説明

テレメータ中継システム、及び中継装置

【課題】短時間にデータ収集を行うことができる。
【解決手段】親局と、子局と、前記親局と前記子局との信号を中継する中継局と、を有するテレメータ中継システムにおいて、前記中継局は、信号を受信する受信部と、前記受信部が受信した信号全体の受信完了前に、前記受信部が受信した前記信号を順次送信する送信部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレメータ中継システム、及び中継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、遠隔地の河川や道路などの状況を、子局(テレメータ;遠隔測定装置)が観測し、子局が観測したデータを、有線/無線回線を通じて親局が収集するテレメトリー(遠隔測定法)が知られている。
テレメトリーを採用したシステム(テレメータシステム)では、一般に子局は固定されている。したがって、テレメータシステムでは、親局、中継局、及び子局の位置関係は予め決定されている。しかしながら、図7に示すように、複数の中継局を有するテレメータシステムでは、子局からの電波が予め決定された中継局(中継局A)以外の中継局にも届いてしまうことがある。このような場合、中継局Aで中継された電波と、それ以外の中継局(中継局B)で中継された電波とが干渉して親局に届いてしまう(オーバーリーチ)。特許文献1には、監視局から送信した呼び出し信号を第1観測局で受信して蓄積し、予め定める基準時間経過後に第2観測局に向けて中継送信する蓄積中継テレメータシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−91106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、データの蓄積を行った後にデータの送信を行うため、子局から親局までの転送に時間がかかってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、短時間にデータ収集を行うことができるテレメータ中継システム、及び中継装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、親局と、子局と、前記親局と前記子局との信号を中継する中継局と、を有するテレメータ中継システムにおいて、前記中継局は、信号を受信する受信部と、前記受信部が受信した信号全体の受信完了前に、前記受信部が受信した前記信号を順次送信する送信部と、を備えることを特徴とするテレメータ中継システムである。
【0007】
(2)また、本発明の一態様は、上記のテレメータ中継システムにおいて、前記テレメータ中継システムは、複数の前記子局を備え、前記中継局は、信号の中継を許可する子局の識別情報のリストを記憶するリスト記憶部と、前記受信部が受信した前記信号に含まれる前記信号の送信元又は送信先の識別情報と前記リストとに基づいて、前記信号を中継すべきか否かを判定する中継判定部と、を備え、前記送信部は、前記中継判定部の判定結果に基づいて、前記信号を順次送信することを特徴とする。
【0008】
(3)また、本発明の一態様は、上記のテレメータ中継システムにおいて、前記中継局は、前記信号を送信する順番を記憶する順番記憶部を備え、前記中継判定部は、前記順番記憶部が記憶する順番に基づいて、前記中継局が前記信号を中継する順番でないと判定した場合は、前記信号を中継しないことを特徴とする。
【0009】
(4)また、本発明の一態様は、上記のテレメータ中継システムにおいて、前記テレメータ中継システムは、複数の前記中継局を備え、前記中継局は、前記受信部が受信した受信した受信信号に基づいて、他の中継局が中継を行ったことを判定する他局中継判定部と、
前記他局中継局判定部が、他の中継局が中継を行ったと判定したときに、前記他の中継局が中継を行った通信の内容に基づいて、前記他の中継局が同一の子局に対して繰り返した中継繰返回数を抽出する再中継判定部と、を備え、前記送信部は、前記再中継判定部が抽出した中継繰返回数に基づいて、自中継局が前記他の中継局に代わって、前記受信部が受信した前記信号を順次送信することを特徴とする。
【0010】
(5)また、本発明の一態様は、親局と子局との信号を中継する中継装置において、信号を受信する受信部と、前記受信部から入力された前記信号の全体の受信完了前に、前記受信部が受信した前記信号を順次送信する送信部と、を備えることを特徴とすることを特徴とする中継装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、短時間にデータ収集を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るテレメータ中継システムの構成を表すブロック図である。
【図2】本実施形態に係るメモリが記憶する情報を示した図である。
【図3】本実施形態に係るメモリが記憶する情報を示した図である。
【図4】本実施形態に係るテレメータ中継システムの動作の一例を示した図である。
【図5】本実施形態に係る効果を示した説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るテレメータ中継システムの動作の一例を示した図である。
【図7】従来例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第1の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本実施形態に係るテレメータ中継システム1の構成を示すブロック図である。
本実施形態に係るテレメータ中継システム1は、親局10、中継局20−1、20−2(中継装置)、及び子局30を含んで構成される。本実施形態では、例として親局10、中継局20−1、20−2、及び子局30の間で同一周波数を用い、ポーリング方式により双方向通信を行う場合について説明する。ここで、ポーリング方式とは、複数の子局のそれぞれに対する送受信の開始の問い合わせを行い通信を確立する方式である。
親局10は、GPS(Grobal Positioning System)101、メモリ102、テレメータ測定システム103、CPU(Central Processing Unit;中央演算部)104、送信機106、及び受信機107を含んで構成される。
【0014】
GPS101は、測定した位置を示す情報をCPU104に出力する。また、GPS101は、衛星から受信した情報に基づいて、時刻情報を生成する。GPS101は、例えば1秒おきに割り込み処理を行って、CPU104に時刻を表す時刻情報を出力する。
メモリ102は、順番情報、カウンタi、及びカウンタrを記録する。メモリ102に記録される情報の詳細は、図面を参照しながら後述する。
テレメータ測定システム103は、各テレメータから送信されたデータを入力され、データ分析処理を行う。
【0015】
CPU104は、GPS101から入力された時刻情報に基づいて、CPU104の内部時計を時刻情報が示す時刻に合わせる。CPU104は、順番情報、カウンタi、及びカウンタrをメモリ102から読み出す。CPU104は、カウンタiと順番情報に基づいて、ポーリング情報を生成する。このポーリング情報には、例えば、データの種類を示す情報が書き込まれる。ポーリング情報の先頭には、子局IDが書き込まれる。ここで、データの種類とは、測定機器303が測定したデータであって、テレメータ測定システムが送信を要求するデータの種類を表す。子局IDとは、各子局に固有の識別番号である。CPU104は、生成したポーリング情報を送信機106に出力する。CPU104は、受信機107から入力された返送データ情報に含まれる測定データ及び子局IDをテレメータ測定システム103に出力する。
【0016】
CPU104は、ポーリング信号の送信から返送データ信号の受信までに費やした時間である経過時間tを計測する。CPU104は、計測した時間が、予め定められたタイムアウト時間Tを超えた場合は、再度ポーリング信号を送信する。CPU104は、経過時間が、予め定められたタイムアウト時間Tを超えなかった場合は、経過時間tを「0」にリセットし、次のポーリング信号送信時から再度経過時間tの計測を開始する。
送信機106は、CPU104から入力された情報を無線信号(例えば、ポーリング信号)に変調して送信する。受信機107は、受信した無線信号(例えば、返送データ信号)を復調してCPU104に出力する。
【0017】
中継局20は、GPS201、メモリ202、CPU204、DSP(Digital Signal Processor)205、送信機206、受信機207、及びスイッチ208を含んで構成される。
【0018】
GPS201は、衛星から受信した情報に基づいて、時刻情報を生成する。
メモリ202(リスト記憶部、中継記憶部)は、自局ID情報、カウンタR、仮中継識別情報、他中継局情報、及び中継識別情報を記憶する。メモリ202に記録される情報の詳細は、図面を参照しながら後述する。CPU204は、GPS201から入力された時刻情報に基づいて、CPU204の内部時計を時刻情報が示す時刻に合わせる。
【0019】
DSP205(中継判定部、再中継判定部、他局中継判定部)は、メモリ202から中継識別情報、他中継局情報、及び仮中継局情報を読み出す。DSP205は、中継識別情報及び仮中継識別情報を参照して、受信機207から入力されたポーリング情報が自局の中継すべき情報であるか否かを判定する。自局が中継すべきと判定した場合には、DSP205は、送信機206にポーリング情報を出力する。DSP205は、他中継局情報に含まれるカウンタRxを参照して、他局に代わって中継を行うか否かを判定する。具体的には、送信機206は、カウンタRxが予め定めた最大ポーリング回数(例えば、2回)に達した後に、他の中継局20が中継すべき子局へのポーリング情報が再度入力された場合に、本来中継すべき他中継局に代わってポーリング信号を送信する。
DSP205は、カウンタRが、予め定めた最大ポーリング回数に達したときは、その子局に対するポーリングを終了する。
【0020】
送信機206は、DSP205、又は受信機207から入力された情報を無線信号に変調し送信する。受信機207は、受信した無線信号を復調してDSP205又は送信機206に送信する。スイッチ208は、CPU204から入力されたスイッチ制御情報に基づいて、スイッチをDSP205側又は送信機206側に接続する。
【0021】
子局30は、GPS301、メモリ302、測定機器303、CPU304、送信機306、及び受信機307を含んで構成される。
GPS301は、衛星から受信した情報に基づいて、時刻情報を生成する。
メモリ302は、子局IDを記録する。
測定機器303は、CPU304から、測定データの出力を指示する信号を入力されたときに、測定したデータをCPU304に出力する。CPU304は、GPS301から入力された時刻情報に基づいて、CPU304の内部時計を時刻情報が示す時刻に合わせる。
【0022】
CPU304は、受信したポーリング信号が自局宛であったときに、測定機器303に、測定したデータの出力を指示する信号を出力する。CPU304は、入力された測定データに自局の子局IDを付した返送データ情報を送信機306に出力する。CPU304は、受信したポーリング信号が自局宛でなかった場合は、次のポーリング信号を受信するまで待機する。
送信機306は、CPU304から入力された返送データ情報を無線信号に変換して送信する。受信機307は、受信したポーリング信号を復調してCPU304に出力する。
【0023】
図2は、メモリ102が記憶する情報の一例を示した図である。符号aを付した順番情報は、ポーリング順番、及び子局IDの各項目の列を有している。順番情報は、ポーリング順番毎に子局IDが格納される行と列からなる2次元の表形式のデータである。ここで、ポーリング順番は、親局10がポーリングを行う順番を示している。符号a1を付した情報は、「1」番目に子局ID「003」を持つ子局30に対してポーリングを行うことを示している。符号a2を付した情報は、「2」番目に、子局ID「006」を持つ子局30に対してポーリングを行うことを示している。符号bを付したカウンタ情報は、カウンタi、カウンタRの現在の値を示す。カウンタiは、親局10が、ポーリング順番情報が示すポーリング順番の、最初から数えて何番目のポーリングを行っているかを示すカウンタである。この例ではカウンタiは4であるため、ポーリング順番が「4」番目である子局ID「007」を持つ子局30に対して現在ポーリングを行っていることを示している。カウンタRは、現在ポーリングを行っている子局ID「007」を持つ子局30に対して「1」回ポーリングを行ったことを示している。カウンタRは、リトライを繰り返すたびに「1」ずつその値が増えていく。カウンタRは、子局ID「007」を持つ子局30に対してポーリングが成功したとき、又は最大ポーリング回数に達したときに「0」を代入される。
【0024】
図3は、メモリ202が記憶する情報を示した図である。符号c1を付した情報は、自中継局IDが「01」であることを示す。ここで、中継局IDとは、中継局20に固有の識別番号である。符号c2を付した情報は、カウンタRが「1」であることを示す。ここで、カウンタRとは、自中継局20が同一の子局30に対してポーリング信号の中継を行った回数を示す。符号c3を付した情報は、中継識別情報が、子局ID「001」、「004」、「005」、「007」、「010」であることを示す。ここで、中継識別情報とは、自中継局20が中継すべき子局30の子局IDを示す。符号c4を付した情報は、仮中継識別情報が子局ID「002」であることを示す。ここで、仮中継識別情報とは、他の中継局20がポーリングに失敗し、他の中継局20の代わりに自中継局20がポーリング情報の中継を行っている場合に、そのポーリング情報の宛先の子機IDを示す。
他中継局情報は、中継局ID01を持つ中継局20が、他の中継局20が行った中継を傍受した際に取得した情報である。他中継局情報は、中継局ID毎にカウンタRx、他中継局子局識別情報が格納される行と列からなる2次元の表形式のデータである。ここで、カウンタRxは、他の中継局20が中継をリトライ(再試行)した回数を示す。他中継局子局識別情報は、他の中継局20が、中継したポーリング信号の宛先の子局IDを示す。
符号d1を付した情報は、中継局ID「01」を持つ中継局が記録する情報であり、他の中継局が行ったポーリングに関する情報を記録する情報である。符号d1を付した情報は、中継局ID「02」を持つ他中継局が、子局ID「004」を持つ子局に対して「1」回のリトライ動作を行ったことを中継局ID「01」を持つ中継局が傍受したことを示している。
【0025】
図4は、本実施形態に係るテレメータ中継システムの動作の一例を表す図である。図示する例では、親局10と、2台の中継局20−1、20−2と、子局30とを有し、予め定められた通信の経路である親局10から中継局20−1を介して子局30との通信を行う場合について説明する。本実施形態では、中継局20−1が、予め中継すべき子局30の子局IDをメモリ202−1、202−2に記憶している場合の例を示す。なお、本実施形態では、スイッチ208−1、208−2は、常にDSP205−1、205−2側に接続されているものとする。
【0026】
(ステップS101)CPU104は、メモリ102に記憶されたカウンタiに、「1」を代入する。CPU104は、メモリ102に記憶されたカウンタrに「0」を代入する。CPU104は、予め定めたポーリングを開始する時刻が到来するまで待機する。

(ステップS102)CPU104は、順番情報及びカウンタiをメモリ102から読み出す。CPU104は、順番情報からカウンタiが示す順番の子局に対応する子局IDを抽出する。CPU104は、抽出した子局IDを持つ子局に対するポーリング情報を生成する。CPU104は、生成したポーリング情報を送信機106に出力する。送信機106は、CPU104から入力されたポーリング情報を変調し、ポーリング信号を生成する。送信機106は、生成されたポーリング信号を送信する。CPU104は、経過時間tの測定を開始する。
【0027】
(ステップS103)受信機207−1は、ポーリング情報をDSP205−1に出力する。DSP205−1は、ポーリング情報の先頭に書き込まれた子局IDを抽出する。DSP205−1は、抽出した子局IDと、CPU204−1から入力された中継識別情報及び仮中継識別情報とに基づいて、中継局20−1が中継すべきポーリング信号であるか否かを判定する。DSP205−1は、中継すべきポーリング信号であると判定し、ポーリング情報を送信機206−1に出力する。送信機206−1は、ポーリング情報を変調し、ポーリング信号を生成する。送信機206−1は、生成したポーリング信号を送信する。DSP205−1は、カウンタRを「1」だけ増やす。
【0028】
(ステップS104)受信機207−2は、ポーリング情報をDSP205−2に出力する。DSP205−2は、ポーリング情報の先頭に書き込まれた子局IDを抽出する。DSP205−2は、抽出した子局IDと、中継識別情報及び仮中継識別情報とに基づいて、中継局20−2が中継すべきポーリング信号であるか否かを判定する。DSP205−2は、中継すべきポーリング信号でないと判定し、中継を行わない。DSP205−2は、中継局20−1が中継した信号を受信し、他中継局情報をCPU204−2に出力する。CPU204−2は、メモリ202−2に記憶された他中継局情報をDSP205−2から入力された新たな他中継局情報に書き換える。具体的には、CPU204−2は、中継局20−1に対応するカウンタRxを「1」だけ増やす。
【0029】
(ステップS105)受信機307は、ポーリング情報をCPU304に出力する。CPU304は、メモリ302から子局IDを読み出す。CPU304は、メモリ302から読み出した子局IDと、ポーリング情報から抽出した子局IDとが等しいか否かを判定する。CPU304は、メモリ302から読み出した子局IDと、ポーリング情報から抽出した子局IDとが等しいと判断し、測定機器303から測定データを読み出す。CPU304は、測定データの先頭部に子局IDを付した返送データ情報を生成し、送信機306に出力する。送信機306は、CPU304から入力された返送データ情報を返送データ信号に変換し送信する。なお、CPU304は、メモリ302から読み出した子局IDと、ポーリング情報から抽出した子局IDとが等しくないと判断した場合は、返送データ信号を生成しない。
【0030】
(ステップS106)受信機207−1は、ステップS105で生成された返送データ信号を受信し、返送データ情報を生成する。受信機207−1は生成した返送データ情報をDSP205−1に出力する。DSP205−1は、返送データ情報から子局IDを抽出する。DSP205−1は、抽出された子局IDと、中継識別情報及び仮中継識別情報とを比較して、中継局20−1が中継すべき返送データ情報であるか否かを判定する。DSP205−1は、中継すべき返送データ信号であると判定し、返送データ情報を送信機206−1に出力する。送信機206−1は、返送データ情報を変調し、返送データ信号を生成する。送信機206−1は、生成した返送データ信号を送信する。CPU204−1は、リトライ回数情報を示すカウンタRに「0」を代入する。
【0031】
(ステップS107)受信機207−2は、ステップS105で生成された返送データ信号を受信し、返送データ情報を生成する。受信機207−2は生成した返送データ情報をDSP205−2に出力する。DSP205−2は、返送データ情報の先頭部に書き込まれた子局IDを抽出する。DSP205−2は、抽出された子局IDと、中継識別情報及び仮中継識別情報とに基づいて、中継局20−2が中継すべきポーリング信号であるか否かを判定する。DSP205−2は、中継すべきポーリング信号でないと判定し、返送データ情報を出力しない。CPU204−2は、メモリ202−2に記憶された他中継局情報をDSP205−2から入力された新たな他中継局情報に書き換える。具体的には、CPU204−2は、中継局20−1の局ID情報に対応するカウンタRxに「0」を代入する。
(ステップS108)受信機107は、ステップS106で送信された返送データ信号を受信し、返送データ情報に変換する。受信機107は返送データ情報をCPU104に出力する。CPU104は、受信機107から入力された返送データ情報から測定機器303が測定した測定データ及び子局IDを抽出し、テレメータ測定システム103に出力する。CPU104は、カウンタiの値を「1」だけ増やす。
【0032】
(ステップS109)CPU104は、ステップS102で測定を開始した経過時間tがタイムアウト時間Tを経過していないため、経過時間tをリセットする。CPU104は、カウンタrに「0」を代入する。
ステップS110〜ステップS112の各ステップは、ステップS102〜ステップS104の各ステップと同様である。
(ステップS113)CPU104は、ステップS110で測定を開始した経過時間tがタイムアウト時間Tを経過したため、再度同じ子局に対してポーリングを行う。CPU104は、経過時間tに「0」を代入する。CPU104は、カウンタrを「1」だけ増やす。
ステップS114〜ステップS117の各ステップは、ステップS110〜ステップS113の各ステップと同様である。
ステップS118は、ステップS102と同様である。
【0033】
(ステップS119)受信機207−2は、ポーリング情報をDSP205−2に出力する。DSP205−2は、ポーリング情報の先頭に書き込まれた子局IDを抽出する。DSP205−2は、子局IDと、中継識別情報及び仮中継識別情報とを比較して、中継局20−2が中継すべきポーリング信号であるか否かを判定する。DSP205−2は、中継すべきでないと判定する。DSP205−2は、CPU204−2からリトライ回数情報を読み出す。DSP205−2は、抽出された子局IDと、他中継局子局識別情報と、最大リトライ回数と、カウンタRとに基づいて、中継局20−2が中継すべきポーリング信号であるか否かを判定する。具体的には、例えば、カウンタRが最大リトライ回数(ここでは、「2」)であるか否かを判定する。DSP205−2は、中継すべきと判定する。つまり、中継局20−2は、受信したポーリング信号は、本来自局が中継すべきポーリング信号ではないが、中継局20−1の最大リトライ回数を超えているので、代わりに中継を行うと判断し、ポーリング情報の送信を行う。DSP205−2は、抽出された子局IDを仮中継識別情報に記録する。DSP205−2は、カウンタRの値を「1」だけ増やす。
【0034】
(ステップS120)受信機207−1は、ポーリング情報をDSP205−1に出力する。DSP205−1は、ポーリング情報の先頭に書き込まれた子局IDを抽出する。DSP205−1は、子局IDと、中継識別情報及び仮中継識別情報とを比較して、中継局20−1が中継すべきポーリング信号であるか否かを判定する。DSP205−1は、中継すべきでポーリング信号であると判定する。続いて、DSP205−1は、CPU204−1からカウンタRを読み込む。DSP205−1は、最大リトライ回数とカウンタRとを比較して、中継局20−1が中継すべきポーリング信号であるか否かを判定する。DSP205−1は、中継すべきではないと判定する。つまり、DSP205−1は、本来自局が中継すべきポーリング信号であるが、最大リトライ回数を超えているので、中継を行わないと判断し、ポーリング情報の送信を行わない。
【0035】
DSP205−1は、中継局20−2が中継した信号を傍受し、他中継局情報をCPU204−1に出力する。CPU204−1は、メモリ202−1に記憶された他中継局情報をDSP205−1から入力された新たな他中継局情報に書き換える。具体的には、中継局20−2がポーリング信号の中継を行ったことを傍受し、中継局20−2のカウンタRxを「1」だけ増やす。
その後、DSP205−1は、子局30から中継局20−2へ送信された返答データ信号を中継局20−2が中継したことを傍受し、他中継局情報をCPU204−1に出力する。CPU204−1は、メモリ202−1に記憶された他中継局情報をDSP205−1から入力された新たな他中継局情報に書き換える。具体的には、中継局20−2がポーリング信号の中継を行ったことを傍受し、中継局20−2のリトライ回数を示すカウンタRxに「0」を代入する。
ステップS121はステップS105と同様である。
【0036】
(ステップS122)受信機207−2は、ポーリング情報をDSP205−2に出力する。DSP205−2は、ポーリング情報の先頭に書き込まれた子局IDを抽出する。DSP205−2は、ステップS103で抽出された子局IDと、中継識別情報、仮中継識別情報とに基づいて、中継局20−2が中継すべきポーリング信号であるか否かを判定する。DSP205−2は、中継すべきと判定し、返送データ情報を送信機206−2に出力する。送信機206−2は、返送データ情報を変調し、返送データ信号を生成する。送信機206−2は、生成した返送データ信号を送信する。
ステップS123はステップS109と同様である。
【0037】
図5は、本実施形態の効果を示す説明図である。親局10は、時刻t1にポーリング信号を送信し、中継局20は同時にポーリング信号の受信を開始する。中継局20は受信の開始とほぼ同時にDSP205によって子局IDを抽出し、自局が中継するか否かを判定する。中継局20は、自局が中継すべきポーリング信号であると判定したときは、データ受信の完了を待たずに、時刻t2にポーリング信号の送信を開始する。子局30は、受信したポーリング信号が自局宛であると判定したときは、測定機器から測定データを読み出し、測定データの先頭に子局IDを含む返送データ情報を生成し、時刻t3に返送データ信号の送信を開始する。中継局20は、受信の開始とほぼ同時にDSP205によって子局IDを抽出し、自局が中継する返送データ信号であると判定したときは、データ受信の完了を待たずに、時刻t4に返送データ信号の送信を開始する。
【0038】
このように、本実施形態によれば、中継局20−1、20−2は、信号を受信する受信機207−1、207−2と、前記受信した信号の宛先を判定するDSP205−1、205−2と、データを送信する送信機206−1、206−2と、を備える。DSP205−1、205−2は、受信機207−1、207−2から入力されたデータの宛先の判定が終了した時点でデータを送信機206−1、206−2に出力する。これにより、中継局20−1、20−2は、受信した信号が自局が転送するものと判定した場合、直ちに転送を行う。したがって、転送時間を短縮することができる。また、複数の中継局が同時に同じ返送データ信号を送信することがなくなり、オーバーリーチが発生しにくくなる。
【0039】
なお、中継局20が予め順番情報をメモリ202(順番記憶部)に記憶しておき、前回のポーリングが終わった時点で順番情報を参照して次のポーリングの中継を自局が行うか否かを判定し、オーバーリーチの発生が無く、中継を自局が行うと判定した場合は、スイッチ208を予め送信機側に切り替えてもよい。また、中継局20が、自局が中継を行わないと判定した場合は、スイッチ208を予めDSP205側に切り替えておいてもよい。この場合、DSP205は、中継を行わない。これにより、DSPにおける子局IDの抽出、判定に費やす時間を無くすことが可能となる。この場合は、送信機、受信機が変調、復調を行わないようにすることも可能である。
【0040】
なお、DSP205が受信した信号が中継対象であるか否かを判定する前に、その信号がノイズなどではない真のポーリング信号、又は返送データ信号であるか否かを判定してもよい。この場合、判定の基準として、信号の到達時刻、強度、長さなどを用いることができる。
【0041】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第2の実施形態について詳しく説明する。
上記第1の実施形態では、中継システムがポーリングにより双方向に通信を行う場合について説明をした。本実施形態では、中継通信システムがデータを送信する順番(順番情報)を親局、中継局、子局が予め共有しており、決まった時刻から一定時間Tpを経過する毎に、子局から中継局を介して親局へとデータ送信を行う場合について説明をする。子局は、決まった時刻から一定時間Tpを経過する毎に、自発的にデータ転送を開始する。
【0042】
図6は本実施形態に係るテレメータ中継システムの動作の一例を表す図である。
本実施形態では親局を親局10a、中継局を中継局20a、中継局20b、子局を子局30a、30b、30cとする。本実施形態の親局10aは、データ転送の開始を示す開始情報を送信することを除いて、第1の実施形態の親局10と同様である。本実施形態の中継局20a、20bは、メモリ202に順番情報を記憶していること及び開始情報を中継することを除いて第1の実施形態の中継局20と同様である。本実施形態の子局30a、30b、30cは、メモリ202に順番情報を記憶していること及び開始情報を受信することを除いて第1の実施形態の子局30と同様である。
本実施形態に示す例では、子局30a、30cが中継局20aを介して、データ転送を行い、子局30bが中継局20bを介してデータ転送を行う場合を説明する。なお、本実施形態では、DSP205に入力された返送データは中継されない。
【0043】
(ステップS201)中継局20aは、データを送信する順番を示す順番情報を参照し、スイッチ208aを送信機206a側に切り替える。
(ステップS202)親局10は、時刻「t=0」にデータ転送の開始を示す開始情報を送信機106を介して送信する。
(ステップS203)中継局20aは、開始情報を子局30a、30cに中継する。中継局20bは、開始情報を子局30bに中継する。
(ステップS204)中継局20aは、順番情報に基づいてスイッチ208aを送信機206a側に切り替える。
【0044】
(ステップS205)中継局20bは、順番情報に基づいてスイッチ208bをDSP205b側に切り替える。
(ステップS206)子局30aは、時刻「t=0」に、測定機器303aから入力されたデータを返送データ信号として送信する。
(ステップS207)中継局20aは受信した返送データ信号を中継する。
(ステップS208)受信機107は、受信した返送データ信号が示す返送データをCPU104を介してテレメータ測定システム103に出力する。
【0045】
(ステップS209)中継局20aは、順番情報に基づいてスイッチ208aをDSP205a側に切り替える。
(ステップS210)中継局20bは、順番情報に基づいてスイッチ208bを送信機206b側に切り替える。
(ステップS211)CPU304bは、時刻「t=Tp」に、測定機器303bから入力されたデータを返送データ信号として送信する。
(ステップS212)受信機207bは受信したデータを中継する。
(ステップS213)受信機107は、受信した返送データ信号が示す返送データをCPU104を介してテレメータ測定システム103に出力する。
【0046】
このように、本実施形態によれば、親局10、中継局20a、20b、及び子局30a、30b、30cは、データを送信する順番を予め記憶しており、中継局20a、20bは、自中継局がデータを中継する順番になったときにデータを中継し、それ以外のときは、データを中継しない。これにより、本実施形態では、DSP205a、205bによる子局IDの抽出、判定を行う必要がなくなり、データ転送を高速に行うことができる。
【0047】
なお、本実施形態では、ステップS202で開始情報の受信により子局はデータ転送を開始したが、予め定めた時刻に子局が自発的にデータ転送を開始するようにしてもよい。
なお、GPS101は例えば、1秒おきにCPU104に割り込みを行ってCPUが保持する時刻の修正を行ってもよい。この場合、例えば、数ミリ秒単位のデータ転送が可能となる。
【0048】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0049】
1・・・テレメータ中継システム、10、10a・・・親局、20、20−1、20−2、20a、20b・・・中継局、30、30a、30b、30c・・・子局、101、201、301・・・GPS、102、202、302・・・メモリ、103・・・テレメータ測定システム、104、204、304・・・CPU、205、205−1、205−2、205a、205b・・・DSP、106、206、206a、206b、306・・・送信機、107、207、307・・・受信機、208、208−1、208−2、208a、208b・・・スイッチ、303、303a、303b・・・測定機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親局と、子局と、前記親局と前記子局との信号を中継する中継局と、を有するテレメータ中継システムにおいて、
前記中継局は、
信号を受信する受信部と、
前記受信部が受信した信号全体の受信完了前に、前記受信部が受信した前記信号を順次送信する送信部と、
を備えることを特徴とするテレメータ中継システム。
【請求項2】
前記テレメータ中継システムは、複数の前記子局を備え、
前記中継局は、信号の中継を許可する子局の識別情報のリストを記憶するリスト記憶部と、
前記受信部が受信した前記信号に含まれる前記信号の送信元又は送信先の識別情報と前記リストとに基づいて、前記信号を中継すべきか否かを判定する中継判定部と、
を備え、
前記送信部は、前記中継判定部の判定結果に基づいて、前記信号を順次送信することを特徴とする請求項1に記載のテレメータ中継システム。
【請求項3】
前記中継局は、前記信号を送信する順番を記憶する順番記憶部を備え、
前記中継判定部は、前記順番記憶部が記憶する順番に基づいて、前記中継局が前記信号を中継する順番でないと判定した場合は、前記信号を中継しないことを特徴とする請求項1又は2に記載のテレメータ中継システム。
【請求項4】
前記テレメータ中継システムは、複数の前記中継局を備え、
前記中継局は、前記受信部が受信した受信した受信信号に基づいて、他の中継局が中継を行ったことを判定する他局中継判定部と、
前記他局中継局判定部が、他の中継局が中継を行ったと判定したときに、前記他の中継局が中継を行った通信の内容に基づいて、前記他の中継局が同一の子局に対して繰り返した中継繰返回数を抽出する再中継判定部と、
を備え、
前記送信部は、前記再中継判定部が抽出した中継繰返回数に基づいて、自中継局が前記他の中継局に代わって、前記受信部が受信した前記信号を順次送信することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のテレメータ中継システム。
【請求項5】
親局と子局との信号を中継する中継装置において、
信号を受信する受信部と、
前記受信部から入力された前記信号の全体の受信完了前に、前記受信部が受信した前記信号を順次送信する送信部と、
を備えることを特徴とすることを特徴とする中継装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−85034(P2013−85034A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222059(P2011−222059)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000004330)日本無線株式会社 (1,186)
【Fターム(参考)】