説明

ツイン工具台とツインクランプを有するV溝加工装置およびV溝加工方法

【課題】生産原価の節減および高価の加工装置の効率的な活用を可能にするツイン工具台とツインクランプを有するV溝加工装置およびV溝加工方法を提供する。
【解決手段】V溝加工装置のベッドの長手方向両側にセッティングブロックをそれぞれ対向して設け、これらセッティングブロックには長手方向に連続して形成されたサイドクランプをそれぞれ設け、前記ベッドの一側には一対のフロントクランプを設け、このフロンとクランプを、両方向に螺子山を有するクランプ移送スクリューに螺合して同時移動可能にし、V溝加工装置の往復台には一対の工具台を離隔して装着し、この工具台を両方向に螺子山を有する工具台移送スクリューに装着して、前記フロントクランプと同一幅で同時に近接または離隔するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属板材の表面を加工するためのV溝加工装置に係り、特にV溝加工装置の往復台に装着される工具台を一対で離隔して装着し、両方向に螺子山を有する工具台移送スクリューによって同時に作動させ、下部のベッドに形成されるフロントクランプとサイドクランプをそれぞれ対称状に形成し、前記フロントクランプを両方向に螺子山を有するクランプ移送スクリューによって同時に作動させることにより、ベッドの上面を仮想で2分し、2分された分割面上で一対の工具台とクランプによって二枚の金属板材を同時に加工し、金属板材の裏面加工時、クランピング基準点を常に一定にセットすることができ、両面加工時、両面のV溝が互いにずれることを防止して、製品不良を防止し、一面が加工された状態の金属板材の裏面加工時、金属板材をより容易で便利に移動および回転させることができるので、作業速度の著しい向上はもちろんのこと、1人での単独作業が可能であり、安定した品質を有する金属板材を大量で加工することができる、ツイン工具台とツインクランプを有するV溝加工装置およびV溝加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、V溝加工装置は、平面状の金属板材のような加工物の表面にバイトによる直線溝を形成する装置で、直線溝によって金属板材を折り曲げて目的とする形状の金属角管を得るものである。
すなわち、回転扉または防火扉のような枠体の金属柱体は、通常、物理的特性に優れた金属角管からなるが、板状の金属材を折り曲げて前記金属角管を形成する場合には、折曲角部があまり柔らかく曲げられるので、所期のデザインに設計することができない問題点があるもので、最も普遍的には、折曲線に沿ってV溝加工装置で折曲溝を予め形成した状態とし、この折曲溝に沿って金属板材を折り曲げると、折曲角部のラウンド部が大きく縮小しながらも金属材が易しく折り曲げられるので、大部分の折曲角管には前記のようなV溝加工法を用いている。
【0003】
前述したような一般のV溝加工装置は、図1に示すように、本体100の上面にベッド101が備えられ、本体100の両側には、ベッド101の上側で移動する往復台102が装着されるガイドレール103が備えられ、前記往復台102には、移送スクリュー104によって左右に移動する工具台105が装着され、前記ベッド101の長手方向側面には、セッティングブロック109上に複数のサイドクランプ106が位置し、前記ベッド101の一側には単一のフロントクランプ107が位置し、前記それぞれの作動器機を制御するコントロールボックス108が往復台102の上部一側に備えられる。
【0004】
このように構成された従来のV溝加工装置の概略的な作動関係を説明する。
図2aに示すように、まず、ベッド101の一側面に金属板材110を載せることになる。この際、金属板材110のセッティング基準点はサイドクランプ106とフロントクランプ107の交点に金属板材110の一側コーナーを位置させてベッド101の一側のセッティングブロック109を基準として載置してセットすることになる。
【0005】
セッティングブロック109の側面に金属板材110を密着させて載置させた状態で、サイドクランプ106とフロントクランプ107を作動させることにより、金属板材110がベッド101上で遊動せずに堅くクランピングされる。
このように金属板材110がクランピングされると、工具台105が作動して金属板材110の表面にV溝を形成することになる。この際、工具台105の下降と同時に往復台102が往復しながら前記金属板材110の表面を切削してV溝を形成する。ここで、コントロールボックス108に入力された数値によって、単一または複数のV溝が形成される。
【0006】
このように金属板材110の上面の加工が終了すると、前記金属板材110の背面を加工することになる。前記金属板材110の背面を加工するためには、金属板材110を単に回転させて裏返すことでなく、最初のセッティング基準点を一致させるために、ベッド101を基準としてX軸上で1次に回転させた後、Y軸上で2次に回転させることで、ベッド101のセッティング基準点に載置させることになる。
【0007】
すなわち、前記のようなV溝加工装置は、比較的大きな長さおよび幅を有する金属板材を加工するためのもので、ベッドの大きさはおよそ幅1600mmおよび長さ5200mmを有するので、大きくは5メートル程度の金属板材を加工することもある。
【0008】
しかし、前記のように、金属板材110の長さが長い場合には、金属板材の原板加工時、直線面の直線度が正確に維持されない問題点がある。
金属板材110を得るための母材から前記のような大きさの金属原板を切断して生産することになるが、母材の切断作業時、せん断抵抗力および摩擦抵抗力、引張抵抗力が複合的に作用するため、長手方向の切断面は直線状に形成されなく、図2bに示すように、膨らんでいる形態の曲線状に形成される(肉眼で易しく確認するために、やや誇張した切断面を持っている)。
【0009】
このような曲線状の切断面は肉眼で易しく確認し得るほどではなくて使用上の差し支えはないが、前記のように、V溝加工装置にセットさせなければならない場合には、一側は膨らんでいる切断面を有するが、他側は凹んでいる切断面を有するので、両側を同一基準面にセットさせると、膨らんでいる切断面によって相違する位置および角度に金属板材110が載置される問題点がある。
【0010】
したがって、前記のように上面が一次加工された金属板材110をすぐ裏返して背面を加工することでなく、図示のように、ベッドを基準としてX軸上で1次回転させた後、図2cに示すように、Y軸上で再び回転させることで、上面を加工するために使用した基準面をさらに背面加工のための基準面として使用することにより、図2dに示すように、正確な位置のV溝を加工するために、金属板材をセット出来ることになる。
【0011】
金属板材110のほかのセッティング方法は、前記のようなX軸上での1次回転およびY軸上での2次回転によることなく、二人が向かい合って金属板材110の両側を握り、ベッド101の上面で垂直方向に180゜回転させた後、金属板材110をベッドのX軸上でさらに回転させることで、セッティングブロックに側端を合わせてセットする方法もある。
しかし、前記のような金属板材のセッティング方法およびこれによる加工作業は、過多な作業人員および作業時間が要求される問題点がある。
【0012】
通常、金属板材に形成されるV溝の数は1〜10本で、自動でV溝を加工する時間はあまり長くかからないが、前記のように金属板材の1次回転および2次回転によるセッティング時間が大きくかかるので、全体として非常に非効率的な作業となってしまう。
また、一人で金属板材を回転させることができなく、金属板材はたいてい長さが非常に長くて、二人または四人が金属板材を持って回転させなければならないので、同時に多くの作業人員が要求されて、人件費の上昇および製作原価の上昇のような不可避の問題点を持っているものである。
【0013】
また、V溝加工装置の実在作業時間より、金属板材を回転セッティングシする時間がもっと長く必要となるため、加工装置の効率的な使用ができず、一日の生産量も非常に低いため、高価の装置を活用するのに非常に非合理的なものである。
【0014】
場合によっては、金属板材を垂直に立てて回転させる方法もある。この方法は、作業場内部の天井高さが非常に高くなければならないが、大部分の作業場では、加工装置のベッド高さと金属板材の全長に相当する十分な室内高を持っていないことはもちろんのこと、非常に長い金属板材の場合は、これを垂直に立てて回転させる場合、多くの人員が同時に投入されなければならず、金属板材が曲がり易い問題点もあるため、このような方法は使用されていない。
【特許文献1】特開2005−052850号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、V溝加工装置のベッドの長手方向両側にセッティングブロックをそれぞれ対向して備え、これらセッティングブロックには長手方向に連続して形成されたサイドクランプをそれぞれ備え、前記ベッドの一方向一側には一対のフロントクランプを備え、これを両方向に螺子山を有するクランプ移送スクリューに結合して同時に移動させ、V溝加工装置の往復台には一対の工具台を離隔して装着し、これを両方向に螺子山を有する工具台移送スクリューに装着して、前記フロントクランプと同一幅で同時に近接または離隔して作動することにより、単一ベッド上で二枚の金属板材を同時に加工することができるようする。
【0016】
このようにして、一面の加工後に他側面の加工時、ベッドのX軸上で1回転して他側セッティングブロックに載置させることで同一セッティング点を得ることができるので、単一回転のみでも一定で安定したV溝を得ることができ、金属板材の回転作業が相対的に簡便で1人での単独作業が可能であるので、作業人員の減縮が可能であり、同時に二枚の金属板材を加工しながらも金属板材のセッティング時間が大きく減少するので、生産量が飛躍的に増大して生産原価を節減し、高価の加工装置をより効率的に活用することができる非常に経済的な効果のあるツイン工具台とツインクランプを有するV溝加工装置およびV溝加工方法を提供することに本発明の目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、第1の発明によれば、ベッドの中心を基準として両側に対向して分割された一対のセッティングブロックおよびこれらに対応するサイドクランプを有するサイドセッティング手段と、前記ベッドの一側端の可逆クランプモーターによって回転する両方向螺子山を有するクランプスクリューおよびこれに螺合された一対のフロントクランプを有するクランプ移送手段と、ベッド上の往復台に結合され、可逆移送モーターによって回転する両方向螺子山を有する工具台スクリューおよびこれに装着された一対の工具台を有する工具台移送手段とからなる、ツイン工具台とツインクランプを有するブイ溝加工装置が提供される。
【0018】
また、上記課題を解決するための第2の発明によれば、金属板材の長手方向一側面をセッティング基準面とし、二枚の金属板材の同一切断側面をベッドの縦方向両側に形成されたセッティングブロックに密着し、サイドクランプでこれらを対向してクランピングし、互いに対向して作動する一対のフロントクランプで金属板材の加工開始端部をそれぞれクランピングし、前記フロントクランプの垂直上側に位置し前記フロントクランプと同一移送量で互いに対向して作動する工具台によって、前記それぞれの金属板材の上面にV溝を1次に形成し、クランピングを解除した後、上面の加工されたそれぞれの金属板材を、ベッドの長手方向を縦軸として回転させて他側のセッティングブロックに基準面を位置させてセッティングおよびクランピングすることにより、加工されていない下面が上側に露出するようにし、復帰した工具台によって、それぞれの金属板材の下面にV溝をさらに形成して、同一なV溝の角度、間隔および位置を有する一対の金属板材を同時に完成する、ツイン工具台とツインクランプを有するV溝加工装置による金属板材のV溝加工方法が提供される。
【発明の効果】
【0019】
以上のような本発明に係るツイン工具台とツインクランプを有するV溝加工装置およびV溝加工方法は、単一ベッド上に二枚の金属板材を同時に加工することができ、一側面加工後に他側面加工時、ベッドのX軸上で1回転して他側のセッティングブロックにセットして載置することで同一セッティング点を得ることができるので、ただ1回転だけでも一定で安定したV溝を得ることができる。
【0020】
また、金属板材の回転作業が相対的に簡便で1人単独作業が可能であるので、作業人員の減縮が可能であり、同時に二枚の金属板材を加工しながらも金属板材のセッティング時間が大きく減少するので、その生産量が飛躍的に増大して生産原価が節減され、高価の加工装置をより効率的に活用することができるので、非常に経済的な効果があるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図3は本発明によるV溝加工装置の全体概略斜視図、図4は本発明によるV溝加工装置の平面図である。
本発明によるV溝加工装置は、本体10の上面に長方形のベッド20が設けられ、ベッド20の一側のセッティングブロック30には複数のサイドクランプ40、40’が設けられ、前記ベッド20の一端には別途のフロントクランプ50が設けられ、前記ベッド20の上部で移動する往復台60には左右に移動する工具台70が装着される。
【0022】
前記ベッド20の両側端に対向のセッティングブロック30、30’がそれぞれ設けられ、セッティングブロック30、30’には、油圧シリンダー41によって昇降する複数のサイドクランプ40、40’が対向して設けられる。
前記ベッド20の一端にはほかの油圧シリンダー51によって昇降する一対のフロントクランプ50、50’が離隔して設けられ、それぞれのフロントクランプ50、50’は、本体10の内側に内蔵され、一端のクランプ可逆モーター52によって回転され、中央を基準に両方向に螺子山が形成されたクランプ移送スクリュー53に螺合されて同時に作動される。
【0023】
前記往復台60には、底部にバイト71を有する一対の工具台70、70’が離隔して装着され、それぞれの工具台70、70’は、往復台60に装着され、一端の工具台可逆モーター72によって回転され、中央を基準に両方向に螺子山が形成された工具台移送スクリュー73に螺合されて同時に作動される。
前記往復台60の一側先端に位置したコントロールボックス80から動力を受けてクランプ可逆モーター52および工具台可逆モーター72が作動すれば、前記一対のフロントクランプ50、50’と一対の工具台70、70’が同一離隔幅で同時に近接/離隔作動して、一対の金属板材100、100’に同時にV溝を形成するように構成され、前記ベッド20の他端には本体10の上面から陥没状のチップ収集箱90が設けられる。
【0024】
続いて、このような構成による本発明のV溝加工装置を用いる、本発明のV溝加工方法を添付図面に基づいて説明する。
まず、本体10の上側のベッド20は、その中央を仮想線で分割し、両側に対称状のセッティングブロック30、30’とサイドクランプ40、40’がそれぞれ装着される。前記セッティングブロック30、30’は、金属板材100、100’の基準面をそれらに密着させて安定したV溝加工寸法を得るためのものである。
【0025】
前記サイドクランプ40、40’は、基準面がセットされた金属板材100、100’をクランピングして遊動できないようにするためのものである。前記サイドクランプ40、40’は別途の油圧シリンダー41によってそれぞれ昇降する構造を有するもので、油圧シリンダー41の先端にサイドクランプ40、40’が位置し、サイドクランプ40、40’はセッティングブロック30、30’の上部各一側に露出することによって、ベッド20の上部一側に載せられた金属板材100、100’を油圧シリンダー41の作動によるサイドクランプ40、40’の下降によって堅くクランピングすることができる構造を有する。
【0026】
図5は本発明によるV溝加工装置のフロントクランプ部を拡大して示す斜視図である。
一対のフロントクランプ50、50’は本体10の内部に内蔵されたクランプ移送スクリュー53に装着され、そのクランプ移送スクリュー53の回転によって同時に近接または離隔作動するものである。
【0027】
前記クランプ移送スクリュー53はその中央を基準として両方向に螺子山が形成されているので、クランプ移送スクリュー53が一端のクランプ可逆モーター52の作動によって回転すると、これに装着された一対のフロントクランプ50、50’が螺子山の形成方向によって同時に近接または離隔することになるものである。
このように、互いに反対方向に同時に移動する一対のフロントクランプ50、50’には油圧シリンダー51が装着されており、油圧シリンダー51の作動によってクランプ50、50’の先端が昇降するので、クランプ先端の昇降によって、加工しようとする金属板材100、100’をクランピングすることができる。
【0028】
図6は本発明によるV溝加工装置の往復台および工具台を拡大して示す斜視図である。
一対の工具台70、70’は往復台60を横切って横方向に固定された工具台移送スクリュー73に装着されている。工具台移送スクリュー73の回転によって、一対の工具台70、70’が同時に近接または離隔するようになっている。
【0029】
前記工具台移送スクリュー73は、中央を基準に両方向に相違なる方向の螺子山が形成されているので、工具台移送スクリュー73に装着された一対の工具台70、70’は、工具台移送スクリュー73の回転時、互いに異なる方向に近接または離隔することになる。
前記工具台移送スクリュー73は、往復台60の一側に内蔵された別途の工具台可逆モーター72から動力を受けて回転されるものである。
また、前記工具台70、70’の下部に装着されたバイト71はその切削端部で金属板材100、100’の表面を切削するもので、望ましくは相違する長さを有する三つのバイトを切削方向に連続装着して、深みの異なる切削を順次行うことにより、安定で滑らかなV溝を加工するものである。
【0030】
前記のようなV溝加工装置を利用して金属板材100、100’にV溝を形成しようとする場合、まず、加工しようとする一対の金属板材100、100’をベッド20の両側セッティングブロック30、30’に密着させてその基準面を決定する。
この際、金属板材100、100’は同一の切断装置によって切断されているので、一側が膨らんでおり他側が凹んでいる形態を持っていると言っても、みんな同一形態を有することになる。
【0031】
したがって、図7aに示すように、前記金属板材100、100’のいずれか一枚の金属板材100は凹んでいる切断面を一側のセッティングブロック30に密着させて遊動しないようにし、ほかの一枚の金属板材100’は回転させて、その凹んでいる切断面が他側のセッティングブロック30に密着させてセットする。
【0032】
これにより、ベッド20の上部には、同一側の切断面を基準として、二枚の金属板材100、100’が両側のセッティングブロック30、30’に密着しており、それぞれの金属板材100、100’はみんな同一の上面が上側に露出することになる。
このような状態で、サイドクランプ40、40’の油圧シリンダー41に油圧を印加することにより、それぞれの金属板材100、100’をクランピングすれば、遊動せずに堅く固定された状態となる。
【0033】
このようなサイドクランプ40、40’による金属板材100、100’の固定が完了すれば、往復台60の一側に形成されたコントロールボックス80の入力数値によって、一対の工具台70、70’がベッド20のY軸上で移動して加工位置を調整し、加工位置の調整が終了した後は、フロントクランプ50、50’の油圧シリンダー51に油圧が印加されることにより、V溝を形成しようとする金属板材100、100’の作業部分でそれぞれの金属板材100、100’の端部をクランピングして作業待機状態となる。
【0034】
この際、フロントクランプ50、50’の作業位置調整は、クランプ移送スクリュー53の回転によってなされるが、両方向に螺子山を有するクランプ移送スクリュー53によって前記一対のフロントクランプ50、50’は同一移動量で互いに反対方向に移動することになる。
このような作業待機状態で、往復台60がベッド20の他側に移動すれば、工具台70、70’内に装着されたバイト71によって、金属板材100、100’の表面にV溝を形成することになる。
【0035】
このようなV溝の切削段階で発生する金属板材100、100’のチップは本体10の上部一側に陥没状に形成されたチップ収集箱90に収集除去されるので、一層便利に切削チップを収集除去して処理することができる。
この際、前記フロントクランプ50、50’と工具台70、70’は同一移動量で同時に近接または離隔することにより、同一回転量で移動するクランプ移送スクリュー53と工具台移送スクリュー73によって常に同一間隔で互いに対向して移動することになる。
【0036】
よって、二枚の金属板材100、100’は、凹んでいる切断面を基準として、同一数値に加工された対称状のV溝を有することになるので、二枚の金属板材100、100’は正確に一致するV溝の位置および間隔を有することになる。
このように、上面のV溝が形成されれば、往復台60および工具台70、70’は初期待機位置に復帰し、サイドクランプ40、40’とフロントクランプ50、50’が解除されることにより、金属板材100、100’は遊動可能な状態となる。
【0037】
下面を加工するためには、それぞれの金属板材100、100’を回転させて他側のセッティングブロック30、30’に密着して固定することになる。
この時、図7bに示すように、一枚の金属板材100をベッド20の長手方向を縦軸として回転させることで、凹んでいる切断面が他側のセッティングブロック30’に位置してクランピングされ、ほかの一枚の金属板材100もベッド20の長手方向を縦軸として回転させることで、凹んでいる切断基準面が反対側のセッティングブロック30に位置することになる。
【0038】
このように、相違する位置のセッティングブロック30、30’に金属板材100、100’の切断基準面が密着してセッティングされると、上面を加工する前の状態と同一基準線にセッティングされる効果が得られるので、従来のように二回以上回転させるかまたは垂直方向に立てて回転させなくてもよいものである。
したがって、前記のように、ただ一回転の動作によって同一基準線にセッティングされたそれぞれの金属板材100、100’は、サイドクランプ40、40’とフロントクランプ50、50’および往復台60の作動によってクランピングされ、続いて、図7cに示すように、折曲のためのV溝が加工される。
【0039】
このように、上下面にV溝がそれぞれ形成された金属板材100、100’は一回の作業でも同一形態の金属板材100、100’が同時に生産されるので、生産力が大きく増大し、作業中に金属板材100、100’を回転させる動作も大きく簡素化されるので、これによる作業時間の短縮も可能になる。
このことから、作業生産量は少なくは300%、多くは400%以上増加することが分かる。
【0040】
図8は前記のように上下面にV溝が形成された金属板材100、100’を折り曲げて形成した金属角管を示すもので、同一基準面によってV溝が形成されているので、接合断面が傾斜状に形成されるか、下端が突出するかまたはずれるなどの問題点が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】一般のV溝加工装置の概略斜視図である。
【図2a】従来のV溝加工装置に金属板材を載置させた後の上面加工工程図である。
【図2b】従来のV溝加工装置によって上面が加工された金属板材の下面を加工するために1次回転させた状態を示す工程図である。
【図2c】従来のV溝加工装置によって上面が加工された金属板材の下面を加工するために2次回転させた状態を示す工程図である
【図2d】従来のV溝加工装置によって、回転された金属板材を裏返して載置させた状態を示す工程図である。
【図3】本発明によるV溝加工装置の全体斜視図である。
【図4】本発明によるV溝加工装置の平面図である。
【図5】本発明によるV溝加工装置のフロントクランプ部の拡大斜視図である。
【図6】本発明によるV溝加工装置の往復台部の拡大斜視図である。
【図7a】本発明V溝加工装置による金属板材の上面加工工程図である。
【図7b】上面が加工された金属板材を移動する状態を示す工程図である。
【図7c】移動された金属板材の下面を加工する状態を示す工程図である。
【図8】本発明によって完成された金属角管の拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0042】
10 本体
20 ベッド
30、30’ セッティングブロック
40、40’ サイドクランプ
41 油圧シリンダー
50、50’ フロントクランプ
51 油圧シリンダー
52 クランプ可逆モーター
53 クランプ移送スクリュー
60 往復台
70、70’ 工具台
71 バイト
72 工具台可逆モーター
73 工具台移送スクリュー
80 コントロールボックス
90 チップ収集箱
100、100’ 金属板材
























【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体10の上面に長方形のベッド20が設けられ、ベッド20の一側のセッティングブロック30,30’には複数のサイドクランプ40、40’が設けられ、前記ベッド20の一端には別途のフロントクランプ50,50’が設けられ、前記ベッド20の上部で移動する往復台60には左右に移動する工具台70が装着されるブイ溝加工装置において、
前記ベッド20の両側端に対向のセッティングブロック30、30’がそれぞれ設けられ、セッティングブロック30、30’には、油圧シリンダー41によって昇降する複数のサイドクランプ40、40’が対向して設けられ、前記ベッド20の一端には、ほかの油圧シリンダー51によって昇降する一対のフロントクランプ50、50’が離隔して設けられ、それぞれのフロントクランプ50、50’は、本体10の内側に内蔵され、一端のクランプ可逆モーター52によって回転され、中央を基準として両方向に螺子山が形成されたクランプ移送スクリュー53に螺合されて同時に作動され、前記往復台60には、底部にバイト71を有する一対の工具台70、70’が離隔して装着され、それぞれの工具台70、70’は、往復台60に装着され、一端の工具台可逆モーター72によって回転され、中央を基準として両方向に螺子山が形成された
工具台移送スクリュー73に螺合されて同時に作動され、前記往復台60の一側先端に位置したコントロールボックス80から動力を受けてクランプ可逆モーター52および工具台可逆モーター72が作動すれば、前記一対のフロントクランプ50、50’と一対の工具台70、70’が同一離隔幅で同時に近接または離隔して、一対の金属板材100、100’に同時にV溝を形成するように構成され、前記ベッド20の他端には、本体10の上面から陥没状のチップ収集箱90が設けられることを特徴とする、ツイン工具台とツインクランプを有するブイ溝加工装置。
【請求項2】
金属板材の長手方向一側面をセッティング基準面とし、二枚の金属板材の同一切断側面をベッドの縦方向両側に形成されたセッティングブロックに密着し、サイドクランプでこれらを対向してクランピングし、互いに対向して作動する一対のフロントクランプで金属板材の加工開始端部をそれぞれクランピングし、前記フロントクランプの垂直上側に位置し前記フロントクランプと同一移送量で互いに対向して作動する工具台によって、前記それぞれの金属板材の上面にV溝を1次に形成し、クランピングを解除した後、上面の加工されたそれぞれの金属板材を、ベッドの長手方向を縦軸として回転させて他側のセッティングブロックに基準面を位置させてセッティングおよびクランピングすることにより、加工されていない下面が上側に露出するようにし、復帰した工具台によって、それぞれの金属板材の下面にV溝をさらに2次形成して、同一なV溝の角度、間隔および位置を有する一対の金属板材を同時に完成することを特徴とする、ツイン工具台とツインクランプを有するV溝加工装置による金属板材のV溝加工方法。



















【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−239855(P2006−239855A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−27972(P2006−27972)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【出願人】(506041741)
【氏名又は名称原語表記】Lee,Sang Hoon
【住所又は居所原語表記】305−902Samsung APT,Pungyeon−maeul 806 Bukbyon−dong,Gimpo−city,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】