説明

ツイストアクスルのトーションビーム

一観点では、本発明は、車両用のツイストビームアクスルに関する。ツイストビームアクスルは、ツイストビーム及び補強部材を有する。ツイストビームは、長手方向軸線を有すると共に全体として凹状の断面形状を有する。補強部材は、長手方向に延びており、この補強部材は、ツイストビームと一緒になって長手方向に延びる管状形状物を形成するようツイストビームに連結されている。ツイストビームは、第1及び第2の側壁を有する。側壁の少なくとも一方は、管状形状物の外部に延びている。管状形状物は、ツイストビームアクスルが用いられるべき車両に基づいて選択された断面寸法を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のトーション式サスペンションに関し、特に、トーション式サスペンション用のツイストビームアクスルに関する。
【背景技術】
【0002】
ツイストビームアクスルは、典型的にはサスペンションを包装する一方で、乗員室内への侵入を最小限に抑える手段として一部の車両に用いられている。ツイストビームアクスルの典型的な用途は、車両の後輪への使用である。ツイストビームアクスルは、典型的には、運転手側の後輪用コントロールアームと乗員側の後輪用コントロールアームとの間に延びるU字形又はV字形バーを有する。典型的なツイストビームアクスルが図1に符号100で示されている。ツイストビームアクスル100は、2本のコントロールアーム101a,101b相互間に連結された状態で示されている。ツイストビームアクスル100は、断面がV字形のツイストビーム102及びツイストビーム102のVの内部に位置したスタビライザバー104を有する。スタビライザバー104は、Vの内部に溶接される場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
スタビライザバー104の特性は、典型的には、車両の特定のモデルに使用するためにツイストアクスル10を「チューニング」するようツイストアクスル100に選択されたねじり剛性を与えるよう選択される。場合によっては、スタビライザバーは、中実バー材料で作られる。他の場合、スタビライザバー104は、中空管材料で作られることもある。いずれの場合においても、結果として得られるツイストアクスルは、比較的重く、製造費用が比較的高くなる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、本発明は、車両用のツイストビームアクスルに関する。ツイストビームアクスルは、ツイストビーム及び補強部材を有する。ツイストビームは、長手方向軸線を有すると共に全体として凹状の断面形状を有する。補強部材は、長手方向に延びており、この補強部材は、ツイストビームと一緒になって長手方向に延びる管状形状物を形成するようツイストビームに連結されている。ツイストビームは、第1及び第2の側壁を有する。側壁の少なくとも一方は、管状形状物の外部に延びている。管状形状物は、ツイストビームアクスルが用いられるべき車両に基づいて選択された断面寸法を有する。別の態様では、本発明は、上述のツイストビームアクスルを含むトーションサスペンション組立体に関する。
以下、添付の図面を参照して本発明について説明するが、これは例示に過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】先行技術のトーション式サスペンション組立体の斜視図である。
【図2a】本発明の実施形態としてのトーション式サスペンション組立体の斜視図である。
【図2b】図2aに示されたトーション式サスペンション組立体の別の斜視図である。
【図2c】図2aに示されたトーション式サスペンション組立体の一部であるツイストビームアクスルの断面端面図である。
【図2d】図2cに示されたツイストビームアクスルの斜視図である。
【図2e】図2cに示されたツイストビームアクスルの断面側面図である。
【図3a】図2aに示されたトーション式サスペンション組立体の変形例の斜視図であり、ツイストビームアクスルがコントロールアームの後方部分に取り付けられている状態を示す図である。
【図3b】図2aに示されたトーション式サスペンション組立体の変形例の斜視図であり、ツイストビームアクスルがコントロールアームの前方部分に取り付けられている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図2a及び図2bを参照すると、図2a及び図2bは、本発明の実施形態としての車両用のトーション式サスペンション又はサスペンション組立体10を示している。トーション式サスペンション組立体10は、第1のコントロールアーム12a、第2のコントロールアーム12b、第1のコントロールアーム12aに連結された第1の車体取り付け部材14a、第2のコントロールアーム12bに連結された第2の車体取り付け部材14b、第1のコントロールアーム12aに連結された第1のホイール取り付け部材16a、第2のコントロールアーム12bに連結された第2のホイール取り付け部材16b、第1のばね取り付け部材17a、第2のばね取り付け部材17b及び前記第1のコントロールアーム12aと第2のコントロールアーム12bとの間に延びるツイストビームアクスル18を含む。
【0007】
ツイストビームアクスル18は、中央部分24、第1の端部分26a及び第2の端部分26bを有し、ツイストビームアクスルは、第1の端部分26a及び第2の端部分26bのところで、第1のコントロールアーム12a及び第2のコントロールアーム12bに連結されている。図2c及び図2dを参照すると、ツイストビームアクスル18は、ツイストビーム20及び補強部材22を有する。
【0008】
ツイストビーム20は、符号28で示された長手方向軸線を有する。ツイストビーム20は、第1の側壁30及び第2の側壁32を有し、図2a〜図2dに示された実施形態では、ツイストビーム20は、ベース部分33を更に有し、第1及び第2の側壁30,32は、ベース部分33を介して互いに連結されている。図2cに示されている実施形態のベース部分33は、全体として弧状であり、このベース部分は、側壁30,32に接合され、それにより不連続部のない連続弧状の形状物が形成されている。
【0009】
図2cに示されている実施形態のベース部分33は、ツイストビーム20の頂部に位置するが、図示されていない変形実施形態では、ツイストビーム20は、ベース部分33が頂部に位置しないよう差し向けられても良い。例えば、ツイストビーム20は、ベース部分33が底部に位置するよう差し向けられても良い。
【0010】
ツイストビーム20の形状は、全体として凹状である。図2cに示されている実施形態では、ツイストビームは、下方向かって凹の形状を有するが、ツイストビーム20は、凹みが別の方向に向くよう差し向けられても良い。例えば、ツイストビーム20は、変形例として、上方向って凹の形状を有しても良い。
【0011】
本明細書の開示内容及び特許請求の範囲の記載の態様では、全体として凹の形状を有することは、必ずしもツイストビーム20の形状が弧状であることを意味するものではないが、ツイストビーム20の形状は、図2cに示されている実施形態では全体として弧状であることがわかる。しかしながら、変形例として、ツイストビームの形状は、非弧状、例えば逆V字形であっても良く、これは、本明細書の開示内容及び特許請求の範囲の記載の観点では、依然として凹の形状を構成すると言える。
【0012】
第1及び第2の側壁30,32は、ツイストビームに選択された曲げ抵抗性を与える。ツイストビーム20は、第1の側縁34及び第2の側縁36を有する。第1及び第2の側縁34,36は、任意適当な仕方で構成できる。例えば、これら側縁は、図2c及び図2dに示されているように下方に差し向けられても良く、或いは、例えば、上方に向かってカールしていても良い(図示せず)。
【0013】
補強部材22は、長手方向に延びており、この補強部材は、ツイストビーム20と一緒になって長手方向に延びる管状形状物38を形成するようツイストビーム20に連結されている。連結部は、任意適当な形式の連結部であって良く、例えば、溶接連結部、ろう付け連結部、機械的締結部、例えばリベットによる連結部又は任意他の適当な形式の連結部であって良い。
【0014】
図2cに示されている実施形態では、補強部材22は、ベース部分33に係合しており、この補強部材は、図2cの断面図において、全体としてツイストビーム20に対して心出しされている。図示のように、補強部材22は、ツイストビーム20よりも幅が狭い。その結果及びツイストビーム20上へのその位置決めの結果として、ツイストビーム20の側壁30,32は、管状形状物38の外側に延びると共にツイストビームアクスル18の曲げ抵抗性に寄与するよう下方に延びている。この構成により、管状形状物が溶接されたツイストビームで作られている類似のツイストビームアクスルと比較して軽量化が図られる。
【0015】
形成される管状形状物38の断面寸法を調節することによって、ツイストビームアクスル18のねじり抵抗性を調節して車両の種々のモデルに使用できると共にこれらの剛性及び耐久性に関する要件に合わせてツイストビームアクスル18をチューニングすることができる。一例を挙げると、管状形状物38の寸法を増大させることにより、ねじり剛性は、一般に、増大する。
【0016】
管状形状物38の断面寸法は、補強部材22の寸法形状を変化させることにより全体的に調節可能である。ツイストビーム20それ自体は、車両の各モデルについて全体として同一のままであることが可能である。
【0017】
ツイストビーム20は、その凹の形状により内部40(図2c)を構成している。補強部材22は、好ましくは、ツイストビーム20の内側に向いた表面42上に位置決めされる。しかしながら、変形例として、補強部材22をツイストビーム20のどこか他の場所、例えば外側に向いた表面44上に位置決めすることが可能である。
【0018】
図2a、図2b及び図2dに示されているように、側壁30,32は、管状形状物38の外側に位置するが、側縁34,36から間隔を置いて位置した符号46で示されている複数個の軽量化穴を有するのが良い。これにより、ツイストビームアクスル18の重量が減少し、他方、その曲げ抵抗性及びねじり抵抗性への影響は比較的小さい。
【0019】
図2cの断面図は、ツイストビームアクスル18の中央部分24を示している。図2eに示されているように、ツイストビームアクスル18は、符号48a,48bで示された移行部分を有し、補強部材22は、これら移行部分48a,48b内において、側縁34,36の近くでツイストビーム20に連結されるよう外方に(図2c及び図2dに示されている図で見て下方に)移行し、それによりコントロールアームを受け入れるベース表面又は底面(一端が符号50aで示されると共に他端が符号50bで示されている)が形成されている。ベース表面50a,50bは、第1及び第2のコントロールアーム12a,12b(図2a及び図2b)へのツイストビームアクスル18の連結を容易にする。
【0020】
ベース表面50a,50bを補強部材22から直接各端部分26a,26bのところに形成することにより、ツイストビームアクスル18の製造が容易になる。
【0021】
移行部分48a,48bの位置及び寸法は、ツイストビームアクスル18のねじり剛性をチューニングするよう所望に応じて調節できる。上述の形態の結果として、ツイストビームアクスル18には全体として押し潰しゾーンがない。押し潰しゾーンは、一部のツイストビームアクスルに見られ、このような押し潰しゾーンは、補強部材22とツイストビーム20がツイストビームアクスルのねじり抵抗性を調節するために互いに押し潰されているゾーンである。このようなツイストビームアクスルに関する問題は、これらツイストビームアクスルが押し潰し作業それ自体の結果として押し潰しゾーンにおいて疲労しやすくなる場合があるということである。
【0022】
図2a及び図2bに示されているようにツイストビームアクスル18は、コントロールアーム12a,12bの中央に取り付けられるのが良い。変形例として、ツイストビームアクスル18を図3aに示されているように後方に取り付けることが可能であり、この場合、ツイストビームアクスルは、コントロールアーム12a,12bの後方部分に取り付けられる。変形例として、ツイストビームアクスル18を図3bに示されているように前方に取り付けることが可能であり、この場合、ツイストビームアクスルは、コントロールアーム12a,12bの前方部分に取り付けられる。
【0023】
ツイストビーム20及び補強部材22は、使用中、風雨にさらすことができるよう適切に処理された任意適当な材料、例えば自動車等級のスチールで構成できる。
【0024】
上述の説明は、本発明の複数の実施形態に関するが、特許請求の範囲に記載された本発明の公正な文言上の意味から逸脱することなく、本発明を一層の改造及び変更が可能であることが解る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用のツイストビームアクスルであって、
長手方向軸線を備えたツイストビームを有し、前記ツイストビームは、全体として凹状の断面形状を有し、
長手方向に延びて、前記ツイストビームと一緒になって長手方向に延びる管状形状物を形成するよう前記ツイストビームに連結された補強部材を有し、
前記ツイストビームは、第1の側壁及び第2の側壁を有し、
前記側壁の少なくとも一方は、前記管状形状物の外側に延び、前記管状形状物は、前記ツイストビームアクスルが用いられるべき車両の所定の剛性及び耐久性に応じて選択された断面寸法を有する、
ことを特徴とするツイストビームアクスル。
【請求項2】
前記ツイストビームは、内部を備え、前記補強部材は、前記ツイストビームの前記内部に沿って延びている、
請求項1記載のツイストビームアクスル。
【請求項3】
前記第1の側壁は、第1の側縁を有し、前記第2の側壁は、第2の側縁を有し、
前記ツイストビームアクスルは、中央部分及び2つの端部分を有し、
前記補強部材は、前記ツイストビームと一緒になって前記管状形状物を構成するよう前記ツイストビームの前記中央部分に連結され、前記補強部材は、第2の管状形状物を構成するよう前記第1及び前記第2の側壁の前記第1及び前記第2の側縁の近くで前記ツイストビームの前記端部分の各々に連結されている、
請求項2記載のツイストビームアクスル。
【請求項4】
車両用のトーション式サスペンション組立体であって、
第1のコントロールアーム及び第2のコントロールアームと、
各コントロールアームに連結されていて、前記車両の車体に回動可能に取り付け可能な車体取り付け部材と、
各コントロールアームに連結されていて、車両ホイールに取り付け可能なホイール取り付け部材と、
懸架ばねの端部を受け入れるばね取り付け部材と、
ツイストビームアクスルと、を有し、前記ツイストビームアクスルは、
長手方向軸線を備えると共に全体として凹状の断面形状を有するツイストビームと、
長手方向に延び、前記ツイストビームと一緒になって長手方向に延びる管状形状物を形成するよう前記ツイストビームに連結された補強部材とを有し、前記ツイストビームは、第1の側壁及び第2の側壁を有し、前記側壁の少なくとも一方は、前記管状形状物の外側に延び、前記管状形状物は、前記ツイストビームアクスルが用いられるべき車両の所定の剛性及び耐久性に応じて選択された断面寸法を有する、
ことを特徴とするトーション式サスペンション組立体。
【請求項5】
前記ツイストビームは、内部を備え、前記補強部材は、前記ツイストビームの前記内部に沿って延びている、
請求項4記載のトーション式サスペンション組立体。
【請求項6】
前記第1の側壁は、第1の側縁を有し、前記第2の側壁は、第2の側縁を有し、
前記ツイストビームアクスルは、中央部分及び2つの端部分を有し、
前記補強部材は、前記ツイストビームと一緒になって前記管状形状物を構成するよう前記ツイストビームの前記中央部分に連結され、前記補強部材は、第2の管状形状物を構成するよう前記第1及び前記第2の側壁の前記第1及び前記第2の側縁の近くで前記ツイストビームの前記端部分の各々に連結されている、
請求項5記載のトーション式サスペンション組立体。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図2e】
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【図3a】
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【図3b】
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【公表番号】特表2013−509320(P2013−509320A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535566(P2012−535566)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【国際出願番号】PCT/CA2010/001747
【国際公開番号】WO2011/050483
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(501241575)マグナ インターナショナル インコーポレイテッド (28)
【Fターム(参考)】