の第2連結部156の外周面から内周側に向かって貫通した貫通孔158と、前記貫通孔158に挿入され第1ボディ14の雄ねじ部38に係合される係止ピン160と、前記貫通孔158に圧入され前記係止ピン160の脱落を防止する封止ボール162とを含む。
【0068】
貫通孔158は、第1ボディ14と第2ボディ154とを連結した際、第1連結部26における雄ねじ部38の谷部に臨む位置に形成され、前記貫通孔158には、第2ボディ154の外周側から係止ピン160が挿入されると共に、該係止ピン160の外周側に封止ボール162が圧入される。
【0069】
係止ピン160は、例えば、金属製材料から略一定径の軸状に形成され、その先端は雄ねじ部38の谷部に対応した形状で形成される。封止ボール162は、例えば、樹脂製材料から形成され、貫通孔158の内周径に対して若干だけ大きな直径で形成される。
【0070】
そして、第1ボディ14の第1連結部26と第2ボディ154の第2連結部156とを互いに螺合させて連結した後、前記第2連結部156の外周側から貫通孔158に対して係止ピン160を挿入し、その先端を第1ボディ14における雄ねじ部38に係合させると共に、前記貫通孔158に対して封止ボール162を圧入する。なお、封止ボール162は、貫通孔158の端面から突出することがないように挿入される。
【0071】
このように、第3の実施の形態では、第1連結部26の雄ねじ部38と第2連結部156の雌ねじ部56とを螺合させることで第1ボディ14と第2ボディ154とを連結した後、前記第2連結部156に形成された貫通孔158に係止ピン160を挿入し、第1連結部26に対して係合させることで、前記第1連結部26と第2連結部156との軸方向(矢印A、B方向)への相対変位を確実に阻止することができる。その結果、例えば、チェック弁150を振動等の生じる環境下で用いる場合でも、第1ボディ14と第2ボディ154との連結が緩んでしまうことが緩み止め防止機構152によって確実に防止され、前記チェック弁150を安心して使用することができる。
【0072】
また、貫通孔158において、係止ピン160の外周側に封止ボール162を圧入することにより、前記貫通孔158における係止ピン160の変位が規制されるため、前記係止ピン160による第1ボディ14と第2ボディ154との係止状態が確実に維持できると共に、前記係止ピン160の貫通孔158からの脱落も確実に防止できる。さらに、貫通孔158に封止ボール162を圧入するという簡単な作業で確実に係止ピン160の移動、脱落を防止できるため好適である。
【0073】
なお、本発明に係るチェック弁は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0074】
10、100、150…チェック弁 14…第1ボディ
18、154…第2ボディ 20、106…弁体
22…ストッパ 24…第1継手部
26…第1連結部 34…第1流路
38…雄ねじ部 40…第2流路
42…連通室 44…ストッパ装着部
46…弁座面 50…第2継手部
52、156…第2連結部 54…第3流路
56…雌ねじ部 62、102…本体部
64…スカート部 66…脚部
68…着座部 72…第1孔部
78…第2孔部 104…弾発部
110…嵌合穴 112…嵌合部
152…緩み止め防止機構 158…貫通孔
160…係止ピン 162…封止ボール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力流体の供給される第1ポートを有する第1ボディと、
前記第1ボディに連結され、前記圧力流体の排出される第2ポートを有する第2ボディと、
前記第1及び第2ボディの内部に設けられ、前記圧力流体の流通する流路の連通状態を切り換える弁体と、
前記第1ボディに形成された弁座部側に向かって前記弁体を付勢し、該弁体を前記弁座部に着座させる弾発手段と、
を備え、
前記弾発手段は、前記第2ボディに保持される保持部と、前記保持部に接合され前記弁体を前記第2ボディから離間する方向に向かって付勢するシート状の弾発部とを有し、前記弾発部には、前記圧力流体の流通する孔部が形成されることを特徴とするチェック弁。
【請求項2】
請求項1記載のチェック弁において、
前記弾発部が、前記弁体と一体的に形成されることを特徴とするチェック弁。
【請求項3】
請求項1記載のチェック弁において、
前記弾発手段が、前記弁体とは別体で、該弁体に対して着脱自在に設けられることを特徴とするチェック弁。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のチェック弁において、
前記ボディ、前記弁体及び弾発部は、それぞれ樹脂製材料から形成されることを特徴とするチェック弁。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のチェック弁において、
前記第1ボディと前記第2ボディとは、それぞれに形成されたねじ部を互いに螺合させることにより連結され、前記ねじ部は台形ねじで形成されることを特徴とするチェック弁。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のチェック弁において、
前記第1ボディと第2ボディとの連結部位には、該第1及び第2ボディの軸線と直交方向に挿入され係合された係止ピンが設けられることを特徴とするチェック弁。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のチェック弁において、
前記第1ボディ又は第2ボディのいずれか一方の端部外周面には、半径外方向に突出した突起部が形成され、前記突起部を有した前記第1ボディ又は第2ボディのいずれか一方とは反対となる前記第2ボディ又は第1ボディには、前記端部の圧入される溝部が形成されることを特徴とするチェック弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−96553(P2013−96553A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242731(P2011−242731)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000102511)SMC株式会社 (344)
【Fターム(参考)】