ディスペンサー用補助具
【課題】ディスペンサーに変更を加えることなく、簡単な構成でディスペンサーの操作性の向上を図ったディスペンサー用補助具を提供する。
【解決手段】押圧ヘッド4が操作者Aにより操作されることにより容器本体3内に装填された内容物を吐出するディスペンサー2Aに取り付けられるディスペンサー用補助具であって、押圧ヘッド4に装着される装着部12Aと、押圧ヘッド4の操作部8の操作面積よりも広い面積を有し操作時に操作者Aに把持される把持部11Aとを設ける。
【解決手段】押圧ヘッド4が操作者Aにより操作されることにより容器本体3内に装填された内容物を吐出するディスペンサー2Aに取り付けられるディスペンサー用補助具であって、押圧ヘッド4に装着される装着部12Aと、押圧ヘッド4の操作部8の操作面積よりも広い面積を有し操作時に操作者Aに把持される把持部11Aとを設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディスペンサー用補助具に係り、特にディスペンサーの使用性の向上を図り得るディスペンサー用補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばシャンプー等を内容物とするボトルタイプの容器には、内容物を定量取り出す機構であるディスペンサーが取り付けられている。このディスペンサーが設けられた容器(以下、ディスペンサー容器という)によれば、容器を傾けることなく単に定量ポンプの頭部に設けられた押ボタンを操作するだけで所定量の内容物を容器から取り出すことができる。
【0003】
しかしながら、従来のディスペンサーは、単に内容物が充填された容器本体から押し釦が突出した構成であったため押し難く、また押し釦の面積が小さいために押し釦の押圧操作に強い力を必要とするという問題点があった。特に、高齢者等の比較的力の弱い人がディスペンサー容器の操作を行う場合、この問題は顕著となる。
【0004】
そこで、ディスペンサーに梃子の原理を利用した操作レバー機構を設けることにより、小さい操作力で内容物を吐出することを可能とした構成が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−335618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、ディスペンサーに複雑な操作レバー機構を設ける必要があり、部品点数が増加してコストが上昇してしまうという問題点がある。
【0007】
また、特許文献1に開示されたディスペンサーは内容物の吐出に要する操作力は小さくて済むものの、操作する際には操作レバーを指で押圧する必要がある。しかしながら、特許文献1に開示されたディスペンサーでは操作部の面積が小さく、よって高齢者のような操作力が弱い使用者にとっては、依然として使用性が悪いという問題点があった。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、ディスペンサーに変更を加えることなく、簡単な構成でディスペンサーの操作性の向上を図りうるディスペンサー用補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題は、第1の観点からは、
押圧ヘッドが操作者により操作されることにより容器本体内に装填された内容物を吐出するディスペンサーに取り付けられるディスペンサー用補助具であって、
前記押圧ヘッドに装着される装着部と、
前記押圧ヘッドの操作部の操作面積よりも広い面積を有し、操作時に前記操作者に把持される把持部とを有することを特徴とするディスペンサー用補助具により解決することができる。
【0010】
また上記発明において、前記把持部の重さは10g以上65g以下であることが望ましい。
【0011】
また上記発明において、前記把持部の前記操作者により把持される方向に対する長さは3.0cm以上5.5cm以下であることが望ましい。
【0012】
また上記発明において、前記押圧ヘッドに吐出ノズルを設け、前記装着部を前記押圧ヘッドを覆う被覆部を一体的に形成した構成としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
開示のディスペンサー用補助具によれば、ディスペンサーに複雑な機構を設けることなく、単にディスペンサーにディスペンサー用補助具を装着するだけで、押圧ヘッドの操作面積を実質的に広げることができる。これにより、操作者がディスペンサー用補助具を把持することによりディスペンサーの操作を行うことが可能となり、ディスペンサーの操作を容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態であるディスペンサー用補助具を説明するための図であり、ディスペンサー用補助具をディスペンサーから取り外した状態を示す図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態であるディスペンサー用補助具を説明するための図であり、ディスペンサー用補助具をディスペンサーに装着した状態を示す図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態であるディスペンサー用補助具を説明するための図であり、ディスペンサー用補助具の使用状態を示す図である。
【図4】図4は、従来の一例であるディスペンサーの使用状態を示す図である。
【図5】図5は、本発明の第2実施形態であるディスペンサー用補助具を説明するための図であり、ディスペンサー用補助具をディスペンサーから取り外した状態を示す図である。
【図6】図6は、本発明の第2実施形態であるディスペンサー用補助具を説明するための図であり、ディスペンサー用補助具をディスペンサーに装着した状態を示す図である。
【図7】図7は、本発明の第2実施形態であるディスペンサー用補助具を説明するための図であり、ディスペンサー用補助具の使用状態を示す図である。
【図8】図8は、従来の一例であるディスペンサーの使用状態を示す図である。
【図9】図9は、第1及び第2の実施形態に係るディスペンサー用補助具を用いたときのディスペンサーの使用感のアンケート結果を示す図である。
【図10】図10は、ディスペンサー用補助具の把持部の寸法を変化したときのディスペンサーの使用感のアンケート結果を示す図である。
【図11】図11は、ディスペンサー用補助具の重さを変化したときのディスペンサーの使用感のアンケート結果を示す図である。
【図12】図12は、本発明の第3実施形態であるディスペンサー用補助具を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
【0016】
図1乃至図3は、本発明の第1実施形態であるディスペンサー用補助具10Aを説明するための図である。また、図5乃至図7は、本発明の第2実施形態であるディスペンサー用補助具10Bを説明するための図である。
【0017】
図1及び図2はディスペンサー用補助具10A及びこれが装着されるディスペンサー容器1Aを示す側面図であり、図3はディスペンサー用補助具10Aの使用状態を示す図である。また、図5及び図6はディスペンサー用補助具10B及びこれが装着されるディスペンサー容器1Bを示す側面図であり、図7はディスペンサー用補助具10Bの使用状態を示す図である。
【0018】
ここで説明の便宜上、ディスペンサー用補助具10A,10Bの説明に先立ち、ディスペンサー用補助具10A,10Bが装着されるディスペンサー容器1A,1Bについて説明する。尚、ディスペンサー容器1Aとディスペンサー容器1Bは押圧ヘッド4A,4Bの構成の相違を除き同一構成である。このため、先ず、ディスペンサー容器1Aの構成について説明し、その後にディスペンサー容器1Bのディスペンサー容器1Aと異なる構成について説明するものとする。
【0019】
ディスペンサー容器1Aは、ディスペンサー2Aと容器本体3等を有した構成とされている。容器本体3は樹脂製のボトル容器であり、内部に化粧料等の内容物が装填される。また、ディスペンサー2Aは、押圧ヘッド4A、キャップ7、ステム9、ピストン、ばね、及びポンプハウジング等を有した構成とされている。このディスペンサー2Aは、押圧ヘッド4Aを操作者Aが操作することにより容器本体3内の内容物(化粧料)を定量吐出する機能を奏する。
【0020】
容器本体3の上部には開口が形成されており、この開口の外周部には螺子が形成されている。キャップ7は、この螺子に螺着する構成とされている。キャップ7がこの螺子に螺着することにより、ディスペンサー2Aは容器本体3に固定される。
【0021】
ポンプハウジング(図に現れず)は、ディスペンサー2Aが容器本体3に装着された状態で容器本体3の内部に位置している。このポンプハウジングは、シリンダとして機能するものであり、下部には吸引された内容物が逆流するのを防止する逆止弁が設けられている。また、ポンプハウジングの逆止弁の下部位置には、容器本体3に装填された内容物を吸引するためのディップチューブ(図に現れず)が接続されている。
【0022】
ステム9は、ポンプハウジングに往復動可能に挿入される。このステム9は、ポンプハウジングに内接されたばねにより図中矢印Z1方向(押圧ヘッド4Aの操作方向と反対方向)に付勢されている。従って、ディスペンサー2Aを操作して内容物を吐出する場合、このばねの弾性力に抗して押圧ヘッド4Aの操作部8をZ1方向に向けて押圧操作する必要がある。
【0023】
また、ステム9の下端部にはポンプハウジングの内壁に液密に接するピストン(図に現れず)が設けられている。よって、ステム9が図中矢印Z1,Z2方向に移動することにより、ピストンもポンプハウジング内をZ1,Z2方向に移動することになる。
【0024】
更に、ステム9の上端部には押圧ヘッド4Aが配設されている。この押圧ヘッド4Aは、上端部に操作者Aに操作される操作部8を有し、また側面にはステム9に接続され内容物を外部に吐出する吐出口5Aが形成されている。
【0025】
次に、上記構成されたディスペンサー2A及び容器本体3を有するディスペンサー容器1Aにおいて、ディスペンサー2Aの押圧ヘッド4Aを押し込んだときの動作について説明する。尚、ポンプハウジングには、予め内容物が吸引されているものとする。
【0026】
押圧ヘッド4Aをポンプハウジングに内接されたばねの弾性力に抗して押し込むと、これに伴いステム9はZ1方向に移動する。よって、ステム9に配設されたピストンもポンプハウジング内をZ1方向に移動する。ピストンはポンプハウジングの内壁に液密に接している。また、ポンプハウジング内の逆止弁は、内容物のポンプハウジング内への吸入は許容するが、容器本体3への逆流は規制する構成とされている。従って、押圧ヘッド4Aを押し込むことによりポンプハウジング内は加圧され、ポンプハウジング内に吸引されていた内容物はステム9を通り吐出口5Aから外部に吐出される。
【0027】
一方、押圧ヘッド4Aの押し込みを解除すると、ステム9はポンプハウジングに内接したばねの弾性復元力によりZ2方向に移動を行う。これにより、ピストンはステム9と共にZ1方向に移動し、ポンプハウジングの内部を拡張して負圧化する。この負圧により、逆止弁が開弁し、容器本体3の内容物はディップチューブを介してポンプハウジング内に吸引され、次の吐出動作に備える。
【0028】
次に、ディスペンサー容器1Bについて説明する。前記のようにディスペンサー容器1Bは前記したディスペンサー容器1Aと略同一構成であるが、押圧ヘッド4Bの構成がディスペンサー容器1Aの押圧ヘッド4Aと異なっている。
【0029】
具体的にはディスペンサー容器1Aのディスペンサー2Aは、押圧ヘッド4Aに吐出口5Aが直接設けられており、主に内容物を霧状にして吐出するものである。これに対してディスペンサー容器1Bのディスペンサー2Aは、図5〜図7に示すように、押圧ヘッド4Bに吐出ノズル6が設けられており、その先端部に吐出口5Bが形成された構成とされている。この構成とされたディスペンサー2Bは、容器本体3内の内容物(化粧料)を主に液状で定量吐出するのに用いられるものである。
【0030】
尚、図5〜図7において、図1〜図3に示した構成と同一構成については同一符号を付して示し、その説明については所略するものとする。
【0031】
図4,図8は、上記した構成を有したディスペンサー容器1A,1Bの一般的な使用方法を示している。各図に示すように、ディスペンサー容器1A,1Bを使用する際、一般的には操作者Aは容器本体3を把持し、主に人差し指を用いて押圧ヘッド4A,4Bの操作部8を押圧操作(Z1方向に操作)することにより内容物を吐出する方法を用いる。年齢が低い操作者Aの場合、この一般的な使用方法で特に使用性を問題することは生じていない。
【0032】
しかしながら、18人の高齢者(平均年齢81.8歳)に対してディスペンサー容器1A,1Bを使用してもらい、その操作性についてのアンケートを取ったところ、18人の全員が使用性が不良であるとの回答であった。このようにディスペンサー容器1A,1Bの使用性が若年層に対して高齢者が悪化するのは、加齢により発生する、(a)関節や骨の萎縮,硬直,屈曲、(b)筋力の低下、(c)関節が曲がりにくい、(d)握力の低下等に原因しているものと考えられる。
【0033】
また、図4及び図8に示すように、ディスペンサー容器1A,1Bの通常の使用時には、操作者Aは容器本体3を把持すると共に人差し指1本で操作部8を押圧操作する。上記のように加齢により身体的な各種低下が発生した高齢者では、指1本による操作は困難で、これも高齢者がディスペンサー容器1A,1Bの使用性を不良とする原因のひとつであると考えられる。
【0034】
第1及び第2実施形態であるディスペンサー用補助具10A,10Bは、ディスペンサー2A,2Bに取り付けることにより、高齢者が使用を行う場合であってもこのディスペンサー2A,2Bの使用性を向上させる補助具である。以下、ディスペンサー用補助具10A,10Bの詳細について説明する。
【0035】
第1実施形態に係るディスペンサー用補助具10Aは、図1〜図3に示した吐出口5Aが直接設けられた押圧ヘッド4Aを有するディスペンサー2Aに対応したものである。また、第2実施形態に係るディスペンサー用補助具10Bは、図5〜図7に示した吐出ノズル6が設けられた押圧ヘッド4Bを有するディスペンサー2Bに対応したものである。以下の説明では、基本的にはディスペンサー用補助具10A,10Bを一括的に説明し、必要に応じてディスペンサー用補助具10Aとディスペンサー用補助具10Bとを分けて説明するものとする。
【0036】
第1及び第2実施形態であるディスペンサー用補助具10A,10Bは、把持部11A,11B及び装着部12A,12Bを有した構成とされている。このディスペンサー用補助具10Aの材料は特に限定されるものではないが、例えばABS樹脂,ポリカーボネート樹脂,ポリプロピレン樹脂等の樹脂材料、アルミニウム,ステンレス等の金属材料、各種ゴム、各種スポンジ素材等を用いることができる。
【0037】
把持部11A,11Bは、操作者Aに把持される部位である。第1実施形態では、図1〜図3に示すように把持部11Aの形状を球形状としている。即ち、第1実施形態のディスペンサー用補助具10Aを適用するディスペンサー2Aは押圧ヘッド4Aに吐出口5Aが直接形成された構成であり、第2実施形態のように吐出ノズル6を有していない。よって、第1実施形態に係るディスペンサー用補助具10Aでは、把持部11Aの形状を高齢者でも把持が行い易い球形状としている。
【0038】
これに対し、第2実施形態に係るディスペンサー用補助具10Bは、吐出ノズル6を有している。このため、第2実施形態に係るディスペンサー用補助具10Bでは、図5〜図7に示すように、ディスペンサー用補助具10Aに比べて吐出ノズル6の延出方向に長く延出した形状とされている。把持部11Bをこのような長く延出させることによっても、高齢者にとって把持が容易な形状とすることができる。
【0039】
この把持部11A,11Bの把持される部分の面積は、ディスペンサー容器1A,1Bの操作部8の面積(図4及び図8に示す人差し指で押される部分の面積)よりも広い面積となっている。
【0040】
一方、装着部12A,12Bは、ディスペンサー2A,2Bの押圧ヘッド4A,4Bに装着される部位である。装着部12Aは、ディスペンサー2Aの押圧ヘッド4Aの形状に対応して形成されており、装着部12Bはディスペンサー2Bの押圧ヘッド4Aの形状に対応して形成されている。特に、装着部12Bは押圧ヘッド4Bに形成された吐出ノズル6を内部に収納するよう構成されている。これにより、ディスペンサー用補助具10Bのディスペンサー2Aへの装着性の向上を図っている。
【0041】
尚、本実施形態では装着部12A,12Bを押圧ヘッド4A,4Bに圧入することにより装着する構成としているが、固定部材や固定機構を別箇に設けることにより、より強固に装着する構成とすることも可能である。
【0042】
図3及び図7は、ディスペンサー用補助具10A,10Bを装着したディスペンサー2A,2Bを使用している状態を示す図である。
【0043】
高齢者にとっては、容器本体3を把持してディスペンサー2A,2Bを操作することは困難な操作である。そこで本実施形態に係るディスペンサー用補助具10A,10Bを用いてディスペンサー容器1A,1Bを使用する際、机等の基台上に載置した状態でディスペンサー2A,2Bの操作が行われる。これにより、操作者Aは容器本体3を把持する必要はなくなり、ディスペンサー容器1A,1Bの使用性の向上を図ることができる。
【0044】
また、操作者Aがディスペンサー2A,2Bを操作する際、ディスペンサー2A,2Bには本実施形態に係るディスペンサー用補助具10A,10Bが設けられているため、操作者Aはディスペンサー用補助具10A,10Bを把持して、換言すると5本の指を全て用いてディスペンサー2A,2Bを操作することが可能となる。
【0045】
図9は、ディスペンサー用補助具10A,10Bを装着したディスペンサー容器1A,1Bを前記した18人の高齢者(平均年齢81.8歳)に使用してもらい、その操作性についてのアンケートを取った結果を示している。尚、以下説明する図10,11に示す使用性調査の結果も同じ18人の高齢者に対してアンケートを取った結果である。
【0046】
前記のように、ディスペンサー用補助具10A,10Bを装着しない場合には18人の全員が使用性が悪いとしていたが、ディスペンサー用補助具10A,10Bを装着することにより「使いやすくなった」とした人がディスペンサー用補助具10A,10Bのいずれにおいても11人となり、「わからない」,「使いにくくなった」と回答した人数に対して大幅に多くなった。この結果より、ディスペンサー2A,2Bにディスペンサー用補助具10A,10Bを装着することにより、高齢者におけるディスペンサー容器1A,1Bの使用性が向上することが立証された。
【0047】
またリウマチにより手指に拘縮がおきている高齢者2名は、ディスペンサー用補助具10A,10Bがない状態ではディスペンサー2A,2Bの操作ができなかったが、ディスペンサー用補助具10A,10Bを使用することでディスペンサー2A,2Bを操作して内容物の吐出を行うことが可能となった。
【0048】
図10は、ディスペンサー用補助具10A,10Bの把持される方向に対する長さを変化させたとき、使用性が良好であると答えた人数を示している。ここで、把持される方向に対する長さとは、球形状を有したディスペンサー用補助具10Aでは把持部11Aの直径をいい、また平面視で円形以外の形状を有する把持部11Bにおいては平面視で最も幅の狭い部分の幅寸法をいうものとする。
【0049】
同図において、把持部11A-1は直径を2.5cmとしたものであり、把持部11A-2は直径を3.0cm、把持部11A-3は直径を5.5cm、11A-4は直径を6.0cmとしたものである。このアンケート結果より、把持部11Aの大きさは3.0cm未満であると小さすぎて操作性が低下し、また5,5cmを超えると大きすぎて操作性が低下することが判明した。よって、球形状を有したディスペンサー用補助具10Aでは、把持される方向に対する長さを最狭幅3.0cm以上5.5cm以下に設定することにより、ディスペンサー容器1Aの使用性を向上させることがわかった。
【0050】
一方、把持部11B-1〜11B-4は、把持部の形状が球状ではないディスペンサー用補助具10Bを示している。把持部11BA-1は最狭幅を2.5cmとしたものであり、把持部11B-2は最狭幅を3.0cm、把持部11B-3は最狭幅を5.5cm、11B-4は最狭幅を6.0cmとしたものである。この場合においても球形状の把持部11Aと同等の結果をえることができ、把持部11Bの大きさが3.0cm未満であると小さすぎて操作性が低下し、また5,5cmを超えると大きすぎて操作性が低下することが判明した。よって、球形状以外の形状を有したディスペンサー用補助具10Bにおいても、把持される方向に対する長さを3.0cm以上5.5cm以下に設定することにより、ディスペンサー容器1Bの使用性を向上させることがわかった。
【0051】
また図11は、球形状を有するディスペンサー用補助具10Aを用いると共に、ディスペンサー用補助具10Aの重さを変化させたときの使用性の評価を示したものである。同図に示されるように、11Aの重さも使用性に影響を及ぼし、把持部11Aの重さが10g以上65g以下であるときに使用性が向上することが判明した。これは、把持部11Aの重さが10g未満であると装着時の安定性が損なわれるため使用性が低下し、逆に把持部11Aの重さが65gを越えると重くなり、ディスペンサー用補助具10Aを持ち、ディスペンサー2Aの押圧ヘッド4Aの上に装着する操作が困難になり操作性が低下するためである。
【0052】
図12は、第3実施形態であるディスペンサー用補助具10Cを示している。本実施形態に係るディスペンサー用補助具10Cは、傾いた状態で使用されるディスペンサー容器1Aに装着されるものである。
【0053】
ディスペンサー容器1Aは、容器ホルダ20の収納部21に収納されることにより傾いた状態で保持される。このように、容器ホルダ20を用いてディスペンサー容器1Aを傾いた状態で保持することにより、吐出口5Aからの内容物の吐出方向を下側に向けることができ、使用性の向上を図ることができる。
【0054】
ディスペンサー用補助具10Cは、このように傾いて使用されるディスペンサー容器1Aに対して装着されるものである。このディスペンサー用補助具10Cは、把持部11Cの下部に三角状部13が設けられており、この三角状部13に装着部12Cが形成されている。よって、押圧ヘッド4Aが傾いた状態であっても、三角状部13により装着時に把持部11Cを上方向に向いた状態とすることができる。
【0055】
このように、容器ホルダ20に装着されることにより傾いた状態のディスペンサー容器1Aであっても、ディスペンサー用補助具10Cを設けることにより、このディスペンサー用補助具10Cを把持することによりディスペンサー2Aを操作することが可能となる。よって、本実施形態によれば、内容物の吐出方向が下側に向くことによる使用性の向上と、ディスペンサー用補助具10Cによる使用性の向上の双方を実現することが可能となる。
【0056】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能なものである。
【符号の説明】
【0057】
1A,1B ディスペンサー容器
2A,2B ディスペンサー
3 容器本体
4A,4B 押圧ヘッド
5A,5B 吐出口
6 吐出ノズル
7 キャップ
8 操作部
10A,10B,10C ディスペンサー用補助具
11A,11B,11C 把持部
12A,12B,12C 装着部
13 三角状部
20 容器ホルダ
21 収納部
【技術分野】
【0001】
本発明はディスペンサー用補助具に係り、特にディスペンサーの使用性の向上を図り得るディスペンサー用補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばシャンプー等を内容物とするボトルタイプの容器には、内容物を定量取り出す機構であるディスペンサーが取り付けられている。このディスペンサーが設けられた容器(以下、ディスペンサー容器という)によれば、容器を傾けることなく単に定量ポンプの頭部に設けられた押ボタンを操作するだけで所定量の内容物を容器から取り出すことができる。
【0003】
しかしながら、従来のディスペンサーは、単に内容物が充填された容器本体から押し釦が突出した構成であったため押し難く、また押し釦の面積が小さいために押し釦の押圧操作に強い力を必要とするという問題点があった。特に、高齢者等の比較的力の弱い人がディスペンサー容器の操作を行う場合、この問題は顕著となる。
【0004】
そこで、ディスペンサーに梃子の原理を利用した操作レバー機構を設けることにより、小さい操作力で内容物を吐出することを可能とした構成が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−335618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、ディスペンサーに複雑な操作レバー機構を設ける必要があり、部品点数が増加してコストが上昇してしまうという問題点がある。
【0007】
また、特許文献1に開示されたディスペンサーは内容物の吐出に要する操作力は小さくて済むものの、操作する際には操作レバーを指で押圧する必要がある。しかしながら、特許文献1に開示されたディスペンサーでは操作部の面積が小さく、よって高齢者のような操作力が弱い使用者にとっては、依然として使用性が悪いという問題点があった。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、ディスペンサーに変更を加えることなく、簡単な構成でディスペンサーの操作性の向上を図りうるディスペンサー用補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題は、第1の観点からは、
押圧ヘッドが操作者により操作されることにより容器本体内に装填された内容物を吐出するディスペンサーに取り付けられるディスペンサー用補助具であって、
前記押圧ヘッドに装着される装着部と、
前記押圧ヘッドの操作部の操作面積よりも広い面積を有し、操作時に前記操作者に把持される把持部とを有することを特徴とするディスペンサー用補助具により解決することができる。
【0010】
また上記発明において、前記把持部の重さは10g以上65g以下であることが望ましい。
【0011】
また上記発明において、前記把持部の前記操作者により把持される方向に対する長さは3.0cm以上5.5cm以下であることが望ましい。
【0012】
また上記発明において、前記押圧ヘッドに吐出ノズルを設け、前記装着部を前記押圧ヘッドを覆う被覆部を一体的に形成した構成としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
開示のディスペンサー用補助具によれば、ディスペンサーに複雑な機構を設けることなく、単にディスペンサーにディスペンサー用補助具を装着するだけで、押圧ヘッドの操作面積を実質的に広げることができる。これにより、操作者がディスペンサー用補助具を把持することによりディスペンサーの操作を行うことが可能となり、ディスペンサーの操作を容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態であるディスペンサー用補助具を説明するための図であり、ディスペンサー用補助具をディスペンサーから取り外した状態を示す図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態であるディスペンサー用補助具を説明するための図であり、ディスペンサー用補助具をディスペンサーに装着した状態を示す図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態であるディスペンサー用補助具を説明するための図であり、ディスペンサー用補助具の使用状態を示す図である。
【図4】図4は、従来の一例であるディスペンサーの使用状態を示す図である。
【図5】図5は、本発明の第2実施形態であるディスペンサー用補助具を説明するための図であり、ディスペンサー用補助具をディスペンサーから取り外した状態を示す図である。
【図6】図6は、本発明の第2実施形態であるディスペンサー用補助具を説明するための図であり、ディスペンサー用補助具をディスペンサーに装着した状態を示す図である。
【図7】図7は、本発明の第2実施形態であるディスペンサー用補助具を説明するための図であり、ディスペンサー用補助具の使用状態を示す図である。
【図8】図8は、従来の一例であるディスペンサーの使用状態を示す図である。
【図9】図9は、第1及び第2の実施形態に係るディスペンサー用補助具を用いたときのディスペンサーの使用感のアンケート結果を示す図である。
【図10】図10は、ディスペンサー用補助具の把持部の寸法を変化したときのディスペンサーの使用感のアンケート結果を示す図である。
【図11】図11は、ディスペンサー用補助具の重さを変化したときのディスペンサーの使用感のアンケート結果を示す図である。
【図12】図12は、本発明の第3実施形態であるディスペンサー用補助具を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
【0016】
図1乃至図3は、本発明の第1実施形態であるディスペンサー用補助具10Aを説明するための図である。また、図5乃至図7は、本発明の第2実施形態であるディスペンサー用補助具10Bを説明するための図である。
【0017】
図1及び図2はディスペンサー用補助具10A及びこれが装着されるディスペンサー容器1Aを示す側面図であり、図3はディスペンサー用補助具10Aの使用状態を示す図である。また、図5及び図6はディスペンサー用補助具10B及びこれが装着されるディスペンサー容器1Bを示す側面図であり、図7はディスペンサー用補助具10Bの使用状態を示す図である。
【0018】
ここで説明の便宜上、ディスペンサー用補助具10A,10Bの説明に先立ち、ディスペンサー用補助具10A,10Bが装着されるディスペンサー容器1A,1Bについて説明する。尚、ディスペンサー容器1Aとディスペンサー容器1Bは押圧ヘッド4A,4Bの構成の相違を除き同一構成である。このため、先ず、ディスペンサー容器1Aの構成について説明し、その後にディスペンサー容器1Bのディスペンサー容器1Aと異なる構成について説明するものとする。
【0019】
ディスペンサー容器1Aは、ディスペンサー2Aと容器本体3等を有した構成とされている。容器本体3は樹脂製のボトル容器であり、内部に化粧料等の内容物が装填される。また、ディスペンサー2Aは、押圧ヘッド4A、キャップ7、ステム9、ピストン、ばね、及びポンプハウジング等を有した構成とされている。このディスペンサー2Aは、押圧ヘッド4Aを操作者Aが操作することにより容器本体3内の内容物(化粧料)を定量吐出する機能を奏する。
【0020】
容器本体3の上部には開口が形成されており、この開口の外周部には螺子が形成されている。キャップ7は、この螺子に螺着する構成とされている。キャップ7がこの螺子に螺着することにより、ディスペンサー2Aは容器本体3に固定される。
【0021】
ポンプハウジング(図に現れず)は、ディスペンサー2Aが容器本体3に装着された状態で容器本体3の内部に位置している。このポンプハウジングは、シリンダとして機能するものであり、下部には吸引された内容物が逆流するのを防止する逆止弁が設けられている。また、ポンプハウジングの逆止弁の下部位置には、容器本体3に装填された内容物を吸引するためのディップチューブ(図に現れず)が接続されている。
【0022】
ステム9は、ポンプハウジングに往復動可能に挿入される。このステム9は、ポンプハウジングに内接されたばねにより図中矢印Z1方向(押圧ヘッド4Aの操作方向と反対方向)に付勢されている。従って、ディスペンサー2Aを操作して内容物を吐出する場合、このばねの弾性力に抗して押圧ヘッド4Aの操作部8をZ1方向に向けて押圧操作する必要がある。
【0023】
また、ステム9の下端部にはポンプハウジングの内壁に液密に接するピストン(図に現れず)が設けられている。よって、ステム9が図中矢印Z1,Z2方向に移動することにより、ピストンもポンプハウジング内をZ1,Z2方向に移動することになる。
【0024】
更に、ステム9の上端部には押圧ヘッド4Aが配設されている。この押圧ヘッド4Aは、上端部に操作者Aに操作される操作部8を有し、また側面にはステム9に接続され内容物を外部に吐出する吐出口5Aが形成されている。
【0025】
次に、上記構成されたディスペンサー2A及び容器本体3を有するディスペンサー容器1Aにおいて、ディスペンサー2Aの押圧ヘッド4Aを押し込んだときの動作について説明する。尚、ポンプハウジングには、予め内容物が吸引されているものとする。
【0026】
押圧ヘッド4Aをポンプハウジングに内接されたばねの弾性力に抗して押し込むと、これに伴いステム9はZ1方向に移動する。よって、ステム9に配設されたピストンもポンプハウジング内をZ1方向に移動する。ピストンはポンプハウジングの内壁に液密に接している。また、ポンプハウジング内の逆止弁は、内容物のポンプハウジング内への吸入は許容するが、容器本体3への逆流は規制する構成とされている。従って、押圧ヘッド4Aを押し込むことによりポンプハウジング内は加圧され、ポンプハウジング内に吸引されていた内容物はステム9を通り吐出口5Aから外部に吐出される。
【0027】
一方、押圧ヘッド4Aの押し込みを解除すると、ステム9はポンプハウジングに内接したばねの弾性復元力によりZ2方向に移動を行う。これにより、ピストンはステム9と共にZ1方向に移動し、ポンプハウジングの内部を拡張して負圧化する。この負圧により、逆止弁が開弁し、容器本体3の内容物はディップチューブを介してポンプハウジング内に吸引され、次の吐出動作に備える。
【0028】
次に、ディスペンサー容器1Bについて説明する。前記のようにディスペンサー容器1Bは前記したディスペンサー容器1Aと略同一構成であるが、押圧ヘッド4Bの構成がディスペンサー容器1Aの押圧ヘッド4Aと異なっている。
【0029】
具体的にはディスペンサー容器1Aのディスペンサー2Aは、押圧ヘッド4Aに吐出口5Aが直接設けられており、主に内容物を霧状にして吐出するものである。これに対してディスペンサー容器1Bのディスペンサー2Aは、図5〜図7に示すように、押圧ヘッド4Bに吐出ノズル6が設けられており、その先端部に吐出口5Bが形成された構成とされている。この構成とされたディスペンサー2Bは、容器本体3内の内容物(化粧料)を主に液状で定量吐出するのに用いられるものである。
【0030】
尚、図5〜図7において、図1〜図3に示した構成と同一構成については同一符号を付して示し、その説明については所略するものとする。
【0031】
図4,図8は、上記した構成を有したディスペンサー容器1A,1Bの一般的な使用方法を示している。各図に示すように、ディスペンサー容器1A,1Bを使用する際、一般的には操作者Aは容器本体3を把持し、主に人差し指を用いて押圧ヘッド4A,4Bの操作部8を押圧操作(Z1方向に操作)することにより内容物を吐出する方法を用いる。年齢が低い操作者Aの場合、この一般的な使用方法で特に使用性を問題することは生じていない。
【0032】
しかしながら、18人の高齢者(平均年齢81.8歳)に対してディスペンサー容器1A,1Bを使用してもらい、その操作性についてのアンケートを取ったところ、18人の全員が使用性が不良であるとの回答であった。このようにディスペンサー容器1A,1Bの使用性が若年層に対して高齢者が悪化するのは、加齢により発生する、(a)関節や骨の萎縮,硬直,屈曲、(b)筋力の低下、(c)関節が曲がりにくい、(d)握力の低下等に原因しているものと考えられる。
【0033】
また、図4及び図8に示すように、ディスペンサー容器1A,1Bの通常の使用時には、操作者Aは容器本体3を把持すると共に人差し指1本で操作部8を押圧操作する。上記のように加齢により身体的な各種低下が発生した高齢者では、指1本による操作は困難で、これも高齢者がディスペンサー容器1A,1Bの使用性を不良とする原因のひとつであると考えられる。
【0034】
第1及び第2実施形態であるディスペンサー用補助具10A,10Bは、ディスペンサー2A,2Bに取り付けることにより、高齢者が使用を行う場合であってもこのディスペンサー2A,2Bの使用性を向上させる補助具である。以下、ディスペンサー用補助具10A,10Bの詳細について説明する。
【0035】
第1実施形態に係るディスペンサー用補助具10Aは、図1〜図3に示した吐出口5Aが直接設けられた押圧ヘッド4Aを有するディスペンサー2Aに対応したものである。また、第2実施形態に係るディスペンサー用補助具10Bは、図5〜図7に示した吐出ノズル6が設けられた押圧ヘッド4Bを有するディスペンサー2Bに対応したものである。以下の説明では、基本的にはディスペンサー用補助具10A,10Bを一括的に説明し、必要に応じてディスペンサー用補助具10Aとディスペンサー用補助具10Bとを分けて説明するものとする。
【0036】
第1及び第2実施形態であるディスペンサー用補助具10A,10Bは、把持部11A,11B及び装着部12A,12Bを有した構成とされている。このディスペンサー用補助具10Aの材料は特に限定されるものではないが、例えばABS樹脂,ポリカーボネート樹脂,ポリプロピレン樹脂等の樹脂材料、アルミニウム,ステンレス等の金属材料、各種ゴム、各種スポンジ素材等を用いることができる。
【0037】
把持部11A,11Bは、操作者Aに把持される部位である。第1実施形態では、図1〜図3に示すように把持部11Aの形状を球形状としている。即ち、第1実施形態のディスペンサー用補助具10Aを適用するディスペンサー2Aは押圧ヘッド4Aに吐出口5Aが直接形成された構成であり、第2実施形態のように吐出ノズル6を有していない。よって、第1実施形態に係るディスペンサー用補助具10Aでは、把持部11Aの形状を高齢者でも把持が行い易い球形状としている。
【0038】
これに対し、第2実施形態に係るディスペンサー用補助具10Bは、吐出ノズル6を有している。このため、第2実施形態に係るディスペンサー用補助具10Bでは、図5〜図7に示すように、ディスペンサー用補助具10Aに比べて吐出ノズル6の延出方向に長く延出した形状とされている。把持部11Bをこのような長く延出させることによっても、高齢者にとって把持が容易な形状とすることができる。
【0039】
この把持部11A,11Bの把持される部分の面積は、ディスペンサー容器1A,1Bの操作部8の面積(図4及び図8に示す人差し指で押される部分の面積)よりも広い面積となっている。
【0040】
一方、装着部12A,12Bは、ディスペンサー2A,2Bの押圧ヘッド4A,4Bに装着される部位である。装着部12Aは、ディスペンサー2Aの押圧ヘッド4Aの形状に対応して形成されており、装着部12Bはディスペンサー2Bの押圧ヘッド4Aの形状に対応して形成されている。特に、装着部12Bは押圧ヘッド4Bに形成された吐出ノズル6を内部に収納するよう構成されている。これにより、ディスペンサー用補助具10Bのディスペンサー2Aへの装着性の向上を図っている。
【0041】
尚、本実施形態では装着部12A,12Bを押圧ヘッド4A,4Bに圧入することにより装着する構成としているが、固定部材や固定機構を別箇に設けることにより、より強固に装着する構成とすることも可能である。
【0042】
図3及び図7は、ディスペンサー用補助具10A,10Bを装着したディスペンサー2A,2Bを使用している状態を示す図である。
【0043】
高齢者にとっては、容器本体3を把持してディスペンサー2A,2Bを操作することは困難な操作である。そこで本実施形態に係るディスペンサー用補助具10A,10Bを用いてディスペンサー容器1A,1Bを使用する際、机等の基台上に載置した状態でディスペンサー2A,2Bの操作が行われる。これにより、操作者Aは容器本体3を把持する必要はなくなり、ディスペンサー容器1A,1Bの使用性の向上を図ることができる。
【0044】
また、操作者Aがディスペンサー2A,2Bを操作する際、ディスペンサー2A,2Bには本実施形態に係るディスペンサー用補助具10A,10Bが設けられているため、操作者Aはディスペンサー用補助具10A,10Bを把持して、換言すると5本の指を全て用いてディスペンサー2A,2Bを操作することが可能となる。
【0045】
図9は、ディスペンサー用補助具10A,10Bを装着したディスペンサー容器1A,1Bを前記した18人の高齢者(平均年齢81.8歳)に使用してもらい、その操作性についてのアンケートを取った結果を示している。尚、以下説明する図10,11に示す使用性調査の結果も同じ18人の高齢者に対してアンケートを取った結果である。
【0046】
前記のように、ディスペンサー用補助具10A,10Bを装着しない場合には18人の全員が使用性が悪いとしていたが、ディスペンサー用補助具10A,10Bを装着することにより「使いやすくなった」とした人がディスペンサー用補助具10A,10Bのいずれにおいても11人となり、「わからない」,「使いにくくなった」と回答した人数に対して大幅に多くなった。この結果より、ディスペンサー2A,2Bにディスペンサー用補助具10A,10Bを装着することにより、高齢者におけるディスペンサー容器1A,1Bの使用性が向上することが立証された。
【0047】
またリウマチにより手指に拘縮がおきている高齢者2名は、ディスペンサー用補助具10A,10Bがない状態ではディスペンサー2A,2Bの操作ができなかったが、ディスペンサー用補助具10A,10Bを使用することでディスペンサー2A,2Bを操作して内容物の吐出を行うことが可能となった。
【0048】
図10は、ディスペンサー用補助具10A,10Bの把持される方向に対する長さを変化させたとき、使用性が良好であると答えた人数を示している。ここで、把持される方向に対する長さとは、球形状を有したディスペンサー用補助具10Aでは把持部11Aの直径をいい、また平面視で円形以外の形状を有する把持部11Bにおいては平面視で最も幅の狭い部分の幅寸法をいうものとする。
【0049】
同図において、把持部11A-1は直径を2.5cmとしたものであり、把持部11A-2は直径を3.0cm、把持部11A-3は直径を5.5cm、11A-4は直径を6.0cmとしたものである。このアンケート結果より、把持部11Aの大きさは3.0cm未満であると小さすぎて操作性が低下し、また5,5cmを超えると大きすぎて操作性が低下することが判明した。よって、球形状を有したディスペンサー用補助具10Aでは、把持される方向に対する長さを最狭幅3.0cm以上5.5cm以下に設定することにより、ディスペンサー容器1Aの使用性を向上させることがわかった。
【0050】
一方、把持部11B-1〜11B-4は、把持部の形状が球状ではないディスペンサー用補助具10Bを示している。把持部11BA-1は最狭幅を2.5cmとしたものであり、把持部11B-2は最狭幅を3.0cm、把持部11B-3は最狭幅を5.5cm、11B-4は最狭幅を6.0cmとしたものである。この場合においても球形状の把持部11Aと同等の結果をえることができ、把持部11Bの大きさが3.0cm未満であると小さすぎて操作性が低下し、また5,5cmを超えると大きすぎて操作性が低下することが判明した。よって、球形状以外の形状を有したディスペンサー用補助具10Bにおいても、把持される方向に対する長さを3.0cm以上5.5cm以下に設定することにより、ディスペンサー容器1Bの使用性を向上させることがわかった。
【0051】
また図11は、球形状を有するディスペンサー用補助具10Aを用いると共に、ディスペンサー用補助具10Aの重さを変化させたときの使用性の評価を示したものである。同図に示されるように、11Aの重さも使用性に影響を及ぼし、把持部11Aの重さが10g以上65g以下であるときに使用性が向上することが判明した。これは、把持部11Aの重さが10g未満であると装着時の安定性が損なわれるため使用性が低下し、逆に把持部11Aの重さが65gを越えると重くなり、ディスペンサー用補助具10Aを持ち、ディスペンサー2Aの押圧ヘッド4Aの上に装着する操作が困難になり操作性が低下するためである。
【0052】
図12は、第3実施形態であるディスペンサー用補助具10Cを示している。本実施形態に係るディスペンサー用補助具10Cは、傾いた状態で使用されるディスペンサー容器1Aに装着されるものである。
【0053】
ディスペンサー容器1Aは、容器ホルダ20の収納部21に収納されることにより傾いた状態で保持される。このように、容器ホルダ20を用いてディスペンサー容器1Aを傾いた状態で保持することにより、吐出口5Aからの内容物の吐出方向を下側に向けることができ、使用性の向上を図ることができる。
【0054】
ディスペンサー用補助具10Cは、このように傾いて使用されるディスペンサー容器1Aに対して装着されるものである。このディスペンサー用補助具10Cは、把持部11Cの下部に三角状部13が設けられており、この三角状部13に装着部12Cが形成されている。よって、押圧ヘッド4Aが傾いた状態であっても、三角状部13により装着時に把持部11Cを上方向に向いた状態とすることができる。
【0055】
このように、容器ホルダ20に装着されることにより傾いた状態のディスペンサー容器1Aであっても、ディスペンサー用補助具10Cを設けることにより、このディスペンサー用補助具10Cを把持することによりディスペンサー2Aを操作することが可能となる。よって、本実施形態によれば、内容物の吐出方向が下側に向くことによる使用性の向上と、ディスペンサー用補助具10Cによる使用性の向上の双方を実現することが可能となる。
【0056】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能なものである。
【符号の説明】
【0057】
1A,1B ディスペンサー容器
2A,2B ディスペンサー
3 容器本体
4A,4B 押圧ヘッド
5A,5B 吐出口
6 吐出ノズル
7 キャップ
8 操作部
10A,10B,10C ディスペンサー用補助具
11A,11B,11C 把持部
12A,12B,12C 装着部
13 三角状部
20 容器ホルダ
21 収納部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧ヘッドが操作者により操作されることにより容器本体内に装填された内容物を吐出するディスペンサーに取り付けられるディスペンサー用補助具であって、
前記押圧ヘッドに装着される装着部と、
前記押圧ヘッドの操作部の操作面積よりも広い面積を有し、操作時に前記操作者に把持される把持部とを有することを特徴とするディスペンサー用補助具。
【請求項2】
前記把持部の重さが10g以上65g以下であることを特徴とする請求項1記載のディスペンサー用補助具。
【請求項3】
前記把持部の前記操作者により把持される方向に対する長さが3.0cm以上5.5cm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のディスペンサー用補助具。
【請求項1】
押圧ヘッドが操作者により操作されることにより容器本体内に装填された内容物を吐出するディスペンサーに取り付けられるディスペンサー用補助具であって、
前記押圧ヘッドに装着される装着部と、
前記押圧ヘッドの操作部の操作面積よりも広い面積を有し、操作時に前記操作者に把持される把持部とを有することを特徴とするディスペンサー用補助具。
【請求項2】
前記把持部の重さが10g以上65g以下であることを特徴とする請求項1記載のディスペンサー用補助具。
【請求項3】
前記把持部の前記操作者により把持される方向に対する長さが3.0cm以上5.5cm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のディスペンサー用補助具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−126411(P2012−126411A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278140(P2010−278140)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】
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