チューブ車両、チューブネットワーク、個人交通システム、並びにその制御システム及び制御方法
本発明は、乗客及び貨物の新しい個人交通システムを提供し、このシステムには、乗客または貨物をドアツードアで運ぶ自家動力閉鎖チューブ車両からなるチューブ車両と、複数のチューブからなるチューブネットワークで、該チューブネットワークが既存のブロックまたは建物に結合され、各チューブが乗客または物品を運ぶ当該チューブ車両を支持及び/またはガイドする上部レール及び/または下部レールを備えるチューブネットワーク内のチューブネットワークが含まれる。本発明によれば2つの建物間のドアツードア輸送が可能である。他の交通システムと比較すると、この独創的なシステムの速度、ライン容量、安全性及び信頼性、災害耐久力、並びに心地よさは大幅に向上され、エネルギの消費、建造費、占有空間、運転経費、騒音及び視覚公害は著しく削減される。本発明の輸送システムは標準化された製造を行いやすく、設置、排除及び再利用が簡単である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通システムにおいて用いられるチューブ車両、交通システムにおいて用いられる閉鎖チューブネットワーク、当該車両及び当該チューブネットワークからなる交通システム、並びに当該交通システムにおいて用いられる制御システム及び方法に関する。本発明によれば、乗客または貨物のドアツードアの輸送のための「水平走行昇降機」と呼ばれる個人交通システムが実現される。
【背景技術】
【0002】
自動車や航空機が、一般的な交通機関となるにつれて、交通渋滞、事故、公害、エネルギ危機、及び急激な都市膨張が、次第に深刻な社会問題となってきている。関連分野の専門家の試算によれば、都市部における交通渋滞による経済的損失は、米ドルに換算して数千万ドルにも上り、毎年世界中で何十万もの人が交通事故で死亡しており、例えば大気汚染や騒音公害などの交通による公害、及び温室効果によりもたらされる氷河の溶け出しや海面上昇は人々の生活環境に対する深刻な脅威となっている。また、非常に急速な都市膨張は、これまでの土地資源及び淡水資源の一層の枯渇につながっている。このような問題を解決するために、例えば、バス高速交通(bus rapid transport)、軽量軌道交通(light rail transport)、地下鉄、及び都市間高速鉄道などの都市における公共の交通システムの開発といった解決策が提案されている。しかしながら、現行の公共の交通モードは、建設費の高さ、スピードの低さ、複雑な輸送、乗り心地の悪さ、及びドアツードアのサービスが提供されないなどの不利益を有しており、交通の個人化への新たな要求を満たすことができない。
【0003】
上記の問題を解決するために多くの技術的解決方法が提案されてきており、その典型的な例として、特許文献1、特許文献2、特許文献3、及び特許文献4、さらには特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9があり、これらは、スカイループ(SKYLOOP)、スカイカー(SKYCAR)、スカイトラン(SKYTRAN)、電子タクシー、及びその他の個人高速交通(PRT)システムを含む。しかしながら、これらの技術的解決方法は、次のような共通の問題を抱えている。これらはいずれも、複雑な構造を有し土地の占有率の高い、効率の悪い交差線やループ線(例えばクローバー型の交差線)及び「ねじりパン」状の線(例えば、駅への出入ラインのクリップ形状)のネットワークを利用している。通常は開放レールが用いられており、これは操作条件の悪化や、安全性の欠如、車両密度の低下につながる。水平方向に伸びる駅が用いられ、駅は車庫から切り離されている。都市間交通システムとの連結は不可能であり、ドアツードアの交通を行うことができない。概してコネクション型の集中制御による限定された規模と非柔軟性。一般に、コネクション型の集中制御及び固定的なライン反応制御技術が利用されており、途中で目的地を変更することができず、ネットワーク障害の際の迂回制御に対する反応が遅く、また少しでも市街地のレイアウトに変更があれば制御システムに全体的な調整が要求される。このように多くの不利益や欠点が存在するため、これらの技術的解決方法は市街の既存の道路には完全に対応できず、また機能面において互いに適合することができず、さらに都市間高速交通システムとシームレスに接続することができない。
【0004】
また、空気抵抗を克服して移動速度を速めるために、真空または低空気圧チューブ交通(ETT)技術が開発されている。しかしながら、この技術は人口密度や建築物密度の高い都市部では利用することができない。ところで、空気抵抗は、列車または車両が低速で走行する際のエネルギ消費においては重要ではない。これに関連して、低空気圧環境はコストが高くなるもののあまり価値がない。また、この技術は、チューブネットワークが複雑であり車両密度が高い場合の衝突防止に効果的な解決方法を提供することができない。したがって、この技術は都市内及び都市間交通の統合のための個人的な交通問題に対する好ましい解決方法ではない。また、この技術の高精度で重荷重のラインが要求する地質的な条件に合わせることも困難である。そして、閉鎖性でないチューブ壁面が低空気圧チューブ用に利用されるならば、材料の代替がほとんど起こらず建設費が高くつくが、閉鎖性のチューブ壁面では、景色を見るという乗客の要求にこたえることができない。このような問題により、真空または低空気圧チューブ交通(ETT)技術の適用が制限される。
【0005】
貨物チューブライン技術もまた、参照される既存の技術の1つである。この技術においては、走行のための力は空気圧差のみであり、貨物自体は動きを制御する能力はない。したがって、このチューブ交通技術によって貨物が分岐した待避線や2つのラインの合流地点を通過するときの貨物の安定した走行スピードを保つことが難しくなり、この技術は空気弁型待避線に入る際の貨物の衝突を防止することができない。したがって、この技術は、乗客輸送の安定性、安全性、及び快適性の条件を満たすことができない。
【0006】
昇降技術は、都市部の高層ビルでは広く利用されており、これもまた、参照される既存の技術の1つである。通常の高速エレベータは、完全に閉鎖した車両を用い、乗客の命令の受付及び予約並びに車両移動の自動制御を実現する自動制御回路を利用する。電気駆動の鋼索ウィンチ昇降システムにより、車両の自動上下移動を実現することができる。しかし、既存の昇降技術は全て、車両を水平方向に移動させたり、走行経路を変更して移動したりすることはできない。
【特許文献1】中国公開特許第1173851号明細書
【特許文献2】中国公開特許第1429726号明細書
【特許文献3】中国公開特許第1483621号明細書
【特許文献4】中国登録実用新案第2585799号明細書
【特許文献5】米国登録特許第4018410号明細書
【特許文献6】米国登録特許第4630961号明細書
【特許文献7】米国登録特許第4841871号明細書
【特許文献8】米国登録特許第5720363号明細書
【特許文献9】米国再審査登録特許第6318274号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
概して、現時点において、全体的に統合されたドアツードアの個人輸送についての完全な解決方法は存在しない。
【0008】
先行技術の欠点と個別の公共交通システムの要求の増加を考慮して、本発明は提案される。本発明の目的は、「水平走行昇降機」と呼ばれる新しい個人向け交通システムと、このシステムで使われるコンポーネントと、交通システムを制御する制御システムと制御方法を提供する。この交通システムは、異なる建物間のドアツードアの輸送を提供できる。
【0009】
この記述では、本発明の個人向け交通システムは「水平走行昇降機(horizontal−running elevator)」と呼ばれている。なぜなら、このシステムは水平走行法で走行しているが、システムの環境がしばしば密閉され、窓がない不透明体なエレベータの内部に似ているからである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある態様によると、個人交通システムにおいて使用されるチューブ車両が提供される。このチューブ車両は乗客または貨物を輸送する自家動力車両を含む。そこでその車両は個人交通システムによって使われたチューブネットワークの各々を提供する上部レール及び/または下部レールによって支持され、またはガイドされる。
【0011】
本発明の別の態様によると、個人交通システムのチューブネットワークが提供される。このチューブネットワークはチューブを複数含む。このチューブネットワークは既存のブロックまたは建物と結合され、チューブネットワークの各チューブは、乗客または貨物を輸送するチューブ車両をガイドするための上部レール及び/または下部レールを提供される。
【0012】
本発明の別の態様によると、「水平走行昇降機」と呼ばれる個人交通システムが提供され、本発明にかかる複数の車両と、本発明にかかるチューブネットワークを備えており、前記車両がチューブネットワークを走行する。
【0013】
本発明の別の態様によると、「水平走行昇降機」と呼ばれる個人交通システムが提供され、該システムは、乗客または貨物をドアツードアで輸送する自家動力車両を含むチューブ車両と、複数のチューブを含み、チューブネットワークを備えており、該チューブネットワークは、乗客または貨物を運ぶチューブ車両を支持し及び/またはガイドするための上部レール及び/または下部レールに設けられた、チューブネットワークの各チューブで既存のブロックまたは建物と結合される。
【0014】
本発明の他の面において、本発明で「水平走行昇降機」と呼ばれる個人交通システムの制御のための制御システムが提供される。これらは各駅に複数提供されたコンピュータ、2つのラインの各合流地点、自身のIPアドレスを持ち、及びインターネットを通じて他のコンピュータと交信する各コンピュータを備えている各車両を含み、駅の各コンピュータは各駅の空車情報と、対応できる空車情報の要求を選択し制御し、車両の出入りの運営を統制する。すなわち、合流地点にある各コンピュータは関連するチューブの車両走行に関する情報を選択し運営するために使われ、車両の衝突を避けるための運営領域を伴った車両スピードの監視と制御に用いられる。そして、各チューブ車両のコンピュータは車両の走行を制御するのと同様にチューブ内の車両の走行に関して情報を選択し、運営する
【0015】
本発明の別の態様によると、以下のステップを含む、本発明における「水平走行昇降機」と呼ばれる個人交通システムの制御方法が提供される。車両走行中に、乗客によって車載用コンピュータにインプットされた目的駅の変更情報もしばしば検出し、もし「はい(yes)」ならば、車載用コンピュータはチューブネットワークの他のコンピュータに走行コースの変更を交信する。
【0016】
上記から、この発明は2つの建物間の水平方向での、人間または貨物のドアツードアの個人輸送を達成できる。他の交通システムと比較すると、この独創的なシステムはドアツードアの完全自動輸送を達成するためにトンネルタイプのチューブを利用しており、その速度、ライン容量、安全性及び信頼性、災害耐久力、並びに心地よさは大幅に向上されており、一方、エネルギの消費、建造費、占有空間、運転経費、騒音及び視覚公害は著しく削減されている。その上、この発明の交通システムは規格化した製造と、素早い配置と、移転と再利用が簡単である。
【0017】
図面と本発明のその他の効果は、図面の添付とともに、以下の実施例の詳細な記述をより明確に理解されるが、この実施例に限定されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明にかかる交通システム及びその動作の要素についての具体的な実施形態は、以下の詳細な説明により、添付の図面とあわせて、一層はっきりと理解される。
【0019】
図1を参照すると、本発明の実施形態にかかるチューブネットワーク1は、都市内の既存のブロックや建築物と結合した多くのチューブ2を含む。上部及び/または下部レールは、乗客または貨物を輸送する車両をガイドするチューブのそれぞれに配される。本実施形態では、チューブネットワークは、単一レイヤーまたはマルチレイヤーに配列された多数のチューブからなってもよい。各チューブレイヤーはループ型であって、車両が単一方向にのみ走行できる。チューブネットワーク1が、それぞれのレイヤー内で車両が一方方向に走行するようガイドするよう設計された2つの重畳するチューブレイヤーを含むように設計される場合、通常、下部レイヤーチューブ2を移動する車両は上部レイヤーチューブ2の車両と反対方向に移動する。チューブネットワーク1が、2つ以上のチューブレイヤーを含むように設計される場合、それぞれのレイヤー内の車両は一方方向にガイドされるが、異なるレイヤーの車両は同一の方向に走行してもよいし、反対方向に走行してもよい。
【0020】
チューブ車両(不図示)は、その垂直リフト手段を用いることにより、上部及び下部レイヤー間の任意の中間駅3、通過駅、給油所、またはラインごとの車庫4での切り替えを実現し、これにより人口密度の高い地域において、密度が高いものの占有面積を低くすることができる
【0021】
各チューブレイヤーは、複数の標準直線チューブ6及び湾曲チューブ6’からなり、都市内部の既存の道路上の空間に配されてよい。すなわち、道端に支柱を据え付けることにより、X字型ライン交差5、N字型ライン交差5’、もしくはA字型ライン交差、または出入ループライン12を形成することができる。各チューブレイヤーは、市内の既存のブロック7にそって配置されており、その方向または形状は、このブロックに沿ったものとなっている。
【0022】
駅3は、車両をつるして巡回させるための1以上の可動梁を有する三次元(3D)車庫の一部であってもよい。この駅は、既存の建築物8に建築物8が駅3を取り込むことなく直接接続してもよい。しかし、必要があれば、建築物8は、全体的または部分的に駅3を取り込んでもよい。
【0023】
都市通常空気圧低速チューブ9は、圧力変換栓10を用いることにより、都市間低空気圧高速チューブ11にシームレスに接続される。これらの標準直線チューブ及び湾曲チューブは、1本のチューブが2本のブランチチューブにつながる分岐待避線または2本のブランチチューブが1本のチューブに併合される合流地点となる。
【0024】
合流地点においては、1対の左チューブガイドチャネルと1対の右チューブガイドチャネルが、左チューブを走行する車両が合流チューブに移動するときに1対の左チューブチャネルの左ガイドチャネルが車両をガイドするように、また右チューブを走行する車両が合流チューブに移動するときに1対の右チューブチャネルの右ガイドチャネルが車両をガイドするように、1対の合流チューブガイドチャネルに併合され、車両のレール変更のガイドを通過させるための開口部が合流領域に備えられている。
【0025】
分岐待避線においては、1本のチューブがラインの分岐待避線で2本のチューブに接続されており、このラインの分岐待避線において、当該1本のチューブを走行する車両が左チューブに移動するときに1対の左チューブチャネルの左ガイドチャネルが車両をガイドするように、また当該1本のチューブを走行する車両が右チューブに移動するときに1対の右チューブチャネルの右ガイドチャネルが車両をガイドするように、1対の当該1本のチューブのガイドチャネルが1対の左チューブガイドチャネルと1対の右チューブガイドチャネルに接続され、車両のレール変更のガイドを通過させるための開口部が分岐領域に備えられている。
【0026】
合流地点/分岐待避線を連続して用いることにより、チューブ車両はチューブネットワーク内の任意の点を通って目的駅に到達することができる。走行前に、乗客は交通システムの制御システムを介して、各合流地点を通過するチューブ車両の時間及び駅を予約することができる。それは、各合流地点を通過する時間とレール変更のガイドを操る操作を指定する乗客の先行予約の操作に基づく。すなわち、予約された走行コースが形成される。
【0027】
コンピュータの制御下で、車両は分岐待避線におけるレール変更の挿入型ガイドの操作を介して希望の方向を選択し、予約された走行コースにしたがって予定された目的地に到着する。コンピュータシステムの情報処理スピードが十分に速ければ、乗客は移動中に予約された走行コースを見直すことができ、乗客は移動中に目的地及び走行コースの動的な変更を行うことができる。車両は高速でチューブネットワークに入り、遅滞なくチューブに沿って走行し、減速して目的地に到達すると停止する。このようなチューブネットワークは、交差分岐や、ループや「ねじりパン」状の線を介した上部チューブ及び下部チューブ間の切り替えが必要ないため、標準化したライン部材の製造が簡単に実現できる。そのため、建設費を大幅に削減することができ、現場での建設手順が簡便になり、部材の再利用が可能となる。このようなチューブネットワークは、占有面積が小さく、シンプル外観で都市内部の既存のブロックや道路網によく合い、したがって、既存の建築物との統合が簡単であり、従来のどのような個人的な交通方法及び道具にくらべても実可能性が高いという利点を有する。
【0028】
このチューブネットワーク内のチューブ車両のスピードは、チューブ内の交通流量次第である。交通流量が多いと走行速度が速くなり、少ないと遅くなる。一般に、走行速度が速いものから順に以下のようになる。都市間低空気圧高速チューブ、通常空気圧低速メインチューブ、通常空気圧低速ブランチチューブ、及び通常空気圧低速ブランチサブチューブ。チューブ車両は、特定のチューブ内では同じ距離または同じ速度での移動を維持し、湾曲チューブ6’では走行速度を早くまたは遅くして異なるチューブ間での走行速度の変更を実現する。圧力変換栓10の数は、都市間低空気圧高速チューブ11及び通常空気圧低速メインチューブ14間の車両の交通流量によって決定される。交通流量が多いと栓10の数が増え、少ないと少なくなる。
【0029】
図2に示すように、このX字型ライン交差は以下のように建設される。例えば都市内の既存の道路の外側に、4つの出入り口ポイントa、b、c、dに支柱を設置し、湾曲ラインac及びbdは都市内の既存の道路上で点sに接線をなして接続される。上部レイヤー上の車両は、ポイントcまたはポイントdからポイントaまたはポイントbに走行してもよいし、下部レイヤー上の車両はポイントaまたはポイントbからポイントcまたはポイントdへと走行してもよい。当然ながら、上部レイヤーまたは下部レイヤー上の車両の走行方向は、別々に設定されてもよい。
【0030】
図3に示すように、このN字型ライン交差は以下のように建設される。例えば都市内の既存の道路の外側に、4つの出入り口ポイントa、b、c、dに支柱を設置し、支柱は湾曲ラインac及びbdの接点s’及びs”、並びに都市内の既存の道路のコーナーにも設置される。ポイントc及びbは接続されている。上部レイヤー上の車両はポイントcからポイントaもしくはポイントb、またはポイントdからポイントbに走行してもよく、下部レイヤー上の車両はポイントbからポイントcもしくはポイントd、またはポイントaからポイントcに走行してもよい。
【0031】
既存の道路の幅の平均がwのとき、X字型ライン交差の曲げ半径は、以下の通りとなる。
【数1】
占有面積が同じである場合、rxは四葉の曲げ半径0.25wの6.87倍になどしい。N字型ライン交差の曲げ半径は、以下の通りとなる
【数2】
占有面積が同じである場合、rnは四葉の曲げ半径0.25wの13.66倍になどしい。
【0032】
図4に示すように、このA字型ライン交差は以下のように建設される。例えば都市内の既存の道路の外側に、2つの出入り口ポイントb、cに支柱を設置し、湾曲ラインef及びegの接続点eに駅が設置される。上部レイヤー上の車両は、ポイントgからポイントeまたはポイントeからポイントfへと走行してもよく、下部レイヤー上の車両はポイントfからポイントeへまたはポイントeからポイントgへと走行してもよい。支柱をポイントeに設置し、新しいラインに接続してライン合流点を形成してもよい。
【0033】
出入駅における作業効率が同じとして、ラインの全長はクリップ型出入駅ラインに比べて50%以上も短縮でき、占有面積を50%以上も削減することができる。
【0034】
以下、図5を参照して、本発明にかかる層間構造壁と当該外壁面上にビデオ/オーディオ伝達手段及び電源供給手段としての太陽電池パネルとを有するチューブを明確に説明する。
【0035】
図5に示すように、層間構造壁を有するチューブは、外壁41と、内壁43と、充填レイヤー42と、接続梁42’とを備える。外壁41、内壁43、接続梁42’は、カーボンファイバまたはガラス鋼などの超軽量複合材料からなる。充填レイヤー42は、ポリウレタンなどの発泡材料からなる。外壁41、内壁43、接続梁42’、充填レイヤー42は、密接に接合されて一体化した部分を構成し、互いの応力を支持する。チューブ車両31をガイドするレール45は、内壁43の下部に配置されており、車両のレール変更ガイド52をガイドするレール44は内壁43の上部に配置されている。車両31は、自己運動性と駆動ブレーキ36に依存してレール上を走行し、均一な加速と安定性を保証する。
【0036】
各レイヤーに配置されたチューブは、強化部材によりT字型構造に連結されてもよく、あるいは2つのレイヤー内のチューブが一体化した部分に結合されてもよく、これにより、さらにその機械的性能を向上させ材料コストを節約することができる。
【0037】
層間構造壁を有するチューブは、通常空気圧低速チューブ及び低空気圧高速チューブとして用いることができる。層間構造壁に充填される発泡材料は、チューブ内のチューブ車両の動作による騒音と熱伝導効率とを効果的に低減することができるピンホールを無数に有している。好ましくは、通常空気圧低速チューブの断面は垂直方向に楕円または卵形であるが、必要ならばどのような形状をしていても利用可能である。低空気圧高速チューブの断面は、偏向抵抗性能、圧縮抵抗性能、及びねじれ抵抗性能を高めることができる円形であることが好ましい。
【0038】
このようなチューブは、特別な引出押出成形手段を直接用いて従来の引出押出成形過程を適用することにより現場で成型することができる。工場で別々のセクションとして準備することもでき、各セクションの端部はほぞ穴及びほぞ接合構造または溶接などの連結構造を形成するように設計されている。そして、各セクションの組立、接合、接着、ねじり及び封止が現場で行われる。そして、軽量発泡材料をチューブ壁の中空空間に充填して完成する。解体の際には、ジョイント接合剤を溶剤で溶解し、チューブジョイントを切断し、新たなジョイントをチューブの間に形成してチューブを再利用することができる。
【0039】
ビデオ/オーディオ信号伝達手段は、通常空気圧低速チューブの外壁41に設けられてもよい。ビデオ/オーディオ信号伝達手段は、ビデオ/オーディオ信号収集手段とデジタル情報符号化伝達手段とを備えてもよい。ビデオ/オーディオ信号収集手段は、外壁41の外表面に設置された複数のカメラ/音声ピックアップ手段46を備えてもよい。デジタル情報符号化伝達手段は、1以上のコンピュータを備えてもよい。それは例えば情報処理コンピュータ、光ファイバ網、チューブ内に設置された無線信号送受信手段などである。したがって、別のデジタル情報符号化伝達手段とビデオ/オーディオ信号復号化再生手段とを備える別のビデオ/オーディオ信号伝達手段が、車両内に設けられてもよい。別のデジタル情報符号化伝達手段は、車両内に設置される無線信号送受信手段を備えてもよい。ビデオ/オーディオ信号復号化再生手段は、車両内に設置される再生手段、例えば市販されている車載用マルチメディア機器などを備えてもよい。外壁のビデオ/オーディオ信号伝達手段は、ビデオ/オーディオ信号を収集し、信号を車両内のビデオ/オーディオ信号伝達手段に送信してもよい。その後、信号はビデオ/オーディオ信号復号化再生手段により復号化され、車両内の乗客に向けて再生される。
【0040】
図5に示すように、外壁41に所定の間隔でカメラ/ピックアップ手段46が設置されている。各手段46は、それぞれ位置コードを有している。通常空気圧低速チューブ外のビデオ/オーディオ信号が手段46により収集されて、情報処理コンピュータにより符号化され、光ファイバ網とチューブ内の送受信手段によりチューブへ再生される。チューブ内を走行する車両31は、手段46を通過する際にそれぞれの手段46の位置コードを有するデジタルビデオ/オーディオ信号を受信する。この信号は車両内のビデオ/オーディオ信号復号化再生手段の車載用コンピュータによって復号化され、車両内の乗客が視聴できるようにビデオ/オーディオ信号復号化再生手段35(例:内部車両壁及びスピーカー内臓のディスプレイフィルムまたは大型液晶スクリーン)により映像と音声に戻される。車両31がチューブ内を走行するとき、チューブネットワーク上のあらゆる位置で収集されたビデオ/オーディオ信号を受信再生することができ、完全に透明なチューブと完全に開放された音により、乗客はその視聴覚神経の保持効果によって、リアルな環境にいるかのような感覚を持つ。
【0041】
図6に示すように、層間壁を有する2本のチューブを備えるダブルレイヤーチューブが重畳して、外壁41、内壁43、充填レイヤー42、接続梁42’からなる一体化した部分を形成し、チューブ全体の垂直方向の剛軟度を高め、さらに同一条件下での組み立てスパンを延長し、市内の既存のブロック及び建築物の配置により適合したものとする。上部及び下部レイヤーの車両31は、それぞれのチューブ内を反対方向に走行する。ここで、車両31は、同じ手段46とデジタル情報符号化伝達手段(不図示)を共有する。
【0042】
図7に示すように、層間構造壁を有するチューブは、支柱48に支持されて標準直線チューブ6及び湾曲チューブ6’にしっかりと接合される。そして、車両31は、チューブのレール44と支持用のレール45との間の接合領域を確実に走行することができる。
【0043】
図8に示すように、マルチレイヤーの層間構造壁を有するチューブは、強化接合プレート49により接合され、支柱48にしっかりと接続されて、耐震性、防風性、海震防止性、洪水防止性、土石流防止性などを備えた柔軟構造を形成する。
【0044】
次に、図9を参照してチューブ外壁に設けられた太陽電池パネルを説明する。太陽電池パネルは、水平走行交通システムに独立した電源供給を行うために設けられ、太陽電池パネルと、蓄電手段と、電力伝送手段とを備える。図9に示すように、太陽電池パネル47の外壁41の外表面に設置されており、太陽エネルギを収集して太陽(光)エネルギを電気エネルギに変換する。蓄電手段は、例えば外壁41と内壁43との間またはその他の電気エネルギの蓄積に適切な位置など、任意の位置に配してよく、太陽電池パネル47により太陽エネルギがない場合でも交通システム全体が安定して電力の供給を受けられるようにする。電力伝送手段は、電力伝送ラインと変圧器と充電手段とを含み、チューブに沿って配されてよく、どの駅でもチューブ車両に搭載した蓄電部に充電することができる。このように、太陽電力供給により、交通システム全体で外部システムからは完全に独立した再生可能なクリーンエネルギを利用することができるようになる。
【0045】
当然ながら、太陽電力供給は当該分野におけるその他のいずれの電源供給手段に置き換えられてもよく、例えば、電気エネルギまたは先行技術において用いられる燃料による熱エネルギを用いてもよい。
【0046】
以下に、図10から図15を参照して、ピストン効果を生じさせることのできる、本発明にかかる通常空気圧低速チューブ内を走行するチューブ車両について記述する。各車両は、レール変更用挿入型ガイドを有する。
【0047】
図10に示すように、電気チューブ車両31は、自己搭載モータ(不図示)で動く駆動/荷重ホイールによって駆動することができ、レール上を前後に走行することができる。その外郭セクションは、車両31が走行する通常空気圧低速チューブの内部セクションに類似である。気密リング51は、車両外郭の周囲表面の断面にそって固定されている。そのため、走行環境は安全であり、走行スピード及び車両密度が向上される。衝撃吸収筐体56は、それぞれ、車両31の筐体の前端及び後端に固定されている。通常空気圧低速チューブ内の隣接する2つの車両31間の距離が急速に狭くなると、この2つの車両31間の空気圧が急に上昇して気密リング51で車両31と通常空気圧低速チューブの内壁43との間のスリットを覆う。この場合、この2つの車両は、通常空気圧低速チューブ内のピストンとして機能し、この2つの車両の間から漏れることのできない空気が「空気バネ」となって、交通事故(後端または集中)が起こったときに生じる急激な衝突の衝撃力を低減し、これによって車両の安全な走行を確保する。2つの通常空気圧低速チューブが1つの通常空気圧低速チューブとなることによりこの2つの車両に衝突が起きそうなときには、この2つの車両の間の空気がまず圧縮されて気密リング51の妨害によりもれなくなる。すなわち、気密リング51が、「ピストン効果」をもたらす。これにより、さらに空気膨張力が生じ、この2つの車両を反対方向に動かして衝突スピードを急激に低減させる。この2つの車両31が低速で互いに近づくときは、衝撃吸収手段(耐衝撃・衝撃吸収筐体56)により、この車両の固い筐体が受個別に受けるその衝突衝撃力はさらに低減され、この車両の荷重ホイールにより通常空気圧低速チューブに伝達される。一方、チューブ車両は、多くの場合、このチューブの同じ走行方向の連続的な気流を作り出すために、ピストン効果を生じさせることのできるこの車両の駆動力により通常空気圧低速チューブの1つの方向に走行できる。この気流は同一の方向に走行する車両とともに流れて、効果的に車両を妨げる対向する空気抵抗を低減する。そのため、気流は時速180キロまで車両の走行スピードを上げるのを助ける一方、エネルギの消費を削減する。さらに、気流は、チューブの位置における空調手段を設定するよう、通常空気圧低速チューブ及び車両内の空調循環を効果的に形成する。
【0048】
加えて、気流は、チューブ内の車両を実質的に均一なスピードで走行するよる傾向を持つようにさせることができる。この場合、車両のひとつが障害によって自己駆動できない場合でも、気流の駆動力により通過駅またサービスステーションへ前進することになる。これにより、システム全体が停止することを回避することができる。
【0049】
さらに、チューブの適切な位置に、従来の流体ジェット技術を用いて空気開放バルブ及び空気吸入バルブを配してもよい。空気開放バルブ及び空気吸入バルブにより、閉鎖チューブ内の気流を調整して、チューブ内の車両の走行スピード及び位置をさらに調整してもよい。バルブは、機械的に制御されてもよい。チューブのコンピュータシステムが誤動作を起こしても、車両は安全に走行することができる。
【0050】
図11に示すように、本発明にかかるチューブ車両31に、1つから2つの座席53が配されている。車両は、好ましくは不透明で窓を有さない。車両のドアは、左右または中央に向かってスライドすることにより開閉する。汚物を処理する水を使用しない処理システムを座席53の下に設置することができる。座席53は、電気機械手段55によって自動的に寝台に伸ばすことができる。各車両の乗客の数は、乗客の個人的な要求に合わせることができ、かつ空荷要因を減少させることができる程度に少ないことが好ましい。システム全体の実用価値を固めるために、車両の出発密度と走行スピードを高めることが必要である。この場合、高速高密度の走行用に、分岐待避線のレール変更ガイド及び合流地点の衝突防止スイッチを特別に設計する必要がある。
【0051】
本発明の実施形態によれば、挿入型レール変更ガイドをチューブ車両に取り付けて、分岐待避線を通過するときに左右のラインの切り替えを実現する。図12に示すように、挿入型レール変更ガイドは車両が走行中にラインをすばやく切り替えることができるようにする電気機械的手段である。この電気機械的手段は、垂直ホイールアセンブリ61と、水平ホイールアセンブリ62と、不均衡切り替えユニット63と、接合プレート69と、3本のチューブ内でそれぞれ分岐待避線にある3対のレールガイドチャネル64とを備える。垂直ホイールアセンブリ61は、水平ホイールアセンブリ62の前領域または後領域に固定されており、不均衡切り替えユニット63によって制御される。垂直ホイールアセンブリの左側ホイール61’及び右側ホイール61”は、交互に対外に平行に上下に動くことができ、各チューブにおけるレール44の左側チャネル64または左側チャネル64’に挿入する。ガイドチャネルの制限及びガイドの下で、垂直ホイールアセンブリ61は、レール変更ガイド52及び車両31をポイントcから、直線ラインに沿ってポイントaあるいは湾曲ラインに沿ってポイントbへ前進させることができる。水平ホイールアセンブリ62は、レール44の両側の壁にもたせかけている前部及び後部ホイールアセンブリの間に固定されており、車両31に左右の均衡力を与える。ここでは、水平ホイールアセンブリ62を、磁石アセンブリや緊張及び開放手段など、他のアセンブリに置き換えてもよい。
【0052】
本発明の別の実施形態によれば、図13に示すように、挿入型レール変更ガイドは、以下のように修正を加えてもよい。挿入型レール変更ガイドは、後部挿入ホイールアセンブリ60と、前部挿入ホイールアセンブリ60’と、垂直ホイールアセンブリ61と、水平ホイールアセンブリ62と、不均衡切り替えユニット63と、電磁石63’と、接合プレート69と、3本のチューブ内でそれぞれ分岐待避線にある3本のレール44の3対のガイドチャネル64とを備える。挿入ホイールアセンブリ60及び60’は、挿入型レール変更ガイドの前部及び後部に固定されており、インターリンクレバー65及び不均衡切り替えユニット63により接合されている。電磁石63’がアーマチャからの引力により上下に運動すると、インターリンクレバー65によって後部挿入ホイールアセンブリ60及び前部挿入ホイールアセンブリ60’もそれぞれ平行に交互に上下に運動することになる。
【0053】
図14〜図16に示すように、後部挿入ホイールアセンブリ60及び前部挿入ホイールアセンブリ60’は、上下に運動することができる。後部挿入ホイールアセンブリ60が下に運動し前部挿入ホイールアセンブリ60’が上に運動する場合、前部及び後部挿入ホイールアセンブリのホイールはレールの左ガイドチャネル64に挿入され、右ガイドチャネル64’からは離れる。その結果、左ガイドチャネル64のガイドの下で、レール変更ガイドは車両31をポイントiからポイントAへ前方に進める。同様に、後部挿入ホイールアセンブリ60が上に運動し前部挿入ホイールアセンブリ60’が下に運動する場合、レール変更ガイドは車両31をポイントjからポイントbへ前進させる。不均衡切り替えユニット63は、電磁石63’と、このインターリンクレバーの2つのサブインターリンクレバー間にあるバネとを備える。2つのインターリンクレバーはバネからの力によって均衡を失った状態にあり、したがって、これらは、挿入ホイールアセンブリが磁石の障害のために中央に来ることがないようにして、レールガイドチャネル64及び64’の間に位置する挿入ホイールアセンブリによって引き起こされる危険を防止するように、上部または下部の安定した位置に配されなければならない。
【0054】
接合プレート69の上部端部にある垂直ホイールアセンブリ61は、レール44の内部端部に押し付けられてこの垂直方向の運動の目的として駆動力を車両31に伝達する。その一方、垂直ホイールアセンブリ61もまた、車両の水平動作用のモータの駆動下において垂直方向の運動を車両31に駆動力を伝達する。接合プレート69の上部端部に配された水平ホイールアセンブリ62は、レール44の両方の壁に押し付けられて車両31の運動用の左右の均衡力を与える。
【0055】
上述のように、このようなレール変更ガイドは、構造的に簡単であり、応答性がよく、性能が安定しており、耐久性が高く、建設費が安く、チューブ車両が曲がるときに生じる遠心力を効果的に克服して高速な車両走行の安定性を確保することができる。
【0056】
本発明によれば、合流地点衝突防止切り替えユニットは、好ましくは各ライン合流地点に設置されている。このような合流地点衝突防止切り替えユニットは、1以上の圧力印加手段と、1以上の圧力伝達手段と、減衰手段とを備える機械的構造であってもよく、合流地点の分岐レールの近くに配することができる。衝突防止の実施形態を図17に示す。図17に示すように、衝突防止切り替えユニットは、2つの圧力印加手段66及び66’と、2つの拡張リング68及び68’とを備え、これらは2つの油圧式(または空気圧式)チューブ67及び67’に接続されている。これらの油圧式(空気圧式)チューブ67及び67’には、圧力伝達液体(または気体)が充填されている。この圧力印加手段66及び66’は、合流地点の両側の入り口の下で固定されており、この拡張リング68及び68’は車両31及び31’の外壁に合うようにチューブの内壁に配されている。車両31が最初に例えば右チューブ到着すると、この車両31の重力は圧力を右チューブの圧力印加手段66に加える。このような圧力は左チューブの拡張リング68へ伝達されて、油圧式(または空気圧式)チューブ67の圧力伝達液体(または気体)を介してリング68を拡張させ、左チューブの車両31’の気密リング51でブロック空間を形成して、この空間内の圧縮空気の反撃力により車両31’の前進走行スピードを抑える。車両31がこの圧力印加手段66を完全に通りすぎると、油圧式(または空気圧式)チューブ67の圧力は開放され、車両31’はもともとの前進走行スピードにもどる。このとき、車両31はこの合流地点を通過し、したがってこの2つの車両が右チューブと左チューブとから同時に合流地点に到着する場合に衝突が回避される。車両31の重力により圧力印加手段66に圧力が加わると、この圧力が圧力印加手段66’の安全弁(不図示)を開き、車両31’は圧力印加手段66’に圧力を加えることが出来なくなるため、車両31の前進走行スピードに影響を与えることがない。
【0057】
同様に、車両31’がまず左チューブに到着する場合、その重力により右チューブの車両31の前進走行スピードが落ちて、この2つの車両31及び31’が同時に合流地点も到着する場合に衝突が回避される。
【0058】
図18〜図19を参照して、低空気圧高速チューブと通常空気圧低速チューブとをシームレスに接合する圧力変換栓、及び浮遊「オーバーシュー」手段によりチューブ車両が走行する低空気圧高速チューブについて説明する。
【0059】
図18〜図19に示すように、車両31は高速で低空気圧超軽量高速チューブ11内を走行することができる浮遊「オーバーシュー」(overshoe)手段81にロードすることができる。浮遊オーバーシュー手段81の最大断面積は、チューブ11の上部空間の30%〜60%、好ましくは40%よりも小さく、チューブ11内の空気圧は非常に低位ことが望ましく、例えば0.1気圧より低いことが好ましい。浮遊「オーバーシュー」手段81は、浮遊電源トレーと、オーバーシュードア82と、気流管理のための空気力学的な覆いとを備える「オーバーシュー」として設計されている。浮遊オーバーシュー手段81は、その内部に制御手段を有する。レール44’及び45’は浮遊電源トレー上に配されており、それぞれ通常空気圧低速チューブ内のレール44及び45に接続されている。このようにして、電気チューブ車両31はレール44及び45に沿って「オーバーシュー」手段81と合体することができ、「オーバーシュー」手段81と組み合わさって一体化した部分となる。この浮遊「オーバーシュー」手段81は、内部の制御手段によって制御され、低空気圧超軽量高速チューブ11の車両31とともに走行する。
【0060】
この低空気圧高速チューブは、真空高速チューブであってもよい。
【0061】
図20に示すように、通常空気圧低速チューブ9と低空気圧高速チューブ11とをシームレスに接合する圧力変換栓10は、それぞれ1つの浮遊「オーバーシュー」手段81を含む数個の気密キャビン86を有し、各気密キャビン86は1組の空気圧降圧/昇圧手段(不図示)と、両側に気密ドア85’及び85”を有する。これらの気密キャビン86は全て、チェーン循環手段(不図示)によりつながれており、この浮遊「オーバーシュー」手段が気密キャビン86を出入りするようにチェーンの周囲を循環する。レール44’及び45’は、車両がこのような浮遊「オーバーシュー」手段内で水平方向に移動できるように浮遊「オーバーシュー」手段に配される。これらのレール44’及び45’は、車両31が浮遊「オーバーシュー」手段を出入りするように、通常空気圧低速チューブ内のレール44及び45と一致して合っている。各気密キャビン86は、レール84’を備えており、浮遊「オーバーシュー」手段がその内部で水平方向に移動できるようにしている。このレール84’は、浮遊「オーバーシュー」手段が気密キャビン86を出入りするように、低空気圧高速チューブ11に設置されたレール84に一致して合っている。圧力変換栓10は、通常空気圧低速チューブと低空気圧高速チューブとの間に配される。車両31は、圧力変換栓10により、通常空気圧低速チューブから低空気圧高速チューブへと自動的に走行することができる。その走行処理は以下の通りである。第1気密ドア85’が開くと、車両31は通常空気圧低速チューブ9から気密キャビン86内の浮遊「オーバーシュー」手段に向かって走行する。第1気密ドア85’が閉じると、気密キャビン86内の空気圧降圧/昇圧手段(不図示)はこのキャビン内の圧力を下げる。気密キャビン86内の圧力が低空気圧高速チューブ11内の圧力と等しくなると、第2気密ドア85”が開いて車両31と浮遊「オーバーシュー」手段とが自動的に気密キャビン86から低空気圧高速チューブ11へ走行する。逆に、車両31は、気密キャビン86を通って低空気圧チューブ11から通常空気圧低速チューブへ走行してもよい。
【0062】
浮遊モードはチューブ車両または「オーバーシュー」手段の走行モードの一例であることはいうまでもない。この車両または「オーバーシュー」手段は、磁気浮遊またはローラーモードでチューブ内を走行することができる。
【0063】
本発明にかかる車両の保管については、1以上の駅を有する三次元(3D)車庫が特に設計される。図21及び図22を参照して、以下の3D車庫の説明を参照されたい。
【0064】
図21〜図22に示すように、この3D車庫は1以上の駅を含み、水平走行昇降機への需要に合うように車両をつるして移動する1以上の可動梁を有する複数のブロック型のユニットモジュールを備える。とりわけ、3D車庫内には、出入り口ライン9と、1以上の出入駅と、少なくとも1つの車両車庫と、垂直循環レール93と、車両をつるして移動する水平吊梁94と、駆動装置92と、プラットフォーム支持プレート95と、歩行ブリッジ96と、駅制御コンピュータ(不図示)が備えられている。車庫の駅に接合され支持された歩行ブリッジ96が既存の建築物8のドア(単複)または窓(単複)に接続された後で建築物8がロードされていないとき、乗客は直接歩行ブリッジ96を介して車庫の駅と建築物8との間を出入りすることができる。車両31は、駆動装置91の駆動と水平吊梁94の動作により垂直循環レール93に沿って上下、左右、前後に移動することができる。このようにして、空き車両は、通システム全体に用いられるように現実の要求にしたがってコンピュータにより自動的に制御される。
【0065】
乗客を運ぶチューブ車両は、以下の動作にしたがってこの3D車庫に受け入れられて格納される(1)車両31が出入り口ライン9に入り、水平吊梁94の下を走行する。(2)駆動装置92により駆動されて、車両31は支持プレート95へと移動し、その結果、駅出入り口ライン9は他のチューブ車両が妨げられることなくライン9上を通常走行できるように空けられる。(3)チューブ車両31を降りた後、乗客は歩行ブリッジ96を通って建築物8に入り、その後支持プレート95は、空きチューブ車両が下に移動する通路を空けるために曲げられる。(4)水平吊梁94と駆動装置92とにより合わせて駆動されることにより、空きチューブ車両31は3D車両車庫に移動する。(5)空きの水平吊梁94及び駆動装置92は垂直循環レール93に沿って駅出入り口ライン9へと移動し、次の車両を駅に受け入れるためにレール44、45と一致して配置される。
【0066】
逆に、上記の(1)〜(5)の動作を逆の順序で行えば、チューブ車両を連続的に送り出すことができる。
【0067】
環境空間及び利用の要求にしたがって、出入駅は3D車両車庫上のどの階(単複)でも設置することができる。この3D車庫は、1本柱型、壁型、包囲型、回廊型、持ち上げキャビン型、床型、家庭用型、または建築物型など、さまざまなタイプに組み込まれている。すなわち、3D車庫は、1以上のレイヤーに設置することができる。3D車庫は、ライン上にあるいはラインから離して設置することもできる。ラインから離れて設置される場合、「A」型ライン交差を用いることができる。オフラインのマルチレイヤーの床型3D車庫は、20車両/秒の最大瞬間乗客/貨物フローで受け入れることができる。
【0068】
この3D車庫は、通過駅、給油所、またはライン対ラインの車両車庫としても設置することができ、それにより運転中特定車両に故障が起こった場合の一時停止、低下及び運転に用いられ、交通流量が高いラインに十分な空車両を待機させることができる。
【0069】
以下、本発明にかかる個人交通システムの制御システム及び制御方法を詳細に説明する。
【0070】
交通システムの制御システムは、相互接続に向いた集中型システムであってもよいし、相互接続に向かないインターネット分散型システムであってもよいし、その組み合わせであってもよい。本発明の実施形態によれば、各駅、ラインの各合流地点、及び各車両に備えられた多数のコンピュータを有する分散型システムが設けられる。各コンピュータは、それぞれIPアドレスを有し、各車両はそれぞれのID情報を有し、インターネットを介して他のコンピュータと以下のように通信を行う。(1)駅のコンピュータは、空車両の均衡を保つため、必要な格納された空車両に関する情報の収集と制御、また車両の駅からの出入りや乗客の車両からの昇降などの駅での運転を制御するために用いられる。(2)2つのラインの合流地点のコンピュータは、関連するチューブ内の車両の走行に関する情報の収集及び管理、また車両の衝突を防止するための車両のスピードの監視と制御に用いられる。(3)チューブ車両内のコンピュータは、車両の走行に関する情報の収集及び管理、また車両の走行の制御に用いられる。
【0071】
車両がラインの合流地点に近づいているかを検出するために、車両の実際の到着時間を検出する複数の検出手段がチューブネットワークのチューブにそって配される。各検出手段は、関連する合流地点のコンピュータに接続されている。したがって、検出手段からの検出信号は関連する合流地点のコンピュータに転送されることになる。合流地点のコンピュータは、実際の到着時間とプリオーダーされた到着時間との差を計算する。差があるときは、合流地点のコンピュータが車両内のコンピュータに通知することになる。その後、車両内のコンピュータは、車両が合流地点に時間通りに到着するようスピードを修正する。ここで、検出手段は、例えば、圧力センサ、車両内に設置される無線送受信手段、及び検出手段など、車両の到着時間を検出する適切なセンサであればどのようなものであってもよい。
【0072】
本発明の実施形態によれば、交通システムを制御する制御方法は、適切なコースの決定、プリオーダーされた目的地の変更、及び交通システムに関する統計データの取得に用いられる。
【0073】
本発明の制御方法と既存の技術の明らかな違いは、以下のようなものである。本発明の制御方法は分散管理の発想を取り入れており、出発地点から目的地までの車両の詳細な走行コースを指定せず、可能な走行コースを提供する。そして、車両は走行中に実際のライン状態にしたがって適切な走行コースを独立して選択する。ある意味では、このような制御方法は動的であり、接続に向かないTCP/IPプロトコルにおけるIPパッケージの伝送モードにも似ている。
【0074】
図24に示すように、本発明にかかる制御方法の一例を詳述する。この方法は以下のステップを含む。出発地点(またはオフ地点)から関連する目的地への可能なコースを含むテーブルを作成する(以下、「ODラインテーブル」と呼ぶ)。チューブネットワークの建設の最中または後において、全駅のコンピュータ間の相互通信が行われ、ルータを介してIPアドレスにより合流地点と車両とが設定される。その後、チューブ上の各コンピュータにおいて全ての関連する走行コースが設定され、後で利用するために表の形で保存される。チューブネットワークが用いられると、その制御方法は以下の通りとなる。(1)駅の乗客からの入力要求を受信し、空き車両を呼ぶ。乗客が駅のコンピュータを操作すると、コンピュータはまず駅に空き車両があるかどうかを判断する。もし「はい」であれば、次のステップに進む。もし「いいえ(no)」であれば、駅のコンピュータは必要な空き車両についての統計データを記録し、空き車両について情報を他の駅に送信して空き車両を探す。(2)乗客の要求を受け付ける。乗客は、空き車両に乗車すると、目的駅の情報を車両内のコンピュータに入力する。(3)利用できる可能な走行コースを全て検索する。車両内のコンピュータが目的駅の情報を受信しうると、ルータ及びIPアドレスを介して関連駅及び合流地点の関連コンピュータと通信して、関連コンピュータそれぞれに保存されたODラインテーブルから可能な走行コースを検索する。(4)利用可能なコースを計算する。車両内のコンピュータは、関連コンピュータから全てのプリオーダーマークを取得して、利用可能なコースを記録するテーブルを計算する。(5)適切な走行ラインを選択する。車両内のコンピュータは、到着時間の長さの順に利用可能なコースのランク付けを行い、最も必要走行時間の短いコースをプリオーダーされたものとして選択する。(6)プリオーダーコースを予約コースとしてマークする。プリオーダーコースが選択された後、コンピュータは、プリオーダーコース上の関連コンピュータが予約時間と駅をマークするよう、これらのコンピュータと通信する(予約時間は状態符号「1」でマークされる)。予約時間は他の車両が利用することはできない。(7)車両走行制御用制御プログラムを生成する。プリオーダーコースを選択した後、車両内のコンピュータは即座に各合流地点までの車両の走行距離と到着時間を判断する。そして、車両内のコンピュータは、レール変更ガイドやブレーキなどの動作など、車両の走行用のプログラムを決定する。(8)車両の走行を制御する。車両の走行用のプログラムが生成された後、車両内のコンピュータは、出発、加速、ターン、減速、停止などに関する制御信号を、レール変更ガイドや車両のブレーキなどのサーボ駆動装置に送信して車両の走行を制御する。(9)走行中に目的地の変更がなされたか否かを判定する。車両内のコンピュータは、走行中に乗客が目的地に関する情報の変更を入力したか否かを頻繁に確認する。「はい」であれば、(3)〜(8)のステップが繰り返され、「いいえ」であれば、車両は目的駅に向かって走行する。(10)目的駅に到着すると、乗客は車両から降りる。
【0075】
待機中の空き車両を制御する。乗客が車両から降りると、空き車両内のコンピュータは即座に近くの駅のコンピュータと自動的に通信を行う。車両内のコンピュータが、ある駅のコンピュータから送信された空き車両の要求情報を受信した後、ステップ(3)〜(8)が繰り返えされ、車両は空き車両が必要な駅に到着する。空き車両の制御は走行車両の制御に類似している。すなわち、空き車両は、車両とその空き車両を必要とする駅との間の最短時間のコースを通って空き車両を必要とする駅に到着することになる。
【0076】
要求される空き車両の統計データを取得する。チューブネットワーク上の各駅の各コンピュータは、車両の出発時間と駅に関する情報を、時間、日、週、月、3ヶ月、または1年などの定期的な間隔にしたがって、自動的に収集し、その情報を格納された空き車両の量に対するフィードバック制御の基礎として関連コンピュータに保存する。
【0077】
空き車両の利用率の統計データを取得する。各駅の各コンピュータは、その駅の空き車両の利用率を自動的に計算する。
【0078】
必要とされる空き車両の数を補正する。各駅の各コンピュータは、空き車両の利用率にしたがって必要とされる空き車両の数を補正し、待機中の空き車両の供給と車両に対する需要との均衡をとり、両者を近づける。すなわち、空き車両の分配を制御するためにフィードバック制御が採用される。
【0079】
インターネットの通信速度は駅を出発するチューブ車両の平均最大スピードよりも106倍速く、コンピュータは全て走行中にコース予約を行うことができるため、本発明は走行中に目的地を変更するに対して動的な予約サービスを提供し、従来の固定的なライン予約技術において走行中に目的地の変更ができないとい問題を解決する。
【0080】
インターネットの通信は、最大106倍と駅からの車両の出発率よりもずっと速いため、プリオーダーコースは、車両の走行中に車両内のコンピュータによって変更することができる。すなわち、本発明は車両走行中にプリオーダーコースを変更することができる動的な予約を提供し、これにより、予約が固定的で目的地を車両の走行中に変更することができないという先行技術の問題を解決する。
【0081】
チューブネットワークには「ボトルネック(neck of bottle)」がほとんど存在しないため、走行車両は動的な予約技術の支援によりその走行コースを調整して障害のあるラインを回避し、システム全体の走行安定性が向上する。同時に、チューブネットワークにより、より可能性のあるコースがチューブネットワーク内の任意の2つの駅の間で利用可能となる。したがって、走行効率をより高くすることがきできる。また、ネットワーク規模の拡大により、効率が幾何級数的に向上することとなり、自動的に均衡状態に到達する。
【0082】
分布制御システム及び方法は脱着可能なモジュール構造を採用しているため、制御システム全体のメインモードと基本データは、チューブネットワークの変さらにより大きく影響をうけることがなく、例えば都市開発によるネットワークの変さらにあわせることができる。したがって、このような制御システム及び方法は、実際にはより柔軟性を有するものである。
【0083】
図面に示す実施形態を参照して本発明の詳細を説明したが、本発明の範囲はこれらの実施形態に限定されるものではない。本発明の趣旨と原則内のあらゆる変更、修正、または等価物が本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明にしたがった都市のブロック及び建築物と結合したチューブネットワークの概略斜視図である。
【図2】本発明にしたがったX字型ライン交差の概略図である。
【図3】本発明にしたがったN字型ライン交差の概略図である。
【図4】本発明にしたがったA字型ライン交差の概略図である。
【図5】本発明にしたがった層間構造壁を有する完全に封鎖した通常空気圧低速チューブの概略斜視図である。
【図6】層間構造壁を有する2つの閉鎖した通常空気圧低速チューブダブルレイヤーの統合の設計図を示す概略断面図である。
【図7】層間構造壁を有するシングルレイヤー及びマルチレイヤーの完全に封鎖した通常空気圧低速チューブの概略斜視図である。
【図8】層間構造壁を有するシングルレイヤー及びマルチレイヤーの完全に封鎖した通常空気圧低速チューブの概略斜視図である。
【図9】壁型太陽電池パネルの概略斜視図である。
【図10】ピストン効果を生じさせることのできる電気チューブ車両の概略斜視図である。
【図11】チューブ車両の内部構造の概略斜視図である。
【図12】レールに挿入するための挿入型レール変更ガイドの概略切口斜視図である。
【図13】レールに挿入するための改良型挿入型レール変更ガイドの概略切口斜視図である。
【図14】他のレール変更ガイドの概略斜視図である。
【図15A】レール変更用挿入型ガイドの概略断面図である。
【図15B】他の挿入型レール変更ガイドの概略断面図である。
【図16A】レールに挿入された図14Aと14Bのレール変更用のガイドを示す概略図である。
【図16B】レールに挿入された図14Aと14Bのレール変更用のガイドを示す概略図である。
【図17】ラインの合流部分の衝突防止スイッチの概略斜視図である。
【図18】低空気圧超軽量高速チューブにおける浮遊「オーバーシュー」(overshoe)手段の概略断面図である。
【図19】低空気圧超軽量高速チューブにおける浮遊「オーバーシュー」手段の内部構造を示す概略図である。
【図20】通常空気圧低速チューブと低空気圧超軽量高速チューブをシームレスに接合するための圧力変換栓の構造を示す概略図である。
【図21】車庫で車両をつるして移動する1以上の可動梁を備えた三次元(3D)車庫の構造と原則を示す概略図である。
【図22】非直結マルチフロア駅に利用する車庫で車両をつるして移動する1以上の可動梁を備えた3D車庫の概略レイアウトである。
【図23】通過駅、給油所、またはラインごとの車庫を用いられる、車庫で車両をつるして移動する1以上の可動梁を備えた3D車庫の概略レイアウトである。
【図24】チューブネットワークのチューブ車両の走行を制御するフローチャートである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通システムにおいて用いられるチューブ車両、交通システムにおいて用いられる閉鎖チューブネットワーク、当該車両及び当該チューブネットワークからなる交通システム、並びに当該交通システムにおいて用いられる制御システム及び方法に関する。本発明によれば、乗客または貨物のドアツードアの輸送のための「水平走行昇降機」と呼ばれる個人交通システムが実現される。
【背景技術】
【0002】
自動車や航空機が、一般的な交通機関となるにつれて、交通渋滞、事故、公害、エネルギ危機、及び急激な都市膨張が、次第に深刻な社会問題となってきている。関連分野の専門家の試算によれば、都市部における交通渋滞による経済的損失は、米ドルに換算して数千万ドルにも上り、毎年世界中で何十万もの人が交通事故で死亡しており、例えば大気汚染や騒音公害などの交通による公害、及び温室効果によりもたらされる氷河の溶け出しや海面上昇は人々の生活環境に対する深刻な脅威となっている。また、非常に急速な都市膨張は、これまでの土地資源及び淡水資源の一層の枯渇につながっている。このような問題を解決するために、例えば、バス高速交通(bus rapid transport)、軽量軌道交通(light rail transport)、地下鉄、及び都市間高速鉄道などの都市における公共の交通システムの開発といった解決策が提案されている。しかしながら、現行の公共の交通モードは、建設費の高さ、スピードの低さ、複雑な輸送、乗り心地の悪さ、及びドアツードアのサービスが提供されないなどの不利益を有しており、交通の個人化への新たな要求を満たすことができない。
【0003】
上記の問題を解決するために多くの技術的解決方法が提案されてきており、その典型的な例として、特許文献1、特許文献2、特許文献3、及び特許文献4、さらには特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9があり、これらは、スカイループ(SKYLOOP)、スカイカー(SKYCAR)、スカイトラン(SKYTRAN)、電子タクシー、及びその他の個人高速交通(PRT)システムを含む。しかしながら、これらの技術的解決方法は、次のような共通の問題を抱えている。これらはいずれも、複雑な構造を有し土地の占有率の高い、効率の悪い交差線やループ線(例えばクローバー型の交差線)及び「ねじりパン」状の線(例えば、駅への出入ラインのクリップ形状)のネットワークを利用している。通常は開放レールが用いられており、これは操作条件の悪化や、安全性の欠如、車両密度の低下につながる。水平方向に伸びる駅が用いられ、駅は車庫から切り離されている。都市間交通システムとの連結は不可能であり、ドアツードアの交通を行うことができない。概してコネクション型の集中制御による限定された規模と非柔軟性。一般に、コネクション型の集中制御及び固定的なライン反応制御技術が利用されており、途中で目的地を変更することができず、ネットワーク障害の際の迂回制御に対する反応が遅く、また少しでも市街地のレイアウトに変更があれば制御システムに全体的な調整が要求される。このように多くの不利益や欠点が存在するため、これらの技術的解決方法は市街の既存の道路には完全に対応できず、また機能面において互いに適合することができず、さらに都市間高速交通システムとシームレスに接続することができない。
【0004】
また、空気抵抗を克服して移動速度を速めるために、真空または低空気圧チューブ交通(ETT)技術が開発されている。しかしながら、この技術は人口密度や建築物密度の高い都市部では利用することができない。ところで、空気抵抗は、列車または車両が低速で走行する際のエネルギ消費においては重要ではない。これに関連して、低空気圧環境はコストが高くなるもののあまり価値がない。また、この技術は、チューブネットワークが複雑であり車両密度が高い場合の衝突防止に効果的な解決方法を提供することができない。したがって、この技術は都市内及び都市間交通の統合のための個人的な交通問題に対する好ましい解決方法ではない。また、この技術の高精度で重荷重のラインが要求する地質的な条件に合わせることも困難である。そして、閉鎖性でないチューブ壁面が低空気圧チューブ用に利用されるならば、材料の代替がほとんど起こらず建設費が高くつくが、閉鎖性のチューブ壁面では、景色を見るという乗客の要求にこたえることができない。このような問題により、真空または低空気圧チューブ交通(ETT)技術の適用が制限される。
【0005】
貨物チューブライン技術もまた、参照される既存の技術の1つである。この技術においては、走行のための力は空気圧差のみであり、貨物自体は動きを制御する能力はない。したがって、このチューブ交通技術によって貨物が分岐した待避線や2つのラインの合流地点を通過するときの貨物の安定した走行スピードを保つことが難しくなり、この技術は空気弁型待避線に入る際の貨物の衝突を防止することができない。したがって、この技術は、乗客輸送の安定性、安全性、及び快適性の条件を満たすことができない。
【0006】
昇降技術は、都市部の高層ビルでは広く利用されており、これもまた、参照される既存の技術の1つである。通常の高速エレベータは、完全に閉鎖した車両を用い、乗客の命令の受付及び予約並びに車両移動の自動制御を実現する自動制御回路を利用する。電気駆動の鋼索ウィンチ昇降システムにより、車両の自動上下移動を実現することができる。しかし、既存の昇降技術は全て、車両を水平方向に移動させたり、走行経路を変更して移動したりすることはできない。
【特許文献1】中国公開特許第1173851号明細書
【特許文献2】中国公開特許第1429726号明細書
【特許文献3】中国公開特許第1483621号明細書
【特許文献4】中国登録実用新案第2585799号明細書
【特許文献5】米国登録特許第4018410号明細書
【特許文献6】米国登録特許第4630961号明細書
【特許文献7】米国登録特許第4841871号明細書
【特許文献8】米国登録特許第5720363号明細書
【特許文献9】米国再審査登録特許第6318274号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
概して、現時点において、全体的に統合されたドアツードアの個人輸送についての完全な解決方法は存在しない。
【0008】
先行技術の欠点と個別の公共交通システムの要求の増加を考慮して、本発明は提案される。本発明の目的は、「水平走行昇降機」と呼ばれる新しい個人向け交通システムと、このシステムで使われるコンポーネントと、交通システムを制御する制御システムと制御方法を提供する。この交通システムは、異なる建物間のドアツードアの輸送を提供できる。
【0009】
この記述では、本発明の個人向け交通システムは「水平走行昇降機(horizontal−running elevator)」と呼ばれている。なぜなら、このシステムは水平走行法で走行しているが、システムの環境がしばしば密閉され、窓がない不透明体なエレベータの内部に似ているからである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある態様によると、個人交通システムにおいて使用されるチューブ車両が提供される。このチューブ車両は乗客または貨物を輸送する自家動力車両を含む。そこでその車両は個人交通システムによって使われたチューブネットワークの各々を提供する上部レール及び/または下部レールによって支持され、またはガイドされる。
【0011】
本発明の別の態様によると、個人交通システムのチューブネットワークが提供される。このチューブネットワークはチューブを複数含む。このチューブネットワークは既存のブロックまたは建物と結合され、チューブネットワークの各チューブは、乗客または貨物を輸送するチューブ車両をガイドするための上部レール及び/または下部レールを提供される。
【0012】
本発明の別の態様によると、「水平走行昇降機」と呼ばれる個人交通システムが提供され、本発明にかかる複数の車両と、本発明にかかるチューブネットワークを備えており、前記車両がチューブネットワークを走行する。
【0013】
本発明の別の態様によると、「水平走行昇降機」と呼ばれる個人交通システムが提供され、該システムは、乗客または貨物をドアツードアで輸送する自家動力車両を含むチューブ車両と、複数のチューブを含み、チューブネットワークを備えており、該チューブネットワークは、乗客または貨物を運ぶチューブ車両を支持し及び/またはガイドするための上部レール及び/または下部レールに設けられた、チューブネットワークの各チューブで既存のブロックまたは建物と結合される。
【0014】
本発明の他の面において、本発明で「水平走行昇降機」と呼ばれる個人交通システムの制御のための制御システムが提供される。これらは各駅に複数提供されたコンピュータ、2つのラインの各合流地点、自身のIPアドレスを持ち、及びインターネットを通じて他のコンピュータと交信する各コンピュータを備えている各車両を含み、駅の各コンピュータは各駅の空車情報と、対応できる空車情報の要求を選択し制御し、車両の出入りの運営を統制する。すなわち、合流地点にある各コンピュータは関連するチューブの車両走行に関する情報を選択し運営するために使われ、車両の衝突を避けるための運営領域を伴った車両スピードの監視と制御に用いられる。そして、各チューブ車両のコンピュータは車両の走行を制御するのと同様にチューブ内の車両の走行に関して情報を選択し、運営する
【0015】
本発明の別の態様によると、以下のステップを含む、本発明における「水平走行昇降機」と呼ばれる個人交通システムの制御方法が提供される。車両走行中に、乗客によって車載用コンピュータにインプットされた目的駅の変更情報もしばしば検出し、もし「はい(yes)」ならば、車載用コンピュータはチューブネットワークの他のコンピュータに走行コースの変更を交信する。
【0016】
上記から、この発明は2つの建物間の水平方向での、人間または貨物のドアツードアの個人輸送を達成できる。他の交通システムと比較すると、この独創的なシステムはドアツードアの完全自動輸送を達成するためにトンネルタイプのチューブを利用しており、その速度、ライン容量、安全性及び信頼性、災害耐久力、並びに心地よさは大幅に向上されており、一方、エネルギの消費、建造費、占有空間、運転経費、騒音及び視覚公害は著しく削減されている。その上、この発明の交通システムは規格化した製造と、素早い配置と、移転と再利用が簡単である。
【0017】
図面と本発明のその他の効果は、図面の添付とともに、以下の実施例の詳細な記述をより明確に理解されるが、この実施例に限定されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明にかかる交通システム及びその動作の要素についての具体的な実施形態は、以下の詳細な説明により、添付の図面とあわせて、一層はっきりと理解される。
【0019】
図1を参照すると、本発明の実施形態にかかるチューブネットワーク1は、都市内の既存のブロックや建築物と結合した多くのチューブ2を含む。上部及び/または下部レールは、乗客または貨物を輸送する車両をガイドするチューブのそれぞれに配される。本実施形態では、チューブネットワークは、単一レイヤーまたはマルチレイヤーに配列された多数のチューブからなってもよい。各チューブレイヤーはループ型であって、車両が単一方向にのみ走行できる。チューブネットワーク1が、それぞれのレイヤー内で車両が一方方向に走行するようガイドするよう設計された2つの重畳するチューブレイヤーを含むように設計される場合、通常、下部レイヤーチューブ2を移動する車両は上部レイヤーチューブ2の車両と反対方向に移動する。チューブネットワーク1が、2つ以上のチューブレイヤーを含むように設計される場合、それぞれのレイヤー内の車両は一方方向にガイドされるが、異なるレイヤーの車両は同一の方向に走行してもよいし、反対方向に走行してもよい。
【0020】
チューブ車両(不図示)は、その垂直リフト手段を用いることにより、上部及び下部レイヤー間の任意の中間駅3、通過駅、給油所、またはラインごとの車庫4での切り替えを実現し、これにより人口密度の高い地域において、密度が高いものの占有面積を低くすることができる
【0021】
各チューブレイヤーは、複数の標準直線チューブ6及び湾曲チューブ6’からなり、都市内部の既存の道路上の空間に配されてよい。すなわち、道端に支柱を据え付けることにより、X字型ライン交差5、N字型ライン交差5’、もしくはA字型ライン交差、または出入ループライン12を形成することができる。各チューブレイヤーは、市内の既存のブロック7にそって配置されており、その方向または形状は、このブロックに沿ったものとなっている。
【0022】
駅3は、車両をつるして巡回させるための1以上の可動梁を有する三次元(3D)車庫の一部であってもよい。この駅は、既存の建築物8に建築物8が駅3を取り込むことなく直接接続してもよい。しかし、必要があれば、建築物8は、全体的または部分的に駅3を取り込んでもよい。
【0023】
都市通常空気圧低速チューブ9は、圧力変換栓10を用いることにより、都市間低空気圧高速チューブ11にシームレスに接続される。これらの標準直線チューブ及び湾曲チューブは、1本のチューブが2本のブランチチューブにつながる分岐待避線または2本のブランチチューブが1本のチューブに併合される合流地点となる。
【0024】
合流地点においては、1対の左チューブガイドチャネルと1対の右チューブガイドチャネルが、左チューブを走行する車両が合流チューブに移動するときに1対の左チューブチャネルの左ガイドチャネルが車両をガイドするように、また右チューブを走行する車両が合流チューブに移動するときに1対の右チューブチャネルの右ガイドチャネルが車両をガイドするように、1対の合流チューブガイドチャネルに併合され、車両のレール変更のガイドを通過させるための開口部が合流領域に備えられている。
【0025】
分岐待避線においては、1本のチューブがラインの分岐待避線で2本のチューブに接続されており、このラインの分岐待避線において、当該1本のチューブを走行する車両が左チューブに移動するときに1対の左チューブチャネルの左ガイドチャネルが車両をガイドするように、また当該1本のチューブを走行する車両が右チューブに移動するときに1対の右チューブチャネルの右ガイドチャネルが車両をガイドするように、1対の当該1本のチューブのガイドチャネルが1対の左チューブガイドチャネルと1対の右チューブガイドチャネルに接続され、車両のレール変更のガイドを通過させるための開口部が分岐領域に備えられている。
【0026】
合流地点/分岐待避線を連続して用いることにより、チューブ車両はチューブネットワーク内の任意の点を通って目的駅に到達することができる。走行前に、乗客は交通システムの制御システムを介して、各合流地点を通過するチューブ車両の時間及び駅を予約することができる。それは、各合流地点を通過する時間とレール変更のガイドを操る操作を指定する乗客の先行予約の操作に基づく。すなわち、予約された走行コースが形成される。
【0027】
コンピュータの制御下で、車両は分岐待避線におけるレール変更の挿入型ガイドの操作を介して希望の方向を選択し、予約された走行コースにしたがって予定された目的地に到着する。コンピュータシステムの情報処理スピードが十分に速ければ、乗客は移動中に予約された走行コースを見直すことができ、乗客は移動中に目的地及び走行コースの動的な変更を行うことができる。車両は高速でチューブネットワークに入り、遅滞なくチューブに沿って走行し、減速して目的地に到達すると停止する。このようなチューブネットワークは、交差分岐や、ループや「ねじりパン」状の線を介した上部チューブ及び下部チューブ間の切り替えが必要ないため、標準化したライン部材の製造が簡単に実現できる。そのため、建設費を大幅に削減することができ、現場での建設手順が簡便になり、部材の再利用が可能となる。このようなチューブネットワークは、占有面積が小さく、シンプル外観で都市内部の既存のブロックや道路網によく合い、したがって、既存の建築物との統合が簡単であり、従来のどのような個人的な交通方法及び道具にくらべても実可能性が高いという利点を有する。
【0028】
このチューブネットワーク内のチューブ車両のスピードは、チューブ内の交通流量次第である。交通流量が多いと走行速度が速くなり、少ないと遅くなる。一般に、走行速度が速いものから順に以下のようになる。都市間低空気圧高速チューブ、通常空気圧低速メインチューブ、通常空気圧低速ブランチチューブ、及び通常空気圧低速ブランチサブチューブ。チューブ車両は、特定のチューブ内では同じ距離または同じ速度での移動を維持し、湾曲チューブ6’では走行速度を早くまたは遅くして異なるチューブ間での走行速度の変更を実現する。圧力変換栓10の数は、都市間低空気圧高速チューブ11及び通常空気圧低速メインチューブ14間の車両の交通流量によって決定される。交通流量が多いと栓10の数が増え、少ないと少なくなる。
【0029】
図2に示すように、このX字型ライン交差は以下のように建設される。例えば都市内の既存の道路の外側に、4つの出入り口ポイントa、b、c、dに支柱を設置し、湾曲ラインac及びbdは都市内の既存の道路上で点sに接線をなして接続される。上部レイヤー上の車両は、ポイントcまたはポイントdからポイントaまたはポイントbに走行してもよいし、下部レイヤー上の車両はポイントaまたはポイントbからポイントcまたはポイントdへと走行してもよい。当然ながら、上部レイヤーまたは下部レイヤー上の車両の走行方向は、別々に設定されてもよい。
【0030】
図3に示すように、このN字型ライン交差は以下のように建設される。例えば都市内の既存の道路の外側に、4つの出入り口ポイントa、b、c、dに支柱を設置し、支柱は湾曲ラインac及びbdの接点s’及びs”、並びに都市内の既存の道路のコーナーにも設置される。ポイントc及びbは接続されている。上部レイヤー上の車両はポイントcからポイントaもしくはポイントb、またはポイントdからポイントbに走行してもよく、下部レイヤー上の車両はポイントbからポイントcもしくはポイントd、またはポイントaからポイントcに走行してもよい。
【0031】
既存の道路の幅の平均がwのとき、X字型ライン交差の曲げ半径は、以下の通りとなる。
【数1】
占有面積が同じである場合、rxは四葉の曲げ半径0.25wの6.87倍になどしい。N字型ライン交差の曲げ半径は、以下の通りとなる
【数2】
占有面積が同じである場合、rnは四葉の曲げ半径0.25wの13.66倍になどしい。
【0032】
図4に示すように、このA字型ライン交差は以下のように建設される。例えば都市内の既存の道路の外側に、2つの出入り口ポイントb、cに支柱を設置し、湾曲ラインef及びegの接続点eに駅が設置される。上部レイヤー上の車両は、ポイントgからポイントeまたはポイントeからポイントfへと走行してもよく、下部レイヤー上の車両はポイントfからポイントeへまたはポイントeからポイントgへと走行してもよい。支柱をポイントeに設置し、新しいラインに接続してライン合流点を形成してもよい。
【0033】
出入駅における作業効率が同じとして、ラインの全長はクリップ型出入駅ラインに比べて50%以上も短縮でき、占有面積を50%以上も削減することができる。
【0034】
以下、図5を参照して、本発明にかかる層間構造壁と当該外壁面上にビデオ/オーディオ伝達手段及び電源供給手段としての太陽電池パネルとを有するチューブを明確に説明する。
【0035】
図5に示すように、層間構造壁を有するチューブは、外壁41と、内壁43と、充填レイヤー42と、接続梁42’とを備える。外壁41、内壁43、接続梁42’は、カーボンファイバまたはガラス鋼などの超軽量複合材料からなる。充填レイヤー42は、ポリウレタンなどの発泡材料からなる。外壁41、内壁43、接続梁42’、充填レイヤー42は、密接に接合されて一体化した部分を構成し、互いの応力を支持する。チューブ車両31をガイドするレール45は、内壁43の下部に配置されており、車両のレール変更ガイド52をガイドするレール44は内壁43の上部に配置されている。車両31は、自己運動性と駆動ブレーキ36に依存してレール上を走行し、均一な加速と安定性を保証する。
【0036】
各レイヤーに配置されたチューブは、強化部材によりT字型構造に連結されてもよく、あるいは2つのレイヤー内のチューブが一体化した部分に結合されてもよく、これにより、さらにその機械的性能を向上させ材料コストを節約することができる。
【0037】
層間構造壁を有するチューブは、通常空気圧低速チューブ及び低空気圧高速チューブとして用いることができる。層間構造壁に充填される発泡材料は、チューブ内のチューブ車両の動作による騒音と熱伝導効率とを効果的に低減することができるピンホールを無数に有している。好ましくは、通常空気圧低速チューブの断面は垂直方向に楕円または卵形であるが、必要ならばどのような形状をしていても利用可能である。低空気圧高速チューブの断面は、偏向抵抗性能、圧縮抵抗性能、及びねじれ抵抗性能を高めることができる円形であることが好ましい。
【0038】
このようなチューブは、特別な引出押出成形手段を直接用いて従来の引出押出成形過程を適用することにより現場で成型することができる。工場で別々のセクションとして準備することもでき、各セクションの端部はほぞ穴及びほぞ接合構造または溶接などの連結構造を形成するように設計されている。そして、各セクションの組立、接合、接着、ねじり及び封止が現場で行われる。そして、軽量発泡材料をチューブ壁の中空空間に充填して完成する。解体の際には、ジョイント接合剤を溶剤で溶解し、チューブジョイントを切断し、新たなジョイントをチューブの間に形成してチューブを再利用することができる。
【0039】
ビデオ/オーディオ信号伝達手段は、通常空気圧低速チューブの外壁41に設けられてもよい。ビデオ/オーディオ信号伝達手段は、ビデオ/オーディオ信号収集手段とデジタル情報符号化伝達手段とを備えてもよい。ビデオ/オーディオ信号収集手段は、外壁41の外表面に設置された複数のカメラ/音声ピックアップ手段46を備えてもよい。デジタル情報符号化伝達手段は、1以上のコンピュータを備えてもよい。それは例えば情報処理コンピュータ、光ファイバ網、チューブ内に設置された無線信号送受信手段などである。したがって、別のデジタル情報符号化伝達手段とビデオ/オーディオ信号復号化再生手段とを備える別のビデオ/オーディオ信号伝達手段が、車両内に設けられてもよい。別のデジタル情報符号化伝達手段は、車両内に設置される無線信号送受信手段を備えてもよい。ビデオ/オーディオ信号復号化再生手段は、車両内に設置される再生手段、例えば市販されている車載用マルチメディア機器などを備えてもよい。外壁のビデオ/オーディオ信号伝達手段は、ビデオ/オーディオ信号を収集し、信号を車両内のビデオ/オーディオ信号伝達手段に送信してもよい。その後、信号はビデオ/オーディオ信号復号化再生手段により復号化され、車両内の乗客に向けて再生される。
【0040】
図5に示すように、外壁41に所定の間隔でカメラ/ピックアップ手段46が設置されている。各手段46は、それぞれ位置コードを有している。通常空気圧低速チューブ外のビデオ/オーディオ信号が手段46により収集されて、情報処理コンピュータにより符号化され、光ファイバ網とチューブ内の送受信手段によりチューブへ再生される。チューブ内を走行する車両31は、手段46を通過する際にそれぞれの手段46の位置コードを有するデジタルビデオ/オーディオ信号を受信する。この信号は車両内のビデオ/オーディオ信号復号化再生手段の車載用コンピュータによって復号化され、車両内の乗客が視聴できるようにビデオ/オーディオ信号復号化再生手段35(例:内部車両壁及びスピーカー内臓のディスプレイフィルムまたは大型液晶スクリーン)により映像と音声に戻される。車両31がチューブ内を走行するとき、チューブネットワーク上のあらゆる位置で収集されたビデオ/オーディオ信号を受信再生することができ、完全に透明なチューブと完全に開放された音により、乗客はその視聴覚神経の保持効果によって、リアルな環境にいるかのような感覚を持つ。
【0041】
図6に示すように、層間壁を有する2本のチューブを備えるダブルレイヤーチューブが重畳して、外壁41、内壁43、充填レイヤー42、接続梁42’からなる一体化した部分を形成し、チューブ全体の垂直方向の剛軟度を高め、さらに同一条件下での組み立てスパンを延長し、市内の既存のブロック及び建築物の配置により適合したものとする。上部及び下部レイヤーの車両31は、それぞれのチューブ内を反対方向に走行する。ここで、車両31は、同じ手段46とデジタル情報符号化伝達手段(不図示)を共有する。
【0042】
図7に示すように、層間構造壁を有するチューブは、支柱48に支持されて標準直線チューブ6及び湾曲チューブ6’にしっかりと接合される。そして、車両31は、チューブのレール44と支持用のレール45との間の接合領域を確実に走行することができる。
【0043】
図8に示すように、マルチレイヤーの層間構造壁を有するチューブは、強化接合プレート49により接合され、支柱48にしっかりと接続されて、耐震性、防風性、海震防止性、洪水防止性、土石流防止性などを備えた柔軟構造を形成する。
【0044】
次に、図9を参照してチューブ外壁に設けられた太陽電池パネルを説明する。太陽電池パネルは、水平走行交通システムに独立した電源供給を行うために設けられ、太陽電池パネルと、蓄電手段と、電力伝送手段とを備える。図9に示すように、太陽電池パネル47の外壁41の外表面に設置されており、太陽エネルギを収集して太陽(光)エネルギを電気エネルギに変換する。蓄電手段は、例えば外壁41と内壁43との間またはその他の電気エネルギの蓄積に適切な位置など、任意の位置に配してよく、太陽電池パネル47により太陽エネルギがない場合でも交通システム全体が安定して電力の供給を受けられるようにする。電力伝送手段は、電力伝送ラインと変圧器と充電手段とを含み、チューブに沿って配されてよく、どの駅でもチューブ車両に搭載した蓄電部に充電することができる。このように、太陽電力供給により、交通システム全体で外部システムからは完全に独立した再生可能なクリーンエネルギを利用することができるようになる。
【0045】
当然ながら、太陽電力供給は当該分野におけるその他のいずれの電源供給手段に置き換えられてもよく、例えば、電気エネルギまたは先行技術において用いられる燃料による熱エネルギを用いてもよい。
【0046】
以下に、図10から図15を参照して、ピストン効果を生じさせることのできる、本発明にかかる通常空気圧低速チューブ内を走行するチューブ車両について記述する。各車両は、レール変更用挿入型ガイドを有する。
【0047】
図10に示すように、電気チューブ車両31は、自己搭載モータ(不図示)で動く駆動/荷重ホイールによって駆動することができ、レール上を前後に走行することができる。その外郭セクションは、車両31が走行する通常空気圧低速チューブの内部セクションに類似である。気密リング51は、車両外郭の周囲表面の断面にそって固定されている。そのため、走行環境は安全であり、走行スピード及び車両密度が向上される。衝撃吸収筐体56は、それぞれ、車両31の筐体の前端及び後端に固定されている。通常空気圧低速チューブ内の隣接する2つの車両31間の距離が急速に狭くなると、この2つの車両31間の空気圧が急に上昇して気密リング51で車両31と通常空気圧低速チューブの内壁43との間のスリットを覆う。この場合、この2つの車両は、通常空気圧低速チューブ内のピストンとして機能し、この2つの車両の間から漏れることのできない空気が「空気バネ」となって、交通事故(後端または集中)が起こったときに生じる急激な衝突の衝撃力を低減し、これによって車両の安全な走行を確保する。2つの通常空気圧低速チューブが1つの通常空気圧低速チューブとなることによりこの2つの車両に衝突が起きそうなときには、この2つの車両の間の空気がまず圧縮されて気密リング51の妨害によりもれなくなる。すなわち、気密リング51が、「ピストン効果」をもたらす。これにより、さらに空気膨張力が生じ、この2つの車両を反対方向に動かして衝突スピードを急激に低減させる。この2つの車両31が低速で互いに近づくときは、衝撃吸収手段(耐衝撃・衝撃吸収筐体56)により、この車両の固い筐体が受個別に受けるその衝突衝撃力はさらに低減され、この車両の荷重ホイールにより通常空気圧低速チューブに伝達される。一方、チューブ車両は、多くの場合、このチューブの同じ走行方向の連続的な気流を作り出すために、ピストン効果を生じさせることのできるこの車両の駆動力により通常空気圧低速チューブの1つの方向に走行できる。この気流は同一の方向に走行する車両とともに流れて、効果的に車両を妨げる対向する空気抵抗を低減する。そのため、気流は時速180キロまで車両の走行スピードを上げるのを助ける一方、エネルギの消費を削減する。さらに、気流は、チューブの位置における空調手段を設定するよう、通常空気圧低速チューブ及び車両内の空調循環を効果的に形成する。
【0048】
加えて、気流は、チューブ内の車両を実質的に均一なスピードで走行するよる傾向を持つようにさせることができる。この場合、車両のひとつが障害によって自己駆動できない場合でも、気流の駆動力により通過駅またサービスステーションへ前進することになる。これにより、システム全体が停止することを回避することができる。
【0049】
さらに、チューブの適切な位置に、従来の流体ジェット技術を用いて空気開放バルブ及び空気吸入バルブを配してもよい。空気開放バルブ及び空気吸入バルブにより、閉鎖チューブ内の気流を調整して、チューブ内の車両の走行スピード及び位置をさらに調整してもよい。バルブは、機械的に制御されてもよい。チューブのコンピュータシステムが誤動作を起こしても、車両は安全に走行することができる。
【0050】
図11に示すように、本発明にかかるチューブ車両31に、1つから2つの座席53が配されている。車両は、好ましくは不透明で窓を有さない。車両のドアは、左右または中央に向かってスライドすることにより開閉する。汚物を処理する水を使用しない処理システムを座席53の下に設置することができる。座席53は、電気機械手段55によって自動的に寝台に伸ばすことができる。各車両の乗客の数は、乗客の個人的な要求に合わせることができ、かつ空荷要因を減少させることができる程度に少ないことが好ましい。システム全体の実用価値を固めるために、車両の出発密度と走行スピードを高めることが必要である。この場合、高速高密度の走行用に、分岐待避線のレール変更ガイド及び合流地点の衝突防止スイッチを特別に設計する必要がある。
【0051】
本発明の実施形態によれば、挿入型レール変更ガイドをチューブ車両に取り付けて、分岐待避線を通過するときに左右のラインの切り替えを実現する。図12に示すように、挿入型レール変更ガイドは車両が走行中にラインをすばやく切り替えることができるようにする電気機械的手段である。この電気機械的手段は、垂直ホイールアセンブリ61と、水平ホイールアセンブリ62と、不均衡切り替えユニット63と、接合プレート69と、3本のチューブ内でそれぞれ分岐待避線にある3対のレールガイドチャネル64とを備える。垂直ホイールアセンブリ61は、水平ホイールアセンブリ62の前領域または後領域に固定されており、不均衡切り替えユニット63によって制御される。垂直ホイールアセンブリの左側ホイール61’及び右側ホイール61”は、交互に対外に平行に上下に動くことができ、各チューブにおけるレール44の左側チャネル64または左側チャネル64’に挿入する。ガイドチャネルの制限及びガイドの下で、垂直ホイールアセンブリ61は、レール変更ガイド52及び車両31をポイントcから、直線ラインに沿ってポイントaあるいは湾曲ラインに沿ってポイントbへ前進させることができる。水平ホイールアセンブリ62は、レール44の両側の壁にもたせかけている前部及び後部ホイールアセンブリの間に固定されており、車両31に左右の均衡力を与える。ここでは、水平ホイールアセンブリ62を、磁石アセンブリや緊張及び開放手段など、他のアセンブリに置き換えてもよい。
【0052】
本発明の別の実施形態によれば、図13に示すように、挿入型レール変更ガイドは、以下のように修正を加えてもよい。挿入型レール変更ガイドは、後部挿入ホイールアセンブリ60と、前部挿入ホイールアセンブリ60’と、垂直ホイールアセンブリ61と、水平ホイールアセンブリ62と、不均衡切り替えユニット63と、電磁石63’と、接合プレート69と、3本のチューブ内でそれぞれ分岐待避線にある3本のレール44の3対のガイドチャネル64とを備える。挿入ホイールアセンブリ60及び60’は、挿入型レール変更ガイドの前部及び後部に固定されており、インターリンクレバー65及び不均衡切り替えユニット63により接合されている。電磁石63’がアーマチャからの引力により上下に運動すると、インターリンクレバー65によって後部挿入ホイールアセンブリ60及び前部挿入ホイールアセンブリ60’もそれぞれ平行に交互に上下に運動することになる。
【0053】
図14〜図16に示すように、後部挿入ホイールアセンブリ60及び前部挿入ホイールアセンブリ60’は、上下に運動することができる。後部挿入ホイールアセンブリ60が下に運動し前部挿入ホイールアセンブリ60’が上に運動する場合、前部及び後部挿入ホイールアセンブリのホイールはレールの左ガイドチャネル64に挿入され、右ガイドチャネル64’からは離れる。その結果、左ガイドチャネル64のガイドの下で、レール変更ガイドは車両31をポイントiからポイントAへ前方に進める。同様に、後部挿入ホイールアセンブリ60が上に運動し前部挿入ホイールアセンブリ60’が下に運動する場合、レール変更ガイドは車両31をポイントjからポイントbへ前進させる。不均衡切り替えユニット63は、電磁石63’と、このインターリンクレバーの2つのサブインターリンクレバー間にあるバネとを備える。2つのインターリンクレバーはバネからの力によって均衡を失った状態にあり、したがって、これらは、挿入ホイールアセンブリが磁石の障害のために中央に来ることがないようにして、レールガイドチャネル64及び64’の間に位置する挿入ホイールアセンブリによって引き起こされる危険を防止するように、上部または下部の安定した位置に配されなければならない。
【0054】
接合プレート69の上部端部にある垂直ホイールアセンブリ61は、レール44の内部端部に押し付けられてこの垂直方向の運動の目的として駆動力を車両31に伝達する。その一方、垂直ホイールアセンブリ61もまた、車両の水平動作用のモータの駆動下において垂直方向の運動を車両31に駆動力を伝達する。接合プレート69の上部端部に配された水平ホイールアセンブリ62は、レール44の両方の壁に押し付けられて車両31の運動用の左右の均衡力を与える。
【0055】
上述のように、このようなレール変更ガイドは、構造的に簡単であり、応答性がよく、性能が安定しており、耐久性が高く、建設費が安く、チューブ車両が曲がるときに生じる遠心力を効果的に克服して高速な車両走行の安定性を確保することができる。
【0056】
本発明によれば、合流地点衝突防止切り替えユニットは、好ましくは各ライン合流地点に設置されている。このような合流地点衝突防止切り替えユニットは、1以上の圧力印加手段と、1以上の圧力伝達手段と、減衰手段とを備える機械的構造であってもよく、合流地点の分岐レールの近くに配することができる。衝突防止の実施形態を図17に示す。図17に示すように、衝突防止切り替えユニットは、2つの圧力印加手段66及び66’と、2つの拡張リング68及び68’とを備え、これらは2つの油圧式(または空気圧式)チューブ67及び67’に接続されている。これらの油圧式(空気圧式)チューブ67及び67’には、圧力伝達液体(または気体)が充填されている。この圧力印加手段66及び66’は、合流地点の両側の入り口の下で固定されており、この拡張リング68及び68’は車両31及び31’の外壁に合うようにチューブの内壁に配されている。車両31が最初に例えば右チューブ到着すると、この車両31の重力は圧力を右チューブの圧力印加手段66に加える。このような圧力は左チューブの拡張リング68へ伝達されて、油圧式(または空気圧式)チューブ67の圧力伝達液体(または気体)を介してリング68を拡張させ、左チューブの車両31’の気密リング51でブロック空間を形成して、この空間内の圧縮空気の反撃力により車両31’の前進走行スピードを抑える。車両31がこの圧力印加手段66を完全に通りすぎると、油圧式(または空気圧式)チューブ67の圧力は開放され、車両31’はもともとの前進走行スピードにもどる。このとき、車両31はこの合流地点を通過し、したがってこの2つの車両が右チューブと左チューブとから同時に合流地点に到着する場合に衝突が回避される。車両31の重力により圧力印加手段66に圧力が加わると、この圧力が圧力印加手段66’の安全弁(不図示)を開き、車両31’は圧力印加手段66’に圧力を加えることが出来なくなるため、車両31の前進走行スピードに影響を与えることがない。
【0057】
同様に、車両31’がまず左チューブに到着する場合、その重力により右チューブの車両31の前進走行スピードが落ちて、この2つの車両31及び31’が同時に合流地点も到着する場合に衝突が回避される。
【0058】
図18〜図19を参照して、低空気圧高速チューブと通常空気圧低速チューブとをシームレスに接合する圧力変換栓、及び浮遊「オーバーシュー」手段によりチューブ車両が走行する低空気圧高速チューブについて説明する。
【0059】
図18〜図19に示すように、車両31は高速で低空気圧超軽量高速チューブ11内を走行することができる浮遊「オーバーシュー」(overshoe)手段81にロードすることができる。浮遊オーバーシュー手段81の最大断面積は、チューブ11の上部空間の30%〜60%、好ましくは40%よりも小さく、チューブ11内の空気圧は非常に低位ことが望ましく、例えば0.1気圧より低いことが好ましい。浮遊「オーバーシュー」手段81は、浮遊電源トレーと、オーバーシュードア82と、気流管理のための空気力学的な覆いとを備える「オーバーシュー」として設計されている。浮遊オーバーシュー手段81は、その内部に制御手段を有する。レール44’及び45’は浮遊電源トレー上に配されており、それぞれ通常空気圧低速チューブ内のレール44及び45に接続されている。このようにして、電気チューブ車両31はレール44及び45に沿って「オーバーシュー」手段81と合体することができ、「オーバーシュー」手段81と組み合わさって一体化した部分となる。この浮遊「オーバーシュー」手段81は、内部の制御手段によって制御され、低空気圧超軽量高速チューブ11の車両31とともに走行する。
【0060】
この低空気圧高速チューブは、真空高速チューブであってもよい。
【0061】
図20に示すように、通常空気圧低速チューブ9と低空気圧高速チューブ11とをシームレスに接合する圧力変換栓10は、それぞれ1つの浮遊「オーバーシュー」手段81を含む数個の気密キャビン86を有し、各気密キャビン86は1組の空気圧降圧/昇圧手段(不図示)と、両側に気密ドア85’及び85”を有する。これらの気密キャビン86は全て、チェーン循環手段(不図示)によりつながれており、この浮遊「オーバーシュー」手段が気密キャビン86を出入りするようにチェーンの周囲を循環する。レール44’及び45’は、車両がこのような浮遊「オーバーシュー」手段内で水平方向に移動できるように浮遊「オーバーシュー」手段に配される。これらのレール44’及び45’は、車両31が浮遊「オーバーシュー」手段を出入りするように、通常空気圧低速チューブ内のレール44及び45と一致して合っている。各気密キャビン86は、レール84’を備えており、浮遊「オーバーシュー」手段がその内部で水平方向に移動できるようにしている。このレール84’は、浮遊「オーバーシュー」手段が気密キャビン86を出入りするように、低空気圧高速チューブ11に設置されたレール84に一致して合っている。圧力変換栓10は、通常空気圧低速チューブと低空気圧高速チューブとの間に配される。車両31は、圧力変換栓10により、通常空気圧低速チューブから低空気圧高速チューブへと自動的に走行することができる。その走行処理は以下の通りである。第1気密ドア85’が開くと、車両31は通常空気圧低速チューブ9から気密キャビン86内の浮遊「オーバーシュー」手段に向かって走行する。第1気密ドア85’が閉じると、気密キャビン86内の空気圧降圧/昇圧手段(不図示)はこのキャビン内の圧力を下げる。気密キャビン86内の圧力が低空気圧高速チューブ11内の圧力と等しくなると、第2気密ドア85”が開いて車両31と浮遊「オーバーシュー」手段とが自動的に気密キャビン86から低空気圧高速チューブ11へ走行する。逆に、車両31は、気密キャビン86を通って低空気圧チューブ11から通常空気圧低速チューブへ走行してもよい。
【0062】
浮遊モードはチューブ車両または「オーバーシュー」手段の走行モードの一例であることはいうまでもない。この車両または「オーバーシュー」手段は、磁気浮遊またはローラーモードでチューブ内を走行することができる。
【0063】
本発明にかかる車両の保管については、1以上の駅を有する三次元(3D)車庫が特に設計される。図21及び図22を参照して、以下の3D車庫の説明を参照されたい。
【0064】
図21〜図22に示すように、この3D車庫は1以上の駅を含み、水平走行昇降機への需要に合うように車両をつるして移動する1以上の可動梁を有する複数のブロック型のユニットモジュールを備える。とりわけ、3D車庫内には、出入り口ライン9と、1以上の出入駅と、少なくとも1つの車両車庫と、垂直循環レール93と、車両をつるして移動する水平吊梁94と、駆動装置92と、プラットフォーム支持プレート95と、歩行ブリッジ96と、駅制御コンピュータ(不図示)が備えられている。車庫の駅に接合され支持された歩行ブリッジ96が既存の建築物8のドア(単複)または窓(単複)に接続された後で建築物8がロードされていないとき、乗客は直接歩行ブリッジ96を介して車庫の駅と建築物8との間を出入りすることができる。車両31は、駆動装置91の駆動と水平吊梁94の動作により垂直循環レール93に沿って上下、左右、前後に移動することができる。このようにして、空き車両は、通システム全体に用いられるように現実の要求にしたがってコンピュータにより自動的に制御される。
【0065】
乗客を運ぶチューブ車両は、以下の動作にしたがってこの3D車庫に受け入れられて格納される(1)車両31が出入り口ライン9に入り、水平吊梁94の下を走行する。(2)駆動装置92により駆動されて、車両31は支持プレート95へと移動し、その結果、駅出入り口ライン9は他のチューブ車両が妨げられることなくライン9上を通常走行できるように空けられる。(3)チューブ車両31を降りた後、乗客は歩行ブリッジ96を通って建築物8に入り、その後支持プレート95は、空きチューブ車両が下に移動する通路を空けるために曲げられる。(4)水平吊梁94と駆動装置92とにより合わせて駆動されることにより、空きチューブ車両31は3D車両車庫に移動する。(5)空きの水平吊梁94及び駆動装置92は垂直循環レール93に沿って駅出入り口ライン9へと移動し、次の車両を駅に受け入れるためにレール44、45と一致して配置される。
【0066】
逆に、上記の(1)〜(5)の動作を逆の順序で行えば、チューブ車両を連続的に送り出すことができる。
【0067】
環境空間及び利用の要求にしたがって、出入駅は3D車両車庫上のどの階(単複)でも設置することができる。この3D車庫は、1本柱型、壁型、包囲型、回廊型、持ち上げキャビン型、床型、家庭用型、または建築物型など、さまざまなタイプに組み込まれている。すなわち、3D車庫は、1以上のレイヤーに設置することができる。3D車庫は、ライン上にあるいはラインから離して設置することもできる。ラインから離れて設置される場合、「A」型ライン交差を用いることができる。オフラインのマルチレイヤーの床型3D車庫は、20車両/秒の最大瞬間乗客/貨物フローで受け入れることができる。
【0068】
この3D車庫は、通過駅、給油所、またはライン対ラインの車両車庫としても設置することができ、それにより運転中特定車両に故障が起こった場合の一時停止、低下及び運転に用いられ、交通流量が高いラインに十分な空車両を待機させることができる。
【0069】
以下、本発明にかかる個人交通システムの制御システム及び制御方法を詳細に説明する。
【0070】
交通システムの制御システムは、相互接続に向いた集中型システムであってもよいし、相互接続に向かないインターネット分散型システムであってもよいし、その組み合わせであってもよい。本発明の実施形態によれば、各駅、ラインの各合流地点、及び各車両に備えられた多数のコンピュータを有する分散型システムが設けられる。各コンピュータは、それぞれIPアドレスを有し、各車両はそれぞれのID情報を有し、インターネットを介して他のコンピュータと以下のように通信を行う。(1)駅のコンピュータは、空車両の均衡を保つため、必要な格納された空車両に関する情報の収集と制御、また車両の駅からの出入りや乗客の車両からの昇降などの駅での運転を制御するために用いられる。(2)2つのラインの合流地点のコンピュータは、関連するチューブ内の車両の走行に関する情報の収集及び管理、また車両の衝突を防止するための車両のスピードの監視と制御に用いられる。(3)チューブ車両内のコンピュータは、車両の走行に関する情報の収集及び管理、また車両の走行の制御に用いられる。
【0071】
車両がラインの合流地点に近づいているかを検出するために、車両の実際の到着時間を検出する複数の検出手段がチューブネットワークのチューブにそって配される。各検出手段は、関連する合流地点のコンピュータに接続されている。したがって、検出手段からの検出信号は関連する合流地点のコンピュータに転送されることになる。合流地点のコンピュータは、実際の到着時間とプリオーダーされた到着時間との差を計算する。差があるときは、合流地点のコンピュータが車両内のコンピュータに通知することになる。その後、車両内のコンピュータは、車両が合流地点に時間通りに到着するようスピードを修正する。ここで、検出手段は、例えば、圧力センサ、車両内に設置される無線送受信手段、及び検出手段など、車両の到着時間を検出する適切なセンサであればどのようなものであってもよい。
【0072】
本発明の実施形態によれば、交通システムを制御する制御方法は、適切なコースの決定、プリオーダーされた目的地の変更、及び交通システムに関する統計データの取得に用いられる。
【0073】
本発明の制御方法と既存の技術の明らかな違いは、以下のようなものである。本発明の制御方法は分散管理の発想を取り入れており、出発地点から目的地までの車両の詳細な走行コースを指定せず、可能な走行コースを提供する。そして、車両は走行中に実際のライン状態にしたがって適切な走行コースを独立して選択する。ある意味では、このような制御方法は動的であり、接続に向かないTCP/IPプロトコルにおけるIPパッケージの伝送モードにも似ている。
【0074】
図24に示すように、本発明にかかる制御方法の一例を詳述する。この方法は以下のステップを含む。出発地点(またはオフ地点)から関連する目的地への可能なコースを含むテーブルを作成する(以下、「ODラインテーブル」と呼ぶ)。チューブネットワークの建設の最中または後において、全駅のコンピュータ間の相互通信が行われ、ルータを介してIPアドレスにより合流地点と車両とが設定される。その後、チューブ上の各コンピュータにおいて全ての関連する走行コースが設定され、後で利用するために表の形で保存される。チューブネットワークが用いられると、その制御方法は以下の通りとなる。(1)駅の乗客からの入力要求を受信し、空き車両を呼ぶ。乗客が駅のコンピュータを操作すると、コンピュータはまず駅に空き車両があるかどうかを判断する。もし「はい」であれば、次のステップに進む。もし「いいえ(no)」であれば、駅のコンピュータは必要な空き車両についての統計データを記録し、空き車両について情報を他の駅に送信して空き車両を探す。(2)乗客の要求を受け付ける。乗客は、空き車両に乗車すると、目的駅の情報を車両内のコンピュータに入力する。(3)利用できる可能な走行コースを全て検索する。車両内のコンピュータが目的駅の情報を受信しうると、ルータ及びIPアドレスを介して関連駅及び合流地点の関連コンピュータと通信して、関連コンピュータそれぞれに保存されたODラインテーブルから可能な走行コースを検索する。(4)利用可能なコースを計算する。車両内のコンピュータは、関連コンピュータから全てのプリオーダーマークを取得して、利用可能なコースを記録するテーブルを計算する。(5)適切な走行ラインを選択する。車両内のコンピュータは、到着時間の長さの順に利用可能なコースのランク付けを行い、最も必要走行時間の短いコースをプリオーダーされたものとして選択する。(6)プリオーダーコースを予約コースとしてマークする。プリオーダーコースが選択された後、コンピュータは、プリオーダーコース上の関連コンピュータが予約時間と駅をマークするよう、これらのコンピュータと通信する(予約時間は状態符号「1」でマークされる)。予約時間は他の車両が利用することはできない。(7)車両走行制御用制御プログラムを生成する。プリオーダーコースを選択した後、車両内のコンピュータは即座に各合流地点までの車両の走行距離と到着時間を判断する。そして、車両内のコンピュータは、レール変更ガイドやブレーキなどの動作など、車両の走行用のプログラムを決定する。(8)車両の走行を制御する。車両の走行用のプログラムが生成された後、車両内のコンピュータは、出発、加速、ターン、減速、停止などに関する制御信号を、レール変更ガイドや車両のブレーキなどのサーボ駆動装置に送信して車両の走行を制御する。(9)走行中に目的地の変更がなされたか否かを判定する。車両内のコンピュータは、走行中に乗客が目的地に関する情報の変更を入力したか否かを頻繁に確認する。「はい」であれば、(3)〜(8)のステップが繰り返され、「いいえ」であれば、車両は目的駅に向かって走行する。(10)目的駅に到着すると、乗客は車両から降りる。
【0075】
待機中の空き車両を制御する。乗客が車両から降りると、空き車両内のコンピュータは即座に近くの駅のコンピュータと自動的に通信を行う。車両内のコンピュータが、ある駅のコンピュータから送信された空き車両の要求情報を受信した後、ステップ(3)〜(8)が繰り返えされ、車両は空き車両が必要な駅に到着する。空き車両の制御は走行車両の制御に類似している。すなわち、空き車両は、車両とその空き車両を必要とする駅との間の最短時間のコースを通って空き車両を必要とする駅に到着することになる。
【0076】
要求される空き車両の統計データを取得する。チューブネットワーク上の各駅の各コンピュータは、車両の出発時間と駅に関する情報を、時間、日、週、月、3ヶ月、または1年などの定期的な間隔にしたがって、自動的に収集し、その情報を格納された空き車両の量に対するフィードバック制御の基礎として関連コンピュータに保存する。
【0077】
空き車両の利用率の統計データを取得する。各駅の各コンピュータは、その駅の空き車両の利用率を自動的に計算する。
【0078】
必要とされる空き車両の数を補正する。各駅の各コンピュータは、空き車両の利用率にしたがって必要とされる空き車両の数を補正し、待機中の空き車両の供給と車両に対する需要との均衡をとり、両者を近づける。すなわち、空き車両の分配を制御するためにフィードバック制御が採用される。
【0079】
インターネットの通信速度は駅を出発するチューブ車両の平均最大スピードよりも106倍速く、コンピュータは全て走行中にコース予約を行うことができるため、本発明は走行中に目的地を変更するに対して動的な予約サービスを提供し、従来の固定的なライン予約技術において走行中に目的地の変更ができないとい問題を解決する。
【0080】
インターネットの通信は、最大106倍と駅からの車両の出発率よりもずっと速いため、プリオーダーコースは、車両の走行中に車両内のコンピュータによって変更することができる。すなわち、本発明は車両走行中にプリオーダーコースを変更することができる動的な予約を提供し、これにより、予約が固定的で目的地を車両の走行中に変更することができないという先行技術の問題を解決する。
【0081】
チューブネットワークには「ボトルネック(neck of bottle)」がほとんど存在しないため、走行車両は動的な予約技術の支援によりその走行コースを調整して障害のあるラインを回避し、システム全体の走行安定性が向上する。同時に、チューブネットワークにより、より可能性のあるコースがチューブネットワーク内の任意の2つの駅の間で利用可能となる。したがって、走行効率をより高くすることがきできる。また、ネットワーク規模の拡大により、効率が幾何級数的に向上することとなり、自動的に均衡状態に到達する。
【0082】
分布制御システム及び方法は脱着可能なモジュール構造を採用しているため、制御システム全体のメインモードと基本データは、チューブネットワークの変さらにより大きく影響をうけることがなく、例えば都市開発によるネットワークの変さらにあわせることができる。したがって、このような制御システム及び方法は、実際にはより柔軟性を有するものである。
【0083】
図面に示す実施形態を参照して本発明の詳細を説明したが、本発明の範囲はこれらの実施形態に限定されるものではない。本発明の趣旨と原則内のあらゆる変更、修正、または等価物が本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明にしたがった都市のブロック及び建築物と結合したチューブネットワークの概略斜視図である。
【図2】本発明にしたがったX字型ライン交差の概略図である。
【図3】本発明にしたがったN字型ライン交差の概略図である。
【図4】本発明にしたがったA字型ライン交差の概略図である。
【図5】本発明にしたがった層間構造壁を有する完全に封鎖した通常空気圧低速チューブの概略斜視図である。
【図6】層間構造壁を有する2つの閉鎖した通常空気圧低速チューブダブルレイヤーの統合の設計図を示す概略断面図である。
【図7】層間構造壁を有するシングルレイヤー及びマルチレイヤーの完全に封鎖した通常空気圧低速チューブの概略斜視図である。
【図8】層間構造壁を有するシングルレイヤー及びマルチレイヤーの完全に封鎖した通常空気圧低速チューブの概略斜視図である。
【図9】壁型太陽電池パネルの概略斜視図である。
【図10】ピストン効果を生じさせることのできる電気チューブ車両の概略斜視図である。
【図11】チューブ車両の内部構造の概略斜視図である。
【図12】レールに挿入するための挿入型レール変更ガイドの概略切口斜視図である。
【図13】レールに挿入するための改良型挿入型レール変更ガイドの概略切口斜視図である。
【図14】他のレール変更ガイドの概略斜視図である。
【図15A】レール変更用挿入型ガイドの概略断面図である。
【図15B】他の挿入型レール変更ガイドの概略断面図である。
【図16A】レールに挿入された図14Aと14Bのレール変更用のガイドを示す概略図である。
【図16B】レールに挿入された図14Aと14Bのレール変更用のガイドを示す概略図である。
【図17】ラインの合流部分の衝突防止スイッチの概略斜視図である。
【図18】低空気圧超軽量高速チューブにおける浮遊「オーバーシュー」(overshoe)手段の概略断面図である。
【図19】低空気圧超軽量高速チューブにおける浮遊「オーバーシュー」手段の内部構造を示す概略図である。
【図20】通常空気圧低速チューブと低空気圧超軽量高速チューブをシームレスに接合するための圧力変換栓の構造を示す概略図である。
【図21】車庫で車両をつるして移動する1以上の可動梁を備えた三次元(3D)車庫の構造と原則を示す概略図である。
【図22】非直結マルチフロア駅に利用する車庫で車両をつるして移動する1以上の可動梁を備えた3D車庫の概略レイアウトである。
【図23】通過駅、給油所、またはラインごとの車庫を用いられる、車庫で車両をつるして移動する1以上の可動梁を備えた3D車庫の概略レイアウトである。
【図24】チューブネットワークのチューブ車両の走行を制御するフローチャートである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人交通システムで使用されるチューブ車両であって、
乗客または貨物をドアツードアで運ぶ自家動力で動く閉鎖した車両と、
前記車両は個人交通システムで利用されているチューブネットワークの各チューブを備える上部レール及び/または下部レールによって支持及び/またはガイドされるチューブ車両。
【請求項2】
請求項1に記載のチューブ車両において、車両の断面がチューブの内部断面の輪郭に合う外側の輪郭を持っているチューブ車両。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のチューブ車両において、1以上の気密リングが車両の断面の外部の輪郭に沿って提供されているチューブ車両。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のチューブ車両において、衝突防止減衰シャシーが前記車両のシャシー各前部端及び後部端に備えられるチューブ車両。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載のチューブ車両において、前記車両が前方または後方を動くことができ、1から2座席が前記車両に備えられるチューブ車両。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載のチューブ車両において、レール変更のガイドが前記車両に備えられているチューブ車両。
【請求項7】
請求項6に記載のチューブ車両において、少なくとも2つの垂直ホイールアセンブリ及び1つの水平ホイールアセンブリを含むレール変更用ガイドであり、
それは2つの垂直ホイールアセンブリを配置している一方、水平ホイールアセンブリの前部及び後部に配置された垂直ホイールアセンブリを備えた少なくとも1つの水平ホイールアセンブリを含んでおり、
前記垂直ホイールアセンブリは少なくとも1つの不均衡切り替えユニットを備えており、ユニットは、左及び右ホイールを備えた少なくとも1つの不均衡切り替えユニットと、垂直ホイールアセンブリが交互に上または下に動き、車両の走行方向を移動するために、レールの左側のガイドチャネルまたはレールの右側のガイドチャネルに挿入されるチューブ車両。
【請求項8】
請求項6に記載のチューブ車両であって、レール変更用の前記ガイドは、前部挿入型ホイールアセンブリと、後部挿入型ホイールアセンブリと、垂直ホイールアセンブリと、水平ホイールアセンブリと、不均衡切り替えユニットと、電磁石と、接合プレート及びレール上のガイドチャネルを含み、
前記前部挿入型ホイールアセンブリ及び後部挿入型ホイールアセンブリはレール変更用のガイドの前部端及び後部端に配置され、インターリンクレバーの手段と、前記不均衡切り替えユニットによって互いに接続され、
前記電磁石はアーマチャからの引力により上下に運動すると、レールの左または右のチャネルに挿入するインターリンクレバーを通じて前部及び後部挿入ホイールアセンブリは平行に交互に上下に運動し、
不均衡切り替えユニットは、電磁石と、インターランキングレバーの2本のサブレバー間にあるバネを含み、
前記接合プレートの上端に位置する垂直ホイールアセンブリが、レールの内部端部に押し付けられて前記接合プレートの上端に位置する水平ホイールアセンブリがレールの側壁に押し付けられるチューブ車両。
【請求項9】
請求項1に記載のチューブ車両において、前記車両は窓がない不透明体であるチューブ車両。
【請求項10】
請求項1に記載のチューブ車両において、
車両がさらにデジタル情報符号化伝達手段を含むビデオ/オーディオ信号伝達手段と、ビデオ/オーディオ信号符号化再生手段であり、前記デジタル情報符号化伝達手段は、1以上の無線信号送受信手段を含んでおり、車両に配置された前記無線信号送受信手段及び車両内の車載用ビデオ/オーディオ再生手段を含む前記ビデオ/オーディオ信号符号化再生手段を含むチューブ車両。
【請求項11】
個人交通システムを利用したチューブネットワークにおいて、複数のチューブを含み、
前記チューブネットワークは既存のブロックまたは建物と結合し、チューブネットワークの各チューブは、貨物や乗客を運ぶチューブ車両をガイドするための上部レール及び/または下部レールを備えるチューブ車両。
【請求項12】
請求項11に記載のチューブネットワークにおいて、チューブネットワークがループ構造を備え、シングルレイヤーまたはマルチレイヤーのチューブを含み、各層のチューブ内の車両が単一方向に走るチューブネットワーク。
【請求項13】
請求項12に記載のチューブネットワークにおいて、各層の前記チューブが直線と湾曲のチューブを複数含むチューブネットワーク。
【請求項14】
請求項11または請求項12に記載のチューブネットワークにおいて、前記マルチレイヤーのチューブが重なって支柱によって支えられており、そして直線と湾曲のチューブがX字型ライン交差、N字型ライン交差、A字型ライン交差、または出入り口のループラインを形成しているチューブネットワーク。
【請求項15】
請求項14に記載のチューブネットワークにおいて、X字型ライン交差、N字型ライン交差、A字型ライン交差、または出入り口のループラインが都市の既存のブロックと適合しているチューブネットワーク。
【請求項16】
請求項11に記載のチューブネットワークにおいて、各チューブが壁構造物の中空空間に充填された発泡材料を備えた層間構造壁と、壁構造物の内面に設置されたレールを備えるチューブネットワーク。
【請求項17】
請求項11に記載のチューブネットワークにおいて、ビデオ/オーディオ信号伝達手段のいくつかがチューブの外面に配置されているチューブネットワーク。
【請求項18】
請求項17に記載のチューブネットワークにおいて、前記ビデオ/オーディオ信号伝達手段がビデオ/オーディオ信号収集手段とデジタル情報符号化伝達手段を含み、ビデオ/オーディオ信号収集手段は複数のカメラ/音声ピックアップ手段がチューブの外面上の一定の間隔に配置され、カメラ/音声ピックアップ手段がそれぞれの位置コードと伝達手段を有しており、デジタル情報符号化伝達手段が、チューブ内でコンピュータと無線信号送受信手段のような光ファイバ網で処理されることを含むチューブネットワーク。
【請求項19】
請求項11に記載のチューブネットワークにおいて、チューブネットワークが通常空気圧低速チューブまたは低空気圧超軽量高速チューブを含むチューブネットワーク。
【請求項20】
請求項11に記載のチューブネットワークにおいて、チューブネットワークが通常空気圧低速チューブと低空気圧超軽量高速チューブを含み、2種類のチューブが圧力変換栓手段によってお互いに接続されるチューブネットワーク。
【請求項21】
請求項19または請求項20に記載のチューブネットワークにおいて、通常空気圧低速チューブの断面は垂直方向において楕円または卵型であり、一方で低空気圧超軽量高速チューブの断面は円形であり、低空気圧超軽量高速チューブは真空のチューブも含むチューブネットワーク。
【請求項22】
請求項19または請求項20に記載のチューブネットワークにおいて、前記低空気圧超軽量高速チューブの各々において、チューブ車両が高速で滑動する空気圧または磁気浮遊「オーバーシュー」手段を提供するチューブネットワーク。
【請求項23】
請求項22に記載のチューブネットワークにおいて、前記「オーバーシュー」手段の各々が、電源トレーとオーバーシュードアと、空気力学的な覆いを含み、前記電源トレーは通常空気圧低速チューブのレールと接続される1以上のレールを有し、その結果、車両は自動的にレール上で「オーバーシュー」手段に滑動し、一体化した部分として「オーバーシュー」手段とともに固定されるチューブネットワーク。
【請求項24】
請求項19または請求項20に記載のチューブネットワークにおいて、前記通常空気圧低速チューブ及び前記低空気圧超軽量高速チューブが、圧力変換栓を通じてシームレスに接続されており、前記圧力変換栓の各々は空気圧または磁気浮遊「オーバーシュー」手段を含む気密キャビンを備えており、気密キャビンの各々は空気圧降圧/昇圧手段の一式を備えられ、気密ドアはその両端に備えられているチューブネットワーク。
【請求項25】
請求項11に記載のチューブネットワークにおいて、複数の電力供給装置としての太陽電池パネルが、チューブの外面に配置され、電力供給装置の各々は太陽電池パネルと、電力蓄積手段と、電力伝達手段を備え、
前記太陽電池パネルの各々がチューブの外壁表面に備え付けられ、
太陽エネルギを収集し、光エネルギを電気エネルギに変換して利用し、前記電力伝達手段はチューブに配置され、その停止位置に搭載した蓄電部への電力を供給するチューブネットワーク。
【請求項26】
請求項11に記載のチューブネットワークにおいて、前記チューブネットワークはラインの合流地点をいくつか備えており、衝突防止切り替えユニットは、ラインの合流地点の各々に備えられ、衝突防止切り替えユニットのようなものは、1以上の圧力印加手段と、1以上の圧力伝達手段と、減衰手段を含む1以上の機械的構造であり、合流地点の分岐レールの近くに配することができるチューブネットワーク。
【請求項27】
請求項26に記載のチューブネットワークにおいて、車両のレール変更のガイドを通過させるための開口部が合流領域に備えられて、それにより1対の左チューブガイドチャネルと1対の右チューブガイドチャネルが、左チューブを走行する車両が合流チューブに移動するときに1対の左チューブチャネルの左ガイドチャネルが車両をガイドするように、また右チューブを走行する車両が合流チューブに移動するときに1対の右チューブチャネルの右ガイドチャネルが車両をガイドするように、1対の合流チューブガイドチャネルに併合され、車両のレール変更のガイドを通過させるための開口部が合流領域に備えられているチューブネットワーク。
【請求項28】
請求項11に記載のチューブネットワークにおいて、分岐待避線においては、1本のチューブがラインの分岐待避線で2本のチューブに接続されており、このラインの分岐待避線において、当該1本のチューブを走行する車両が左チューブに移動するときに1対の左チューブチャネルの左ガイドチャネルが車両をガイドするように、また当該1本のチューブを走行する車両が右チューブに移動するときに1対の右チューブチャネルの右ガイドチャネルが車両をガイドするように、1対の当該1本のチューブのガイドチャネルが1対の左チューブガイドチャネルと1対の右チューブガイドチャネルに接続され、車両のレール変更のガイドを通過させるための開口部が分岐領域に備えるチューブネットワーク。
【請求項29】
請求項11に記載のチューブネットワークにおいて、空気開放バルブ及び空気吸入バルブがチューブネットワークの特定チューブに供給されるチューブネットワーク。
【請求項30】
請求項11に記載のチューブネットワークにおいて、少なくとも1つの駅を備えた複数の3D車庫がチューブネットワークの近傍または内部に供給され、前記3D車庫は、垂直循環レールと、車両をつるして移動する水平可動梁と、駆動装置と、プラットフォーム支持プレートと、歩行ブリッジと、駅制御コンピュータを含み、走行ブリッジが駅によって支持され、既存の建築物のドアまたは窓に接続され、それゆえチューブ車両が駆動装置の駆動と水平可動梁の作用のもとで垂直循環レールに沿って3次元形で稼動できるチューブネットワーク。
【請求項31】
請求項30に記載のチューブネットワークにおいて、前記3D車両車庫の1つの駅が3D車両車庫上のどの階(単複)でも設置されるチューブネットワーク。
【請求項32】
請求項30に記載のチューブネットワークにおいて、前記3D車両車庫が、1本柱型、壁型、包囲型、回廊型、持ち上げキャビン型、床型、家庭用型、または建築物型に建築されることができ、1以上の階のシングルレイヤーまたはマルチレイヤーであり、ライン上にあるいはラインから離してもよいチューブネットワーク。
【請求項33】
請求項30に記載のチューブネットワークにおいて、通過駅、給油所、またはライン対ラインの車両車庫としても設置することができ、それにより運転中特定車両に故障が起こった場合の一時停止、低下及び運転に用いられ、交通流量が高いラインに十分な空車両を待機させることができるチューブネットワーク。
【請求項34】
請求項1から請求項10に記載の車両と請求項11から33に記載のチューブネットワークを含む個人交通システムにおいて、車両がチューブネットワークのチューブを走行するシステム。
【請求項35】
個人交通システムにおいて、ドアツードアでの乗客または貨物を運ぶ、自家電力の密閉したチューブ車両をふくむチューブ車両であり、チューブネットワークは複数のチューブと、既存のブロックまたは建物と結合した前記チューブネットワークと、乗客または貨物を運ぶ前記チューブ車両を支持及び/またはガイドする上部レール及び/または下部レールを備えているチューブネットワーク内にある各チューブを含むシステム。
【請求項36】
請求項34と35に記載の個人交通システムにおいて、チューブネットワークは通常空気圧低速チューブを含み、チューブ車両の断面外部の輪郭に嵌合する断面内部の輪郭を備えており、それ故チューブ内の車両の間でのピストン効果を形成するシステム。
【請求項37】
請求項36に記載の個人交通システムであって、2両の車両が前記ピストン効果を形成するため互いに接近したとき、気密リングがインナー表面とチューブ並びに車両の断面の間で、車両のスリットを覆うための車両の断面の外部の輪郭に沿って提供されているシステム。
【請求項38】
請求項34と35に記載の個人交通システムにおいて、ローラーか、チューブネットワークの空気圧または磁気浮遊による手段によって滑動する前記チューブ車両を含むシステム。
【請求項39】
請求項34と35に記載の個人交通システムにおいて、チューブネットワークがチューブの2以上の層と重畳するシステム。
【請求項40】
請求項39に記載の個人交通システムにおいて、チューブ車両が垂直リフト手段を用いることにより、チューブの2層間を移動するシステム。
【請求項41】
請求項34から40の1つに記載の「水平走行昇降機」と呼ばれる個人輸送システムにおいて、ビデオ/オーディオ信号伝達手段は、チューブネットワークの第一のビデオ/オーディオ信号伝達手段と、チューブカーの第二のビデオ/オーディオ信号伝達手段を含み、前記ビデオ/オーディオ信号伝達手段がビデオ/オーディオデータを選択し、データを複合化する第二のビデオ/オーディオ信号伝達手段へ伝達し、再生するシステム。
【請求項42】
請求項34から41のいずれか1項に記載の制御システムにおいて、複数のコンピュータが、各駅と、2つのラインの合流地点及びIPアドレスを有しインターネットを介して他のコンピュータと交信する各コンピュータを備えた各チューブ車両に提供され、
各駅のコンピュータは空き車両の数と必要とされる空き車両の数との均衡を保つための選択、制御及び車両の操作の出/入の制御に使用され、
2つのラインの合流地点の各コンピュータは関連するチューブ内を走行する車両に関した情報の選択、管理用に利用され、車両の衝突を避けるための運営領域を備えた車両のスピードの監視及び統制が行われ、
各チューブ車両のコンピュータは車両の走行に関連する情報を選択し、運営するシステム。
【請求項43】
請求項42に記載の制御システムにおいて、1つの駅から他の関連駅の間での可能性のあるコースを記録する表が、駅と乗客へ可能な走行コースを提供するための2つのラインの合流点の両方のコンピュータによって保存されるシステム。
【請求項44】
請求項42に記載の制御システムにおいて、
複数の検出手段が各車両の実際の到着時間と、各車両のID情報を検出するためのその後2つのラインの前方の合流地点のコンピュータへ検出信号を送るために、チューブネットワークのチューブに沿って提供されるシステム。
【請求項45】
請求項34から41のいずれか1項に記載の個人交通システムを制御する制御方法において、次のステップを含み、すなわち、車両が走行中、乗客が目的地に関する変更情報をインプットしたかどうかを車両内のコンピュータが再々チェックし、「はい」の場合は車両内コンピュータがチューブネットワーク内の関連コンピュータと交信して走行コースを変更するステップ。
【請求項46】
請求項45に記載の制御方法において、さらに次のステップを含み、すなわち、駅の各コンピュータが、空き車両の数と必要とされる空き車両の数との均衡をさらに保つために、駅にある空き車両への要求情報を集めるステップ。
【請求項47】
請求項45または請求項46記載の制御方法において、さらに次のステップを含み、すなわち、各車両の実際の到着時間及び前記車両のID情報を検出するために、2つのラインの合流地点の上流に1以上の検出手段を用意するステップ、検出したシグナルを前記検出手段から前方のライン合流地点にあるコンピュータに送るステップ、2つのラインの前方の合流地点にあるコンピュータが車両の速度を変更すべきかどうか決定し、「はい」の場合は、前記車両の速度を変更するために車両内のコンピュータに変更速度を送るステップ。
【請求項48】
請求項45〜47のいずれか1項に記載の制御方法において、さらに駅の3D車庫の車両を受け取る次のステップを含み、すなわち、
(1)走行中の車両が駅への出入ラインに入り、車両を3D車庫のある駅でつるして移動する水平可動梁の下で摺動し、
(2)駅に関連する駆動装置に駆動されて、車両が駅の支持プレートに移動し、その結果、駅の出入ラインは空けられ、
(3)チューブ車両を降りた後、乗客は駅近くの歩行ブリッジを通って立ち去り、その後支持プレートが曲げられ、
(4)前記水平可動梁と前記駆動装置とにより合わせて駆動されることにより、空きのチューブ車両は3D車庫に移動し、
(5)空きの水平可動梁及び駆動装置は、車庫の垂直循環レールに沿って駅出入り口ラインへと移動し、次の車両を受け入れるためにチューブ内のレール44及び45と一致して配置されるステップ。
【請求項49】
請求項45〜47のいずれか1項に記載の制御方法において、請求項48のステップを逆の順序で行えば、空き車両を送り出すことが可能な方法。
【請求項50】
請求項45〜48のいずれか1項に記載の制御方法において、さらに次のステップを含み、すなわち、乗客または貨物を運んでいるチューブ車両の目的駅が決定されるか、または空き車両が駅で利用可能である場合、各車両のコンピュータはチューブネットワークの他の関連コンピュータと交信して、乗客または貨物を運んでいるチューブ車両もしくは空き車両が最短時間で到着できる走行コースを選択し、その後その選択したコースにしたがって走行が可能な方法。
【請求項1】
個人交通システムで使用されるチューブ車両であって、
乗客または貨物をドアツードアで運ぶ自家動力で動く閉鎖した車両と、
前記車両は個人交通システムで利用されているチューブネットワークの各チューブを備える上部レール及び/または下部レールによって支持及び/またはガイドされるチューブ車両。
【請求項2】
請求項1に記載のチューブ車両において、車両の断面がチューブの内部断面の輪郭に合う外側の輪郭を持っているチューブ車両。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のチューブ車両において、1以上の気密リングが車両の断面の外部の輪郭に沿って提供されているチューブ車両。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のチューブ車両において、衝突防止減衰シャシーが前記車両のシャシー各前部端及び後部端に備えられるチューブ車両。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載のチューブ車両において、前記車両が前方または後方を動くことができ、1から2座席が前記車両に備えられるチューブ車両。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載のチューブ車両において、レール変更のガイドが前記車両に備えられているチューブ車両。
【請求項7】
請求項6に記載のチューブ車両において、少なくとも2つの垂直ホイールアセンブリ及び1つの水平ホイールアセンブリを含むレール変更用ガイドであり、
それは2つの垂直ホイールアセンブリを配置している一方、水平ホイールアセンブリの前部及び後部に配置された垂直ホイールアセンブリを備えた少なくとも1つの水平ホイールアセンブリを含んでおり、
前記垂直ホイールアセンブリは少なくとも1つの不均衡切り替えユニットを備えており、ユニットは、左及び右ホイールを備えた少なくとも1つの不均衡切り替えユニットと、垂直ホイールアセンブリが交互に上または下に動き、車両の走行方向を移動するために、レールの左側のガイドチャネルまたはレールの右側のガイドチャネルに挿入されるチューブ車両。
【請求項8】
請求項6に記載のチューブ車両であって、レール変更用の前記ガイドは、前部挿入型ホイールアセンブリと、後部挿入型ホイールアセンブリと、垂直ホイールアセンブリと、水平ホイールアセンブリと、不均衡切り替えユニットと、電磁石と、接合プレート及びレール上のガイドチャネルを含み、
前記前部挿入型ホイールアセンブリ及び後部挿入型ホイールアセンブリはレール変更用のガイドの前部端及び後部端に配置され、インターリンクレバーの手段と、前記不均衡切り替えユニットによって互いに接続され、
前記電磁石はアーマチャからの引力により上下に運動すると、レールの左または右のチャネルに挿入するインターリンクレバーを通じて前部及び後部挿入ホイールアセンブリは平行に交互に上下に運動し、
不均衡切り替えユニットは、電磁石と、インターランキングレバーの2本のサブレバー間にあるバネを含み、
前記接合プレートの上端に位置する垂直ホイールアセンブリが、レールの内部端部に押し付けられて前記接合プレートの上端に位置する水平ホイールアセンブリがレールの側壁に押し付けられるチューブ車両。
【請求項9】
請求項1に記載のチューブ車両において、前記車両は窓がない不透明体であるチューブ車両。
【請求項10】
請求項1に記載のチューブ車両において、
車両がさらにデジタル情報符号化伝達手段を含むビデオ/オーディオ信号伝達手段と、ビデオ/オーディオ信号符号化再生手段であり、前記デジタル情報符号化伝達手段は、1以上の無線信号送受信手段を含んでおり、車両に配置された前記無線信号送受信手段及び車両内の車載用ビデオ/オーディオ再生手段を含む前記ビデオ/オーディオ信号符号化再生手段を含むチューブ車両。
【請求項11】
個人交通システムを利用したチューブネットワークにおいて、複数のチューブを含み、
前記チューブネットワークは既存のブロックまたは建物と結合し、チューブネットワークの各チューブは、貨物や乗客を運ぶチューブ車両をガイドするための上部レール及び/または下部レールを備えるチューブ車両。
【請求項12】
請求項11に記載のチューブネットワークにおいて、チューブネットワークがループ構造を備え、シングルレイヤーまたはマルチレイヤーのチューブを含み、各層のチューブ内の車両が単一方向に走るチューブネットワーク。
【請求項13】
請求項12に記載のチューブネットワークにおいて、各層の前記チューブが直線と湾曲のチューブを複数含むチューブネットワーク。
【請求項14】
請求項11または請求項12に記載のチューブネットワークにおいて、前記マルチレイヤーのチューブが重なって支柱によって支えられており、そして直線と湾曲のチューブがX字型ライン交差、N字型ライン交差、A字型ライン交差、または出入り口のループラインを形成しているチューブネットワーク。
【請求項15】
請求項14に記載のチューブネットワークにおいて、X字型ライン交差、N字型ライン交差、A字型ライン交差、または出入り口のループラインが都市の既存のブロックと適合しているチューブネットワーク。
【請求項16】
請求項11に記載のチューブネットワークにおいて、各チューブが壁構造物の中空空間に充填された発泡材料を備えた層間構造壁と、壁構造物の内面に設置されたレールを備えるチューブネットワーク。
【請求項17】
請求項11に記載のチューブネットワークにおいて、ビデオ/オーディオ信号伝達手段のいくつかがチューブの外面に配置されているチューブネットワーク。
【請求項18】
請求項17に記載のチューブネットワークにおいて、前記ビデオ/オーディオ信号伝達手段がビデオ/オーディオ信号収集手段とデジタル情報符号化伝達手段を含み、ビデオ/オーディオ信号収集手段は複数のカメラ/音声ピックアップ手段がチューブの外面上の一定の間隔に配置され、カメラ/音声ピックアップ手段がそれぞれの位置コードと伝達手段を有しており、デジタル情報符号化伝達手段が、チューブ内でコンピュータと無線信号送受信手段のような光ファイバ網で処理されることを含むチューブネットワーク。
【請求項19】
請求項11に記載のチューブネットワークにおいて、チューブネットワークが通常空気圧低速チューブまたは低空気圧超軽量高速チューブを含むチューブネットワーク。
【請求項20】
請求項11に記載のチューブネットワークにおいて、チューブネットワークが通常空気圧低速チューブと低空気圧超軽量高速チューブを含み、2種類のチューブが圧力変換栓手段によってお互いに接続されるチューブネットワーク。
【請求項21】
請求項19または請求項20に記載のチューブネットワークにおいて、通常空気圧低速チューブの断面は垂直方向において楕円または卵型であり、一方で低空気圧超軽量高速チューブの断面は円形であり、低空気圧超軽量高速チューブは真空のチューブも含むチューブネットワーク。
【請求項22】
請求項19または請求項20に記載のチューブネットワークにおいて、前記低空気圧超軽量高速チューブの各々において、チューブ車両が高速で滑動する空気圧または磁気浮遊「オーバーシュー」手段を提供するチューブネットワーク。
【請求項23】
請求項22に記載のチューブネットワークにおいて、前記「オーバーシュー」手段の各々が、電源トレーとオーバーシュードアと、空気力学的な覆いを含み、前記電源トレーは通常空気圧低速チューブのレールと接続される1以上のレールを有し、その結果、車両は自動的にレール上で「オーバーシュー」手段に滑動し、一体化した部分として「オーバーシュー」手段とともに固定されるチューブネットワーク。
【請求項24】
請求項19または請求項20に記載のチューブネットワークにおいて、前記通常空気圧低速チューブ及び前記低空気圧超軽量高速チューブが、圧力変換栓を通じてシームレスに接続されており、前記圧力変換栓の各々は空気圧または磁気浮遊「オーバーシュー」手段を含む気密キャビンを備えており、気密キャビンの各々は空気圧降圧/昇圧手段の一式を備えられ、気密ドアはその両端に備えられているチューブネットワーク。
【請求項25】
請求項11に記載のチューブネットワークにおいて、複数の電力供給装置としての太陽電池パネルが、チューブの外面に配置され、電力供給装置の各々は太陽電池パネルと、電力蓄積手段と、電力伝達手段を備え、
前記太陽電池パネルの各々がチューブの外壁表面に備え付けられ、
太陽エネルギを収集し、光エネルギを電気エネルギに変換して利用し、前記電力伝達手段はチューブに配置され、その停止位置に搭載した蓄電部への電力を供給するチューブネットワーク。
【請求項26】
請求項11に記載のチューブネットワークにおいて、前記チューブネットワークはラインの合流地点をいくつか備えており、衝突防止切り替えユニットは、ラインの合流地点の各々に備えられ、衝突防止切り替えユニットのようなものは、1以上の圧力印加手段と、1以上の圧力伝達手段と、減衰手段を含む1以上の機械的構造であり、合流地点の分岐レールの近くに配することができるチューブネットワーク。
【請求項27】
請求項26に記載のチューブネットワークにおいて、車両のレール変更のガイドを通過させるための開口部が合流領域に備えられて、それにより1対の左チューブガイドチャネルと1対の右チューブガイドチャネルが、左チューブを走行する車両が合流チューブに移動するときに1対の左チューブチャネルの左ガイドチャネルが車両をガイドするように、また右チューブを走行する車両が合流チューブに移動するときに1対の右チューブチャネルの右ガイドチャネルが車両をガイドするように、1対の合流チューブガイドチャネルに併合され、車両のレール変更のガイドを通過させるための開口部が合流領域に備えられているチューブネットワーク。
【請求項28】
請求項11に記載のチューブネットワークにおいて、分岐待避線においては、1本のチューブがラインの分岐待避線で2本のチューブに接続されており、このラインの分岐待避線において、当該1本のチューブを走行する車両が左チューブに移動するときに1対の左チューブチャネルの左ガイドチャネルが車両をガイドするように、また当該1本のチューブを走行する車両が右チューブに移動するときに1対の右チューブチャネルの右ガイドチャネルが車両をガイドするように、1対の当該1本のチューブのガイドチャネルが1対の左チューブガイドチャネルと1対の右チューブガイドチャネルに接続され、車両のレール変更のガイドを通過させるための開口部が分岐領域に備えるチューブネットワーク。
【請求項29】
請求項11に記載のチューブネットワークにおいて、空気開放バルブ及び空気吸入バルブがチューブネットワークの特定チューブに供給されるチューブネットワーク。
【請求項30】
請求項11に記載のチューブネットワークにおいて、少なくとも1つの駅を備えた複数の3D車庫がチューブネットワークの近傍または内部に供給され、前記3D車庫は、垂直循環レールと、車両をつるして移動する水平可動梁と、駆動装置と、プラットフォーム支持プレートと、歩行ブリッジと、駅制御コンピュータを含み、走行ブリッジが駅によって支持され、既存の建築物のドアまたは窓に接続され、それゆえチューブ車両が駆動装置の駆動と水平可動梁の作用のもとで垂直循環レールに沿って3次元形で稼動できるチューブネットワーク。
【請求項31】
請求項30に記載のチューブネットワークにおいて、前記3D車両車庫の1つの駅が3D車両車庫上のどの階(単複)でも設置されるチューブネットワーク。
【請求項32】
請求項30に記載のチューブネットワークにおいて、前記3D車両車庫が、1本柱型、壁型、包囲型、回廊型、持ち上げキャビン型、床型、家庭用型、または建築物型に建築されることができ、1以上の階のシングルレイヤーまたはマルチレイヤーであり、ライン上にあるいはラインから離してもよいチューブネットワーク。
【請求項33】
請求項30に記載のチューブネットワークにおいて、通過駅、給油所、またはライン対ラインの車両車庫としても設置することができ、それにより運転中特定車両に故障が起こった場合の一時停止、低下及び運転に用いられ、交通流量が高いラインに十分な空車両を待機させることができるチューブネットワーク。
【請求項34】
請求項1から請求項10に記載の車両と請求項11から33に記載のチューブネットワークを含む個人交通システムにおいて、車両がチューブネットワークのチューブを走行するシステム。
【請求項35】
個人交通システムにおいて、ドアツードアでの乗客または貨物を運ぶ、自家電力の密閉したチューブ車両をふくむチューブ車両であり、チューブネットワークは複数のチューブと、既存のブロックまたは建物と結合した前記チューブネットワークと、乗客または貨物を運ぶ前記チューブ車両を支持及び/またはガイドする上部レール及び/または下部レールを備えているチューブネットワーク内にある各チューブを含むシステム。
【請求項36】
請求項34と35に記載の個人交通システムにおいて、チューブネットワークは通常空気圧低速チューブを含み、チューブ車両の断面外部の輪郭に嵌合する断面内部の輪郭を備えており、それ故チューブ内の車両の間でのピストン効果を形成するシステム。
【請求項37】
請求項36に記載の個人交通システムであって、2両の車両が前記ピストン効果を形成するため互いに接近したとき、気密リングがインナー表面とチューブ並びに車両の断面の間で、車両のスリットを覆うための車両の断面の外部の輪郭に沿って提供されているシステム。
【請求項38】
請求項34と35に記載の個人交通システムにおいて、ローラーか、チューブネットワークの空気圧または磁気浮遊による手段によって滑動する前記チューブ車両を含むシステム。
【請求項39】
請求項34と35に記載の個人交通システムにおいて、チューブネットワークがチューブの2以上の層と重畳するシステム。
【請求項40】
請求項39に記載の個人交通システムにおいて、チューブ車両が垂直リフト手段を用いることにより、チューブの2層間を移動するシステム。
【請求項41】
請求項34から40の1つに記載の「水平走行昇降機」と呼ばれる個人輸送システムにおいて、ビデオ/オーディオ信号伝達手段は、チューブネットワークの第一のビデオ/オーディオ信号伝達手段と、チューブカーの第二のビデオ/オーディオ信号伝達手段を含み、前記ビデオ/オーディオ信号伝達手段がビデオ/オーディオデータを選択し、データを複合化する第二のビデオ/オーディオ信号伝達手段へ伝達し、再生するシステム。
【請求項42】
請求項34から41のいずれか1項に記載の制御システムにおいて、複数のコンピュータが、各駅と、2つのラインの合流地点及びIPアドレスを有しインターネットを介して他のコンピュータと交信する各コンピュータを備えた各チューブ車両に提供され、
各駅のコンピュータは空き車両の数と必要とされる空き車両の数との均衡を保つための選択、制御及び車両の操作の出/入の制御に使用され、
2つのラインの合流地点の各コンピュータは関連するチューブ内を走行する車両に関した情報の選択、管理用に利用され、車両の衝突を避けるための運営領域を備えた車両のスピードの監視及び統制が行われ、
各チューブ車両のコンピュータは車両の走行に関連する情報を選択し、運営するシステム。
【請求項43】
請求項42に記載の制御システムにおいて、1つの駅から他の関連駅の間での可能性のあるコースを記録する表が、駅と乗客へ可能な走行コースを提供するための2つのラインの合流点の両方のコンピュータによって保存されるシステム。
【請求項44】
請求項42に記載の制御システムにおいて、
複数の検出手段が各車両の実際の到着時間と、各車両のID情報を検出するためのその後2つのラインの前方の合流地点のコンピュータへ検出信号を送るために、チューブネットワークのチューブに沿って提供されるシステム。
【請求項45】
請求項34から41のいずれか1項に記載の個人交通システムを制御する制御方法において、次のステップを含み、すなわち、車両が走行中、乗客が目的地に関する変更情報をインプットしたかどうかを車両内のコンピュータが再々チェックし、「はい」の場合は車両内コンピュータがチューブネットワーク内の関連コンピュータと交信して走行コースを変更するステップ。
【請求項46】
請求項45に記載の制御方法において、さらに次のステップを含み、すなわち、駅の各コンピュータが、空き車両の数と必要とされる空き車両の数との均衡をさらに保つために、駅にある空き車両への要求情報を集めるステップ。
【請求項47】
請求項45または請求項46記載の制御方法において、さらに次のステップを含み、すなわち、各車両の実際の到着時間及び前記車両のID情報を検出するために、2つのラインの合流地点の上流に1以上の検出手段を用意するステップ、検出したシグナルを前記検出手段から前方のライン合流地点にあるコンピュータに送るステップ、2つのラインの前方の合流地点にあるコンピュータが車両の速度を変更すべきかどうか決定し、「はい」の場合は、前記車両の速度を変更するために車両内のコンピュータに変更速度を送るステップ。
【請求項48】
請求項45〜47のいずれか1項に記載の制御方法において、さらに駅の3D車庫の車両を受け取る次のステップを含み、すなわち、
(1)走行中の車両が駅への出入ラインに入り、車両を3D車庫のある駅でつるして移動する水平可動梁の下で摺動し、
(2)駅に関連する駆動装置に駆動されて、車両が駅の支持プレートに移動し、その結果、駅の出入ラインは空けられ、
(3)チューブ車両を降りた後、乗客は駅近くの歩行ブリッジを通って立ち去り、その後支持プレートが曲げられ、
(4)前記水平可動梁と前記駆動装置とにより合わせて駆動されることにより、空きのチューブ車両は3D車庫に移動し、
(5)空きの水平可動梁及び駆動装置は、車庫の垂直循環レールに沿って駅出入り口ラインへと移動し、次の車両を受け入れるためにチューブ内のレール44及び45と一致して配置されるステップ。
【請求項49】
請求項45〜47のいずれか1項に記載の制御方法において、請求項48のステップを逆の順序で行えば、空き車両を送り出すことが可能な方法。
【請求項50】
請求項45〜48のいずれか1項に記載の制御方法において、さらに次のステップを含み、すなわち、乗客または貨物を運んでいるチューブ車両の目的駅が決定されるか、または空き車両が駅で利用可能である場合、各車両のコンピュータはチューブネットワークの他の関連コンピュータと交信して、乗客または貨物を運んでいるチューブ車両もしくは空き車両が最短時間で到着できる走行コースを選択し、その後その選択したコースにしたがって走行が可能な方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公表番号】特表2008−537709(P2008−537709A)
【公表日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505718(P2008−505718)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【国際出願番号】PCT/CN2006/000682
【国際公開番号】WO2006/108360
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(507342010)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【国際出願番号】PCT/CN2006/000682
【国際公開番号】WO2006/108360
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(507342010)
【Fターム(参考)】
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