説明

ディスプレイ装置および可視光送受信システム

【課題】 可視光による情報送信を簡易に実現する工夫が図られたディスプレイ装置、および、このディスプレイ装置を備えた可視光送受信システムを提供する。
【解決手段】 画像を表示する画像表示パネルと、画像表示パネルを背面若しくは前面から照明するための照明光源と、照明光源を、照明用に駆動すると共に、視認不能な周波数帯域で、送信情報に応じて変調駆動することにより、照明光源から発せられた照明光に画像表示パネルの照明と情報送信との双方を同時に担わせる光源駆動部とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光で情報送信を行うディスプレイ装置、および、このディスプレイ装置を備えた可視光通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、赤外線などの人間の目には見えない光が通信媒体として使用されている。
【0003】
ところが、赤外線通信などでは、目の保護の点から、安全上、高い電力を送信できないため、通信が制限されている。
【0004】
そこで、可視光を、人間による視認が不能な周波数帯域で、送信情報に応じて変調駆動することにより、通信媒体として使用することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)
ところで、可視光は、通信媒体として用いられる前から巷に溢れており、特にディスプレイ装置は、可視光を発光する、オフィスや家庭に最も浸透した装置の1つであることから、このディスプレイ装置を可視光通信に利用することが考えられる。
【特許文献1】特開2004−193908号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、CRT方式のディスプレイ装置の発光は、画像表示面の裏側に塗られた蛍光体に電子ビームを衝突させて行なわれることから、このディスプレイ装置からの発光光を、発光時点で、送信情報に応じて変調駆動されたものとしておくことは困難である。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、可視光による情報送信を簡易に実現する工夫が図られたディスプレイ装置、および、このディスプレイ装置を備えた可視光送受信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明のディスプレイ装置は、
画像を表示する画像表示パネルと、
上記画像表示パネルを背面若しくは前面から照明するための照明光源と、
上記照明光源を、照明用に駆動すると共に、視認不能な周波数帯域で、送信情報に応じて変調駆動することにより、この照明光源から発せられた照明光に上記画像表示パネルの照明と情報送信との双方を同時に担わせる光源駆動部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明のディスプレイ装置では、画像表示パネルを照明するための照明光源を情報送信にも利用している。したがって、本発明のディスプレイ装置によれば、変調駆動が容易な、照明光源からの照明光を情報送信にも用いることで、CRTディスプレイ装置を用いるよりも可視光による情報送信を簡易に実現することができる。
【0009】
ここで、上記照明光源が、互いに異なる色光で発光する複数の発光体で構成され、
上記光源駆動部が、上記複数の発光体それぞれを照明用に駆動すると共に、視認不能な周波数帯域で、送信情報に応じてそれぞれを独立に変調駆動するものであることが好ましい態様である。
【0010】
このようにすると、一度により多くの情報を送信することができる。
【0011】
また、無線で送信されてきた信号を受信してこの信号に担持された情報を取り出す情報受信部を備えたものであってもよく、人体の接近を検知する人体検知センサを備え、上記光源駆動部が、上記人体検知センサによる人体の接近の検知を受けて、この照明光源から発せられた照明光に情報送信を担わさせるものであってもよい。
【0012】
上記目的を達成するための本発明の可視光送受信システムは、
画像を表示する画像表示パネルと、
上記画像表示パネルを背面若しくは前面から照明するための照明光源と、
上記照明光源を、照明用に駆動すると共に、視認不能な周波数帯域で、送信情報に応じて変調駆動することにより、この照明光源から発せられた照明光に上記画像表示パネルの照明と情報送信との双方を同時に担わせる光源駆動部とを備えたディスプレイ装置、および
上記画像表示パネルから発せられた光を受光してこの光に担持された情報を取り出す情報受信装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、可視光による情報送信を簡易に実現する工夫が図られたディスプレイ装置、および、このディスプレイ装置を備えた可視光送受信システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明のディスプレイ装置の第1実施形態を含む、本発明の可視光送受信システムの第1実施形態の概略構成図である。
【0016】
図1に示す、本実施形態の可視光送受信システム1は、送信情報に応じて照明光源であるLED光源を変調駆動することにより、情報送信も担う照明光を出射する液晶ディスプレイ10、および、液晶ディスプレイ10から出射された照明光を受光して該照明光に担持された情報を取り出す情報受信装置20で構成されたものであり、以下では、選択された楽曲のギター伴奏、ピアノ伴奏、およびバイオリン伴奏を送信情報としている場合を例に挙げて説明する。
【0017】
液晶ディスプレイ10では、R色、G色、およびB色のLEDを同時に発光させることで作り出した白色光で液晶表示パネル11を照明しており、この液晶表示パネル11は、図1の前面側から順にLCD111、拡散板112、バックライト用導光板113、および反射板114で構成されている。
【0018】
液晶表示パネル11の下方には、R色LEDとG色LEDとB色LEDとで構成されたユニットLEDが4基並べられた3色LED光源部12が備えられており、LED光源部12には、各色LEDの駆動を制御する駆動回路13に接続されている。
【0019】
変調回路14は、ギター、ピアノ、およびバイオリン3つの音色に対応して3つ備えられており、各変調回路14には、対応する音色の楽音信号が入力される。変調回路14は、入力された楽音信号を視認不能な周波数帯域で変調し、各変調回路14にそれぞれ接続された駆動回路13をその変調した楽音信号に応じて駆動する。これにより、駆動回路13により駆動されるR色、G色、およびB色の各色LEDからは、最終的には白色光となることで液晶表示パネル11の照明と、対応する音色の楽音信号の送信とを同時に担う、互いに異なる色光が液晶表示パネル11の下面に向けて出射される。
【0020】
ここで、液晶表示パネル11の最前面に位置するLCD111は、不図示のLCD駆動回路で駆動され、画像が表示されるようになっている。
【0021】
図2は、液晶ディスプレイの液晶表示パネルに表示された画像を示す図である。
【0022】
図2には、液晶ディスプレイ10から後述する情報受信装置20に向けての送信情報である、選択した楽曲の歌詞が表示されている様子が示されている。尚、本実施形態では、LCD111は、アクティブ・マトリックス方式で駆動されており、このLCD111の駆動周波数よりも高い周波数で、かつLCD111の駆動周波数でフリッカが発生しない変調周波数でLEDが駆動されるようになっている。
【0023】
一方、図1に示す情報受信装置20は、液晶表示パネル11から出射された白色光をR色、G色、およびB色の各色光に分光するRGBフィルタ21、各色光を光電変換して電気信号にするフォトデテクタ(PD)22、電気信号を増幅する増幅器(Amp)23、増幅された電気信号から楽音データを取り出す復調器24、情報受信装置20全体を制御するCPU25、共通バス25aにぶら下げられた、メモリ(Memory)26、磁気ディスク(HDD)27、およびスピーカ28で構成されている。
【0024】
この情報受信装置20では、復調器で取り出した楽音データをメモリ(Memory)26あるいは磁気ディスク(HDD)27に蓄積できるようになっていると共に、スピーカ28から3つの音色を放音できるようになっている。
【0025】
本実施形態の可視光送受信システム1では、変調駆動が容易な、LED光源からのLED光を情報送信にも用いることで、可視光による情報送信をCRTディスプレイ装置よりも簡易に実現することができる。
【0026】
次に、本発明の可視光送信システムの第2実施形態について説明する。
【0027】
図3は、本実施形態の可視光通信システムの概略構成図である。
【0028】
図3に示す、本実施形態の可視光通信システム2は、本発明のディスプレイ装置の第2実施形態である液晶ディスプレイ装置100、および、この液晶ディスプレイ装置100に対応した情報受信装置200で構成されている。
【0029】
本実施形態の可視光送受信システム2と第1実施形態の可視光送受信システム1との相違点は、第1実施形態では情報送信を3チャネルで行なっている対し、本実施形態では情報送信を1チャネルで行っている点のみであり、第1実施形態の3色LED光源部12の代わりに白色LED光源部121を備えている。
【0030】
また、本実施形態では、この白色LED光源部121を備えていることで、情報受信装置20からは、第1実施形態の情報受信装置20に備えられているRGBフィルタ21が省かれている。尚、図3に示す部材で、図1において示す部材と同じ種類の部材には、図1に示す符号と同じ符号を付している。
【0031】
ここで、図4、図5、図6、および図7は、本発明の液晶ディスプレイの液晶表示パネルの別態様を示す図である。
【0032】
図4には、本発明の液晶ディスプレイの第1実施形態10に備えられている液晶表示パネル11の別態様の液晶表示パネル110が示されており、この液晶表示パネル110は、前面側から順にフロントライト用導光板1131、LCD111、および反射板114で構成されている。
【0033】
図5には、本発明の液晶ディスプレイの第2実施形態100に備えられている液晶表示パネル11の別態様の液晶表示パネル110が示されており、これについての説明は、図4における説明と同じ説明となるので省略する。
【0034】
図6には、本発明の液晶ディスプレイの第1実施形態10に備えられている液晶表示パネル11の別態様の液晶表示パネル110が示されており、この液晶表示パネル110は、前面側から順にLCD111、拡散板112、および、R色LEDとG色LEDとB色LEDとで構成され、二次元的に複数個並べられたユニットLED12aで構成されている。
【0035】
図7には、本発明の液晶ディスプレイの第2実施形態100に備えられている液晶表示パネル11の別態様の液晶表示パネル110が示されており、この液晶表示パネル110は、前面側から順にLCD111、拡散板112、および、二次元的に配備された複数個の白色LED121aで構成されている。
【0036】
以上に説明した実施形態では、楽音信号を送信情報とした場合を例に挙げたが、送信情報はこれに限るものではなく、例えば、各言語での音声信号や、各種デジタルファイルの送信も可能である。
【0037】
図1と図3では、液晶ディスプレイ10と液晶ディスプレイ100、受信装置20と受信装置200に分割しているが、液晶ディスプレイに受信装置を備えることで双方向通信が可能な液晶ディスプレイを構成することも可能であり、液晶ディスプレイに備えられた受信装置で、可視光に限らず、赤外線などの不可視光あるいは電波を受信し、それらから情報を取り出すようにしてもよい。
【0038】
また、液晶ディスプレイに人体感知センサを内蔵することで人が近づいた時のみ可視光による情報送信を行う構成とすることも可能であり、また、上記LED光に指向性を持たせて、液晶ディスプレイの前方の限られた方向にのみ情報送信を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明のディスプレイ装置の第1実施形態を含む、本発明の可視光送受信システムの第1実施形態の概略構成図である。
【図2】液晶ディスプレイの液晶表示パネルに表示された画像を示す図である。
【図3】本実施形態の可視光通信システムの概略構成図である。
【図4】本発明の液晶ディスプレイの液晶表示パネルの別態様を示す図である。
【図5】本発明の液晶ディスプレイの液晶表示パネルの別態様を示す図である。
【図6】本発明の液晶ディスプレイの液晶表示パネルの別態様を示す図である。
【図7】本発明の液晶ディスプレイの液晶表示パネルの別態様を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
1、2 可視光送受信システム
10 液晶ディスプレイ
11 液晶表示パネル
111 LCD
112 拡散板
113 バックライト用導光板
1131 フロントライト用導光板
12 3色LED光源部
13 駆動回路
14 変調回路
20 情報受信装置
21 RGBフィルタ
22 フォトデテクタ
23 増幅器
24 復調器
25 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する画像表示パネルと、
前記画像表示パネルを背面若しくは前面から照明するための照明光源と、
前記照明光源を、照明用に駆動すると共に、視認不能な周波数帯域で、送信情報に応じて変調駆動することにより、該照明光源から発せられた照明光に前記画像表示パネルの照明と情報送信との双方を同時に担わせる光源駆動部とを備えたことを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項2】
前記照明光源が、互いに異なる色光で発光する複数の発光体で構成され、
前記光源駆動部が、前記複数の発光体それぞれを照明用に駆動すると共に、視認不能な周波数帯域で、送信情報に応じてそれぞれを独立に変調駆動するものであることを特徴とする請求項1記載のディスプレイ装置。
【請求項3】
無線で送信されてきた信号を受信して該信号に担持された情報を取り出す情報受信部を備えたものであることを特徴とする請求項1記載のディスプレイ装置。
【請求項4】
人体の接近を検知する人体検知センサを備え、
前記光源駆動部が、前記人体検知センサによる人体の接近の検知を受けて、該照明光源から発せられた照明光に情報送信を担わさせるものであることを特徴とする請求項1記載のディスプレイ装置。
【請求項5】
画像を表示する画像表示パネルと、
前記画像表示パネルを背面若しくは前面から照明するための照明光源と、
前記照明光源を、照明用に駆動すると共に、視認不能な周波数帯域で、送信情報に応じて変調駆動することにより、該照明光源から発せられた照明光に前記画像表示パネルの照明と情報送信との双方を同時に担わせる光源駆動部とを備えたディスプレイ装置、および
前記画像表示パネルから発せられた光を受光して該光に担持された情報を取り出す情報受信装置を備えたことを特徴とする可視光送受信システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−319545(P2006−319545A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−138654(P2005−138654)
【出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】