説明

テレビ台

【課題】扉体を備えたテレビ台において、この扉体を開くときのこの扉体の自由端と前記前面との間の距離を過大なものとしないようにする。
【解決手段】扉体Dは、その自由端部7側に閉じ位置において本体Bに備えられた係止部5に係止される被係止部8を有し、自由端部7に対向する端部9側にその開閉動作を制御する第一軸部11を有し、この第一軸部11と被係止部8との間にその開閉動作を制御する第二軸部10を有している。本体Bの内部に、左右方向に続く第一溝部6aと、この第一溝部6aの一端6bから本体Bの奥に続く第二溝部6dとを備えてなるガイド部6が形成されている。扉体Dの閉じ位置において、第二軸部10がガイド部6における第一溝部6a内に位置され、かつ、第一軸部11が第一溝部6aと第二溝部6dとの連通箇所内に位置されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はテレビ台の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
扉板によって塞がれる開放された前面を備えたテレビ台にあっては、この扉板を開くときのこの扉板の自由端とテレビ台の前面との間の距離はこの扉板を開くに連れて大きくなる。特に、テレビ台は、近年のテレビの大画面化により、その寸法を大きくする傾向にあり、垂直軸を中心に片開きあるいは両開きされる扉板を備えたテレビ台にあっては、その寸法が大きくなると扉板の寸法も大きくなることから、これを開くときの扉板の自由端とテレビ台の前面との間の距離、及び、扉板を開ききった位置でのテレビ台からの扉板の突きだし寸法は、著しく 過大となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、開放された前面を塞ぐ扉板を備えたテレビ台において、この扉体を開くときのこの扉体の自由端と前記前面との間の距離を過大なものとしないようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、テレビ台を、天板部と底板部と左右側板部とを有し前面を開放させた本体と、この前面を塞ぐ扉体とを備えたテレビ台であって、
扉体は、その自由端部側に閉じ位置において本体に備えられた係止部に係止される被係止部を有し、
前記自由端部に対向する端部側にその開閉動作を制御する第一軸部を有し、
この第一軸部と被係止部との間にその開閉動作を制御する第二軸部を有しており、
本体の内部に、左右方向又は上下方向に続く第一溝部と、この第一溝部の一端から本体の奥に続く第二溝部とを備えてなるガイド部が形成されており、
扉体の閉じ位置において、第二軸部がガイド部における第一溝部内に位置され、かつ、第一軸部が第一溝部と第二溝部との連通箇所内に位置されるようになっているものとした。
【0005】
閉じ位置にある扉板は、被係止部を係止部に係止させ、かつ、第二軸部をガイド部の第一溝部に納めることでこの閉じ位置に安定的に位置づけられる。前記係止を解いて扉板を開き位置に向けて回動操作すると扉板は第二軸部を中心に第一軸部をガイド部の第二溝部に入り込ませる向きに回動され、この回動量が増えるに従って第二軸部は第一溝部の一端に近づき、第一軸部は第二溝部の奥端に近づく向きに移動される。これによって、本体の前面と扉体の自由端部との間の距離が扉体が開かれるときに過大とならないようにすることができる。
【発明の効果】
【0006】
この発明にかかるテレビ台にあっては、開放された前面を塞ぐ扉板を開くときのこの扉体の自由端と前記前面との間の距離をできるだけ小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は実施の形態にかかるテレビ台(第一例)の斜視構成図である。
【図2】図2は第一例の右側の扉板と本体の底板部の一部とを分離して表した斜視構成図である。
【図3】図3は第一例の本体の天板部を破断した状態で示した平面構成図であり、扉板は閉じ位置にある。
【図4】図4は図3の状態から扉板を開き位置に向けて移動させる途中の状態を示した第一例の平面構成図である。
【図5】図5は扉板が開き位置にある状態の第一例の平面構成図である。
【図6】図6は扉板を閉じ位置から上側に開かれる扉板としたテレビ台(第二例)の分解斜視構成図である。
【図7】図7は第二例の縦断面構成図であり、扉板は閉じ位置にある。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1〜図7に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。この実施の形態にかかるテレビ台は、その本体Bの開放された前面を塞ぐ扉体Dを備えたものである。かかる扉体Dは、本体Bの前記前面を完全に閉塞させた閉じ位置とこの前面をもっとも広く開放させた開き位置との間に亘った移動可能に本体Bに組み合わされている。そして、この実施の形態にかかるテレビ台にあっては、本体Bの前面と扉体Dの自由端部7との間の距離を、扉体Dが前記開き位置に近づけば近づくほど大きくさせないように、あるいは、設定によってはかかる開き位置において扉体Dの自由端部7を本体Bの前面と略同じ位置に位置させることができるように、なっている。
【0009】
本体Bは、天板部1と底板部2と左右の側板部3、3とを有し前面を開放させている。図示の例では本体Bの背面は開放されているが背板により閉塞されていても構わない。図示の例では、天板部1と底板部2は左右方向に長く前後方向に短く長方形状をなしている。また、図示の例では、天板部1と底板部2とは平行をなし、側板部3、3はこれらに直角をなしている。側板部3、3は上下寸法を前後寸法よりも小さくしている。これにより、本体Bは、左右方向に長く上下方向に短い、前面開放部4を有している。
【0010】
扉体Dは、板状をなし、閉じ位置において、前記前面開放部4を塞ぐように構成される。図示の例では、扉体Dは、閉じ位置において側板部3、3に直交するように位置づけられて、前記前面開放部4を塞ぐようになっている。
【0011】
図1〜図5に示される第一例では、左右の扉体D、Dによって、本体Bの前面開放部4を塞ぐようになっている。(図3)すなわち、この第一例に示されるテレビ台は、観音開きの扉体Dを備えている。開き位置においては、左側の扉体Dはその一部を左側の側板部3の内面に添わせてこれと平行をなし、右側の扉体Dはその一部を右側の側板部3の内面に添わせてこれと平行をなす。(図4)この第一例では、左右の扉体D、Dはそれぞれ、前面開放部4を左右に二分した面積と略等しい面積を備えている。図示は省略するが、閉じ位置から右側又は左側に開かれる一枚の扉体Dによりかかる前面開放部4を塞ぐようにしても構わない。(片開き)
【0012】
一方、図6及び図7に示される第二例では、閉じ位置から上側に開かれる一枚の扉体Dにより本体Bの前面開放部4を塞ぐようになっている。開き位置においては、扉体Dはその一部を天板部1の下面に添わせてこれと平行をなす。
【0013】
かかる扉体Dは、第一に、その自由端部7側に閉じ位置において本体Bに備えられた係止部5に係止される被係止部8を有し、第二に、前記自由端部7に対向する端部9側にその開閉動作を制御する第一軸部11を有し、第三に、この第一軸部11と被係止部8との間にその開閉動作を制御する第二軸部10を有している。
【0014】
前記第一例では、第一軸部11及び第二軸部10は、扉体Dの上辺12と下辺13とにそれぞれ備えられている。扉体Dの上辺12に備えられる第一軸部11及び第二軸部10はこの上辺12から上方に突き出し、扉体Dの下辺13に備えられる第一軸部11及び第二軸部10はこの下辺13から下方に突き出している。また、扉体Dの上辺12に備えられる第一軸部11と扉体Dの下辺13に備えられる第一軸部11とは仮想の一つの垂直線上にその軸中心線を位置させ、扉体Dの上辺12に備えられる第二軸部10と扉体Dの下辺13に備えられる第二軸部10とは仮想の他の一つの垂直線上にその軸中心線を位置させるようになっている。
【0015】
一方、前記第二例では、第一軸部11及び第二軸部10は、扉体Dの左辺14と右辺15とにそれぞれ備えられている。扉体Dの左辺14に備えられる第一軸部11及び第二軸部10はこの左辺14から側方に突き出し、扉体Dの右辺15に備えられる第一軸部11及び第二軸部10はこの右辺15から側方に突き出している。また、扉体Dの左辺14に備えられる第一軸部11と扉体Dの右辺15に備えられる第一軸部11とは仮想の一つの水平線上にその軸中心線を位置させ、扉体Dの左辺14に備えられる第二軸部10と扉体Dの右辺15に備えられる第二軸部10とは仮想の他の一つの水平線上にその軸中心線を位置させるようになっている。
【0016】
図示の例では、扉体Dを構成する板体16(図示の例ではガラス板)の縁部を内側に納めてこの縁部に取り付けられる幅方向断面をコ字状とするチャンネル材17の背部17aの外側に、この背部17aに直交する向きに突き出す円柱状の突起をこのチャンネル材17の長さ方向に間隔を開けて二箇所に設け、この二箇所の突起によって前記第一軸部11と第二軸部10とを構成させるようにしている。
【0017】
また、前記第一例では、被係止部8は、扉体Dの自由端部7の上隅において前記板体16に取り付けられた強磁性材料から構成された吸着プレートによって構成されている。これに対する係止部5は、本体Bの前面開放部4の左右方向中程の位置において天板部1の内側に備えられて扉体Dの閉じ位置において前記吸着プレートを磁気吸着するマグネットキャッチによって構成されている。かかる係止部5は図示の構成のものに限られるものではなく、公知の各種のドアキャッチやドアラッチなどを利用することができる。
【0018】
また、前記第二例では、被係止部8は、扉体Dの自由端部7の左右方向中程の位置において前記板体16に取り付けられた強磁性材料から構成された吸着プレートによって構成されている。これに対する係止部5は、本体Bの前面開放部4の左右方向中程の位置において底板部2の内側に備えられて扉体Dの閉じ位置において前記吸着プレートを磁気吸着するマグネットキャッチによって構成されている。
【0019】
そして、この実施の形態にあっては、かかる扉体Dの第一軸部11及び第二軸部10を、本体Bの内部に形成されたガイド部6に納めることで、扉体Dと本体Bとを組み合わせている。
【0020】
かかるガイド部6は、左右方向又は上下方向に続く第一溝部6aと、この第一溝部6aの一端6bに連通してこの一端6bから本体Bの奥(背面側)に続く第二溝部6dとを備えてなる。そして、前記扉体Dの閉じ位置において、第二軸部10がガイド部6における第一溝部6a内に位置され、かつ、第一軸部11が第一溝部6aと第二溝部6dとの連通箇所内に位置されるようになっている。
【0021】
前記第一例では、ガイド部6は、本体Bの天板部1及び底板部2の内面に形成されている。この第一例では、本体Bの左側に左側の扉体Dに対するガイド部6が形成されていると共に、本体Bの右側に右側の扉体Dに対するガイド部6が形成されている。扉体Dの上辺12に備えられる第一軸部11及び第二軸部10が天板部1のガイド部6に納められ、扉体Dの下辺13に備えられる第一軸部11及び第二軸部10が底板部2のガイド部6に納められている。第一溝部6aは本体Bの前面開放部4の開放縁部に形成され左右方向に延びている。この第一溝部6aの前記一端6b、具体的には、左側の第一溝部6aの左端は左側の側板部3と底板部2とが接し合う箇所近傍に位置し、また、右側の第一溝部6aの右端は右側の側板部3と底板部2とが接し合う箇所近傍に位置している。また、左側の第二溝部6dは左側の側板部3に略平行をなすように後方に延び、右側の第二溝部6dは右側の側板部3に略平行をなすように後方に延びている。左右の第二溝部6dの長さは、第一軸部11と第二軸部10との間の距離より長く、かつ、扉体Dの自由端部7とこれに対向する端部9との間の距離(扉体Dの横寸法)よりも小さくなっている。第一溝部6a及び第二溝部6dの溝幅は第一軸部11及び第二軸部10をガタ少なく納めるように設定される。また、第一溝部6aと第二溝部6dとがなす角度は、図示の例では両者の連通箇所に形成される隅部の内側において略90度となっているが、この角度はテレビ台の形状などに応じて、適宜選択される。
【0022】
閉じ位置にある扉体Dは、被係止部8を係止部5に係止させ、かつ、第二軸部10をガイド部6の第一溝部6aに納めることでこの閉じ位置に安定的に位置づけられる。前記係止を解いて扉体Dを開き位置に向けて回動操作すると扉体Dは第二軸部10を中心に第一軸部11をガイド部6の第二溝部6dに入り込ませる向きに回動され、この回動量が増えるに従って第二軸部10は第一溝部6aの一端6bに近づき、第一軸部11は第二溝部6dの奥端に近づく向きに移動される。これによって、本体Bの前面と扉体Dの自由端部7との間の距離を、扉体Dが前記開き位置に近づけば近づくほど、大きくなることがないようにしている。
【0023】
図示の例では、第二軸部10が第一溝部6aの一端6bに位置された位置から、第二溝部6dに沿って奥方に扉体Dをスライド移動させることができるようになっており、前記開き位置における扉体Dの自由端部7と本体Bの前面との間の距離を一層小さくできるようになっている。(図5)かかる第二溝部6dの全長をより長くすれば、前記開き位置から扉体Dを奥方にスライド移動させきることで扉体Dの自由端部7と本体Bの前面とを略同じ位置に位置させることができる。
【0024】
図5に示される状態から扉体Dを閉じ位置に向けて移動させると、第二軸部10が第一溝部6aの一端6bに至るまでは扉体Dは本体B内から前方にスライド移動され、第二軸部10が第一溝部6aの一端6bに至った後は第二軸部10を第一溝部6aの溝他端6c側に徐々に移動させながらこの第二軸部10を中心として回動され、これに伴って第一軸部11は徐々に前方に移動し、扉体Dは前記閉じ位置に復帰される。(図3)
【0025】
前記第二例では、ガイド部6は、本体Bの左右の側板部3、3の内面にそれぞれ形成されている。扉体Dの左辺14に備えられる第一軸部11及び第二軸部10が左側の側板部3のガイド部6に納められ、扉体Dの右辺15に備えられる第一軸部11及び第二軸部10が右側の側板部3のガイド部6に納められるようになっている。第一溝部6aは本体Bの前面開放部4の開放縁部に形成され上下方向に延びている。この第一溝部6aの前記一端は側板部3と天板部1とが接し合う箇所近傍に位置している。また、第二溝部6dは天板部1に略平行をなすように後方に延びている。この第二例においても、第二溝部6dの長さは、第一軸部11と第二軸部10との間の距離より長く、かつ、扉体Dの自由端部7とこれに対向する端部9との間の距離(扉体Dの上下寸法)よりも小さくなっている。
【符号の説明】
【0026】
B 本体
D 扉体
5 係止部
6 ガイド部
6a 第一溝部
6b 一端
6d 第二溝部
7 自由端部
8 被係止部
9 端部
10 第一軸部
11 第二軸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板部と底板部と左右側板部とを有し前面を開放させた本体と、この前面を塞ぐ扉体とを備えたテレビ台であって、
扉体は、その自由端部側に閉じ位置において本体に備えられた係止部に係止される被係止部を有し、
前記自由端部に対向する端部側にその開閉動作を制御する第一軸部を有し、
この第一軸部と被係止部との間にその開閉動作を制御する第二軸部を有しており、
本体の内部に、左右方向又は上下方向に続く第一溝部と、この第一溝部の一端から本体の奥に続く第二溝部とを備えてなるガイド部が形成されており、
扉体の閉じ位置において、第二軸部がガイド部における第一溝部内に位置され、かつ、第一軸部が第一溝部と第二溝部との連通箇所内に位置されるようになっていることを特徴とするテレビ台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−186767(P2012−186767A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50257(P2011−50257)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(591135141)株式会社東京巧作所 (2)
【Fターム(参考)】